JP3672855B2 - フッ素吸着材、及びこれを用いたフッ素除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶液中に含有されるフッ素を除去するためのフッ素吸着材、及びこれを用いたフッ素の除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素は人体、特に歯牙に対する影響が大きい。そのため、1999年2月に環境庁告示により、飲料水中におけるフッ素の許容濃度は0.8ppm以下と定められており、当該基準をクリアするためにも、排水などの溶液中から効率よくフッ素を除去する必要がある。ここで、一般に溶液中に含有されているイオンを除去する方法としては、陽イオン交換樹脂、または陰イオン交換樹脂を用いる方法が効率の良い方法であることが知られている。
【0003】
しかしながら、フッ素イオン(F-)やシアンイオン(CN-)については、通常の陰イオン交換樹脂を用いても選択性が弱いため、陰イオン交換樹脂に十分に吸着せしめることが難しく、従って効率良く除去することができない。
【0004】
この欠点を解消する方法の一つに、カウンターイオンとの錯イオン形成反応を利用する方法がある。例えば、フッ素イオンの場合は、大過剰のアルミニウムイオンを添加し、AlF6 3-として分離することができる。
【0005】
しかしながら、実際にこの方法を用いて溶液中のフッ素を除去した場合には、当該溶液中に過剰に添加したアルミニウムの除去をする必要が新たに生じ、処理工程が複雑となり、これはコスト高につながるため現実的ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、溶液中のフッ素を効率よく吸着することが可能なフッ素吸着材、及びこれを用いたフッ素除去方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1において、カルシウムを含有する基材からなるフッ素吸着材であって、当該基材の表面には、リン酸カルシウムとジルコニウムとが配位されていることを特徴とするフッ素吸着材を提供する。
【0008】
本発明のフッ素吸着材は、カルシウムを含有する基材からなっており、当該基材の表面には、リン酸カルシウムとジルコニウムとが配位されているため、溶液中のフッ素を効率良く吸着することができる。その結果、溶液中からフッ素(フッ素イオン)を分離除去することができる。
【0009】
本発明のフッ素吸着材がフッ素を効率よく吸着することができる理由については、論理的、学術的に説明することは困難であるが、もともとカルシウムにはフッ素を吸着する能力(以下、単に「吸着能力」とする場合がある。)があり、したがって吸着能力を有するカルシウムを含有する基材の表面に、さらに吸着能力の高いリン酸カルシウムとジルコニウムとを配位することにより、これらの相乗効果によって吸着能力が向上しているものと考えられる。また、本発明のフッ素吸着材の表面は、リン酸カルシウムとジルコニウムとが配位されていることにより非常に多孔質な特殊セラミックスのような状態となっているとも推測でき、その結果、基材の単体を吸着材として用いた場合に比べ、フッ素を含有する溶液との接触面積が向上しているため、吸着能力が向上しているものと考えられる。
【0010】
また、本発明のフッ素吸着材においては、希少金属の一種であるジルコニウムが用いられているが、当該ジルコニウムは基材の表面に配位させるのみであるため、少量の使用で済み全体としてのコストに大きく影響を与えることはない。
【0011】
前記請求項1に記載の発明においては、請求項2に記載するように、カルシウムを含有する基材を飽和リン酸水素カリウム溶液中に浸漬させて基材表面にリン酸カルシウムを配位させるリン酸カルシウム配位工程と、前記リン酸カルシウム配位工程終了後の基材を洗浄する第1洗浄工程と、前記第1洗浄工程終了後の基材にジルコニウム溶液を加えて基材表面にジルコニウムを配位させるジルコニウム配位工程と、前記ジルコニウム配位工程終了後の基材を洗浄する第2洗浄工程と、から製造されることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、煩雑な工程をすることなく浸漬や洗浄を行うのみで、本発明のフッ素吸着材を製造することができる。
【0013】
さらに、前記請求項1又は請求項2に記載の発明においては、請求項3に記載するように、前記カルシウムを含有する基材が、酸化カルシウム及び/又は炭酸カルシウムであることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、前記カルシウムを含有する基材が、酸化カルシウム及び/又は炭酸カルシウムであるため、基材として比較的に入手しやすいものを用いることが可能であるとともに、リン酸水素カリウム溶液などを用いて基材表面に容易にリン酸カルシウムを配位することができる。
