JP4653880B2 - 電解コンデンサ駆動用電解液 - Google Patents

電解コンデンサ駆動用電解液 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサ、特に中高圧用電解コンデンサに好適な駆動用電解液及びその電解液に用いる溶質、その溶質を含有する電解液用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電解コンデンサ駆動用電解液、特に中高圧電解液としては、エチレングリコールを主体とした溶液にホウ酸またはホウ酸アンモニウム塩を電解質として添加されたものが使用されている。ホウ酸の様な電解液はエチレングリコールと反応して多量の縮合水を生成し、電解液系内の水分含有量が高くなる。従って、100℃を超える使用温度条件下でホウ酸系の電解液を使用すると、電解液中の水が水蒸気となって蒸発し、それに伴って電解コンデンサのパッケージ内の内圧が上昇し、破壊が生じるのを避け得ないと言う問題点を有している。この様な欠点を改良する為に、溶質として直鎖型飽和二塩基酸またはその塩を含有する電解液が用いられるようになった。
【0003】
しかし、直鎖型飽和二塩基酸は、エチレングリコール等の溶媒に対する溶解性が低いために、低温で直鎖型飽和二塩基酸が結晶として析出し易く、それ故に過大電流が生じコンデンサの低温特性を劣化させるという欠点を免れ得なかった。
【0004】
そこで、近年分岐型飽和または不飽和長鎖二塩基酸、例えば、7−メチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(特開昭57−27013号公報、特公昭63−54209号公報、特公昭62−11765号公報、特公昭62−8005号公報、特公昭62−7684号公報、特開昭62−254416号公報、特開昭64−31408号公報)、7,12−ジメチル−オクタデカン−1,18−ジカルボン酸、(特開昭57−27013号公報、特公昭63−54209号公報、特公昭62−11765号公報、特公昭62−8005号公報、特公昭62−7684号公報、特開昭62−254416号公報)、7,12−ジメチル−7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボン酸、7−メチル−7−テトラデセン−1,14−ジカルボン酸(特開昭57−27013号公報、特公昭63−54209号公報、特公昭62−11765号公報、特公昭62−8005号公報、特公昭62−7684号公報、特開昭62−254416号公報、特開昭64−31408号公報)、および、7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸(特開平4−186713号公報)等の二塩基酸やその塩を溶質として使用する試みがなされている。
【0005】
このような分岐型不飽和二塩基酸またはその塩のエチレングリコール等の溶媒に対する溶解度は、前述の直鎖型飽和二塩基酸またはその塩のそれに比し、改良されているため、有用である。特に、7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸(特開平4−186713号公報)の二塩基酸やその塩は、中圧領域を凌駕する高い耐電圧を有する電気的特性を有する特異な電解液である。これは、分岐置換されたビニル基がアルミニウム電極箔との錯体形成能力が非常に高いのが大きな要因である。
【0006】
しかし、上述した分岐型不飽和二塩基酸またはその塩を用いた場合、高温度雰囲気中ではある程度信頼性が確保されているが、低温度での溶解性を改善する余地が残されている。
【0007】
そこで、低温度での溶解性を改善することができれば、使用温度領域の拡大につながるとともに、中高圧系のコンデンサとしても使用することができるため、より一層の低温度での溶解性の改善が望まれているのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低温度での溶解性をさらに改善し、中高圧系のコンデンサとしても使用することができるような電解コンデンサ駆動用電解液を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる現状に鑑み、本発明者等は鋭意研究した結果、少なくとも1個の4級炭素を有し、該4級炭素が2個のァルキル基を有するか、アルキル基とビニル基とを有する、炭素数16〜22の直鎖長鎖二塩基酸が、低温度での溶解性を向上させ、かつ中高圧コンデンサとしても有用であることを見出して、本発明を完成させた。
【0010】
本発明は、炭素数が16〜22であり、少なくとも1個の4級炭素を有し、該4級炭素が2個のァルキル基を有するか、アルキル基とビニル基とを有する、長鎖二塩基酸またはその塩に関する。
【0011】
好ましい実施態様においては、前記長鎖二塩基酸が、6−メチル−6−ビニル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(以下、化合物1ということがある)、7,8−ジメチル−7,8−ジビニル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(以下、化合物2ということがある)、7,10−ジメチル−7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸(以下、化合物3ということがある)、6−メチル−6−エチル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(以下、化合物4ということがある)、7,8−ジメチル−7,8−ジエチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(以下、化合物5ということがある)、または、7,10−ジメチル−7−エチルヘキサデカン−1,16−ジカルボン酸(以下、化合物6ということがある)、である。
【0012】
また、本発明は、前記長鎖二塩基酸および/またはその塩を少なくとも一種含有する、電解液用組成物に関する。
【0013】
好ましい実施態様では、電解液用組成物に用いられる二塩基酸の塩がアンモニウム塩である。
【0014】
また、好ましい実施態様においては、電解液用組成物に用いられる長鎖二塩基酸および/またはその塩がエチレングリコールに溶解されている。
【0015】
さらに本発明は、前記電解液用組成物を含有する電解コンデンサ駆動用電解液に関する。
【0016】
