JP3435265B2 - 等電点3.3以下の蛋白質の分離方法 - Google Patents

等電点3.3以下の蛋白質の分離方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料液中の等電点
3.3以下の蛋白質の分離方法に関し、さらに詳しくは
体液中の等電点3.3以下の蛋白質を1分離工程で分離
しうる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、成人病の死亡原因としては癌が大
きな割合を占めている。癌の早期発見、早期治療は重要
であるが、それと同時に癌治療後の経過診断も重要な意
義を持つ。血清、血漿、腹水等の体液中におけるα1
酸性糖蛋白質をはじめとする等電点3.3以下の酸性糖
蛋白質(以下、AGPと略記することがある。)の濃度
は、一般に癌患者で高く、健常者で低いことは、既に報
告されており、この点に着目して、体液中のAGPの濃
度を測定することで癌の診断あるいは癌治療後の経過診
断を行おうとする取り組みも多い。
【0003】例えば、プレパラティブ・バイオケミスト
リィー(PREPARATIVE BIOCHEMISTRY)、4(2)、11
5〜126(1974)「ヒト血清α−1酸性糖蛋白質
の単離精製(ISOLATION AND PURIFICATION OF HUMAN SE
RUM ALPHA-1 ACIDGLYCOPROTEIN)」には、ジエチルアミ
ノエチル(DEAE)セルロースカラムを用いたクロマ
トグラフィーによりAGPを分離しうることが記載され
ている。しかしながら、この方法では、DEAEセルロ
ースカラムに種々の蛋白質を吸着させ、AGP以外の蛋
白質をカラムから溶出させた後、目的とするAGPを溶
出させなければならない。したがって、臨床検査機関な
どにおける体液中のAGPの濃度を測定するための手段
としては、煩雑で、効率が悪い。
【0004】一般に、静電的な親和力により蛋白質を液
相中で固相表面に吸着させる場合には、蛋白質溶液のp
Hを蛋白質の等電点に近づけることで、最大の吸着効果
を得ることができる。したがって、AGPをハイドロキ
シアパタイトに吸着させるためにpH4.0の緩衝液を
用いている。しかしながらpH4.0において血清をハ
イドロキシアパタイトに対して作用させた場合、免疫グ
ロブリンなど等電点の高い蛋白質のハイドロキシアパタ
イトに対する吸着作用が弱くなり、ハイドロキシアパタ
イトクロマトグラフィーによる1段階のAGP分離は困
難である。
【0005】また、ジャーナル・オブ・クロマトグラフ
ィー(Journal of Chromatography)、582(199
2)246〜248頁、柿木シゲルら著「液体カラムク
ロマトグラフィーによる血清中のα1 −酸性糖蛋白質の
迅速かつ簡単な測定法(Rapidand simple method for t
he determination of α1 −acid glycoprotein inser
um by colum liquid chromatography) 」には、血清を
DEAEMアニオン交換樹脂カラムに通して血清中のA
GPを吸着させ、これをクエン酸−リン酸緩衝液(pH
4.0)で溶離させ(AGPの粗分離)、この溶離液を
ハイドロキシアパタイトカラムに通し、線形勾配のリン
酸カリウム緩衝液(pH5.2)を用いて所望のAGP
を分離する方法が記載されている。この方法において
も、DEAEカラムを用いるクロマトグラフィーは、血
清の前処理、すなわち、AGPの粗分離を目的とするも
のであり、その溶離液をハイドロキシアパタイトカラム
に流して高速液体クロマトグラフィーによって精製AG
Pを得るものである。したがって、2段階の分離操作を
必要とし、それに付随する操作も煩雑になる。ハイドロ
キシアパタイトが蛋白質吸着能を有することは、公知で
あり、従来一般に500℃以上の温度で熱処理されたリ
ン酸カルシウム系化合物が用いられている。
【0006】また、抗原抗体反応を利用したAGP濃度
測定法の一つである酵素免疫法は、測定手順が多く煩雑
であり、また、同じく抗原抗体反応を利用した免疫拡散
法の操作は簡便ではあるが、反応が完結し、結果を得る
までに数十時間を要するという問題があり、いずれも臨
床検査機関などにおける体液中のAGPを測定する手段
としては効率の悪いものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、1段階の分
離操作で効率よく血清などの体液中のAGPを分離する
ことができ、その定量に供することができる等電点3.
