JP3671798B2 - 荷搬送設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行レールに案内されて自走し、荷を搬送する自走台車を備えた荷搬送設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の荷搬送設備においては、特許第2553912号に開示されているように、自走台車を案内する走行レールの左カーブ部と右カーブ部にそれぞれ極性の異なるマグネットテープを布設し、自走台車に、マグネットテープおよびその極性を検出する磁気センサを設け、この磁気センサの検出信号により、自走台車が走行している区間が直線部か左カーブ部か右カーブ部のいずれかであることを認識している。そして、左カーブ部または右カーブ部と認識すると、自走台車の走行速度を低速に落とし、自走台車の安全な走行を確保し、また積載している荷の落下を防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記マグネットテープを走行レールに沿って布設することから、布設に時間がかかり作業効率が悪く、また設備毎に異なる走行レールの径路形状によりマグネットテープの布設位置およびその長さが異なり、設備毎に設計しなければならないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、マグネットテープを使用せずに走行レールの走行区間の径路形状を認識できる荷搬送設備を提供することを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、一対の走行レールに案内されて自走し、荷を搬送する複数台の自走台車を備え、前記各自走台車は、モータにより駆動される駆動車輪と、従動車輪により支持された荷搬送設備であって、
前記自走台車に、前記モータの駆動軸に連結され、前記駆動軸の回転に比例したパルスを出力する第1エンコーダと、前記一方の走行レールの面に接触して回動する検出ローラを有し、この検出ローラの回転に比例したパルスを出力する第2エンコーダを設け、前記自走台車が前記モータの駆動により走行しているとき、前記第1エンコーダの出力パルスにより検出される前記駆動車輪の速度と、前記第2エンコーダの出力パルスにより検出される前記走行レール部における速度を比較することにより、走行中の走行レールの径路形状が直線部、左カーブ部、右カーブ部のいずれであるかを認識することを特徴とするものである。
【0006】
上記構成により、第1エンコーダの出力パルスにより検出される駆動車輪の速度と、第2エンコーダの出力パルスにより検出される走行レール部における速度は、左カーブ部、右カーブ部、直線部により異なることによって、走行レールの区間の径路形状が判断され、認識される。
【0007】
また請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明であって、駆動車輪の速度から求められる駆動車輪の加減速度が、自走台車に設定された加減速度より大きいとき、第1エンコーダの異常と判断し、走行レール部における速度から求められる走行レール部における加減速度が、前記自走台車に設定された加減速度より大きいとき、第2エンコーダの異常と判断することを特徴とするものである。
【0008】
上記構成により、第1エンコーダあるいは第2エンコーダの異常により、パルスの出力が停止する、あるいはスリップによりパルスの間隔が延びると(異常が発生すると)、第1エンコーダあるいは第2エンコーダのパルス出力から検出される加減速度は急変することから、その異常が検出される。
【0009】
また請求項3に記載の発明は、上記請求項2に記載の発明であって、第1エンコーダの出力パルスにより検出される自走台車の移動距離に基づいて前記予め認識した走行レールの径路形状を判断することにより自走台車の速度を制御し、第1エンコーダの異常と判断されると、第2エンコーダの出力パルスにより検出される自走台車の移動距離に基づいて前記予め認識した走行レールの径路形状を判断することにより自走台車の速度を制御することを特徴とするものである。
【0010】
