JP3674172B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンテナ装置に関し、特に携帯型無線通信機のアンテナとして例えば無線通信機能を有する携帯情報端末用のアンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯型無線通信機のアンテナ装置として、図29(A),(B)に示すものがある(実開平5−50816号公報)。
このアンテナ装置は、通信機筐体に対しアンテナが回転できるようにしたもので、図29(A),(B)に示すように、アンテナ1はボス2を介して通信機筐体3に回転自在に取り付けられている。アンテナ1は図に示す位置から 180°回転して、反対側で通信機筐体3の段差部3Aに収納される。そして、図に示す位置と、そこから90°回転した位置でボス2に内蔵されるクリック機構によって軽く固定され、位置決めされて使用される。これにより、通信の相手局との間で偏波面を容易に合わせることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した従来のアンテナ装置では、携帯性等の点からその収納時に通信機筐体3に密着するように構成していたため、その収納時に、アンテナ1と通信機筐体3内の金属物、例えば内部回路基板のGND層や金属メッキ等されたシールド部材等との距離が非常に接近してしまい、アンテナ1の収納時、放射効率が減衰する、という問題があった。
この問題点を具体的に説明すると、まず、このようなアンテナ1は、収納時に図30に示すような逆Lアンテナに置き換えることができる。ここで逆Lアンテナの放射効率ηは、アンテナ1の長さをlとし、通信機筐体3内の金属物からのアンテナ1の高さをhとし、波長をλとし、アンテナ1の表皮抵抗をRsとし、ワイヤー半径をaとして、以下の式で表すことができ、アンテナ1の高さhが大きいほど、この放射効率ηが1、すなわち100%に近付くことが分かる。
【0004】
【数1】
Figure 0003674172
これをグラフにすると図31に示すようになる。一般に携帯型無線通信機のアンテナはフレキシブル性を持たせるため、アンテナエレメントとしてステンレス材を用いることが多い。従って、アンテナの材質としてステンレスを想定すると、図29に示すような携帯性等が要求される携帯型無線通信機では、アンテナ1を筐体13裏面に収納した際、通信機筐体3内の金属物に対するアンテナ1の高さが3mm程度になると考えられるため、放射効率ηが約20%(約−7dB)に減衰し、減衰量が多いことが分かる。
【0005】
また、図29に示すような従来のアンテナ1では、その伸長時でのみインピーダンス整合をとっており、その収納時ではインピーダンス整合をとっていなかったため、この点からも、アンテナ1の収納時に放射効率が減衰する、という問題があった。
【0006】
本発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、携帯型無線通信機の筐体に収納かつ伸長され、かつ、アンテナ伸長時に回転させるようにしたアンテナ装置において、アンテナ収納時でも放射効率の減衰を防止できるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、携帯型無線通信機の筐体に収納されると共に当該筐体から伸長され少なくともその伸長状態で動作する第1のアンテナと、上記第1のアンテナ先端に設けられ上記第1のアンテナの収納状態では上記筐体より突出し少なくとも上記第1のアンテナの収納状態で動作する第2のアンテナと、信号源と接続された給電接触部と、を備え、上記第1のアンテナ先端と上記第2のアンテナ後端の第2アンテナ給電部とは絶縁して接続され上記第1のアンテナの収納時には上記給電接触部が上記第1のアンテナ先端と上記第2アンテナ給電部に接触して上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナに給電し上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナを動作させる一方、上記第1のアンテナの伸長時には上記給電接触部が上記第1のアンテナに接触して上記第1のアンテナにのみ給電し上記第1のアンテナのみを動作させるものである。
【0008】
また、本発明では、携帯型無線通信機の筐体に収納されると共に当該筐体から伸長され少なくともその伸長状態で動作する第1のアンテナと、上記第1のアンテナ先端に設けられ上記第1のアンテナの収納状態では上記筐体より突出し少なくとも上記第1のアンテナの収納状態で動作する第2のアンテナと、上記筐体に設けられ上記第1のアンテナを支持すると共に回転して上記第1のアンテナ及び第2のアンテナを回転させる回転手段と、を備え、上記回転手段は信号源と接続された給電接触部を有し、上記第1のアンテナ先端と上記第2のアンテナ後端の第2アンテナ給電部とは絶縁して接続され、上記第1のアンテナの収納時には上記給電接触部が上記絶縁体近傍の上記第1のアンテナ先端と上記第2アンテナ給電部に接触して上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナに給電し上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナを動作させる一方、上記第1のアンテナの伸長時には上記給電接触部が上記第1のアンテナに接触して上記第1のアンテナにのみ給電し上記第1のアンテナのみを動作させるものである。
【0009】
また、本発明では、携帯型無線通信機の筐体に収納されると共に当該筐体から伸長され少なくともその伸長状態で動作する第1のアンテナと、上記第1のアンテナ先端に設けられ上記第1のアンテナの収納状態では上記筐体より突出し少なくとも上記第1のアンテナの収納状態で動作する第2のアンテナと、上記筐体に設けられ上記第1のアンテナを支持すると共に回転して上記第1のアンテナ及び第2のアンテナを回転させる回転手段と、を備え、上記第1のアンテナは棒状金属からなり、その第1のアンテナ先端と上記第2のアンテナ後端の第2アンテナ給電部とを絶縁体を介し接続すると共に、上記回転手段は信号源と接続された給電接触部を有し、上記第1のアンテナの収納時には上記給電接触部が上記絶縁体近傍の上記第1のアンテナ先端と上記第2アンテナ給電部に接触して上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナに給電し上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナを動作させる一方、上記第1のアンテナの伸長時には上記給電接触部が上記第1のアンテナに接触して上記第1のアンテナにのみ給電し上記第1のアンテナのみを動作させるものである。
【0010】
また、本発明では、上記第1のアンテナと上記第2のアンテナのうち少なくとも一方をヘリカルアンテナで形成するものである。
【0011】
また、本発明では、上記第1のアンテナと上記第2のアンテナのうち少なくとも一方をメアンダラインアンテナまたはジグザグアンテナで形成するものである。
【0012】
また、本発明では、上記第1のアンテナを線状アンテナで形成するものである。
【0013】
また、本発明では、上記第1のアンテナを板状アンテナで形成するものである。
【0014】
また、本発明では、上記第1のアンテナ及び上記第2のアンテナを、それぞれ電気長1/4波長で形成するものである。
【0015】
また、本発明では、上記第1のアンテナ及び上記第2のアンテナを、それぞれ電気長1/4波長より長く、かつ1/2波長以下で形成するものである。
【0016】
また、本発明では、上記第1のアンテナ及び上記第2のアンテナを、それぞれ電気長1/2波長より長く形成するものである。
【0017】
また、本発明では、上記回転手段は、上記第1のアンテナ及び第2のアンテナを上記筐体の主操作表示面に対して直交する面で回転させるものである。
【0018】
また、本発明では、上記回転手段は、上記第1のアンテナ及び第2のアンテナを上記筐体の主操作表示面に対して0°〜90°の間の傾いた面で回転させるものである。
【0019】
また、本発明では、上記回転手段は、上記第1のアンテナ及び第2のアンテナを0°〜180°の範囲で回転させるものである。
【0020】
また、本発明では、上記回転手段は、上記第1のアンテナをその長手方向に移動可能に支持する回転体と、上記筐体に設けられ上記回転体を回転可能に支持するベースと、信号源と接続され上記第1のアンテナが伸長された際その第1アンテナ給電部に接触して給電する給電接触部と、上記第1のアンテナを伸長させた状態で上記回転体が回転した際、上記第1のアンテナ後端に当接する位置に設けられ、上記第1のアンテナの後方への抜けを防止して上記第1のアンテナ給電部と上記給電接触部との接触による上記第1のアンテナへの給電状態を保持する抜止め壁と、から構成されているものである。
【0021】
また、本発明では、上記回転手段は、さらに、上記ベースの表面に設けられた位置決め溝と、上記上記第1のアンテナを伸長させた状態で上記回転体が回転して上記第1のアンテナ後端と上記抜止め壁とが当接した際、バネにより付勢されたボールを上記位置決め溝に押付けて上記回転体の回転位置を固定する回転位置固定機構と、を有するものである。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、この発明の実施の形態を詳述する。
【0036】
実施の形態1.
