JP5179715B2 - 吸着剤の製造方法、吸着剤および吸着装置 - Google Patents

吸着剤の製造方法、吸着剤および吸着装置 Download PDF

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Description

本発明は、吸着剤の製造方法、吸着剤および吸着装置に関するものである。
ハイドロキシアパタイトは、生体親和性に優れることから、従来から、タンパク質等を吸着・分離する液体クロマトグラフィー用カラム(吸着装置)に使用する吸着剤として広く利用されている。
ところが、ハイドロキシアパタイト製の吸着剤は、溶出液等の液体に対する安定性(耐溶剤性)が低く、また、強度が十分に得られず、吸着剤の崩壊等により液体クロマトグラフィー用カラムの目詰まりが早期に生じるという問題(すなわち、タンパク質等を吸着・分離する際の再現性に劣るという問題)があった。
そこで、液体クロマトグラフィー用カラムの再現性向上の観点から、ハイドロキシアパタイトが有するカルシウム元素や水酸基を、それぞれ、他の金属元素やフッ素等で置換した後に、熱処理(具体的には800℃)を行う吸着剤が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載の吸着剤では、再現性の向上が十分に図られているとは言えず、改善の余地があり、更に再現性に優れた吸着剤の開発が要望されているのが現状である。
特開平10−153589号公報
本発明の目的は、溶出液等の液体に対する安定性や、目的とする化合物を選択的に吸着・分離する際の再現性に優れた吸着剤の製造方法、かかる製造方法により製造された吸着剤、および、再現性に優れる吸着装置を提供することにある。
このような目的は、下記の(1)〜()の本発明により達成される。
(1) 目的とする化合物を選択的に吸着する吸着剤を製造する吸着剤の製造方法であって、
少なくとも表面付近が、組成式Ca10(PO((OH)1−a[ただし、Xはハロゲン元素の少なくとも1種を示し、0≦a≦1である。]で表されるアパタイトを主材料として構成された基材と、2価の金属元素、3価の金属元素、ランタノイド系金属元素およびアクチノイド系金属元素のうちの少なくとも1種の金属元素のイオンを含む溶液とを接触させることにより、前記アパタイトが有するCaの少なくとも一部を前記金属元素で置換する置換工程と、
前記金属元素による置換後の前記基材を、温度200〜400℃×時間0.5〜10時間で熱処理する熱処理工程とを経て製造され、
かつ、前記置換工程から、前記吸着剤の完成までに、前記熱処理工程以外の熱処理を行うことなく製造されることを特徴とする吸着剤の製造方法。
これにより、目的とする化合物を選択的に吸着することが可能であり、かつ溶出液等の液体に対する安定性(耐溶剤性)や、前記化合物を吸着・分離する際の再現性に優れた吸着剤を得ることができる。
(2) 目的とする化合物を選択的に吸着する吸着剤を製造する吸着剤の製造方法であって、
少なくとも表面付近が、組成式Ca10(PO(OH)で表されるアパタイトを主材料として構成された基材と、2価の金属元素、3価の金属元素、ランタノイド系金属元素およびアクチノイド系金属元素のうちの少なくとも1種の金属元素のイオンを含む溶液とを、接触させることにより、Caの少なくとも一部を、前記金属元素で置換する置換工程と、
前記金属元素による置換後の前記基材を、温度200〜400℃×時間0.5〜10時間で熱処理する熱処理工程とを経て製造され、
かつ、前記置換工程から、前記吸着剤の完成までに、前記熱処理工程以外の熱処理を行うことなく製造されることを特徴とする吸着剤の製造方法。
これにより、目的とする化合物を選択的に吸着することが可能であり、かつ溶出液等の液体に対する安定性や、前記化合物を吸着・分離する際の再現性に優れた吸着剤を得ることができる。
) 上記(1)または(2)に記載の吸着剤の製造方法により製造されたことを特徴とする吸着剤。
これにより、置換した前記金属元素が溶出液等の液体へ溶出するのを、より確実に阻止することができる。その結果、前記液体に対する安定性や、前記化合物を選択的に吸着・分離する際の再現性に優れた吸着剤を得ることができる。
) 吸着剤充填空間を有するカラムと、前記吸着剤充填空間の少なくとも一部に充填された上記()に記載の吸着剤を有することを特徴とする吸着装置。
これにより、溶出液等の液体に対する安定性や、前記化合物を選択的に吸着・分離する際の再現性に優れた吸着装置を得ることができる。
本発明の吸着剤の製造方法によれば、吸着剤の溶出液等の液体に対する安定性(耐溶剤性)や、目的とする化合物を選択的に吸着・分離する際の再現性を向上することができる。すなわち、吸着剤を構成するアパタイトの結晶格子中に、2価の金属元素、3価の金属元素、ランタノイド系金属元素およびアクチノイド系金属元素のうちの少なくとも1種の金属元素およびハロゲン元素が導入された状態で熱処理を行うことにより、この金属元素およびハロゲン元素は、強固に前記結晶格子内に保持され、耐溶剤性や再現性に優れた吸着剤とすることができる。