上記構成により、第1エンコーダの出力パルスにより自走台車の移動距離が検出され、移動距離に基づいて前記予め認識した走行レールの径路形状を判断することにより自走台車の速度の制御が行われる。また第2エンコーダの出力パルスにより検出される移動距離により第1エンコーダ異常時の自走台車の速度の制御が行われる(バックアップが行われる)。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態における荷搬送設備の要部構成図である。
【0012】
図1において、1はフロア2に設置された一対の走行レールであり、3はこの走行レール1に案内されて自走し、荷を搬送する4輪の自走台車である。
自走台車3は、図1〜図4に示すように、車体11と、この車体11上に設置された荷の移載・載置装置(たとえば、ローラコンベヤやチェンコンベヤ)12と、車体11の下部に取付けられた、車体11を一方の走行レール1(図では右側走行レール)に対して支持する2台の旋回式従動車輪装置13および車体11を他方の走行レール1(図では左側走行レール)に対して支持するとともに走行レール1の曲がり形状に追従可能でかつ旋回式従動車輪装置13に対して遠近移動自在(スライド自在)な2台の旋回・スライド式駆動車輪装置14を備えている。
【0013】
車体11は、図4に示すように、2台の旋回式従動車輪装置13を縦軸心回りに旋回自在に支持する右フレーム21と、2台の旋回・スライド式駆動車輪装置14を縦軸心回りに旋回自在で、かつ左右方向(旋回式従動車輪装置13への遠近方向)に移動自在に支持する左フレーム22と、これら右フレーム21と左フレーム22の前後両端を固定する前後フレーム23,24と、これらフレーム21,22,23,24により形成される枠上に固定される箱体25(図2)から構成され、この箱体25内に、上記荷移載・載置装置12が設置される。
【0014】
上記各旋回式従動車輪装置13は、上記右フレーム21に対して縦軸心回りに旋回自在な旋回体31と、この旋回体31の下面側に連結され、右側走行レール1の側面に対応した一対の脚部を有するブラケット32と、このブラケット32の両脚部の中央部にそれぞれ設けられたアクスル33と、このアクスル33に遊転自在に支持された遊転車輪34と、前記ブラケット32の両脚部の下方前後左右端にそれぞれ設けられ、右側走行レール1の両側面に接触する遊転自在な4個のガイドローラ(ガイド装置の一例)35から構成され、この4個のカイドローラ35により、走行レール1の曲がりに対応してブラケット32を介して縦軸心回りに旋回体31が回動することにより、遊転車輪34は走行レール1に対して位置決めされ、脱輪することなく走行レール1上を走行し得る。
【0015】
また各旋回・スライド式駆動車輪装置14は、上記左フレーム22に対して縦軸心回りに旋回自在で、かつ左右方向に移動自在な旋回体41と、この旋回体41の下面側に連結され、左側走行レール1の側面に対応した一対の脚部を有するブラケット42と、このブラケット42の両脚部の中央部にそれぞれ設けられたアクスル43と、このアクスル43に支持された駆動車輪44と、この駆動車輪44の回転軸にその駆動軸が連結されたモータ45と、前記ブラケット42の両脚部の下方前後左右端にそれぞれ設けられ、左側走行レール1の両側面に接触する遊転自在な4個のガイドローラ(ガイド装置の一例)46とから構成され、4個のガイドローラ46により、走行レール1の曲がりに対応してブラケット42を介して縦軸心回りに旋回体41が回動し、かつ一対の走行レール1間の幅に対応してブラケット42を介して旋回体41が左右に移動することにより、駆動車輪44は脱輪することなく走行レール1上を走行し得、またモータ45の駆動により駆動車輪44が回動することにより、自走台車3は走行レール3に案内されて走行し得る。
【0016】
このように、2輪の駆動車輪44を旋回・スライド自在(遊転車輪34に対して遠近移動自在)な構造とし、2輪の遊転車輪34で位置決めが行われることにより、カーブ部での自走台車3の走行が何ら支障なく円滑に行われ、本体11が左右方向に振れることが防止される。さらに駆動車輪44のモータ45の負担が軽減され、駆動車輪44で位置決めを行う場合と比較して遊転車輪34および駆動車輪44の構成を簡易な構成とすることができる。