図1(A)〜(D)は、この発明に係る実施の形態1のアンテナ装置を実装した携帯情報端末を示しており、図1(A)はアンテナ収納時、図1(B)はアンテナ伸長時、図1(C)はアンテナの伸長状態での回転時、図1(D)は図1(C)の状態で当該端末を平置した状態をそれぞれ示している。
また、図2(A)〜(C)は、図1のアンテナ装置の要部の構造を詳細に示しており、図2(A)はアンテナを伸長した場合のアンテナの外観、図2(B)はアンテナを伸長した場合の接続状態を示すための要部断面、図2(C)はアンテナを収納した場合の接続状態をそれぞれ示している。
図中、11は電気長約1/2波長の第2のアンテナとしてのヘリカルアンテナ、12はステンレス等の棒状の金属部材からなる電気長約1/2波長の第1のアンテナとしてのホイップアンテナ、13はヘリカルアンテナ給電部、14はホイップアンテナ給電部、15は給電接触部としてのバネ金具、16は金属性のシャフト、17は固定ナット、18はホイップアンテナ12を収納・伸長自在に支持すると共に回転する回転体、19は筐体、20は高周波信号源、21はLCD画面、22はレシーバ、23はマイク、24は整合回路である。なお、ホイップアンテナ12とヘリカルアンテナ給電部13とは、絶縁体(非金属)12aを介して接続されている。また、ヘリカルアンテナ11は、ホイップアンテナ12の収納時でも筐体19から突出するように設けられている。
【0037】
次に動作について説明する。
まず、図1(B)に示すようなこのアンテナ伸長時には、図2(B)に示すような接続状態になるので、高周波信号源20は整合回路24、シャフト16、バネ金具15を通じてホイップアンテナ給電部14に高周波信号を給電する。このため、ホイップアンテナ12を介して、電波が放射される。その際、ホイップアンテナ12とヘリカルアンテナ給電部13とは絶縁体12aを介して接続されているので、ヘリカルアンテナ11には給電されず、ヘリカルアンテナ11は電波を放射しない。
【0038】
これに対し、アンテナ収納時には、図2(C)に示すように、バネ金具15がヘリカルアンテナ給電部13と絶縁体12に接触し、ホイップアンテナ12とは接触しないので、高周波信号源20は整合回路24、金属シャフト16、バネ金具15を介して、ヘリカルアンテナ給電部13にのみ高周波信号を給電する。このため、アンテナの収納時でも、電気長約1/2波長のヘリカルアンテナ11は、筐体19から突出した状態で電波を放射することになる。
【0039】
このようにヘリカルアンテナ11及びホイップアンテナ12は電気的に接続されておらず、伸長時、収納時それぞれ独立に動作する。
また、この実施の形態1のアンテナ装置は、回転部18を有しているので、このアンテナ装置を備えた携帯情報端末を平置きにしてLCD画面21上で作業する場合でも、図1(D)に示すようにより電波が放射し易いようにホイップアンテナ12を伸長した状態で90°回転させ、ホイップアンテナ12を立てることができる。なお、この実施の形態1では、回転体18の回転軸がLCD画面21等の設けられている主操作表示面(y−z平面)から45°傾いている例を示している。
【0040】
従って、この実施の形態1によるアンテナ装置によれば、伸長させたり回転させて使用するホイップアンテナ12の先端にホイップアンテナ12収納状態では筐体19から突出するヘリカルアンテナ11を設け、そのヘリカルアンテナ11をホイップアンテナ12の収納時に動作させるようにしたので、ホイップアンテナ12収納時でも、筐体19内の回路基板やシールド部材等の金属物に対するアンテナの高さ、すなわちホイップアンテナ12収納時に動作するヘリカルアンテナ11の高さを十分確保することができ、ホイップアンテナ12収納時でも従来よりも高いアンテナ効率を確保できる。
【0041】
また、この実施の形態1によるアンテナ装置では、図1(C),(D)に示すように、筐体19の角部を欠いて主操作表示面であるy−z平面に対し45°の面でホイップアンテナ12が回転できるように回転体18を設けたので、本装置を使用した携帯情報端末を平置き状態で使用するときでも、ホイップアンテナ12を立ててある程度回転させることができ、基地局の垂直偏波成分を有するアンテナに対して、より高いアンテナ利得を確保できると共に、回転体18が筐体19の外へ突出する容積を少なくできる。
【0042】
ここで、この実施の形態1では、ホイップアンテナ12の収納時、上述のようにヘリカルアンテナ11が動作するが、この実施の形態1によれば、従来より、どれくらい放射効率が向上するかを、以下、数式により簡単に説明する。
【0043】
図3に、ヘリカルアンテナ11の構造を示す。
ヘリカルアンテナ11の放射効率ηは、ヘリカルアンテナ11の高さをh、波長をλ、表皮抵抗をRs、ワイヤー半径aを用いて、以下の式で表すことができる。
【0044】
【数2】
Figure 0003674172
【0045】
また図4に、ヘリカルアンテナ11のアンテナ効率を示す。
一般に携帯型無線通信機用のアンテナはフレキシブル性を持たせるためにアンテナエレメントにステンレス材を用いることが多いため、この材質で考え、またヘリカルアンテナ11の高さは形態性等も考慮して外観上約25mm程度とする。すると、図4より、この場合のヘリカルアンテナ11のアンテナ効率は約95%となり、従来のアンテナ装置より約70%(約-1.5dB)もアンテナ効率が高いことがわかる。
なお、上記実施の形態1では、図1等に示すように第1のアンテナであるホイップアンテナ12が筐体19内に収納されるように説明したが、本発明では、必ずしもホイップアンテナ12が筐体19内に収納される必要はなく、図29に示す従来技術のように筐体19の側面に収納されるようにしてもよく、要は、ホイップアンテナ12の収納時でもその先端に設けられた第2のアンテナであるヘリカルアンテナ11が筐体19から上記の通りある程度突出して動作すれば十分である。
【0046】
実施の形態2.
以上説明した実施の形態1では、図2に示すように、ヘリカルアンテナ給電部13とホイップアンテナ11先端とを絶縁体12aを介し接続して、アンテナ伸長時はホイップアンテナ12にのみ給電し、アンテナ収納時はヘリカルアンテナ11にのみ給電するように構成したため、図2(C)に示すようなホイップアンテナ12の収納状態でヘリカルアンテナ11に外力が加わると、回転体18がわずかだけ回転して、ヘリカルアンテナ給電部13とホイップアンテナ12先端との間の絶縁体12aの継ぎ目等に応力の集中することがある。特に、このようなアンテナ装置は、携帯情報端末に使用され、携帯して使用されるのが一般的であるので、携帯時におけるその継ぎ目への応力集中の繰返しによりヘリカルアンテナ11がホイップアンテナ12から外れてしまうおそれがあった。
そこで、この実施の形態2では、このような実施の形態1の欠点がなくなるように改良したものである。
【0047】
図5(A),(B)は、この実施の形態2によるアンテナ装置の要部の構成を示しており、図5(A)はホイップアンテナ12の伸長時、図5(B)はホイップアンテナ収納時の状態で示している。
【0048】
具体的には、ヘリカルアンテナ給電部13aの長さを上記実施の形態1の場合よりも短くする(若しくは、バネ金具15の長さを長くする。)と共に、その径をホイップアンテナ12の径とほぼ同一にして、図5(B)に示すように、ホイップアンテナ12収納時にはバネ金具15がヘリカルアンテナ給電部13aおよびホイップアンテナ12に接触するように構成する。
【0049】
次に動作を説明すると、まず、ホイップアンテナ12の伸長時には、図5(A)に示すように、上記実施の形態1と同様にホイップアンテナ12にのみ信号が給電され、ホイップアンテナ12が動作する。
【0050】
これに対し、ホイップアンテナ12の収納時には、図5(B)に示すように、バネ金具15がヘリカルアンテナ給電部13aおよびホイップアンテナ12に接触するので、ホイップアンテナ55とヘリカルアンテナ11の両方に信号が給電され、ホイップアンテナ55とヘリカルアンテナ11との両方が動作することになる。
また、バネ金具15がヘリカルアンテナ給電部13aおよびホイップアンテナ12に接触するので、図5(B)に示すように、絶縁体12aとホイップアンテナ12との間の切れ目(継ぎ目)がバネ金具15の内側になる。
【0051】
従って、この実施の形態2によれば、ホイップアンテナ12収納時の放射効率の低減を防止できるだけでなく、上述のように絶縁体12aとホイップアンテナ12との間の切れ目(継ぎ目)がバネ金具15の内側になるので、ホイップアンテナ12収納時にヘリカルアンテナ12に外力がかかって、回転体18が回転しても、上記切れ目等に応力が集中することがなくなり、図2(C)等に示す上記実施の形態1の場合と比較してアンテナの強度が増すことになり、携帯に便利になる。
【0052】
実施の形態3.