また、本発明の吸着剤の製造方法を用いることにより、容易かつ大量に本発明の吸着剤を製造することができる。
このため、かかる吸着剤を用いて吸着装置を構成することにより、カラムから流出する液体中への2価の金属元素、3価の金属元素、ランタノイド系金属元素およびアクチノイド系金属元素のうちの少なくとも1種の金属元素およびハロゲン元素(またはそれぞれのイオン)の混入が防止されるとともに、吸着剤の崩壊等による目詰まりが防止される。
以下、本発明の吸着剤の製造方法、吸着剤および吸着装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の吸着装置の実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「流入側」、下側を「流出側」と言う。
ここで、流入側とは、目的とする化合物を分離・精製する際に、例えば試料、溶出液等の液体を、本発明の吸着装置に供給する側のことを言い、一方、流出側とは、前記流入側と反対側、すなわち、前記液体が本発明の吸着装置から流出する側のことを言う。
図1に示す吸着装置1は、カラム2と、粒状の吸着剤3と、2枚のフィルタ部材4、5とを有している。
カラム2は、カラム本体21と、このカラム本体21の流入側端部および流出側端部に、それぞれ装着されるキャップ(蓋体)22、23とで構成されている。
カラム本体21は、例えば円筒状の部材で構成されている。カラム本体21を含めカラム2を構成する各部(各部材)の構成材料としては、例えば、各種ガラス材料、各種樹脂材料、各種金属材料、各種セラミックス材料等が挙げられる。
カラム本体21には、その流入側開口および流出側開口を、それぞれ塞ぐようにフィルタ部材4、5を配置した状態で、その流入側端部および流出側端部に、それぞれキャップ22、23が螺合により装着される。
このような構成のカラム2では、カラム本体21と各フィルタ部材4、5とにより、吸着剤充填空間20が画成されている。そして、この吸着剤充填空間20の少なくとも一部に(本実施形態では、ほぼ満量で)、吸着剤3が充填されている。
また、カラム本体21に各キャップ22、23を装着した状態で、これらの間の液密性が確保されるように構成されている。
各キャップ22、23のほぼ中央には、それぞれ、流入管24および流出管25が液密に固着(固定)されている。この流入管24およびフィルタ部材4を介して吸着剤3に、例えば試料、溶出液等の液体が供給される。また、吸着剤3に供給された液体は、吸着剤3同士の間(間隙)を通過して、フィルタ部材5および流出管25を介して、カラム2外へ流出する。このとき、試料に含まれる各成分(化合物)は、吸着剤3に対する吸着性の差異に基づいて相互に分離される。
各フィルタ部材4、5は、それぞれ、吸着剤充填空間20から吸着剤3が流出するのを防止する機能を有するものである。これらのフィルタ部材4、5は、それぞれ、例えば、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエーテルポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂からなる不織布、発泡体(連通孔を有するスポンジ状多孔質体)、織布、メッシュ等で構成されている。
吸着剤3は、その少なくとも表面付近が、主として組成式Ca10(POOHで表されるアパタイト(ハイドロキシアパタイト)の少なくとも一部のCaが2価の金属元素、3価の金属元素、ランタノイド系金属元素およびアクチノイド系金属元素のうちの少なくとも1種の金属元素(すなわち、アルカリ金属元素を除く金属元素)で、好ましくは少なくとも一部の水酸基がハロゲン元素で置換され、さらに温度50〜400℃×時間0.5〜10時間の処理条件で熱処理がされてなるものである。
このアパタイトは、Caの少なくとも一部が2価の金属元素、3価の金属元素、ランタノイド系金属元素およびアクチノイド系金属元素のうちの少なくとも1種の金属元素(以下、単に「金属元素」という。)で置換されることにより、前記金属元素に対して高い親和性(高い結合力)で結合し得る部分を有する化合物が、特異的に吸着剤3に吸着するようになる。その結果、吸着剤3は、他の化合物に比較して、前記金属元素に対して高い親和性で結合し得る部分を有する化合物に対する選択性を示すようになる。
ここで、前記金属元素に対して特異的に吸着(結合)する化合物としては、非共有電子対を少なくとも2つ有するものが挙げられる。このものは、非共有電子対を有する部分(例えば、置換基や側鎖等)が前記金属元素との間に配位結合を形成(キレートを形成)する。この結合は、通常の吸着(電気的な結合)より強固なものとなるため、Caの少なくとも一部を前記金属元素で置換したアパタイトで構成される吸着剤3を用いることにより、前記化合物を確実に吸着させ、他の化合物と相互に分離して、精製すること(単離すること)ができる。
