JP3707808B2 - 陰イオン選択分離材料および陰イオンの選択分離方法 - Google Patents

陰イオン選択分離材料および陰イオンの選択分離方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、フッ素イオンや亜硝酸イオン等の分離対象陰イオンを共存物質が存在する被処理液中から選択的に分離する陰イオン選択分離材料および陰イオンの選択分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ酸(フッ化水素)は、精練工場や肥料製造工場から、また最近では半導体製造工場や表面処理工場等から多量に排出され、排水や排ガスとして処理されている。例えば、フッ化水素が環境中に放出されると、植物は数ppb 、 1時間程度の暴露で障害、例えば葉先に白化現象が生じるクロロシス等が生じ、また人間は数ppm 、 1時間程度の暴露でフッ素中毒症状、例えば歯や骨に異変が生じるフルオロシスが生じる。また、フッ素は生活環境にかかわる被害を生じさせる物質として、公共用水域に排水を排出する際の含有量が規制されている。このようなことから、フッ素の分離、除去は、非常に重要である。
【0003】
フッ酸等のフッ素含有化合物を含む排水の処理方法としては、従来、水酸化カルシウム等を添加して中和処理を行い、フッ素とカルシウムとの化合物を生成させ、その後凝集沈殿等により生成化合物を除去する方法が多用されている。しかしながら、このカルシウム系添加剤による沈殿除去方法は、フッ素イオン濃度を十分に低濃度化するためには過剰量のカルシウム系添加剤を加えなければならず、過剰に添加したカルシウム系添加剤が処理汚泥中に含まれるために多量の汚泥が生じ、環境に対する負荷を増大させる等の問題を招いていた。すなわち、汚泥は濃縮、脱水等の処理の後に、最終的には内陸部や海岸部への埋立や海洋投棄のかたちで処理されているが、近年、これら廃棄物の増加が環境保全の面で問題になっており、廃棄物を減少させることが課題となっている。
【0004】
一方、上述したようなフッ素含有化合物の沈殿除去法による汚泥の多量発生等を回避するために、最近では陰イオン交換樹脂を用いて、排水中等からフッ素イオンを含む陰イオンを分離、除去する方法も排水処理等に適用されている。ところで、この陰イオン交換樹脂による吸着処理は、分離対象陰イオンによっては有効な処理方法であるが、フッ素イオンは他の陰イオンに比べて吸着が弱いため、効率よく分離、除去することができないという問題がある。
【0005】
すなわち、陰イオン交換樹脂により処理を施す被処理液が、分離対象陰イオンのみを含むという場合は希であり、例えばフッ素イオンを分離対象陰イオンとする被処理液中には、塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン等の他の陰イオンが共存物質として含まれていることが一般的である。このような被処理液を陰イオン交換樹脂を充填した筒中に通液すると、選択係数が大きい陰イオンが最終的に陰イオン交換樹脂に吸着され、直ぐに飽和量に達してしまう。従って、吸着性が低いフッ素イオンは、従来の一般的な陰イオン交換樹脂では効率よく吸着、分離することができない。
【0006】
上述したような被処理液中の共存物質は、フッ素イオンを処理する場合に限らず、他の陰イオンを選択的に分離、除去しようとする場合においても何等かの影響を及ぼすものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のフッ素イオン等の陰イオンを陰イオン交換樹脂を用いて吸着、分離する方法では、被処理液中に共存する他の陰イオンの影響を受け、分離対象陰イオンを選択的に効率よく吸着、分離することができないという問題があった。このような共存物質の影響は、フッ素イオンのように陰イオン交換樹脂に対する吸着性が低い陰イオンの場合に特に問題となるが、他の陰イオンを選択的に吸着、分離する場合であっても、共存物質の存在が選択分離に悪影響を及ぼすものである。
【0008】
このようなことから、分離対象陰イオンを選択的にかつ効率よく分離、除去することが可能な分離材料、さらには陰イオンの選択分離方法の出現が強く求められている。
【0009】
本発明は、このような課題に対処するためになされたもので、共存物質の影響を受けることなく、分離対象陰イオンを被処理液中から選択的にかつ効率よく分離、除去することが可能な陰イオン選択分離材料および陰イオンの選択分離方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段と作用】