上述した実施の形態1ではホイップアンテナ及びヘリカルアンテナを電気長が1/2波長になるように形成したが、この実施の形態3では、ホイップアンテナおよびヘリカルアンテナを電気長が1/4波長になるように形成したことを特徴とするものである。
このため、この実施の形態3によれば、ホイップアンテナ12収納時の放射効率の低減を防止できるだけでなく、アンテナのインピーダンスが50Ωに近づくため、実施の形態1で必要であった整合回路24を削除できる。
【0053】
図7(A)〜(C)に、図6のワイヤグリッドモデルでモーメント法によるシミュレーションを行ったときのホイップアンテナの電気長Lの違いによる放射パターンの違いを示す。
図7(A)〜(C)は、それぞれ、電気長Lが1/4λ、3/8λ、1/2λの場合の放射パターンを示しており、この図より、電気長Lが1/4λ、3/8λ、1/2λ、・・・と大きくなっていくと、水平方向の指向性が向上することが分かる。なお、λは波長である。
【0054】
このため、図7(A)〜(C)からは、この筺体の寸法の場合、水平方向に指向性を強くしたいときはホイップアンテナの電気長Lを1/2波長にし、整合回路を削除したいときは1/4波長にするという選択ができることがわかる。
また、ヘリカルアンテナ11やホイップアンテナ12の電気長Lを、1/2波長より長くすれば、上記実施の形態1の場合より、さらに水平方向の指向性を強くすることが可能になることもわかる。
【0055】
実施の形態4.
上述した実施の形態1等では、ステンレス等の金属製のホイップアンテナ12とヘリカルアンテナ11との2つのアンテナが絶縁体12aを介して接続することにより、電気的に接続されていないアンテナの場合を示したが、この実施の形態4では、ホイップアンテナ12およびヘリカルアンテナ11の2つのアンテナを電気的に接続するようにしたことを特徴とするものである。
【0056】
図8に、この実施の形態4のアンテナ装置の構成を示す。
図中、30はホイップアンテナ12収納時にホイップアンテナ給電部14に接触する接触バネ、31はインピーダンス調整回路である。ホイップアンテナ12とヘリカルアンテナ給電部13とは絶縁体を介さずに直接接続されている。なお、上記実施の形態1等のものと同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
【0057】
次に動作を説明する。まず、ホイップアンテナ12伸長時は、図示はしていないが、ホイップアンテナ給電部14がバネ金具15に挟持されるので、高周波信号源20から整合回路24、金属シャフト16およびバネ金具15を介し高周波信号が給電されて、ホイップアンテナ12およびヘリカルアンテナ11が動作する。その際、整合回路24の定数は、ホイップアンテナ12伸長時のインピーダンスの整合に合わせた定数に予め設定されている。
【0058】
これに対し、ホイップアンテナ12が収納されると、ヘリカルアンテナ給電部13がバネ金具15と接触すると共に、ホイップアンテナ給電部14が接触バネ30に接触することになる。このため、整合回路24がホイップアンテナ12伸長時のインピーダンス整合に合わせた定数のままでも、ホイップアンテナ12収納時のインピーダンスはインピーダンス調整回路31により整合を取ることが可能になり、このインピーダンス調整回路31でアンテナのインピーダンスを調整することにより、放射効率の低減を防止する。
【0059】
従って、この実施の形態4によれば、ホイップアンテナ12収納時の放射効率の低減を防止できるだけでなく、接触ばね30およびインピーダンス調整回路31新たに設けると共に、ホイップアンテナ12とヘリカルアンテナ11とを絶縁体12aを介し接続せずに直接接続するようにしたので、この2つのアンテナの接続部分の強度が上記実施の形態1等の場合よりも強くなり、ホイップアンテナ12の収納時および伸長時でも放射効率を減衰させずにアンテナ接続部分の強度を強くすることができる。
【0060】
実施の形態5.
図9(A)〜(D)は、この発明に係る実施の形態4のアンテナ装置を実装した携帯情報端末を示しており、図9(A)はホイップアンテナ12の伸長状態、図9(B)は当該端末の平置状態でホイップアンテナ12を回転させた状態、図9(C)は平置状態の当該端末を側面から見た状態、図9(D)は図9(C)の状態からホイップアンテナ12を 180°回転させた状態で示している。
図において、40はホイップアンテナ12が下方へ下げられた際に収納されるアンテナ収納部である。また、上述した実施の形態1等では回転軸角度をy−z面である主操作表示面に対して45°傾けた場合を示したが、この実施の形態5では、この図に示すように主操作表示面であるy−z面に対し直交する面で回転するように筐体19の側面に回転体18を取り付ける。なお、この実施の形態5におけるヘリカルアンテナ11やホイップアンテナ12への給電方法や両アンテナの構成は、上記実施の形態1〜4と同様である。
【0061】
このため、上記実施の形態1等では、回転角が90°までであったが、この実施の形態5の場合、回転体18が筐体19の側面に設けられているので、ホイップアンテナ12は0°から 180°近くまで回転できることになる。なお、図9(C)は回転角0°、図9(D)は回転角を 180°にしたときの状態を示している。
【0062】
従って、この実施の形態5によれば、ホイップアンテナ12収納時の放射効率の低減を防止できるだけでなく、端末の平置き時にホイップアンテナ12を垂直に立てることができ、実施の形態1〜4の場合より垂直偏波に対してより高いアンテナ利得を得ることが可能になる。また、ホイップアンテナ12の回転角を0〜 180°近くまで設定できることにより、回転角の自由度が広がる。
【0063】
実施の形態6.
図10に、この発明の実施の形態6のアンテナ装置の構造を示す。
図において45は第2のアンテナとしてのメアンダラインアンテナ(ジグザグアンテナ)、46はメアンダラインアンテナ給電部、47は第1のアンテナとしての板状アンテナ、48は板状アンテナ給電部である。板状アンテナ47は、その構造上、板の前後方向には曲がり易い一方、横方向には曲がりにくい構成となるので、図に示すようにメアンダラインアンテナ45および板状アンテナ47が横方向へ回転するように回転体18に取り付けるようにする。なお、この実施の形態6におけるメアンダラインアンテナ45や、板状アンテナ47への給電方法等は、上記実施の形態1〜5と同様である。
【0064】
従って、この実施の形態6によれば、第1のアンテナである板状アンテナ47収納時の放射効率の低減を防止できるだけでなく、メアンダラインアンテナ45と板状アンテナ47とを使うことにより、アンテナ全体を平面状に薄く構成できると共に、このように薄く構成しても図10に示すように回転体18の回転方向にはアンテナ素子自体が曲がりにくくしているので、板状アンテナ47を持って回転させる時に応力を回転体18に伝えやすく、スムーズにアンテナを回転させることができることになる。
【0065】
実施の形態7.
図11(A),(B)に、この発明の実施の形態7のアンテナ装置の構造を示す。
図11(A)において、50は第1のアンテナとしてのメアンダラインアンテナ、51はメアンダラインアンテナ給電部である。また、図10(B)において、52は第1のアンテナとしてのヘリカルアンテナ、53はヘリカルアンテナ給電部である。なお、この実施の形態7におけるメアンダラインアンテナ45やヘリカルアンテナ52等への給電方法は、上記実施の形態1〜5等と同様である。
【0066】
従って、この実施の形態7によれば、伸長時に動作させる第1のアンテナ収納時の放射効率の低減を防止できるだけでなく、その第1のアンテナをメアンダラインアンテナ45あるいはヘリカルアンテナ52で構成したので、さらにアンテナ全体の高さを低くでき、アンテナ装置を小型化することが可能になり、携帯に便利になる。
【0067】
実施の形態8.
