JP3115219B2 - ポリエステル系多層シートと容器及びその製法 - Google Patents

ポリエステル系多層シートと容器及びその製法

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JP3115219B2 JP32455795A JP32455795A JP3115219B2 JP 3115219 B2 JP3115219 B2 JP 3115219B2 JP 32455795 A JP32455795 A JP 32455795A JP 32455795 A JP32455795 A JP 32455795A JP 3115219 B2 JP3115219 B2 JP 3115219B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はガスバリアー性、強度及
び2次加工性(容器成形性)に優れ、層間剥離の発生し
にくい透明性の高いポリエステル系多層シートと容器お
よびその製法に関する。特に食品包装材料として好適な
多層シートおよびそれを用いた多層容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエチレンンテレフタレートを
主体とする熱可塑性ポリエステル樹脂は、その素材の優
れた力学的性質、透明性、2次加工性、耐薬品性、保香
性、衛生性等に着目されて各種のフィルム、シート及び
容器等に成形され、包装材料として広範に利用されてい
る。特に近年、廃棄物の焼却処理による環境汚染問題か
ら、塩化ビニル樹脂の代替として注目され、生産量が急
速に伸びている。
【0003】また、プラスチックシートを加熱軟化させ
て成形したカップやトレーなどの容器は、食品、飲料、
医薬品の分野で広く使用されている。これら熱成形容器
の用途には、包装内容物の酸化劣化を防ぐために酸素に
対するガスバリアー性を要求されるものがある。
【0004】従来、これらガスバリアー性を有する容器
を製造するために、積層構造を持つ多層シートが使用さ
れている。その内の大半が、ガスバリアー性を付与する
ためにエチレン−ビニルアルコール共重合体を中間層と
し、その両側に接着剤層を介してポリプロピレン層を形
成した多層シートである。
【0005】このシートから成形した容器は、熱可塑性
ポリエステルシートから成形した透明容器に比べ、ガス
バリアー性には優れるが、透明性が不充分で、内容物透
視性を重視する用途には適さない。また、焼却時の発生
エネルギーもポリエステルの2倍程度となり、容器のリ
サイクルも容易ではなく、環境適性の面からも好ましく
ない。このように、透明性の良好な熱可塑性ポリエステ
ル樹脂を用い、且つガスバリアー性に優れる容器に使用
可能な材料が要望されていた。
【0006】これまで、熱可塑性ポリエステルのガスバ
リアー性を改良する方法として、イソフタル酸とエチレ
ングリコールからなるポリエステル樹脂の使用が提案さ
れている。しかしながら、この樹脂で作製されたシート
はガスバリアー性は改善されるが、耐衝撃性等の機械的
性質が著しく低下するため単独では使用できない。ま
た、熱可塑性ポリエステルとエチレンービニルアルコー
ル共重合体を共押出しして多層シートとすることも試み
られているが、2種の樹脂加工温度が大きく異なるため
困難である。最近、メタキシリレン基含有ポリアミド樹
脂をバリアー層とする多層シートも検討されているが、
層間剥離の発生等があり、実用的なシートは製造されて
いない。
【0007】このため、現在は透明熱可塑性ポリエステ
ルシートと多層のガスバリアーフィルムをドライラミネ
ート等の方法で貼り合わせたシートが使用されている。
しかし、貼り合わせの工程が追加されるため生産性に劣
るばかりかコスト高となる。また、2次成形後の透明性
が単層熱可塑性ポリエステルシートに比べ劣り、ガスバ
リアー性が安定しない等の問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ガス
バリアー性、強度、2次加工性及び経済性に優れ、層間
剥離の発生しにくい透明度の高いポリエステル系多層シ
ートと容器及びその製法を提供することにある。本発明
者らは、熱可塑性ポリエステル樹脂が持つ、優れた力学
的性質、透明性、2次加工性、耐薬品性、保香性、衛生
性等を損なうことなく、酸素に対する遮断性を向上する
べく、表層が熱可塑性ポリエステル樹脂からなり、中間
層がメタキシリレン基含有ポリアミド系樹脂からなるポ
リエステル系多層シートにつき、鋭意研究を重ねた結
果、多層シートの中間層として、メタキシリレン基含有
ポリアミド樹脂とナイロン等とを特定の割合に含有して
なる樹脂組成物を、280℃以上320℃未満の温度に
加熱する履歴を与えることによって得られる樹脂組成物
と特殊ポリアミド樹脂を併用することにより、本発明の
多層シート及び容器を見いだすに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の発明は、
少なくとも3層の熱可塑性樹脂層からなる多層シートで
あり、(A)表層がエチレンテレフタレートを主たる繰
り返し単位とする熱可塑性ポリエステル樹脂を含有し、
(B)中間層が下記の(a)成分及び(b)成分を含有
する樹脂組成物からなり、かつ、(a)成分が10〜9
7重量%であり、(b)成分が90〜3重量%であり、
該中間層の樹脂組成物の(イ)温度160℃における1
/2結晶化時間が10秒以上であり、かつ、(ロ)誘導
