JP2003062457A - フッ素吸着材、及びこれを用いたフッ素除去方法 - Google Patents

フッ素吸着材、及びこれを用いたフッ素除去方法

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JP2003062457A JP2001260056A JP2001260056A JP2003062457A JP 2003062457 A JP2003062457 A JP 2003062457A JP 2001260056 A JP2001260056 A JP 2001260056A JP 2001260056 A JP2001260056 A JP 2001260056A JP 2003062457 A JP2003062457 A JP 2003062457A
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Yoshiyuki Kanao
義行 金尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶液中のフッ素を効率よく吸着することが可
能なフッ素吸着材、及びこれを用いたフッ素除去方法を
提供することを目的とする。 【解決手段】 カルシウムを含有する基材からなるフッ
素吸着材であって、当該基材の表面には、リン酸カルシ
ウムとジルコニウムとが配位されていることを特徴とす
るフッ素吸着材を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶液中に含有され
るフッ素を除去するためのフッ素吸着材、及びこれを用
いたフッ素の除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フッ素は人体、特に歯牙に対する影響が
大きい。そのため、1999年2月に環境庁告示によ
り、飲料水中におけるフッ素の許容濃度は0.8ppm
以下と定められており、当該基準をクリアするために
も、排水などの溶液中から効率よくフッ素を除去する必
要がある。ここで、一般に溶液中に含有されているイオ
ンを除去する方法としては、陽イオン交換樹脂、または
陰イオン交換樹脂を用いる方法が効率の良い方法である
ことが知られている。
【0003】しかしながら、フッ素イオン(F-)やシ
アンイオン(CN-)については、通常の陰イオン交換
樹脂を用いても選択性が弱いため、陰イオン交換樹脂に
十分に吸着せしめることが難しく、従って効率良く除去
することができない。
【0004】この欠点を解消する方法の一つに、カウン
ターイオンとの錯イオン形成反応を利用する方法があ
る。例えば、フッ素イオンの場合は、大過剰のアルミニ
ウムイオンを添加し、AlF6 3-として分離することが
できる。
【0005】しかしながら、実際にこの方法を用いて溶
液中のフッ素を除去した場合には、当該溶液中に過剰に
添加したアルミニウムの除去をする必要が新たに生じ、
処理工程が複雑となり、これはコスト高につながるため
現実的ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑みなされたものであり、溶液中のフッ素を効率よく吸
着することが可能なフッ素吸着材、及びこれを用いたフ
ッ素除去方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、請求項1において、カルシウムを含有す
る基材からなるフッ素吸着材であって、当該基材の表面
には、リン酸カルシウムとジルコニウムとが配位されて
いることを特徴とするフッ素吸着材を提供する。
【0008】本発明のフッ素吸着材は、カルシウムを含
有する基材からなっており、当該基材の表面には、リン
酸カルシウムとジルコニウムとが配位されているため、
溶液中のフッ素を効率良く吸着することができる。その
結果、溶液中からフッ素(フッ素イオン)を分離除去す
ることができる。
【0009】本発明のフッ素吸着材がフッ素を効率よく
吸着することができる理由については、論理的、学術的
に説明することは困難であるが、もともとカルシウムに
はフッ素を吸着する能力(以下、単に「吸着能力」とす
る場合がある。)があり、したがって吸着能力を有する
カルシウムを含有する基材の表面に、さらに吸着能力の
高いリン酸カルシウムとジルコニウムとを配位すること
により、これらの相乗効果によって吸着能力が向上して
いるものと考えられる。また、本発明のフッ素吸着材の
表面は、リン酸カルシウムとジルコニウムとが配位され
