JP3988005B2 - ポリアミド延伸フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は耐ピンホール性、ガスバリヤー性及び透明性に優れるポリアミド延伸フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アジピン酸とメタキシリレンジアミンとから得られるポリメタキシリレンアジパミド(以下「ナイロンMXD6」ということがある)からなる延伸フィルムは、透明性及び耐熱性に優れており、またポリエチレンテレフタレート、ナイロン6等に比べて、ガスバリヤー性が格段に優れているために、食品、薬品、化粧品等の包装用フィルムとして幅広く用いられている。しかしながら、ナイロンMXD6からなる延伸フィルムは、例えば製造したフィルムを折り畳んだ際に、その屈曲部分において微小な穴(以下「ピンホール」という)が生じ易いという問題があった。
【0003】
従来、この問題を解決するためにナイロンMXD6に他の樹脂を混合することによりフィルムの耐ピンホール性を改良する試みがなされている。
例えば、特開昭56−62129号公報、特公昭51−29192号公報にはメタキシリレンジアミンを主成分とする混合キシリレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸とからなるポリアミドと、ナイロン6との混合物からなる耐ピンホール性が改良されたポリアミドフィルムが提案されている。
【0004】
特開平8−165426号公報にはナイロンMXD6とナイロン6及びアイオノマー樹脂とからなる耐ピンホール性、易裂性の改善されたフィルムが開示されている。しかしながら、ナイロンMXD6と脂肪族ポリアミド、またはナイロンMXD6と脂肪族ポリアミドおよびアイオノマーをブレンドした場合には、耐ピンホール性が向上する傾向にはあるものの、保香性、耐熱性、紫外線遮断性の低下、原料価格が高いなどの点から好ましい方法とは言い難い。
【0005】
これらの方法とは別に、ナイロンMXD6を耐ピンホール性が良好な他樹脂等との共押出やラミネートにより多層構造とすることで、耐ピンホール性を付与することが試みられている。
例えば、特開平4−47924号公報にはナイロンMXD6を含む芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、又はこれらの混合ポリアミドから選択された2種以上のポリアミドを溶融状態で押出して積層フィルムを作製し、延伸することからなる耐ピンホール強度を改善した積層二軸延伸フィルムの製造方法が開示されている。しかしながら、共押出やラミネート等によりナイロンMXD6を多層構造として機械的性質を向上させることは、汎用のフィルム製造設備に加えて、樹脂またはフィルムを供給する際に特殊な製造設備が必要となるために工業的に有利な方法ではない。
【0006】
一方、ポリエチレンテレフタレートは、力学的性質、耐熱性、保香性、紫外線遮断性などの優れた特性を有し、また低価格であるが故にフィルム、シート、容器、繊維などの原料として広く用いられている。
ナイロンMXD6とポリエチレンテレフタレートの混合物からなるフィルムについては、ポリエチレンテレフタレートのガスバリヤー性、フィルム表面特性、耐摩耗性、引裂直進性などの改善を試みた発明が多数開示されている(特公昭53−33618号公報、特開平2−38793号公報、特公平6−37565号公報、特公平7−68374号公報、特開平7−188534号公報、特開平8−183092号公報)。
しかしながら、ナイロンMXD6にポリエチレンテレフタレートを混合することによる耐ピンホール性、ガスバリヤー性及び透明性の機能をすべて満足する包装用フィルムは知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の従来技術の問題点に鑑み、耐ピンホール性、ガスバリヤー性及び透明性に優れるポリアミド延伸フィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述の目的を達成するために鋭意検討の結果、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミンと、アジピン酸を70モル%以上含むジカルボン酸から得られた結晶性ポリアミド(A)95〜40重量部と、テレフタル酸を80モル%以上含むジカルボン酸と、エチレングリコールを80モル%以上含むジオールから得られたポリエステル(B)5〜60重量部との混合樹脂(C)であって、一定の溶融粘度比を有するものを成形して得た延伸フィルムが優れた耐ピンホール性、ガスバリヤー性及び透明性を有することを見いだし本発明に到達した。
【0009】
すなわち本発明は、下記の(1)、(2)及び(3)に記載のポリアミド延伸フィルムに関する発明である。
【0010】
(1)メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミンと、アジピン酸を70モル%以上含むジカルボン酸から得られた結晶性ポリアミド(A)90〜60重量%と、テレフタル酸を80モル%以上含むジカルボン酸と、エチレングリコールを80モル%以上含むジオールから得られたポリエステル(B)10〜40重量%(重量%の合計は100重量%である)との混合樹脂(C)を成形して得たポリアミド延伸フィルムであって、結晶性ポリアミド(A)とポリエステル(B)の275℃における溶融粘度の比〔(ポリエステル(B)の溶融粘度/結晶性ポリアミド(A)の溶融粘度)〕が0.1〜3の範囲にある混合樹脂(C)を溶融押出成形して得たシートを、縦、横方向にそれぞれ少なくとも2.0倍以上に延伸して得た耐ピンホール性に優れたポリアミド延伸フィルム。
【0011】
(2)メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミンと、アジピン酸を70モル%以上含むジカルボン酸から得られた結晶性ポリアミド(A)90〜60重量%と、テレフタル酸を80モル%以上含むジカルボン酸と、エチレングリコールを80モル%以上含むジオールから得られたポリエステル(B)10〜40重量%(重量%の合計は100重量%である)との混合樹脂(C)を成形して得たポリアミド延伸フィルムであって、結晶性ポリアミド(A)とポリエステル(B)の275℃における溶融粘度の比〔(ポリエステル(B)の溶融粘度/結晶性ポリアミド(A)の溶融粘度)〕が0.1〜3の範囲にある混合樹脂(C)を溶融押出成形したシートを、縦、横方向にそれぞれ少なくとも2.0倍以上に延伸した、厚みが10〜40μmのフィルムのゲルボテスターによる繰り返し屈曲疲労試験400回後のピンホール数が7個/100cm2 以下であるポリアミド延伸フィルム。
【0012】