本発明者らは、上記目的を達成するべく研究を重ねた結果、陽イオン交換樹脂のような陽イオン交換性物質に金属イオン(陽イオン)を吸着させる際に、陽イオン交換性物質の種類や形状等を選択することにより、荷電した状態で金属イオンを吸着させることができると共に、この荷電した状態で吸着された金属イオンとして分離対象陰イオンと選択的にイオン結合する金属元素を用いることにより、共存物質として他の陰イオンを含む被処理液中から分離対象陰イオンのみを選択的にかつ効率よく分離、除去することができることを見出した。本発明はこのような知見に基いて成されたものである。
【0011】
すなわち、本発明における請求項1記載の陰イオン選択分離材料は、共存物質を含む被処理液中から分離対象陰イオンを選択的に分離する陰イオン選択分離材料であって、陽イオン交換性物質からなる担持体の表面に、前記分離対象陰イオンと選択的にイオン結合する金属元素が、荷電した状態で吸着されており、
にイオン結合する金属元素が、荷電した状態で吸着されており、前記分離対象陰イオンは、フッ素イオンもしくは亜硝酸イオンであり、前記分離対象陰イオンが前記フッ素イオンの場合には、前記金属元素としてアルミニウムが用いられ、前記亜硝酸イオンの場合には、前記金属元素としてチタンが用いられることを特徴としている。
【0012】
本発明の陰イオンの選択分離方法において、請求項2記載の陰イオンの選択分離方法は、共存物質を含む被処理液中から分離対象陰イオンを選択的に分離する陰イオンの選択分離方法であって、請求項1記載の陰イオン選択分離材料と、前記被処理液とを接触させ、前記分離対象陰イオンを前記荷電状態の金属元素と結合させて、前記被処理液中から前記分離対象陰イオンを選択的に分離することを特徴としている。
【0013】
また、請求項3記載の陰イオンの選択分離方法法は、共存物質を含む被処理液中から分離対象陰イオンを選択的に分離する陰イオンの選択分離方法であって、陽イオン交換性物質からなる担持体と、前記分離対象陰イオンと選択的にイオン結合する金属元素を含む溶液および前記被処理液を順に、あるいは前記金属元素を含む溶液および前記被処理液を同時に接触させ、前記担持体の表面に荷電状態で吸着された前記金属元素と前記分離対象陰イオンとを結合させて、前記被処理液中から前記分離対象陰イオンを選択的に分離し、前記分離対象陰イオンは、フッ素イオンもしくは亜硝酸イオンであり、前記分離対象陰イオンが前記フッ素イオンの場合には、前記金属元素としてアルミニウムが用いられ、前記亜硝酸イオンの場合には、前記金属元素としてチタンが用いられることを特徴としている。
【0014】
本発明の陰イオン選択吸着材料における担持体は、陽イオン交換性を有する物質であれば種々のものを使用することができ、具体的には陽イオン交換樹脂や両性イオン交換樹脂等が挙げられる。また、このような陽イオン交換性物質における陽イオン交換基も特に限定されるものではなく、スルホン酸基(-SO3 H )やカルボン酸基(-COOH)等の一般的な陽イオン交換基を用いることができる。さらに、担持体の形状は特に限定されるものではなく、粒子状や膜状等の種々の形態のものを使用することができる。
【0015】
陽イオン交換性物質からなる担持体としては、上記したように種々の材料や形状のものを使用することができるが、担持体の表面に荷電した状態で金属元素を吸着させる上で、強酸性陽イオン交換性物質を用いることが好ましく、また比較的大径の粒子形状のものを使用することが好ましい。具体的には粒子径が μm 以上の陽イオン交換性物質粒を用いることが好ましい。このような粒径を有する陽イオン交換物質に陽イオン性の金属イオンを吸着させると、立体障害等により吸着された金属元素を容易にプラスに荷電した状態とすることができる。
【0016】
上述したような担持体の表面に吸着させる金属元素は、分離対象陰イオンと選択的にイオン結合するものであればよく、例えば分離対象陰イオンがフッ素イオンである場合には金属元素としてアルミニウムが、また分離対象陰イオンが亜硝酸イオンである場合には金属元素としてチタンやガリウム等が例示される。これら以外にも、金属元素と分離対象陰イオンとが選択的にイオン結合するものであれば、種々の組合せを利用することができるが、特にフッ素イオンは他の陰イオンに比べて陰イオン交換樹脂に対する吸着性が低いため、本発明による荷電状態の金属元素による選択的な分離が有効である。