また、非共有電子対を少なくとも2つ有する化合物には、各種のものがあるが、特に、含硫アミノ酸、複素環式アミノ酸およびこれらのアミノ酸をアミノ酸残基として有するポリペプチドは、前記金属元素とのキレート形成能に優れる。換言すれば、吸着剤3は、含硫アミノ酸、複素環式アミノ酸またはこれらをアミノ酸残基として有するポリペプチドの1種または2種以上に対して高い特異的吸着能を示す。
その中でも、含硫アミノ酸ではシステインが、複素環式アミノ酸ではヒスチジンまたはトリプトファンが、それぞれ、前記金属元素とのキレート形成能に極めて優れる。したがって、吸着剤3は、これらのアミノ酸またはこれらのアミノ酸をアミノ酸残基として比較的多く有するポリペプチド(タンパク質)の分離・精製に好適に使用することができる。なお、前記タンパク質の具体例としては、例えば、ミオグロビンや、複数のシステイン、ヒスチジンまたはトリプトファンからなるポリペプチドをタグとして導入(付加)されたリコンビナントタンパク質等が挙げられる。
また、前記金属元素としては、各種のものがあるが、特に、2価の遷移金属元素の少なくとも1種であるのが好ましい。2価の遷移金属元素は、アパタイトが有するCaと置換し易く、アパタイトの結晶格子内に効率よく導入される。また、2価の遷移金属元素は、アミノ酸との特に高い親和性を示すので、これらのアミノ酸またはこれらをアミノ酸残基として有するタンパク質を高精度で吸着することができる。
特に、2価の遷移金属元素としては、Zn、Ni、CoおよびCuのうちの少なくとも1種を主とするものがより好ましい。アパタイトが有するCaをZn、Ni、CoおよびCuのうちの少なくとも1種に置換することにより、前述したような効果が顕著に発揮される。
前記アパタイト中の前記金属元素への置換率は、特に限定されるものではないが、0.01wt%以上であるのが好ましく、0.1〜10wt%程度であるのがより好ましい。前記置換率が小さ過ぎると、前記金属元素の種類等によっては、吸着剤3に、前述した化合物の特異的吸着能を十分に付与することができないおそれがある。また、前記置換率をかかる範囲内に設定することにより、アパタイトが緻密化する際に、この結晶格子内に前記金属元素を確実に担持させることができる。
また、前記アパタイトは、水酸基が無置換のものであってもよいが、その少なくとも一部がハロゲン基で置換されているのが好ましい。これにより、アパタイトを構成する各元素(イオン)の間の結合力が増大し、アパタイト(吸着剤3)の溶出液等の液体に対する安定性(特に耐酸性)を向上させて、吸着剤3は、目的とする化合物(タンパク質等)を吸着・分離する際の再現性に優れたものとなる。
ハロゲン元素としては、F、Cl、Br、I、Atのうちの1種または2種以上を適宜選択することができるが、これらの中でも、特に、Fを主とするものが好ましい。フッ化物イオンは、他のハロゲン化物イオンと比較して、電気陰性度が高いため、水酸基の少なくとも一部をフルオロ基で置換することにより、前記効果をより向上させることができる。
前記アパタイト中のハロゲン元素への置換率は、できるだけ大きい方が好ましく、特に限定されるものではないが、30%以上であるのが好ましく、50%以上であるのがより好ましい。前記置換率が小さ過ぎると、ハロゲン元素の種類等によっては、吸着剤3の溶出液等の液体に対する安定性や再現性を十分に向上させることができないおそれがある。
以上のような吸着剤3の形態(形状)は、粒状(顆粒状)のものであるのが好ましいが、その他、例えばペレット状(小塊状)、ブロック状(例えば、隣接する空孔同士が互いに連通する多孔質体、ハニカム形状)等とすることもできる。吸着剤3を粒状とすることにより、その表面積を増大させることができ、前述した化合物の吸着量をより増大させることができる。
粒状の吸着剤3の平均粒径は、特に限定されないが、0.5〜150μm程度であるのが好ましく、1〜40μm程度であるのがより好ましい。このような平均粒径の吸着剤3を用いることにより、カラムの目詰まりを確実に防止しつつ、吸着剤3の表面積を十分に確保することができる。
なお、吸着剤3は、その全体が前記金属元素とハロゲン元素により置換されたアパタイトで構成されたものであってもよく、その表面付近が前記アパタイトで構成されたものであってもよい。
また、本実施形態のように、吸着剤3を吸着剤充填空間20にほぼ満量充填する場合には、吸着剤3は、吸着剤充填空間20の各部において、ほぼ同一の組成をなしているのが好ましい。これにより、吸着装置1は、前述した化合物の分離・精製能が特に優れたものとなる。