(3)メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミンと、アジピン酸を70モル%以上含むジカルボン酸から得られた結晶性ポリアミド(A)90〜60重量%と、テレフタル酸を80モル%以上含むジカルボン酸と、エチレングリコールを80モル%以上含むジオールから得られたポリエステル(B)10〜40重量%(重量%の合計は100重量%である)との混合樹脂(C)を成形して得たポリアミド延伸フィルムであり、結晶性ポリアミド(A)とポリエステル(B)の275℃における溶融粘度の比〔(ポリエステル(B)の溶融粘度/結晶性ポリアミド(A)の溶融粘度)〕が0.1〜3の範囲にある混合樹脂(C)を溶融押出成形したシートを、縦、横方向にそれぞれ少なくとも2.0倍以上に延伸したフィルムであって、延伸フィルムの厚み20μm当たりの曇価が15%以下であり、かつ混合樹脂(C)からなる延伸フィルムのゲルボテスターによる繰り返し屈曲疲労試験400回後のピンホール数PCが式(1)を満足することを特徴とする耐ピンホール性に優れるポリアミド延伸フィルム。
PC≦0.5×PA (1)
(PAは、混合樹脂(C)の代わりに結晶性ポリアミド(A)のみを使用して成形して得た同じ厚みの延伸フィルムの繰り返し屈曲試験400回後のピンホール数を示す。)
【0013】
次に本発明を具体的に説明する。
本発明における屈曲疲労試験、及びピンホール数測定方法は次の通りである。
すなわち、屈曲疲労試験に供する延伸フィルムは、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で7日以上調湿し、200mm×280mmのサイズにカットした後、MIL規格(MIL−B−131C)に準拠したゲルボテスター(理学工業社製、型式:No.901型)に固定し、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で、フィルムに400回繰り返し屈曲疲労を与えた後、フィルムをゲルボテスターから取り外し、ピンホール数を計測した。
【0014】
ピンホールの計測には、ポロスコープ(理学工業社製、型式:H8e型)を用いた。この測定は、接地した金属板の上に屈曲疲労試験後のフィルムを置き、1.5kVの電圧を印加した電極でフィルム上の一定面積内(フィルム長辺から20〜180mm、フィルム短辺から60〜220mmの範囲内、大きさ:160mm×160mm(面積:256cm2 ))を走査させることにより行う(ピンホールがあると放電を起こすため、この放電数の測定により、ピンホール数を計測することが可能である)。
【0015】
尚、耐ピンホール性はフィルムの厚みの影響を受けるため、結晶性ポリアミドのみからなる延伸フィルムのピンホール数の計測は、対比する混合樹脂(C)からなる延伸フィルムと同じ厚みのものを使用して行った。
【0016】
本発明でいう結晶性ポリアミド(A)からなる延伸フィルムとは、ポリエステル(B)との混合に使用する結晶性ポリアミド(A)と同一の材料を使用して、後述した本発明の混合樹脂(C)からなる延伸フィルムを成形する際に行うのと同様な方法により延伸を行い、必要であればフィルムを緊張状態に保ったまま熱処理を行ったフィルムのことをいう。
【0017】
本発明でいう結晶性ポリアミド(A)とは、メタキシリレンジアミンを70モル%、好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むジアミンと、アジピン酸を70モル%以上、好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むジカルボン酸から得られた結晶性ポリアミド(A)である。
【0018】
更に本発明の結晶性ポリアミド(A)には、その性質を本質的に変化させない範囲で他のジアミン成分として、パラキシリレンジアミン、フェニレンジアミン、1,4−ビス−(2−アミノエチル)ベンゼン等の如き芳香族ジアミンから誘導される成分単位、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン等の如き脂肪族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の如き脂環族ジアミンを30モル%未満含んでいてもよい。
【0019】
一方、本発明の結晶性ポリアミド(A)には、その性質を本質的に変化させない範囲で他のジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、またはドデカン二酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等の如き脂環族ジカルボン酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等の如きラクタムから誘導されるジカルボン酸、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等の如きアミノカルボン酸を30モル%未満含んでいてもよい。
【0020】
本発明に用いる結晶性ポリアミド(A)は、ポリマー中の水分率を0.15%以下、好ましくは0.1%以下に乾燥したものが望ましい。
【0021】
本発明で用いる結晶性ポリアミド(A)の相対粘度(ポリアミド1gを96%硫酸100mlに溶解して25℃で測定した値)は1.5以上、特に2.0以上であるが望ましい。相対粘度が1.5以上であるとポリアミドの分子量が充分に高いために、これを使用して得られる混合樹脂からなる延伸フィルムは必要な機械的性質を有するものとなる。
【0022】
本発明で用いるポリエステル(B)は、テレフタル酸を80モル%以上、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上含むジカルボン酸と、エチレングリコールを80モル%以上、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上含むジオールから得られたポリエステルである。
【0023】
本発明で用いるポリエステル(B)は、ジカルボン酸成分とジオール成分とを重縮合させる方法やポリエステル単独重合体および/または共重合体のエステル交換反応等により製造される。
ジカルボン酸成分とジオール成分とを重縮合させる方法において、ジカルボン酸成分はジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体を使用し、エステル交換反応等の従来公知の方法により製造される。エステル形成性誘導体としては、ジメチルエステル、ジエチルエステルなどのエステル誘導体、ジアンモニウム塩などの塩、ジクロリドなどの酸ハロゲン化物などを挙げることができる。
【0024】
本発明で用いるポリエステル(B)には、その性質を本質的に変化させない範囲で他のジカルボン酸成分として、フタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体から誘導される成分、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体から誘導される成分、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸類、テトラリンジカルボン酸類等の如き脂環族ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体から誘導される成分を20モル%以下含んでいてもよい。
【0025】
