JP4617175B2 - 吸着剤および吸着装置 - Google Patents

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Description

本発明は、吸着剤および吸着装置に関するものである。
ハイドロキシアパタイトは、生体親和性に優れることから、従来から、タンパク質等を吸着・分離する液体クロマトグラフィー用カラム(吸着装置)に使用する吸着剤として広く利用されている(例えば、特許文献1参照。)。
ところが、ハイドロキシアパタイト製の吸着剤は、強度や耐溶剤性が低く、吸着剤の崩壊等により液体クロマトグラフィー用カラムの目詰まりが早期に生じるという問題(すなわち、耐久性に劣るという問題)や、各種タンパク質を非特異的に吸着してしまい、特定のタンパク質を選択的に吸着させることが困難であるという問題があった。
特開平08−211041号公報
本発明の目的は、目的とする化合物を、選択的に吸着することができる吸着剤、および、目的とする化合物を、容易かつ確実に分離・精製することができる吸着装置を提供することにある。
このような目的は、下記の(1)〜()の本発明により達成される。
(1) 少なくとも表面付近が、主として下記組成式(I)で表されるアパタイトで構成され、非共有電子対を少なくとも2つ有するアミノ酸およびこのアミノ酸をアミノ酸残基として有するポリペプチドのうちの少なくとも1種である化合物を選択的に吸着することを特徴とする吸着剤。
(Ca1−a10(PO((OH)1−b ・・・(I)
[ただし、組成式(I)中、Mは希土類金属元素のうちの少なくとも1種を示し、Xはハロゲン元素のうちの少なくとも1種を示し、0<a≦1、0≦b≦1である。]
このような構成により、Mに対して高い親和性(高い結合力)で結合し得る部分を有する化合物(例えば非共有電子対を少なくとも2つ有するアミノ酸およびこのアミノ酸をアミノ酸残基として有するポリペプチドのうちの少なくとも1種である化合物)のような目的とする化合物が、特異的に結合するようになる。その結果、かかる化合物に対する高い選択能が得られる。
) 前記アミノ酸は、含硫アミノ酸および複素環式アミノ酸のうちの少なくとも1種である上記()に記載の吸着剤。
これらのものは、Mとのキレート形成能に優れる。
) 吸着剤充填空間を有するカラムと、前記吸着剤充填空間の少なくとも一部に充填された上記(1)または(2)に記載の吸着剤とを有することを特徴とする吸着装置。
これにより、Mとのキレート形成能に優れる部分を有する化合物(目的とする化合物)を、容易かつ確実に分離・精製すること、すなわち、高収率かつ高純度で回収することができる。
本発明の吸着剤によれば、目的とする化合物を、高い選択性をもって吸着することができる。このため、かかる吸着剤を用いて吸着装置を構成することにより、目的とする化合物を高収率かつ高純度で回収することができる。
また、吸着剤を構成するアパタイトの結晶格子中に、前記化合物の吸着(結合)サイトである希土類金属元素が導入されているため、この金属元素の吸着剤からの離脱が防止され、カラムから流出する液体中への希土類金属元素(またはそのイオン)の混入が防止されるとともに、吸着剤の吸着能が長期に亘って維持される。
また、アパタイトが有するCaと置換する希土類金属元素の種類を適宜選択することにより、分離・精製を目的とする化合物の種類を選択することができる。例えば、希土類金属元素として、Smを選択することにより、吸着剤のヒスチジンに対する特異的吸着能を向上させることができる。
したがって、かかる吸着剤を備える吸着装置を用いることにより、例えばヒスチジンタグが導入されたリコンビナントタンパク質等の分離・精製を好適に行うことができる。
また、以上のような吸着装置を、本発明の吸着装置の製造方法を用いることにより、容易かつ短時間で製造することができる。
以下、本発明の吸着剤および吸着装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の吸着装置の実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「流入側」、下側を「流出側」と言う。
ここで、流入側とは、目的とする化合物を分離・精製する際に、例えば試料、溶出液等の液体を、本発明の吸着装置に供給する側のことを言い、一方、流出側とは、前記流入側と反対側、すなわち、前記液体が本発明の吸着装置から流出する側のことを言う。
図1に示す吸着装置1は、カラム2と、粒状の吸着剤3と、2枚のフィルタ部材4、5とを有している。
