JPH11150805A - ハイブリッド車両 - Google Patents

ハイブリッド車両

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JPH11150805A
JPH11150805A JP31674597A JP31674597A JPH11150805A JP H11150805 A JPH11150805 A JP H11150805A JP 31674597 A JP31674597 A JP 31674597A JP 31674597 A JP31674597 A JP 31674597A JP H11150805 A JPH11150805 A JP H11150805A
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博直 福地
Hideyuki Takahashi
秀幸 高橋
Kazutomo Sawamura
和同 澤村
Teruo Wakashiro
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Abstract

(57)【要約】 【課題】補機類用の電源エネルギーを貯蔵した補機類用
電気エネルギー貯蔵手段にエンジンの出力により駆動さ
れる発電機の発電出力を的確に給電しつつエンジンの燃
料消費をできるだけ抑制することができるハイブリッド
車両を提供する。 【解決手段】エンジン1の出力によって発電し、その発
電出力を補機類用バッテリ23に充電する発電機3を発
電機クラッチ13を介してエンジン1の出力軸1aに断
接可能に設ける。補機類用バッテリ23のエネルギー消
費量に応じて発電機3の発電を行うか否かを決定し、発
電機3の発電を行うときには発電機クラッチ13を接続
状態とし、発電機3の発電を行わないときには発電機ク
ラッチ13を遮断状態とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド車両
に関し、より詳しくはパラレル型のハイブリッド車両に
関する。
【0002】
【従来の技術】パラレル型のハイブリッド車両にあって
は、一般の自動車と同様に車両の基本的な走行駆動源と
してエンジンを具備する一方、そのエンジンの出力を補
助する補助出力を必要に応じて生成させる電動機を車両
に搭載し、それらのエンジン及び電動機の出力(機械的
な動力)を変速装置等の動力伝達手段を介して駆動輪に
伝達して走行するものが一般に知られている。
【0003】そして、この種のハイブリッド車両では、
例えば車両の加速時に電動機に前記補助出力を生成さ
せ、それをエンジンの出力と併せて駆動輪に伝達するこ
とで、車両の必要な加速性能を確保しつつエンジンの出
力を抑制し、ひいては、エンジンの燃料消費や排気ガス
の少量化を図るようにしている。
【0004】また、例えば車両の減速時には、駆動輪か
ら動力伝達手段を介して電動機に伝達される車両の運動
エネルギーによって、該電動機を発電機として駆動して
回生発電を行わしめ、その回生発電出力を電動機の電源
バッテリ等の電気エネルギー貯蔵手段に回収することが
一般に行われている。
【0005】ところで、この種のハイブリッド車両に
は、通常の自動車と同様に、エアコンやオーディオ装
置、エンジンの点火装置、電子制御ユニット等、各種の
補機類が備えられ、これらの動作電圧(通常、12V)
は前記補助出力を生成する電動機の動作電圧(例えば1
00〜180V)よりも小さい。このため、該ハイブリ
ッ車両では、通常、電動機の電源エネルギーを貯蔵した
電気エネルギー貯蔵手段の他、補機類用の電源エネルギ
ーを貯蔵した12Vバッテリ等の補機類用電気エネルギ
ー貯蔵手段が車両に搭載され、この補機類用電気エネル
ギー貯蔵手段から補機類への給電を行うようにしてい
る。さらにこの場合、補機類用電気エネルギー貯蔵手段
は、前記電動機用の電気エネルギー貯蔵手段にDC−D
Cコンバータを介して接続され、該電動機用電気エネル
ギー貯蔵手段の貯蔵エネルギーや電動機の回生発電電力
をDC−DCコンバータにより降圧したものを補機類用
電気エネルギー貯蔵手段に適宜充電するようにしてい
る。
【0006】しかるに、上記DC−DCコンバータは、
一般に消費電力が大きいため、電動機用電気エネルギー
貯蔵手段の貯蔵エネルギーや電動機の回生発電電力を補
機類用電気エネルギー貯蔵手段に充電する際のエネルギ
ー効率(例えば40〜60%)が悪く、電動機用電気エ
ネルギー貯蔵手段の貯蔵エネルギーや電動機の回生発電
電力の多くがDC−DCコンバータによって無駄に消耗
されてしまうものとなっていた。
【0007】このため、本願発明者等は、補機類用の電
気エネルギーを発電する発電機をハイブリッド車両に搭
載し、この発電機をエンジンの出力を用いて駆動するこ
とで、該発電機の発電出力を補機類用電気エネルギー貯
蔵手段に充電することを試みている。
【0008】この場合、該発電機の発電に際しては、通
常の自動車の場合と同様に、エンジンの動作中に常時、
発電機の発電を行わしめることが考えられる。
【0009】しかるに、ハイブリッド車両では、エンジ
ンの燃料消費を極力抑えることが必要であるのに対し、
上記のようにエンジンの動作中に常時、発電機の発電を
行わしめるようにすると、該発電機が常時、エンジンの
負荷となって、エンジンの燃料消費を抑制する妨げとな
ってしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる背景に
鑑み、補機類用の電源エネルギーを貯蔵した補機類用電
気エネルギー貯蔵手段にエンジンの出力により駆動され
る発電機の発電出力を的確に給電しつつ、エンジンの燃
料消費をできるだけ抑制することができるハイブリッド
車両を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のハイブリッド車
両はかかる目的を達成するために、車両の走行駆動源と
してのエンジンと、該エンジンの出力を該エンジンの出
力軸から駆動輪に伝達する動力伝達手段と、該エンジン
の出力を補助する補助出力を前記動力伝達手段を介して
前記駆動輪に伝達可能に設けられた電動機と、該電動機
の電源エネルギーを貯蔵する電動機用電気エネルギー貯
蔵手段と、前記電動機よりも低電圧で動作する補機類
と、該補機類の電源エネルギーを貯蔵する補機類用電気
エネルギー貯蔵手段と、前記エンジンの出力により駆動
されて発電し、その発電出力を前記補機類用電気エネル
ギー貯蔵手段に給電するように設けられた発電機と、前
記エンジン、電動機及び発電機による車両の運転制御を
行う車両運転制御手段とを備えたハイブリッド車両にお
いて、前記発電機が前記エンジンの出力軸に前記車両運
転制御手段により制御可能な発電機用クラッチ手段を介
して接続して設けられ、前記車両運転制御手段は、前記
補機類用電気エネルギー貯蔵手段のエネルギー消費状態
又はエネルギー貯蔵状態に応じて前記発電機の発電を行