3以下の蛋白質の分離方法を開発することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、未熱処理又は
低温熱処理リン酸カルシウム系化合物粉体粒子を用いて
緩衝液の濃度及びpHを適切に選定してクロマトグラフ
ィーを行うことによって1段階でAGPの分離を行いう
ることを見出し、この知見に基づいて完成したものであ
る。すなわち、本発明は、試料液中の等電点3.3以下
の蛋白質を分離するため、試料液をCa/P比が1.0
〜2.0のリン酸カルシウム系化合物の粉体微粒子と接
触させ、次いで、濃度が80〜150mMで、pHが
5.5〜5.7のリン酸緩衝液を加え、上記粉体微粒子
に試料液中の等電点3.3を超える蛋白質を吸着させて
除去することを特徴とする等電点3.3以下の蛋白質の
分離方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明においては、Ca/P比が
1.0〜2.0のリン酸カルシウム系化合物を試料中の
等電点3.3を超える蛋白質の吸着に用いる。リン酸カ
ルシウム系化合物の蛋白質吸着能は、低温焼成のものの
方が高く、従来の高温焼成のものでは等電点3.3を超
える蛋白質を完全に吸着することはできない。等電点
3.3以下の蛋白質を吸着せず、等電点3.3を超える
蛋白質を吸着させる本発明の目的において、リン酸カル
シウム系化合物は、未熱処理であるか又は400℃以下
の温度で熱処理されたものが好ましい。
【0010】リン酸カルシウム系化合物としては、Ca
/P比が1.0〜2.0のものであれば、特に制限はな
く、例えば、Ca10(PO4)6 (OH)2、Ca10(PO
4)62 、Ca10(PO4)6 Cl2、Ca3(PO4)2 、C
2 2 7 、Ca(PO3)2 のうちから選ばれた1種
又は2種以上を使用することができる。これらのうちハ
イドロキシアパタイトを主成分とするものが最も好まし
い。フッ素アパタイトを用いる場合、全リン酸カルシウ
ム系化合物中のフッ素含有率が5重量%以下であるのが
好ましい。フッ素含有率が5重量%を超えると、フッ素
の溶出が起こり好ましくない。これらのリン酸カルシウ
ム系化合物は、公知の湿式合成法、乾式合成法などによ
って合成することができる。本発明においては、平均粒
径2〜100μmの粉体微粒子を用いるのが好ましい。
平均粒径が2μm未満では、微粒子がカラム出口に詰ま
る、カラム全体の通液抵抗が増大するといった障害が起
こり、蛋白質の分離効率は低下する。また、100μm
を超えると、カラム内の粒子充填状態が疎になり自然拡
散による蛋白質バンドの広がりのため、分離効率は低下
する。また、これらの粉体微粒子は、10〜100m2
/gの比表面積を有するのが吸着能の点から好ましい。
【0011】本発明において、試料液とは、等電点3.
3以下の蛋白質を含む任意の液体であってよく、例え
ば、血清、血漿、腹水などの体液が挙げられる。
【0012】本発明の方法を実施する場合には、試料液
を採取し、上記のようなリン酸カルシウム系化合物の粉
体微粒子と接触させるが、試料の量が50μl未満の場
合は操作上不都合であるため、試料体積を50μl程度
に希釈する必要がある。したがって、試料量が50μl
未満の場合は溶離液と同じ組成のリン酸緩衝液で希釈し
て試料体積を50μlにする。試料液とリン酸カルシウ
ム系化合物の粉体微粒子との接触は、これらを混合し、
その後固相と液相とを分離する方法でもよいが、一般に
は、リン酸カルシウム系化合物の粉体微粒子をカラムに
充填し、カラムクロマトグラフィーによって行うのが好
ましい。カラムクロマトグラフィーを行う場合には、充
填剤であるリン酸カルシウム系化合物の粉体微粒子を予
め溶離液として用いるリン酸緩衝液で湿らせておき、次
いで試料液を流すのが好ましい。送液方法は、定量ポン
プあるいは重力を用いる方法であってよい。
【0013】リン酸緩衝液は、pH5.5〜5.7であ
ることを必要とする。リン酸緩衝液のpHが5.5より
低いと、リン酸カルシウム系化合物が溶解してしまい、