【0015】
また、本発明は、請求項4において、リン酸カルシウムを含有する基材からなるフッ素吸着剤であって、当該基材の表面には、ジルコニウムが配位されていることを特徴とするフッ素吸着材を提供する。
【0016】
本発明によれば、基材がリン酸カルシウムを含有しているので、上述した本発明のフッ素吸着材の中でも特に基材自体がフッ素吸着能力を有していると考えられ、この表面にさらにジルコニウムを配位することにより、上述した本発明のフッ素吸着材と同様にフッ素吸着能力をさらに向上せしめることができる。
【0017】
前記請求項4に記載の発明においては、請求項5に記載するように、リン酸カルシウムを含有する基材にジルコニウム溶液を加えて基材表面にジルコニウムを配位させるジルコニウム配位工程と、前記ジルコニウム配位工程終了後の基材を洗浄する洗浄工程と、から製造されることが好ましい。
【0018】
前記請求項4に記載するフッ素吸着材の基材は、すでにリン酸カルシウムを含有しているので、前記請求項2に記載するようなリン酸カルシウム配位工程を行う必要はなく、ジルコニウム配位工程、及び洗浄工程を行うのみで本発明のフッ素吸着材製造することができる。
【0019】
さらに、本発明は、請求項6において、前記請求項1乃至請求項5のいずれかの請求項に記載のフッ素吸着材とフッ素含有溶液とを接触させることにより、前記フッ素含有溶液中のフッ素を除去することを特徴とするフッ素除去方法を提供する。
【0020】
本発明のフッ素除去方法は、前記請求項1乃至請求項5のいずれかの請求項に記載のフッ素吸着材とフッ素含有溶液とを接触させることのみで、溶液中のフッ素をフッ素吸着剤の表面に吸着させる(吸着材の表面にフッ素が保持される状態とする)ことができ、その結果、当該溶液中からフッ素効率良く除去することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のフッ素吸着材について、第1態様と第2態様とに分けて具体的に説明する。
【0022】
本発明の第1態様としてのフッ素吸着材は、カルシウムを含有する基材からなり、当該基材の表面にはリン酸カルシウムとジルコニウムとが配位されていることに特徴を有している。
【0023】
このように、もともとフッ素吸着能力を有するカルシウムが含有された基材を用い、当該基材の表面に、リン酸カルシウムとジルコニウムとを配位することで、カルシウムを含有する基材のみをフッ素吸着材として用いる場合に比べて、吸着能力を向上することができる。
【0024】
本発明のフッ素吸着材は、カルシウムを含有する基材の表面にリン酸カルシウムとジルコニウムとが配位されていればよく、その他を特に限定されるものではない。
【0025】
前記フッ素吸着材は、以下に説明する方法により製造されることが好ましい。当該製造方法は簡便であり、かつ当該製造方法により形成されたフッ素吸着材の表面にはリン酸カルシウムとジルコニウムとが配位されるので、吸着能力が非常に優れているからである。以下に当該製造方法について図面を用いて具体的に説明する。
【0026】
図1は、本発明のフッ素吸着材の製造方法の流れを示すフローチャート図である。
【0027】
図1に示すように、本発明のフッ素吸着材は、カルシウムを含有する基材を飽和リン酸水素カリウム溶液中に浸漬させて基材表面にリン酸カルシウムを配位させるリン酸カルシウム配位工程S1と、前記リン酸カルシウム配位工程工程終了後の基材を洗浄する第1洗浄工程S2と、前記第1洗浄工程終了後の基材にジルコニウム溶液を加えて、基材表面にジルコニウムを配位させるジルコニウム配位工程S3と、前記ジルコニウム配位工程終了後の基材を洗浄する第2洗浄工程S4と、から製造されることが好ましい。
【0028】
[1]リン酸カルシウム配位工程
当該製造方法においては、まず、カルシウムを含有する基材10を飽和リン酸カリウム溶液12中に浸漬させて基材表面にリン酸カルシウムを配位させるリン酸カルシウム配位工程S1を行う。当該工程S1は、本発明のフッ素吸着材となる基材10の表面にリン酸カルシウムを配位するための工程である。このようにカルシウムを含有する基材10を飽和リン酸水素カリウム溶液中に浸漬させることにより、基材表面に存在していたカルシウムとリン酸とが反応し、容易にリン酸カルシウムを配位することができる。
【0029】