うか否かを決定し、該発電機の発電を行わしめるときに
は、前記発電機用クラッチ手段を接続状態に制御し、該
発電機の発電を行わないときには、前記発電機用クラッ
チ手段を切断状態に制御することを特徴とする(請求項
1記載の発明)。
【0012】かかる本発明によれば、前記補機類用電気
エネルギー貯蔵手段のエネルギー消費状態又はエネルギ
ー貯蔵状態に応じて前記発電機の発電を行うか否かを決
定して、発電機の発電を行わせたり、行わせなかったり
することで、補機類用電気エネルギー貯蔵手段の充電が
必要な時だけ、発電機による発電出力を補機類用電気エ
ネルギー貯蔵手段に給電することができる。そして、こ
の場合、補機類用電気エネルギー貯蔵手段の充電が不要
で、発電機の発電を行わない場合には、前記発電機用ク
ラッチ手段を遮断状態とすることで、該発電機とエンジ
ンの出力軸とは切り離され、該エンジンの負荷が軽減さ
れる。
【0013】従って、本発明によれば、補機類用の電源
エネルギーを貯蔵した補機類用電気エネルギー貯蔵手段
にエンジンの出力により駆動される発電機の発電出力を
必要に応じて的確に給電しつつ、エンジンの燃料消費を
できるだけ抑制することができる。
【0014】かかる本発明では、より具体的には、前記
車両運転制御手段は、前記補機類用電気エネルギー貯蔵
手段のエネルギー消費状態であるエネルギー消費量が所
定量以上であるとき、前記発電機用クラッチ手段を接続
状態に制御しつつ前記発電機の発電を行わしめるように
該発電機を制御し、前記補機類用電気エネルギー貯蔵手
段のエネルギー消費量が前記所定量に満たないときに
は、前記発電機を動作停止状態(発電機の通電遮断状
態)としつつ、前記発電機用クラッチ手段を遮断状態に
制御する(請求項2記載の発明)。
【0015】また、前記車両運転制御手段は、前記補機
類用電気エネルギー貯蔵手段のエネルギー貯蔵状態であ
るエネルギー貯蔵量が所定量以下であるとき、前記発電
機用クラッチ手段を接続状態に制御しつつ前記発電機の
発電を行わしめるように該発電機を制御し、前記補機類
用電気エネルギー貯蔵手段のエネルギー貯蔵量が前記所
定量を超えているときには、前記発電機を動作停止状態
としつつ、前記発電機用クラッチ手段を遮断状態に制御
する(請求項3記載の発明)。
【0016】このようにすることで、補機類用電気エネ
ルギー貯蔵手段のエネルギー消費量が所定量以上で比較
的大きい場合や、該補機類用電気エネルギー貯蔵手段の
エネルギー貯蔵量が所定量以下で比較的小さい場合に
は、発電機の発電出力が補機類用電気エネルギー貯蔵手
段に給電されるので、必要限の最適なタイミングで補機
類用電気エネルギー貯蔵手段の充電を効率よく行うこと
ができ、また、発電機の発電を要しない場合には、適正
にエンジンの負荷を軽減してその燃料消費を抑制するこ
とができる。
【0017】この場合、前記請求項2記載の本発明にあ
っては、特に好ましくは、前記車両運転制御手段は、前
記発電機の発電を行わしめるとき、前記補機類用電気エ
ネルギー貯蔵手段のエネルギー消費量に応じて前記発電
機の発電出力を決定し、その決定した発電出力に従って
該発電機を制御する(請求項4記載の発明)。
【0018】また、前記請求項3記載の本発明にあって
は、特に好ましくは、前記車両運転制御手段は、前記発
電機の発電を行わしめるとき、前記補機類用電気エネル
ギー貯蔵手段のエネルギー貯蔵量に応じて前記発電機の
発電出力を決定し、その決定した発電出力に従って該発
電機を制御する(請求項5記載の発明)。
【0019】このように発電機の発電に際して、補機類
用電気エネルギー貯蔵手段のエネルギー消費量やエネル
ギー貯蔵量に応じて発電機の発電出力を決定すること
で、この発電時においても、エンジンの負荷を必要最小
限に留めることができ、エンジンの燃料消費を極力抑え
る上で効果的である。
【0020】また、本発明では、前記車両運転制御手段
は、前記車両の駐停車時に前記発電機の発電を行わない
ことを決定したときには、前記エンジンを動作停止状態
とし、前記車両の駐停車時に前記発電機の発電を行うこ
とを決定したときには、前記エンジンをアイドリング状
態に制御する(請求項6記載の発明)。
【0021】これによれば、車両の駐停車時に前記発電
機の発電を要しない、すなわち、エンジンの出力を必要
としない場合にエンジンを動作停止状態とすることで、
エンジンによる燃料消費がなくすことができ、また、車
両の駐停車時に前記発電機の発電を要するときには、エ
ンジンをアイドリング状態とすることで、支障なく発電
機の発電を行って、その発電出力を補機類用電気エネル
ギー貯蔵手段に給電することができる。
【0022】この場合、前記車両運転制御手段は、前記
車両の駐停車時に前記エンジンをアイドリング状態に制
御するときには、該エンジンの出力軸に生じるトルク変
動を抑制するトルクを前記電動機から該エンジンの出力
軸に付与させるように該電動機を制御することが好まし
い(請求項7記載の発明)。
【0023】すなわち、エンジンのアイドリング状態で
は、一般にその出力軸に周期的なトルク変動を生じ(こ
のトルク変動は所謂TDCに同期して生じる)、このよ
うなトルク変動はエンジンの燃焼消費を増大させる要因
となる。この場合、ハイブリッド車両では、前記電動機
からエンジンの出力軸に任意のトルクを付与することが
可能であるので、該電動機を適正に制御することで、エ
ンジンの出力軸のトルク変動を抑制することができ、こ
れによって、エンジンの燃焼消費を抑制することができ
る。
【0024】また、本発明では、前記発電機は、前記車
両の減速時に、前記発電機用クラッチ手段の接続状態に
おいて前記駆動輪から前記動力伝達手段を介して前記エ
ンジンの出力軸側に伝達される車両の運動エネルギーに
より駆動可能に設けられ、前記車両運転制御手段は、前
記車両の減速時に前記エンジンへの燃料供給及び点火を
停止せしめる(請求項8記載の発明)。
【0025】これによれば、車両の減速時には、エンジ
ンへの燃料供給及び点火が停止されて該エンジンは出力
を発生しない状態となり、該エンジン自体は前記発電機
を駆動することができない状態となるものの、前記発電
機用クラッチ手段の接続状態においては、車両の運動エ
ネルギーが動力伝達手段を介して発電機に伝達され、そ
の運動エネルギーによって該発電機が駆動される。従っ
て、発電機の発電を要するときには、発電機用クラッチ
手段を接続状態として支障なく発電機の発電を行うこと
ができる。同時に、このとき、エンジンへの燃料供給及
び点火を停止することで(これは発電機の発電を行うか
否かにはよらない)、エンジンの燃料消費と、点火のた
めの電力消費をなくすことができる。
【0026】このように車両の減速時にエンジンの給燃
及び点火を停止する場合、前記車両運転制御手段は、前
記車両の減速時に前記発電機の発電を行うことを決定し
た状態で該車両の速度が所定車速以下に低下したとき、
前記エンジンへの燃料供給及び点火を再開させて、前記