【0017】
また一方の走行レール1の外方側面に走行方向に沿って全長に集電レール51が布設され、一方の旋回式従動車輪装置13のブラケット32の外方に集電子52が設置されている。
【0018】
また他方の走行レール1の外方側面に走行方向に沿って全長にフィーダ線54が布設され、旋回・スライド式駆動車輪装置14のブラケット42の外方にフィーダ線54に接近対向してワイヤレスモデム55が設置されている。
【0019】
また車体11の箱体25の下部に、フレーム21,22,23,24により形成される枠内で、かつ2台のモータ45の空きスペースに、制御ボックス57と動力ボックス58が固定されている。
【0020】
またセンサとして、箱体25に、荷移載・載置装置12上の荷の有無、荷の定位置を検出する光電スイッチからなる移載部検出器61と、追突を検出するバンパスイッチ62が設けられ、また1台のモータ45の駆動軸に連結してモータ45の駆動軸の回転に比例したパルスを出力する第1エンコーダ63が設けられ、また旋回・スライド式駆動車輪装置14のブラケット42の外方に、左側走行レール1の側面(外面)に接触して回動する検出ローラ64Aを有し、この検出ローラ64Aの回転に比例したパルスを出力する第2エンコーダ64が設けられ、さらに前後の自走台車3間でデータの送受信を行うためのデータ送受信手段として、光センサ送信器65と受信器66が設けられている。
【0021】
これら光センサ送信器65と受信器66用に、車体11の箱体25の下方で、かつ前後の中心位置にそれぞれ、光の下方への漏れを遮断する遮断部材を兼ねた平板67が設けられており、光センサ送信器65と受信器66はそれぞれ、後方と前方を向けてこの平板67上に取付けられている。また、光センサ送信器65と受信器66の取付け位置(高さ)を、走行レール1の上面レベルと下面レベルとの間としている。
【0022】
また図5に示すように、光センサ送信器65から照射される光のエリアを、中央で20゜の角度分が重なり、それぞれ80゜の角度で広がる2つの側方エリア68A,68Bと、後方中心で4゜の角度で広がる中心エリア69からなる、140゜の広角エリアとし、走行レール1のカーブ部において、前後の自走台車3間のデータの送受信を可能としており、光のエリアを、走行レール1の左カーブ部では側方エリア68B、右カーブ部では側方エリア68A、直線部では中心エリア69に切り換え可能な構成としている。
【0023】
このように、光センサ送信器65と光センサ受信器66の取付け位置(高さ)を、走行レール1の上面レベルと下面レベルの間としたことにより、光センサ送信器65の光は、走行レール1の上面レベルと下面レベルの間で水平方向に照射され、よって光が一対の走行レール1に遮断されて左右の走行レール1の外方へ漏れることを防止でき、後続の他の自走台車以外の自走台車3、特にカーブ部を走行中の他の自走台車3、あるいは走行レール1に沿って配置された他の装置への誤入力を防止できる。さらに光センサ送信器65と光センサ受信器66を、車体11の下方に配置され、光の下方への漏れを遮断する遮断部材を兼ねた平板67上に取付けたことにより、上方へ広がる光センサ送信器65の光が、自走台車3(車体11)により上方へ漏れることを防止でき、かつ下方へ広がる光センサ送信器65の光が、平板67により下方に漏れることを防止でき、周囲の環境に与える影響をなくすことができる。
【0024】
また図1〜図3に示すように、直線部の走行レール1の側面にはマグネットから形成された原点70Aが設けられ、自走台車3の他方の旋回式従動車輪装置13のブラケット32に、この原点70Aを検出する磁気センサからなる原点検出器70が設けられている。
【0025】
図6に自走台車3の制御ブロックを示す。
図6において、71はマイクロコンピュータからなり、複数の自走台車3を総括して制御する地上の制御手段である地上コントローラであり、自走台車3が走行する走行レール1に沿って散在し、荷の移載を行うステーションや上位のホストコンピュータ(いずれも図示せず)からの荷の移載信号および後述する地上モデム72からの各自走台車3毎のフィードバック信号、たとえば現在位置(走行距離またはアドレス)信号や荷の有無などの信号を入力して判断し、各自走台車3毎に走行する行先や移載を行うかどうかなどの制御を行っている。