上述の実施の形態1のアンテナ装置では、ホイップアンテナ12を伸長させて90°回転させた場合、図12(B),(D)に示すように、ホイップアンテナ12が矢印Aの方向に抜け、ホイップアンテナ12後端のホイップアンテナ給電部14とバネ金具15との接続が外れてしまい、ホイップアンテナ12等へ電流が供給されなくなってしまうおそれがあった。なお、図12(A),(C)はアンテナ収納時にこのアンテナ装置等を上または横から見た図、図12(B),(D)はアンテナ伸長・回転時にアンテナ装置等を上または横から見た図である。そこで、この実施の形態8では、ホイップアンテナ12を伸長させて90°回転させた時に、ホイップアンテナ12後端に当接する抜止め壁を回転体18のベース上に設けたことを特徴とする。
【0068】
図13(A)〜(C)は、この実施の形態8のアンテナ装置の構成を示しており、図13(A)は、アンテナを収納した時のアンテナ装置を横から見た状態、図13(B)はアンテナを伸長して90°回転した時に同様に横から見た状態、図13(C)は図13(A)においてX1−X2線により切断した場合の断面で示している。
図13において、71はホイップアンテナ12を移動可能に支持すると共に、裏面側に位置決め溝71aおよびその位置決め溝71aより深さの浅いボール案内溝71b(図示せず。)が形成された回転体、72は回転体71のベース、72aベース71上に立設して形成された抜止め壁、73はバネ73aとボール73bとからなる回転位置固定機構である。なお、この実施の形態8におけるヘリカルアンテナ11やホイップアンテナ12への給電方法等図示していない構成は、上記実施の形態と同様である。
【0069】
次に動作を説明する。まず、アンテナ収納時は、図13(A)に示すように、回転体71のベース72上の抜止め壁71aがホイップアンテナ12の邪魔にならない位置にあるため、ホイップアンテナ12はB方向に移動自在で筐体19内に収納されている。
一方、図13(A)に示す状態からホイップアンテナ12を伸長させて回転体71を矢印A方向に90°回転させた場合には、図13(B)に示すように、回転体71が抜止め壁72aに当接すると共に、回転体71下面の位置決め溝71aに回転位置固定機構73のボール73bがはまって、回転体71の回転が止まる。また、その際、回転体71のベース72上の抜止め壁40によってホイップアンテナ12後端のホイップアンテナ給電部14が当接して、ホイップアンテナ12等が矢印B方向には抜けない状態になる。
【0070】
従って、この実施の形態8のアンテナ装置によれば、第1のアンテナであるホイップアンテナ12収納時の放射効率の低減を防止できるだけでなく、ホイップアンテナ12を伸長させて90°回転させた場合でも、ホイップアンテナ12の後方への抜けを防止して、ホイップアンテナ給電部14とバネ金具15との接続状態を保持することができ、ホイップアンテナ12への給電状態を確実にすることができる。
【0071】
図14は、この実施の形態8の他の構成例を示しており、それぞれ、図14(A)はアンテナを収納した時のアンテナ装置を横から見た状態、図14(B)はアンテナを伸長して90°回転した時に同様に横から見た状態、図14(C)は図14(A)においてベース76のみをX1−X2線により切断した場合の断面を示している。
図14において、75はホイップアンテナ12を移動可能に支持すると共に、側面側に位置決め溝75aおよびその位置決め溝75aより浅いボール案内溝75bが形成された回転体、76は抜止め壁76aが設けられた回転体75のベース、77は抜止め壁76aに設けられたバネ77aおよびボール77bからなる回転位置固定機構である。
このため、この図14に示す構成の場合も同様に、アンテナの伸長・回転時には、図14(B)に示すように、回転位置固定機構77のボール77bが回転体75側面の位置決め溝75aにはまリ、回転体71の回転が止められると共に、ホイップアンテナ12後端のホイップアンテナ給電部14がベース76上の抜止め壁76aに当接する。
【0072】
従って、この図14に示す構成の場合も、ホイップアンテナ12の抜けが止められ、ホイップアンテナ給電部14とバネ金具15との接続状態を保持することができ、ホイップアンテナ12への給電状態を確実にすることができる。
また、この図14に示す他の構成例の場合は、上述の図13の場合とは異なり、ベース76の抜止め壁76aの部分に回転位置固定機構77を構成するバネ77aおよびボール77bを埋込むような構成にしたため、回転体75の容積を小さくできると共に、回転体75の回転角度を大きくすることが可能になる。
【0073】
実施の形態9.
図15(A)〜(C)は、この実施の形態9のアンテナ装置を実装した携帯情報端末を示している。また、図16(A)〜(C)及び図17(A)〜(C)は、それぞれ、図15のアンテナ装置の各要部の構造を示す。
図中、55はホイップアンテナ上側部材55aおよびホイップアンテナ下側部材55bからなり折曲部56を有する第1のアンテナとしてのホイップアンテナ、56aは折曲部56を構成するシャフト、58はホイップアンテナ55をその軸方向に回転可能に支持する支持手段としてのバネ金具である。なお、図中、上記実施の形態1〜8のものと同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
【0074】
次に動作について説明する。まず、ホイップアンテナ55の伸長時は、図16(B)に示すような接続状態になり、高周波信号源20が整合回路24、バネ金具58を通じてホイップアンテナ給電部14に高周波信号を給電するので、ホイップアンテナ上側部材55a及びホイップアンテナ下側部材55bを介して電波が放射される。
【0075】
これに対し、ホイップアンテナ55の収納時は、図16(C)に示すように高周波信号源20が整合回路24、バネ金具58を通じてヘリカルアンテナ給電部13に給電するので、電気長約1/2波長のヘリカルアンテナ11を介して電波が放射されることになる。
つまり、ヘリカルアンテナ11とホイップアンテナ上側部材55aとの間には、上記実施の形態1のように絶縁体12aが挿入されて電気的に接続されていないので、ヘリカルアンテナ11とホイップアンテナ12とは収納時と伸長時とでそれぞれ独立に動作することになる。
【0076】
そして、この実施の形態9のアンテナ装置では、ホイップアンテナ12はホイップアンテナ上側部材55aとホイップアンテナ下側部材55bをシャフト56aで接合して折曲部56を設けているので、ホイップアンテナ55をz軸に対し少なくとも0°〜90°等迄の範囲内で任意に折曲げることができる。
また、それと同時に、ホイップアンテナ下側部材55bは、支持手段としてのバネ金具15により挟持されており、その軸方向、すなわちz軸方向に伸長可能で、かつ、z軸を回転軸として回転可能に保持されている。
【0077】
このため、バネ金具15とホイップアンテナ55の折曲部56とを併用することにより、ホイップアンテナ上側部材55aは半球状に回転することができ、ホイップアンテナ上側部材55aの向きは、z成分が0または正である任意のベクトルの向きに合せることが可能になる。
【0078】
従って、この実施の形態9によれば、ホイップアンテナ55収納時の放射効率の低減を防止できるだけでなく、上記実施の形態1〜8で必要であった回転体18が不要になり、アンテナ回転部の構造が単純になるため、アンテナ装置の容積を小さくすることができる。
また、この実施の形態9によれば、ホイップアンテナ55に折曲部56を設けることにより、回転の自由度が増し、より広範囲な偏波角度に対して充分なアンテナ利得が得られる。尚、この折曲部56はホイップアンテナ上側部材55aとホイップアンテナ下側部材55bをシャフト56aで接合するだけの単純な機構で実現可能である。
また、バネ金具15は、図17(C)に示すような板バネ等を用いることにより、簡素に実現することができる。
【0079】
実施の形態10.
上述した実施の形態9では、ホイップアンテナ55の折曲部56をホイップアンテナ上側部材55aとホイップアンテナ下側部材55bをシャフト56aで接合することにより形成したが、この実施の形態10では、フレキシブルアームを用いて折曲部56を形成したことを特徴とするものである。
【0080】
図18(A)〜(D)に、この実施の形態10の構成を示す。具体的には、図18において、図18(A)と図18(B)はホイップアンテナ上側部材55aとホイップアンテナ下側部材55bの接合部付近だけにフレキシブルアーム56bを設けて折曲部56を構成したものであり、図18(C)と図18(D)とはホイップアンテナ55のほぼ全体をフレキシブルアーム56bで構成することによりホイップアンテナ55の任意の箇所に折曲部56を形成できるように構成したものである。なお、この実施の形態10におけるホイップアンテナ55への給電方法等図示していない構成は、上記実施の形態と同様である。
【0081】
従って、この実施の形態10によれば、上記実施の形態10と同様の効果が得られるだけでなく、折曲部56の機構を簡素化することができる。また、フレキシブルアーム56bは、元来弾力性に富み、衝撃等に強いため、ホイップアンテナ55が折れにくくなると共に、ホイップアンテナ55の回転や折曲がスムーズになり、使い勝手が良くなる。
【0082】
実施の形態11.