発電機を駆動する出力を該エンジンに生成せしめること
が好ましい(請求項9記載の発明)。
【0027】すなわち、車両の減速時における前記発電
機の発電は、前述の如く車両の運動エネルギーを駆動力
として行われるのであるが、このとき、車両の速度があ
る程度低くなると、車両の運動エネルギーが小さくなり
過ぎて、発電機の所要の発電を行うことができなくな
る。そこで、車両の減速時に発電機の発電を行う場合
に、該車両の速度が所定車速以下に低下したときに、前
記エンジンへの燃料供給及び点火を再開させて、前記発
電機を駆動する出力を該エンジンに生成せしめること
で、発電機の発電を支障なく継続することができる。
【0028】前述のように車両の減速時にエンジンへの
燃料供給及び点火を停止する請求項8記載の発明にあっ
ては、前記エンジンは、前記車両運転制御手段により制
御可能なエンジン用クラッチ手段を介して前記動力伝達
手段に接続して設けられると共に、前記発電機は前記エ
ンジン用クラッチ手段の出力側に前記発電機用クラッチ
手段を介して接続して設けられ、前記車両運転制御手段
は、前記車両の減速時に前記エンジン用クラッチ手段を
遮断状態に制御することが好ましい(請求項10記載の
発明)。
【0029】またさらに、車両の減速時における発電機
の発電時に、車両の速度が所定車速以下に低下したとき
にエンジンへの燃料供給及び点火を再開させる請求項9
記載の発明にあっては、前記エンジンは、前記車両運転
制御手段により制御可能なエンジン用クラッチ手段を介
して前記動力伝達手段に接続して設けられると共に、前
記発電機は前記エンジン用クラッチ手段の出力側に前記
発電機用クラッチ手段を介して接続して設けられ、前記
車両運転制御手段は、前記車両の減速時に前記車両の速
度が前記所定車速よりも高いときには、前記エンジン用
クラッチ手段を遮断状態に制御し、該車両の速度が前記
所定車速以下に低下したときには、前記エンジン用クラ
ッチ手段を接続状態に制御することが好ましい(請求項
11記載の発明)。
【0030】すなわち、前記エンジン用クラッチ手段を
備えることで、車両の減速時に該エンジン用クラッチ手
段を遮断状態とすることによって、車両の運動エネルギ
ーはエンジンには伝達されなくなり、該エンジンによっ
て消耗されることがない。従って、車両の減速時にエン
ジン用クラッチ手段を遮断状態とすることで、その減速
時における発電機の発電に際しては、車両の運動エネル
ギーが効率よく発電機に伝達され、該運動エネルギーを
有効に活用して発電機の発電を効率よく行うことができ
る。尚、請求項9記載の発明のように、車両の減速時に
おける発電機の発電時に、車両の速度が所定車速以下に
低下したときにエンジンへの燃料供給及び点火を再開さ
せる場合には、車両の速度が所定車速以下に低下したと
きに、前記エンジン用クラッチ手段を遮断状態から接続
状態としてエンジンへの燃料供給及び点火を再開するこ
とで、該エンジンの運転が再開する。そして、この運転
が再開されたエンジンの出力は、エンジン用クラッチ手
段及び発電機用クラッチ手段を介して発電機に伝達さ
れ、これにより発電機の発電を継続することができる。
【0031】また、本発明では、前記車両運転制御手段
は、前記車両の減速時に前記駆動輪から前記動力伝達機
構を介して前記電動機に伝達される前記車両の運動エネ
ルギーにより該電動機の回生発電を行わしめるように該
電動機を制御する(請求項12記載の発明)。
【0032】これによれば、車両の減速時の運動エネル
ギーによって前記電動機の回生発電を行うことで、該運
動エネルギーの一部を電動機の回生発電によって電気エ
ネルギーに変換して前記電動機用電気エネルギー貯蔵手
段に回収することができる。特に、車両の減速時に前述
の如くエンジン用クラッチ手段を遮断状態とする場合に
あっては、車両の運動エネルギーがエンジンによって消
耗されることがないため、前述の如く発電機の発電を効
率よく行うことができると同時に前記電動機の回生発電
も効率よく行うことができる。さらに、車両の減速時に
発電機の発電を行わない場合には、前記発電機用クラッ
チ手段も遮断状態とされることで、車両の運動エネルギ
ーの多くが電動機に伝達されることとなって、該電動機
の回生発電をより一層効率よく行うことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図1乃至図
6を参照して説明する。図1は本実施形態のハイブリッ
ド車両の全体的システム構成図、図2は図1の要部の構
成を示す説明図、図3乃至図6は図1のハイブリッド車
両の作動を説明するためのフローチャートである。
【0034】図1を参照して、1はエンジン、2は電動
機(詳しくは発電機としても動作可能な発電電動機)、
3は発電機、4は動力伝達手段としての変速装置であ
る。エンジン1の出力軸であるクランク軸1aは、エン
ジン用クラッチ手段であるクラッチ機構5(以下、エン
ジンクラッチ5という)を介して変速装置4の入力側に
断接自在に連接され、該変速装置4の出力側のドライブ
シャフト4aが、図示を省略するが差動ギヤ機構等を介
して車両の駆動輪に連接されている。
【0035】尚、変速装置4は、図しない油圧ポンプや
油圧回路を用いた変速駆動装置6によりその変速動作が
行われるようになっている。同様に、前記エンジンクラ
ッチ5は、油圧式のエンジンクラッチ駆動装置7により
その断接動作が行われるようになっている。また、図
中、8はエンジン1への燃料供給(以下、給燃という)
を行う給燃装置、9はエンジン1の点火装置である。
【0036】電動機2及び発電機3は、本実施形態では
磁石式のものであり、変速装置4の上部の空きスペース
に同心に配置されて該変速装置4に取付けられている。
これらの電動機2及び発電機3の軸心部には伝動軸10
が回転自在に挿通されており、この伝動軸10が、変速
装置4の入力側及びエンジンクラッチ5の出力側と連動
して回転するように、例えばプーリ/ベルト機構から成
る回転伝達手段11を介して変速装置4の入力側(エン
ジンクラッチ5の出力側)に連接されている。そして、
電動機2の回転軸及び発電機3の回転軸は、それぞれ上
記伝動軸10に、電動機用クラッチ手段としての電磁ク
ラッチ12及び発電機用クラッチ手段としての電磁クラ
ッチ13を介して断接自在に接続されている。
【0037】より具体的には、図2を参照して、電動機
2にあっては、その磁石から成るロータ14と、このロ
ータ14から同心に延設された中空の回転軸15とが図
示しないベアリング等を介して前記伝動軸10に回動自
在に支承されており、上記回転軸15の一端部が伝動軸
10との間に介在させた電磁クラッチ12を介して伝動
軸10に断接自在とされている。
【0038】同様に、発電機3にあっては、その磁石か
ら成るロータ16と、このロータ16から同心に延設さ
れた中空の回転軸17とが伝動軸10に回動自在に支承
され、回転軸17の一端部が電磁クラッチ13を介して
伝動軸10に断接自在とされている。