さらに本発明のポリエステル(B)には、その性質を本質的に変化させない範囲で他のジオール成分単位として、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の如き脂肪族ジオールから誘導される成分単位、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,6−シクロヘキサンジオール等の如き脂環族ジオールから誘導される成分、ビスフェノールA等の如き芳香族ジオールから誘導される成分を20モル%以下含んでいてもよい。
【0026】
本発明に用いるポリエステル(B)は、ポリマー中の水分率を100ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下に乾燥させたものが望ましい。
【0027】
本発明で用いるポリエステル(B)の極限粘度(フェノール/1,1,2,2,−テトラクロロエタン=60/40重量比混合溶媒中、25℃で測定した値)は、0.3〜2.0dl/g、特に0.4〜1.8dl/gであることが望ましい。極限粘度が0.3以上であるとポリエステルの分子量が充分に高いために、これを使用して得られる混合樹脂からなる延伸フィルムがフィルムとして必要な機械的性質を有することになる。一方、極限粘度が2.0以下であると、結晶性ポリアミド(A)との混合性が良好となる。
【0028】
また、上記のポリエステル(B)は、例えば少量の安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリエチレングリコール等の如き単官能化合物から誘導される成分によって分子末端を封止されていてもよい。また、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセリン、トリメシン酸、ペンタエリスリトール等の如き多官能化合物から誘導される成分を少量含んでいてもよい。
【0029】
本発明の結晶性ポリアミド(A)とポリエステル(B)とからなる混合樹脂(C)は、結晶性ポリアミド(A)95〜40重量部、好ましくは90〜40重量部と、ポリエステル(B)5〜60重量部、好ましくは10〜60重量部混合(重量%の合計は100重量%である)することにより得られる。
ポリエステル(B)が5重量部以上で、混合樹脂(C)からなる延伸フィルムの耐ピンホール性の改善効果が顕著となり、(1)式を満足することが可能となる。ポリエステル(B)が60重量部以下で、耐ピンホール性の改善効果は認められ、かつガスバリヤー性の効果が期待できる。
【0030】
本発明の延伸フィルムの製造法は、結晶性ポリアミド(A)とポリエステル(B)の275℃における溶融粘度の比[(ポリエステル(B)の溶融粘度/結晶性ポリアミド(A)の溶融粘度)]が0.1〜3の範囲にある混合樹脂(C)を溶融押出成形したシートを、縦、横方向に少なくとも2.0倍以上に延伸する。
延伸倍率を2.0倍以上にすると、製膜後の使用時あるいは成形加工時にガラス転移温度以上に加熱されるとき、また多湿下での保存中に、あるいは殺菌のための水蒸気処理、熱水処理などを行った際に白化、結晶化し透明性が低下することを防止できる。
尚、実用的な見地から上シートの延伸倍率の上限は縦、横方向にそれぞれ5倍程度である。
【0031】
本発明でいう溶融粘度は、結晶性ポリアミド(A)、およびポリエステル(B)のそれぞれをフローテスター((株)島津製作所製、型式:CFT−500、ダイ:1mmφ×10mm長さ、押出圧力:10kgf/cm2)により275℃で測定したものである。
【0032】
本発明の結晶性ポリアミド(A)とポリエステル(B)の275℃における溶融粘度の比[(ポリエステル(B)の溶融粘度)/(結晶性ポリアミド(A)の溶融粘度)]は、0.1〜3、好ましくは0.1〜2.5の範囲である。
溶融粘度の比が上記0.1以上であると、結晶性ポリアミド(A)とポリエステル(B)とを溶融混合した際に両樹脂の混合が充分に進行し、安定したフィルムの製造が可能となり、フィルムに過大な表面荒れや厚みむらが生ずるのを防止できる。
一方、溶融粘度の比を3以下とすると、結晶性ポリアミド(A)とポリエステル(B)との混合樹脂(C)からなる延伸フィルムの透明性が良好で、厚さ20μm当たりの曇価を15%以下に維持できる。
【0033】
本発明でいう混合樹脂(C)は従来公知の方法により混合されたものである。
例えば、結晶性ポリアミド(A)とポリエステル(B)とをタンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等でドライブレンドしたもの、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー等で1回以上溶融混練したものなどが挙げられる。さらには、結晶性ポリアミド(A)、ポリエステル(B)と、両者を予め溶融混練した予備混練物をドライブレンドまたは溶融混練したものなども挙げられる。
【0034】
本発明でいうシートとは、従来公知の溶融押出成形法により製造された実質的に未延伸のシートである。また、本発明の延伸条件で延伸可能であれば、未延伸シートの厚みは特に制限されるものではない。上記の混合樹脂(C)を用いて未延伸シートを溶融押出成形する際の温度は220〜300℃、好ましくは230〜290℃であることが望ましい。
【0035】
シートの延伸方法は、従来公知の方法、例えばテンター法、ロール間の周速差を利用する方法などを用いて同時に二方向に延伸してもよいし、または逐次に二方向に延伸してもよい。逐次に延伸する場合、縦方向、横方向のどちらの方向を先に延伸してもよい。また、それらを何段階かに組み合わせたものでもよい。延伸方法はこれらに限定されるものではなく、チューブラー法での延伸等の従来公知の方法を用いてもよい。さらにまた、本発明の延伸フィルムは従来公知の共押出法、ラミネート等により他の樹脂との未延伸シートを成形し、これを延伸して延伸フィルムとするという方法を行ってもよい。
【0036】
さらに混合樹脂(C)を溶融押出成形したシートは、上述の通り、縦、横方向に少なくとも2.0倍以上に延伸される。
【0037】
延伸する際の温度は、結晶性ポリアミド(A)と、ポリエステル(B)のガラス転移温度(以下、Tgという)の低い方の樹脂のTgよりも高く、かつTgが高い方の樹脂のTgより40℃高い温度を超えない範囲であることが好ましい。
延伸温度が上記の温度範囲を下回る場合には、フィルムの透明性が低下するために好ましくない。延伸温度が上記範囲を超える場合には結晶化が進みすぎるために透明性が低下し好ましくない。
上記の方法により製造された延伸フィルムは、結晶性ポリアミド(A)の融点より10℃高い温度を越えない温度で、フィルムを緊張状態に保ったまま熱処理することが望ましい。その熱処理温度、熱処理時間は限定されるものではなく、熱処理を行った延伸フィルムを使用する際に許容される熱収縮率が得られる条件を任意に選択することで決定される。
【0038】
かくして得られた混合樹脂(C)を成形して得たポリアミド延伸フィルムは、耐ピンホール性に優れ、又、厚み10〜40μmのポリアミド延伸フィルムは、ゲルボテスターによる繰り返し屈曲疲労試験400回後のピンホール数が7個/100cm2 以下となるものが得られ、更には本発明において所定の繰り返し屈曲疲労試験後の耐ピンホール性が式(1)を満足するポリアミド延伸フィルムが得られる。
【0039】
本発明で用いる混合樹脂(C)には、その性質を本質的に変化させない範囲で、ポリエチレンテレフタレート製品回収物、少量のナフタレン成分単位を含む変性ポリエチレンテレフタレート製品回収物、ポリアミド製品回収物、および/または成形品製造時の端材、および規格外物等のポリエステルおよび/またはポリアミド樹脂回収物を混合してもよい。