好ましい実施態様においては、前記電解液中に、6―メチル−6−ビニル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物1)および/またはそのアンモニウム塩、7,8−ジメチル−7,8−ジビニル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物2)および/またはそのアンモニウム塩、7,10−ジメチル−7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸(化合物3)および/またはそのアンモニウム塩が0.5〜30重量%含有されている。
【0017】
好ましい実施態様においては、前記6―メチル−6−ビニル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物1)および/またはそのアンモニウム塩、7,8−ジメチル−7,8−ジビニル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物2)および/またはそのアンモニウム塩、7,10−ジメチル−7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸(化合物3)および/またはそのアンモニウム塩が、これらの化合物の合計量に対して、6〜10重量%:6〜10重量%:80〜88重量%の割合で含まれている。
【0018】
好ましい実施態様においては、前記電解液中に、6−メチル−6−エチル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物4)および/またはそのアンモニウム塩、7,8−ジメチル−7,8−ジエチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物5)および/またはそのアンモニウム塩、または、7,10−ジメチル−7−エチルヘキサデカン−1,16−ジカルボン酸(化合物6)および/またはそのアンモニウム塩が0.5〜30重量%含有されている。
【0019】
好ましい実施態様においては、前記6−メチル−6−エチル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物4)および/またはそのアンモニウム塩、7,8−ジメチル−7,8−ジエチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物5)および/またはそのアンモニウム塩、または、7,10−ジメチル−7−エチルヘキサデカン−1,16−ジカルボン酸(化合物6)および/またはそのアンモニウム塩が、これらの化合物の合計量に対して、6〜10重量%:6〜10重量%:80〜88重量%の割合で含まれている。
【0020】
また、本発明は、以下の工程:
(1)酸触媒の存在下、メタノール中でシクロヘキサノンと過酸化水素とを反応させる工程:
(2)(1)で得られる反応生成物とイソプレンとを金属塩の存在下、反応させる工程;
(3)(2)で得られる反応生成物を、必要に応じて水素還元する工程:
(4)(2)又は(3)で得られる長鎖二塩基酸エステルを蒸留し、分離する工程;及び
(5)(4)で分離した長鎖二塩基酸エステルを加水分解する工程;
を含む方法で得られる、炭素数が16〜22であり、少なくとも1個の4級炭素を有し、該4級炭素が2個のァルキル基を有するか、アルキル基とビニル基とを有する、長鎖二塩基酸またはその塩に関する。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の炭素数が16〜22であり、少なくとも1個の4級炭素を有し、該4級炭素が2個のァルキル基を有するか、アルキル基とビニル基とを有する長鎖二塩基酸(以下、本発明の長鎖二塩基酸という)またはその塩は、シクロヘキサノンとイソプレンとを反応させて得られる。例えば、以下の(1)〜(5)を含む工程で得られる。
(1)酸触媒の存在下、メタノール中でシクロヘキサノンと過酸化水素とを反応させる工程:
(2)(1)で得られる反応生成物とイソプレンとを金属塩の存在下、反応させる工程;
(3)(2)で得られる反応生成物を、必要に応じて水素還元する工程:
(4)(2)または(3)で得られる長鎖二塩基酸エステルを蒸留し、分離する工程;および
(5)(4)で分離した長鎖二塩基酸エステルを加水分解する工程。
【0022】
この工程では、本発明の長鎖二塩基酸の混合物が含まれているので、必要に応じて、上記工程(2)で得られる生成物から溶媒(メタノール)を除去後、蒸留、精密蒸留を繰り返し、クロマトグラフィー等の分離操作にかけることにより、本発明の長鎖二塩基酸を得ることができる。
【0023】
まず、酸触媒の存在下、メタノール中でシクロヘキサノンと過酸化水素とを反応させる。この反応は、通常冷却下、好ましくは−20℃〜10℃付近にて好適に進行し、短時間でこの反応は終了する。
【0024】
シクロヘキサノンと過酸化水素との使用割合は、特に限定されないが、通常、シクロヘキサノン100重量部(以下、単に「部」と記す)当たり、80〜130部程度とするのが好ましい。
【0025】
メタノールは、シクロヘキサノン100部当たり、通常300〜500部程度、好ましくは250〜370部程度用いるのが好ましい。
【0026】
シクロヘキサノンと過酸化水素との反応に用いる酸触媒としては、硫酸、塩酸、燐酸、トリフルオロ酢酸等を挙げることができ、この中でも硫酸および燐酸が特に好適である。酸触媒は、シクロへキサノン100部当たり、通常、5〜10部程度、好ましくは6〜8部程度用いるのが好ましい。
【0027】
上記反応でシクロヘキサンメトキシヒドロぺルオキシドが生成する。この物質は単離してもよいが、特に以下の反応に悪影響を与えないので、単離することなく、反応液のまま次の反応に供してもよい。
【0028】
次に、得られた反応液とイソプレンとを金属塩の存在下、反応させる。得られた反応液にイソプレンを加えて、攪拌下、金属塩を添加する。金属塩はそのまま用いてもよいし、予め金属塩をメタノールに出来るだけ溶解して得た金属塩の懸濁液ないし均一溶液を徐々に滴下することにより行う。
【0029】
上記反応は、冷却下、通常−20℃〜10℃付近、好ましくは−10℃〜5℃付近にて進行し、一般に0.3〜1時間程度で反応は完結する。
【0030】
イソプレンは、シクロヘキサノン100部当たり、70〜100部用いるのが好ましく、85〜95部程度用いるのがより好ましく、90部程度用いるのがさらに好ましい。
【0031】
金属塩としては、鉄、銅、コバルト、チタン、錫等の金属の硫酸塩、塩化物、アンモニウム等の塩やこれらの水和物が挙げられる。この中でも第一鉄が好適である。
【0032】
第一鉄塩としては、例えば硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム塩等やこれらの水和物等が挙げられる。これらの中でも特に硫酸第一鉄が好ましく、硫酸第一鉄は、反応後にこれを硫酸と鉄とで還元して硫酸第一鉄を回収し、再使用することが可能である。