【0039】従って、電動機2の回転軸15及び発電機
3の回転軸17は、それぞれ電磁クラッチ12,13
(以下、これらをそれぞれ電動機クラッチ12、発電機
クラッチ13と称する)の接続状態において、伝動軸1
0と一体に回転し、ひいては、変速装置4の入力側及び
エンジンクラッチ5の出力側と連動して回転するように
なっている。
【0040】尚、図2において、18,19はそれぞれ
電動機2及び発電機3のステータコイルである。
【0041】以上説明した構成によって、エンジンクラ
ッチ5の接続状態において、エンジン1のクランク軸1
aに車両を走行させる出力を発生させると、その出力は
変速装置4を介して駆動輪に伝達され、車両の走行が行
われる。また、この時、例えば電動機クラッチ12を接
続状態として、電動機2のステータコイル18に給電し
てエンジン1の出力を補助する補助出力(機械的な駆動
力)を電動機2の回転軸15に発生させると、その補助
出力は伝動軸10及び回転伝達手段11を介してエンジ
ン1の出力と合流し、該エンジン1の出力と併せて変速
装置4を介して駆動輪に伝達される。さらに、エンジン
クラッチ5の接続状態において、例えば発電機クラッチ
13を接続状態とすると、エンジン1の出力が回転伝達
手段11及び伝動軸10を介して発電機3の回転軸17
に伝達されて該発電機3が駆動され、この時、発電機3
のステータコイル19に発電出力が誘起される。
【0042】また、例えば車両の減速時において、電動
機クラッチ12を接続状態とすると、車両の運動エネル
ギーが駆動輪側から変速装置4、回転伝達手段11及び
伝動軸10を介して電動機2の回転軸15に伝達されて
該電動機2が発電機として駆動され、この時、電動機2
のステータコイル18に回生発電出力が誘起される。同
様に、車両の減速時において、発電機クラッチ13を接
続状態とすると、車両の運動エネルギーが発電機3の回
転軸17に伝達されて該発電機2が駆動され、これによ
っても、発電機3の発電が行われる。
【0043】本実施形態のハイブリッド自動車は上記の
ような機構的構成の他、次のような電気的構成を具備し
ている。すなわち、本実施形態のハイブリッド自動車
は、図1に示すように、電動機2の電源エネルギーを貯
蔵した電動機用バッテリ20(電動機用電気エネルギー
貯蔵手段)と、この電動機用バッテリ20及び電動機2
間の電力授受を行うレギュレータ/インバータ回路21
と、車両に搭載された図示しないエアコンやオーディオ
装置等の補機類22の電源エネルギーを貯蔵した補機類
用バッテリ23(補機類用電気エネルギー貯蔵手段)
と、発電機3の発電出力を補機類用バッテリ23に給電
せしめるレギュレータ回路24と、前記電動機クラッチ
12及び発電機クラッチ13をそれぞれ駆動する電動機
クラッチ駆動回路25及び発電機クラッチ駆動回路26
と、マイクロコンピュータを用いて構成されたコントロ
ーラ27とを備えている。
【0044】尚、前記電動機用バッテリ20は、その出
力電圧が百数十V程度の高電圧のもので、補機類用バッ
テリ23は、その出力電圧が例えば12Vの低電圧のも
のである。また、補機類用バッテリ23の電気エネルギ
ーは、エアコンやオーディオ装置等の他、前記コントロ
ーラ27やエンジン1の点火装置9等の電子機器(これ
らも補機類である)の電源として使用される。
【0045】また、前記コントローラ27はエンジン
1、電動機2、発電機3等を含めて車両の運転制御を行
う車両運転制御手段であり、このコントローラ27に
は、エンジン1の回転数、吸気圧等、エンジン1の運転
状態を示すデータや、車両の運転者による図示しないア
クセル及びブレーキの操作状態を示すデータ、車両の車
速を示すデータがそれぞれ図示しない各種センサ等から
与えられる。さらに、該コントローラ27には、電動機
用バッテリ20に備えた適宜のセンサ(例えば電圧セン
サや電流センサ、温度センサ)等を用いて得られる電動
機用バッテリ20のエネルギー貯蔵量(残容量)を示す
データが与えられ、また、補機類用バッテリ23に備え
た適宜のセンサ(例えば電圧センサや電流センサ)等を
用いて得られる補機類用バッテリ23のエネルギー消費
量(補機類用バッテリ23から補機類22への給電量)
を示すデータが与えられる。
【0046】そして、コントローラ27は、その詳細な
作動は後述するが、上記のように与えられる各種のデー
タに基づいてエンジン1等の運転を制御するようにして
おり、その主要な機能としてエンジン1の運転を給燃装
置8や点火装置9等を介して制御する機能と、エンジン
クラッチ5の断接動作をエンジンクラッチ駆動装置7を
介して制御する機能と、変速装置4の変速動作を変速駆
動装置9を介して制御する機能と、電動機2の動作をレ
ギュレータ/インバータ回路21を介して制御する機能
と、発電機3の動作をレギュレータ回路24を介して制
御する機能と、電動機クラッチ12の断接動作を電動機
クラッチ駆動回路25を介して制御する機能と、発電機
クラッチ13の断接動作を発電機クラッチ駆動回路26
を介して制御する機能とを有する。
【0047】次に、本実施形態のハイブリッド車両の作
動、特にコントローラ27の処理作動について説明す
る。
【0048】図3を参照して、コントローラ27はエン
ジン1の動作状態において、まず、エンジン1の現在の
運転状態が、エンジン1の後述の運転停止処理(エンジ
ン1への給燃及び点火の停止処理)を行い得る条件が成
立しているか否かを判断する(STEP1)。この判断
は、例えばエンジン1の冷却水温や吸気温に基づき行わ
れ、エンジン1の冷却水温が所定値に満たない低温状態
であったり、エンジン1の吸気温が所定値を超える高温
状態であるような場合には、エンジン1の運転を停止す
ると、エンジン1の再始動が困難なものとなり易いこと
から、エンジン1の運転停止処理を行い得る条件が成立
していないと判断し、エンジン1の冷却水温が所定値以
上で且つ吸気温が所定値以下である場合に、エンジン1
の運転停止処理を行い得る条件が成立していると判断す
る。
【0049】そして、コントローラ27は、エンジン1
の運転停止処理を行い得る条件が成立していないと判断
した場合には、通常運転処理を行って(STEP2)、
STEP1からの処理を繰り返す。この場合、上記通常
運転処理では、コントローラ27は車両のアクセル操作
状態に応じた出力をエンジン1に発生させるように該エ
ンジン1を前記給燃装置8や点火装置9等を介して制御
すると共に、車両のアクセル操作状態や車速に応じて変
速装置の変速動作を変速駆動装置6を介して制御し、さ
らに、エンジンクラッチ5をエンジンクラッチ駆動装置
7を介して接続状態に制御することで、エンジン1の出
力を変速装置4を介して車両の駆動輪に伝達せしめ、こ
れにより車両の走行運転を行わしめる。従って、上記通
常運転処理では、通常の自動車と同様に車両の走行運転
が行われる。
【0050】一方、STEP1でエンジン1の運転停止
処理を行い得る条件が成立していると判断した場合に
