JP3670253B2 - エンジンシステムとその運転方法およびエンジン始動装置 - Google Patents

エンジンシステムとその運転方法およびエンジン始動装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンシステム、特に、エンジンを駆動源の1つとして使用する自動車のエンジンシステムとその運転方法およびエンジン始動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車のエンジンは、バッテリを駆動源としてモータを作動させることにより始動させられ、一旦燃焼が開始した後には、自動車の走行および種々の補機の駆動源として使用される。自動車に備えられる補機には、例えば、エアコンディショナ用コンプレッサ、パワーステアリング用ポンプ、自動変速機用オイルポンプ、ブレーキ用負圧ポンプ等がある。
従来、このようなエンジンのみを補機の駆動源とする自動車では、エンジン停止中にこれらの補機を駆動することはできなかった。
【0003】
ところが、近年、いわゆる省エネルギの観点に基づく燃費の向上やCO2削減を目的として、軽負荷領域や車両停止中にはエンジンを停止し、回生電力やエンジン駆動中に発電した電力を用いてモータで走行するハイブリッド車が注目されている。
また、車両停止中にエンジンを自動停止させることにより、アイドリングのための燃料噴射をなくして燃費を向上させるとともに、CO2削減を図るアイドルストップ車も提案されている。
【0004】
これらハイブリッド車およびアイドルストップ車では、例えば、信号待ちや渋滞時等における車両停止中にはエンジンを停止させるので、このようなエンジン停止中にもエアコンディショナを作動させて室内の空調を継続する必要がある。また、ハイブリッド車では、エンジン停止状態でのモータによる走行中にも、エアコンディショナに限らず、走行に必要な全ての補機を作動させる必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ハイブリッド車においてエンジン停止中にエアコンディショナを作動させる方法については、例えば、特許第3180506号公報に開示されている。この方法は、エアコンディショナのコンプレッサに、該コンプレッサを作動させるための補助モータを取り付けておき、バッテリの残量が多いときには補助モータによってコンプレッサを作動させ、バッテリの残量が少ないときには、エアコンディショナの作動操作に連動してエンジンを停止状態から運転状態に移行させ、エンジンを駆動源としてエアコンディショナのコンプレッサを駆動するようになっている。
しかしながら、コンプレッサを駆動するだけの目的でコンプレッサに補助モータを取り付けることは、部品点数を増加させ、製品コストを増大させてしまうという不都合がある。
【0006】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、エンジンの停止中における補機の駆動、エンジンの始動およびバッテリの充電を、単一のモータおよび簡易な構造および制御により達成することが可能なエンジンシステムおよびエンジン始動装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、エンジンと、モータ(発明の実施の形態におけるモータ3)と、補機(発明の実施の形態におけるコンプレッサ4等)とを備えるとともに、エンジンの出力軸、モータの出力軸または補機の駆動軸のいずれかをそれぞれ接続した、サンギヤ、キャリアおよびリングギヤからなる3つの要素を有するプラネタリ機構と、該プラネタリ機構の2つ以上の要素を一体化可能な結合手段(発明の実施の形態におけるクラッチ10)と、前記補機の駆動軸の回転方向を一方向に規制する回転方向規制手段(発明の実施の形態におけるワンウェイクラッチ11)とを備え、前記一体化可能な結合手段を開放した状態で、モータの駆動制御を可能とし、前記モータの駆動制御は、前記補機を優先して駆動する場合に、モータの回転数をエンジンの回転数に対して低減させることにより行うことを特徴とするエンジンシステムを提案している。
【0008】
この発明では、エンジン停止状態からエンジンを始動させるときに、結合手段によるプラネタリ機構の2つ以上の要素の結合状態を解放して、プラネタリ機構を各要素が自由に回転できる差動状態とし、補機の駆動軸の回転方向が回転方向規制手段によって規制される方向となるようにモータを作動させる。これにより、エンジンの出力軸に接続された要素が、モータの出力軸に接続された要素の回転に伴って回転させられる。モータの出力軸に接続された要素とエンジンの出力軸に接続された要素との間のギヤ比を所定の値に設定しておくことにより、モータのトルクはそのギヤ比に応じて増幅された状態でエンジンに伝達され、エンジンが始動させられることになる。
【0009】
エンジン停止状態において補機を駆動するには、結合手段によるプラネタリ機構の要素の結合状態を解放状態として、補機の駆動軸の回転方向が回転方向規制手段によって回転を許容される方向となるようにモータを作動させる。これにより、エンジンの出力軸に接続された要素と、補機の駆動軸に接続された要素とにモータのトルクが伝達されるが、エンジンのフリクショントルクが、補機の駆動トルクと比較して大きい場合には、エンジンの出力軸が停止状態に保持されたまま補機の駆動軸が回転させられて、補機が駆動させられることになる。
