JP3673992B2 - 音響電気変換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光を用いて振動板の振動変位を電気信号に変換する音響電気変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
音響電気変換装置の代表的なものとして光マイクロフォン装置が知られている。
図3は本発明の発明者らの別途出願に係る光マイクロフォン装置のヘッド部の構成を示す断面図である。
基板5に発光素子3と受光素子4とを角度を持たせることなく発光面と受光面とが平行でほぼ同一平面となるように基板5に設置する。そして発光素子3から発光面に対してほぼ垂直に光ビームを振動板2に対して出射する。
ここで振動板2は支点7,8によりヘッド1内に所定の角度θだけ基板5に対して傾けて張設されている。また発光素子3からの光ビームが振動板2により反射されて受光素子4に到達する入射光と反射光とのなす角度を振動板2の傾斜角度θと同一となるように設定されている。
【0003】
このように発光素子3と受光素子4とを基板5に平面的に取り付けることにより量産性を向上させることができる。
ここで通常発光素子3としては垂直表面発光型発光素子(VCSEL)を用いると発光面に垂直な方向の放射光が得られる。
また受光素子4はこれに入射する反射光が傾斜するが、一般に受光素子は発光素子に比べて受光する光の入射角度に対しては感度はそれほど劣化せず、入射角度は必ずしも受光面に垂直になっていなくても受光効率は著しく劣化することはない。
【0004】
図4は図3に示した光マイクロフォン装置のヘッド部の動作を説明するための図である。
発光素子3から出射した光ビームの光束L1が、基板5に対してθだけ傾いた角度で張設された振動板2の所定領域に当たり、ここで反射して反射光束L2となって受光素子4に入射する。このとき振動板2が音波6により振動することにより、反射光束L2は図中に実線、破線及び鎖線で示すように振動変位の大きさによって変化し、受光素子4の異なる受光面に入射する。
従ってこの受光位置での光信号の大きさを検出することにより振動板2の振動変位を検出することができる。
このように図3及び図4に示す光マイクロフォン装置においては、基板5に平面状に搭載された一つの発光素子3と一つの受光素子4とにより光の受発光を行うものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように図3及び図4に示すような構造の光マイクロフォン装置においては、通常、振動板2に照射される発光素子3からの光束が5〜10度程度広がって照射され振動板2において反射されるため、反射光が受光素子4の受光面以外のところにも拡大して照射されることがある。
また、振動板2の振動により反射光の焦点が必ずしも一つの受光素子4の受光面に定まらず受光効率が低下することがあった。
また、発光素子3から放射される光ビームの光軸は必ずしも放射面に垂直に立ち上がらない場合もあった。
このため、反射光を受光する受光素子4を基板5に対して一つだけ固定位置に設けただけでは、反射光全てを効率的に受光できないという問題点があった。
本発明は上述した課題を解決するために成されたもので、振動板からの反射光を効率的に受光し、音響電気変換効率を高めることのできる音響電気変換装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の音響電気変換装置は、音圧により振動する振動板と、前記振動板に光ビームを照射する発光素子と、前記振動板に照射された前記光ビームの反射光を受光し、前記振動板の振動変位に対応する信号を出力する受光素子と、前記発光素子と前記受光素子とを設置する基板とを備えた音響電気変換装置において、前記発光素子の発光面と前記受光素子の受光面とが平行で、かつほぼ同一平面となるように前記発光素子と複数の前記受光素子とを前記基板上に設置し、前記振動板の前記入射光が照射される領域を略平面とし、前記振動板を前記基板に対して所定角度だけ傾斜させ、前記発光素子から前記発光面に対してほぼ垂直に出射される前記光ビームを前記振動板へ照射し、前記振動板での前記反射光を前記複数の受光素子により受光することを特徴とする。
【0007】
前記音響電気変換装置において、前記複数の受光素子を前記発光素子に対して直線状に配列することが出来る。
また、前記音響電気変換装置において、前記複数の受光素子を円形状又は矩形状に配列することが出来る。
さらに、前記音響電気変換装置において、前記発光素子を複数個配置することが出来る。
また、前記音響電気変換装置において、前記振動板の前記入射光が照射される領域を鏡面とすることが出来る。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、本発明の音響電気変換装置は光マイクロフォン装置に適用可能であるが、必ずしもこれに限定されるものではなく音響センサ等にも利用可能である。
ただし、以下に説明する実施の形態は本発明を光マイクロフォン装置に適用した場合について述べる。