カラム2は、カラム本体21と、このカラム本体21の流入側端部および流出側端部に、それぞれ装着されるキャップ(蓋体)22、23とで構成されている。
カラム本体21は、例えば円筒状の部材で構成されている。カラム本体21を含めカラム2を構成する各部(各部材)の構成材料としては、例えば、各種ガラス材料、各種樹脂材料、各種金属材料、各種セラミックス材料等が挙げられる。
カラム本体21には、その流入側開口および流出側開口を、それぞれ塞ぐようにフィルタ部材4、5を配置した状態で、その流入側端部および流出側端部に、それぞれキャップ22、23が螺合により装着される。
このような構成のカラム2では、カラム本体21と各フィルタ部材4、5とにより、吸着剤充填空間20が画成されている。そして、この吸着剤充填空間20の少なくとも一部に(本実施形態では、ほぼ満量で)、吸着剤3が充填されている。
また、カラム本体21に各キャップ22、23を装着した状態で、これらの間の液密性が確保されるように構成されている。
各キャップ22、23のほぼ中央には、それぞれ、流入管24および流出管25が液密に固着(固定)されている。この流入管24およびフィルタ部材4を介して吸着剤3に、例えば試料、溶出液等の液体が供給される。また、吸着剤3に供給された液体は、吸着剤3同士の間(間隙)を通過して、フィルタ部材5および流出管25を介して、カラム2外へ流出する。このとき、試料に含まれる各成分(化合物)は、吸着剤3に対する吸着性の差異に基づいて相互に分離される。
各フィルタ部材4、5は、それぞれ、吸着剤充填空間20から吸着剤3が流出するのを防止する機能を有するものである。これらのフィルタ部材4、5は、それぞれ、例えば、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエーテルポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂からなる不織布、発泡体(連通孔を有するスポンジ状多孔質体)、織布、メッシュ等で構成されている。
さて、本発明では、吸着剤充填空間20に充填された吸着剤3の構成に特徴を有する。以下、この点(特徴)について詳述する。
吸着剤3は、主としてその少なくとも表面付近が、下記組成式(I)で表されるアパタイトで構成されている。
(Ca1−a10(PO((OH)1−b ・・・(I)
[ただし、組成式(I)中、Mは希土類金属元素のうちの少なくとも1種を示し、Xはハロゲン元素のうちの少なくとも1種を示し、0<a≦1、0≦b≦1である。]
このアパタイトは、Caの少なくとも一部がMで置換されてなるものである。これにより、Mに対して高い親和性(高い結合力)で結合し得る部分を有する化合物が、特異的に吸着剤3に吸着するようになる。その結果、吸着剤3は、他の化合物に比較して、Mに対して高い親和性で結合し得る部分を有する化合物に対する選択性を示すようになる。
そして、この吸着剤3では、特に、吸着サイトとなるMが、アパタイトの結晶構造中にCaに置換して導入されている。したがって、Mが吸着剤3に強固に保持され、吸着剤3からの離脱が防止される。その結果、カラム2(吸着装置1)から流出する液体中へのM(またはそのイオン)の混入が防止されるとともに、吸着剤3の吸着能が長期間に亘って維持される。
ここで、Mに対して特異的に吸着(結合)する化合物としては、非共有電子対を少なくとも2つ有するものが挙げられる。このものは、非共有電子対を有する部分(例えば、置換基や側鎖等)がMとの間に配位結合を形成(キレートを形成)する。この結合は、通常の吸着(電気的な結合)より強固なものとなるため、Caの少なくとも一部をMで置換したアパタイトで構成される吸着剤3を用いることにより、前記化合物を確実に吸着させ、他の化合物と相互に分離して、精製すること(単離すること)ができる。
また、非共有電子対を少なくとも2つ有する化合物には、各種のものがあるが、特に、含硫アミノ酸、複素環式アミノ酸およびこれらのアミノ酸をアミノ酸残基として有するポリペプチドは、Mとのキレート形成能に優れる。換言すれば、吸着剤3は、含硫アミノ酸、複素環式アミノ酸またはこれらをアミノ酸残基として有するポリペプチドの1種または2種以上に対して高い特異的吸着能を示す。
その中でも、含硫アミノ酸ではシステインが、複素環式アミノ酸ではヒスチジンまたはトリプトファンが、それぞれ、Mとのキレート形成能に極めて優れる。したがって、吸着剤3(吸着装置1)は、これらのアミノ酸またはこれらのアミノ酸をアミノ酸残基として比較的多く有するポリペプチド(タンパク質)の分離・精製に好適に使用することができる。なお、前記タンパク質の具体例としては、例えば、ミオグロビンや、複数のシステイン、ヒスチジンまたはトリプトファンからなるポリペプチドをタグとして導入(付加)されたリコンビナントタンパク質等が挙げられる。