【0010】
また、エンジン作動中に補機を駆動する場合には、結合手段によってプラネタリ機構の2つ以上の要素を一体化させ、補機の駆動軸が回転方向規制手段によって回転を許容される方向に回転させる。任意の2つの要素を一体化状態とすることにより、3つの要素全てが一体化されるので、エンジンの出力軸と補機の駆動軸とが直結状態とされ、エンジンのトルクがそのまま補機の駆動軸に伝達される。また、モータの出力軸も、プラネタリ機構の3つの要素を一体化させることにより、エンジンの回転に伴って回転させられる。したがって、モータを電動機として利用して、エンジンの出力を補うことも、発電機として利用してバッテリの充電を行うことも可能となる。
【0011】
また、一体化可能な結合手段を開放した状態で、モータの駆動制御を行うことにより、エンジンの回転数に制限されずに補機やモータが所望の状態となるように制御することが可能となり、車両の運転状態に応じて適した制御を行うことが可能となる。
【0012】
さらに、この発明によれば、モータの回転数をエンジンの回転数に対して低減させることにより、補機の回転数をエンジンの回転数に制限されずに増加させることが可能となり、補機を優先して駆動させることが可能となる。
【0013】
請求項に係る発明は、請求項1記載のエンジンシステムにおいて、前記モータの駆動制御は、前記モータの発電を優先する場合にモータの動作点を発電効率の高い動作点に制御することにより行うことを特徴とするエンジンシステムを提案している。
この発明によれば、エンジンの回転数に制限されずにモータの動作点を発電効率の高い動作点に制御することが可能となり、発電効率を高めることが可能となる。
【0014】
請求項に係る発明は、サンギヤ、キャリアおよびリングギヤからなる3つの要素にそれぞれ、エンジンの出力軸、モータの出力軸または補機の駆動軸のいずれかを接続したプラネタリ機構を備えるエンジンシステムの運転方法であって、前記補機の出力軸を静止状態に保持してモータの出力軸を一方向に回転させることによりモータによってエンジンを始動し、前記エンジンの出力軸を静止状態に保持してモータの出力軸を反対方向に回転させることによりモータによって補機を駆動し、前記プラネタリ機構の2つ以上の要素を一体化させることによりエンジンによって補機を駆動し、前記一体化可能な結合手段を開放した状態で、モータの駆動制御を可能とすることを特徴とするエンジンシステムの運転方法を提案している。
【0015】
この発明によれば、モータの回転方向の切り換え、プラネタリ機構の要素の一体化および補機の駆動軸またはエンジンの出力軸の回転規制によって、エンジン停止状態における補機の駆動とエンジンの始動とを単一のモータで行うことができ、しかも、エンジンによる補機の駆動を行うことが可能となる。また、エンジンの回転数に制限されずにモータの駆動制御が行えるため、車両の運転状態に応じて適した制御を行うことが可能となる。
【0016】
請求項に係る発明は、サンギヤ、キャリアおよびリングギヤからなる3つの要素を有し、その内の任意の2つの要素にエンジンの出力軸と補機の駆動軸とをそれぞれ接続したプラネタリ機構と、該プラネタリ機構の残りの一要素に接続されたモータと、前記プラネタリ機構の2つ以上の要素を一体化可能な結合手段と、前記補機の駆動軸が接続された要素の回転方向を一方向に規制可能な回転規制手段とを備え、前記一体化可能な結合手段を開放した状態で、モータの駆動制御を可能とし、前記モータの駆動制御は、前記補機を優先して駆動する場合に、モータの回転数をエンジンの回転数に対して低減させることにより行うことを特徴とするエンジンの始動装置を提案している。
【0017】
この発明によれば、結合手段によるプラネタリ機構の2つの要素の結合を解放状態とすることにより、モータのトルクをエンジンの出力軸または補機の駆動軸にそれぞれ伝達することができる。このとき、回転規制手段の作動によって、補機の駆動軸に接続した要素の回転を規制することにより、モータのトルクをエンジンの出力軸のみに伝達し、エンジンを始動することが可能となる。また、エンジンの回転数に制限されずにモータの駆動制御が行えるため、車両の運転状態に応じて適した制御を行うことが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るエンジンシステム1について、図面を参照して説明する。
本実施の形態に係るエンジンシステム1は、図1に示されるように、エンジン2と、モータ3と、補機、例えば、エアコンディショナのコンプレッサ4と、これらエンジン2、モータ3およびコンプレッサ4を接続するプラネタリ機構5とを具備している。
【0019】
プラネタリ機構5は、サンギヤ6と、キャリア7と、リングギヤ8とを備えている。図2に示されるように、サンギヤ6とリングギヤ8との間には、両者に噛み合う3個のピニオンギヤ9が配置されている。これら3個のピニオンギヤ9は、前記キャリア7によって連結されている。