上述した実施の形態1〜10では、第1のアンテナであるホイップアンテナ等の先端に、第2のアンテナであるヘリカルアンテナ等を設けて説明したが、この実施の形態11では、第2のアンテナであるヘリカルアンテナ等を筐体19に固定することを特徴とするものである。
【0083】
図19(A)〜(C)に、それぞれ、アンテナ収納時、伸長時および折曲・回転時におけるこの実施の形態11のアンテナ装置を実装した携帯情報端末を示す。また、図20(A)〜(C)は、それぞれ、この実施の形態12の要部を各方向から見た場合を示している。
図において、57は筐体19の上面に固定されたヘリカルアンテナで、その中央を折曲部56を有する上記実施の形態8等で説明したホイップアンテナ55が貫通し筐体19に収納・伸長自在となるように構成されている。なお、図中、上記実施の形態1〜10のものと同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
【0084】
次に動作を説明すると、この実施の形態11では、ヘリカルアンテナ57は筐体19上面に固定され、図19(A)〜(C)に示すように、ホイップアンテナ55の収納時、伸長時、および折曲・回転時のいずれの場合も筐体19上面から突出した状態にあるので、必ずヘリカルアンテナ57はその突出状態で動作することになる。
従って、この実施の形態11によっても、上記実施の形態8等と同等に、ホイップアンテナ55収納時の放射効率の低減を防止できるだけでなく、上記実施の形態1〜8では必要であった回転体18が不要になり、アンテナ回転部の構造が単純になるため、アンテナ装置の容積を小さくすることができる。
【0085】
また、この実施の形態11では、ヘリカルアンテナ57を筐体19に固定するようにしたので、ホイップアンテナ55先端の容積や重量を軽減することができ、その結果、アンテナの機構的な強度が増し、壊れにくくなる。
【0086】
さらに、筐体19に固定したヘリカルアンテナ57を、図20に示すようにゴムや軟かい樹脂等の弾性体59で覆うことによって、ヘリカルアンテナ57等への衝撃を緩和することができる。さらに、弾性体59に突起部59aを設けることにより、本装置の落下時に折曲部56への直接の衝撃を避けることができる。
【0087】
ところで、第2のアンテナであるヘリカルアンテナ57を筐体19に固定したこの実施の形態11の場合の給電方法としては、次に示す2種類考えられる。
図21(A)〜(D)に、この実施の形態11における2種類の給電方法を示す。
図21(A)〜(D)において、14aはアンテナ伸長時のホイップアンテナ給電部、14bはアンテナ収納時のホイップアンテナ給電部、55c(斜線部分)は非金属からなる絶縁体である。
【0088】
まず、図21(A),(B)は、ホイップアンテナ55の収納時および伸長時共に、ヘリカルアンテナ11およびホイップアンテナ55の両方に給電する場合を示している。
この給電方法の場合、ホイップアンテナ55の収納時は、図21(A)に示すように、高周波信号源20がヘリカルアンテナ11だけでなく、バネ金具58およびホイップアンテナ給電部14aを介してホイップアンテナ55にも給電する。
これに対し、アンテナ伸長時は、高周波信号源20がヘリカルアンテナ11だけでなく、バネ金具58およびホイップアンテナ給電部14Bを介してホイップアンテナ55に給電される。
なお、アンテナ伸長時にヘリカルアンテナ11に給電することに対する影響は、ホイップアンテナ55の長さで調整するようにする。また、アンテナ収納時にホイップアンテナ55に給電することによって放射パターンに多少影響するが、この場合も給電しない場合に比べて筐体19内等のホイップアンテナ55の長さを短くする等のホイップアンテナ55の長さで調整するようにすれば、それほど問題はない。
【0089】
次に、図21(C),(D)は、ホイップアンテナ55の収納時にはヘリカルアンテナ11のみに給電し、ホイップアンテナ55の伸長時にはヘリカルアンテナ11及びホイップアンテナ5に共に給電する場合を示しており、ホイップアンテナ55先端にヘリカルアンテナ57の高さより少し長い絶縁体55cを設けるようにする。
この場合、ホイップアンテナ55の収納時には、図21(C)に示すように、バネ金具58が絶縁体55cと接触するので、ホイップアンテナ55には給電されず、ヘリカルアンテナ57にのみ給電されるので、ホイップアンテナ55収納時の放射パターンは良好になる。
【0090】
ただし、この給電方法の場合、機構上、ホイップアンテナ55の収納時、ホイップアンテナ55に給電されないようにするため、ホイップアンテナ55先端の絶縁体55cの長さをヘリカルアンテナ57より長くする必要があるので、アンテナ収納時ホイップアンテナ55にも給電する図21(A)、(B)に示す場合と比べて、ホイップアンテナ55の長さを絶縁体55cの分だけ長くする必要がある。
【0091】
なお、図21(A),(C)に示す両給電方法共に、ホイップアンテナ55収納時は、ホイップアンテナ55を引き出せるようにするため、ホイップアンテナ55先端がヘリカルアンテナ57から突出するようにしておく必要がある。このため、ホイップアンテナ給電部14aを設けずに、ホイップアンテナ55の伸長時にホイップアンテナ55に給電することも可能である。
つまり、ホイップアンテナ給電部14aを設けない場合でも、ホイップアンテナ55の収納時、図21(B),(D)に示すように、ヘリカルアンテナ57に給電され、ヘリカルアンテナ57から電波が放射されていれば、ヘリカルアンテナ57によりホイップアンテナ55に電流が誘起され、ホイップアンテナ55及びヘリカルアンテナ11の両方から電波が放射されるからである。なお、ホイップアンテナ給電部14aを設けて、ホイップアンテナ55伸長時にホイップアンテナ55に給電する場合、およびホイップアンテナ給電部14aを設けずに、ホイップアンテナ55伸長時にホイップアンテナ55に給電しない場合とを比較しても、特性上の差は余り無い。
【0092】
従って、この実施の形態11によれば、上記実施の形態8等と同様に、ホイップアンテナ55収納時の放射効率の低減を防止できるだけでなく、上記実施の形態1〜8で必要であった回転体18が不要になり、アンテナ回転部の構造が単純になるため、アンテナ装置の容積を小さくすることができる。
【0093】
実施の形態12.
上述した実施の形態1〜実施の形態11では、第2のアンテナであるヘリカルアンテナ等を、第1のアンテナであるホイップアンテナ等の先端や筐体19上面の筐体外部に設けて説明したが、この実施の形態12では、その第2のアンテナを筐体19内部に設けるようにしたことを特徴とするものである。
【0094】
図22(A)〜(C)に、それぞれ、アンテナ収納時、伸長時および折曲・回転時におけるこの実施の形態12のアンテナ装置を実装した携帯情報端末を示す。
図22において、62は筐体19内でその内部回路基板60等の内部金属物と重ならない位置にアンテナ高さ(開口幅)hの開口部が設けられたノッチアンテナ、63はホイップアンテナ55の収納時にホイップアンテナ55を筐体19から少し突出させて固定するためのアンテナ支持手段、64はノッチアンテナ62とホイップアンテナ55との電磁結合部である。
つまり、この実施の形態12のアンテナ装置では、ホイップアンテナ先端や筐体19上面に設けていたヘリカルアンテナ等の代りに、筐体19内部にノッチアンテナ62を設け、ホイップアンテナ55と電磁結合させることを特徴とするものである。なお、この実施の形態12の場合も、上記実施の形態8等の場合と同様に、ホイップアンテナ55に折曲部56が設けられている。
【0095】
次に動作について説明する。この実施の形態12では、ホイップアンテナ55の収納時及び伸長時共に高周波信号源20がノッチアンテナ62に給電しているが、ノッチアンテナ62に給電すると、ノッチアンテナ62の開放端付近、即ち電磁結合部64でノッチアンテナ62がホイップアンテナ55と電磁結合することになる。
すると、ホイップアンテナ55に電流が誘起され、ホイップアンテナ55の表面を電流が流れることにより、ホイップアンテナ55からも電波が放射されることになる。
【0096】
その際、ノッチアンテナ62は、筐体19内でその内部回路基板60等の内部金属物と重ならない位置にアンテナ高さ(開口幅)hのアンテナを構成する開口部が設けられており、アンテナ高さhを十分に取ることが可能であるため、ホイップアンテナ55収納時でも、ノッチアンテナ62により十分な放射効率を得ることができる。
【0097】
また、インピーダンス整合はノッチアンテナ62で一般的にアンテナに用いられる値の略50Ωに取れるようにしてある。
このため、この実施の形態12では、上記実施の形態1等では必要であった整合回路を不要にすることができる。なお、ホイップアンテナ55とノッチアンテナ62との電磁結合によるインピーダンスのずれは小さいので、多少のずれはノッチの長さ或はホイップアンテナ55の長さで調整するようにすれば問題はない。
【0098】
図23(A),(B)に、それぞれ、この実施の形態12によるアンテナ装置におけるホイップアンテナ55収納時および伸長時の実際の試験結果を示す。
この図23(A),(B)からも明らかなように、ホイップアンテナ55を収納しても、その収納時と伸長時とで共振点は余り変化しないことが分かる。
その結果、ホイップアンテナ55収納時と伸長時とで整合回路を変える必要が無く、ノッチアンテナ62でインピーダンス整合をとっておけば整合回路が不要になることがわかる。
また、ホイップアンテナ55の収納時でもそのホイップアンテナ55を筐体19の上面から20〜25mm程度突出させることにより、ある程度充分な放射を得ることができる。
【0099】
従って、この実施の形態12によれば、ホイップアンテナ55収納時の放射効率の低減を防止できるだけでなく、上記実施の形態1〜8で必要であった回転体18が不要になり、アンテナ回転部の構造が単純になるため、アンテナ装置の容積を小さくすることができる。
【0100】
また、この実施の形態12によれば、筐体19内のノッチアンテナ62により、ホイップアンテナ55収納時の放射効率の低減を防止できるだけでなく、ノッチアンテナ62とホイップアンテナ55とを電磁結合(無接点給電)することにより、伸長用のアンテナであるホイップアンテナ55の構造が簡単になると共に、ヘリカルアンテナや整合回路が不要になることから、低価格のアンテナ装置を提供することができる。
【0101】
また、この実施の形態12によれば、筐体19内のノッチアンテナ62により、ホイップアンテナ55収納時の放射効率の低減を防止できるだけでなく、ノッチアンテナ62とホイップアンテナ55とを電磁結合(無接点給電)することにより、伸長用のアンテナであるホイップアンテナ55の構造が簡単になると共に、ヘリカルアンテナや整合回路が不要になることから、低価格のアンテナ装置を提供することができる。
さらに、この実施の形態12では、第2のアンテナであるノッチアンテナ62を内蔵するようにしたので、ホイップアンテナ55の収納時に筐体19外部に第2のアンテナが出っ張らなくなり、携帯性やデザイン性が向上する。
【0102】
実施の形態13.