また、Mとしては、Sc、Y、ランタノイド系の金属元素が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を適宜選択することができる。
ここで、ランタノイド系の金属元素としては、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu、ミッシュメタルが挙げられるが、Mとしては、ランタノイド系の金属元素のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。ランタノイド系の金属元素は、アパタイトが有するCaと置換し易く、アパタイトの結晶格子内に効率よく導入される。また、ランタノイド系の金属元素は、前述したアミノ酸との特に高い親和性を示すので、これらのアミノ酸またはこれらをアミノ酸残基として有するタンパク質を高精度で吸着することができる。
特に、Mとしては、Smを主とするランタノイド系の金属元素がより好ましい。アパタイトが有するCaをSmに置換することにより、前述したような効果が顕著に発揮される。
また、Caを主にSmで置換する場合、その割合は、M全体に対し、70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。これにより、Smの特性(性質)がより顕著に発揮される。
前記組成式(I)中のa、すなわち、Mの置換率は、できるだけ大きい方が好ましく、特に限定されるものではないが、0.5〜1程度であるのが好ましく、0.7〜1程度であるのがより好ましい。前記aが小さ過ぎると、Mの種類等によっては、吸着剤3に、前述した化合物の特異的吸着能を十分に付与することができないおそれがある。
また、前記組成式(I)に示すアパタイトは、水酸基が無置換のものであってもよいが、その少なくとも一部がハロゲン基(ハロゲン元素X)で置換されているのが好ましい。これにより、アパタイトを構成する各元素(イオン)の間の結合力が増大し、アパタイト(吸着剤3)の耐久性および耐溶剤性(特に耐酸性)を向上させることができる。
Xとしては、F、Cl、Br、I、Atのうちの1種または2種以上を適宜選択することができるが、これらの中でも、特に、Fを主とするものが好ましい。フッ化物イオンは、他のハロゲン化物イオンと比較して、電気陰性度が高いため、水酸基の少なくとも一部をフルオロ基で置換することにより、前記効果をより向上させることができる。
また、水酸基を主にFで置換する場合、その割合は、X全体に対し、80%以上であるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。これにより、Fの特性(性質)がより顕著に発揮される。
前記組成式(I)中のb、すなわち、Xの置換率も、できるだけ大きい方が好ましく、特に限定されるものではないが、0.3〜1程度であるのが好ましく、0.5〜1程度であるのがより好ましい。前記bが小さ過ぎると、Xの種類等によっては、吸着剤3の耐久性や耐溶剤性を十分に向上させることができないおそれがある。
以上のような吸着剤3の形態(形状)は、図1に示すように、粒状(顆粒状)のものであるのが好ましいが、その他、例えばペレット状(小塊状)、ブロック状(例えば、隣接する空孔同士が互いに連通する多孔質体、ハニカム形状)等とすることもできる。吸着剤3を粒状とすることにより、その表面積を増大させることができ、前述した化合物の吸着量をより増大させることができる。
粒状の吸着剤3の平均粒径は、特に限定されないが、0.5〜150μm程度であるのが好ましく、1〜40μm程度であるのがより好ましい。このような平均粒径の吸着剤3を用いることにより、前記フィルタ部材5の目詰まりを確実に防止しつつ、吸着剤3の表面積を十分に確保することができる。
なお、吸着剤3は、その全体が前記組成式(I)で表されるアパタイトで構成されたものであってもよく、その表面付近が前記組成式(I)で表されるアパタイトで構成されたものであってもよい。
また、本実施形態のように、吸着剤3を吸着剤充填空間20にほぼ満量充填する場合には、吸着剤3は、吸着剤充填空間20の各部において、ほぼ同一の組成をなしているのが好ましい。これにより、吸着装置1は、前述した化合物の分離・精製能が特に優れたものとなる。
