JP3671262B2 - 長鎖二塩基酸及び電解コンデンサ駆動用電解液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な長鎖二塩基酸及び電解コンデンサ駆動用電解液に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電解コンデンサ駆動用電解液において、特に中高圧用電解液としては、エチレングリコールを溶剤として用い、硼酸又は硼酸アンモニウム塩が電解質として添加されたものが使用されている。しかしながら、このような電解液は、硼酸から発生する結晶水と、エチレングリコールと硼酸との間のエステル化反応により多量の縮合水が生成し、電解液系内の水分含有量が高くなり、その結果100℃を越える温度条件下で該電解液を使用すると、電解液中の水が水蒸気となって蒸発し、それに伴って電解コンデンサのパッケージ内の内圧が上昇し、破壊が生じるのを避け得ないという問題点を有している。
【0003】
このような欠点を改良するために、溶質としてアゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の直鎖飽和ジカルボン酸又はその塩を含有する電解液が用いられることもあるが、該直鎖飽和ジカルボン酸はエチレングリコ―ル等の溶媒に対する溶解度が低いため、低温で該ジカルボン酸が結晶として析出し易く、それ故コンデンサの低温特性を劣化させるという欠点を免れ得なかった。
【0004】
更に近年では、2−ブチルオクタン二酸、1,7−オクタンジカルボン酸、8−ビニル−10−オクタデセン二酸等の二塩基酸やその塩を溶質として使用する試みもなされている(特開昭60−13293号公報、特開平2−224217号公報、特開平4−186713号公報)。しかしながら、これらの二塩基酸又はその塩を溶質として用いた電解液は、硼酸に比べてエステル化反応の速度が遅く、電解液中に生成する水分も少量となり得る利点を有する反面、次のような重大な欠点を有している。即ち、上記二塩基酸又はその塩を溶質として用いた電解液を高温で使用すると、エステル化を大幅に抑制することができず、その結果電導度の劣化が不可避となる。一方、逆に該電解液を低温で使用した場合には、微細な結晶の析出と同時に、過大電流が生じる虞れがある。このように2−ブチルオクタン二酸、1,7−オクタンジカルボン酸、8−ビニル−10−オクタデセン二酸やこれらの塩を溶質とした電解液でさえも、溶媒であるエチレングリコールへの溶解性及び電導度の点で満足できるものではなく、殊に高温で使用する場合に徐々にエステル化が進行し、電導度の劣化を生じると共に、電解液内の水分含有量が高くなり、電解コンデンサのパッケージ内の内圧が上昇するのが避けられなくなる。従って、最悪の場合、電解コンデンサ製品の開弁をも引き起こすため、長寿命で信頼性の高い電解コンデンサを提供できるものではなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、斯かる現状に鑑み、上記欠点のない電解コンデンサ駆動用電解液を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明者が新たに見い出した下記一般式(1)もしくは(2)で表わされる二塩基酸及び/又はその塩を溶質として使用した場合に、低温においても結晶として析出し難く、また高温においても電導度の劣化等の生じない所望の電解コンデンサ駆動用電解液になり得ることを見い出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、一般式
HOOC−A−B−A−COOH (1)
〔式中、Aは炭素数7〜10の分枝鎖状アルキレン基を示す。Bは
【0007】
【化3】
【0008】
を示す。〕で表される長鎖二塩基酸及び一般式
【0009】
【化4】
【0010】
〔式中、R1は低級アルキル基を示す。nは6〜10の整数を示す。〕で表される長鎖二塩基酸なる群より選ばれた二塩基酸又はそのアンモニウム塩、並びに上記二塩基酸及び/又はそのアンモニウム塩を溶質とし、これをエチレングリコ―ルを主溶剤とする溶剤に溶解してなることを特徴とする電解コンデンサ駆動用電解液に係る。
【0011】