は、コントローラ27は、次に発電機3の要求発電量を
算出する(STEP3)。この要求発電量の算出は、補
機類用バッテリ23の前記補機類22によるエネルギー
消費量(補機類用バッテリ23から補機類22への給電
量)に応じて決定され、該エネルギー消費量が大きい
程、発電機3の要求発電量も大きなものとなる。
【0051】次いで、コントローラ27は、補機類用バ
ッテリ23のエネルギー消費量もしくはこれに応じた要
求発電量に基づき、発電機3の発電が必要であるか否か
を判断する(STEP4)。この場合、コントローラ2
7は、補機類用バッテリ23のエネルギー消費量もしく
はこれに応じた要求発電量が所定値に満たない十分に小
さなものであるときには、発電機3の発電が不必要であ
ると判断し、補機類用バッテリ23のエネルギー消費量
もしくはこれに応じた要求発電量が所定値以上であると
き、発電機3の発電が必要であると判断する。
【0052】尚、本実施形態では、補機類用バッテリ2
3のエネルギー消費量もしくはこれに応じて決定した要
求発電量に応じて発電機3の発電が必要であるか否かを
決定しているが、補機類用バッテリ23のエネルギー貯
蔵量(残容量)に応じて発電機3の発電が必要であるか
否かを決定する(例えば補機類用バッテリ23の残容量
が所定値(例えば80%)以上の満充電状態に近い状態
では、発電機3の発電が不要であると決定し、該残容量
は所定値に満たないときに発電機3の発電が必要である
と決定する)ようにしてもよい。そして、このとき、発
電機3の要求発電量を補機類用バッテリ23の残容量
(エネルギー貯蔵量)に応じて決定する(例えば残容量
が小さい程、要求発電量大きくする)ようにしてもよ
い。
【0053】あるいは、補機類用バッテリ23のエネル
ギー消費量とエネルギー貯蔵量との両者に応じて発電機
3の発電を行うか否かを決定したり(例えば補機類用バ
ッテリ23のエネルギー消費量が所定値以上で且つエネ
ルギー貯蔵量が所定値に満たない場合に発電機3の発電
が必要であると決定し、これ以外の場合に発電機3の発
電が不要であると決定する)、補機類用バッテリ23の
エネルギー消費量とエネルギー貯蔵量との両者に応じて
前述したような傾向で発電機3の要求発電量を決定する
ようにしてもよい。
【0054】以下の説明では、まず、上記STEP4で
コントローラ27が発電機3の発電が必要であると判断
した場合の作動について説明する。
【0055】コントローラ27は、STEP4で発電機
3の発電が必要であると判断したときには、発電機クラ
ッチ13を発電機クラッチ駆動回路26を介して接続状
態に制御すると共に、発電機3の通電電流をレギュレー
タ回路24を介して制御することで前記要求発電量に従
って発電機3の発電を行わしめる(STEP5)。尚、
この場合において、発電機3の回転軸17には、後述の
如く、エンジン1の出力、電動機2の出力(機械的出
力)及び車両の走行エネルギーのうちのいずれかの駆動
力が前記伝動軸10及び発電機クラッチ13を介して付
与されるようになっており、発電機3はそれらのいずれ
かの駆動力を入力エネルギーとして発電を行う。
【0056】このようにして発電機3の発電を行わしめ
つつ、コントローラ27は次に車両の走行状態が減速中
であるか否かを判断する(STEP6)。この判断は、
車両のブレーキ操作状態やアクセル操作状態、車速等に
基づいて行われる。そして、コントローラ27は車両の
減速中であると判断したときには、前記給燃装置8及び
点火装置9を制御することで、エンジン1の給燃及び点
火を停止し(STEP7)、また、エンジンクラッチ5
をエンジンクラッチ駆動装置7を介して遮断状態に制御
する(STEP8)。さらに、コントローラ27は、こ
の車両の減速中における運動エネルギーを利用して前記
電動機2を発電機として動作させ、該電動機2の回生発
電を行わしめるために、該電動機2がその発電効率の良
い回転域で動作するように変速装置4の変速比を変速駆
動装置6を介して制御し(STEP9)、また電動機ク
ラッチ12を電動機クラッチ駆動回路25を介して接続
状態に制御する(STEP10)。これにより、車両の
減速中の運動エネルギーは、車両の駆動輪側から変速装
置4、前記回転伝達手段11、伝動軸10及び電動機ク
ラッチ12を介して電動機2の回転軸15に伝達され、
該電動機2が発電機として駆動される。そして、コント
ローラ27は、この状態でレギュレータ/インバータ回
路21を制御することで、電動機2のステータコイル1
8に誘起される発電出力を電動機用バッテリ20に充電
せしめ(電動機2から電動機用バッテリ20への給
電)、これにより電動機2の回生発電がなされる(ST
EP11)。
【0057】この場合、前述のように変速装置4の変速
比を制御することで(STEP9)、電動機2はその発
電効率の良い回転域で動作し、該電動機2の回生発電が
効率よく行われる。また、エンジンクラッチ5は遮断状
態とされるので、車両の減速中の運動エネルギーはエン
ジン1によって無駄に消耗されることはなく、電動機2
に伝動軸10を介して伝達され、車両の運動エネルギー
を効率よく電動機2によって電動機用バッテリ20に充
電する電気エネルギーに変換することができる。
【0058】また、この場合において、前記発電機クラ
ッチ13は接続状態であるので、車両の運動エネルギー
は、車両の駆動輪側から変速装置4、前記回転伝達手段
11、伝動軸10及び発電機クラッチ13を介して発電
機3の回転軸17にも伝達され、該発電機3の発電が支
障なくなされる。そして、このとき、車両の運動エネル
ギーは前述の如くエンジン1によって無駄に消耗される
ことがないので、該運動エネルギーを効率よく利用して
発電機3の発電を行うことができる。
【0059】さらに、この場合、エンジン1への給燃及
び点火を停止するため、エンジン1が燃料を消費しない
と共に、補機類用バッテリ23から点火装置9への通電
も遮断され、車両の走行中のエンジン1の燃料消費が削
減されると共に、補機類用バッテリ23のエネルギー消
費が抑制される。
【0060】このようにして、車両の減速中に電動機2
の回生発電や発電機3の発電を行っている場合におい
て、コントローラ27は、車両のアクセル操作がなされ
たか否かを監視し(STEP12)、アクセル操作がな
されていない場合にはさらに、車速が所定車速V0 (例
えば15km/h)よりも低下したか否かを判断する
(STEP13)。そして、車両のアクセル操作がなさ
れておらず、且つ車速が所定車速V0 以上である場合に
は、前記STEP1からの処理が繰り返される。
【0061】そして、コントローラ27は、車両の減速
中に車両のアクセル操作がなされてエンジン1の出力要
求が発生し、あるいは、車速が所定車速V0 よりも低下
して、車両の運動エネルギーが発電機3の発電を行うた
めには不十分なものとなったときには、エンジンクラッ
チ5をエンジンクラッチ駆動装置7を介して接続状態に
制御する(STEP14)。これによりエンジン1のク