【0033】
金属塩は、使用したシクロヘキサノン100部当たり、280〜350部程度、好ましくは300〜330部程度用いられる。
【0034】
イソプレンとの反応工程(2)で生じた反応生成物は、不飽和基であるビニル基を有する二塩基酸ジメチルエステル混合物である。この混合物から、蒸留、精密蒸留を繰り返すことにより、4級炭素がアルキル基とビニル基とで置換された長鎖二塩基酸のジメチルエステルである、6―メチル−6−ビニル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸ジメチル、7,8−ジメチル−7,8−ジビニル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸ジメチル、7,10−ジメチル−7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸ジメチルが分離される。
【0035】
他方で、イソプレンとの反応で生じた、ビニル基を含有する長鎖二塩基酸ジメチルエステル混合物を当業者に周知の方法で水素還元すると、ビニル基が飽和された長鎖二塩基酸ジメチルエステルが得られるので、これを蒸留、精密蒸留を繰り返すことにより、4級炭素が二個のアルキル基で置換された長鎖二塩基酸、6−メチル−6−エチル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸ジメチル、7,8−ジメチル−7,8−ジエチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸ジメチル、または、7,10−ジメチル−7−エチル−ヘキサデカン−1,16−ジカルボン酸ジメチルが分離される。
【0036】
上記方法で得られた不飽和および飽和の長鎖二塩基酸のジメチルエステルを、当業者に周知の方法で、加水分解することにより、本発明の長鎖二塩基酸が得られる。
【0037】
上記の方法で得られた長鎖二塩基酸は、アンモニウムあるいはアミン等で、好ましくはアンモニウムで処理することにより、電解液用組成物に調製することができる。また、電解液用組成物として用いる場合、必ずしも本発明の個々の長鎖二塩基酸を単離する必要がなく、混合物のまま用いることもできる。
【0038】
本発明の長鎖二塩基酸またはその混合物の塩は、例えば、以下のようにして作成される。本発明の長鎖二塩基酸またはその混合物を溶媒(例えば、エチレングリコール、γ−ブチロラクトン、メチルセロソルブあるいはこれらの混合物)に適当な濃度、例えば、二塩基酸あるいは二塩基酸混合物が約10〜6 0重量%、好ましくは約15〜40重量%、より好ましくは約20重量%となるように溶解してアンモニア、アミン等を吹き込んで行う。反応は、反応液のpHが6〜8、好ましくは約6.5〜約7.5になったところで停止する。これにより、電解液用組成物が製造される。。
【0039】
本発明の好適な電解液用組成物としては、6―メチル−6−ビニル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物1)および/またはそのアンモニウム塩、7,8−ジメチル−7,8−ジビニル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物2)および/またはそのアンモニウム塩、7,10−ジメチル−7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸(化合物3)および/またはそのアンモニウム塩、6−メチル−6−エチル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物4)および/またはそのアンモニウム塩、7,8−ジメチル−7,8−ジエチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物5)および/またはそのアンモニウム塩、および、7,10−ジメチル−7−エチル−ヘキサデカン−1,16−ジカルボン酸(化合物6)および/またはそのアンモニウム塩からなる群から選択される化合物の、1種もしくは2種以上を主たる溶質として溶解した電解液用組成物が挙げられる。
【0040】
本発明の電解液用組成物には、従来から電解液に溶質として用いられている7−メチル−7−テトラデセン−1,14−ジカルボン酸(以下、従来の化合物1aということがある)、7,12−ジメチル−7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボン酸(以下、従来の化合物2aということがある)、7−メチル−7−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(以下、従来の化合物1bということがある)および7,12−ジメチル−オクタデカン−1,18−ジカルボン酸(以下、従来の化合物2bということがある)またはこれらの塩を、本発明の長鎖二塩基酸の特徴を失わせない程度に、含んでもよい。
【0041】
電解コンデンサ駆動用電解液は、好ましくは電解用組成物を適切な溶媒、例えば、エチレングリコール、γ−ブチロラクトン、メチルセロソルブあるいはこれらの混合物などで希釈して作成される。あるいは、本発明の長鎖二塩基酸あるいは長鎖二塩基酸混合物またはこれらの塩を適切な濃度となるように上記適切な溶媒に溶解して直接作製することもできる。
【0042】
電解コンデンサ駆動用電解液中には、本発明の長鎖二塩基酸および/またはその塩、または長鎖二塩基酸および/またはその塩の混合物が適切な濃度、例えば、0.5重量%〜約30重量%となるように含まれる。好ましくは、約1重量%〜25重量%、より好ましくは約2重量%〜20重量%、さらに好ましくは約5重量%〜12重量%含まれる。
【0043】
より具体的には、本発明の電解コンデンサ駆動用電解液には、本発明の長鎖二塩基酸および/またはその塩として、6―メチル−6−ビニル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物1)および/またはそのアンモニウム塩が約0.05〜3重量%、7,8−ジメチル−7,8−ジビニル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物2)および/またはそのアンモニウム塩が約0.05〜3重量%、7,10−ジメチル−7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸(化合物3)および/またはそのアンモニウム塩が約0.5〜24重量%含有されている。
【0044】