サンギヤ6、ピニオンギヤ9およびリングギヤ8の半径比は、約1:1:3となるように設定されている。すなわち、サンギヤ6とピニオンギヤ9とは略同径となるように選択されている。
【0020】
前記キャリア7と前記リングギヤ8との間には、両者の一体化/解放を選択的に行うことができるクラッチ10(結合手段)が取り付けられている。クラッチ10を繋いで、キャリア7とリングギヤ8とを一体化すれば、キャリア7とリングギヤ8とは相対的に移動することなく、一体的に回転させられるようになっている。また、クラッチ10を切断してキャリア7とリングギヤ8とを解放すれば、プラネタリ機構5は差動状態となり、キャリア7とリングギヤ8とは相対的に回転させられるようになっている。
【0021】
前記モータ3は、例えば、図1に示されるように、中空の出力軸3aを有し、該出力軸3aは、前記サンギヤ6に接続されている。
前記エンジン2の出力軸2aは、前記モータ3の中空の出力軸3aを貫通して前記キャリア7に接続されている。
前記コンプレッサ4の駆動軸4aは、前記リングギヤ8に接続されている。
【0022】
前記コンプレッサ4のような補機は、その回転方向が定められており、逆転を防止する必要がある。そこで、コンプレッサ4の駆動軸4aに接続したリングギヤ8には、正転方向の回転のみを許容し、逆転方向の回転を規制するワンウェイクラッチ11(回転方向規制手段)が取り付けられている。
【0023】
また、このように構成されたエンジンシステム1において、キャリア7にエンジン2の出力軸2a、リングギヤ8にコンプレッサ4の駆動軸4aをそれぞれ接続したプラネタリ機構5と、サンギヤ6に接続されたモータ3と、キャリア7およびリングギヤ8を一体化可能なクラッチ(一体化クラッチ)10と、リングギヤ8の回転方向を一方向に規制可能なワンウェイクラッチ11とによりエンジン始動装置12が構成されている。
【0024】
また、エンジン2の出力軸2aにワンウェイクラッチ13を設けている。このように構成することにより、モータ3によるコンプレッサ4の駆動時に、エンジン2のフリクションの大小に依存することなく、エンジン2の出力軸2aに接続されているキャリア7の回転を固定することができる。したがって、エンジン2のフリクションの大きさに関わらず、コンプレッサ4を確実に駆動することができる。
【0025】
駆動軸4aには、前記コンプレッサ4とプラネタリ機構5のリングギヤ8とを締結または開放可能なコンプレッサクラッチ15が設けられ、必要に応じてコンプレッサクラッチ15の結合を解除することで、コンプレッサ4をエンジン2やモータ3から切り離すことを可能としている。
そして、エンジン2や一体化クラッチ10、コンプレッサクラッチ15はECU(制御装置)16に電気的に接続され、このECU16の制御信号によりクラッチ10、クラッチ15の開閉動作を行わせている。
【0026】
すなわち、エンジン2から燃料噴射信号(矢印A)や回転数信号(矢印C)がECU16に伝達され、これらの信号によりECU16はエンジン2が自らトルクを発生している運転状態であるかどうかを判断する。そして、ECU16において、エンジン2が自らトルクを発生している運転状態であると判断した場合には、一体化クラッチ10を締結状態にする信号(矢印B)を発生させる。また、エンジン2が自らのトルクを発生していないと判断した場合には、一体化クラッチ10を非締結状態にする信号(矢印B)を発生させる。また、ECU16は、コンプレッサクラッチ15に対しても、締結状態または非締結状態にする信号(矢印D)を発生させる。
【0027】
このように構成された本実施の形態に係るエンジンシステム1およびエンジン始動装置12の作用について、以下に説明する。
〈エンジン始動時〉
モータ3によりエンジン2を始動するときは、クラッチ10を解放してキャリア7とリングギヤ8との相対回転を許容する状態としておく。これにより、プラネタリ機構5は差動状態となるので、モータ3のトルクは、サンギヤ6からピニオンギヤ9およびキャリア7を介してエンジン2の出力軸2aに伝達されるとともに、ピニオンギヤ9からリングギヤ8を介してコンプレッサ4の駆動軸4aに伝達されるようになる。
【0028】
すなわち、キャリア7に接続されたエンジン2に存在するフリクションによって、キャリア7には、その回転を抑制するトルクが作用するので、サンギヤ6からピニオンギヤ9に伝達されたモータ3のトルクは、ピニオンギヤ9に噛み合うリングギヤ8を回転させるように作用する。
【0029】
この場合において、モータ3を正転方向に回転させると、キャリア7は正転方向、リングギヤ8は逆転方向に回転するようにトルクが作用する。リングギヤ8には、該リングギヤ8の逆転を防止するワンウェイクラッチ11が備えられているので、リングギヤ8は逆転方向の回転を規制され、静止状態にロックされる。したがって、モータ3のトルクはキャリア7を正転方向に回転させることのみに利用される。
【0030】