ランク軸1aが車両の運動エネルギーを利用して駆動さ
れる。この状態でコントローラ27は、給燃装置8及び
点火装置9を制御することで、エンジン1の給燃及び点
火を再開し、該エンジン1を始動する(STEP1
5)。そして、その後は前述した通常運転処理(STE
P16)を経てSTEP1からの処理が繰り返される。
この場合、上記のように車両の車速が減速によって所定
車速V0 よりも低くなったときにエンジンクラッチ5を
接続状態としてエンジン1を始動することで、車両の運
動エネルギーが小さくなり過ぎて、該運動エネルギーだ
けでは発電機3の発電を十分に行うことができなくなる
ような状況では、エンジン1の出力が発電機3に伝達さ
れるため、該発電機3の発電を支障なく継続することが
できる。
【0062】次に、前記STEP6の判断において、車
両の減速中でない場合には、コントローラ27は次に、
図4に示すような処理行う。
【0063】すなわち、コントローラ27は、エンジン
1のアイドリング状態であるか否かを判断する(STE
P17)。この判断は、エンジン1の運転状態や車速等
に基づいて行われ、このとき、エンジン1のアイドリン
グ状態である場合には、コントローラ27はさらに、エ
ンジン1のアイドリング状態が所定時間(例えば10
秒)継続したか否かを判断する(STEP18)。そし
て、コントローラ27は、エンジン1のアイドリング状
態が所定時間継続した場合に、すなわち、車両の継続的
な停車状態もしくは駐車状態である場合には、アクセル
操作がなされたか否かを監視し(STEP19)、アク
セル操作がなされていない場合には、エンジンクラッチ
5をエンジンクラッチ駆動装置7を介して接続状態に制
御する(STEP20)。さらに、コントローラ27は
変速駆動装置6を介して変速装置4をニュートラル状態
に制御した後(STEP21)、電動機クラッチ12を
電動機クラッチ駆動回路25を介して接続状態に制御す
る(STEP22)。この状態、コントローラ27は、
エンジン1のクランク軸1aに生じる周期的なトルク変
動を抑制するように電動機2をレギュレータ/インバー
タ回路21を介して制御する(STEP23)。具体的
には、例えばエンジン1のトルクが増加側に変化する状
態では、電動機2の回生発電を行ってエンジン1のクラ
ンク軸1aにトルクの減少側に回転力を付与し、エンジ
ン1のトルクが減少側に変化する状態では、電動機2に
補助出力を生成させて、エンジン1のクランク軸1aに
トルクの増加側に回転力を付与する。これによりエンジ
ン1のトルク変動が抑制され、ひいては、エンジン1の
アイドリング時の燃料消費の抑制効果が得られる。
【0064】このようにしてエンジン1のトルク変動を
抑制しつつコントローラ27は、アクセル操作がなされ
たか否かを監視し(STEP24)、アクセル操作がな
されていなければ、STEP1からの処理を繰り返す。
【0065】尚、前記STEP18において、アイドリ
ング状態が所定時間継続しておらず、車両の一時的な停
車状態と考えられる場合には、前述した通常運転処理
(STEP25)を経て、STEP1からの処理が繰り
返される。また、車両の継続的な駐停車時におけるエン
ジン1のアイドリング状態では、エンジンクラッチ5が
接続状態とされるので(前記STEP20)、エンジン
1の出力が発電機3に伝達され、該発電機3の発電が支
障なくなされる。
【0066】一方、上記のようなエンジン1のアイドリ
ング状態において、前記STEP19又は24で車両の
アクセル操作がなされた場合には、コントローラ27
は、電動機用バッテリ20の充電状態が良好であるか否
かを判断する(STEP26)。この判断は、電動機用
バッテリ20の残容量が所定量以上あるか否かによって
行われ、該残容量が所定量以上あって、電動機用バッテ
リ20の充電状態が良好である場合には、コントローラ
27は、電動機2の補助出力(機械的出力)を用いた車
両の発進を行うために、電動機クラッチ12を電動機ク
ラッチ駆動回路25を介して接続状態に制御し(STE
P27)、また、変速装置4を変速駆動装置6を介して
ローレシオ(最低変速比)に制御する(STEP2
8)。さらにコントローラ27は、エンジンクラッチ5
をエンジンクラッチ駆動装置7を介して遮断状態に制御
した後(STEP29)、前記レギュレータ/インバー
タ回路21を制御することで、電動機2に電動機用バッ
テリ20から給電せしめ、該電動機2に車両を発進させ
る出力を発生させる(STEP30)。
【0067】このとき、電動機2が生成する出力は電動
機クラッチ12、伝動軸10、回転伝達手段11及び変
速装置4を介して車両の駆動輪に伝達され、車両の発進
がなされる。また、このとき、電動機2の出力の一部は
伝動軸10及び発電機クラッチ13を介して発電機3に
も伝達され、該発電機3の発電が支障なくなされる。
【0068】尚、この場合、エンジンクラッチ5は遮断
状態とされるので、電動機2の出力の一部がエンジン1
によって消耗されることがなく、また、エンジン1はア
イドリング状態であるので、該エンジン1の燃料消費も
最低限に抑えられる。また、この場合、電動機用バッテ
リ20の残容量は十分にあるので、電動機2は車両を円
滑に発進させるための十分な出力を発生することができ
る。
【0069】このようにして電動機2の出力によって車
両が発進した後、コントローラ27は、車速が前記所定
車速V0 以上に上昇したか否かを監視し(STEP3
1)、車速が所定車速V0 に満たない場合には、電動機
2の出力による車両の走行を継続し、車速が所定車速V
0 以上に上昇した場合には、エンジン1の出力による走
行うために、エンジンクラッチ5をエンジンクラッチ駆
動装置7を介して接続状態に制御し(STEP32)、
さらに、電動機クラッチ12を電動機クラッチ駆動回路
25を介して遮断状態に制御すると共に、レギュレータ
/インバータ回路21を制御することで電動機2への給
電を遮断状態として該電動機2を動作停止状態とする
(STEP33)。そして、この状態で、前述した通常
運転処理(STEP34)を経てSTEP1からの処理
が繰り返される。
【0070】また、前記STEP26の判断において、
電動機用バッテリ20の残容量が所定値に満たず、該バ
ッテリ20の充電状態が良くない場合には、コントロー
ラ27はエンジン1の出力による発進を行うために、エ
ンジンクラッチ5をエンジンクラッチ駆動装置7を介し
て接続状態に制御し(STEP35)、さらに、電動機
クラッチ12を電動機クラッチ駆動回路25を介して遮
断状態に制御すると共に、レギュレータ/インバータ回
路21を制御することで電動機2への給電を遮断状態と
して該電動機2を動作停止状態とする(STEP3
6)。そして、この状態で、前述した通常運転処理(S
TEP37)を行うことで、エンジン1の出力による発
進を行わしめ、STEP1からの処理を繰り返す。
【0071】尚、この場合において、エンジン1の出力
は発電機クラッチ13を介して発電機3に伝達されるた