なお、吸着剤充填空間20の一部(例えば流入管24側の一部)に吸着剤3を充填し、その他の部分には他の吸着剤を充填するようにしてもよい。
このような吸着装置1は、例えば、吸着剤3を製造しておき、得られた吸着剤3を吸着剤充填空間20に充填することにより製造される。
1.吸着剤の製造
まず、吸着剤を製造する方法(本発明の吸着剤の製造方法)について説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の吸着剤の製造方法の第1実施形態について説明する。
第1実施形態の吸着剤の製造方法では、吸着剤3は、少なくとも表面付近が、組成式Ca10(PO((OH)1−a[ただし、Xはハロゲン元素の少なくとも1種を示し、0≦a≦1である。]で表されるアパタイトを主材料として構成された基材と、前記金属元素の少なくとも1種のイオンを含む溶液(以下、「溶液A」と言う。)とを接触させることにより、前記アパタイトが有するCaの少なくとも一部を前記金属元素に置換させる置換工程と、前記金属元素による置換後の前記基材を、温度50〜400℃×時間0.5〜10時間で熱処理する熱処理工程とを経て製造され、かつ、前記置換工程から、吸着剤3の完成までに、500℃を超える温度に4時間以上晒されることなく製造される。
以下、各工程について説明する。
[1]置換工程
まず、前記基材と前記溶液Aとを接触させる。
基材と溶液Aとを接触させる方法(接触方法)としては、例えば、基材を溶液Aに浸漬する方法、基材に溶液Aを噴霧(シャワー)する方法、基材に溶液Aを塗布する方法(塗布法)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、接触方法としては、基材を溶液Aに浸漬する方法(浸漬法)が好適である。かかる浸漬法によれば、同時に大量の基材を処理することができる。
以下では、接触方法の代表として、浸漬法について説明する。
まず、前記基材を前記溶液A内に浸漬して、アパタイトが有するCaを前記金属元素で置換する。
用いる溶液Aの1L中における前記金属元素のイオンの含有量は、前記アパタイト1mmolに対して、0.01〜10mmol程度であるのが好ましい。特に、浸漬法を用いる場合には、0.05〜5mmol程度であるのが好ましく、0.1〜1mmol程度であるのがより好ましい。含有量が少な過ぎると、基材と前記金属元素のイオンとが接触する機会が減少することにより、アパタイトが有するCaを前記金属元素で置換するのに要する時間が必要以上に長くなるおそれがあり、一方、含有量を前記上限値を超えて多くしても、それ以上のCaの前記金属元素のイオンへの置換効率の増大が期待できない。
基材の溶液Aへの浸漬時間(接触時間)は、特に限定されないが、イオンの含有量を前記範囲とする場合には、0.1〜10時間程度であるのが好ましく、2〜6時間程度であるのがより好ましい。このような浸漬時間で、前記金属元素のイオンは、より効率よく前記アパタイトが有するCaと置換され、前記アパタイトの結晶構造中に導入される。
溶液Aの温度は、常温程度であればよく、特に限定されないが、10〜40℃程度であるのが好ましく、15〜25℃程度であるのがより好ましい。
また、基材の溶液Aへの浸漬は、例えば攪拌、揺動等の振動を、溶液Aに付与しつつ行うようにしてもよい。これにより、前記金属元素のイオンの前記アパタイトの結晶構造中への導入効率の増大が期待できる。
なお、接触方法として、浸漬法以外の方法(前述したような他の方法)を用いる場合には、アパタイトが有するCaの前記金属元素への置換率が所望のものとなるように、前記溶液Aの濃度や温度、溶液Aを基材に噴霧する回数や塗布する回数等の各種条件を適宜調整するようにすればよい。
[2]洗浄工程
次に、アパタイトが有するCaの少なくとも一部を前記金属元素で置換した後の基材(以下、「置換後の基材」という。)を、溶液Aから取り出した後、洗浄する。
これにより、置換後の基材から前記金属元素のうち未置換のものを除去する。
前記金属元素による置換後の前記基材を洗浄する洗浄液としては、例えば、水、超純水、各種バッファー、およびイオン交換水等が好適に用いられる。
なお、この洗浄工程は、必要に応じて行えばよく、省略することもできる。
[3]熱処理工程
次に、置換後の基材を、温度50〜400℃×時間0.5〜10時間の処理条件で熱処理する。この処理条件により、本発明の効果が得られる理由は定かではないが、以下の理由によるものと推測できる。
すなわち、置換後の基材が乾燥されるとともに、置換後の基材が適度に緻密化して、置換した前記金属元素が基材により強固に担持されるものと考えられる。
ここで、未熱処理の吸着剤や、前述した時間範囲内において50℃未満の低温で熱処理を施した吸着剤は、本発明の吸着剤3に比して、前記金属元素が吸着剤の表面で露出することなく、その結晶格子内に取り込まれた状態となっている。そのため、吸着剤に含まれるもののうち、負に帯電するリン酸サイトによる影響が目的とする化合物に対して大きくなることから、この化合物(負に帯電する傾向が高いタンパク質等)と反発し合うこととなる。