図3は、このときのプラネタリ機構5の速度線図である。これによれば、リングギヤ8が静止させられ、エンジン2の回転数が、モータ3の回転数に対して略1/4に減速されている。すなわち、エンジン2の出力軸2aに作用するトルクは、モータ3の発生トルクの略4倍となる。したがって、モータ3は、エンジン2の始動に必要なトルクの略1/4のトルクを発生するものであれば足り、モータ3の小型軽量化を図ることが可能となる。逆に、それよりも大きなトルクを発生するモータ3を採用すれば、エンジン2の出力軸2aに対して、十分に大きな始動トルクを作用させることが可能となり、エンジンの素早い始動が行われることになる。
【0031】
〈エンジン停止・補機駆動時〉
エンジン2停止中に、モータ3によりコンプレッサ4を駆動する場合には、上記と同様に、クラッチ10を解放して、プラネタリ機構5を差動状態とする。そして、上記とは逆に、モータ3を逆転方向に回転させる。これにより、キャリア7には逆転方向に、リングギヤ8には正転方向に回転するようにトルクが作用する。
【0032】
エンジン2のフリクションが十分に大きい場合には、エンジン2の出力軸2aに接続されているキャリア7は静止状態に保持される。その一方、リングギヤ8に設けられているワンウェイクラッチ11は、リングギヤ8の正転方向の回転を規制することはないので、リングギヤ8のみが正転方向に回転させられることになる。
【0033】
図4は、このときのプラネタリ機構5の速度線図である。これによれば、エンジン2の出力軸2aは静止させられ、コンプレッサ4の駆動軸4aの回転数がモータ3の回転数に対して略1/3に減速されている。すなわち、コンプレッサ4の駆動軸4aに作用するトルクは、モータ3の発生トルクの略3倍となる。したがって、モータ3は、コンプレッサ4の駆動に必要なトルクの略1/3のトルクを発生するものであれば足り、モータ3の小型軽量化を図ることが可能となる。
【0034】
〈エンジンによる補機駆動時〉
エンジン2の作動中にコンプレッサ4を駆動するには、上記とは逆に、クラッチ10を作動させて、キャリア7とリングギヤ8とを一体的に連結する。その結果、キャリア7とリングギヤ8との相対的な回転が規制されるので、キャリア7に取り付けられたピニオンギヤ9もリングギヤ8の定位置に噛み合った状態に保持される。また、ピニオンギヤ9がリングギヤ8上を転がらないので、ピニオンギヤ9とサンギヤ6との噛み合いも定位置に保持され、相対的な回転が規制される。
【0035】
すなわち、サンギヤ6、キャリア7およびリングギヤ8は、全て一体的に固定されるので、エンジン2の出力軸2a、モータ3の出力軸3aおよびコンプレッサ4の駆動軸4aは直結される。したがって、エンジン2の発生トルクがそのままコンプレッサ4の駆動トルクとなる。図5は、このときのプラネタリ機構5の速度線図である。エンジン2、モータ3およびコンプレッサ4は、いずれも同一速度で回転することが示されている。
【0036】
ここで、エンジン2の出力軸2aが正転させられると、コンプレッサ4の駆動軸4aおよびモータ3の出力軸3aも同時に正転させられる。コンプレッサ4の駆動軸4aの正転方向の回転はワンウェイクラッチ11によって規制されないので、コンプレッサ4がエンジン2によって駆動されることになる。
また、モータ3を発電機として動作させることにより、モータ3の出力軸3aに伝達されたトルクを入力として発電を行い、得られた電力によりバッテリ(図示略)を充電することなどが可能となる。
さらに、モータ3を電動機として動作させることにより、エンジン2とモータ3とを併用したコンプレッサ4等の駆動も可能となる。
図6に、車両走行中における本実施の形態に係るエンジンシステム1の制御フローの一例を示す。
【0037】
まず第1に、ステップ1において、クラッチ10が作動しているか否かが判断される。クラッチ10が作動しているのは、エンジン2の出力軸2aがエアコンディショナのコンプレッサ4の駆動軸4aに直結している場合であるから、車両はエンジン2を駆動源として走行またはアイドリング中であり、ステップ2において、燃料噴射信号がオフ状態になったか否かが判断される。
【0038】
燃料噴射信号がオフ状態にされた場合には、エンジン2は非運転状態である。そして、エンジン2が非運転状態にある場合には、ステップ3においてクラッチ10の作動が停止され、キャリア7とリングギヤ8との結合状態が解放される。その後は、モータ3によるエンジン2の始動またはコンプレッサ4の駆動が可能となる。
また、ステップ2において燃料噴射信号が出力されている場合には、エンジン2による走行またはアイドリング状態が継続される。
【0039】
次に、ステップ1において、クラッチ10が作動していないと判断された場合には、エンジン2の始動状態またはモータ3によるコンプレッサ4等の補機の駆動状態であるので、ステップ4において、回転センサからの信号に基づき、エンジン2の回転数が規定回転数以上であるか否かが判断される。規定回転数以下である場合には、エンジン2は停止状態、またはエンジン2を駆動源として利用することができない状態であり、モータ3によるエンジン2の始動動作またはコンプレッサ4等の補機の駆動動作が継続される。
【0040】