本発明で用いられる一般式(1)もしくは(2)の二塩基酸及び/又はこれらのアンモニウム塩は、本発明者が初めて見い出した文献未記載の新規化合物である。これらの化合物は、エチレングリコールに対して高い溶解性を有する。その結果、本発明によれば、低温から高温までの広い温度範囲で安定に動作し、且つ火花開始電圧の高い中高圧電解コンデンサ用電解液を提供できる。本発明の電解コンデンサ駆動用電解液は、低温においても結晶として析出し難く、また高温においても電導度の劣化等の生じないものである。従って、本発明の電解液は、低温及び高温での劣化が極めて小さく、ガスの発生も抑制され、特に高温での長寿命の電解コンデンサを得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
上記一般式(1)において、Aで示される炭素数7〜10の分枝鎖状アルキレン基は、具体的には次の通りである。
【0013】
【化5】
【0014】
次に一般式(1)で表される上記長鎖二塩基酸の具体例を表1〜表5に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
【表4】
【0019】
【表5】
【0020】
上記一般式(2)において、R1で示される低級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル基等の直鎖又は分枝鎖状の炭素数1〜4のアルキル基を挙げることができる。
【0021】
次に一般式(2)で表される上記長鎖二塩基酸の具体例を表6に示す。
【0022】
【表6】
【0023】
上記一般式(1)及び(2)で表される長鎖二塩基酸は、例えば次に示す方法により製造される。
【0024】
化合物(1−1)〜化合物(1−4)及び化合物(1−13)は、酸触媒の存在下、低級アルコール中で一般式
【0025】
【化6】
【0026】
〔式中R2は低級アルキル基を示す。mは1又は2を示す。〕
で表されるアルキル置換シクロヘキサノン類と過酸化水素とを反応させ、次いで得られる反応液にイソプレンを金属塩の存在下に反応させ、更に得られる二塩基酸エステルを加水分解することにより製造される。
【0027】
更に詳しくは、まず低級アルコール中、一般式(3)のアルキル置換シクロヘキサノン類と過酸化水素とを酸触媒の存在下に反応させて低級アルコキシシクロヘキシルパーオキサイドとする。ここで低級アルコールとしては、例えば無水のメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。また酸触媒としては、例えば硫酸、塩酸、リン酸、トリフルオロ酢酸等を挙げることができ、これらの中でも硫酸及びリン酸が特に好適である。アルキル置換シクロヘキサノン類と過酸化水素との反応において、両者の使用割合としては、特に限定されるものではないが、通常前者100重量部(以下単に「部」と記す)当り、80〜130部程度、好ましくは100〜110部程度とするのがよい。上記低級アルコールは、アルキル置換シクロヘキサノン類100部当り、通常200〜700部程度、好ましくは250〜350部程度用いるのがよい。また酸触媒は、アルキル置換シクロヘキサノン類100部当り、通常5〜10部程度、好ましくは6〜8部程度用いるのがよい。該反応は、通常冷却下、好ましくは−20〜10℃付近にて好適に進行し、短時間で該反応は終了する。
【0028】
上記反応で低級アルコキシシクロヘキシルパーオキサイドが生成するが、本発明ではこれを単離することなく、反応液のまま次の反応に供するのがよい。
【0029】
上記反応液とイソプレンとを反応させるに際しては、金属塩が触媒として用いられる。ここで金属塩としては、例えば鉄、銅、コバルト、チタン、錫等の金属の硫酸塩、塩化物、アンモニウム塩等の塩やこれらの水和物等が挙げられる。この中でも第一鉄塩が好適である。第一鉄塩としては、例えば硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム塩等やこれらの水和物等が挙げられる。これらの中で特に硫酸第一鉄が好ましく、硫酸第一鉄は反応後にこれを硫酸と鉄で還元して硫酸第一鉄を回収し、再使用を有利に行なうことができる。上記金属塩は、1種単独で、又は2種以上混合して用いられる。