さらに、これらの吸着剤は、十分に緻密化されていないことから、置換した前記金属元素が脱離し易い傾向にあり、溶出液等の液体へ容易に溶出してしまうこととなる。
また、従来のように置換後の基材に対して、前述した時間範囲内において高温度(400℃を上回る温度;例えば、800℃程度)で熱処理を施した場合には、置換後の基材が緻密化され過ぎること、すなわち、アパタイトの結晶構造が引き締まり過ぎることとなる。その結果、置換した前記金属元素がアパタイトの結晶格子内から押し出されることが一因となって、吸着剤から置換した前記金属元素が脱離して、溶出液等の液体へ容易に溶出してしまう。
これに対して、本発明の吸着剤の製造方法では、置換後の基材を、50℃以上の温度で0.5〜10時間の間熱処理する。これにより、置換後の基材が適度に緻密化して、置換した前記金属元素をアパタイトの結晶格子内で強固に担持することができる。また、置換後の基材が適度に緻密化することにより、吸着剤3の強度も向上する。
また、本発明の吸着剤の製造方法では、400℃以下の温度で0.5〜10時間の間熱処理を行うので、置換した前記金属元素が結晶格子内から押し出されて、溶出液等の液体へ溶出するようになるのも確実に阻止することができる。
この熱処理における温度(熱処理温度)は、50〜400℃、好ましくは100〜400℃程度、より好ましくは、200〜300℃程度とされる。熱処理温度が、前記下限値未満の場合には、前述したように、置換後の基材の緻密化が行われず、置換した前記金属元素が容易に基材から脱離して、各種液体へ溶出してしまうおそれがある。また、熱処理温度を、前記上限値を超えて高くすると、前述したように、置換後の基材が緻密化され過ぎて、前記金属元素が押し出されることに起因して、置換した前記金属元素が容易に基材から脱離して、各種液体へ溶出してしまうおそれがあり、好ましくない。
また、熱処理時間は、前述したような温度範囲内において、0.5時間〜10時間、好ましくは2〜10時間程度、より好ましくは3〜7時間程度とされる。
熱処理時間をかかる範囲内に設定することにより、置換後の基材が十分に緻密化して、得られた吸着剤3に前記金属元素を強固に担持させることができる。さらに、置換した前記金属元素がアパタイトの結晶格子内から押し出されるようになるのを確実に防止して、置換した前記金属元素の吸着剤3から液体への溶出を好適に防止または抑制することができる。
また、熱処理雰囲気は、大気、酸素ガスを主成分とする混合ガス等の酸性化雰囲気、窒素ガス雰囲気や、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガス雰囲気等のいずれであってもよいが、酸化性雰囲気であるのが好ましい。熱処理雰囲気を酸性化雰囲気とすることにより、置換後の基材がより緻密化することとなる。その結果、得られた吸着剤3に前記金属元素を確実に担持させることができる。
また、本工程を比較的高い温度を経て行う場合には、2回の段階に分けて熱処理を行うようにするのが好ましい。すなわち、50〜400℃の温度範囲において、250℃以下の比較的低温で熱処理を行う第1の段階と、それよりも高温で熱処理を行う第2の段階とをこの順で経るようにするのが好ましい。これにより、置換後の基材が乾燥して緻密化する際に、この緻密化が徐々(段階的)に行われることから、前記金属元素をアパタイトの結晶格子内でより強固に担持することができる。その結果、置換した前記金属元素の液体への溶出をより確実に阻止することができる。
これら第1の段階と第2の段階との熱処理における温度差は、前記金属元素の種類によっても若干異なるが、50℃以上であるのが好ましく、50〜100℃程度であるのがより好ましい。これにより、前述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
また、これら第1の段階と第2の段階との熱処理の時間差は、特に限定されないが、第1の段階の時間を第2の段階の時間よりも比較的短く設定するのが好ましい。
具体的には、第1の段階の時間をA[時間]とし、第2の段階の時間をB[時間]したとき、A/(A+B)が0.1〜0.4なる関係を満足するのが好ましく、0.2〜0.3なる関係を満足するのがより好ましい。これにより、不安定な状態で結晶格子内に担持されている前記金属元素を、第1の段階の熱処理により比較的安定な状態とした後に、第2の段階の熱処理により、置換後の基材の緻密化を行うので、この基材の緻密化を段階的に行うことの効果をより顕著に発揮させることができる。
なお、このように熱処理を段階的に行う際には、前記のように2回に分ける場合に限定されず、3回以上に分けるようにしてもよい。