ステップ4において、エンジン2が規定回転数以上であると判断された場合には、ステップ5において、燃料噴射信号がオン状態になったか否かが判断され、オフ状態である場合には、その状態が継続され、オン状態である場合には、エンジン2が運転状態となる。そして、エンジン2が運転状態である場合には、エンジン2によるコンプレッサ4の駆動等を行うために、ステップ6において、クラッチ10が作動させられ、エンジン2、コンプレッサ4およびモータ3が直結され、エンジン2による駆動が行われる。
【0041】
このように構成された本実施の形態に係るエンジンシステム1によれば、1つのクラッチ10および単一のモータ3の回転方向を制御するだけで、エンジン2の始動、エンジン2の停止中のコンプレッサ4の駆動およびエンジン2によるコンプレッサ4の駆動等の運転モードを切り換えることができる。
したがって、装置構成を簡易にすることができるとともに、複雑な制御を不要とすることができる。
【0042】
また、単一のモータ3により、エンジン2の始動とコンプレッサ4の駆動とを行うことができるので、部品点数を削減してコストの低減を図ることができる。
さらに、プラネタリ機構5を差動状態にすることにより、モータ3からのトルクを増幅してエンジン2やコンプレッサ4に伝達することができる。したがって、モータ3の小型軽量化を図ることができ、さらなるコストの低減を図ることができる。
【0043】
また、エンジン2の停止中にも、モータ3によりコンプレッサ4を初めとする補機の駆動を行うことができるので、ハイブリッド車やアイドルストップ車において発生する運転中のエンジン停止状態においてもエアコンディショナを作動させて、自動車の室内の快適性を保持することができる。
【0044】
また、エンジン2による走行中に、同時にモータ3を発電機として作動させることにより、電力を回生して、バッテリの充電を行うことができる。
さらに、エンジン2による走行中に、同時にモータ3を電動機として作動させることにより、エンジン2の発生トルクを補って、燃費の向上を図ることができる。
【0045】
図13は図1のエンジンシステムを搭載した車両における上述した運転状態ごとのクラッチやワンウェイクラッチの状態説明図である。上述したように、エンジン停止状態であって、コンプレッサ停止(OFF)状態のときには、一体化クラッチ10(C1)は開放(OFF)され、モータ3は停止されている。このとき、ワンウェイクラッチ11(W1)、ワンウェイクラッチ13(W2)、コンプレッサクラッチ15(C2)の状態は問わない。
【0046】
また、エンジン停止状態であって、コンプレッサ作動(ON)状態のときには、C1は開放(OFF)され、W1はフリー、W2はロック、C2は締結(ON)されている。そして、モータ3は逆転して電動を行い、モータ3によりコンプレッサ4を作動させる。
また、エンジン始動状態のときには、C1は開放(OFF)され、W1はロック、W2はフリーとされている。そして、モータ3は正転して電動を行う。このとき、C2の状態は問わない。
【0047】
また、エンジン運転状態であって、コンプレッサON状態のときには、C1、C2はONされ、W1、W2はフリーとされている。そして、モータ3は正転して電動または発電を行う。
また、エンジン運転状態であって、コンプレッサOFF状態のときには、C1はON、C2はOFFされ、W1、W2はフリーとされている。そして、モータ3は正転して電動または発電を行う。
【0048】
加えて、本実施の形態においては、エンジン2運転中の場合であっても、一体化クラッチ10を開放した状態で、モータ3の駆動制御を行っている。以下、これについて説明する。
図7は図1のエンジンシステムを搭載した車両の走行中におけるモータ制御フローを示すフローチャートである。
まず、ステップ10において、エンジン2が運転中であるかどうかを判断する。エンジン2が停止中と判断された場合には、ステップ11において一体化クラッチ10を開放して、上述したようにエンジン停止時におけるコンプレッサ制御(図4参照)やエンジン始動制御(図3参照)を行う。
【0049】
エンジン2が運転中と判断された場合には、ステップ13において、一体化クラッチ10を開放すべきかどうかを判断する制御を行う。この制御については後述する。そして、ステップ14においてステップ13の判断結果を見て、一体化クラッチ10を開放しない判断の場合には、ステップ15において一体化クラッチ10を結合して、モータ3を発電機として発電させる制御を行う(図5参照)。そして、一体化クラッチ10を開放する判断の場合には、ステップ17において一体化クラッチ10を開放し、ついで、ステップ18において車両状態に応じて最適となるようにモータ3の制御を行う。
【0050】
図8は図7のフローチャートにおいて、一体化クラッチ10の制御判断を示すサブフローである。まず、ステップ20において、車両機器の運転モード判断を行う。この判断については後述する。ステップ21において、どの運転モードかを判断して、ステップ22〜24のいずれかに進む。そして、ステップ22において通常運転モードとされた場合には、ステップ23において一体化クラッチ10を結合する判断をして、上述した図7のフローに戻る。また、ステップ24において発電優先モードとされた場合、ステップ26においてコンプレッサ優先モードとされた場合には、ステップ25において一体化クラッチ10を開放する判断をして、上述した図7のフローに戻る。