【0026】
地上コントローラ71は自走台車3との信号の伝送を、送受信機に相当する地上モデム72およびアンテナとして、径路である走行レール1に自走台車3の走行方向に沿って全長に布設された前記フィーダ線54を介して行っている。
【0027】
自走台車3の本体コントローラ73は、フィーダ線54に接近対向して設置された上記ワイヤレスモデム55を介して地上コントローラ71との信号の伝送を行っている。また本体コントローラ73には、上記センサや通信機器、すなわち移載部検出器61とバンパスイッチ62と第1エンコーダ63と第2エンコーダ64と光センサ送信器65と受信器66と原点検出器70が接続されており、各センサや通信機器からの信号およびワイヤレスモデム55から入力した地上コントローラ71からの制御信号により判断し、インバータ76、切換スイッチ77を介して前記走行モータ45あるいは切換スイッチ77にて切替えて荷移載・載置装置12の移載モータ78を制御して自走台車3の自走および自走台車3からの荷の移載を制御している。前記インバータ76は、走行モータ45の制御に際して、本体コントローラ73から入力した回転数指令値に基づいて走行モータ45の回転数制御を実行し、また回転数指令値が変更となると、予め設定された自走台車3の加減速度により回転数を変化させる。
【0028】
前記制御ボックス57に、本体コントローラ73が収納され、動力ボックス58に、インバータ76と、切換スイッチ77と、集電子52に接続され自走台車1内の装置へ給電する電源装置(図示せず)が収納されている。
【0029】
以下、上記本体コントローラ73による走行制御について説明する。
図7は、本体コントローラ73の走行制御のブロック図である。
図7において、81は、原点検出器70の原点検出信号によりリセットされ、第1エンコーダ63から出力されるパルスをカウントする第1カウンタであり、この第1カウンタ81のカウント値は第1走行距離演算部82へ入力され、第1走行距離演算部82においてモータ45の駆動軸、すなわち駆動車輪44の累積回転数が求められ、この駆動車輪44の累積回転数により原点70Aからの駆動車輪44による走行距離(以下、車輪距離と略す)Maが演算される。この車輪距離Maは、第1走行制御部83、走行レール認識部(学習部)85、異常検出部86(詳細は後述する)などへ入力される。
【0030】
また図7において、91は、原点検出器70の原点検出信号によりリセットされ、第2エンコーダ64から出力されるパルスをカウントする第2カウンタであり、この第2カウンタ91のカウント値は第2走行距離演算部92へ入力され、この第2走行距離演算部92において検出ローラ64Aの累積回転数が求められ、この検出ローラ64Aの累積回転数により左側走行レール1の外側面(以下、左レール部と略す)における原点70Aからの走行距離(以下、左レール距離と略す)Mbが演算される。この左レール距離Mbは、第2走行制御部93、走行レール認識部85、異常検出部86(詳細は後述する)などへ入力される。
【0031】
走行レール認識部85は、実稼働前の走行テスト中に、原点70Aから車輪距離Maと左レール距離Mbにおける走行レール1の径路形状(直線部または左カーブ部または右カーブ部)を認識(学習)するためのものであり、実稼働中には使用しない。走行レール認識部85において認識された車輪距離Maと左レール距離Mbにおける走行レール1の径路形状のデータは、区間メモリ部87へ記憶される。
【0032】
走行レール認識部85における認識方法(学習方法)を図8にしたがって説明する。なお、自走台車3はテスト走行中であり、認識実行が指示されているものとする。
【0033】
まず、原点70Aを通過したかを原点検出器70の原点検出信号により確認し(ステップ−1)、原点70Aの通過を確認するまで、前回の車輪距離Mazと前回の左レール距離Mbz(後述する)をリセットする(ステップ−2)。
【0034】