【0017】
また、荷電状態の金属元素が表面に吸着された担持体は、上記したような金属元素を含む易溶解性のイオン性化合物と、上述したような担持体とを十分に接触させる、例えば撹拌、混合することにより得ることができる。担持体に金属元素が吸着された状態を図1(a)に模式的に示す。図1(a)において、1は陽イオン交換性物質からなる担持体であり、2は担持体1にプラスに荷電した状態で吸着した金属元素である。このプラスに荷電した状態の金属元素2は、特定の陰イオン(分離対象陰イオン)3と非常に安定なイオン結合を形成するため、図1(b)に示すように、分離対象陰イオン3のみを選択的にかつ効率よく被処理液中から分離することができる。なお、図1中において、4は共存物質としての他の陰イオンを示している。
【0018】
上記した担持体の処理に用いる金属元素を含むイオン性化合物としては、金属元素がアルミニウムであれば硝酸アルミニウムや塩化アルミニウム、さらにはアルミン酸等が例示され、その量や濃度は金属元素による陽イオン交換性物質の処理程度等に応じて適宜調整する。例えば、図2(a)に示すように、陽イオン交換性物質1に吸着する金属元素2の量を調整し、陽イオン交換基の一部をH型交換基5の状態を維持させることも可能である。この場合、図2(b)に示すように、被処理液中の陽イオン6も同時に吸着処理することが可能な陰イオン選択吸着材料を得ることができる。
【0019】
本発明の陰イオン選択分離材料は、例えば塩酸のような酸、あるいは水酸化ナトリウム溶液のようなアルカリ溶液を用いることによって、容易に再生することができる。酸により再生する場合には、担持体に吸着された金属元素ごと担持体から脱離するため、再使用にあたっては改めて金属元素を担持体に吸着させる。また、アルカリ溶液を用いる場合には、分離対象陰イオンのみを脱離させることができるが、脱離の容易さから酸を用いることが好ましい。また、陰イオン選択分離材料を再生する際、少量の酸やアルカリ溶液を用いることによって、被処理液中から分離した陰イオンを濃縮することができる。従って、例えば排水処理等に本発明を適用する際には、その後の陰イオンの処理を容易にかつ効率的に行うことができる。
【0020】
請求項2記載の陰イオンの選択分離方法は、上述したような陰イオン選択分離材料と、分離対象陰イオンと共に他の陰イオン等の共存物質を含む被処理液とを接触させることにより、分離対象陰イオンのみを上述した荷電状態の金属元素と結合させて、分離対象陰イオンを選択的に分離する方法である。すなわち、図1に示したように、担持体1表面に吸着された荷電状態の金属元素2は、特定の陰イオン(分離対象陰イオン)3と非常に安定なイオン結合を形成するため、被処理液中から分離対象陰イオン4のみを選択的にかつ効率よく分離、除去することができる。また、陰イオン選択吸着材料が図2に示したように、一部H型交換基5を有する場合には、被処理液中の陽イオン6も同時に吸着、分離することができる。
【0021】
陰イオン選択分離材料と被処理液との接触には、種々の形態を適用することができ、例えば粒子形状の陰イオン選択分離材料を充填した筒内に被処理液を通液したり、あるいは粒子形状の陰イオン選択分離材料と被処理液とを容器内で混合して接触させることも可能である。また、膜状の陰イオン選択分離材料を多段に充填した容器内に被処理液を通液することにより、陰イオン選択分離材料と被処理液とを接触させてもよい。特に、陰イオンの分離効率等の点から、ある長さを持った処理帯(筒等)中に被処理液を通液することが好ましい。陰イオン選択分離材料と被処理液との接触時間は、接触の形態、陰イオン選択分離材料の形状、被処理液中の分離対象陰イオンの濃度、荷電状態の金属元素と分離対象陰イオンとの反応性等を考慮して設定するのとする。
【0022】
また、請求項3記載の陰イオンの選択分離方法は、上述したような陽イオン交換性物質からなる担持体と、分離対象陰イオンと選択的にイオン結合する金属元素を含む溶液および分離対象陰イオンと共に他の陰イオン等の共存物質を含む被処理液を接触させ、まず担持体に分離対象陰イオンと選択的にイオン結合する金属元素を荷電状態で吸着させた後、この荷電状態の金属元素に分離対象陰イオンを結合させることによって、分離対象陰イオンを選択的に分離する方法である。