時間が6秒以上であることを特徴とするポリエステル系
多層シートである。 (a)成分:下記(x)成分90〜30重量%及び下記
(y)成分10〜70重量%からなる樹脂組成物に28
0℃以上320℃未満の温度に加熱する履歴を与えるこ
とによって得られる樹脂組成物 (b)成分:(x)成分以外で、160℃における1/
2結晶化時間が10秒以上の低結晶性ポリアミド樹脂又
は/及び結晶化しないポリアミド樹脂 (x)成分:メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂 (y)成分:x成分以外の熱可塑性ポリアミド樹脂
【0010】本発明の第2の発明は、少なくとも3層の
熱可塑性樹脂層からなる多層シートであり、(A)表層
がエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする
熱可塑性ポリエステル樹脂を含有し、(B)中間層が下
記の(a)成分、(b)成分、(x)成分及び(y)成
分を含有する樹脂組成物からなり、かつ、(a)成分が
10〜97重量%であり、(b)成分が90〜3重量%
であり、(x)成分が80〜0重量%、(y)成分が5
0〜0重量%であり、該中間層の樹脂組成物の(イ)温
度160℃における1/2結晶化時間が10秒以上であ
り、かつ、(ロ)誘導時間が6秒以上であることを特徴
とするポリエステル系多層シートである。 (a)成分:下記(x)成分90〜30重量%及び下記
(y)成分10〜70重量%からなる樹脂組成物に28
0℃以上320℃未満の温度に加熱する履歴を与えるこ
とによって得られる樹脂組成物 (b)成分:(x)成分以外で、160℃における1/
2結晶化時間が10秒以上の低結晶性ポリアミド樹脂又
は/及び結晶化しないポリアミド樹脂 (x)成分:メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂 (y)成分:x成分以外の熱可塑性ポリアミド樹脂
【0011】本発明の第3の発明は、少なくとも3層の
熱可塑性樹脂層からなる多層シートであり、(A)表層
がエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする
熱可塑性ポリエステル樹脂を含有し、(B)中間層が下
記の(a)成分、(b)成分、(x)成分及び(y)成
分を混合してなる樹脂組成物からなり、かつ、(a)成
分が10〜97重量%であり、(b)成分が90〜3重
量%であり、(x)成分が80〜0重量%、(y)成分
が50〜0重量%である樹脂組成物を用いて押出成形す
ることを特徴とするポリエステル系多層シートの製法。 (a)成分:下記(x)成分90〜30重量%及び下記
(y)成分10〜70重量%からなる樹脂組成物に28
0℃以上320℃未満の温度に加熱する履歴を与えるこ
とによって得られる樹脂組成物 (b)成分:(x)成分以外で、160℃における1/
2結晶化時間が10秒以上の低結晶性ポリアミド樹脂又
は/及び結晶化しないポリアミド樹脂 (x)成分:メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂 (y)成分:x成分以外の熱可塑性ポリアミド樹脂
【0012】本発明の第4の発明は、第1又は第2の発
のポリエステル系多層シートを熱成形してなることを
特徴とする多層容器である。本発明の第5の発明は、第
3の発明の製法を第1工程とし、ポリエステル系多層シ
ートを熱成形する工程を第2工程とする多層容器の製法
である。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
いうエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とす
る熱可塑性ポリエステル樹脂とは、通常、酸成分の80
モル%以上、好ましくは、90モル%以上がテレフタル
酸であり、グリコール成分の80モル%、好ましくは9
0モル%以上がエチレングリコールであるポリエステル
を意味し、残部の他の酸性分としてイソフタル酸、オル
トフタル酸、ジフェニルエーテル4,4’−ジカルボン
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ
ンジオン酸、、スルホイソフタル酸、ヘキサヒドロキシ
テレフタル酸、また他のグリコール成分として1,2−
プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,
5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネ
オペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテト
ラメチレングリコール、1,4−ジシクロヘキサンジメ
タノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニ
ル)プロパン、またはオキシ酸としてp−オキシ安息香
酸、p−ヒドロキシエトキシ安息香酸等を含有するポリ
エステル樹脂を意味する。また2種以上のポリエステル
のブレンドによりエチレンテレフタレートが上記範囲と
なるブレンド物でも良い。
【0014】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂は、固
有粘度の値が0.55以上であるものが用いられ、好ま
しくは0.65〜1.3のものである。固有粘度が0.