以上のようにして吸着剤3が製造される。
ここで、本実施形態のような工程を経ることにより、前記置換工程から、吸着剤3の完成までに、500℃を超える温度に4時間以上晒すことなく吸着剤3を製造することができる。
また、吸着剤3は、460℃を超える温度に4時間以上晒すことなく製造されるのが好ましく、430℃を超える温度に4時間以上晒すことなく製造されるのがより好ましい。かかる条件を満足して吸着剤3を製造することにより、吸着剤3が過度に緻密化されることに起因して、吸着剤3に担持された前記金属元素が結晶格子内から押し出されるようになるのを確実に防止することができる。その結果、前記金属元素の前記液体への溶出を確実に阻止することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の吸着剤の製造方法の第2実施形態について説明する。
なお、以下では、第2実施形態の吸着剤の製造方法について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態では、置換工程が異なり、それ以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、第2実施形態の置換工程では、少なくとも表面付近が、組成式Ca10(PO(OH)で表されるアパタイトを主材料として構成された基材に、前記第1実施形態と同様の溶液Aおよびハロゲン元素の少なくとも1種のイオンを含む溶液(以下、「溶液B」と言う。)とを、順次、接触させることにより、アパタイトが有するCaおよびOHの少なくとも一部を、それぞれ前記金属元素および前記ハロゲン元素に置換させる。
なお、本実施形態においても、基材と溶液Aおよび溶液Bを接触させる方法(接触方法)として、浸漬法を代表して説明する。
まず、基材を前記第1実施形態と同様にして溶液Aに浸漬して、アパタイトが有するCaを前記金属元素で置換して、その後、溶液Aから取り出して、溶液Bに浸漬させて、アパタイトが有するOHをハロゲン元素で置換する。
用いる溶液Bの1L中におけるハロゲン元素のイオンの含有量は、前記アパタイト1molに対して、0.1〜2mmol程度であるのが好ましい。特に、浸漬法を用いる場合には、1〜1.5mmol程度であるのが好ましく、1〜1.2mmol程度であるのがより好ましい。含有量が少な過ぎると、基材とハロゲン元素のイオンが接触する機会が減少することにより、アパタイトが有する水酸基をハロゲン基で置換するのに要する時間が必要以上に長くなるおそれがあり、一方、含有量を前記上限値を超えて多くしても、それ以上の水酸基のハロゲン基への置換効率の増大が期待できない。
基材の溶液Bへの浸漬時間(接触時間)も、特に限定されないが、イオンの含有量を前記範囲とする場合には、1〜6時間程度であるのが好ましく、2〜6時間程度であるのがより好ましい。このような浸漬時間で、ハロゲン元素のイオンは、より効率よく前記アパタイトが有するOHと置換され、前記アパタイトの結晶構造中に導入される。
溶液Bの温度は、常温程度であればよく、特に限定されないが、10〜40℃程度であるのが好ましく、15〜25℃程度であるのがより好ましい。
なお、基材の溶液Aおよび溶液Bへの浸漬は、繰り返し行ってもよい。また、基材に溶液Aと溶液Bとに浸漬させる順序は逆であってもよく、ほぼ同時(すなわち、溶液Aと溶液Bとの混合液)に浸漬させるようにしてもよい。
また、前記第1実施形態と同様に、接触方法としては、浸漬法の他、例えば、基材に溶液Aおよび溶液Bを噴霧(シャワー)する方法、基材に溶液Aおよび溶液Bを塗布する方法(塗布法)等を任意に組み合わせて用いるようにしてもよい。
2.吸着剤の吸着剤充填空間への充填
吸着剤3は、公知の乾式充填法または湿式充填法により、吸着剤充填空間20に充填することができるが、特に、湿式充填法を用いるのが好ましい。
湿式充填法による吸着剤3の吸着剤充填空間20への充填は、次のようにして行われる。すなわち、まず、例えばカラム本体21の流出側開口を塞ぐようにフィルタ部材5を配置し、流出側端部にキャップ23を螺合により装着する。次に、例えば蒸留水に吸着剤3を分散(懸濁)させ、均一なスラリーとして吸着剤充填空間20に充填する。これにより、吸着剤3は、吸着剤充填空間20にムラなく均一に充填される。次に、カラム本体21の流入側開口を塞ぐようにフィルタ部材4を配置し、流入側端部にキャップ22を螺合により装着する。
ここで、吸着剤3(本発明の吸着剤)が吸着剤充填空間20に充填された吸着装置1は、吸着剤3の緻密化が十分に進行しているので、置換した前記金属元素および/またはハロゲン元素の各種液体への溶出を確実に阻止することができる。これにより、吸着剤3の耐溶剤性(特に耐酸性)を向上させるとともに、その吸着能を長期間に亘って維持することができることから、再現性にも優れる。また、吸着剤3の耐溶剤性が向上することにより、アパタイトの崩壊が好適に防止または抑制されることから、吸着装置1のフィルタ部材5の目詰まりも確実に防止される。