【0051】
図9は図8のフローチャートにおいて、車両機器の運転モード判断を示すサブフローである。まず、ステップ30において、車両を高温放置した後に発生する急速冷房状態(クールダウン)か否かを判断する。急速冷房状態と判断した場合には、ステップ31においてコンプレッサ優先モードとして、上述した図8のフローに戻る。
急速冷房状態でないと判断された場合には、ステップ32において必要発電力を決定する。この必要発電力は電気負荷の作動状態や、バッテリの放電状態を監視することにより決定される。
【0052】
次に、ステップ33において、コンプレッサ4における負荷の推定を行う。この負荷は、例えば車両室内温度や、外気温度、蒸発器温度、エアコンブロア作動状態、凝縮器ファン作動状態、あるいは凝縮器圧力などの情報を、必要に応じて検出することにより推定可能である。この場合には、推定したコンプレッサ負荷をコンプレッサ4の軸駆動トルクに換算する。
そして、ステップ34において、発電効率の比較判断を行う。ここでは、一体化クラッチ10を結合して発電を行うモータ制御に対して、より高効率で発電することができるか否かを判断する。これについては図12を用いて詳細を後述する。高効率の発電が可能な場合にはステップ36において発電優先モードとし、また、不可能な場合にはステップ37において通常運転モードとして、上述した図8のフローに戻る。
【0053】
コンプレッサ優先モードについて図10を用いて説明する。図10はコンプレッサ優先モードにおけるプラネタリ機構の速度線図である。このとき、一体化クラッチ10は開放状態となり、モータ3の回転数Nmをエンジン2の回転数Neよりも低減すると、コンプレッサ回転数Ncは、エンジン回転数Neよりも大きくなる。これにより、一体化クラッチ10を結合状態とした場合と比較して、冷媒の圧縮流量を増加することができる。
【0054】
すなわち、通常のコンプレッサ4の体格(一回転あたりの吐出流量)は、クールダウン状態における冷媒の圧縮流量によって決まるが、クールダウン状態のエンジン回転数Neは車両によって一意的に決まり、コンプレッサ10の体格も、比較的大きなものとなる。クールダウン状態以外の通常状態においては、圧縮流量はそれほど必要ではないため、特にエンジンの回転数が高い場合に、コンプレッサの体格が大きいと、エネルギー損失が大きい。
また、エンジン2の回転数が高く、かつコンプレッサ4の駆動が必要なときに、一体化クラッチ10を結合状態とすることでこれを実現する場合、必要な冷媒の圧縮流量に対して実際の圧縮流量が過剰となり、必要以上にコンプレッサ4のための仕事を消費してしまうことが考えられる。
【0055】
本実施の形態においては、上述したコンプレッサ優先モードへの切り替えが可能であるため、コンプレッサ体格を比較的小さく設定することが可能となり、前述のような損失を最小にすることができ、ひいては燃費を向上させることができる。
なお、上記実施の形態においては、モータ3を発電機として作動させるためにモータ回転数が正となるように制御しているが、モータ3の回転数を負として電動機として駆動することにより、冷媒の圧縮流量を更に増大することが可能である。
【0056】
発電効率の比較判断について図12を用いて説明する。図12はモータ(この場合は発電機として機能)2の回転数Nと発電トルクTの関係を示すグラフである。同図に示したように、必要発電力Pは、モータ3の回転数NとトルクTとの積で表現でき、両者は反比例の関係にある。通常の車両走行モードにおいては、モータの回転数はエンジン回転数Neと一致し、必要発電力Pとエンジン回転数Neから発電機トルクTaが計算できる。また、モータ3の発電動作時の効率はその特性から図12に示したように得ることができるため、モータ3の回転数N(この場合はNeと一致)とトルクT(この場合Ta)とがわかれば、発電効率が求められる。例えば、通常の発電モードにおいて、必要発電力Pが得られる点Qでの発電効率は50%となる。
【0057】
この通常の発電モードに対して、一体化クラッチ10を開放状態とすれば、モータ3の回転数Nをエンジン2の回転数Neと異ならせることが可能となる。
この場合において、モータ3を発電動作させるには、コンプレッサ4の負荷トルクが発電トルクの反力となる。上述したように、コンプレッサ4の駆動軸4aの回転数がモータ3の回転数Nに対して略1/3に減速されているため、モータ3の発電トルクTはコンプレッサ4の駆動軸4aに作用するトルクの略1/3の値であるTmとなる。したがって、発電トルクTmと必要発電力Pから、モータ回転数Nmが決まり、この場合の点Rでの発電効率は60%となる。
【0058】
したがって、この場合には、プラネタリギア作動時の伝達効率ηgが0.84以上であれば、発電機制御(50%)に対してより高い効率での発電(60×ηg%)が可能であるから、発電優先モードとなるように制御する。逆に、通常の発電モードの方が高い効率となる場合には、通常の発電モードとなるように制御する。
このように常に発電効率を計算しながらモータの作動点を決定することで、高い発電効率が得られる。