め、該発電機3の発電は支障なく行われる。
【0072】このように、車両の発進に際して、電動機
用バッテリ20の充電状態が良好である場合には、エン
ジン1をアイドリング状態としたまま電動機2の出力に
よって車両の発進を行うことで、エンジン1の燃料消費
を抑制しつつ、円滑な車両の発進を行うことができる。
そして、電動機用バッテリ20の充電状態が良好でない
場合にはエンジン1の出力によって車両の発進を行い、
また、電動機2によって車両の発進を行う場合でも、あ
る程度車速が上昇すれば、エンジン1の出力によって車
両の走行を行うので、電動機用バッテリ20が過剰にエ
ネルギーを消費して劣化が進行するような事態を回避す
ることができる。また、エンジン1の出力による車両の
発進に際しては、電動機クラッチ12を遮断状態とする
と共に、電動機2の出力により車両を発進させた後、エ
ンジンの出力による車両の走行に切り替える場合にも電
動機クラッチ12を遮断状態とすることで、エンジン1
の負荷が軽減し、該エンジン1の燃料消費を抑えること
ができる。
【0073】次に、前記STEP17の判断において、
エンジン1のアイドリング状態でない場合の作動につい
ては後述することとし、前記図3のSTEP4にコント
ローラ27が発電機3の発電が必要でないと判断した場
合の処理を説明する。
【0074】図3を参照して、STEP4で発電機3の
発電が必要でないと判断した場合には、コントローラ2
7は、発電機クラッチ13を発電機クラッチ駆動回路2
6を介して遮断状態に制御すると共に、レギュレータ/
インバータ回路21によって発電機3の通電遮断状態と
して該発電機3を動作停止状態とする(STEP3
8)。これにより、エンジン1の出力が発電機3の回転
軸17に伝達されることがなくなり、該エンジン1の負
荷が軽減され、ひいてはエンジン1の燃料消費が低減す
る。
【0075】そして、コントローラ27は上記のように
発電機クラッチ13を遮断状態に制御した後、前記ST
EP5の場合と同様に車両の減速中であるか否かを判断
する(STEP39)。
【0076】このとき、車両の減速中である場合には、
コントローラ27は、前記STEP7〜11と同じ処理
(STEP40〜44)を行う。すなわち、エンジン1
の給燃及び点火を停止せしめると共にエンジンクラッチ
5を遮断状態に制御し、さらに変速装置4を、電動機2
の回生発電に適した変速比に制御した後、電動機クラッ
チ12を接続状態に制御して、該電動機2の回生発電
を、車両の減速時の運動エネルギーを利用して行わしめ
る。
【0077】この場合、エンジン1の給燃及び点火を停
止することで、発電機3の発電の場合と同様、エンジン
1が燃料を消費しないと共に、補機類用バッテリ23の
エネルギー消費が抑制される。
【0078】また、前述のように変速装置4の変速比を
制御することで、電動機2はその発電効率の良い回転域
で動作し、該電動機2の回生発電が効率よく行われる。
さらに、エンジンクラッチ5は遮断状態とされ、また、
この場合には発電機クラッチ13も遮断状態とされるた
め、車両の減速中の運動エネルギーはエンジン1や発電
機3によって無駄に消耗されることはなく、電動機2に
よって電動機用バッテリ20に充電する電気エネルギー
に効率よく変換することができる。
【0079】上記のように車両の減速中に電動機2の回
生発電を行いつつ、コントローラ27は、車両のアクセ
ル操作がなされたか否かを監視し(STEP45)、ア
クセル操作がなされない場合には、STEP1からの処
理を繰り返す。そして、車両の減速中にアクセル操作が
なされた場合には、発電機3の発電の場合と同様に、コ
ントローラ27は、エンジンクラッチ5をエンジンクラ
ッチ駆動装置7を介して接続状態に制御することで(S
TEP46)、エンジン1のクランク軸1aを車両の運
動エネルギーを利用して回転駆動させ、この状態で、前
記給燃装置8及び点火装置9によってエンジン1の給燃
及び点火を再開することで(STEP47)、エンジン
1の運転を再開せしめる。そして、その後は、前述した
通常運転処理(STEP48)を経て、STEP1から
の処理が繰り返される。
【0080】尚、この場合において、発電機3の発電を
行う必要がない状態であるので、車両の減速中に車速が
所定車速V0 よりも低くなっても、エンジン1の運転は
再開しない。
【0081】一方、前記STEP39において、車両の
減速中でない場合には、コントローラ27は、図5のフ
ローチャートに示す処理を行う。すなわち、コントロー
ラ27は、次に前記STEP17と同様に、エンジン1
のアイドリング状態であるか否かを判断する(STEP
49)。
【0082】このとき、エンジン1のアイドリング状態
である場合には(アイドリング状態でない場合の処理に
ついては、前記STEP17でアイドリング状態でない
場合と併せて後述する)、コントローラ27は、エンジ
ン1のアイドリング状態が所定時間継続したか否か、す
なわち、車両の継続的な駐停車状態であるか一時的な停
車状態であるかを判断し(STEP50)、エンジン1
のアイドリング状態が所定時間継続しておらず、車両の
一時的な停車状態であると考えられる場合には、前述の
通常運転処理(STEP51)を経て、STEP1から
の処理を繰り返す。
【0083】また、STEP50の判断で、エンジン1
のアイドリング状態が所定時間継続し、車両の継続的な
駐停車状態であると考えられる場合には、コントローラ
27は、エンジンクラッチ5をエンジンクラッチ駆動装
置7を介して遮断状態に制御し(STEP52)、さら
に変速装置4を変速駆動装置6を介してニュートラル状
態に制御した後(STEP53)、前記給燃装置8及び
点火装置9を制御することでエンジン1の給燃及び点火
を停止させる(STEP54)。これにより、エンジン
1が燃料を消費しない状態となって、燃料消費が削減さ
れる共に、補機類用バッテリ23のエネルギー消費が低
減される。尚、この場合、発電機3の発電を要しない状
態であるので、エンジン1の運転を停止しても支障はな
い。
【0084】このようにして、エンジン1の給燃及び点
火を停止した後、コントローラ27はアクセル操作がな
されたか否かを監視し(STEP55)、アクセル操作
がなされない場合には、現在の状態(エンジン1の運転
停止状態等)を継続する。そして、アクセル操作がなさ
れた場合には、コントローラ27は、次に前記STEP
26の場合と同様に電動機用バッテリ20の充電状態が
良好であるか否か(残容量が所定値以上あるか否か)を
判断する(STEP56)。
【0085】このとき、電動機用バッテリ20の残容量
が所定値以上あり、その充電状態が良好である場合に
は、前記図4のSTEP27〜30と同じ処理を行って
(STEP57〜60)、車両を電動機2の出力(機械
的出力)により発進させる。この場合、電動機用バッテ
リ20の充電状態は良好であるので、電動機2に車両の
発進に必要な出力を支障なく発生させることができ、車