なお、吸着剤充填空間20の一部(例えば流入管24側の一部)に吸着剤3を充填し、その他の部分には他の吸着剤を充填するようにしてもよい。
このような吸着装置1は、例えば、次のIまたはIIの方法を用いて製造することができる。
I:カラム2の吸着剤充填空間20に、Ca10(PO((OH)1−b[ただし、0≦b≦1である。]で表されるアパタイト粉体を充填した状態で、吸着剤充填空間20に、少なくとも1種の希土類金属元素のイオンを含む溶液を通液する方法。
II:カラム2の吸着剤充填空間20に、Ca10(PO(OH)で表されるアパタイト粉体(ハイドロキシアパタイト粉体)を充填した状態で、吸着剤充填空間20に、少なくとも1種の希土類金属元素のイオンを含む溶液および少なくとも1種のハロゲン元素のイオンを含む溶液を、順次またはほぼ同時に通液する方法。
以上のIまたはIIの方法によれば、容易かつ短時間で、前記アパタイト粉体の少なくとも表面付近の一部(好ましくは表面付近のほぼ全て)を、前記組成式(I)で表されるアパタイトに転化させて、吸着剤3を得ることができる。換言すれば、IまたはIIの方法によれば、容易かつ短時間で、吸着装置1を製造することができる。
また、前述したように、吸着装置1では、吸着剤3は吸着剤充填空間20にほぼ満量充填され、そのほぼ全てが同一の構成(好ましくは、吸着剤充填空間20の各部において、ほぼ同一の組成)とされているのが好ましいが、前記IまたはIIの方法を用いることにより、吸着剤3の構成(組成)にバラツキが生じるのを防止することができるという利点もある。
これらのIおよびIIの方法において、少なくとも1種の希土類金属元素のイオンを含む溶液(以下、「溶液A」と言う。)1L中における前記希土類金属元素のイオンの含有量(濃度)は、吸着剤充填空間20に充填されたアパタイト粉体1molに対して、1〜200mol程度であるのが好ましく、5〜150mol程度であるのがより好ましい。含有量が少な過ぎると、用いる溶液量が増大すること等により、アパタイトが有するCaを前記希土類金属元素で置換するのに要する時間が必要以上に長くなるおそれがあり、一方、含有量を前記上限値を超えて多くしても、それ以上のCaの前記希土類金属元素への置換効率の増大が期待できない。
溶液Aの総通液量は、特に限定されないが、前記希土類金属元素のイオンの含有量を前記範囲とする場合、1〜50mL程度であるのが好ましく、5〜30mL程度であるのがより好ましい。総通液量が少な過ぎると、前記希土類金属元素のイオンの含有量等によっては、アパタイトが有するCaの前記希土類金属元素への置換が十分に行われない場合があり、一方、総通液量を前記上限値を超えて多くしても、Caを前記希土類金属元素で置換するのに要する時間が必要以上に長くなるだけで、それに見合った置換効率の増大は見込めない。
溶液Aの通液速度は、0.1〜10mL/min程度であるのが好ましく、1〜5mL/min程度であるのがより好ましい。通液速度が遅過ぎると、アパタイトが有するCaを前記希土類金属元素で置換するのに要する時間が必要以上に長くなり、一方、通液速度が速過ぎると、前記希土類金属元素のイオンの含有量等によっては、Caの前記希土類金属元素への置換が十分に行われない場合がある。
また、IIの方法において、少なくとも1種のハロゲン元素のイオンを含む溶液(以下、「溶液B」と言う。)1L中における前記ハロゲン元素のイオンの含有量(濃度)は、吸着剤充填空間20に充填されたアパタイト粉体1molに対して、0.2〜200mol程度であるのが好ましく、1〜150mol程度であるのがより好ましい。含有量が少な過ぎると、用いる溶液量が増大すること等により、アパタイトが有する水酸基をハロゲン基で置換するのに要する時間が必要以上に長くなるおそれがあり、一方、含有量を前記上限値を超えて多くしても、それ以上の水酸基のハロゲン基への置換効率の増大が期待できない。
溶液Bの総通液量は、特に限定されないが、前記ハロゲン元素のイオンの含有量を前記範囲とする場合、1〜50mL程度であるのが好ましく、5〜30mL程度であるのがより好ましい。総通液量が少な過ぎると、前記ハロゲン元素のイオンの含有量等によっては、アパタイトが有する水酸基のハロゲン基への置換が十分に行われない場合があり、一方、総通液量を前記上限値を超えて多くしても、水酸基をハロゲン基で置換するのに要する時間が必要以上に長くなるだけで、それに見合った置換効率の増大は見込めない。