さらに、本発明の電解コンデンサ駆動用電解液には、公知化合物である7−メチル−7−テトラデセン−1,14−ジカルボン酸(従来の化合物1a)および/またはこれらのアンモニウム塩が約0.1〜3重量%、7,12−ジメチル−7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボン酸(従来の化合物2a)および/またはこれらのアンモニウム塩が約1.0〜7.0重量%含まれていてもよく、さらに、少量の一塩基酸(7−メチル−7−ノネン−1−カルボン酸)(以下、従来の化合物3aということがある)および/またはそのアンモニウム塩が約0.2〜2.0重量%含まれていても良い。
【0045】
また、本発明の電解コンデンサ駆動用電解液には、本発明の長鎖二塩基酸および/またはその塩として、6−メチル−6−エチル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物4)および/またはそのアンモニウム塩が約0.05〜3重量%、7,8−ジメチル−7,8−ジエチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物5)および/またはそのアンモニウム塩が約0.05〜3重量%、および、7,10−ジメチル−7−エチル−ヘキサデカン−1,16−ジカルボン酸(化合物6)および/またはそのアンモニウム塩が約0.5〜24重量%含有されている。
【0046】
さらに、本発明の電解コンデンサ駆動用電解液には、公知化合物である7−メチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(従来の化合物1b)および/またはこれらのアンモニウム塩が約0.1〜5.2重量%、7,12−ジメチル−オクタデカン−1,18−ジカルボン酸(従来の化合物2b)および/またはこれらのアンモニウム塩が約1.0〜12.0重量%含まれていてもよく、さらに、少量の一塩基酸(7−メチルノナン−1−カルボン酸)(以下、従来の化合物3bということがある)および/またはそのアンモニウム塩が約0.3〜4.0重量%含まれていても良い。
【0047】
なお、好ましい電解コンデンサ駆動用電解液には、6―メチル−6−ビニル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物1)および/またはそのアンモニウム塩、7,8−ジメチル−7,8−ジビニル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物2)および/またはそのアンモニウム塩、7,10−ジメチル−7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸(化合物3)および/またはそのアンモニウム塩が、これらの化合物の合計量に対して、6〜10重量%:6〜10重量%:80〜88重量%の割合で含まれている。
【0048】
また、好ましい電解コンデンサ駆動用電解液には、6−メチル−6−エチル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物4)および/またはそのアンモニウム塩、7,8−ジメチル−7,8−ジエチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物5)および/またはそのアンモニウム塩、または、7,10−ジメチル−7−エチル−ヘキサデカン−1,16−ジカルボン酸(化合物6)および/またはそのアンモニウム塩が、これらの化合物の合計量に対して、6〜10重量%:6〜10重量%:80〜88重量%の割合で含まれている。
【0049】
本発明の長鎖二塩基酸を含有する電解コンデンサ駆動用電解液には、その機能を損なわない程度に、当業者が電解液に添加する添加剤が含まれてもよい。このような添加剤としては、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、サリチル酸などのオキシ酸、8−オキシキノリン、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などが挙げられる。
【0050】
このようにして得られた本発明の長鎖二塩基酸を含有する電解コンデンサ駆動用電解液は、広い温度範囲で優れた特性を示し、低温での析出が少なく、定格電圧500Wへの適応も可能であり、工業的ならびに実用的価値の大なるものである。また、従来使用されている長鎖二塩基酸を添加しても本発明の長鎖二塩基酸の電気的特性の大きな低下が認められず、この点でも有用である。
【0051】
【実施例】
以下に実施例を掲げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
【0052】
(実施例A:本発明の長鎖二塩基酸の製造)
攪拌機付反応容器に無水エタノール460kg、シクロヘキサノン120kg、硫酸52kgを加え、−5℃に冷却後、過酸化水素120kgを徐々に滴下した。滴下終了後、イソプレン105kgを加え、硫酸第一鉄7水塩375kgを−10℃でゆっくりと添加し、添加終了後、−10℃で1時間、攪拌を続け、反応を終了した。反応液に大過剰の水を加え、有機層を分離し、続いて水洗を繰り返し、反応生成物を得た(収量:181.5kg)。
【0053】
この反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。ガスクロマトグラフィーの条件は以下の通りであった。
機器: 島津製作所 GC−7A
カラム: SE−30、10m×0.25mm(内径)
キャリアーガス:ヘリウム、30ml/分
温度: 120−280℃,8℃/分
検出器: FID
【0054】
ガスクロマトグラフィーで、この生成物は、数種の化合物の混合物であることが判明したので、この混合物を、注意深く、減圧精密蒸留した。反応生成物100kgを多段式精留塔で精密分留した。分析した結果、いずれも新規な長鎖二塩基酸のジメチルエステルである、6―メチル−6−ビニル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸ジメチル、7,8−ジメチル−7,8−ジビニル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸ジメチル、7,10−ジメチル−7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸ジメチルが、それぞれ、1.7kg、1.6kgおよび、21kg得られた。その他に、7−メチル−7−テトラデセン−1,14−ジカルボン酸ジメチル、7,12−ジメチル−7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボン酸ジメチルおよび7−メチル−7−ノネン−1−カルボン酸メチルが、それぞれ、9kg、50kgおよび12kg得られた。