ここで本発明において用いることが可能な基材10としては、リン酸と反応するためのカルシウムが含有されている基材であれば特に限定されるものではないが、酸化カルシウム及び/又は炭酸カルシウムであることが好ましい。酸化カルシウム及び/又は炭酸カルシウムは、当然にカルシウムを含有しており、工業的に用いられることが多く、入手が容易だからである。例えば、貝殻、サンゴ、石灰石はその大部分が炭酸カルシウムであるため、本発明における炭酸カルシウムとして貝殻等を用いることができる。また、製鋼脱燐スラグは酸化カルシウム(CaO、CaO・SiO2など)を多く含有しているため、本発明における酸化カルシウムとして製鋼脱燐スラグを用いることも可能である。
【0030】
また、このような基材10の形状についても、本発明は特に限定されることはないが、粒子状であることが好ましい。この場合、基材10の粒径についても、本発明は特に限定しないが、149〜500μm程度にするのが好ましい。粒径を前記範囲とすることにより、基材の表面積を大きくできるからである。したがって、貝殻等を基材10として用いる場合には、前記粒径とするために粉砕して用いるのがよい。
【0031】
リン酸カルシウム配位工程S1において用いられる飽和リン酸カリウム溶液12についても、本発明は特に限定することはなく、従来から一般に用いられている飽和リン酸水素カリウム溶液を用いることができる。
【0032】
リン酸カルシウム配位工程S1を行う際には、基材10の量などにより多少変動するが、常温で、基材10が飽和リン酸水素カリウム溶液12中に完全に浸漬している状態(水面上に酸化カルシウムが現れていない状態)で約5〜15時間程度放置することが好ましく、その他の反応条件については特に限定されない。
【0033】
[2]第1洗浄工程
リン酸カルシウム配位工程S1を終了し、表面にリン酸カルシウムが配位された基材10は、第1洗浄工程S2により洗浄される。当該第1洗浄工程S2は、前記リン酸カルシウム配位工程S1において用いられ、基材10の表面に付着している余剰な飽和リン酸水素カリウム溶液12を洗浄するために行われる。当該第1洗浄工程S2は、この後に行われるジルコニウム配位工程S3に飽和リン酸水素カリウム溶液12が混入することを防止するためである。
【0034】
従って、本発明における第1洗浄工程S2は、上記目的、つまり基材10の表面に付着している余剰な飽和リン酸水素カリウム溶液12を洗浄することができればよく、その方法については特に限定されない。しかしながら、当該第1洗浄工程S2を行う際においては、前記リン酸カルシウム配位工程S1によって、基材10の表面にリン酸カルシウムが配位されているため、当該リン酸カルシウムまでも洗い流さないように注意する必要がある。
【0035】
酸化カルシウムを洗浄する溶液としては、通常の水を用いることができる。入手が容易であり、取り扱いも容易だからである。
【0036】
[3]ジルコニウム配位工程
ジルコニウム配位工程S3は、前記第1洗浄工程S2を終了し、余剰な飽和リン酸水素カリウム溶液12が洗い流され、表面にリン酸カルシウムが配位された状態となった基材10の表面に、さらにジルコニウムを配位させるための工程である。
【0037】
当該ジルコニウム配位工程S3においては、前記第1洗浄工程S2を終了した基材10にジルコニウム溶液を加えることにより行われる。このようにすることで、基材10に含有されているカルシウムとジルコニウム溶液14とが反応し、その表面にジルコニウムを配位させることができるからである。
【0038】
本発明において用いることが可能なジルコニウム溶液14としては、通常用いられているジルコニウム溶液を使用することができ、特に限定されない。具体的には、濃度が0.01〜1.0Mのジルコニウム溶液を用いることができる。
【0039】
また、当該ジルコニウム配位工程S3において、基材10に含有されているカルシウムとジルコニウム溶液14とを反応させる方法としては、当該基材20にジルコニウム溶液14を徐々に加え、よく撹拌するのがよい。このように撹拌することにより、基材10に含有されているカルシウムとジルコニウム溶液14との反応を促進することができるからである。
【0040】
[4]第2洗浄工程
前記ジルコニウム配位工程S3を終了し、表面にジルコニウムが配位された基材10は、第2洗浄工程S4により洗浄される。当該洗浄工程S4は、前記ジルコニウム配位工程S3において用いられ、基材10の表面に付着している余剰なジルコニウム溶液14を洗浄するために行われる。
【0041】
なお、当該第2洗浄工程についての具体的な方法等については、前記第1洗浄工程と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0042】