液相あるいは流出液中にリン酸カルシウム系化合物が溶
出していると、その後に液相あるいは流出液中のAGP
を色素結合法で定量できなくなる。また、緩衝液のpH
が5.7を超えると、等電点が3.3を超える蛋白質も
リン酸カルシウム系化合物微粒子に吸着されずに、液相
あるいは流出液中に溶出してしまい、1段階でAGPを
分離できなくなる。また、リン酸緩衝液の濃度は、80
〜150mMであるのが好ましい。この濃度が80mM
未満であると、AGPも溶出せず、150mMを超える
とAGP以外の蛋白質の溶出が起こる。
【0014】こうして得られた液相あるいは流出液中の
AGP濃度は、クマシーブリリアントブルーG−250
蛋白質定量試薬(PIERCE社製)などを使用する色
素結合法あるいは電気泳動分析により測定することがで
きる。従来使用された波長280nmの吸光度測定は、
回収した液相又は流出液中に波長280nmに吸収帯を
持つ非蛋白質成分が存在するため使用できない。しか
し、クマシーブリリアントブルーG−250蛋白質定量
試薬は、この非蛋白質成分と反応しない。
【0015】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれによって制限されるもの
ではない。
【0016】実施例1 図1に示すクロマトグラフィー装置を用いて市販のAG
P(SIGMA社製)を分離した。その際リン酸緩衝液
のpHを5.7〜5.4まで変化させてAGPの溶出挙
動を調べた。図1において、リン酸緩衝液容器1から定
量ポンプ2によりリン酸緩衝液を吸引し、試料注入部3
より試料を注入し、必要に応じてリン酸緩衝液で希釈さ
れた試料を、リン酸カルシウム系化合物の粉体微粒子を
充填したカラム4に流入させた。溶離液の初濃度を10
mMとし、試料注入後(分析開始後)3分後に溶離液濃
度を勾配20mM/分として400mMまで上昇させ、
カラム4からの流出液を吸光度計5によってモニターリ
ングし、流出口6から流出させる。なお、吸光度計5で
測定された吸光度は、記録計7に記録される。
【0017】分離条件は、下記のとおりとした。 リン酸緩衝液:pH5.7、5.5及び5.4のリン酸
ナトリウム緩衝液 カラム形状 :直径7mm、長さ50mmのカラム 充填剤 :粒径20μm、比表面積50m2 /g程
度の熱処理を施していないハイドロキシアパタイト 流速 :2ml/分 試料 :市販のAGP(SIGMA社製)20μ
g水溶液(試料濃度1mg/ml)
【0018】上記の条件で得られた溶出挙動を波長28
0nmで測定し、結果を図2に示す。図2において、曲
線イはpH5.7のリン酸ナトリウム緩衝液を用いた場
合、曲線ロはpH5.5のリン酸ナトリウム緩衝液を用
いた場合、曲線ハはpH5.4のリン酸ナトリウム緩衝
液を用いた場合を示す。吸着AGPの溶出ピーク位置の
シフトから、AGPは溶離液pHを酸性とするにしたが
ってカラムに強く保持される傾向が認められた。また、
溶離液pHが酸性となるにしたがってピーク形状はブロ
ード状になり、良好な分離が達成されていないことが分
かる。以上の結果からAGP分離におけるリン酸緩衝液
pHの下限は5.5程度であることが示された。
【0019】実施例2 図1の装置を用いてヒト血清中のAGPを分離した。分
離条件は、下記のとおりとした。 リン酸緩衝液:濃度100mM、pH5.7のリン酸ナ
トリウム緩衝液 カラム形状 :直径7mm、長さ50mmのカラム 充填剤 :粒径20μm、比表面積50m2 /g程
度の熱処理を施していないハイドロキシアパタイト 流速 :1ml/分 試料 :未処理のヒト血清10μl これに上記リン酸緩衝液を加えて50μlの試料とし
た。
【0020】上記の条件下でカラムに試料を注入する
と、2分程度でAGPを含む液体が流出してきた。この
流出液を回収し、脱塩、濃縮処理した後に電気泳動分析
を行った。得られた電気泳動パターンを図3に示す。市
販のAGP(SIGMA社製)をリン酸カルシウム(ハ
イドロキシアパタイト)カラムに通した後、それを回収
して電気泳動分析した。その結果、等電点3.3〜4.