上述した実施の形態12では、筐体19内にノッチアンテナ62を用いて説明したが、この実施の形態13では、ノッチアンテナ62の代わりにスロットアンテナを設けたことを特徴とするものである。
【0103】
図24(A),(B)は、この実施の形態13のスロットアンテナ66の構造等を示しており、図25(A)〜(C)は、それぞれ、アンテナ収納時、伸長時および折曲・回転時におけるこの実施の形態13のアンテナ装置を実装した携帯情報端末を示している。
具体的に説明すると、通常にスロットアンテナを構成したのでは、この実施の形態13では、図24(A)に示すようにスロットアンテナが大きくなるため、図21(A)の破線65aの箇所で折曲げるか或は切断して、その後図21(B)に示すように導電体66を用いて数箇所を接続した表裏両面を用いたアンテナ高さhのスロットアンテナ65を上記実施の形態12のノッチアンテナ62と同じスペースで実現できることになる。
【0104】
このため、一般にノッチアンテナ62よりもスロットアンテナ65の方が広帯域となるため、同一スペースでも、上記実施の形態12の場合より、実施の形態13のほうが整合が取り易くなるという効果がある。
【0105】
従って、この実施の形態13によれば、上記実施の形態12と同様に、ホイップアンテナ55収納時の放射効率の低減を防止できるだけでなく、上記実施の形態1〜8で必要であった回転体18が不要になり、アンテナ回転部の構造が単純になるため、アンテナ装置の容積を小さくすることができると共に、ノッチアンテナ62とホイップアンテナ55とを電磁結合(無接点給電)することにより、伸長用のアンテナであるホイップアンテナ55の構造が簡単になると共に、ヘリカルアンテナや整合回路が不要になることから、低価格のアンテナ装置を提供することができる。
また、上記実施の形態12の場合と同様に第2のアンテナであるスロットアンテナ65を内蔵するようにしたので、ホイップアンテナ55の収納時に筐体19外部に第2のアンテナが出っ張らなくなり、携帯性やデザイン性が向上する。
【0106】
実施の形態14.
上記実施の形態11では、ヘリカルアンテナ11を筐体19に固定し、アンテナ伸長時にはホイップアンテナ55を用いるように説明したが、筐体19上部に空間がある場合、即ち筐体19と内部回路基板(金属)との距離が確保できる場合は、筐体19に固定するヘリカルアンテナ11の代りに、その筐体19内の内部回路基板60との間の空間に内蔵アンテナを設けるようにしても良い。
そこで、この実施の形態14では、筐体19内の筐体19上側面と内部回路基板60との間の空間に内蔵アンテナとしてメアンダラインアンテナを設けたことを特徴とするものである。
【0107】
図26は、内蔵アンテナとしてメアンダラインアンテナ81を用いたこの実施の形態14の構造を示す。
この実施の形態14の場合の給電方法も、上記実施の形態10の場合と同様で、図26(A)に示すようにアンテナ収納時はホイップアンテナ55およびメアンダラインアンテナ81共に給電してもよいし、図26(C)に示すようにメアンダラインアンテナ81にのみ給電するようにしてもよい。そして、両場合とも、図26(B)に示すように、アンテナ伸長時はホイップアンテナ55およびメアンダラインアンテナ81に給電するようにする。
【0108】
従って、この実施の形態14によれば、一般的にはメアンダラインアンテナ81はヘリカルアンテナ11に比べて安価に実現することできるので、上記実施の形態11の場合より製造コストを低減できると共に、内部アンテナにすることによって構造を強化することができる。さらに、ヘリカルアンテナ11等が筐体19外部に設けられていないので、デザイン上もシンプルにすることができる。
【0109】
実施の形態15.
上記実施の形態14では、ヘリカルアンテナ11の代りに内蔵アンテナとしてメアンダラインアンテナ81を用いて説明したが、一般的に短いアンテナはキャパシタンスとリアクタンスとで実現することができるので、この実施の形態15では、内蔵アンテナをキャパシタンスとリアクタンスとで構成するようにしたことを特徴とするものである。なお、この実施の形態15は、回転体を使用せずにホイップアンテナに折曲部を使用した上記実施の形態8等の構造にも適用可能であるが、実施の形態1等のようにホイップアンテナに折曲部を設けずに回転体を使用した例で説明する。
【0110】
図27(A),(B)に、この実施の形態15の構造を示す。
図27において、82は高周波信号源20と接続されたリアクタンス素子、83はホイップアンテナ12を絶縁状態で支持すると共に回転してホイップアンテナ12を回転させる金属製の回転体である。なお、ホイップアンテナ12はその収納時でも筐体19から先端が突出するように設ける。
【0111】
次に動作について説明する。まず、ホイップアンテナ12の収納時は、図27(A)に示すように、高周波信号源20がリアクタンス素子82を経由して金属で作られた回転体83に高周波信号を給電する。ここで、この回転体83の中をホイップアンテナ12が移動するが、ホイップアンテナ12と回転体83は電気的な接点を持たないので、リアクタンス素子82に給電されると、電磁結合によりホイップアンテナ12に電流が誘起されて、金属製の回転体83とホイップアンテナ12先端との間にキャパシタンスが形成されるので、ホイップアンテナ12がLC共振して、ホイップアンテナ12収納時でも電波を発振することになる。
【0112】
従って、この実施の形態15によれば、ホイップアンテナ55収納時の放射効率の低減を防止できるだけでなく、筐体19内にリアクタンス素子82を設けることにより、第2のアンテナであるヘリカルアンテナ11やメアンダラインアンテナ81等が不要となるので、アンテナ装置を安価に実現できることになる。
【0113】
実施の形態16.