溶液Bの通液速度は、0.1〜10mL/min程度であるのが好ましく、1〜5mL/min程度であるのがより好ましい。通液速度が遅過ぎると、アパタイトが有する水酸基をハロゲン基で置換するのに要する時間が必要以上に長くなり、一方、通液速度が速過ぎると、前記ハロゲン元素のイオンの含有量等によっては、水酸基のハロゲン基への置換が十分に行われない場合がある。
なお、IIの方法において、溶液Aと溶液Bとを、ほぼ同時に吸着剤充填空間20に通液する場合には、その総通液量および通液速度は、それぞれ、各溶液A、Bを単独で吸着剤充填空間20に通液する場合の好ましい数値範囲を参照して適宜設定することができる。
このようなIおよびIIの方法によれば、溶液Aや溶液Bの条件(イオンの含有量、総通液量、通液速度)を適宜設定することにより、アパタイト粉体における希土類金属元素での置換率やハロゲン基での置換率を、所望のものにコントロールすることができる。
また、前記IおよびIIの方法において、各溶液A、Bの通液方向は、任意である。すなわち、例えば、Iの方法において、所定量の溶液Aを流入側から流出側に向かって吸着剤充填空間20に通液した後、通液方向を変更し、所定量の溶液Aを吸着剤充填空間20に通液することができる。また、例えば、IIの方法において、所定量の溶液Aを流入側から流出側に向かって吸着剤充填空間20に通液した後、通液方向を変更し、所定量の溶液Bを吸着剤充填空間20に通液することができる。さらに、このような通液操作を、複数回繰り返し行ってもよい。
次に、本発明の吸着装置の使用方法の一例について、タンパク質(ポリペプチド)を分離・精製する場合を代表に説明する。
まず、試料として、複数種のタンパク質を緩衝液に溶解した溶液を用意する。そして、この試料を、流入管24およびフィルタ部材4を介して吸着剤3に供給して、カラム2内を通過させる。これにより、吸着剤3に吸着しない成分または吸着能の低い成分(化合物)は、フィルタ部材5および流出管25を介してカラム2内から流出し、吸着剤3に対する吸着能の高い成分は、カラム2内に保持される。
ここで、緩衝液には、例えば、リン酸緩衝液、good buffer、イミダゾール緩衝液等を用いることができる。
次に、流入管24からカラム2内へ溶出液を供給し、カラム2の流出管25から流出する溶出液を採取する。
この溶出液には、吸着剤3に吸着したタンパク質よりも吸着剤3に対する吸着能が高い物質(競合試薬)、キレート剤等を含有する緩衝液、前記緩衝液より塩濃度の高い緩衝液、前記緩衝液よりpHの低い(pH4.5〜6程度)の緩衝液等を用いることができる。また、溶出液は、溶質の濃度を経時的に変化させつつカラム2内へ供給(吸着剤充填空間20に通液)するようにしてもよい。
吸着剤3に溶出液が接触すると、吸着剤3に吸着したタンパク質は、吸着剤3から離脱して、溶出液中に混入し、流出管25から流出する溶出液中に回収される。
以上、本発明の吸着剤および吸着装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.吸着装置の製造
以下に示す実施例1〜20および比較例1の吸着装置を、それぞれ5個ずつ製造した。
(実施例1)
公知の湿式合成法によりハイドロキシアパタイトを合成し、ハイドロキシアパタイトスラリーを得た。
このハイドロキシアパタイトスラリーを噴霧乾燥して、平均粒径40μmの粉体を得た。その後、この粉体を、大気中、700℃×4時間で焼成した。
このハイドロキシアパタイト粉体を、10mMリン酸緩衝液に懸濁させ、カラム(内径4mm×長さ100mm)の吸着剤充填空間に充填した。
また、吸着剤充填空間に充填されたハイドロキシアパタイト粉体の量は、1g(約1mmol)であった。
次に、カラム内に流入管から100mMのSmCl溶液を、流速1mL/minで10分間供給し、ハイドロキシアパタイト粉体が有するCaをSmで置換した。これにより、吸着剤を得て、吸着装置を製造した。
なお、元素分析法により、吸着剤の表面のハイドロキシアパタイトは、Caのほぼ全てがSmで置換されていることが確認された。
この元素分析法は、元素分析装置(島津製作所社製、「イオンクロマトHIC−SP」)を用いて行った。
(実施例2)
カラム内に流入管から、100mMのSmCl溶液を、流速1mL/minで10分間供給した後、100mMのフッ化水素水溶液を、流速1mL/minで10分間供給した以外は、前記実施例1と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のハイドロキシアパタイトは、Caのほぼ全てがSmで置換され、また、OHのほぼ全てがFで置換されていることが確認された。
(実施例3)