5の位置に蛋白質バンドを認めた。したがって、AGP
は本発明による分離の過程で等電点位置を変化させるこ
とが分かる。
【0021】前記の方法でヒト血清中のAGPを分離
し、回収したAGP溶液を分画分子量5000の限外ろ
過膜(日本ミリポア社製)を100倍に濃縮した後、A
GP抗体を用いた一元免疫拡散プレート(細菌化学研究
所製)に添加した。37℃で48時間インキュベーショ
ンした結果、本発明により分離したAGPの抗体結合活
性を示す沈降リングの形成を認めた。
【0022】実施例3 実施例2で用いた未焼成ハイドロキシアパタイトの代わ
りに400℃で熱処理したハイドロキシアパタイトを用
いた以外は、実施例2と同様に操作したところ実施例2
で得られたのと実質的に同じ電気泳動パターンが得られ
た。
【0023】実施例4 14個の血清試料を用いて実施例2と同じ条件でクロマ
トグラフィーを行い、得られた流出液にクマシーブリリ
アントブルーG−250蛋白質定量試薬(PIERCE
社製)を加えた後、波長595nmの吸光度から流出液
中の総蛋白質濃度を測定し、これをAGP濃度とした。
また、各試料のAGP濃度を一元免疫拡散法により測定
し、先の測定結果と比較した。すなわち、図4におい
て、縦軸には本発明により分離されたAGPを上記の色
素結合法で測定した結果をプロットし、横軸に各試料の
AGP濃度を市販の免疫拡散プレートで測定した結果を
プロットした。図4によれば、両者はほぼ比例してお
り、本実施例は、免疫拡散法によるAGP測定結果(1
検体当り48時間程度要した)と同程度の精度の結果を
極めて短時間で得た(1検体当り5分程度)ことを示
す。
【0024】なお、クマシーブリリアントブルーG−2
50は、等電点3.3以下の蛋白質の他に溶解したリン
酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)でも吸収波長
595nmで発色する。そこで、pH5.7、5.5及
び5.4を有する濃度100mMリン酸ナトリウム緩衝
液を図1に示した液体クロマトグラフィー装置(充填剤
は実施例1に記載したものと同じ、未使用)に流し、流
出液1mlを回収し、これにクマシーブリリアンドブル
ーG−250蛋白質定量試薬(PIERCE社製)を1
ml添加し、波長595nmの吸光度を測定した。別
に、カラムを通過していないリン酸緩衝液についても、
その1mlに同じ蛋白質定量試薬1mlを添加し、波長
595nmの吸光度を測定した。前者と後者の差を溶解
したリン酸カルシウムの量として求めた。結果は、下記
のとおりであった。 溶離液pH リン酸カルシウム溶解量(吸光度の差) 5.7 0.01 5.5 0.01 5.4 0.045 以上の結果から、本発明におけるリン酸緩衝液の最低p
Hは、pH5.5であることが分かる。
【0025】実施例5 図5に示すように、プラスチックシリンジ8の底部に東
洋ろ紙グラスファイバーフィルター9を置き、その上に
充填剤10を1g充填し、さらに東洋濾紙グラスファイ
バーフィルター9を載せて重力による送液方式のカラム
を作製した。このカラムを用いて下記の分離条件でヒト
血清試料を分離した。 溶離液 :濃度100mM、pH5.7のリン酸ナ
トリウム緩衝液 カラム形状 :内径10mm、長さ55mmのプラスチ
ックシリンジ 充填剤 :粒径40μmの熱処理を施していないハ
イドロキシアパタイト 流速 :1ml/分 試料 :6種類の未処理のヒト血清各15μl これを上記溶離液で希釈して50μlの試料とした。
【0026】6種類のヒト血清試料を溶離液で50μl
に希釈した後、これを溶離液5mlで予め洗浄済みのカ
ラム上部から添加し、1分後に溶離液2mlを添加し、
2分後にさらに溶離液2mlを添加し、同時に溶出液を
回収し、回収溶液にクマシーブリリアントブルーG−2
50蛋白質定量試薬1mlを添加して波長595nmの
吸光度を測定し、結果を図6に示す。図6において、縦
軸には本発明により分離されたAGPを上記の色素結合
法で測定した結果をプロットし、横軸に各試料のAGP
濃度を市販の免疫拡散プレートで測定した結果をプロッ
トした。図6によれば、両者はほぼ比例しており、本実
施例は、免疫拡散法によるAGP測定結果(1検体当り
48時間程度要した)と同程度の精度の結果を極めて短
時間で得た(1検体当り5分程度)ことが分かる。
【0027】さらに、上記の溶出液の電気泳動パターン
を図7に示す。このパターンにおいて等電点3.3〜
4.5の位置にある横長の蛋白質スポットは、AGPの
等電点が変化したものである。市販のAGP(SIGM
A社製)をリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイ
ト)カラムに通した後、それを回収して電気泳動分析し
た。その結果、等電点3.3〜4.5の位置に蛋白質バ
ンドを認めた。したがって、AGPは本発明による分離
の過程で等電点位置を変化させることが分かる。
【0028】実施例6 Ca/P比1.0のリン酸カルシウム系化合物粉体をカ
ラム充填剤として用いた以外は、実施例2と同様に操作
し、回収された溶出液の2次元電気泳動分析を行ったと