【0040】
また、本発明における混合樹脂には、上記のようなポリアミドとポリエステルの他に本発明の効果を損なわない範囲で、顔料、染料、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を含んでもよい。
【0041】
本発明の延伸フィルムは、その性質を本質的に変化させない範囲で延伸フィルム表面の全面または片面にコロナ放電、プラズマ処理、化学的処理、コーティング等の表面処理を行ってもよい。
【0042】
本発明による延伸フィルムの使用に際しては、例えばラッピングフィルム、包装袋、深絞り成形体等として使用してもよいし、他の樹脂や紙、ペーパーボード等とラミネートして積層体等として使用してもよい。積層体として本発明の延伸フィルムを使用する場合には、その総層数や積層位置は特に限定されるものではなく、本発明の延伸フィルムが積層体の表面層であってもよいし、内層であってもよいし、または両方に使用されていてもよい。また、本発明の延伸フィルムの用途はこれらに限定されるものではない。
【0043】
【実施例】
以下、実施例、比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、本実施例及び比較例で採用した評価法は以下の通りである。
【0044】
(1)耐ピンホール性
屈曲疲労試験に供する延伸フィルムは、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で7日以上調湿し、200mm×280mmのサイズにカットした。カットした延伸フィルムをMIL規格(MIL-B-131C)に準拠したゲルボテスター(理学工業社製、No.901型)に固定し、23℃、相対湿度50%の雰囲気下でフィルムに400回繰り返し屈曲疲労を与えた後、フィルムをゲルボテスターから取り外し、面積256cm2 当たりのピンホール数を測定した。ピンホール数の計測にはポロスコープ(理学工業社製、H8e型)を用いた。
【0045】
これは、接地した金属板の上に屈曲疲労試験後のフィルムを置き、1.5kVの電圧を印加した電極でフィルム上の一定面積内(フィルム長辺から20〜180mm、フィルム短辺から60〜220mmの範囲内、大きさ:160mm×160mm(面積:256cm2 ))を走査させて、ピンホール数を計測した。
尚、耐ピンホール性は、フィルムの厚さに依存するため、結晶性ポリアミド(A)からなる延伸フィルムと、それと同一の結晶性ポリアミド(A)を使用した混合樹脂(C)からなるフィルムのピンホール数を測定する際には、厚さの等しいフィルムを使用した。
尚、表1〜4中、のピンホール数は、延伸フィルム面積100cm2 当たりのピンホール数(個)を示し、表1、2中の〔(0.5×PA) −PC〕は、本発明における結晶性ポリアミド(A)のみを使用した延伸フィルム面積100cm2 当たりのピンホール数に0.5倍を乗じた値から、混合樹脂(C)を使用した延伸フィルム面積100cm2 当たりのピンホール数を減じた値である。
【0046】
(2)曇価
JIS−K−7105に準じた。
測定装置は、日本電色工業社製の曇価測定装置(型式:COH−300A)を使用した。
【0047】
(3)酸素透過係数
ASTM D3985に準じた
測定装置は、モダンコントロールズ社製(型式:OX-TRAN 10/50 A)のものを使用した。測定温度条件は、温度23℃、相対湿度60%である。
【0048】
(4)溶融粘度比
測定装置は、(株)島津製作所社製フローテスター(型式:CFT−500)を使用した。測定条件は、ダイ:1mmφ×10mm長、押出圧力:10kgf/cm2 で、測定温度275℃である。
溶融粘度比は、275℃での結晶性ポリアミド(A)の溶融粘度に対するポリエステル(B)の溶融粘度の比[(ポリエステル(B)の溶融粘度)/(結晶性ポリアミド(A)の溶融粘度)]として算出した。
【0049】
実施例1
結晶性ポリアミドとしてナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、相対粘度:2.2、溶融粘度:214Pa・s、以下「PA1」と記すことがある)と、ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略す、日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET、グレード:RT543C,溶融粘度:417Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が90/10の混合ペレット(溶融粘度比:1.95)を準備した。
この混合ペレットを、単軸押出機(スクリュー形状:フルフライト、スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度275〜275℃、Tダイ温度280℃、スクリュー回転数72rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm、厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0050】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを90〜100℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表1に示す。
尚、同様の方法により、厚さ0.2mm、及び厚さ0.3mmの未延伸フィルムを縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.4倍、3.5倍に延伸し、厚さ10μm、25μmの延伸フィルムを得た。
その結果、得られたフィルムはそれぞれ曇価1.9%、4.6%、ピンホール数4.3個/100cm2 、5.5個/100cm2 、及び酸素透過係数は、0.05(cc-mm/m2-day-atm) 、0.05(cc-mm/m2-day-atm) であった。
【0051】
実施例2
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン、グレード名:6007,相対粘度:2.7、溶融粘度:530Pa・s、以下「PA2」と記すことがある)とPET(日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET、グレード:RT543C,溶融粘度:417Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が90/10の混合ペレット(溶融粘度比:0.79)を準備した。
この混合ペレットを、二軸押出機(スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度265〜275℃、Tダイ温度275℃、スクリュー回転数100rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0052】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートムを90〜100℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表1に示す。