公知の湿式合成法によりフッ素アパタイト(Ca10(PO((OH)0.70.3)を合成し、フッ素アパタイトスラリーを得た。
このフッ素アパタイトスラリーを噴霧乾燥して、平均粒径40μmの粉体を得た。その後、この粉体を、大気中、700℃×4時間で焼成した。
このフッ素アパタイト粉体を用いて、前記実施例1と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のフッ素アパタイトは、Caのほぼ全てがSmで置換されていることが確認された。
(実施例4)
カラム内に流入管から、100mMのSmCl溶液を、流速1mL/minで5分間供給した以外は、前記実施例3と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のフッ素アパタイトは、Caの約60%がSmで置換されていることが確認された。
(実施例5)
100mMのSmCl溶液に代えて、100mMのEuCl溶液を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のハイドロキシアパタイトは、Caのほぼ全てがEuで置換されていることが確認された。
(実施例6)
カラム内に流入管から、100mMのフッ化水素水溶液を、流速1mL/minで10分間供給した後、100mMのEuCl溶液を、流速1mL/minで10分間供給した以外は、前記実施例1と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のハイドロキシアパタイトは、Caのほぼ全てがEuで置換され、また、OHのほぼ全てがFで置換されていることが確認された。
(実施例7)
公知の湿式合成法により合成したフッ素アパタイト(Ca10(PO((OH)0.50.5)粉体を用いた以外は、前記実施例5と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のフッ素アパタイトは、Caのほぼ全てがEuで置換されていることが確認された。
(実施例8)
100mMのSmCl溶液に代えて、100mMのDyCl溶液を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のハイドロキシアパタイトは、Caのほぼ全てがDyで置換されていることが確認された。
(実施例9)
カラム内に流入管から、100mMのDyCl溶液と100mMのフッ化水素水溶液とを容積比で50:50で混合した混合溶液を、流速1mL/minで20分間供給した以外は、前記実施例1と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のハイドロキシアパタイトは、Caのほぼ全てがDyで置換され、また、OHのほぼ全てがFで置換されていることが確認された。
(実施例10)
公知の湿式合成法により合成したフッ素アパタイト(Ca10(PO((OH)0.30.7)粉体を用いた以外は、前記実施例8と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のフッ素アパタイトは、Caのほぼ全てがDyで置換されていることが確認された。
(実施例11)
100mMのSmCl溶液に代えて、100mMのYCl溶液を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のハイドロキシアパタイトは、Caのほぼ全てがYで置換されていることが確認された。
(実施例12)
カラム内に流入管から、100mMのYCl溶液と100mMのフッ化水素水溶液とを容積比で50:50で混合した混合溶液を、流速2mL/minで10分間供給した以外は、前記実施例1と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のハイドロキシアパタイトは、Caのほぼ全てがYで置換され、また、OHのほぼ全てがFで置換されていることが確認された。
(実施例13)
公知の湿式合成法により合成したフッ素アパタイト(Ca10(PO((OH)0.10.9)粉体を用いた以外は、前記実施例11と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のフッ素アパタイトは、Caのほぼ全てがYで置換されていることが確認された。
(実施例14)
カラム内に流入管から、100mMのYCl溶液を、流速1mL/minで7分間供給した以外は、前記実施例13と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のフッ素アパタイトは、Caの約90%がYで置換されていることが確認された。