ていることにより非常に多孔質な特殊セラミックスのよ
うな状態となっているとも推測でき、その結果、基材の
単体を吸着材として用いた場合に比べ、フッ素を含有す
る溶液との接触面積が向上しているため、吸着能力が向
上しているものと考えられる。
【0010】また、本発明のフッ素吸着材においては、
希少金属の一種であるジルコニウムが用いられている
が、当該ジルコニウムは基材の表面に配位させるのみで
あるため、少量の使用で済み全体としてのコストに大き
く影響を与えることはない。
【0011】前記請求項1に記載の発明においては、請
求項2に記載するように、カルシウムを含有する基材を
飽和リン酸水素カリウム溶液中に浸漬させて基材表面に
リン酸カルシウムを配位させるリン酸カルシウム配位工
程と、前記リン酸カルシウム配位工程終了後の基材を洗
浄する第1洗浄工程と、前記第1洗浄工程終了後の基材
にジルコニウム溶液を加えて基材表面にジルコニウムを
配位させるジルコニウム配位工程と、前記ジルコニウム
配位工程終了後の基材を洗浄する第2洗浄工程と、から
製造されることが好ましい。
【0012】本発明によれば、煩雑な工程をすることな
く浸漬や洗浄を行うのみで、本発明のフッ素吸着材を製
造することができる。
【0013】さらに、前記請求項1又は請求項2に記載
の発明においては、請求項3に記載するように、前記カ
ルシウムを含有する基材が、酸化カルシウム及び/又は
炭酸カルシウムであることが好ましい。
【0014】本発明によれば、前記カルシウムを含有す
る基材が、酸化カルシウム及び/又は炭酸カルシウムで
あるため、基材として比較的に入手しやすいものを用い
ることが可能であるとともに、リン酸水素カリウム溶液
などを用いて基材表面に容易にリン酸カルシウムを配位
することができる。
【0015】また、本発明は、請求項4において、リン
酸カルシウムを含有する基材からなるフッ素吸着剤であ
って、当該基材の表面には、ジルコニウムが配位されて
いることを特徴とするフッ素吸着材を提供する。
【0016】本発明によれば、基材がリン酸カルシウム
を含有しているので、上述した本発明のフッ素吸着材の
中でも特に基材自体がフッ素吸着能力を有していると考
えられ、この表面にさらにジルコニウムを配位すること
により、上述した本発明のフッ素吸着材と同様にフッ素
吸着能力をさらに向上せしめることができる。
【0017】前記請求項4に記載の発明においては、請
求項5に記載するように、リン酸カルシウムを含有する
基材にジルコニウム溶液を加えて基材表面にジルコニウ
ムを配位させるジルコニウム配位工程と、前記ジルコニ
ウム配位工程終了後の基材を洗浄する洗浄工程と、から
製造されることが好ましい。
【0018】前記請求項4に記載するフッ素吸着材の基
材は、すでにリン酸カルシウムを含有しているので、前
記請求項2に記載するようなリン酸カルシウム配位工程
を行う必要はなく、ジルコニウム配位工程、及び洗浄工
程を行うのみで本発明のフッ素吸着材製造することがで
きる。
【0019】さらに、本発明は、請求項6において、前
記請求項1乃至請求項5のいずれかの請求項に記載のフ
ッ素吸着材とフッ素含有溶液とを接触させることによ
り、前記フッ素含有溶液中のフッ素を除去することを特
徴とするフッ素除去方法を提供する。
【0020】本発明のフッ素除去方法は、前記請求項1
乃至請求項5のいずれかの請求項に記載のフッ素吸着材
とフッ素含有溶液とを接触させることのみで、溶液中の
フッ素をフッ素吸着剤の表面に吸着させる(吸着材の表
面にフッ素が保持される状態とする)ことができ、その
結果、当該溶液中からフッ素効率良く除去することがで
きる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のフッ素吸着材に
ついて、第1態様と第2態様とに分けて具体的に説明す
る。
【0022】本発明の第1態様としてのフッ素吸着材
は、カルシウムを含有する基材からなり、当該基材の表
面にはリン酸カルシウムとジルコニウムとが配位されて
いることに特徴を有している。
【0023】このように、もともとフッ素吸着能力を有
するカルシウムが含有された基材を用い、当該基材の表
面に、リン酸カルシウムとジルコニウムとを配位するこ
とで、カルシウムを含有する基材のみをフッ素吸着材と
して用いる場合に比べて、吸着能力を向上することがで
きる。
【0024】本発明のフッ素吸着材は、カルシウムを含
有する基材の表面にリン酸カルシウムとジルコニウムと
が配位されていればよく、その他を特に限定されるもの