55未満では、シート成形の際に結晶化による白化が起
こり易く、透明なシートを得ることが困難であり、得ら
れた容器の機械的強度も不十分である。
【0015】また、本発明に使用される(x)成分のメ
タキシリレン基含有ポリアミド樹脂は、メタキシリレン
ジアミン又はメタキシリレンジアミンと全量の80モル
%以下のパラキシリレンジアミンを含む混合キシリレン
ジアミンと、炭素数が6〜10個のα,ω−脂肪族ジカ
ルボン酸とから生成された構成単位を分子内に少なくと
も70モル%含有した重合体である。
【0016】これらの重合体の例としてはポリメタキシ
リレンアジパミド、ポリメタキシリレンセカパミド、ポ
リメタキシリレンスペラミド等のような単独重合体、お
よびメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合
体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合
体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合
体等のような共重合体、ならびにこれらの単独重合体ま
たは共重合体の成分とヘキサメチレンジアミンのような
脂肪族ジアミン、ピペラジンのような脂環式ジアミン、
パラ−ビス−(2−アミノエチル)ベンゼンのような芳
香族ジカルボン酸、ε−カプロラクタムのようなラクタ
ム、γ−アミノヘプタン酸のようなω−アミノカルボン
酸、パラ−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノ
カルボン酸等とを共重合した共重合体等が挙げられる。
上記共重合体においてパラキシリレンジアミンは全キシ
リレンジアミンに対して80モル%以下であり、またキ
シリレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから生成され
た構成単位は分子鎖中において少なくとも70モル%以
上である。
【0017】メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂は、
相対粘度が1.5以上、好ましくは2.0〜4.0であ
ることが必要である。相対粘度が1.5未満では、非晶
状態では脆いため使用困難である。
【0018】上記ポリアミド樹脂は高いガスバリアー性
を有している。すなわち、メタキシリレン基含有ポリア
ミド樹脂は、従来から広く使用されているエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体に近いガスバリアー性を有して
おり、さらに注目すべきことは、高い湿度環境下におい
ては、エチレン−ビニルアルコール共重合体よりもさら
に高いガスバリアー性を有する。なお一般のナイロン6
は、このような高いガスバリアー性を備えていない。
【0019】本発明に用いられる(b)成分の(x)成
分以外で、160℃における1/2結晶化時間が10秒
以上の低結晶性ポリアミド樹脂又は/及び結晶化しない
ポリアミド樹脂としては、ポリアミド樹脂の結晶性を抑
制・阻止する為に結晶化阻害・阻止モノマー成分を任意
の割合で共重合した物等が挙げられる。具体的には、イ
ソフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/カプロラクタム
の重合体、アジピン酸/ヘキサメチレンジアミン/カプ
ロラクタムの重合体、テレフタル酸/異性体を含むトリ
メチル−1,6−ヘキサメチレンジアミンの重合体、イ
ソフタル酸/アジピン酸/1,6−ヘキサメチレンジア
ミンの重合体、イソフタル酸/イソホロンジアミン/ラ
ウロラクタムの重合体、イソフタル酸/テレフタル酸/
ヘキサメチレンジアミンの重合体、イソフタル酸/アジ
ピン酸/ヘキサメチレンジアミン/4−4’−ジアミノ
ージシクロヘキシレンメタンの重合体、イソフタル酸/
4−4’−ジアミノ−3ー3’−ジメチル−ジシクロ−
ヘキシレンメタン/ラウロラクタムの重合体、イソフタ
ル酸/テレフタル酸/アジピン酸/ヘキサメチレンジア
ミン/4−4’−ジアミノージシクロヘキシレンメタン
の重合体、テレフタル酸/4−4’−ジアミノージシク
ロヘキシレンメタン/カプロラクタムの重合体、アジピ
ン酸/イソフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/4−