前記[1]〜[4]のそれぞれの工程により、カルシウムを含有する基材10の表面にリン酸カルシウムとジルコニウムの双方を配位させることができ、基材10を、吸着能力に優れた本発明のフッ素吸着材とすることができる。本発明のフッ素吸着材は、基材中に含まれているカルシウム、およびその表面に配位されたリン酸カルシウムとジルコニウムとの相乗効果によって、吸着能力に優れており、さらに、表面に配位されたリン酸カルシウムとジルコニウムは、特殊セラミックスのような状態となっているため、本発明のフッ素吸着材の表面は非常に多孔質であるといえる。その結果、フッ素含有溶液と本発明のフッ素吸着工程との接触面積を向上することができ、より吸着性を高めることができる。
【0043】
次に、本発明の第2態様としてのフッ素吸着材について説明する。
【0044】
本発明の第2態様としてのフッ素吸着材は、リン酸カルシウムを含有する基材からなり、当該基材の表面にはジルコニウムが配位されていることに特徴を有している。
【0045】
このように、フッ素吸着材の基材を、リン酸カルシウムを含有する基材とすることにより、当該フッ素吸着材の表面には、すでにリン酸カルシウムが存在しているため、リン酸カルシウムが配位されている必要はなく、ジルコニウムのみが配位されていれば足り、これにより上述してきた本発明の第1態様としてのフッ素吸着材と同様の効果を得ることができる。
【0046】
このような本発明の第2態様としてのフッ素吸着材は、リン酸カルシウムを含有する基材にジルコニウム溶液を加えて基材表面にジルコニウムを配位させるジルコニウム配位工程と、前記ジルコニウム配位工程終了後の基材を洗浄する洗浄工程と、から製造されることが好ましい。
【0047】
ここで、本発明に用いることができる基材としては、その表面にリン酸カルシウムを含有している基材であれば特に限定されることはなく、いかなる基材をも用いることができるが、魚骨を粉砕して用いることが特に好ましい。魚骨の主成分はリン酸カルシウムであり、通常、魚骨は利用価値が少ないため廃棄されている場合が多く、これを利用することにより廃棄物の再利用により本発明のフッ素吸着材を製造することができるからである。
【0048】
本発明の第2態様としてのフッ素吸着材を製造する際のジルコニウム配位工程、及び洗浄工程は、上述した第1態様としてのフッ素吸着材を製造する際のジルコニウム配位工程(S3)、及び第2洗浄工程(S4)と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0049】
次に、前述してきた本発明のフッ素吸着材(第1態様、第2態様)を用いたフッ素含有溶液中からのフッ素の除去方法について説明する。
【0050】
本発明のフッ素除去方法は、前述のフッ素吸着材とフッ素含有溶液とを接触させることにより行われる。フッ素含有溶液とフッ素吸着材とが接触することにより、溶液中のフッ素をフッ素吸着材表面に吸着せしめることができ、その結果溶液中からフッ素が除去することができる。
【0051】
本発明においては、フッ素吸着材と溶液とが接触する状態とすればよく、その具体的方法について特に限定されない。例えば、本発明のフッ素吸着材をカラムに充填させ、当該カラムにフッ素含有溶液を通水することにより、当該溶液中に含有されるフッ素を除去することができる。
【0052】
【実施例】
本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0053】
(実施例1)
以下に示す方法で、本発明のフッ素吸着材を作成し、これを利用してフッ素の除去実験を行った。
【0054】
<フッ素吸着材の作成>
(1)カルシウムを含有する基材として、貝殻(主成分は炭酸カルシウム)を利用した。貝殻は鉄乳鉢にて粗粉砕し、149〜500μmに篩い分けたものを使用した。
(2)前記粉砕した貝殻を飽和リン酸水素カリウム溶液中に一晩(約7時間)浸漬させた(リン酸カルシウム配位工程)。
(3)飽和リン酸水素カリウム溶液中から貝殻を5Aの濾紙によって回収し、流水でよく洗った(第1洗浄工程)。
(4)洗浄後の貝殻5gを50mlビーカーに秤取り、撹拌しながら0.05Mジルコニウム溶液を徐々に加え、リン酸ジルコニウムの白色沈殿がでた時点で、しばらくの間放置した(ジルコニウム配位工程)。
(5)放置後、貝殻を5Aの濾紙によって回収し、流水でよく洗った(第2洗浄工程)。
【0055】
以上の工程により本発明のフッ素吸着材を得た。
【0056】
<フッ素除去実験>
図2は、フッ素除去実験の装置の概略図である。
(1)前記の方法により作成したフッ素吸着材をカラム(内径25mmのアクリル製カラム)20に詰めた。
(2)このカラム20に5ppmのフッ素標準溶液21をペリスタリックポンプ22を用いて、SV10で通水し、カラム20通過後の溶液中のフッ素含有量を調べることによりフッ素の吸着量を調べた。ここで、SVとは、吸着材に対する溶液の単位時間当たりの比を表したものであり、当該実験ではSV10だから、1時間当たり吸着材充填量の10倍の溶液を通水せしめたことを意味する。