【0053】
実施例3
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、相対粘度:2.2、溶融粘度:214Pa・s)とPET(日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET、グレード:RT543C,溶融粘度:417Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が80/20の混合ペレット(溶融粘度比:1.95)を準備した。
この混合ペレットを、二軸押出機(スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度265〜275℃、Tダイ温度275℃、スクリュー回転数100rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0054】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを90〜100℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表1に示す。
【0055】
実施例4
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン、グレード名:6007,相対粘度:2.7、溶融粘度:530Pa・s)とPET(日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET、グレード:RT543C,溶融粘度:417Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が80/20の混合ペレット(溶融粘度比:0.79)を準備した。
【0056】
この混合ペレットを、単軸押出機(スクリュー形状:フルフライト、スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度275〜275℃、Tダイ温度280℃、スクリュー回転数72rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0057】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを95〜105℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表1に示す。
【0058】
実施例5
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン、グレード名:6121、相対粘度:3.5、溶融粘度:2300Pa・s、以下「PA3」と記すことがある)とPET(日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET、グレード:RT543C、溶融粘度:417Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が80/20の混合ペレット(溶融粘度比:0.18)を準備した。
【0059】
この混合ペレットを、二軸押出機(スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度265〜275℃、Tダイ温度275℃、スクリュー回転数100rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0060】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを95〜105℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表1に示す。
【0061】
実施例6
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、相対粘度:2.2、溶融粘度:214Pa・s)とPET(日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET、グレード:RT543C,溶融粘度:417Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が60/40の混合ペレット(溶融粘度比:1.95)を準備した。
【0062】
この混合ペレットを、単軸押出機(スクリュー形状:フルフライト、スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度275〜275℃、Tダイ温度280℃、スクリュー回転数72rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0063】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを95〜105℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表1に示す。
【0064】
実施例7
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン、グレード名:6007、相対粘度:2.7、溶融粘度:530Pa・s)とPET(日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET、グレード:RT543C、溶融粘度:417Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が60/40の混合ペレット(溶融粘度比:0.79)を準備した。
【0065】
この混合ペレットを、単軸押出機(スクリュー形状:フルフライト、スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度275〜275℃、Tダイ温度280℃、スクリュー回転数72rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0066】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを95〜105℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表2に示す。
【0067】
実施例8
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン、グレード名:6121、相対粘度:3.5、溶融粘度:2300Pa・s)とPET(日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET、グレード:RT543C、溶融粘度:417Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が60/40の混合ペレット(溶融粘度比:0.18)を準備した。
【0068】