ではない。
【0025】前記フッ素吸着材は、以下に説明する方法
により製造されることが好ましい。当該製造方法は簡便
であり、かつ当該製造方法により形成されたフッ素吸着
材の表面にはリン酸カルシウムとジルコニウムとが配位
されるので、吸着能力が非常に優れているからである。
以下に当該製造方法について図面を用いて具体的に説明
する。
【0026】図1は、本発明のフッ素吸着材の製造方法
の流れを示すフローチャート図である。
【0027】図1に示すように、本発明のフッ素吸着材
は、カルシウムを含有する基材を飽和リン酸水素カリウ
ム溶液中に浸漬させて基材表面にリン酸カルシウムを配
位させるリン酸カルシウム配位工程S1と、前記リン酸
カルシウム配位工程工程終了後の基材を洗浄する第1洗
浄工程S2と、前記第1洗浄工程終了後の基材にジルコ
ニウム溶液を加えて、基材表面にジルコニウムを配位さ
せるジルコニウム配位工程S3と、前記ジルコニウム配
位工程終了後の基材を洗浄する第2洗浄工程S4と、か
ら製造されることが好ましい。
【0028】[1]リン酸カルシウム配位工程 当該製造方法においては、まず、カルシウムを含有する
基材10を飽和リン酸カリウム溶液12中に浸漬させて
基材表面にリン酸カルシウムを配位させるリン酸カルシ
ウム配位工程S1を行う。当該工程S1は、本発明のフ
ッ素吸着材となる基材10の表面にリン酸カルシウムを
配位するための工程である。このようにカルシウムを含
有する基材10を飽和リン酸水素カリウム溶液中に浸漬
させることにより、基材表面に存在していたカルシウム
とリン酸とが反応し、容易にリン酸カルシウムを配位す
ることができる。
【0029】ここで本発明において用いることが可能な
基材10としては、リン酸と反応するためのカルシウム
が含有されている基材であれば特に限定されるものでは
ないが、酸化カルシウム及び/又は炭酸カルシウムであ
ることが好ましい。酸化カルシウム及び/又は炭酸カル
シウムは、当然にカルシウムを含有しており、工業的に
用いられることが多く、入手が容易だからである。例え
ば、貝殻、サンゴ、石灰石はその大部分が炭酸カルシウ
ムであるため、本発明における炭酸カルシウムとして貝
殻等を用いることができる。また、製鋼脱燐スラグは酸
化カルシウム(CaO、CaO・SiO2など)を多く
含有しているため、本発明における酸化カルシウムとし
て製鋼脱燐スラグを用いることも可能である。
【0030】また、このような基材10の形状について
も、本発明は特に限定されることはないが、粒子状であ
ることが好ましい。この場合、基材10の粒径について
も、本発明は特に限定しないが、149〜500μm程
度にするのが好ましい。粒径を前記範囲とすることによ
り、基材の表面積を大きくできるからである。したがっ
て、貝殻等を基材10として用いる場合には、前記粒径
とするために粉砕して用いるのがよい。
【0031】リン酸カルシウム配位工程S1において用
いられる飽和リン酸カリウム溶液12についても、本発
明は特に限定することはなく、従来から一般に用いられ
ている飽和リン酸水素カリウム溶液を用いることができ
る。
【0032】リン酸カルシウム配位工程S1を行う際に
は、基材10の量などにより多少変動するが、常温で、
基材10が飽和リン酸水素カリウム溶液12中に完全に
浸漬している状態(水面上に酸化カルシウムが現れてい
ない状態)で約5〜15時間程度放置することが好まし
く、その他の反応条件については特に限定されない。
【0033】[2]第1洗浄工程 リン酸カルシウム配位工程S1を終了し、表面にリン酸
カルシウムが配位された基材10は、第1洗浄工程S2
により洗浄される。当該第1洗浄工程S2は、前記リン
酸カルシウム配位工程S1において用いられ、基材10
の表面に付着している余剰な飽和リン酸水素カリウム溶
液12を洗浄するために行われる。当該第1洗浄工程S
2は、この後に行われるジルコニウム配位工程S3に飽
和リン酸水素カリウム溶液12が混入することを防止す
るためである。
【0034】従って、本発明における第1洗浄工程S2
は、上記目的、つまり基材10の表面に付着している余
剰な飽和リン酸水素カリウム溶液12を洗浄することが
できればよく、その方法については特に限定されない。
しかしながら、当該第1洗浄工程S2を行う際において
は、前記リン酸カルシウム配位工程S1によって、基材
10の表面にリン酸カルシウムが配位されているため、
当該リン酸カルシウムまでも洗い流さないように注意す
る必要がある。
【0035】酸化カルシウムを洗浄する溶液としては、