上記反応液とイソプレンとは、アルキル置換シクロヘキサノン類100部当り、イソプレンを通常100〜270部程度、好ましくは120〜250部程度となるように、使用されるのがよい。該反応を実施するに当っては、上記反応液にイソプレンを加えて、攪拌下、金属塩をそのまま用いるか又は予め低級アルコールにできるだけ溶解して得た懸濁液乃至均一溶液を徐々に滴下する。ここで低級アルコールは、上記シクロヘキサノン類と過酸化水素との反応で用いられる低級アルコールと同種のものとするのがよい。上記金属塩の低級アルコール懸濁液乃至均一溶液は、窒素ガス中金属塩に対して2〜4倍量の低級アルコール中に金属塩を懸濁乃至溶解させて調製するのがよい。金属塩の懸濁乃至溶解に当り、窒素ガスを存在させると、上記反応を効率よく行なうことができる。上記反応は、冷却下、通常−20〜10℃付近、好ましくは−10〜5℃付近にて好適に進行し、一般に0.3〜2時間程度で該反応は完結する。
【0030】
上記反応で得られる二塩基酸エステルの加水分解は、常法に従い行われ得る。
【0031】
化合物(1−5)〜化合物(1−12)及び化合物(1−14)〜化合物(1−15)は、イソプレンに代えてブタジエンを用い、上記と同様の処理を行なうことにより製造される。
【0032】
化合物(1−16)〜化合物(1−30)は、上記化合物(1−1)〜化合物(1−15)を製造する過程で得られる二塩基酸エステルを水素化還元した後、加水分解することにより製造される。水素化還元は、常法に従い行い得る。水素化還元の際に用いられる触媒としては、例えばラネーニッケル、銅−クロム触媒、パラジウム等を挙げることができる。これらの中でもラネーニッケルが特に好適である。斯かる触媒の使用量としては、特に制限されるものではないが、還元すべき化合物100部当たり0.1〜0.2部程度とするのがよい。水素圧は10〜50kg/cm2程度がよい。水素化還元の際の温度は通常120〜140℃がよく、一般に2〜5時間程度で反応は完結する。
【0033】
化合物(2−1)〜化合物(2−4)は、ドデカン二酸ジメチルエステルを出発原料として用い、この化合物の両末端のカルボキシル基のα,α’位を選択的にリチウム化し、次いで一般式 R1X 〔式中R1は前記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。〕で表されるアルキルハライドを作用させた後、加水分解することにより製造される。
【0034】
リチウム化剤としては、例えばジイソプロピルリチウムアミドが好適に使用される。該リチウム化剤の使用量は、ドデカン二酸ジメチルエステルに対して1〜2当量程度とするのがよい。使用される溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等やこれらとn−ヘキサンとの混合溶媒が好ましい。リチウム化の際の温度は通常−70〜−20℃程度がよく、一般に2〜5時間程度で反応は終了する。
【0035】
アルキルハライドとしては、例えばメチルブロマイド、メチルアイオダイド、エチルブロマイド、n−プロピルブロマイド等が挙げられる。リチウム化物とアルキルハライドとの使用割合としては、特に限定されるものではないが、通常前者に対して後者を1〜2当量使用するのがよい。溶媒は、上記リチウム化の際に使用される溶媒をそのまま使用することができる。この反応の反応温度は通常−70〜−20℃程度がよく、一般に2〜5時間程度で反応は完了する。
【0036】
斯くして得られる本発明の一般式(1)又は(2)の二塩基酸は、慣用の分離精製手段、例えば蒸留等により反応混合物から容易に単離、精製される。
【0037】
また上記一般式(1)又は(2)の二塩基酸の塩としては、例えばアンモニウム塩を挙げることができる。
【0038】
本発明では、上記一般式(1)もしくは(2)の二塩基酸又はこれらの塩が、電解コンデンサ駆動用電解液の溶質として使用される。
【0039】
上記一般式(1)もしくは(2)の二塩基酸又はこれらの塩とエチレングリコールとの使用割合としては、特に限定がなく広い範囲内で適宜選択することができるが、通常前者:後者を5〜30:95〜70(W/W)なる割合で使用するのがよい。本発明では、溶媒としてエチレングリコールに、例えばメチルセロソルブ等の他の溶媒を適宜添加してもよく、また溶質として上記一般式(1)もしくは(2)の二塩基酸又はこれらの塩に硼酸、アジピン酸等の有機酸を適宜添加することもできる。