この混合ペレットを、二軸押出機(スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度265〜275℃、Tダイ温度275℃、スクリュー回転数100rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0069】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを95〜105℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表2に示す。
【0070】
参考例1
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、相対粘度:2.2、溶融粘度:214Pa・s)とPET(日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET、グレード:RT543C,溶融粘度:417Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が40/60の混合ペレット(溶融粘度比:1.95)を準備した。
【0071】
この混合ペレットを、単軸押出機(スクリュー形状:フルフライト、スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度275〜275℃、Tダイ温度280℃、スクリュー回転数72rpm、冷却ロール温度70℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0072】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを95〜105℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表2に示す。
【0073】
参考例2
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン、グレード名:6007、相対粘度:2.7、溶融粘度:530Pa・s)とPET(日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET、グレード:RT543C、溶融粘度:417Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が40/60の混合ペレット(溶融粘度比:0.79)を準備した。
【0074】
この混合ペレットを、単軸押出機(スクリュー形状:フルフライト、スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度275〜275℃、Tダイ温度280℃、スクリュー回転数72rpm、冷却ロール温度70℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0075】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸フィルムを95〜105℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表2に示す。
【0076】
参考例3
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン、グレード名:6121、相対粘度:3.5、溶融粘度:2300Pa・s)とPET(日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET、グレード:RT543C、溶融粘度:417Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が40/60の混合ペレット(溶融粘度比:0.18)を準備した。
【0077】
この混合ペレットを、二軸押出機(スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度265〜275℃、Tダイ温度275℃、スクリュー回転数100rpm、冷却ロール温度70℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを95〜105℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表2に示す。
【0078】
比較例1
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、相対粘度:2.2)のペレットを、二軸押出機(スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度260〜270℃、Tダイ温度270℃、スクリュー回転数100rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0079】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを90〜100℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表3に示す。
【0080】
比較例2
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン、グレード名:6007、相対粘度:2.7)のペレットを、単軸押出機(スクリュー形状:フルフライト、スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度260〜270℃、Tダイ温度270℃、スクリュー回転数72rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0081】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを90〜100℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表3に示す。
【0082】
比較例3
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン、グレード名:6121、相対粘度:3.5)のペレットを、二軸押出機(スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度265〜275℃、Tダイ温度275℃、スクリュー回転数100rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0083】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを95〜105℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表3に示す。
【0084】
比較例4
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、相対粘度:2.2、溶融粘度:214Pa・s)とPET(日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET、グレード:RT543C,溶融粘度:417Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が98/2の混合ペレット(溶融粘度比:1.95)を準備した。