4’−ジアミノージシクロヘキシレンメタンの重合体、
アジピン酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/
テトラメチレンジアミンの重合体、アジピン酸/アゼラ
イン酸/4−4’−ジアミノ−ジシクロ−ヘキシレンプ
ロパンの重合体等の物、及びこれらの混合物が挙げられ
る。
【0020】本発明において用いられる(a)成分は、
(x)成分90〜30重量%及び(y)成分10〜70
重量%からなる樹脂組成物に280℃以上320℃未満
の温度に加熱する履歴を与えることによって得られる樹
脂組成物である。POLYMER、1991、Volu
me 32、Number 15 2771に、ポリメ
タキシリレンジアミンアジパミドとナイロン6のブレン
ド物を290℃で溶融押出した際に、2種のポリアミド
間でアミド交換反応(interchange rea
ction)が起こり、その結果ブロックポリマーが生
成し、透明な均質物となることが記載されている。この
報文に従えば、本発明の中間層の樹脂組成物がアミド交
換反応を起こし、ブロック共重合体となっていると推定
される。
【0021】又、(y)成分のx成分以外の熱可塑性ポ
リアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン6・6、
ナイロン6・10、ナイロン11、ナイロン12、ナイ
ロン4・6等の重合体が使用できる。
【0022】本発明の第1の発明の中間層全体における
(a)成分の含有量は、10〜97重量%であり、好ま
しくは、15〜90重量%である。10重量%未満で
は、2次加工性が劣り、97重量%を越えると、多層シ
ート及び容器の生産性が悪くなり、コストアップにな
る。第2の発明の中間層全体における(a)成分の含有
量は、10〜97重量%であり、好ましくは、15〜9
0重量%である。10重量%未満では、2次加工性が劣
り、97重量%を越えると、多層シート及び容器の生産
性が悪くなり、コストアップになる。又、(b)成分が
90〜3重量%であり、(x)成分が80〜0重量%、
(y)成分が50〜0重量%である。第3の発明の中間
層全体における各成分の割合は、第2の発明の割合と同
様である。
【0023】(a)成分の熱履歴温度が280℃未満で
は、強度及び2次加工性が良くなく、透明性が悪いシー
トしか得られない。さらに、このシートを真空成形等の
熱成形する際の成形可能温度幅が極端に狭くなり、安定
して容器等の成形が出来ない等の欠点がある。一方、熱
履歴温度が320℃以上の場合は、樹脂が劣化し力学特
性が低下し、加熱により変色が進む欠点がある。又、
(a)成分の樹脂組成物の熱履歴の時間は特に制限がな
く、160℃の定温結晶化における1/2結晶化時間が
10秒以上で、かつ、誘導時間が6秒以上である多層シ
ートが得られる条件であればよい。
【0024】熱履歴の時間は具体的には、混練機、1軸
押出機及び同方向・異方向2軸押出機等、用いる装置の
形状、装置のスケールの大きさ及び運転条件(回転数、
仕込み量等)により異なるが、例えば290℃で1〜1
5分、好ましくは5〜10分であり、310℃では、3
0秒〜5分、好ましくは1〜3分程度である。中間層の
樹脂組成物に熱履歴を与える方法は、特に限定されるも
のではなく、任意の方法で行われる。例えばヘンシェル
ミキサーで予備混合した後、バンバリミキサー、2軸押
出機で機械的に混練する方法がある。
【0025】本発明において、(B)中間層を用いるこ
とにより、脱偏光強度法による測定法で、温度160℃
の定温結晶化にて、1/2結晶化時間が10秒以上で、
かつ、誘導時間が6秒以上である多層シートが得られ、
それによりガスバリアー性、強度及び2次加工性に優れ
た透明性多層シートと容器が得られる。シートの1/2
結晶化時間を10秒以上とし、かつ、誘導時間を6秒以
上とすること、特に好ましくは誘導時間を10秒以上と
することにより、容器成形時間が適度に選択でき、品質
の良い製品の製造が可能になる。更に、本発明では、予
め280℃以上320℃未満の温度に加熱する履歴を与
えた樹脂を部分的に使用するため、シートを製膜する際
の温度を低温とする事が可能となり、中間層樹脂全体の
熱劣化を抑制する観点からも好ましい。
【0026】(A)表層および(B)中間層の樹脂また