【0055】
また、50kgの反応生成物を、常法に従って水素還元し、多段式精留塔で精密分留し、新規長鎖二塩基酸ジメチルエステルである、6−メチル−6−エチル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸ジメチル、7,8−ジメチル−7,8−ジエチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸ジメチル、および、7,10−ジメチル−7−エチル−ヘキサデカン−1,16−ジカルボン酸ジメチルが、それぞれ、1.1kg、0.7kg、および10.5kg得られた。その他に、7−メチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸ジメチル、7,12−ジメチル−オクタデカン−1,18−ジカルボン酸ジメチルおよび7−メチルノナン−1−カルボン酸ジメチルが、それぞれ、4.4kg、23.8kgおよび6.3kg得られた。
【0056】
それぞれの化合物の分析結果を以下に示す。
(1)6―メチル−6−ビニル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸ジメチル
【0057】
【化1】
Figure 0004653880
【0058】
BP:200‐215℃/3mmHg;
IR(cm−1):3060,2940,1735;
MS(m/e): 326(MH+ );
H‐NMR(270MHz,CDCl):δ1.20−1.43(m,12H,6CH), 1.15(s,3H,CH),1.56‐1.70(m,4H,2CHCHCOOCH),2.30(t,J=7.3Hz,4H,2CHCOOCH),3.66(s,6H,20CH),6.50(m,1H,CH=CH),5.02 (m,2H,CH:CH);
13C‐NMR(67、8MHz,CDCl):24、80(2CHCHCOOCH),26.76,28.56.28.87,29.00,29.22,32.35,33.94( CHCOOCH),38.09(allylic carbon),51.26(2CH),113.8(vinylic carbon),138.17(vinylic carbon),174.11(2COOCH)。
【0059】
(2)7,8−ジメチル−7,8−ジビニル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸ジメチル
【0060】
【化2】
Figure 0004653880
【0061】
BP:238‐250℃/3mmHg;
IR(cm −1):3022,2925,1740;
MS(m/e):394(MH+ );
H‐NMR(270MHz,CDCl):δ1.20−1.45(m,8H,4CH),0.98(s,6H,2CH),1.62(m,4H,2CHCHCOOCH),2.30(t,J=7.3Hz,4H,2CHCOOCH),3.66(s,6H,20CH),5.01‐5.24(c,4H,2CH=CH),6.45−6.75 (c,2H,2CH=CH);
13C‐NMR(67,8MHz, CDC1):24,80(2CHCHCOOCH),26.66, 28.36.28.97,29.01, 29.12,32.25,33.84(CHCOOCH), 38.19(allyliccarbon),51.46( 20CH),115.80(vinylic carbon),138.06(vinylic carbon)、173.10(2COOCH)。
【0062】
(3)7,10−ジメチル−7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸ジメチル
【0063】
【化3】
Figure 0004653880
【0064】
BP:253‐265℃/3mmHg;
IR(cm −1):3022,2925,1740;
MS(m/e):394(MH+);
H−NMR(270MHz,CDCl):δ1.20−1.43(m,14H,7CH),1.56(s,3H,CHC=C-),1.08(s,3H,CH),1.62(m,4H,2CHCHCOOCH),1.90-2.12(m,4H,2CH),2.30(t,J=7.3Hz, 4H,2 CHCOOCH),3.66(s,6H,20CH),5.05‐5.15(c,1H,CH2−CH= ),5.05−5.35(C,1H, CH=CH),6.35−6.55(C,2H,CH=CH);
13C‐NMR(67,8MHz,CDCl):24.96(C-(CH), 25.46(C(CH)=CH),27.75,27.81,29.06,29.09,29.22,29.37,29.68,34.11,39,62,51.41(2COOCH),114.30(CH=CH), 118.70(C(CH)=C),138.50(CH=CH),145.56( CCH)=C),173.10(COOCH)。
【0065】
(4)6−メチル−6−エチル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸ジメチル
【0066】
【化4】
Figure 0004653880
【0067】
BP:201‐216℃/3mmHg;
IR(cm −1):2940,1735;
MS(m/e):328(MH+);
H−NMR(270MHz,CDCl):δ1.20−1.43(m,14H,6CH),1.01(s,3H,CH),1.05(t,3H,CHCH),1.56-1.70(m,4H,2CHCHCOOCH および2H, CHCH),2.30(t,J=7.3Hz,4H,2 CHCOOCH),3.66(s,6H,2OCH);
13C‐NMR(67.8MHz,CDCl):24.80(2CHCHCOOCH),26.76, 28.56,28.87,29.00,29.22,32.35,33.94(CHCOOCH),51.44(2OCH),174.20(2 COOCH)。
【0068】
(5)7,8−ジメチル−7,8−ジエチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸ジメチル
【0069】
【化5】
Figure 0004653880
【0070】
BP:238‐253℃/3mmHg;
IR(cm −1):2925,1740;
MS(m/e):396(MH+);
H−NMR(270MHz,CDCl):δ1.20−1.45(m,16H,8CH),0.97(s,6H,2CH),1.10(t,6H,2CHCH),1.62(m,4H,2CHCHCOOCH),2.30(t,J=7.3Hz,4H,2 CHCOOCH),3.66(s,6H,2OCH);