ステップ−1において、原点70Aを検出すると、まず現在の車輪距離Maと前回の車輪距離Mazとの差により駆動車輪44の車輪駆動軸部の速度Saを演算(微分演算)し(ステップ−3)、続いて現在の左レール距離Mbと前回の左レール距離Mbzとの差により左レール部の速度Sbを演算(微分演算)し(ステップ−4)、これら車輪駆動軸部の速度Saと左レール部の速度Sbの速度偏差eを演算する(ステップ−5)。
【0035】
次に速度偏差eにより、現在走行中のレールの径路形状を判断する(ステップ−6)。
速度偏差eが所定値α(>0)より大きいとき、すなわち車輪駆動軸部の速度Saが左レール部の速度Sbより速いとき、左カーブ部を走行中と判断し(ステップ−7)、速度偏差eが所定値αの絶対値より小さいとき、すなわち車輪駆動軸部の速度Saと左レール部の速度Sbがほぼ同じとき、直線部を走行中と判断し(ステップ−8)、速度偏差eが所定値(−α)より小さいとき、すなわち左レール部の速度Sbが車輪駆動軸部の速度Saがより速いとき、右カーブ部を走行中と判断する(ステップ−9)。
【0036】
これら判断を、車輪駆動軸部の車輪距離[Maz〜Ma]間、および左レール部の左レール距離[Mbz〜Mb]間の走行レール1の径路形状として区間メモリ部87に記憶する(ステップ−10)。
【0037】
続いて次回の演算のために、現在の車輪距離Maを前回の車輪距離Mazとして記憶し、現在の左レール距離Mbを前回の左レール距離Mbzとして記憶する(ステップ−11)。
【0038】
上記ステップ−3〜ステップ−11を次に原点70Aを検出するまで繰り返し実行する(ステップ−12)。
上記繰り返しにより、区間メモリ部87に、原点70Aから車輪距離Maおよび左レール距離Mbにおける走行レール1の走行区間の径路形状(直線部または左カーブ部または右カーブ部)が記憶される。
【0039】
このように、走行レール認識部85において、マグネットテープを使用せずに走行レール1の走行区間の径路形状が求められることにより、従来のように走行レール1のカーブ部に連続してマグネットテープを取り付ける必要がなくなり、作業効率が改善され、また設備毎に異なる走行レールの径路形状によりマグネットテープの布設位置およびその長さが異なり、設備毎に設計しなければならないという問題を解決できる。
【0040】
また上記異常検出部86は、第1エンコーダ63と第2エンコーダ64の異常を検出するものであり、第1エンコーダ63の異常を検出すると、第2エンコーダ64が正常なとき、走行制御を、第1走行制御部83から第2エンコーダ64の第2走行制御部93に切り換える信号(異常検出信号)を出力し、リレイ88を励磁する。このリレイ88の動作接点により、第1走行制御部83の出力から第2走行制御部93の出力へ切り換わり、同時に光センサ送信器65とワイヤレスモデム55を介して地上コントローラ71へ送信する現在の走行距離(位置アドレス)を車輪距離Maより左レール距離Mbへ切り換える。また第1エンコーダ63と第2エンコーダ64がともに異常であることを検出すると、第1走行制御部83と第2走行制御部93へ走行停止信号を出力する。またワイヤレスモデム55を介して地上コントローラ71へ前記異常検出信号と走行停止信号を出力する。
【0041】
異常検出部86による異常検出方法の一例を説明する。
上記走行レール認識部85と同様に、入力した車輪距離Maを微分演算して車輪駆動軸部の速度Saを演算し、さらにこの速度Saを微分して車輪駆動軸部の加速度Daを演算する。また入力した左レール距離Mbを微分演算して左レール部の速度Sbを演算し、さらに速度Sbを微分して左レール部の加速度Dbを演算する。
【0042】
自走台車3の加減速度はインバータ76により設定値βに制御されているので、車輪駆動軸部の加速度Daの絶対値が加減速度βの絶対値より大きいとき、第1エンコーダ63に異常(パルスが急になくなる、あるいはスリップなどによりパルス間隔が延びるなど)が発生したと判断できる(検出できる)。また同様に、左レール部の加速度Dbの絶対値が加減速度βの絶対値より大きいとき、第2エンコーダ64に異常が発生したと判断できる(検出できる)。
【0043】