(実施例15)
100mMのSmCl溶液に代えて、100mMのSmCl溶液と100mMのEuCl溶液とを容積比で75:25で混合した混合液を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のハイドロキシアパタイトは、Caのほぼ全てがSmとEuとで置換(Sm:Eu=80:20)され、また、OHのほぼ全てがFで置換されていることが確認された。
(実施例16)
100mMのSmCl溶液に代えて、100mMのSmCl溶液と100mMのDyCl溶液とを容積比で65:35で混合した混合液を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のハイドロキシアパタイトは、Caのほぼ全てがSmとDyとで置換(Sm:Dy=70:30)され、また、OHのほぼ全てがFで置換されていることが確認された。
(実施例17)
100mMのSmCl溶液に代えて、100mMのSmCl溶液と100mMのNdCl溶液とを容積比で50:50で混合した混合液を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のハイドロキシアパタイトは、Caのほぼ全てがSmとNdとで置換(Sm:Nd=60:40)され、また、OHのほぼ全てがFで置換されていることが確認された。
(実施例18)
100mMのSmCl溶液に代えて、100mMのSmCl溶液と100mMのPrCl溶液とを容積比で40:60で混合した混合液を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のハイドロキシアパタイトは、Caのほぼ全てがSmとPrとで置換(Sm:Pr=50:50)され、また、OHのほぼ全てがFで置換されていることが確認された。
(実施例19)
カラム内に流入管から、100mMのEuCl溶液と100mMのDyCl溶液とを容積比で50:50で混合した混合液を、流速1mL/minで5分間供給した後、100mMのフッ化水素水溶液と100mMの塩化水素水溶液とを容積比で85:15で混合した混合液を、流速1mL/minで10分間供給した以外は、前記実施例1と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のハイドロキシアパタイトは、Caの約60%がEuとDyとで置換(Ca:Eu:Dy=40:30:30)され、OHのほぼ全てがFとClとで置換(F:Cl=90:10)されていることが確認された。
(実施例20)
カラム内に流入管から、100mMのYCl溶液と100mMのDyCl溶液とを容積比で60:40で混合した混合液を、流速1mL/minで6分間供給した後、100mMのフッ化水素水溶液と100mMの塩化水素水溶液とを容積比で75:25で混合した混合液を、流速1mL/minで10分間供給した以外は、前記実施例1と同様にして、吸着装置を製造した。
なお、前記実施例1で示した元素分析法により、吸着剤表面のハイドロキシアパタイトは、Caの約80%がYとDyとで置換(Ca:Eu:Dy=20:40:40)され、OHのほぼ全てがFとClとで置換(F:Cl=80:20)されていることが確認された。
(比較例1)
ハイドロキシアパタイト粉体が有するCaのSmでの置換操作を省略した以外は、前記実施例1と同様にして、吸着装置を製造した。
ここで、各実施例および比較例で得られた吸着剤の表面付近のアパタイトの組成を表1に示す。
Figure 0004617175
2.評価
2−1.タンパク質の吸着特性
以下に示すようにして、実施例1〜20および比較例1で製造した吸着装置について、それぞれ、タンパク質の吸着特性を調べた。
まず、吸着装置のカラム内の液体を、10mMリン酸緩衝液(pH6.8)に置き換えた。
次に、ミオグロビン(アミノ酸残基としてヒスチジンを多く有するタンパク質):50mg/mL、α−キモトリプシノーゲンA:50mg/mLおよびチトクロムc:50mg/mLとなるように、前記と同様のリン酸緩衝液に溶解した試料2mLをカラム内に供給して、カラム内を通過させた。
次に、400mMリン酸緩衝液(pH6.8)を、流速1mL/minで15分間、カラム内に供給して、カラム内から流出するリン酸緩衝液を回収した。
そして、回収したリン酸緩衝液中の各タンパク質濃度を、それぞれ測定し、吸着剤1gあたりの各タンパク質吸着量を算出した。なお、このタンパク質量の測定には、UV/Visディテクター(バイオラット社製、「QuadTec」)を用いた。