13C‐NMR(67.8MHz,CDCl):24.80(2CHCHCOOCH),26.66, 28.36,28.97,29.01,29.12,32.25,33.84(CHCOOCH),51.28(2OCH), 174.11(2 COOCH)。
【0071】
(6)7,10−ジメチル−7−エチル−ヘキサデカン−1,16−ジカルボン酸ジメチル
【0072】
【化6】
Figure 0004653880
【0073】
BP:257‐265℃/3mmHg;
IR(cm −1):2925,1740;
MS(m/e):396(MH+);
H−NMR(270MHz,CDCl):δ1.03(d,3H,CH),1.07(t,3H,CHCH),
1.11(s,3H,CH),1.20-2.12(m,23H,7CH and CH),1.62(m,4H, 2CHCHCOOCH),2.30(t, J=7.3Hz,4H,2 CHCOOCH),3.65(s,6H,2OCH);
13C‐NMR(67.8MHz,CDCl):24.96(C-CH), 25.46(C(CH)=CH),27.75,27.81,29.06,29.09,29.22,29.37, 29.68, 34.11,39.62, 51.41
(2COOCH),174.11(COOCH)。
【0074】
得られた各ジメチルエステルを常法により加水分解して、いずれも新規な長鎖二塩基酸である、6―メチル−6−ビニル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物1)、7,8−ジメチル−7,8−ジビニル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物2)、7,10−ジメチル−7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸(化合物3)、6−メチル−6−エチル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物4)、7,8−ジメチル−7,8−ジエチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物5)、または、7,10−ジメチル−7−エチル−ヘキサデカン−1,16−ジカルボン酸(化合物6)を得た。
【0075】
また、上記新規長鎖二塩基酸を得る過程で単離された公知の化合物のメチルエステルを加水分解して、7−メチル−7−テトラデセン−1,14−ジカルボン酸(従来の化合物1a)、7,12−ジメチル−7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボン酸(従来の化合物2a)、7−メチル−7−ノネン−1−カルボン酸(従来の化合物3a)、7−メチル−7−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(従来の化合物1b)、7,12−ジメチル−オクタデカン−1,18−ジカルボン酸(従来の化合物2b)および7−メチルノナン−1−カルボン酸(従来の化合物3b)を得た。
【0076】
(実施例B:電解コンデンサ駆動用電解液の調製と性能評価)
(実施例1〜6:電解コンデンサ駆動用電解液1〜6の調製)
上記操作で得られた新規二塩基酸である化合物1〜化合物3をそれぞれ、濃度10重量%となるように、また、化合物4〜化合物6をそれぞれ、濃度20重量%となるように、エチレングルコールに溶解し、これにアンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、各二塩基酸のアンモニウム塩を得て、それぞれ、電解コンデンサ駆動用電解液1〜6を得た。
【0077】
(実施例7)
得られた新規二塩基酸を下記の組成比となるようにエチレングリコールに溶解して二塩基酸濃度10重量%の溶液とした。これにアンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、二塩基酸混合物のアンモニウム塩を得、電解コンデンサ駆動用電解液7を調製した。
Figure 0004653880
【0078】
(実施例8)
下記の組成比となるよう新規化合物1〜3、および従来の化合物1aをエチレングリコールに溶解して二塩基酸濃度10重量%の溶液とした。これにアンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、二塩基酸混合物のアンモニウム塩を得、電解コンデンサ駆動用電解液8を得た。
Figure 0004653880
【0079】
(実施例9)
下記の化合物を下記の組成比となるようにエチレングリコールに溶解して二塩基酸濃度10重量%の溶液とした。これにアンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、二塩基酸混合物のアンモニウム塩を得、電解コンデンサ駆動用電解液9を得た。
Figure 0004653880
【0080】
(実施例10)
下記の化合物を下記の組成比となるようにエチレングリコールに溶解して二塩基酸濃度10重量%の溶液とした。これにアンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、二塩基酸混合物のアンモニウム塩を得、電解コンデンサ駆動用電解液10を得た。
Figure 0004653880
【0081】
(実施例11)
実施例Aと同じ条件で、シクロヘキサノンとイソプレンとを反応させて得られた反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。この反応生成物には、本発明の化合物1、化合物2、および化合物3と、従来の化合物1a、従来の化合物2aおよび従来の化合物3aのメチルエステルが含まれていた。これを常法により加水分解して、化合物1、化合物2、化合物3、従来の化合物1a、従来の化合物2aおよび従来の化合物3aを得た。それぞれの化合物を単離し、以下の組成となるようにエチレングリコールに溶解し、アンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、二塩基酸混合物のアンモニウム塩を得、電解コンデンサ駆動用電解液11を得た。
Figure 0004653880
【0082】
(実施例12)
下記の化合物を下記の組成比となるようにエチレングリコールに溶解して二塩基酸濃度10重量%の溶液とした。これにアンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、二塩基酸混合物のアンモニウム塩を得、電解コンデンサ駆動用電解液12を得た。
Figure 0004653880
【0083】
なお、実施例12は、従来の電解液に少量の本発明の化合物が混合されても、改善効果が表れることを示す例である。
【0084】
