JP3674062B2 - 鉄含有金属排水の処理方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は鉄含有金属排水の処理方法に係り、特に鉄含有金属排水を中和して不溶性水酸化物を生成させ、この水酸化物を含む汚泥と処理水とに分離し、分離した汚泥を中和工程に返送する鉄含有金属排水の処理方法において、高濃度汚泥を得るために必要な汚泥返送量の制御を容易に行って、低コストで効率的な処理を行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
重金属含有排水の処理において、濃縮性に富み、脱水性に優れた高濃度重金属水酸化物汚泥を得る方法として、アルカリ汚泥法がある。この方法は、重金属含有排水にアルカリ剤を直接添加せずに、後工程のシックナーの排泥の一部と混合して添加する方法である(特公昭61−156号公報)。即ち、アルカリ汚泥法の原理は、汚泥にアルカリを添加し、汚泥に吸着されたアルカリで原水(重金属含有排水)を中和することにある。
【0003】
このようなアルカリ汚泥法において、汚泥分離工程から返送し、アルカリと混合して原水に添加する汚泥量については、下記式で算出される汚泥返送比Rが運転管理の指標として用いられ、この返送比Rは15〜40の範囲となるように、汚泥返送量が制御される(特開平5−57292号公報)、即ち、原水量、発生SS量、汚泥濃度を測定し、これらの測定値から、下記式より算出される返送比(R)が15〜40の範囲となるように、汚泥返送量が制御されている。
【0004】
【数1】
【0005】
このような汚泥返送比Rに基く制御によれば、得られる汚泥濃度は従来の2〜3%から20〜30%と、大幅に向上する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の方法では、汚泥返送量の制御のために、原水流量、発生SS量、汚泥濃度及び汚泥返送量の各因子を測定するための計測機器と、汚泥返送比Rを算出するための演算システムが必要となり、設備が複雑かつ高価になるという問題がある。
【0007】
本発明者らは、上記従来の問題点を解決し、鉄含有金属排水を中和して不溶性水酸化物を生成させ、この水酸化物を含む汚泥と処理水とに分離し、分離した汚泥を中和工程に返送する方法において、高濃度汚泥を得るために必要な汚泥返送量の制御を、複雑な計測機器や演算システムを用いることなく容易に行って、低コストで効率的な処理を行う方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の鉄含有金属排水の処理方法は、鉄含有金属排水を2段中和して、生成する鉄及び他の金属の水酸化物を含む汚泥と処理水とに分離する方法において、第1段の中和は、アルカリを添加することなく、pHが3.5〜5.0となるように前記の分離した汚泥を排水に添加することにより行い、第2段の中和は、前記の分離した汚泥を添加することなく、pHが8.0〜9.5となるようにアルカリを直接排水に添加することにより行うと共に、該第2段の中和を行う中和槽に空気を散気してFe 2+ の酸化を行うことを特徴とする。
【0009】
即ち、本発明者は、汚泥返送による重金属含有排水の中和処理について鋭意検討を重ねた結果、鉄(Fe3+)を含む排水であれば、前述の計測機器や演算システムを用いることなく、返送汚泥をpH計と連動させて循環させる簡単なシステムで最適汚泥返送量を制御可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
【作用】
塩化第二鉄1000ppm(Fe3+として)溶液の水酸化ナトリウム(NaOH)による中和試験結果を下記表1に示す。表1より明らかなようにFe3+はpH4.0でほぼ完全に析出する。
【0011】
更にNaOHを添加すると、過剰になったNaOHは析出した水酸化物に吸着され、pH8〜9では吸着NaOH/析出水酸化物の比で1〜5%が吸着されていることが判明した。
【0012】
【表1】
【0013】
従って、2段目の中和を8.0〜9.5で行って得られた汚泥を、第1段目の中和工程に原水の20〜100倍量返送すれば、この汚泥に吸着されているアルカリと原水中のFe3+とが反応して中和反応を終了させることができる。
【0014】
しかして、このときのpHはpH3.5〜5.0、好適にはpH4〜4.5で十分である。
【0015】
ところで、原水中に遊離酸が存在すると汚泥中のアルカリは遊離酸と反応するため、Fe3+の析出は不完全となる。このため、原水中の遊離の酸は予め中和しておく必要がある。
【0016】
通常、鉄を含む排水は酸洗ラインから排出される。酸洗ラインでは、一般には酸として塩酸,硫酸などの強酸が使用される。図2にH2 SO4 970ppmを含む硫酸希薄溶液をNaOHで中和した場合のpH曲線を示す。この図2より、pH3〜4で遊離酸の中和はほぼ終了しており、従って、遊離酸を含む原水であれば、pH3〜3.5で予備中和しておくことにより、金属イオンのみを中和処理できることが明らかである。
【0017】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の鉄含有金属排水の処理方法の一実施例方法を示す系統図である。
【0019】
図1中、1は予備中和槽、2は第1中和槽、3は第2中和槽、4は沈殿槽、5はアルカリ貯槽であり、11〜22の各符号は配管を示す。配管16,21,17には各々バルブV1 ,V2 ,V3 が設けられており、各バルブは、それぞれ、各中和槽1,2,3に設けられたpH計1A,2A,3Aに連動するよう構成されている。
【0020】
本実施例の方法においては、原水(酸洗ラインから排出された遊離酸を含む、pH1.5〜2.0程度の鉄含有金属排水)は、まず、配管11より予備中和槽1に導入され、アルカリ貯槽5から配管16を経て添加されるアルカリにより予備中和される。この予備中和槽1においては、pH計1Aに連動するバルブV1 の開閉により、系内のpHがpH2.5〜3.5となるように予備中和することにより、原水中の遊離の酸を中和する。
【0021】
予備中和槽1の流出液は、次いで配管12より第1中和槽2に導入され、後段の沈殿槽4から配管19,21を経て返送される返送汚泥が添加されて、第1段目の中和が行われる。この第1中和槽2においては、pH計2Aに連動するバルブV2 の開閉により、系内のpHがpH3.5〜5.0、好ましくはpH4〜4.5となるような汚泥量が返送される。この第1中和槽2における第1段目の中和により、返送汚泥表面に吸着しているアルカリとの反応で鉄の水酸化物が汚泥表面に析出する。