この判断を行うにあたっては、図12のようなモータ3の発電効率マップを実装してその都度効率を検索してもよいが、予め作動モード自体をマップ化してもよい。
【0059】
発電優先モードについて図11を用いて説明する。図11は発電優先モードにおけるプラネタリ機構の速度線図である。このとき、一体化クラッチ10は開放状態となり、発電優先モード時におけるモータ3の回転数がNmとなるように、モータ3の回転数制御を行う。これにより、発電トルクは自然にTmに収束し、必要発電力を得ることができる。よって、通常の運転モードにおいて通常発電機制御で発電する場合と比較して、より高効率での発電が可能となり、発電に伴う損失を最小にすることができ、ひいては燃費を向上させることができる。
【0060】
また、上記実施の形態においては、エンジン2、モータ3およびコンプレッサ4を同軸に配する場合を示しているが、エンジン2の出力軸2aを一対のプーリ(図示せず)と、これらのプーリに掛け渡されたベルト(図示せず)を介してプラネタリ機構5のキャリア7に接続することにしてもよい。これによれば、エンジン2の出力軸2aに沿う方向の長さ寸法を低減することができる。したがって、スペースに制限のあるエンジンルーム内に設置することができる。
なお、プーリ・ベルトに代えて、一対のギヤを介してエンジン2の出力軸2aをキャリア7に接続することにしても、同様の効果を得ることができる。
【0061】
また、上記実施の形態においては、コンプレッサ4の駆動軸4aやエンジン2の出力軸2aにコンプレッサクラッチ15を設けて、このクラッチ15の接続、切断により、コンプレッサ4の駆動、非駆動を選択することができるようにしたが、このクラッチ15は必須ではない。
【0062】
また、上記実施の形態においては、補機として、エアコンディショナのコンプレッサ4を例に挙げて説明したが、これに代えて、または、これとともに、他の補機、例えば、パワーステアリング用ポンプ、自動変速機用オイルポンプあるいはブレーキ用負圧ポンプ等を駆動することにしてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態においては、プラネタリ機構5のサンギヤ6にモータ3の出力軸3a、キャリア7にエンジン2の出力軸2a、リングギヤ8にコンプレッサ4の駆動軸4aをそれぞれ接続することとしたが、これに代えて、プラネタリ機構5のサンギヤ6にコンプレッサ4の駆動軸4aを接続し、リングギヤ8にモータ3の出力軸3aをそれぞれ接続することにしてもよい。
なお、この発明は、上記の構造に限定されるものではなく、プラネタリ機構5のサンギヤ6、キャリア7およびリングギヤ8のいずれかに、エンジン2の出力軸2a、モータ3の出力軸3aまたはコンプレッサ4の駆動軸4aのいずれかを一対一に接続する他の組合せも可能である。
【0064】
また、上記実施の形態においては、エンジン2によるコンプレッサ4の駆動を可能とするために、エンジン2の出力軸2aに接続されたキャリア7と、コンプレッサ4の駆動軸4aに接続されたリングギヤ8とをクラッチ10からなる結合手段によって一体化させることとしたが、これに代えて、サンギヤ6とキャリア7またはサンギヤ6とリングギヤ8のいずれかを一体化させることにしても、結果としてサンギヤ6、キャリア7およびリングギヤ8の3つの要素を一体化させることとなるので、同等の効果を得ることができる。また、サンギヤ6とキャリア7とリングギヤ8とを同時に一体化させることにしてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態においては、プラネタリ機構5として、キャリア7に単列のピニオンギヤ9が保持されたシングルプラネタリ機構を採用することとしたが、これに代えて、キャリア7に2列以上のピニオンギヤ(図示せず)が保持された他の任意のプラネタリ機構を採用することにしてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、コンプレッサ4の駆動軸4aおよびエンジン2の出力軸2aの逆転を防止する回転方向規制手段として、構造が簡単で制御の不要なワンウェイクラッチ11,13を採用したが、これに限定されるものではなく、制御信号により切り換え可能なクラッチやブレーキを採用することにしてもよい。
【0067】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は以下の効果を奏する。
(1) プラネタリ機構の3つの要素を利用して、単一のモータによるエンジンの始動およびエンジン停止中の補機の駆動を行うことができる。また、エンジンによる補機の駆動、モータを発電機として利用することによる発電、モータによるエンジンのアシスト等をも行うことができる。
したがって、最小限のモータ数で、上述した種々の動作モードを達成できる簡易な装置を提供することができ、コストの低減を図ることができるという効果を奏する。
加えて、エンジンの回転数に制限されずに補機やモータが所望の状態となるように制御することが可能となり、車両の運転状態に応じて適した制御を行うことが可能となるという効果を奏する。