(実施例13)
下記の化合物を下記の組成比となるようにエチレングリコールに溶解して二塩基酸濃度3重量%の溶液とした。これにアンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、二塩基酸混合物のアンモニウム塩を得、電解コンデンサ駆動用電解液13を得た。
Figure 0004653880
【0085】
(実施例14)
下記の化合物を下記の組成比となるようにエチレングリコールに溶解して二塩基酸濃度20.0重量%の溶液とした。これにアンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、二塩基酸混合物のアンモニウム塩を得、電解コンデンサ駆動用電解液14を得た。
Figure 0004653880
【0086】
(実施例15)
下記の化合物を下記の組成比となるようにエチレングリコールに溶解して二塩基酸濃度20.0重量%の溶液とした。これにアンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、二塩基酸混合物のアンモニウム塩を得、電解コンデンサ駆動用電解液15を得た。
Figure 0004653880
【0087】
(実施例16)
下記の化合物を下記の組成比となるようにエチレングリコールに溶解して二塩基酸濃度20.0重量%の溶液とした。これにアンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、二塩基酸混合物のアンモニウム塩を得、電解コンデンサ駆動用電解液16を得た。
Figure 0004653880
【0088】
(実施例17)
下記の化合物を下記の組成比となるようにエチレングリコールに溶解して二塩基酸濃度20.0重量%の溶液とした。これにアンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、二塩基酸混合物のアンモニウム塩を得、電解コンデンサ駆動用電解液17を得た。
Figure 0004653880
【0089】
(実施例18)
実施例Aと同じ条件で、シクロヘキサノンとイソプレンとを反応させて得られた反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。この反応生成物には、本発明の化合物1、化合物2、および化合物3と、従来の化合物1a、従来の化合物2aおよび従来の化合物3aのメチルエステルが含まれていた。これを常法により還元し、加水分解して、化合物4、化合物5、化合物6、従来の化合物1b、従来の化合物2bおよび従来の化合物3bを得た。それぞれの化合物を単離し、以下の組成で濃度20.0重量%となるようにエチレングリコールに溶解し、アンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、二塩基酸混合物のアンモニウム塩を得、電解コンデンサ駆動用電解液18を得た。
Figure 0004653880
【0090】
(実施例19)
下記の化合物を下記の組成比となるようにエチレングリコールに溶解して二塩基酸濃度10.0重量%となるようにエチレングリコールに溶解した。これにアンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、二塩基酸混合物のアンモニウム塩を得、電解コンデンサ駆動用電解液19を得た。
Figure 0004653880
【0091】
なお、実施例19は、従来の電解液に少量の本発明の化合物が混合されても、改善効果が表れることを示す例である。
【0092】
(実施例20)
下記の化合物を下記の組成比となるようにエチレングリコールに溶解して二塩基酸濃度10.0重量%の溶液とした。これにアンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、二塩基酸混合物のアンモニウム塩を得、電解コンデンサ駆動用電解液20を得た。
Figure 0004653880
【0093】
(比較例の電解コンデンサ駆動用電解液の作製)
従来の化合物1a、従来の化合物2aをそれぞれ、10重量%となるように、そして、従来の化合物1bおよび従来の化合物2bをそれぞれ、20重量%となるようにエチレングリコールに溶解し、アンモニアガスを吹き込み、pHが6〜8になったところでアンモニアガスの吹き込みを停止して、二塩基酸混合物のアンモニウム塩を得、比較例1〜比較例4の電解コンデンサ駆動用電解液を得た。
【0094】
以上のように、本発明の新規長鎖二塩基酸、6―メチル−6−ビニル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物1)および/またはその塩、7,8−ジメチル−7,8−ジビニル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物2)および/またはその塩、7,10−ジメチル−7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸(化合物3)および/またはその塩、6−メチル−6−エチル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物4)および/またはその塩、7,8−ジメチル−7,8−ジエチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物5)および/またはその塩、および、7,10−ジメチル−7−エチル−ヘキサデカン−1,16−ジカルボン酸(化合物6)および/またはその塩を含む電解液は、従来の長鎖二塩基酸を用いる電解液に比べて、高温負荷試験においても全ての特性に問題なく、改善効果が得られている。また、実施例7〜13、15〜20の結果から明らかなように、本発明の長鎖二塩基酸またはその混合物に、従来から電解液として用いられている7−メチル−7−テトラデセン−1,14−ジカルボン酸(従来の化合物1a)および/またはその塩、7,12−ジメチル−7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボン酸(従来の化合物2a)および/またはその塩、7−メチル−7−ノネン−1−カルボン酸(従来の化合物3a)および/またはその塩、7−メチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(従来の化合物1b)および/またはその塩、7,12−ジメチル−オクタデカン−1,18−ジカルボン酸(従来の化合物2b)および/またはその塩および7−メチルノナン−1−カルボン酸(従来の化合物3b)および/またはその塩が存在したとしても、高い効果を示した。
【0095】
(電解コンデンサ駆動用電解液の評価)