通常の水を用いることができる。入手が容易であり、取
り扱いも容易だからである。
【0036】[3]ジルコニウム配位工程 ジルコニウム配位工程S3は、前記第1洗浄工程S2を
終了し、余剰な飽和リン酸水素カリウム溶液12が洗い
流され、表面にリン酸カルシウムが配位された状態とな
った基材10の表面に、さらにジルコニウムを配位させ
るための工程である。
【0037】当該ジルコニウム配位工程S3において
は、前記第1洗浄工程S2を終了した基材10にジルコ
ニウム溶液を加えることにより行われる。このようにす
ることで、基材10に含有されているカルシウムとジル
コニウム溶液14とが反応し、その表面にジルコニウム
を配位させることができるからである。
【0038】本発明において用いることが可能なジルコ
ニウム溶液14としては、通常用いられているジルコニ
ウム溶液を使用することができ、特に限定されない。具
体的には、濃度が0.01〜1.0Mのジルコニウム溶
液を用いることができる。
【0039】また、当該ジルコニウム配位工程S3にお
いて、基材10に含有されているカルシウムとジルコニ
ウム溶液14とを反応させる方法としては、当該基材2
0にジルコニウム溶液14を徐々に加え、よく撹拌する
のがよい。このように撹拌することにより、基材10に
含有されているカルシウムとジルコニウム溶液14との
反応を促進することができるからである。
【0040】[4]第2洗浄工程 前記ジルコニウム配位工程S3を終了し、表面にジルコ
ニウムが配位された基材10は、第2洗浄工程S4によ
り洗浄される。当該洗浄工程S4は、前記ジルコニウム
配位工程S3において用いられ、基材10の表面に付着
している余剰なジルコニウム溶液14を洗浄するために
行われる。
【0041】なお、当該第2洗浄工程についての具体的
な方法等については、前記第1洗浄工程と同様であるた
め、ここでの説明は省略する。
【0042】前記[1]〜[4]のそれぞれの工程によ
り、カルシウムを含有する基材10の表面にリン酸カル
シウムとジルコニウムの双方を配位させることができ、
基材10を、吸着能力に優れた本発明のフッ素吸着材と
することができる。本発明のフッ素吸着材は、基材中に
含まれているカルシウム、およびその表面に配位された
リン酸カルシウムとジルコニウムとの相乗効果によっ
て、吸着能力に優れており、さらに、表面に配位された
リン酸カルシウムとジルコニウムは、特殊セラミックス
のような状態となっているため、本発明のフッ素吸着材
の表面は非常に多孔質であるといえる。その結果、フッ
素含有溶液と本発明のフッ素吸着工程との接触面積を向
上することができ、より吸着性を高めることができる。
【0043】次に、本発明の第2態様としてのフッ素吸
着材について説明する。
【0044】本発明の第2態様としてのフッ素吸着材
は、リン酸カルシウムを含有する基材からなり、当該基
材の表面にはジルコニウムが配位されていることに特徴
を有している。
【0045】このように、フッ素吸着材の基材を、リン
酸カルシウムを含有する基材とすることにより、当該フ
ッ素吸着材の表面には、すでにリン酸カルシウムが存在
しているため、リン酸カルシウムが配位されている必要
はなく、ジルコニウムのみが配位されていれば足り、こ
れにより上述してきた本発明の第1態様としてのフッ素
吸着材と同様の効果を得ることができる。
【0046】このような本発明の第2態様としてのフッ
素吸着材は、リン酸カルシウムを含有する基材にジルコ
ニウム溶液を加えて基材表面にジルコニウムを配位させ
るジルコニウム配位工程と、前記ジルコニウム配位工程
終了後の基材を洗浄する洗浄工程と、から製造されるこ
とが好ましい。
【0047】ここで、本発明に用いることができる基材
としては、その表面にリン酸カルシウムを含有している
基材であれば特に限定されることはなく、いかなる基材
をも用いることができるが、魚骨を粉砕して用いること
が特に好ましい。魚骨の主成分はリン酸カルシウムであ
り、通常、魚骨は利用価値が少ないため廃棄されている
場合が多く、これを利用することにより廃棄物の再利用
により本発明のフッ素吸着材を製造することができるか
らである。
【0048】本発明の第2態様としてのフッ素吸着材を
製造する際のジルコニウム配位工程、及び洗浄工程は、
上述した第1態様としてのフッ素吸着材を製造する際の
ジルコニウム配位工程(S3)、及び第2洗浄工程(S
4)と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0049】次に、前述してきた本発明のフッ素吸着材