上記実施の形態1〜15では、第1のアンテナ収納時に動作するヘリカルアンテナ11等の第2のアンテナを設けることにより、第1のアンテナ収納時でも放射効率の低減を防止できるように構成したものであるが、この実施の形態16では、第1のアンテナ収納時にインピーダンス整合をとることにより(従来技術では、上述のようにアンテナ伸長時でのみインピーダンス整合をとっており、収納時ではインピーダンス整合をとっていなかった。)、第1のアンテナ収納の放射効率の減衰を防止するように構成したものである。
【0114】
図28(A)、(B)に、この実施の形態16の構造を示す。
図中、55は上記実施の形態8と同様な折曲部56を有するホイップアンテナで、その収納時及び伸長時でも高周波信号源20から給電されて動作するように構成されている。また、84はGNDに接地され、ホイップアンテナ55の収納時に当該ホイップアンテナ55に接触してインピーダンス整合を取るインピーダンス整合部である。このため、このインピーダンス整合部84は、ホイップアンテナ55の収納時にインピーダンス整合が取れるようなホイップアンテナ55上の位置に接触するように設けられている。
【0115】
次に動作を説明すると、この実施の形態16では、ホイップアンテナ55の伸長時には、図28(B)に示すようにホイップアンテナ55に給電して、ホイップアンテナ55が電波を放射する。また、ホイップアンテナ55の収納時でも、図28(A)に示すようにホイップアンテナ55に給電されているので放射するが、その際、ホイップアンテナ55の途中にインピーダンス整合部83が接触して、ホイップアンテナ55をGND46にショートさせるので、インピーダンス整合を取ることが可能になる。
【0116】
従って、この実施の形態16によれば、第1のアンテナであるホイップアンテナ55収納時に動作する第2のアンテナが設けられていないが、ホイップアンテナ55収納時にインピーダンス整合がとれるため、そのインピーダンス整合によりホイップアンテナ55収納時の放射効率がその分だけ向上すると共に、ヘリカルアンテナ11やメアンダラインアンテナ81等が不要となり、アンテナ装置を安価に実現できることになる。
【0117】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、携帯型無線通信機の筐体に収納されると共に当該筐体から伸長され少なくともその伸長状態で動作する第1のアンテナと、上記第1のアンテナ先端に設けられ上記第1のアンテナの収納状態では上記筐体より突出し少なくとも上記第1のアンテナの収納状態で動作する第2のアンテナと、信号源と接続された給電接触部と、を備え、上記第1のアンテナ先端と上記第2のアンテナ後端の第2アンテナ給電部とは絶縁して接続され上記第1のアンテナの収納時には上記給電接触部が上記第1のアンテナ先端と上記第2アンテナ給電部に接触して上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナに給電し上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナを動作させる一方、上記第1のアンテナの伸長時には上記給電接触部が上記第1のアンテナに接触して上記第1のアンテナにのみ給電し上記第1のアンテナのみを動作させるものなので、第1のアンテナ収納時でも、筐体内の回路基板やシールド部材等の金属物に対するアンテナの高さ、すなわち第1のアンテナ収納時に動作する第2のアンテナの高さを十分確保することができる。
このため、第1のアンテナ収納時でも従来よりも高いアンテナ効率を確保できると共に、平置き状態でもアンテナを立てることにより基地局の垂直偏波成分を有するアンテナに対して、より高いアンテナ効率を確保することができ、携帯型無線通信機の筐体に収納され、かつ伸長されるアンテナを伸長時に回転させる場合に、収納時でもアンテナ効率を向上できるアンテナ装置を実現できることになる。また、第1のアンテナと第2のアンテナとを電気的に絶縁によりアンテナ収納時も従来よりも高いアンテナ効率を確保でき、収納時でも効率のよいアンテナ装置を実現できると共に、バネ金具により第1のアンテナ収納時の当該第1のアンテナの強度を向上させることができることになる。
【0118】
また次の発明によれば、携帯型無線通信機の筐体に収納されると共に当該筐体から伸長され少なくともその伸長状態で動作する第1のアンテナと、上記第1のアンテナ先端に設けられ上記第1のアンテナの収納状態では上記筐体より突出し少なくとも上記第1のアンテナの収納状態で動作する第2のアンテナと、上記筐体に設けられ上記第1のアンテナを支持すると共に回転して上記第1のアンテナ及び第2のアンテナを回転させる回転手段と、を備え、上記回転手段は信号源と接続された給電接触部を有し、上記第1のアンテナ先端と上記第2のアンテナ後端の第2アンテナ給電部とは絶縁して接続され、上記第1のアンテナの収納時には上記給電接触部が上記第1のアンテナ先端と上記第2アンテナ給電部に接触して上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナに給電し上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナを動作させる一方、上記第1のアンテナの伸長時には上記給電接触部が上記第1のアンテナに接触して上記第1のアンテナにのみ給電し上記第1のアンテナのみを動作させるので、第1のアンテナ収納時でも、筐体内の回路基板やシールド部材等の金属物に対するアンテナの高さ、すなわち第1のアンテナ収納時に動作する第2のアンテナの高さを十分確保することができる。
このため、第1のアンテナ収納時でも従来よりも高いアンテナ効率を確保できると共に、平置き状態でもアンテナを立てることにより基地局の垂直偏波成分を有するアンテナに対して、より高いアンテナ効率を確保することができ、携帯型無線通信機の筐体に収納され、かつ伸長されるアンテナを伸長時に回転させる場合に、収納時でもアンテナ効率を向上できるアンテナ装置を実現できることになる。また、第1のアンテナと第2のアンテナとを電気的に絶縁によりアンテナ収納時も従来よりも高いアンテナ効率を確保でき、収納時でも効率のよいアンテナ装置を実現できると共に、バネ金具により第1のアンテナ収納時の当該第1のアンテナの強度を向上させることができる。
【0119】
また次の発明によれば、携帯型無線通信機の筐体に収納されると共に当該筐体から伸長され少なくともその伸長状態で動作する第1のアンテナと、上記第1のアンテナ先端に設けられ上記第1のアンテナの収納状態では上記筐体より突出し少なくとも上記第1のアンテナの収納状態で動作する第2のアンテナと、上記筐体に設けられ上記第1のアンテナを支持すると共に回転して上記第1のアンテナ及び第2のアンテナを回転させる回転手段と、を備え、上記第1のアンテナは棒状金属からなり、その第1のアンテナ先端と上記第2のアンテナ後端の第2アンテナ給電部とを絶縁体を介し接続すると共に、上記回転手段は信号源と接続された給電接触部を有し、上記第1のアンテナの収納時には上記給電接触部が上記絶縁体近傍の上記第1のアンテナ先端と上記第2アンテナ給電部に接触して上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナに給電し上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナを動作させる一方、上記第1のアンテナの伸長時には上記給電接触部が上記第1のアンテナに接触して上記第1のアンテナにのみ給電し上記第1のアンテナのみを動作させるので、第1のアンテナ収納時でも、筐体内の回路基板やシールド部材等の金属物に対するアンテナの高さ、すなわち第1のアンテナ収納時に動作する第2のアンテナの高さを十分確保することができる。
このため、第1のアンテナ収納時でも従来よりも高いアンテナ効率を確保できると共に、平置き状態でもアンテナを立てることにより基地局の垂直偏波成分を有するアンテナに対して、より高いアンテナ効率を確保することができ、携帯型無線通信機の筐体に収納され、かつ伸長されるアンテナを伸長時に回転させる場合に、収納時でもアンテナ効率を向上できるアンテナ装置を実現できることになる。また、第1のアンテナと第2のアンテナとを電気的に絶縁によりアンテナ収納時も従来よりも高いアンテナ効率を確保でき、収納時でも効率のよいアンテナ装置を実現できると共に、バネ金具により第1のアンテナ収納時の当該第1のアンテナの強度を向上させることができる。
【0120】
また次の発明によれば、第1のアンテナ及びまたは第2のアンテナをヘリカルアンテナにすることにより、アンテナ全体の高さを低くでき小型化できる。
【0121】
また次の発明によれば、第1のアンテナ及びまたは第2のアンテナをメアンダラインアンテナまたはジグザグアンテナにすることにより、アンテナ全体を平面上に構成でき、回転させるときの応力を回転手段に伝えやすくでき、スムーズに回転させることができる。
【0122】
また次の発明によれば、第2のアンテナを線状アンテナにすることにより、収納機構を含んだ回転手段を小型化できる。
【0123】
また次の発明によれば、第2のアンテナを板状アンテナにすることにより、アンテナ全体を平面上に構成でき、回転させるときの応力を回転手段に伝えやすくでき、スムーズに回転させることができる。
【0124】
また次の発明によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナを、それぞれ電気長1/4波長で形成したことにより、アンテナのインピーダンスが50Ωに近づき、かくして整合回路が不要になる分構成を簡略化し得る。
【0125】
また次の発明によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナを、それぞれ電気長1/4波長より長く、かつ1/2波長以下で形成したことにより、水平方向の指向性を強くできる。
【0126】
また次の発明によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナを、それぞれ電気長1/2波長より長く形成したことにより、さらに水平方向の指向性を強くできる。
【0127】
また次の発明によれば、回転手段は、第1及び第2のアンテナを筐体の主操作表示面に対して直交する面で回転させるようにしたことにより、回転角の自由度を広げることができる。
【0128】
また次の発明によれば、回転手段は、第1及び第2のアンテナを筐体の主操作表示面に対して0°〜90°の間の傾いた面で回転させることにより、アンテナ及び回転手段が筐体よりでっぱる容積を少なくできる。
【0129】
また次の発明によれば、回転手段は、上記第1及び第2のアンテナを0°〜 180°の範囲で回転させることにより、回転の自由度をより向上できる。
【0130】
また次の発明によれば、回転手段のベース上に第1のアンテナを伸長させた状態で上記回転体が回転した際、第1のアンテナ後端に当接する位置に抜止め壁を設け、第1のアンテナの後方への抜けを防止するようにしたので、アンテナを回転させた場合でも、第1のアンテナの給電部と給電接触部との接触状態を保持することができ、端末使用時の安全性が確保することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明によるアンテナ装置を実装した携帯情報端末の実施の形態1を示す略線的斜視図である。
【図2】 図1のアンテナ装置の構造を示す断面図である。
【図3】 ヘリカルアンテナの構造を示す略線図である。