上記実施例1〜20で得られた電解コンデンサ駆動用電解液1〜20および比較例1〜4の電解コンデンサ駆動用電解液の性能を比較した。評価は、30℃における電導度(mS/cm)、耐電圧(Vsp)および含水率%で行なった。結果を表1に示す。
【0096】
【表1】
Figure 0004653880
【0097】
又、いずれも低温(−15℃)で保存しても溶質の析出は認められなかった。
【0098】
本発明の実施例1〜20で得られた駆動用電解液1〜20および比較例1〜4の駆動用電解液を用いて作成した定格400WV,220μFのアルミニウム電解コンデンサを周囲温度105℃で3000時間高温負荷試験した結果を表2に示す。表中の値は何れも試料数20ヶの平均値を示す。
【0099】
【表2】
Figure 0004653880
【0100】
本発明の実施例の駆動用電解液を使用したものは全て高温負荷試験における容量変化率、tanδ、漏れ電流、外観の全てにおいて、比較例より、かなり向上しており改良効果が実証された。
【0101】
【発明の効果】
以上のように、本発明の新規長鎖二塩基酸、6―メチル−6−ビニル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物1)および/またはその塩、7,8−ジメチル−7,8−ジビニル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物2)および/またはその塩、7,10−ジメチル−7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸(化合物3)および/またはその塩、6−メチル−6−エチル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸(化合物4)および/またはその塩、7,8−ジメチル−7,8−ジエチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸(化合物5)および/またはその塩、および、7,10−ジメチル−7−エチル−ヘキサデカン−1,16−ジカルボン酸(化合物6)および/またはその塩を溶解した電解液は、広温度範囲で優れた特性を示し、電気的特性に優れており、定格電圧500WV品への適用が可能であり、工業的ならびに実用的価値が非常に高い。

Claims (5)

  1. 炭素数が16〜22であり、少なくとも1個の4級炭素を有し、該4級炭素が2個のアルキル基を有するか、アルキル基とビニル基とを有する長鎖二塩基酸およびその塩を少なくとも一種含有する電解液用組成物を含有する、電解コンデンサ駆動用電解液であって、
    該長鎖二塩基酸が、6−メチル−6−ビニル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸、7,8−ジメチル−7,8−ジビニル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸、7,10−ジメチル−7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸、6−メチル−6−エチル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸、7,8−ジメチル−7,8−ジエチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸、または7,10−ジメチル−7−エチルヘキサデカン−1,16−ジカルボン酸である、電解コンデンサ駆動用電解液
  2. 前記電解液中に、6―メチル−6−ビニル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸および/またはそのアンモニウム塩、7,8−ジメチル−7,8−ジビニル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸および/またはそのアンモニウム塩、ならびに7,10−ジメチル−7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸および/またはそのアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも一種が0.5〜30重量%含有されている、請求項に記載の電解コンデンサ駆動用電解液。
  3. 前記6―メチル−6−ビニル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸および/またはそのアンモニウム塩、7,8−ジメチル−7,8−ジビニル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸および/またはそのアンモニウム塩、ならびに7,10−ジメチル−7−ビニル−9−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸および/またはそのアンモニウム塩が、これらの化合物の合計量に対して、6〜10重量%:6〜10重量%:80〜88重量%の割合で含まれている、請求項に記載の電解コンデンサ駆動用電解液。
  4. 前記電解液中に、6−メチル−6−エチル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸および/またはそのアンモニウム塩、7,8−ジメチル−7,8−ジエチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸および/またはそのアンモニウム塩、ならびに7,10−ジメチル−7−エチルヘキサデカン−1,16−ジカルボン酸および/またはそのアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも一種が0.5〜30重量%含有されている、請求項に記載の電解コンデンサ駆動用電解液。
  5. 前記6−メチル−6−エチル−ドデカン−1,12−ジカルボン酸および/またはそのアンモニウム塩、7,8−ジメチル−7,8−ジエチル−テトラデカン−1,14−ジカルボン酸および/またはそのアンモニウム塩、ならびに7,10−ジメチル−7−エチルヘキサデカン−1,16−ジカルボン酸および/またはそのアンモニウム塩が、これらの化合物の合計量に対して、6〜10重量%:6〜10重量%:80〜88重量%の割合で含まれている、請求項に記載の電解コンデンサ駆動用電解液。
JP2000266274A 2000-09-01 2000-09-01 電解コンデンサ駆動用電解液 Expired - Lifetime JP4653880B2 (ja)

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