第1エンコーダ63に異常が発生すると、第2エンコーダ64が正常なとき、異常検出信号を出力し、また第1エンコーダ63と第2エンコーダ64にともに異常が発生すると、走行停止信号を出力する。
【0044】
このように、上記異常検出部86により第1エンコーダ63と第2エンコーダ64の異常を検出でき、第1エンコーダ63に異常が発生した場合にも、第2走行制御部93へ切り換えることにより走行制御を継続することができ、設備の停止を回避でき、搬送作業を続行でき、作業時間を維持できる。
【0045】
上記第1走行制御部83には、光センサ受信器66により受信している前方の自走台車3の現在の車輪距離Pa(位置アドレス)と、現在の車輪距離Ma(現在の位置のアドレス)とワイヤレスモデム55を介して地上コントローラ71から伝送されてくる自走台車3の位置の車輪距離(指令アドレス信号)が入力され、また異常検出部86より走行停止信号が入力され、インバータ76へモータ45の回転数指令値を出力している。
【0046】
この第1走行制御部83の走行制御について、図9のフローチャートにしたがって説明する。
まず、異常検出部86より出力される走行停止信号の入力を確認し(ステップ−1)、確認すると、走行停止とし、回転数指令値を“0”とする(ステップ−2)。
【0047】
次に、地上コントローラ71から伝送されてくる目標値である自走台車3の位置の車輪距離Ms(指令アドレス信号)と現在の車輪距離Ma(現在の位置のアドレス)を比較して走行指令が伝送されてきたか判断し(ステップ−3)、走行指令なしの場合は、ステップ−2を実行する。走行指令有りの場合は、現在の車輪距離Maにより区間メモリ部87を検索し、走行中の走行レール1の形状(直線部または左カーブ部または右カーブ部)を求める(ステップ−4)。
【0048】
走行レール1の直線部にいると判断すると、光センサ送信器65から送信する光のエリアとして中心エリア69を選択した切換信号を光センサ送信器65へ出力し(ステップ−5)、走行速度の上限値を高速、たとえば100m/minに設定し(ステップ−6)、走行レール1の左カーブ部にいると判断すると、側方エリア68Bを選択した切換信号を光センサ送信器65へ出力し(ステップ−7)、走行速度の上限値を低速1、たとえば40m/minに設定し(ステップ−8)、右カーブ部にいると判断すると、側方エリア68Aを選択した切換信号を光センサ送信器65へ出力し(ステップ−9)、走行速度の上限値を低速2、たとえば45m/minに設定する(ステップ−10)。
【0049】
次に、目標値である車輪距離Msと現在の車輪距離Maとの差を演算し、その差が一定距離gより短くなると、すなわち目標の停止位置に近づくと(ステップ−11)、走行速度の上限値を停止前の低速3、たとえば20m/minに設定する(ステップ−12)。さらに目標値である車輪距離Msと現在の車輪距離Maとの差が一定距離k(<g)より短くなると、すなわち目標の停止位置の直前となると(ステップ−13)、ステップ−2により走行停止とする。。
【0050】
次に、光センサ受信器66により受信している前方の自走台車3の現在の車輪距離Pa(位置アドレス)と自身の現在の車輪距離Ma(位置アドレス)により車間距離Lを演算する(ステップ−14)。
【0051】
まず、前方の自走台車3の現在車輪距離Paを微分して前方の自走台車3の走行速度vを演算する。次に、自身の現在車輪距離Maを微分して自身の走行速度voを演算し、この速度vを微分して加速度bを演算する。なお、自走台車3に予め設定された通常の停止減速度をαとする。
【0052】
次に、前方の自走台車3の停止距離と自身の停止距離との差を演算して第1車間距離L1を求める(式1)。この第1車間距離L1は、図10(a)に示すように、両自走台車1が現在の走行速度より通常に停止したときの距離の差に相当する。
【0053】
次に、図10(b)に示すように、自身の走行速度voが前方の自走台車3の走行速度vより高速で、両自走台車3が現在の走行速度より通常に停止したとき結果的には車間距離L1(>0)が存在するが、途中で前方の自走台車3を一旦追い越して停止し、続いて追い越される場合を想定すると、速度が同一となったときの両自走台車3の現在からの車輪距離の差S(式2){図10(c)参照}が、現在の車輪距離の差(=Pa−Ma)より大きい(S>Pa−Ma)と追突する。なお、速度が同一となった以降は、自身の走行速度が前方の自走台車3の走行速度より遅くなるので、追突する恐れはない。