以上のようにして、吸着装置1が得られる。
次に、この吸着装置1の使用方法の一例について、タンパク質(ポリペプチド)を分離・精製する場合を代表に説明する。
まず、試料として、複数種のタンパク質を緩衝液に溶解した溶液を用意する。そして、この試料を、流入管24およびフィルタ部材4を介して吸着剤3に供給して、カラム2内を通過させる。これにより、吸着剤3に吸着しない成分または吸着能の低い成分(化合物)は、フィルタ部材5および流出管25を介してカラム2内から流出し、吸着剤3に対する吸着能の高い成分は、カラム2内に保持される。
ここで、緩衝液には、例えば、リン酸緩衝液、Tris−HCl緩衝液、good buffer、イミダゾール緩衝液等を用いることができる。
次に、流入管24からカラム2内へ溶出液を供給し、カラム2の流出管25から流出する溶出液を採取する。
この溶出液には、吸着剤3に吸着したタンパク質よりも吸着剤3に対する吸着能が高い物質(競合試薬)、キレート剤等を含有する緩衝液、前記緩衝液より塩濃度の高い緩衝液、前記緩衝液よりpHの低い(pH4.5〜6程度)の緩衝液等を用いることができる。また、溶出液は、溶質の濃度を経時的に変化させつつカラム2内へ供給(吸着剤充填空間20に通液)するようにしてもよい。
吸着剤3に溶出液が接触すると、吸着剤3に吸着したタンパク質は、吸着剤3から離脱して、溶出液中に混入し、流出管25から流出する溶出液中に回収される。
以上、本発明の吸着剤の製造方法、吸着剤および吸着装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.吸着装置の製造
以下に示す実施例1〜3および比較例1〜4の吸着装置を、それぞれ製造した。
(実施例1)
[基材形成工程]
公知の湿式合成法によりハイドロキシアパタイトを合成し、ハイドロキシアパタイトスラリーを得た。
このハイドロキシアパタイトスラリーを噴霧乾燥して、平均粒径40μmの粉体を得た。
[置換工程]
次に、このハイドロキシアパタイト粉体(原料粉体)3.0gを、5mMのZn(NO水溶液150mLに浸漬した状態で6時間攪拌した。これにより、ハイドロキシアパタイト粉体が有するCaをZnに置換した粉体を得た。
[洗浄工程]
次に、得られた紛体を、Zn(NO水溶液から取り出し、イオン交換水で洗浄した。
[熱処理工程]
次に、この粉体を、大気中、200℃×1時間の条件で熱処理を施すことにより吸着剤を得た。
なお、元素分析法により、吸着剤の表面のハイドロキシアパタイトは、Caの1wt%がZnで置換されていることが確認された。
この元素分析法は、元素分析装置(島津製作所社製、「イオンクロマトHIC−SP」)を用いて行った。
[カラムの製造]
この吸着剤を、公知の湿式充填法により、カラム(内径4mm×長さ100mm)の吸着剤充填空間に充填した。
また、吸着剤充填空間に充填された吸着剤の量は、1g(約1mmol)であった。
(実施例2)
前記熱処理工程の後、さらに、大気中、300℃×4時間の条件で熱処理した以外は、前記実施例1と同様にして吸着剤を製造し、吸着装置を得た。
(実施例3)
前記熱処理工程の後、さらに、大気中、400℃×4時間の条件で熱処理した以外は、前記実施例1と同様にして吸着剤を製造し、吸着装置を得た。
(比較例1)
前記熱処理工程を省略して、前記粉体を、自然乾燥(25℃)させた以外は、前記実施例1と同様にして吸着剤を製造し、吸着装置を得た。
(比較例2)
前記熱処理工程の後、さらに、大気中、500℃×4時間の条件で熱処理した以外は、前記実施例1と同様にして吸着剤を製造し、吸着装置を得た。
(比較例3)
前記熱処理工程の後、さらに、大気中、600℃×4時間の条件で熱処理した以外は、前記実施例1と同様にして吸着剤を製造し、吸着装置を得た。
(比較例4)
前記熱処理工程の後、さらに、大気中、700℃×4時間の条件で熱処理した以外は、前記実施例1と同様にして吸着剤を製造し、吸着装置を得た。
2.評価
以下に示すようにして、実施例1〜3、比較例1〜4で製造した吸着装置について、それぞれ、アミノ酸の吸着特性を調べた。
まず、吸着装置のカラム内の液体を、10mMリン酸緩衝液(pH6.8)に置き換えた。
次に、ジ−ヒスチジン:1.0mg/mLとなるように、前記と同様のリン酸緩衝液に溶解した試料50μLをカラム内に供給して、カラム内を通過させた。
次に、リン酸緩衝液(pH6.8)を流速1mL/minで20分間、カラム内に供給した。なお、この際、リン酸緩衝液(pH6.8)は、その10mMリン酸緩衝液に対する400mMリン酸緩衝液の混合率が、0〜15分の間で0%〜100%まで増加するようにした。その後、10mMリン酸緩衝液(pH6.8)を流速1mL/minで20分間供給し、カラムを初期状態に戻した。