【図4】 図3のヘリカルアンテナの効率の説明に供する特性曲線図である。
【図5】 この発明によるアンテナ装置の実施の形態2の構成を示す構成図である。
【図6】 ホイップアンテナのシミュレーションに用いるワイヤーグリッドモデルを示す略線図である。
【図7】 電気長によるホイップアンテナの放射パターンの違いの説明に供する放射パターン図である。
【図8】 この発明によるアンテナ装置を実装した携帯情報端末の実施の形態3を示す断面図である。
【図9】 この発明によるアンテナ装置を実装した携帯情報端末の実施の形態4を示す略線図である。
【図10】 この発明によるアンテナ装置の実施の形態5の構造を示す略線図である。
【図11】 この発明によるアンテナ装置の実施の形態6の構造を示す略線図である。
【図12】 実施の形態1等における問題点を示すための説明図である。
【図13】 この発明に係る実施の形態8の構成および動作を示す構成図である。
【図14】 この発明に係る実施の形態8の他の例の構成および動作を示す構成図である。
【図15】 この発明に係る実施の形態9の構成および動作を示す構成図である。
【図16】 この発明に係る実施の形態9の要部の構成を示す構成図である。
【図17】 この発明に係る実施の形態9の要部の構成を示す構成図である。
【図18】 この発明に係る実施の形態10の構成および動作を示す構成図である。
【図19】 この発明に係る実施の形態11の構成および動作を示す構成図である。
【図20】 この発明に係る実施の形態11の要部を示す構成図である。
【図21】 この発明に係る実施の形態11における給電方法を示す説明図である。
【図22】 この発明に係る実施の形態12の構成および動作を示す構成図である。
【図23】 この発明に係る実施の形態12による試験結果を示す説明図である。
【図24】 この発明に係る実施の形態13の要部の構成を示す構成図である。
【図25】 この発明に係る実施の形態13の構成および動作を示す構成図である。
【図26】 この発明に係る実施の形態14の構成および動作を示す構成図である。
【図27】 この発明に係る実施の形態15の構成および動作を示す構成図である。
【図28】 この発明に係る実施の形態16の構成および動作を
【図29】 従来のアンテナ装置を実装した携帯型無線通信機を示す略線的斜視図である。
【図30】 図11のアンテナの放射効率の説明に供する略線図である。
【図31】 放射効率の測定結果を示す特性曲線図である。
【符号の説明】
1 アンテナ、2 ボス、3 筐体、11 ヘリカルアンテナ、12 ホイップアンテナ、12a 絶縁体、13 ヘリカルアンテナ給電部、14 ホイップアンテナ給電部、15 バネ金具(給電接触部)、16 シャフト、17 固定ナット、18 回転体、19 筐体、20 高周波信号源、21 LCD画面、22 レシーバ、23 マイク、24 整合回路、40 アンテナ収納部、45メアンダラインアンテナ、46 メアンダラインアンテナ給電部、47 板状アンテナ、48 板状アンテナ給電部、50 メアンダライナンテナ、51 メアンダラインアンテナ給電部、52 ヘリカルアンテナ、53 ヘリカルアンテナ給電部、4 ヘリカルアンテナ、55 ホイップアンテナ、55a ホイップアンテナ上側部材、55b ホイップアンテナ下側部材、56 折曲部、56aシャフト、56b フレキシブルアーム、57 ヘリカルアンテナ、58 バネ金具、59 弾性体、60 内部回路基板(金属物)、62 ノッチアンテナ、65 スロットアンテナ、71 回転体、71a 位置決め溝、72 ベース、72a 抜止め壁、73 回転位置固定機構、73a バネ、73b ボール、75 回転体、75a 位置決め溝、75b ボール案内溝、76 ベース、76a 抜止め壁、77 回転位置固定機構、77a バネ、77b ボール、81 メイアンダラインアンテナ、82 リアクタンス素子、83 回転体、84 インピーダンス整合部

Claims (15)

  1. 携帯型無線通信機の筐体に収納されると共に当該筐体から伸長され少なくともその伸長状態で動作する第1のアンテナと、
    上記第1のアンテナ先端に設けられ上記第1のアンテナの収納状態では上記筐体より突出し少なくとも上記第1のアンテナの収納状態で動作する第2のアンテナと、
    信号源と接続された給電接触部と、
    を備え
    上記第1のアンテナ先端と上記第2のアンテナ後端の第2アンテナ給電部とは絶縁して接続され
    上記第1のアンテナの収納時には上記給電接触部が上記第1のアンテナ先端と上記第2アンテナ給電部に接触して上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナに給電し上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナを動作させる一方、
    上記第1のアンテナの伸長時には上記給電接触部が上記第1のアンテナに接触して上記第1のアンテナにのみ給電し上記第1のアンテナのみを動作させることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 携帯型無線通信機の筐体に収納されると共に当該筐体から伸長され少なくともその伸長状態で動作する第1のアンテナと、
    上記第1のアンテナ先端に設けられ上記第1のアンテナの収納状態では上記筐体より突出し少なくとも上記第1のアンテナの収納状態で動作する第2のアンテナと、
    上記筐体に設けられ上記第1のアンテナを支持すると共に回転して上記第1のアンテナ及び第2のアンテナを回転させる回転手段と、
    を備え、
    上記回転手段は信号源と接続された給電接触部を有し、
    上記第1のアンテナ先端と上記第2のアンテナ後端の第2アンテナ給電部とは絶縁して接続され、
    上記第1のアンテナの収納時には上記給電接触部が上記第1のアンテナ先端と上記第2アンテナ給電部に接触して上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナに給電し上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナを動作させる一方、
    上記第1のアンテナの伸長時には上記給電接触部が上記第1のアンテナに接触して上記第1のアンテナにのみ給電し上記第1のアンテナのみを動作させることを特徴とするアンテナ装置。
  3. 携帯型無線通信機の筐体に収納されると共に当該筐体から伸長され少なくともその伸長状態で動作する第1のアンテナと、
    上記第1のアンテナ先端に設けられ上記第1のアンテナの収納状態では上記筐体より突出し少なくとも上記第1のアンテナの収納状態で動作する第2のアンテナと、
    上記筐体に設けられ上記第1のアンテナを支持すると共に回転して上記第1のアンテナ及び第2のアンテナを回転させる回転手段と、
    を備え、
    上記第1のアンテナは棒状金属からなり、その第1のアンテナ先端と上記第2のアンテナ後端の第2アンテナ給電部とを絶縁体を介し接続すると共に、上記回転手段は信号源と接続された給電接触部を有し、
    上記第1のアンテナの収納時には上記給電接触部が上記絶縁体近傍の上記第1のアンテナ先端と上記第2アンテナ給電部に接触して上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナに給電し上記第1のアンテナおよび上記第2のアンテナを動作させる一方、
    上記第1のアンテナの伸長時には上記給電接触部が上記第1のアンテナに接触して上記第1のアンテナにのみ給電し上記第1のアンテナのみを動作させることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  4. 上記第1のアンテナと上記第2のアンテナのうち少なくとも一方をヘリカルアンテナで形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のアンテナ装置。
  5. 上記第1のアンテナと上記第2のアンテナのうち少なくとも一方をメアンダラインアンテナまたはジグザグアンテナで形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のアンテナ装置。
  6. 上記第1のアンテナを線状アンテナで形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のアンテナ装置。
  7. 上記第1のアンテナを板状アンテナで形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のアンテナ装置。
  8. 上記第1のアンテナ及び上記第2のアンテナを、それぞれ電気長1/4波長で形成することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載のアンテナ装置。
  9. 上記第1のアンテナ及び上記第2のアンテナを、それぞれ電気長1/4波長より長く、かつ1/2波長以下で形成することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載のアンテナ装置。
  10. 上記第1のアンテナ及び上記第2のアンテナを、それぞれ電気長1/2波長より長く形成することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載のアンテナ装置。
  11. 上記回転手段は、上記第1のアンテナ及び第2のアンテナを上記筐体の主操作表示面に対して直交する面で回転させることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れかに記載のアンテナ装置。
  12. 上記回転手段は、上記第1のアンテナ及び第2のアンテナを上記筐体の主操作表示面に対して0°〜90°の間の傾いた面で回転させることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れかにのアンテナ装置。
  13. 上記回転手段は、上記第1のアンテナ及び第2のアンテナを0°〜180°の範囲で回転させることを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れかに記載のアンテナ装置。
  14. 上記回転手段は、上記第1のアンテナをその長手方向に移動可能に支持する回転体と、上記筐体に設けられ上記回転体を回転可能に支持するベースと、信号源と接続され上記第1のアンテナが伸長された際その第1アンテナ給電部に接触して給電する給電接触部と、上記第1のアンテナを伸長させた状態で上記回転体が回転した際、上記第1のアンテナ後端に当接する位置に設けられ、上記第1のアンテナの後方への抜けを防止して上記第1アンテナ給電部と上記給電接触部との接触による上記第1のアンテナへの給電状態を保持する抜止め壁と、から構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のアンテナ装置。
  15. 上記回転手段は、さらに、上記ベースの表面に設けられた位置決め溝と、上記上記第1のアンテナを伸長させた状態で上記回転体が回転して上記第1のアンテナ後端と上記抜止め壁とが当接した際、バネにより付勢されたボールを上記位置決め溝に押付けて上記回転体の回転位置を固定する回転位置固定機構と、を有することを特徴とする請求項14記載のアンテナ装置。
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