【0085】
この混合ペレットを、単軸押出機(スクリュー形状:フルフライト、スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度275〜275℃、Tダイ温度280℃、スクリュー回転数72rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0086】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを90〜100℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表3に示す。得られた延伸フィルムはPETの混合量が少ないために、ピンホールの改善効果が明らかに不十分であった。
【0087】
比較例5
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン、グレード名:6121、相対粘度:3.5、溶融粘度:2300Pa・s)とPET(日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET、グレード:RT543C、溶融粘度:417Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が98/2の混合ペレット(溶融粘度比:0.18)を準備した。
【0088】
この混合ペレットを、二軸押出機(スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度265〜275℃、Tダイ温度275℃、スクリュー回転数100rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0089】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを95〜105℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表3に示す。得られた延伸フィルムはPETの混合量が少ないために、ピンホールの改善効果が明らかに不十分であった。
【0090】
比較例6
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、相対粘度:2.2、溶融粘度:214Pa・s)とPET(鐘紡(株)製、商品名:ベルペット、グレード:EFG85A,溶融粘度:893Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が80/20の混合ペレット(溶融粘度比:4.17)を準備した。
この混合ペレットを、二軸押出機(スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度265〜275℃、Tダイ温度275℃、スクリュー回転数100rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0091】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを95〜105℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表4に示す。表4から得られたフィルムは、本発明の溶融粘度比の範囲を超えているために、包装用フィルムとして使用するには透明性が不十分であった。
【0092】
比較例7
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、相対粘度:2.2、溶融粘度:214Pa・s)とPET(鐘紡(株)製、商品名:ベルペット、グレード:EFG85A,溶融粘度:893Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が60/40の混合ペレット(溶融粘度比:4.17)を準備した。
この混合ペレットを、単軸押出機(スクリュー形状:フルフライト、スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度275〜275℃、Tダイ温度280℃、スクリュー回転数72rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0093】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを95〜105℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表4に示す。表4から得られたフィルムは、本発明の溶融粘度比の範囲を超えているために、包装用フィルムとして使用するには透明性が不十分であった。
【0094】
比較例8
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、相対粘度:2.2、溶融粘度:214Pa・s)とPET(日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET、グレード:RT580C,溶融粘度:1918Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が60/40の混合ペレット(溶融粘度比:8.96)を準備した。
この混合ペレットを、二軸押出機(スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度270〜280℃、Tダイ温度280℃、スクリュー回転数100rpm、冷却ロール温度80℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0095】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを95〜105℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表4に示す。表4から得られたフィルムは、本発明の溶融粘度比の範囲を超えているために、包装用フィルムとして使用するには透明性が不十分であった。
【0096】
比較例9
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン、グレード名:6121、相対粘度:3.5、溶融粘度:2300Pa・s)とPET(I.V.=0.5、溶融粘度:190Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が40/60の混合ペレット(溶融粘度比:0.08)を準備した。
この混合ペレットを、二軸押出機(スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度265〜275℃、Tダイ温度275℃、スクリュー回転数100rpm、冷却ロール温度70℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0097】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを95〜105℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。しかし、得られたフィルムは、MXナイロンとPETの混合状態が悪いため、厚みむらや表面荒れが著しく、評価可能なフィルムが得られなかった。