なお、カラム内から流出するリン酸緩衝液の波長230nmにおける吸光度を測定して、カラム内からジ−ヒスチジンが溶出する時間(溶出時間)を求めた。
この操作を、各実施例および各比較例の吸着装置について、それぞれ、5回繰り返して行った。
その結果を図2〜4および表1に示す。
なお、図2〜4は、各実施例、および各比較例で測定された、カラム内から流出するリン酸緩衝液の波長230nmにおける吸光度曲線である。
また、表1中の溶出時間は、それぞれ、各実施例および各比較例で測定された吸光度曲線においてピークが認められた時間から求めた。
Figure 0005179715
表1に示すように、各実施例の吸着装置では、いずれも、ジ−ヒスチジンの溶出が認められた溶出時間が1回目の測定と5回目の測定とでほぼ等しかった。
これに対して、各比較例の吸着装置では、いずれも、1回目の測定と5回目の測定との間で溶出時間にバラツキが生じた。
この結果は、各実施例の吸着剤が、熱処理により緻密化されたことにより、前記金属元素がアパタイトの構造内に強固に保持され、溶出液等の液体に対してより高い安定性を有するようになったことを示唆するものである。
また、各実施例について、さらに上述したような操作を繰り返して行ったが、実施例3の溶出時間に若干のバラツキが認められたものの、実施例1および実施例2の溶出時間には、バラツキが殆ど認められなかった。
さらに、前記金属元素として、Znに代えて、Ni、CoおよびCuを、それぞれ、用いた以外は、前記実施例1〜3および前記比較例1〜4と同様にして吸着剤を製造し、吸着装置を得た。これらの吸着装置に対して、前記の評価方法と同様にして、ジ−ヒスチジンの溶出時間を測定して評価したが、前記と同様の結果が得られた。
また、カラム内を通過させるアミノ酸として、ジ−ヒスチジンに代えて、ヘキサ−ヒスチジンを用いた以外は、前記の評価方法と同様にして、前記実施例1〜3および前記比較例1〜4の吸着装置に対して、ヘキサ−ヒスチジンの溶出時間を測定して評価したが、前記と同様の結果が得られた。
本発明の吸着装置の実施形態を示す縦断面図である。 実施例1〜3において測定された、カラム内から流出するリン酸緩衝液の波長230nmにおける吸光度曲線である。 比較例1〜3において測定された、カラム内から流出するリン酸緩衝液の波長230nmにおける吸光度曲線である。 比較例4において測定された、カラム内から流出するリン酸緩衝液の波長230nmにおける吸光度曲線である。
符号の説明
1 吸着装置
2 カラム
20 吸着剤充填空間
21 カラム本体
22、23 キャップ
24 流入管
25 流出管
3 吸着剤
4、5 フィルタ部材

Claims (4)

  1. 目的とする化合物を選択的に吸着する吸着剤を製造する吸着剤の製造方法であって、
    少なくとも表面付近が、組成式Ca10(PO((OH)1−a[ただし、Xはハロゲン元素の少なくとも1種を示し、0≦a≦1である。]で表されるアパタイトを主材料として構成された基材と、2価の金属元素、3価の金属元素、ランタノイド系金属元素およびアクチノイド系金属元素のうちの少なくとも1種の金属元素のイオンを含む溶液とを接触させることにより、前記アパタイトが有するCaの少なくとも一部を前記金属元素で置換する置換工程と、
    前記金属元素による置換後の前記基材を、温度200〜400℃×時間0.5〜10時間で熱処理する熱処理工程とを経て製造され、
    かつ、前記置換工程から、前記吸着剤の完成までに、前記熱処理工程以外の熱処理を行うことなく製造されることを特徴とする吸着剤の製造方法。
  2. 目的とする化合物を選択的に吸着する吸着剤を製造する吸着剤の製造方法であって、
    少なくとも表面付近が、組成式Ca10(PO(OH)で表されるアパタイトを主材料として構成された基材と、2価の金属元素、3価の金属元素、ランタノイド系金属元素およびアクチノイド系金属元素のうちの少なくとも1種の金属元素のイオンを含む溶液とを、接触させることにより、Caの少なくとも一部を、前記金属元素で置換する置換工程と、
    前記金属元素による置換後の前記基材を、温度200〜400℃×時間0.5〜10時間で熱処理する熱処理工程とを経て製造され、
    かつ、前記置換工程から、前記吸着剤の完成までに、前記熱処理工程以外の熱処理を行うことなく製造されることを特徴とする吸着剤の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の吸着剤の製造方法により製造されたことを特徴とする吸着剤。
  4. 吸着剤充填空間を有するカラムと、前記吸着剤充填空間の少なくとも一部に充填された請求項に記載の吸着剤を有することを特徴とする吸着装置。
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