【0057】
<実験結果>
上記フッ素吸着材16が充填されたカラム20にフッ素含有溶液21を20ml通水し、カラム20から排出される溶液を5ml毎に採取しそれぞれの溶液中に含有するホウ素の含有量を調べた結果を図3に示す。
【0058】
なお、本発明のフッ素吸着材との比較をするための比較例として、未処理の貝殻(つまり炭酸カルシウムのみ)、及び貝殻を飽和リン酸水素カリウム溶液により処理したものをそれぞれカラムに詰めて同様のフッ素除去実験を行った。
【0059】
図3からも明らかなように、本発明のフッ素吸着材、つまり表面にリン酸カルシウムとジルコニウムが配位している炭酸カルシウムは、単なる炭酸カルシウム(貝殻のみの場合)や、飽和リン酸水素カリウム溶液による処理のみを行った炭酸カルシウムに比べ、フッ素の吸着能力に優れていることが分かった。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、フッ素吸着材は、カルシウムを含有する基材からなっており、その表面にはリン酸カルシウムとジルコニウムとが配位しているため、溶液中のフッ素を効率良く吸着することができる。その結果、溶液中からフッ素(フッ素イオン)を分離除去することができる。
【0061】
また、本発明のフッ素吸着材は、カルシウムを含有する基材を飽和リン酸水素カリウム溶液中に浸漬させて基材表面にリン酸カルシウムを配位させるリン酸カルシウム配位工程と、前記リン酸カルシウム配位工程終了後の基材を洗浄する第1洗浄工程と、前記第1洗浄工程終了後の基材にジルコニウム溶液を加えて、基材表面にジルコニウムを配位させるジルコニウム配位工程と、前記ジルコニウム配位工程終了後の基材を洗浄する第2洗浄工程と、から製造されるので、煩わしい工程をすることなく、浸漬や洗浄を行うのみで製造することができる。
【0062】
さらに、本発明のフッ素吸着材においては、その基材に酸化カルシウム及び/又は炭酸カルシウムを用いることができるため、その結果貝殻等を用いることが可能であり、コスト面からも優れている。
【0063】
また、リン酸カルシウムを含有する基材を用いることにより、この表面にジルコニウムを配位することのみで上記と同様の効果を有するフッ素吸着材とすることができる。
【0064】
本発明のフッ素除去方法は、本発明のフッ素吸着材とフッ素含有溶液とを接触させることのみで行うことが可能であるため、簡便かつ安価でフッ素含有溶液中のフッ素を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフッ素吸着材を製造するための工程を示すフロー図である。
【図2】フッ素除去実験の装置の概略図である。
【図3】フッ素除去実験の結果を示す図である。
【符号の説明】
10…基材
12…飽和リン酸カリウム溶液
14…ジルコニウム溶液
20…カラム
21…フッ素含有溶液
22…ペリスタリックポンプ
Claims (6)
- カルシウムを含有する基材からなるフッ素吸着材であって、
当該基材の表面には、リン酸カルシウムとジルコニウムとが配位されていることを特徴とするフッ素吸着材。 - カルシウムを含有する基材を飽和リン酸水素カリウム溶液中に浸漬させて基材表面にリン酸カルシウムを配位させるリン酸カルシウム配位工程と、
前記リン酸カルシウム配位工程終了後の基材を洗浄する第1洗浄工程と、
前記第1洗浄工程終了後の基材にジルコニウム溶液を加えて基材表面にジルコニウムを配位させるジルコニウム配位工程と、
前記ジルコニウム配位工程終了後の基材を洗浄する第2洗浄工程と、
から製造されることを特徴とする請求項1に記載のフッ素吸着材。 - 前記カルシウムを含有する基材が、酸化カルシウム及び/又は炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフッ素吸着材。
- リン酸カルシウムを含有する基材からなるフッ素吸着剤であって、当該基材表面には、ジルコニウムが配位されていることを特徴とするフッ素吸着材。
- リン酸カルシウムを含有する基材にジルコニウム溶液を加えて基材表面にジルコニウムを配位させるジルコニウム配位工程と、
前記ジルコニウム配位工程終了後の基材を洗浄する洗浄工程と、
から製造されることを特徴とする請求項4に記載のフッ素吸着材。 - 前記請求項1乃至請求項5のいずれかの請求項に記載のフッ素吸着材とフッ素含有溶液とを接触させることにより、前記フッ素含有溶液中のフッ素を除去することを特徴とするフッ素除去方法。
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