【0098】
比較例10
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン、グレード名:6007、相対粘度:2.7、溶融粘度:530Pa・s)とPET(日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET、グレード:RT543C、溶融粘度:417Pa・s)の乾燥したペレットをタンブラーにより混合し、ブレンド比(ナイロンMXD6/PET、重量比)が20/80の混合ペレット(溶融粘度比:0.79)を準備した。
この混合ペレットを、単軸押出機(スクリュー形状:フルフライト、スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度275〜275℃、Tダイ温度280℃、スクリュー回転数72rpm、冷却ロール温度70℃の条件下で製膜し、幅120mm,厚さ約0.3mmの未延伸シートを得た。
【0099】
次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸シートを95〜105℃で30秒間予備加熱した後、線延伸速度87%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦および横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で5秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの曇価、ピンホール数、酸素透過係数の測定結果を表4に示す。表4から得られたフィルムは、透明性、ピンホールの改善効果は認められるものの、酸素バリヤー性が低下したために、実用的な厚みにおいて食品などの内容物の劣化を防ぐ目的の包装用フィルムとして適当でない。
【0100】
【表1】
Figure 0003988005
【0101】
表2
実施例(参考例)番号 参1 参2 参3
使用樹脂
使用ポリアミド PA2 PA3 PA1 PA2 PA3
PET混合量(重量部) 40 40 60 60 60
溶融粘度比 0.79 0.18 1.95 0.79 0.18
ピンホール数(個)* 2.3 1.6 3.1 2.0 1.2
(0.5×PA) −PC(個)* 2.9 3.3 2.3 3.3 3.7
曇価(%) 4.5 4.7 7.5 8.0 6.1
酸素透過係数 0.07 0.07 0.12 0.12 0.12
(cc-mm/m 2 -day-atm)
*延伸フィルムの面積100cm2 当たりのピンホール数である。
【0102】
【表3】
Figure 0003988005
【0103】
【表4】
Figure 0003988005
【0104】
表1、及び2より明らかなように、本発明の結晶性ポリアミドにポリエステルが混合された混合樹脂からなる延伸フィルムは、透明性に優れており、かつ混合樹脂からなる延伸フィルムのピンホール数は、比較例に示した結晶性ポリアミド単独の延伸フィルムのピンホール数の半分以下に改善された。さらには混合樹脂からなる延伸フィルムは優れたガスバリヤー性をも有しており工業的に非常に有用である。
【0105】
【発明の効果】
本発明の混合樹脂を成形して得られる延伸フィルムは、耐ピンホール性、ガスバリヤー性及び透明性に優れるため、フィルム、シート、容器等の材料として有用である。

Claims (5)

  1. メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミンと、アジピン酸を70モル%以上含むジカルボン酸から得られた結晶性ポリアミド(A)90〜60重量%と、テレフタル酸を80モル%以上含むジカルボン酸と、エチレングリコールを80モル%以上含むジオールから得られたポリエステル(B)10〜40重量%(重量%の合計は100重量%である)との混合樹脂(C)を成形して得たポリアミド延伸フィルムであって、結晶性ポリアミド(A)とポリエステル(B)の275℃における溶融粘度の比〔(ポリエステル(B)の溶融粘度/結晶性ポリアミド(A)の溶融粘度)〕が0.1〜3の範囲にある混合樹脂(C)を溶融押出成形して得たシートを、縦、横方向にそれぞれ少なくとも2.0倍以上に延伸して得た耐ピンホール性に優れたポリアミド延伸フィルム。
  2. メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミンと、アジピン酸を70モル%以上含むジカルボン酸から得られた結晶性ポリアミド(A)90〜60重量%と、テレフタル酸を80モル%以上含むジカルボン酸と、エチレングリコールを80モル%以上含むジオールから得られたポリエステル(B)10〜40重量%(重量%の合計は100重量%である)との混合樹脂(C)を成形して得たポリアミド延伸フィルムであって、結晶性ポリアミド(A)とポリエステル(B)の275℃における溶融粘度の比〔(ポリエステル(B)の溶融粘度/結晶性ポリアミド(A)の溶融粘度)〕が0.1〜3の範囲にある混合樹脂(C)を溶融押出成形したシートを、縦、横方向にそれぞれ少なくとも2.0倍以上に延伸した、厚みが10〜40μmの延伸フィルムのゲルボテスターによる繰り返し屈曲疲労試験400回後のピンホール数が7個/100cm2 以下であるポリアミド延伸フィルム。
  3. メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミンと、アジピン酸を70モル%以上含むジカルボン酸から得られた結晶性ポリアミド(A)90〜60重量%と、テレフタル酸を80モル%以上含むジカルボン酸と、エチレングリコールを80モル%以上含むジオールから得られたポリエステル(B)10〜40重量%(重量%の合計は100重量%である)との混合樹脂(C)を成形して得たポリアミド延伸フィルムであり、結晶性ポリアミド(A)とポリエステル(B)の275℃における溶融粘度の比〔(ポリエステル(B)の溶融粘度/結晶性ポリアミド(A)の溶融粘度)〕が0.1〜3の範囲にある混合樹脂(C)を溶融押出成形したシートを、縦、横方向にそれぞれ少なくとも2.0倍以上に延伸したフィルムであって、延伸フィルムの厚み20μm当たりの曇価が15%以下であり、かつ混合樹脂(C)からなる延伸フィルムのゲルボテスターによる繰り返し屈曲疲労試験400回後のピンホール数PCが式(1)を満足することを特徴とする耐ピンホール性に優れるポリアミド延伸フィルム。
    PC≦0.5×PA (1)
    (PAは、混合樹脂(C)の代わりに結晶性ポリアミド(A)のみを使用して成形して得た同じ厚みの延伸フィルムの繰り返し屈曲試験400回後のピンホール数を示す。)
  4. 結晶性ポリアミド(A)が、ポリメタキシリレンアジパミドである請求項1乃至3記載のポリアミド延伸フィルム。
  5. ポリエステル(B)が、ポリエチレンテレフタレートである請求項1乃至3記載のポリアミド延伸フィルム。
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