金属元素を含む溶液と被処理液とは、この順で担持体と順に接触させてもよいし、また金属元素を含む溶液および被処理液を同時に担持体と接触させてもよい。また、担持体と金属元素を含む溶液および被処理液との接触は、前述した請求項2記載の陰イオンの選択分離方法と同様に、粒子形状の担持体を充填した筒内に金属元素を含む溶液および被処理液を通液したり、容器中で混合することにより行うことができる。
【0023】
このように、担持体と分離対象陰イオンと選択的にイオン結合する金属元素を含む溶液および被処理液とを接触させることによっても、前述した陰イオン選択分離材料と被処理液とを接触させる方法と同等の効果を得ることができる。
【0024】
本発明の陰イオン選択分離材料および陰イオンの選択分離方法は、例えば排水中からの有害な陰イオンの分離、除去、各種用水の処理、分析の前処理等に好適である。
【0025】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0026】
実施例1
まず、陽イオン交換性物質からなる担持体として、陽イオン交換樹脂・CK08P (商品名、三菱化成(株)製;強酸性陽イオン交換樹脂、粒径= 75〜 150μm )を用意し、この陽イオン交換樹脂を硝酸を用いてH型に再生した後、1000ppm の硝酸アルミニウム溶液と混合して、アルミニウム型陰イオン選択分離材料を調製した。なお、このアルミニウム型陰イオン選択分離材料の状態をEDXにより分析したところ、陽イオン交換樹脂にアルミニウムが僅かにプラスに荷電した状態で吸着されていることを確認した。
【0027】
次に、上記アルミニウム型陰イオン選択分離材料をクロマト管に5g充填し、このクロマト管の上部からフッ素イオン濃度が10ppm となるように調製したフッ化ナトリウム溶液を 5ml通液した。
【0028】
この後、上記クロマト管の下部から流出する液を分取して、そのフッ素イオン濃度を測定した。その結果、アルミニウム型陰イオン選択分離材料を充填したクロマト管に通液する前のフッ素イオン濃度10ppm に対して、クロマト管を通液した後のフッ素イオン濃度は0.002ppmまで減少していた。
【0029】
このように、陽イオン交換樹脂にアルミニウムを荷電状態で吸着させたアルミニウム型陰イオン選択分離材料を用いることによって、被処理液中からフッ素イオンを効率よく分離することができる。
【0030】
実施例2
実施例1と同様に調製したアルミニウム型陰イオン選択分離材料をクロマト管に5g充填し、このクロマト管の上部から種々の陰イオン(F- 、Cl- 、NO3 - 、 Br- 、PO4 3-、SO4 2-)を表1に示す濃度で含む溶液(被処理液)を 5ml通液した。この後、上記クロマト管の下部から流出する液を分取して、各陰イオン濃度を測定した。その結果を表1に示す。
【0031】
また、本発明との比較として、同量の陰イオン交換樹脂CA08P(商品名、三菱化成(株)製)を充填したクロマト管を用いる以外は、上記実施例と同様に陰イオン含有液の処理を行い、実施例と同様にクロマト管の下部から流出する液中の各陰イオン濃度を測定した。その結果を併せて表1に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0003707808
表1から明らかなように、陽イオン交換樹脂にアルミニウムを荷電状態で吸着させたアルミニウム型陰イオン選択分離材料を用いることによって、他の陰イオン(共存物質)の影響を受けることなく、被処理液中からフッ素イオンを選択的にかつ効率よく分離できることが分かる。一方、陰イオン交換樹脂を用いた比較例では、他の陰イオンにより陰イオン交換樹脂が飽和量に達してしまい、陰イオン交換樹脂に対する吸着性が低いフッ素イオンは、ほとんど分離することができなかった。
【0033】
実施例3
実施例1で用いた陽イオン交換樹脂・CK08P (商品名、三菱化成(株)製)を硝酸アルミニウム溶液で処理することなく、クロマト管に5g充填した。一方、実施例2と同一の被処理液(陰イオン含有溶液) 5mlを、20ppm の硝酸アルミニウム溶液 5mlと混合した。そして、この混合液を上記クロマト管の上部から通液し、クロマト管の下部から流出する液中の各陰イオン濃度を測定した。その結果、実施例2と同様に、他の陰イオンの影響を受けることなく、フッ素イオンを選択的に分離できることを確認した。
【0034】
また、上記硝酸アルミニウム溶液と陰イオン含有溶液を順に、上記クロマト管の上部から通液した場合においても、同様な結果が得られた。
【0035】
実施例4