【0040】
【実施例】
以下に実施例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。
【0041】
実施例1
以下に製造例及び実施例を掲げて本発明をより一層明らかにする。
【0042】
製造例1
攪拌機付反応容器に無水メタノール460gを入れ、これを5℃に冷却し、3,5−ジメチルシクロヘキサノン102g及び濃硫酸10gを加えて攪拌しながら更に35%過酸化水素水80gを徐々に加えて5℃を保ちながら10分間攪拌を続けて反応させた。この反応液にイソプレン66gを溶解し、別に窒素ガス中で硫酸第一鉄(7水塩)240gを反応温度を−20〜−5℃に保ちながら徐々に添加して反応させた。反応後、静置分液し、上層のエステル層と下層の第二鉄塩溶液を分離した。エステル層を水洗、乾燥し、次いで130〜150℃/1mmHgで蒸留して、化合物(1−1)のジメチルエステル体137gを得た(収率74%)。
【0043】
元素分析値(C28H50O4として)
沸点:130〜150℃/1mmHg
1H−NMR(CDCl3,270MHz、ppm/TMS);
0.89(d,J=6Hz,6H),0.90(d,J=6Hz,6H),1.96(t,J=6.8Hz,4H),1.56(s,6H),2.30(t,J=7.3Hz,4H),3.66(s,6H),5.09(t,J=8.1Hz,2H),1.33−1.50(br,16H)
マススペクトル(m/e):
450(MH+)
IRスペクトル(ニート,cm-1):
2960,2920,2870,2740,1725,1460,1435,1380,1305,1260,1170,1005
13C−NMR(CDCl3,270MHz,ppm/TMS)
51.41,124.50,135.26,174.29。
【0044】
上記で得られる化合物(1−1)のジメチルエステル体100gを加水分解し、化合物(1−1)84gを得た。
【0045】
化合物(1−1)は白色の固体であり、融点は64〜67℃であった。
【0046】
上記で得られた化合物(1−1)50gをエチレングリコール200gに溶解し、これにアンモニアを吹き込んで化合物(1−1)のアンモニウム塩のエチレングリコール溶液を得た。そのpHは7.3であった。
【0047】
化合物(1−1)のアンモニウム塩のエチレングリコール20重量%溶液は、無色透明であり、これにエチレングリコールを追加して所定濃度に希釈し、電解液に供した。
【0048】
製造例2
攪拌機付反応容器に無水メタノール460gを入れ、これを5℃に冷却し、4−メチルシクロヘキサノン91g及び濃硫酸10gを加えて攪拌しながら更に35%過酸化水素水80gを徐々に加えて5℃を保ちながら10分間攪拌を続けて反応させた。この反応液にイソプレン66gを溶解し、別に窒素ガス中で硫酸第一鉄(7水塩)240gを反応温度を−20〜−5℃に保ちながら徐々に添加して反応させた。反応後、静置分液し、上層のエステル層と下層の第二鉄塩溶液を分離した。エステル層を水洗、乾燥し、次いで125〜140℃/1mmHgで蒸留して、化合物(1−2)のジメチルエステル体114gを得た(収率66%)。
【0049】
元素分析値(C26H46O4として)
沸点:125〜140℃/1mmHg
1H−NMR(CDCl3,270MHz、ppm/TMS);
0.91(d,J=6Hz,6H),1.96(t,J=6.8Hz,4H),1.56(s,6H),2.31(t,J=7.3Hz,4H),3.64(s,6H),5.10(t,J=8.1Hz,2H),1.20−1.45(br,18H)
マススペクトル(m/e):
422(MH+)
IRスペクトル(ニート,cm-1):
2960,2920,2850,1729,1460,1435,1380,1320,1260,1195,1170,1100
13C−NMR(CDCl3,270MHz,ppm/TMS)
51.34,124.50,135.26,174.21。
【0050】