【0022】
第1中和槽2の流出液は次いで配管13より第2中和槽3に導入され、アルカリ貯槽5から配管17を経て添加されるアルカリにより第2段目の中和が行われる。この第2中和槽3においては、pH計3Aに連動するバルブV3の開閉により、系内のpHがpH8.0〜9.5となるようにアルカリ添加量が調整され、汚泥表面へのアルカリの吸着が行われる。
【0023】
なお、この第2中和槽3には、配管18より空気が散気されており、これにより、Fe2+の酸化が行われる。
【0024】
第2中和槽3の流出液は、次いで配管14より沈殿槽4に導入されるが、その過程で、配管22よりポリマーが添加され、凝集が促進される。
【0025】
沈殿槽4で分離された上澄水は、配管15より処理水として系外へ排出される。一方、分離汚泥は配管19より抜き出され、必要量が返送汚泥として配管21より第1中和槽2に返送され、残部は配管20より系外へ排出され、脱水工程へ送給される。
【0026】
なお、原水中に第一鉄イオン(Fe2+)が多量に含まれる場合には、塩素系の酸化剤等を予備中和槽に添加して、予めFe2+をFe3+に酸化しておく。
【0027】
本発明において、原水に添加するアルカリとしては、水酸化ナトリウム、消石灰等のアルカリ剤が挙げられ、ポリマーとしてはポリアクリルアミド、その部分加水分解物等が挙げられる。このポリマーは、別途、凝集槽を設けて添加しても良い。
【0028】
このような方法により、複雑な測定機器や演算システムを必要とすることなく、一般的な汎用センサーであるpH計との連動により、汚泥返送量を適確に制御して、良好な処理を行える。
【0029】
なお、図示の方法は、本発明の一実施例方法であって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図示の方法に限定されるものではない。
【0030】
例えば、予備中和槽は必ずしも必要とされず、原水中の遊離酸の量が少ない場合には、省略することができる。
【0031】
また、本発明において、沈殿槽の代りに、固液分離手段として、膜分離手段を用いることも可能である。
【0032】
以下に具体的な実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
【0033】
実施例1
図1に示す本発明方法に従って下記水質の酸洗廃水の処理を行った。なお、装置の処理能力は5リットル/hrである。
【0034】
原水水質
pH:1.5〜2.5
T−Fe:100〜350ppm
Fe3+比率(T−Fe中のFe3+の割合):70〜90%
アルカリとしてはNaOHを用い、各中和槽のpHは、表2に示す範囲となるように、各々、アルカリ添加量又は汚泥返送量を制御した。
【0035】
得られた汚泥の濃度を表2に示す。
【0036】
比較例1
実施例1において、汚泥の返送を行わなかったこと以外は同様にして処理を行い、得られた汚泥の濃度を表2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】
表2より、本発明の方法によれば、pH計による汚泥返送量の連動制御のみで、高濃度汚泥を得ることができることが明らかである。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の鉄含有金属排水の処理方法によれば、複雑な計測機器や演算システムを用いることなく、返送汚泥を一般的な汎用センサーであるpH計と連動させて循環させる簡単なシステムで、最適汚泥返送量を容易かつ適確に制御して、極めて清澄度の高い高水質の処理水及び高濃度で脱水性に優れた汚泥を安定かつ効率的に、低コストにて得ることが可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鉄含有金属排水の処理方法の一実施例方法を示す系統図である。
【図2】硫酸希薄溶液をNaOHで中和した場合のpH曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1 予備中和槽
1A,2A,3A pH計
2 第1中和槽
3 第2中和槽
4 沈殿槽
5 アルカリ貯槽
Claims (1)
- 鉄含有金属排水を2段中和して、生成する鉄及び他の金属の水酸化物を含む汚泥と処理水とに分離する方法において、
第1段の中和は、アルカリを添加することなく、pHが3.5〜5.0となるように前記の分離した汚泥を排水に添加することにより行い、
第2段の中和は、前記の分離した汚泥を添加することなく、pHが8.0〜9.5となるようにアルカリを直接排水に添加することにより行うと共に、該第2段の中和を行う中和槽に空気を散気してFe 2+ の酸化を行う
ことを特徴とする鉄含有金属排水の処理方法。
Priority Applications (1)
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JP26967694A JP3674062B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 鉄含有金属排水の処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP26967694A JP3674062B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 鉄含有金属排水の処理方法 |
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JPH08132068A JPH08132068A (ja) | 1996-05-28 |
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JP4626268B2 (ja) * | 2004-10-28 | 2011-02-02 | 栗田工業株式会社 | 銅含有液の処理方法 |
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1994
- 1994-11-02 JP JP26967694A patent/JP3674062B2/ja not_active Expired - Fee Related
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