(2) 補機の回転数をエンジンの回転数に制限されずに増加させることが可能となり、補機を優先して駆動させることが可能となる。これにより、補機の体格をエンジンの回転数を基準にして設計する必要がなくなるため、補機の小型化や軽量化を図ることができ、ひいては燃費の向上を図ることが可能となるという効果を奏する。
(3) エンジンの回転数に制限されずにモータの回転数を発電効率の高い回転数に制御することが可能となり、発電効率を高めることが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るエンジンシステムの構成を示す模式図である。
【図2】 図1のエンジンシステムに備えられたプラネタリ機構の3つの要素の位置関係を示す模式図である。
【図3】 図1のエンジンシステムのエンジン始動時におけるプラネタリ機構の3つの要素の速度を示す速度線図である。
【図4】 図1のエンジンシステムのエンジン停止・補機駆動時におけるプラネタリ機構の3つの要素の速度を示す速度線図である。
【図5】 図1のエンジンシステムのエンジンによる補機駆動時におけるプラネタリ機構の3つの要素の速度を示す速度線図である。
【図6】 図1のエンジンシステムを搭載した車両の走行中におけるエンジンシステムの制御フローを示すフローチャートである。
【図7】 図1のエンジンシステムを搭載した車両の走行中におけるモータ制御フローを示すフローチャートである。
【図8】 図7のフローチャートにおいて、一体化クラッチの制御判断を示すサブフローである。
【図9】 図8のフローチャートにおいて、車両機器の運転モード判断を示すサブフローである。
【図10】 図1のエンジンシステムのコンプレッサ優先モードにおけるプラネタリ機構の3つの要素の速度を示す速度線図である。
【図11】 図1のエンジンシステムの発電優先モードにおけるプラネタリ機構の3つの要素の速度を示す速度線図である。
【図12】 モータの回転数と発電トルクの関係を示すグラフである。
【図13】 図1のエンジンシステムを搭載した車両における運転状態ごとのクラッチやワンウェイクラッチの状態説明図である。
【符号の説明】
1 エンジンシステム
2 エンジン
2a エンジンの出力軸
3 モータ
3a モータの出力軸
4 コンプレッサ(補機)
4a 駆動軸
5 プラネタリ機構
6 サンギヤ(要素)
7 キャリア(要素)
8 リングギヤ(要素)
9 ピニオンギヤ
10 (一体化)クラッチ(結合手段)
11,13 ワンウェイクラッチ(回転方向規制手段)
15 (コンプレッサ)クラッチ(結合手段)

Claims (4)

  1. エンジンと、モータと、補機とを備えるとともに、
    エンジンの出力軸、モータの出力軸または補機の駆動軸のいずれかをそれぞれ接続した、サンギヤ、キャリアおよびリングギヤからなる3つの要素を有するプラネタリ機構と、
    該プラネタリ機構の2つ以上の要素を一体化可能な結合手段と、
    前記補機の駆動軸の回転方向を一方向に規制する回転方向規制手段とを備え、
    前記一体化可能な結合手段を開放した状態で、モータの駆動制御を可能とし、
    前記モータの駆動制御は、前記補機を優先して駆動する場合に、モータの回転数をエンジンの回転数に対して低減させることにより行うことを特徴とするエンジンシステム。
  2. 前記モータの駆動制御は、前記モータの発電を優先する場合に、モータの動作点を発電効率の高い動作点に制御することにより行うことを特徴とする請求項1記載のエンジンシステム。
  3. サンギヤ、キャリアおよびリングギヤからなる3つの要素にそれぞれ、エンジンの出力軸、モータの出力軸または補機の駆動軸のいずれかを接続したプラネタリ機構を備えるエンジンシステムの運転方法であって、
    前記補機の出力軸を静止状態に保持してモータの出力軸を一方向に回転させることにより、モータによってエンジンを始動し、
    前記エンジンの出力軸を静止状態に保持してモータの出力軸を反対方向に回転させることにより、モータによって補機を駆動し、
    前記プラネタリ機構の2つ以上の要素を一体化させることにより、エンジンによって補機を駆動し、
    前記一体化可能な結合手段を開放した状態で、モータの駆動制御を可能とすることを特徴とするエンジンシステムの運転方法。
  4. サンギヤ、キャリアおよびリングギヤからなる3つの要素を有し、その内の任意の2つの要素にエンジンの出力軸と補機の駆動軸とをそれぞれ接続したプラネタリ機構と、
    該プラネタリ機構の残りの一要素に接続されたモータと、
    前記プラネタリ機構の2つ以上の要素を一体化可能な結合手段と、
    前記補機の駆動軸が接続された要素の回転方向を一方向に規制可能な回転規制手段とを備え、
    前記一体化可能な結合手段を開放した状態で、モータの駆動制御を可能とし、
    前記モータの駆動制御は、前記補機を優先して駆動する場合に、モータの回転数をエンジンの回転数に対して低減させることにより行うことを特徴とするエンジンの始動装置。
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