(第1態様、第2態様)を用いたフッ素含有溶液中から
のフッ素の除去方法について説明する。
【0050】本発明のフッ素除去方法は、前述のフッ素
吸着材とフッ素含有溶液とを接触させることにより行わ
れる。フッ素含有溶液とフッ素吸着材とが接触すること
により、溶液中のフッ素をフッ素吸着材表面に吸着せし
めることができ、その結果溶液中からフッ素が除去する
ことができる。
【0051】本発明においては、フッ素吸着材と溶液と
が接触する状態とすればよく、その具体的方法について
特に限定されない。例えば、本発明のフッ素吸着材をカ
ラムに充填させ、当該カラムにフッ素含有溶液を通水す
ることにより、当該溶液中に含有されるフッ素を除去す
ることができる。
【0052】
【実施例】本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0053】(実施例1)以下に示す方法で、本発明の
フッ素吸着材を作成し、これを利用してフッ素の除去実
験を行った。
【0054】<フッ素吸着材の作成> (1)カルシウムを含有する基材として、貝殻(主成分
は炭酸カルシウム)を利用した。貝殻は鉄乳鉢にて粗粉
砕し、149〜500μmに篩い分けたものを使用し
た。 (2)前記粉砕した貝殻を飽和リン酸水素カリウム溶液
中に一晩(約7時間)浸漬させた(リン酸カルシウム配
位工程)。 (3)飽和リン酸水素カリウム溶液中から貝殻を5Aの
濾紙によって回収し、流水でよく洗った(第1洗浄工
程)。 (4)洗浄後の貝殻5gを50mlビーカーに秤取り、
撹拌しながら0.05Mジルコニウム溶液を徐々に加
え、リン酸ジルコニウムの白色沈殿がでた時点で、しば
らくの間放置した(ジルコニウム配位工程)。 (5)放置後、貝殻を5Aの濾紙によって回収し、流水
でよく洗った(第2洗浄工程)。
【0055】以上の工程により本発明のフッ素吸着材を
得た。
【0056】<フッ素除去実験>図2は、フッ素除去実
験の装置の概略図である。 (1)前記の方法により作成したフッ素吸着材をカラム
(内径25mmのアクリル製カラム)20に詰めた。 (2)このカラム20に5ppmのフッ素標準溶液21
をペリスタリックポンプ22を用いて、SV10で通水
し、カラム20通過後の溶液中のフッ素含有量を調べる
ことによりフッ素の吸着量を調べた。ここで、SVと
は、吸着材に対する溶液の単位時間当たりの比を表した
ものであり、当該実験ではSV10だから、1時間当た
り吸着材充填量の10倍の溶液を通水せしめたことを意
味する。
【0057】<実験結果>上記フッ素吸着材16が充填
されたカラム20にフッ素含有溶液21を20ml通水
し、カラム20から排出される溶液を5ml毎に採取し
それぞれの溶液中に含有するホウ素の含有量を調べた結
果を図3に示す。
【0058】なお、本発明のフッ素吸着材との比較をす
るための比較例として、未処理の貝殻(つまり炭酸カル
シウムのみ)、及び貝殻を飽和リン酸水素カリウム溶液
により処理したものをそれぞれカラムに詰めて同様のフ
ッ素除去実験を行った。
【0059】図3からも明らかなように、本発明のフッ
素吸着材、つまり表面にリン酸カルシウムとジルコニウ
ムが配位している炭酸カルシウムは、単なる炭酸カルシ
ウム(貝殻のみの場合)や、飽和リン酸水素カリウム溶
液による処理のみを行った炭酸カルシウムに比べ、フッ
素の吸着能力に優れていることが分かった。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、フッ素吸着材は、カル
シウムを含有する基材からなっており、その表面にはリ
ン酸カルシウムとジルコニウムとが配位しているため、
溶液中のフッ素を効率良く吸着することができる。その
結果、溶液中からフッ素(フッ素イオン)を分離除去す
ることができる。
【0061】また、本発明のフッ素吸着材は、カルシウ
ムを含有する基材を飽和リン酸水素カリウム溶液中に浸
漬させて基材表面にリン酸カルシウムを配位させるリン
酸カルシウム配位工程と、前記リン酸カルシウム配位工
程終了後の基材を洗浄する第1洗浄工程と、前記第1洗
浄工程終了後の基材にジルコニウム溶液を加えて、基材
表面にジルコニウムを配位させるジルコニウム配位工程
と、前記ジルコニウム配位工程終了後の基材を洗浄する
第2洗浄工程と、から製造されるので、煩わしい工程を
することなく、浸漬や洗浄を行うのみで製造することが
できる。
【0062】さらに、本発明のフッ素吸着材において
は、その基材に酸化カルシウム及び/又は炭酸カルシウ