【0054】
S=(v−vo)2/2/(α−b) …(2)
このような事態を想定し、現在から所定時間後(たとえば1秒後)の第2車間距離L2を求める(式3)。
【0055】
次に、これら第1車間距離L1と第2車間距離L2の短い方を車間距離Lとする(式4)。
【0056】
車間距離L=min(L1,L2) …(4)
前記車間距離Lが所定の最低距離Lminより短いかを判断する(ステップ−15)。車間距離Lが所定の最低距離Lminより短いとき、自走台車3間が接近したと判断して、ステップ−2により走行停止とする。
【0057】
車間距離Lが所定の最低距離Lminより短くないとき、上記演算した車間距離Lをフィードバックしながら、所定の最適車間距離を目標値した走行制御により、走行速度を演算し(ステップ−16)、この走行速度を上記ステップ−5または7または9または12において設定した上限値により制限し(ステップ−17)、この制限した走行速度をモータ45の回転数指令値へ変換してインバータ76へ出力し、最適な走行速度で自走台車3を走行させる(ステップ−18)。
【0058】
上記第2走行制御部93には、光センサ受信器66により受信している前方の自走台車3の現在の車輪距離Pa(位置アドレス)と、現在のレール距離Mb(現在の位置のアドレス)とワイヤレスモデム55を介して地上コントローラ71から伝送されてくる自走台車3の位置の車輪距離(指令アドレス信号)が入力され、また異常検出部86より走行停止信号が入力され、インバータ76へモータ45の回転数指令値を出力している。
【0059】
第2走行制御部93は、第1走行制御部83のバックアップを行うためのものである。制御の手順は上記第1走行制御部83と同じであり、詳細な説明は省略する。第1走行制御部83または第2走行制御部93の構成により、エンコーダ63,64に異常が発生していないとき、区間メモリ部87に記憶された走行レール1の径路形状に基づいて現在走行している径路形状(直線部または左カーブ部または右カーブ部)を判断でき、この径路形状により走行速度の上限を設定でき、またカーブ部においても車間距離を把握でき走行制御を行うことにより、自走台車3は直線部では、前方自走台車3との車間距離により速度を制御し、またカーブ部では前方自走台車3との車間距離により速度を制御しながら速度上限値によりカーブ部に合わせた速度に落とし、目標の停止位置へ自走台車3を走行させて停止できる。また車間距離により自走台車3間が接近したと判断すると停止している。
【0060】
このように、自走台車3間を最適な車間を確保して安全に走行させることができ、搬送効率を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、第1走行距離演算部82または第2走行距離演算部92において演算した車輪距離(走行距離)をワイヤレスモデム55、フィーダ線54および地上モデム72を介して地上コントローラ71へ送信し、現在位置を知らせているだけであるが、上記走行距離に対応する走行区間のアドレスAを求め、この走行区間のアドレスAに台車特有の番号を付したデータ(「台車番号+走行区間のアドレスA」からなる位置データ)を地上コントローラ71へ送信するようにすることもできる。このとき、地上コントローラ71が受信した各自走台車3の「台車番号+走行区間のアドレス」からなる位置データを、全自走台車3に対して地上モデム72、フィーダ線54を介して送信することにより、各自走台車3は、受信した位置データの台車番号より前方を走行している自走台車3の走行区間のアドレスAを認識することができ、光センサ送信器65と受信器66との通信エリア外において、地上コントローラ71より入力される前方の自走台車3の走行区間のアドレスと自身の走行区間のアドレスAにより演算される車間距離Lにより、走行制御部83または93において走行速度制御を行うことができる。
【0061】