ころ、図8に示す電気泳動パターンが得られ、血清中の
AGPが良好に分離された。
【0029】実施例7 Ca/P比2.0のリン酸カルシウム系化合物粉体をカ
ラム充填剤として用いた以外は、実施例2と同様に操作
し、回収された溶出液の2次元電気泳動分析を行ったと
ころ、図9に示す電気泳動パターンが得られ、血清中の
AGPが良好に分離された。
【0030】比較例1 未処理のヒト血清の2次元電気泳動分析を行い、図10
に示す電気泳動パターンを得た。図10において、aは
AGP、b及びcはアルブミン、dはプレアルブミン、
e、f及びgはトランスフェリン、hは免疫グロブリン
G、iはハプトグロビン、jは免疫グロブリンA、kは
免疫グロブリンMを示す。
【0031】比較例2 濃度100mM、pH5.8のリン酸ナトリウム緩衝液
を用いた以外は、実施例2と同様に操作してヒト血清中
のAGPの分離を試みた。得られた流出液の蛋白質組成
の2次元電気泳動分析を行ったところ、流出液はAGP
とともに、それ以外の蛋白質成分であるトランスフェリ
ンなどの血清蛋白質を含んでいた。したがって、上記の
緩衝液条件ではAGPを完全に分離できない。上記の2
次元電気泳動分析で得られたパターンを図11に示す。
図11において、AはAGP、B及びCはトランスフェ
リンを示す。
【0032】
【発明の効果】本発明の方法によれば、特定濃度範囲及
び特定pHのリン酸緩衝液で希釈した試料をリン酸カル
シウム系化合物の粉体微粒子と接触させ、固相と液相と
分離するという1回の分離操作で短時間で高精度で効率
よくAGPを分離することができる。したがって、本発
明の方法は、血清、血漿、腹水などの体液中のAGPを
臨床検査機関などで測定するのに極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例において使用したクロマトグ
ラフィー装置の系統図である。
【図2】実施例1で得られたクロマトグラムを示す図で
ある。
【図3】実施例2で得られた電気泳動パターンを示す図
である。
【図4】実施例4で得られた本発明の方法と免疫拡散法
による血清中のAGP濃度の相関図である。
【図5】実施例5で用いたカラムの断面図である。
【図6】実施例5で得られた本発明の方法と免疫拡散法
による血清中のAGP濃度の相関図である。
【図7】実施例5で得られた電気泳動パターンを示す図
である。
【図8】実施例6で得られた電気泳動パターンを示す図
である。
【図9】実施例7で得られた電気泳動パターンを示す図
である。
【図10】比較例1で得られた電気泳動パターンを示す
図である。
【図11】比較例2で得られた電気泳動パターンを示す
図である。
【符号の説明】
1 リン酸緩衝液容器 2 定量ポンプ 3 試料注入部 4 カラム 5 吸光度計 6 流出口 7 記録計 8 プラスチックシリンジ 9 東洋ろ紙グラスファイバーフィルター 10 充填剤 a AGP b アルブミン c アルブミン d プレアルブミン e トランスフェリン f トランスフェリン g トランスフェリン h 免疫グロブリンG i ハプトグロブリン j 免疫グロブリンA k 免疫グロブリンM A AGP B AGP C トランスフェリン D トランスフェリン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−289886(JP,A) 特開 平5−310780(JP,A) 特開 平3−291300(JP,A) 特開 平7−301626(JP,A) 特開 平7−88361(JP,A) 特開 平7−146281(JP,A) 特開 平8−136520(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 30/00 - 30/96 G01N 33/68

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料液中の等電点3.3以下の蛋白質を
    分離するため、試料液をCa/P比が1.0〜2.0の
    リン酸カルシウム系化合物の粉体微粒子と接触させ、次
    いで、濃度が80〜150mMで、pHが5.5〜5.
    7のリン酸緩衝液を加え、上記粉体微粒子に試料液中の
    等電点3.3を超える蛋白質を吸着させて除去すること
    を特徴とする等電点3.3以下の蛋白質の分離方法。
  2. 【請求項2】 リン酸カルシウム系化合物の粉体が未熱
    処理粉体である請求項1記載の等電点3.3以下の蛋白
    質の分離方法。
  3. 【請求項3】 リン酸カルシウム系化合物の粉体が40
    0℃以下の温度で熱処理した粉体である請求項1記載の
    等電点3.3以下の蛋白質の分離方法。
  4. 【請求項4】 リン酸カルシウム系化合物がハイドロキ
    シアパタイトである請求項1〜3のいずれか1項記載の
    等電点3.3以下の蛋白質の分離方法。
  5. 【請求項5】 試料液が体液である請求項1記載の等電
    点3.3以下の蛋白質の分離方法。
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