は樹脂組成物中には必要に応じて着色剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤、熱酸化防止剤、抗菌剤、滑剤、耐ブロ
ッキング剤、安定剤などの添加剤及び希釈材等の目的で
他の熱可塑性樹脂を適当な割合で含有することができ
る。
【0027】本発明の多層シートは、(A)表層がエチ
レンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする熱可塑
性ポリエステル樹脂と(B)中間層とを用いて押出成形
することにより製造される。さらに、このポリエステル
系多層シートを熱成形して多層容器を製造する。中間層
に用いられる(a)成分を製造する方法は、特に限定さ
れるものではなく、任意の方法で行われる。例えば、ヘ
ンシェルミキサーで予備混合した後、バンバリーミキサ
ー、2軸押出機等で機械的に混練し、280℃以上32
0℃未満の温度に加熱する履歴を与える方法がある。
【0028】本発明の多層シートは、無延伸シート及び
延伸シートとして製造及び使用可能であるが、特に無延
伸シートとして使用できる利点がある。本発明の多層シ
ートにおいては、(B)中間層の厚みはガスバリアー性
の観点から20μ〜500μであることが好ましく、特
に好ましくは40μ〜300μである。また表層を形成
するポリエステル樹脂層の厚みはそれぞれ50μ〜1m
mであることが好ましく、特に好ましくは100μ〜7
00μである。更にシート全体の厚みは120μ〜2.
5mmであることが好ましく、特に好ましくは240μ
〜1.7mmである。また、シートの構成比は酸素透過
率でポリエステル樹脂の1/2以下になるように設定す
ることが、内容物の保護性の観点から好ましい。
【0029】本発明の多層シートを製造するには、通常
の共押出、ドライラミネート、押出ラミネートなどの積
層法を採用することが出来る。共押出法としては、通
常、複数の押出機とダイスを設置した装置が用いられる
が、マルチマニホールド法、フィードブロック法等を採
用することが一般的である。
【0030】本発明の容器は、本発明で得られる多層シ
ートを用い通常の熱成形、たとえば、真空成形、圧空成
形、真空圧空成形、プラグアシスト成形、プレス成形等
により成形される。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述する。はじ
めに、シート物性及び容器物性の測定法を示す。 (1)1/2結晶化時間:多層シートから中間層の樹脂
組成物を分離し、この試験片を用い、コキタ製作所製の
ポリマー結晶化速度測定装置(型式:MK701)にて
脱偏光強度法(高分子化学、(1972)、vol.2
9、No.325、336)により測定した。常温の試
験片を160℃の結晶化浴に入れ昇温し、160℃で結
晶化し、結晶化浴に浸漬直後からの1/2結晶化するま
での時間を求めた。 (2)誘導時間:(1)と同様な測定において、結晶化
浴に浸漬直後から結晶化が開始するまでの時間を求め
た。
【0032】(3)全光透過率およびヘイズ:東京電色
社製ヘイズメータMODEL NDH−2Dを使用し、
JIS−K7105に準拠し次式より算出した。なお、
容器については底部を切り出して測定した。 全光透過率=T2 /T1 ×100(%) T1 :入射光量 T2 :全光線透過量 T3 :装置による散乱光量 T4 :装置とサンプルによる散乱光量
【0033】(4)真空成形性:三和興業社製PLAV
AC FE−36PH型真空成形機に、丸カップ状金型
(容器寸法;90mmφ×70mm高さ)を装着し、所
定金型温度でシート加熱温度を変えて、23℃×50%
RH環境下に1週間保管したシートを用い真空成形を行
った際の適性加熱温度条件幅が30℃以上のものを良好
(○)、30℃未満のものを不良(×)とした。
【0034】(5)酸素透過率:米国MODERN C
ONTOROLS社製酸素透過率測定機OX−TRAN
10/50Aにより、下記条件で測定した。 シート;23℃相対湿度70% 容器 ;23℃内部相対湿度70%、外部相対湿度50% 容器形状:口部直径120mm、底部直径110mm 高さ90mm
【0035】(6)シート衝撃強度:東洋精機社製、デ
ユポン衝撃試験機によりポンチ先端半径6.3mmを用
いJIS−K7211に準拠して測定を行い、50%破
壊エネルギー(J)を求めた。
【0036】(7)容器衝撃強度:(4)の方法で成形