その結果を表2に示す。なお、表2中の数値は、各実施例および各比較例において、それぞれ、5個の吸着装置における平均値である。
Figure 0004617175
表2に示すように、各実施例の吸着装置は、いずれも、α−キモトリプシノーゲンAおよびチトクロムcに対して、ミオグロビンを効率よく(高い選択性で)吸着した。特に、希土類金属元素全体に対し70%以上Smを含む吸着剤を備える吸着装置(実施例1〜3、15、16)は、ミオグロビンの吸着量が多くなる傾向を示した。
また、各実施例の吸着装置から回収されたリン酸緩衝液中には、希土類金属元素の溶出は、ほとんど認められなかった。なお、この希土類金属元素の溶出の有無の確認は、原子吸光装置(島津製作所社製、「AA-6200」)を用いて原子吸光法により行った。
これに対して、比較例1の吸着装置は、各実施例の吸着装置に比べて、ミオグロビンの特異的な吸着は認められず、タンパク質の種類による吸着能の差が各実施例ほど顕著なものではなかった。
2−2.アミノ酸の吸着特性
以下に示すようにして、実施例1〜20および比較例1で製造した吸着装置について、それぞれ、アミノ酸の吸着特性を調べた。
まず、吸着装置のカラム内の液体を、1mMリン酸緩衝液(pH6.8)に置き換えた。
次に、グリジン、アルギニン、リジン、システイン、ヒスチジンおよびトリプトファンを、それぞれ、1mg/mLとなるように、前記と同様のリン酸緩衝液に溶解した試料を調製した。
そして、各試料(1種類)を、流速1mL/minで、カラム内に供給した後、リン酸緩衝液(pH6.8)を15分で10mM〜300mMとなるようにグラジエントをかけ、カラム内から流出する試料を回収した。
そして、回収した試料中にアミノ酸が検出されるまでの時間(retention time)を測定した。なお、このアミノ酸の検出は、195nmの吸光度測定により行った。
以上の操作を、各試料に対して順次行った。
その結果を表3に示す。なお、表3中の数値は、各実施例および各比較例において、それぞれ、5個の吸着装置における平均値である。
Figure 0004617175
表3に示すように、各実施例の吸着装置では、システイン、ヒスチジンおよびトリプトファンの溶出時間は、比較例1の吸着装置に対して顕著に長くなった。特に、希土類金属元素全体に対し70%以上Smを含む吸着剤を備える吸着装置(実施例1〜3、15、16)は、これらのアミノ酸の溶出時間がより長くなる傾向にあった。
これに対して、各実施例および各比較例の吸着装置において、グリシン、アルギニンおよびリジンの溶出時間には差が認められなかった。
以上の結果は、各実施例の吸着装置がシステイン、ヒスチジンおよびトリプトファンに対する特異的吸着能を有することを示すものである。
また、各実施例の吸着装置から回収された試料中には、希土類金属元素の溶出は、ほとんど認められなかった。なお、この希土類金属元素の溶出の有無の確認は、原子吸光装置(島津製作所社製、「AA-6200」)を用いて原子吸光法により行った。
以上のように、各実施例(本発明)の吸着装置は、特にヒスチジンに対する特異的吸着能に優れるため、例えば、このヒスチジンからなるポリペプチドをタグ(ヒスチジンタグ)として導入(付加)したリコンビナントタンパク質の分離・精製に好適に使用することができる。
本発明の吸着装置の実施形態を示す縦断面図である。
符号の説明
1 吸着装置
2 カラム
20 吸着剤充填空間
21 カラム本体
22、23 キャップ
24 流入管
25 流出管
3 吸着剤
4、5 フィルタ部材

Claims (3)

  1. 少なくとも表面付近が、主として下記組成式(I)で表されるアパタイトで構成され、非共有電子対を少なくとも2つ有するアミノ酸およびこのアミノ酸をアミノ酸残基として有するポリペプチドのうちの少なくとも1種である化合物を選択的に吸着することを特徴とする吸着剤。
    (Ca1−a10(PO((OH)1−b ・・・(I)
    [ただし、組成式(I)中、Mは希土類金属元素のうちの少なくとも1種を示し、Xはハロゲン元素のうちの少なくとも1種を示し、0<a≦1、0≦b≦1である。]
  2. 前記アミノ酸は、含硫アミノ酸および複素環式アミノ酸のうちの少なくとも1種である請求項に記載の吸着剤。
  3. 吸着剤充填空間を有するカラムと、前記吸着剤充填空間の少なくとも一部に充填された請求項1または2に記載の吸着剤とを有することを特徴とする吸着装置。
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