ムを用いることができるため、その結果貝殻等を用いる
ことが可能であり、コスト面からも優れている。
【0063】また、リン酸カルシウムを含有する基材を
用いることにより、この表面にジルコニウムを配位する
ことのみで上記と同様の効果を有するフッ素吸着材とす
ることができる。
【0064】本発明のフッ素除去方法は、本発明のフッ
素吸着材とフッ素含有溶液とを接触させることのみで行
うことが可能であるため、簡便かつ安価でフッ素含有溶
液中のフッ素を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフッ素吸着材を製造するための工程を
示すフロー図である。
【図2】フッ素除去実験の装置の概略図である。
【図3】フッ素除去実験の結果を示す図である。
【符号の説明】
10…基材 12…飽和リン酸カリウム溶液 14…ジルコニウム溶液 20…カラム 21…フッ素含有溶液 22…ペリスタリックポンプ
フロントページの続き (72)発明者 永田 昌嗣 神奈川県川崎市川崎区南渡田町1番1号 鋼管計測株式会社内 (72)発明者 金尾 義行 神奈川県横浜市鶴見区弁天町3番地7 エ ヌケーケープラント建設株式会社内 (72)発明者 高橋 紀道 神奈川県横浜市鶴見区弁天町3番地7 エ ヌケーケープラント建設株式会社内 Fターム(参考) 4D024 AA09 AB11 BA11 BB01 BB07 BB08 BC01 CA01 4G066 AA17A AA17B AA17C AA23A AA23B AA50A AA50B AA50C BA20 DA08 FA03 FA12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウムを含有する基材からなるフッ
    素吸着材であって、当該基材の表面には、リン酸カルシ
    ウムとジルコニウムとが配位されていることを特徴とす
    るフッ素吸着材。
  2. 【請求項2】 カルシウムを含有する基材を飽和リン酸
    水素カリウム溶液中に浸漬させて基材表面にリン酸カル
    シウムを配位させるリン酸カルシウム配位工程と、 前記リン酸カルシウム配位工程終了後の基材を洗浄する
    第1洗浄工程と、 前記第1洗浄工程終了後の基材にジルコニウム溶液を加
    えて基材表面にジルコニウムを配位させるジルコニウム
    配位工程と、 前記ジルコニウム配位工程終了後の基材を洗浄する第2
    洗浄工程と、 から製造されることを特徴とする請求項1に記載のフッ
    素吸着材。
  3. 【請求項3】 前記カルシウムを含有する基材が、酸化
    カルシウム及び/又は炭酸カルシウムであることを特徴
    とする請求項1又は請求項2に記載のフッ素吸着材。
  4. 【請求項4】 リン酸カルシウムを含有する基材からな
    るフッ素吸着剤であって、当該基材表面には、ジルコニ
    ウムが配位されていることを特徴とするフッ素吸着材。
  5. 【請求項5】 リン酸カルシウムを含有する基材にジル
    コニウム溶液を加えて基材表面にジルコニウムを配位さ
    せるジルコニウム配位工程と、 前記ジルコニウム配位工程終了後の基材を洗浄する洗浄
    工程と、 から製造されることを特徴とする請求項4に記載のフッ
    素吸着材。
  6. 【請求項6】 前記請求項1乃至請求項5のいずれかの
    請求項に記載のフッ素吸着材とフッ素含有溶液とを接触
    させることにより、前記フッ素含有溶液中のフッ素を除
    去することを特徴とするフッ素除去方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101288845B (zh) * 2008-05-19 2010-06-02 杨劭 一种水处理除氟除铁锰复合吸附滤料的制备方法
CN102745790A (zh) * 2011-04-18 2012-10-24 刘威 一种催化型复合除氟滤料的产业化生产方法
CN105561942A (zh) * 2016-03-07 2016-05-11 山东建筑大学 一种硝酸亚铈改性甲壳类废弃物制备除砷吸附剂的方法
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CN105727896A (zh) * 2016-03-07 2016-07-06 山东建筑大学 一种鱼骨重金属吸附剂的制备方法

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