した容器に350mlの純水を充填し、容器上面をヒー
トシールした後、塩化ビニル製の床に落とし、JIS−
K7211に準拠して50%破壊高さ(cm)を求め
た。
【0037】(8)難剥離性:(4)の方法で成形した
容器の開口部(90mmφ)を手でつぶし、その際に発
生する層間剥離の程度を、層間剥離無し(○)、若干の
層間剥離の発生(△)、著しい層間剥離の発生(×)と
して評価した。また、(4)の方法で成形した容器を3
0℃/90%RH下で1週間放置後、前記と同種の方法
で容器をつぶし、その層間剥離程度を評価した。
【0038】(9)ポリエステル樹脂の固有粘度(I
V):測定樹脂をフェノール/テトラクロルエタン(重
量比;50/50)の混合溶媒にその溶液粘度が0.5
g/10mlになるように調整し、30℃の恒温槽でウ
ベローデ粘度計を用い測定した粘度を示す。
【0039】(10)結晶性ポリアミド樹脂の相対粘度
(ηrel ):樹脂1gを96重量%硫酸100mlに溶
解、25℃で測定した相対粘度。
【0040】実施例1 表層(外層及び内層)を構成する熱可塑性ポリエステル
としてテレフタル酸50モル%、エチレングリコール4
7.5モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール
1.5モル%からなるIV=0.80のポリエチレンテ
レフタレート(以下PETと略す。)を用いた。中間層
の構成は、(a)成分が、MXD6/Ny6の比率が、
50重量%/50重量%である混合物を2軸混練機で2
90℃にて混練りし、熱履歴を与えたもの50重量%で
あり、(b)成分として三菱エンジニアリングプラスチ
ック社製の160℃で結晶化しないポリアミド樹脂 ノ
バミッド X21を(以下X21と略す。)5重量%で
あり、(x)成分のメタキシリレン基含有ポリアミド樹
脂として、ηrel =2.7のポリメタキシリレンアジパ
ミドを(以下MXD6と略す。)40重量%であり、か
つ、(y)成分の(x)成分以外の熱可塑性ポリアミド
樹脂としてηrel =3.8のナイロン6(以下Ny6と
略す。)5重量%を用いた。これら(a)成分、(b)
成分、(x)成分及び(y)成分を混合してなる樹脂組
成物を中間層とした。これらの材料を用い、多層シート
成形設備を使用し、共押出法により2種3層で厚み構成
比が、外層:中間層:内層=3:1:3となる厚さ1.
0mmの多層シートを成形した。なおこのシート成形時
の加工温度(溶融樹脂温度)は、中間層が275℃、表
層が275℃であった。表1にシートを構成する樹脂の
配合比率、シート物性及び容器物性を示す。
【0041】実施例2〜4 実施例1において、(a)成分、(b)成分、(x)成
分及び(y)成分の比率を変えた以外は、同様に行っ
た。表1にシートを構成する樹脂の種類、比率、シート
物性及び容器物性を示す。 実施例5 実施例1において、(b)成分として前記(1)と同様
の方法にて測定した1/2結晶化時間が30秒であるバ
イエル社の低結晶性ポリアミド樹脂CI31F(以下C
I31Fと略す。)を使用する以外は、同様に行った。
表1にシートを構成する樹脂の種類、比率、シート物性
及び容器物性を示す。
【0042】比較例1〜3 実施例1において、(a)成分、(b)成分、(x)成
分及び(y)成分の比率を変えた以外は、同様に行っ
た。表2にシートを構成する樹脂の比率、シート物性及
び容器物性を示す。 比較例4 実施例1において、(a)成分に代えて他の成分とし
て、MXD6/Ny6の比率が、50重量%/50重量
%である混合物を2軸混練機で270℃にて混練りした
もの50重量%を用いた以外は、同様に行った。表2に
シートを構成する樹脂の比率、シート物性及び容器物性
を示す。
【0043】
【表1】 (注1)単位はcc/ケ・day・atm
【0044】
【表2】 (注1)単位はcc/ケ・day atm
【0045】
【発明の効果】以上のとおり、本発明のポリエステル系
多層シート及びその容器は、ガスバリアー性、強度及び
2次加工性(容器成形性)に優れ、層間剥離の発生しに
くい透明性の高いポリエステル系多層シートと容器であ
り、これは、特に食品包装材料として好適な多層シート
および容器である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29K 77:00 B29L 9:00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも3層の熱可塑性樹脂層からなる