また、光センサ送信器65と受信器66の通信エリア外でも前方の自走台車3との車間距離Lを常に把握できることにより、高速走行時においても予め減速を行うことができ、安全に前方の自走台車3へ接近でき、自走台車3間を最適な距離(車間距離)を確保して安全に走行させることができ、搬送効率を向上させることができる。また走行区間のアドレスのデータは、走行距離のデータよりデータ量が小さく、またこの送信間隔は光伝送による送信間隔より長くできるために、通信負荷を減少でき、本体コントローラ73の負荷を軽減することができる。
【0062】
また光センサ送信器65と受信器66との通信エリア外では、すなわち前方の自走台車との距離が十分にあるとき、走行レール1の直線部の走行速度上限値をより高速に切り換えることも可能となり、前方の自走台車3へ追いつくことができ、車間距離を最適な距離にすることができる。
【0063】
また本実施の形態では、自走台車3を4輪としているが、3輪とすることもできる。
【0064】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、マグネットテープを使用せずに走行レールの走行区間の径路形状が求められることにより、従来のように走行レールのカーブ部に連続してマグネットテープを取り付ける必要がなくなり、作業効率が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における荷搬送設備の要部構成図である。
【図2】同荷搬送設備の走行レールおよび自走台車の側面図である。
【図3】同荷搬送設備の走行レールの断面および自走台車の要部正面図である。
【図4】同荷搬送設備の自走台車の一部平面図である。
【図5】同荷搬送設備の光センサ送信器の光エリアの説明図である。
【図6】同荷搬送設備の自走台車の制御ブロック図である。
【図7】同荷搬送設備の本体コントローラの走行制御のブロック図である。
【図8】同荷搬送設備の本体コントローラの走行レールの認識のフローチャート図である。
【図9】同荷搬送設備の本体コントローラの走行制御のフローチャート図である。
【図10】同荷搬送設備の本体コントローラの走行制御の説明図である。
【符号の説明】
1 走行レール
3 自走台車
13 旋回式従動車輪装置
14 旋回・スライド式駆動車輪装置
45 走行モータ
63 第1エンコーダ
64 第2エンコーダ
73 本体コントローラ(制御手段)
76 インバータ
Claims (3)
- 一対の走行レールに案内されて自走し、荷を搬送する複数台の自走台車を備え、前記各自走台車は、モータにより駆動される駆動車輪と、従動車輪により支持された荷搬送設備であって、
前記自走台車に、
前記モータの駆動軸に連結され、前記駆動軸の回転に比例したパルスを出力する第1エンコーダと、
前記一方の走行レールの面に接触して回動する検出ローラを有し、この検出ローラの回転に比例したパルスを出力する第2エンコーダ
を設け、
前記自走台車が前記モータの駆動により走行しているとき、前記第1エンコーダの出力パルスにより検出される前記駆動車輪の速度と、前記第2エンコーダの出力パルスにより検出される前記走行レール部における速度を比較することにより、走行中の走行レールの径路形状が直線部、左カーブ部、右カーブ部のいずれであるかを認識すること
を特徴とする荷搬送設備。 - 駆動車輪の速度から求められる駆動車輪の加減速度が、自走台車に設定された加減速度より大きいとき、第1エンコーダの異常と判断し、走行レール部における速度から求められる走行レール部における加減速度が、前記自走台車に設定された加減速度より大きいとき、第2エンコーダの異常と判断すること
を特徴とする請求項1に記載の荷搬送設備。 - 第1エンコーダの出力パルスにより検出される自走台車の移動距離に基づいて前記予め認識した走行レールの径路形状を判断することにより自走台車の速度を制御し、第1エンコーダの異常と判断されると、第2エンコーダの出力パルスにより検出される自走台車の移動距離に基づいて前記予め認識した走行レールの径路形状を判断することにより自走台車の速度を制御すること
を特徴とする請求項2に記載の荷搬送設備。
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