上記で得られる化合物(1−2)のジメチルエステル体100gを加水分解し、化合物(1−2)81gを得た。
【0051】
化合物(1−2)の融点は60〜62℃であった。
【0052】
上記で得られた化合物(1−2)50gをエチレングリコール200gに溶解し、これにアンモニアを吹き込んで化合物(1−2)のアンモニウム塩のエチレングリコール溶液を得た。そのpHは7.6であった。
【0053】
化合物(1−2)のアンモニウム塩のエチレングリコール20重量%溶液は、無色透明であり、これにエチレングリコールを追加して所定濃度に希釈し、電解液に供した。
【0054】
製造例3
攪拌機付耐圧反応容器(1リットル)に上記製造例2で得られた化合物(1−2)のジメチルエステル50gとラネーニッケル触媒0.1gを入れ、水素圧10kg/cm2を充填し、反応温度120℃を保持し5時間反応させた。反応終了後、触媒を濾去し、蒸留して化合物(1−16)のジメチルエステル体38gを得た(収率76%)。
【0055】
元素分析値(C26H50O4として)
沸点:127〜145℃/0.5mmHg
1H−NMR(CDCl3,270MHz、ppm/TMS);
0.91(d,J=6Hz,6H),1.00(d,J=6Hz,6H),2.31(t,J=7.3Hz,4H),3.64(s,6H),1.20−1.45(br,28H)
マススペクトル(m/e):
426(MH+)
IRスペクトル(ニート,cm-1):
2960,2920,2850,1729,1460,1435,1380,1320,1260,1170,1100
13C−NMR(CDCl3,270MHz,ppm/TMS)
51.34,174.21。
【0056】
上記で得られる化合物(1−16)のジメチルエステル体106gを加水分解し、化合物(1−16)87gを得た。
【0057】
化合物(1−16)の融点は69〜71℃であった。
【0058】
上記で得られた化合物(1−16)50gをエチレングリコール200gに溶解し、これにアンモニアを吹き込んで化合物(1−16)のアンモニウム塩のエチレングリコール溶液を得た。そのpHは7.7であった。
【0059】
化合物(1−16)のアンモニウム塩のエチレングリコール20重量%溶液にエチレングリコールを追加して所定濃度に希釈し、電解液に供した。
【0060】
製造例4
ジイソプロピルリチウムアミドの調製を次のようにして行った。即ち、ジイソプロピルアミン22.2g(0.22モル)をテトラヒドロフラン100mlに溶解し、−50℃に深冷した。次いでn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(0.5M溶液)400mlを徐々に滴下した。滴下終了後撹拌下、同温度に保持しておいた。
【0061】
攪拌機付反応容器(1リットル)にドデカン二酸ジメチルエステル25.8g(0.1モル)及びテトラヒドロフラン(500ml)を加え、−50℃下上記で調製したジイソプロピルリチウムアミド(0.22モル)を滴下し、2時間撹拌後、n−ブチルブロマイド(0.22モル)を加えた。反応液を室温に戻し、塩化アンモニウム飽和水溶液を加え、反応を停止させた。その後蒸留により化合物(2−4)のジメチルエステル体28gを得た(収率76%)。
【0062】
元素分析値(C22H42O4として)
沸点:110〜129℃/1mmHg
1H−NMR(CDCl3,270MHz、ppm/TMS);
0.91(d,J=7.8Hz,6H),1.45(q,2H),3.67(s,6H),1.20−1.45(br,28H)
マススペクトル(m/e):
370(MH+)
IRスペクトル(ニート,cm-1):
2950,2850,1740,1430,1380,1170
13C−NMR(CDCl3,270MHz,ppm/TMS)
51.30,174.20。
【0063】
上記で得られる化合物(2−4)のジメチルエステル体25gを加水分解し、化合物(2−4)20gを得た。
【0064】
化合物(2−4)の融点は64〜66℃であった。
【0065】
上記で得られた化合物(2−4)20gをエチレングリコール80gに溶解し、これにアンモニアを吹き込んで化合物(2−4)のアンモニウム塩のエチレングリコール溶液を得た。そのpHは8.0であった。
【0066】