    多層シートであり、 (A)表層がエチレンテレフタレートを主たる繰り返し
    単位とする熱可塑性ポリエステル樹脂を含有し、(B)
    中間層が下記の(a)成分及び(b)成分を含有する樹
    脂組成物からなり、かつ、(a)成分が10〜97重量
    %であり、(b)成分が90〜3重量%であり、該中間
    層の樹脂組成物の(イ)温度160℃における1/2結
    晶化時間が10秒以上であり、かつ、(ロ)誘導時間が
    6秒以上であることを特徴とするポリエステル系多層シ
    ート。 (a)成分:下記(x)成分90〜30重量%及び下記
    (y)成分10〜70重量%からなる樹脂組成物に28
    0℃以上320℃未満の温度に加熱する履歴を与えるこ
    とによって得られる樹脂組成物 (b)成分:(x)成分以外で、160℃における1/
    2結晶化時間が10秒以上の低結晶性ポリアミド樹脂又
    は/及び結晶化しないポリアミド樹脂 (x)成分:メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂 (y)成分:x成分以外の熱可塑性ポリアミド樹脂
  2. 【請求項2】少なくとも3層の熱可塑性樹脂層からなる
    多層シートであり、 (A)表層がエチレンテレフタレートを主たる繰り返し
    単位とする熱可塑性ポリエステル樹脂を含有し、 (B)中間層が下記の(a)成分、(b)成分、(x)
    成分及び(y)成分を含有する樹脂組成物からなり、 かつ、(a)成分が10〜97重量%であり、(b)成
    分が90〜3重量%であり、(x)成分が80〜0重量
    %、(y)成分が50〜0重量%であり、 該中間層の樹脂組成物の(イ)温度160℃における1
    /2結晶化時間が10秒以上であり、かつ、(ロ)誘導
    時間が6秒以上であることを特徴とするポリエステル系
    多層シート。 (a)成分:下記(x)成分90〜30重量%及び下記
    (y)成分10〜70重量%からなる樹脂組成物に28
    0℃以上320℃未満の温度に加熱する履歴を与えるこ
    とによって得られる樹脂組成物 (b)成分:(x)成分以外で、160℃における1/
    2結晶化時間が10秒以上の低結晶性ポリアミド樹脂又
    は/及び結晶化しないポリアミド樹脂 (x)成分:メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂 (y)成分:x成分以外の熱可塑性ポリアミド樹脂
  3. 【請求項3】少なくとも3層の熱可塑性樹脂層からなる
    多層シートであり、 (A)表層がエチレンテレフタレートを主たる繰り返し
    単位とする熱可塑性ポリエステル樹脂を含有し、(B)
    中間層が下記の(a)成分、(b)成分、(x)成分及
    び(y)成分を混合してなる樹脂組成物からなり、か
    つ、(a)成分が10〜97重量%であり、(b)成分
    が90〜3重量%であり、(x)成分が80〜0重量
    %、(y)成分が50〜0重量%である樹脂組成物を用
    いて押出成形することを特徴とするポリエステル系多層
    シートの製法。 (a)成分:下記(x)成分90〜30重量%及び下記
    (y)成分10〜70重量%からなる樹脂組成物に28
    0℃以上320℃未満の温度に加熱する履歴を与えるこ
    とによって得られる樹脂組成物 (b)成分:(x)成分以外で、160℃における1/
    2結晶化時間が10秒以上の低結晶性ポリアミド樹脂又
    は/及び結晶化しないポリアミド樹脂 (x)成分:メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂 (y)成分:x成分以外の熱可塑性ポリアミド樹脂
  4. 【請求項4】請求項1又は請求項2記載のポリエステル
    系多層シートを熱成形してなることを特徴とする多層容
    器。
  5. 【請求項5】請求項3記載の製法を第1工程とし、ポリ
    エステル系多層シートを熱成形する工程を第2工程とす
    る多層容器の製法。
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