まず、陽イオン交換性物質からなる担持体として、陽イオン交換樹脂・CK08P (商品名、三菱化成(株)製)を用意し、この陽イオン交換樹脂を硝酸を用いてH型に再生した後、1000ppm の硫酸チタン溶液と混合して、チタン型陰イオン選択分離材料を調製した。なお、このチタン型陰イオン選択分離材料の状態をEDXにより分析したところ、陽イオン交換樹脂にチタンが僅かにプラスに荷電した状態で吸着されていることを確認した。
【0036】
次に、上記チタン型陰イオン選択分離材料をクロマト管に5g充填し、このクロマト管の上部から種々の陰イオン( F- 、Cl- 、NO2 - 、Br- 、NO3 - 、PO4 3-、SO4 2-)を表2に示す濃度で含む溶液(被処理液) 5mlを通液した。この後、上記クロマト管の下部から流出する液を分取して、その各陰イオン濃度を測定した。その結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
Figure 0003707808
表2から明らかなように、陽イオン交換樹脂にチタンを荷電状態で吸着させたチタン型陰イオン選択分離材料は、亜硝酸イオン(NO2 - )の選択的な分離に効果を発揮することが分かる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の陰イオン選択吸着材料によれば、他の陰イオン等の共存物質の影響を受けることなく、フッ素イオン等の分離対象陰イオンの選択的な分離、除去を行うことができる。また、本発明の陰イオンの選択分離方法によれば、同様にフッ素イオン等の分離対象陰イオンを、他の陰イオン等の共存物質の影響を受けることなく、被処理液中から選択的にかつ効率よく分離、除去することができ、排水処理や分析等に有効に利用し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の陰イオン選択分離材料および陰イオンの選択分離方法の一例を説明する図であって、(a)は陰イオン選択分離材料の形態の一例を模式的に示す図、(b)はそれを用いて陰イオンを分離した状態を示す図である。
【図2】 本発明の陰イオン選択分離材料および陰イオンの選択分離方法の他の例を説明する図であって、(a)は陰イオン選択分離材料の形態の他の例を模式的に示す図、(b)はそれを用いて陰イオンを分離した状態を示す図である。
【符号の説明】
1……陽イオン交換性物質からなる担持体
2……荷電状態で吸着された金属元素
3……分離対象陰イオン
4……共存物質としての他の陰イオン

Claims (3)

  1. 共存物質を含む被処理液中から分離対象陰イオンを選択的に分離する陰イオン選択分離材料であって、
    陽イオン交換性物質からなる担持体の表面に、前記分離対象陰イオンと選択的にイオン結合する金属元素が、荷電した状態で吸着されており、
    前記分離対象陰イオンは、フッ素イオンもしくは亜硝酸イオンであり、前記分離対象陰イオンが前記フッ素イオンの場合には、前記金属元素としてアルミニウムが用いられ、前記亜硝酸イオンの場合には、前記金属元素としてチタンが用いられることを特徴とする陰イオン選択分離材料。
  2. 共存物質を含む被処理液中から分離対象陰イオンを選択的に分離する陰イオンの選択分離方法であって、
    請求項1記載の陰イオン選択分離材料と、前記被処理液とを接触させ、前記分離対象陰イオンを前記荷電状態の金属元素と結合させて、前記被処理液中から前記分離対象陰イオンを選択的に分離することを特徴とする陰イオンの選択分離方法。
  3. 共存物質を含む被処理液中から分離対象陰イオンを選択的に分離する陰イオンの選択分離方法であって、
    陽イオン交換性物質からなる担持体と、前記分離対象陰イオンと選択的にイオン結合する金属元素を含む溶液および前記被処理液を順に、あるいは前記金属元素を含む溶液および前記被処理液を同時に接触させ、前記担持体の表面に荷電状態で吸着された前記金属元素と前記分離対象陰イオンとを結合させて、前記被処理液中から前記分離対象陰イオンを選択的に分離し、
    前記分離対象陰イオンは、フッ素イオンもしくは亜硝酸イオンであり、前記分離対象陰イオンが前記フッ素イオンの場合には、前記金属元素としてアルミニウムが用いられ、前記亜硝酸イオンの場合には、前記金属元素としてチタンが用いられることを特徴とする陰イオンの選択分離方法。
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