化合物(2−4)のアンモニウム塩のエチレングリコール20重量%溶液は、無色透明であり、これにエチレングリコールを追加して所定濃度に希釈し、電解液に供した。
【0067】
実施例1
エチレングリコール 95部
化合物(1−1)のアンモニウム塩 5部
実施例2
エチレングリコール 96部
化合物(1−2)のアンモニウム塩 4部
実施例3
エチレングリコール 95部
化合物(1−3)のアンモニウム塩 2.5部
化合物(1−4)のアンモニウム塩 2.5部
実施例4
エチレングリコール 95部
化合物(1−5)のアンモニウム塩 2.5部
化合物(1−6)のアンモニウム塩 2.5部
実施例5
エチレングリコール 95部
化合物(1−7)のアンモニウム塩 2.5部
化合物(1−8)のアンモニウム塩 2.5部
実施例6
エチレングリコール 95部
化合物(1−9)のアンモニウム塩 1.25部
化合物(1−10)のアンモニウム塩 1.25部
化合物(1−11)のアンモニウム塩 1.25部
化合物(1−12)のアンモニウム塩 1.25部
実施例7
エチレングリコール 95.2部
化合物(1−2)のアンモニウム塩 1.6部
化合物(1−3)のアンモニウム塩 1.6部
化合物(1−4)のアンモニウム塩 1.6部
実施例8
エチレングリコール 95.2部
化合物(1−7)のアンモニウム塩 0.8部
化合物(1−8)のアンモニウム塩 0.8部
化合物(1−9)のアンモニウム塩 0.8部
化合物(1−10)のアンモニウム塩 0.8部
化合物(1−11)のアンモニウム塩 0.8部
化合物(1−12)のアンモニウム塩 0.8部
実施例9
エチレングリコール 95.2部
化合物(1−16)のアンモニウム塩 4.8部
実施例10
エチレングリコール 95部
化合物(2−4)のアンモニウム塩 5部
実施例11
エチレングリコール 91部
化合物(2−1)のアンモニウム塩 9部
実施例12
エチレングリコール 92部
化合物(2−2)のアンモニウム塩 8部
実施例13
エチレングリコール 90部
化合物(2−4)のアンモニウム塩 10部
比較例1
エチレングリコール 95部
1,6−デカンジカルボン酸のアンモニウム塩 5部
比較例2
エチレングリコール 94部
1,7−オクタンジカルボン酸のアンモニウム塩 6部
比較例3
エチレングリコール 95部
7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−
ジカルボン酸のアンモニウム塩 5部
比較例4
エチレングリコール 90部
1,6−ドデカンジカルボン酸のアンモニウム塩 10部
比較例5
エチレングリコール 90部
1,7−ノナンジカルボン酸のアンモニウム塩 10部
試験例1
実施例1〜10及び比較例1〜3で得られる電解液につき、電導度(ms/cm)、火花開始電圧(Vsp)及び含水率を調べた。結果を下記表7に示す。
【0068】
【表7】
【0069】
表7から明らかなように、本発明の電解液の火花発生電圧は、比較例3の電解液のそれに比し高い。これは一般式(1)におけるAの分枝鎖状アルキレン基が寄与しているものと考えられる。Aを構成するアルキレン基の側鎖にアルキル基が導入される(即ちAが分枝鎖状アルキレン基になる)と、エチレングリコールへの溶解性が高まることが認められた。上記実施例の電解液は、本発明二塩基酸アンモニウム塩濃度が5重量%前後のものであり、この組成で優れた電気特性を有しているが、本発明二塩基酸濃度を高めることにより電導度を調節することが可能である。
【0070】
試験例2
実施例11〜13及び比較例4〜5で得られる電解液を無負荷での熱劣化試験に供した。即ち、各電解液を105℃の条件下に2000時間保持し、2000時間後の電導度(ms/cm)、含水量(%)及びpHを調べた。結果を表8に示す。
【0071】
【表8】
【0072】
表8から明らかなように、二塩基酸の両末端のカルボキシル基のα,α’位にアルキル基を導入することにより、電導度の劣化を大幅に抑制することができた。α,α’位に導入されるアルキル基は、メチル基より大きな基が導入されるとその効果が大きなことも判る。
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