図1は本発明の実施の形態の1例である光マイクロフォン装置のヘッド部の構成を示す図である。なお図3及び図4に示したと同一部分には同一符号を付し、その詳細構成は説明を省略する。
本発明においては図3あるいは図4において示される受光素子4を複数に分割し、この分割された受光素子41,42,43,…4nを所定の形状に配列している。
このように複数の受光素子41,42,43,…4nを用いることにより振動板2により反射される反射光L2の光束の広がりを全て吸収して受光することができる。
【0009】
図1に示す実施の形態では発光素子3を一つとし、受光素子4を複数個設けているため、この発光素子3からの放射ビームの反射光L2を全て吸収して受光することが可能となる。
なお受光素子4の配列は発光素子3に対して図2(A)に示すように直線状に配列することも可能であるが、例えば図2(B)に示すように複数の受光素子41〜4nを円形状に配列することも可能でありまた図2(C)に示すように矩形状に配列することも可能である。
また受光素子4だけではなく発光素子3に関してもこれを分割して配列することができる。
【0010】
図2(D)は発光素子3を分割して受光素子4と同様に直線状に配列した場合を示している。また図2(E)は円形状に、図2(F)は矩形状に発光素子3を分割して配置している。
このように発光素子3を分割して複数設けることにより更に発光効率を上昇させることができる。
【0011】
図5は振動板2の表面形状を示した図である。
発光素子3として垂直表面発光型発光素子(VCSEL)を用いた場合には発光面からの光は同心円状に均一の発光強度をもって放射されるため、振動板2の受光面を円環状に鏡面仕上げしておけば、そこでの反射効率が向上する。
図5に斜線で示す領域2aはこのように鏡面仕上げをした領域を示している。
また図5(b)に示すように光ビームの当たるスポット状の領域2bのみを鏡面仕上げすることも可能である。領域2cは振動板2を支点7,8に張設する際の位置決めポイントを表わしている。
【0012】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の音響電気変換装置では少なくとも複数の受光素子が基板に対して平面的に設置され、発光素子からの反射光を過不足なく受光することができる。
このため受光効率の高い音響電気変換装置を実現することができる。
また受光素子を細分化して複数設けることにより各素子の熱雑音を抑えることができるため、総合的にSN比を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である光マイクロフォン装置のヘッド部の構成を示す図。
【図2】本発明で用いられる受発光素子の配列を示す図。
【図3】光マイクロフォン装置のヘッド部の構造を示す断面図。
【図4】図3に示す装置の動作原理を説明するための図。
【図5】本発明に用いられる振動板の一例を示す平面図。
【符号の説明】
1 ヘッド
2 振動板
3 発光素子
4 受光素子
5 基板
6 音波
7,8 支点
θ 傾斜角度

Claims (6)

  1. 音圧により振動する振動板と、前記振動板に光ビームを照射する発光素子と、前記振動板に照射された前記光ビームの反射光を受光し、前記振動板の振動変位に対応する信号を出力する受光素子と、前記発光素子と前記受光素子とを設置する基板とを備えた音響電気変換装置において、
    前記発光素子の発光面と前記受光素子の受光面とが平行で、かつほぼ同一平面となるように前記発光素子と複数の前記受光素子とを前記基板上に設置し、
    前記振動板の前記入射光が照射される領域を略平面とし、
    前記振動板を前記基板に対して所定角度だけ傾斜させ、前記発光素子から前記発光面に対してほぼ垂直に出射される前記光ビームを前記振動板へ照射し、
    前記振動板での前記反射光を前記複数の受光素子により受光することを特徴とする音響電気変換装置。
  2. 請求項1に記載の音響電気変換装置において、
    前記複数の受光素子を前記発光素子に対して直線状に配列したことを特徴とする音響電気変換装置。
  3. 請求項1に記載の音響電気変換装置において、
    前記複数の受光素子を円形状に配列したことを特徴とする音響電気変換装置。
  4. 請求項1に記載の音響電気変換装置において、
    前記複数の受光素子を矩形状に配列したことを特徴とする音響電気変換装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の音響電気変換装置において、
    前記発光素子を複数個配置したことを特徴とする音響電気変換装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の音響電気変換装置において、
    前記振動板の前記入射光が照射される領域を鏡面とすることを特徴とする音響電気変換装置。
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