両の発進を円滑に行うことができる。また、エンジン1
は運転停止状態に維持されているので、その燃料消費を
伴うことなく車両を発進させることができる。さらに、
エンジンクラッチ5が遮断状態とされるので、電動機2
の出力はエンジン1のクランク軸1aには伝達されるこ
とがなく、従って電動機2の負荷が軽減されて、該電動
機2のエネルギー消費を必要限に留めることができる。
【0086】このようにして車両を電動機2の出力によ
り発進させた後、コントローラ27は車両の車速が所定
車速V0 以上に上昇したか否かを判断し(STEP6
1)、該車速が所定車速V0 に満たない状態では電動機
2による車両の走行を継続し、該車速が所定車速V0 以
上に上昇した場合には、エンジンクラッチ5をエンジン
クラッチ駆動装置7を介して接続状態に制御する(ST
EP62)。これにより、エンジン1のクランク軸1a
は電動機2の出力によって回転駆動される。そして、こ
の状態でコントローラ27は、前記給燃装置8及び点火
装置9を制御してエンジン1の給燃及び点火を再開せし
め(STEP63)、エンジン1の運転を再開させ、さ
らに、電動機クラッチ12を電動機クラッチ駆動回路2
5を介して遮断除隊に制御すると共に、レギュレータ/
インバータ回路21によって電動機2の通電遮断状態と
して電動機2の動作を停止させる(STEP64)。そ
して、その後は通常運転処理(STEP65)を経て前
記STEP1からの処理が繰り返される。
【0087】従って、前記発電機3の発電を行う場合と
同様に、電動機2の出力によって、車両の発進を行った
場合には、車速が所定車速V0 以上に上昇すると、エン
ジン1の出力による走行に切り替えられる。
【0088】また、前記STEP56の判断において、
電動機用バッテリ20の残容量が所定値に満たず、該バ
ッテリ20の充電状態が良くない場合には、コントロー
ラ27は、まず、エンジン1を電動機2の出力により始
動するために、電動機クラッチ12を電動機クラッチ駆
動回路25を介して接続状態に制御し(STEP6
6)、さらにエンジンクラッチ5をエンジンクラッチ駆
動回路7を介して接続状態に制御する(STEP6
7)。これにより、電動機2の出力をエンジン1のクラ
ンク軸1aに伝達可能な状態とされる。
【0089】そして、コントローラ27はこの状態にお
いて、前記レギュレータ/インバータ回路24を制御し
て電動機用バッテリ20から電動機2に給電せしめて該
電動機2をエンジン1のスタータとして動作させる(S
TEP68)。このとき、エンジン1のクランク軸1a
は電動機2の出力によって回転駆動される。さらに、コ
ントローラ27は、給燃装置8及び点火装置9を制御す
ることでエンジン1の給燃及び点火を開始し(STEP
69)、エンジン1が完爆状態となったか否か、すなわ
ちエンジン1が正常に始動したか否かを監視する(ST
EP70)。
【0090】このようにして、エンジン1が正常に始動
すると、コントローラ27は次に電動機クラッチ12を
遮断状態に制御すると共に電動機用バッテリ20から電
動機2への通電を遮断して電動機2を動作停止状態とす
る(STEP71)。そしてこの状態で、前述した通常
運転処理(STEP72)を行うことで、エンジン1の
出力による発進を行わしめ、STEP1からの処理を繰
り返す。
【0091】このように、発電機3の発電を必要としな
い場合における車両の発進に際しては、電動機用バッテ
リ20の充電状態が良好である場合には、エンジン1の
給燃及び点火を停止状態としてエンジン1の運転を停止
したまま電動機2の出力によって車両の発進を行うこと
で、エンジン1の燃料消費を削減しつつ、円滑な車両の
発進を行うことができる。そして、電動機用バッテリ2
0の充電状態が良好でない場合にはエンジン1の出力に
よって車両の発進を行い、また、電動機2によって車両
の発進を行う場合でも、ある程度車速が上昇すれば、エ
ンジン1の出力によって車両の走行を行うので、電動機
用バッテリ20が過剰にエネルギーを消費して劣化が進
行するような事態を回避することができる。この場合、
エンジン1の出力によって車両を発進させる場合には、
エンジン1を始動するために電動機2への給電を行うも
のの、その給電はエンジン1の始動時だけ行われるの
で、電動機用バッテリ20はさほど大きなエネルギーを
消費せずとも済み、従って、エンジン1の始動時におけ
る電動機2への給電が、電動機用バッテリ20に大きな
負担となることはない。
【0092】また、エンジン1の出力による車両の発進
に際しては、電動機クラッチ12を遮断状態とすると共
に、電動機2の出力により車両を発進させた後、エンジ
ンの出力による車両の走行に切り替える場合にも電動機
クラッチ12を遮断状態とし、さらにこの場合には、発
電機クラッチ13も遮断状態となっているため、エンジ
ン1の負荷が軽減し、該エンジン1の燃料消費を抑える
ことができる。
【0093】次に、前記STEP17(図4)あるいは
STEP49(図5)においてエンジン1のアイドリン
グ状態でないと判断された場合の作動を図6のフローチ
ャートを参照して説明する。
【0094】STEP17あるいはSTEP49におい
てエンジン1のアイドリング状態でないと判断された場
合のコントローラ27による処理はいずれの場合でも同
一であり、コントローラ27は、車両のアクセル操作状
態等に基づいて車両の加速中であるか否かを判断する
(STEP73)。このとき、車両の加速中である場合
には、コントローラ27はさらに、前記STEP26あ
るいは56の場合と同様にして、電動機用バッテリ20
の充電状態が良好であるか否か(残容量が所定値以上あ
るか否か)を判断する(STEP74)。すなわち、コ
ントローラ27は、例えば電動機用バッテリ20の満充
電を180Vとした場合、その残容量が80%以上であ
るか否か(この閾値はハイブリッド車両における電動機
2の使用形態(電動機2を頻繁に使用するか否か等)や
電動機用バッテリ20の容量に応じて50%等に設定を
変更することができる)を判断する。
【0095】そして、コントローラ27は電動機用バッ
テリ20の充電状態が良好である場合には、電動機クラ
ッチ12を電動機クラッチ駆動回路25を介して接続状
態に制御し(STEP75)、さらに、レギュレータ/
インバータ回路21を介して電動機用バッテリ20から
電動機2に給電せしめて、該電動機2にエンジン1の出
力を補助する補助出力を生成させる(STEP76)。
このとき、エンジンクラッチ5は接続状態に制御されて
いて、エンジン1の出力は変速装置4を介して車両の駆
動輪に伝達されている。そして、上記のように電動機2
に発生させた補助出力は、前記伝動軸10及び回転伝達
手段11を介してエンジン1の出力と合流して、該エン
ジン1の出力と共に変速装置4を介して車両の駆動輪に
伝達され、これにより、エンジン1の出力を抑制しなが
ら車両の所要の加速性能が得られる。
【0096】また、コントローラ27は、前述のように
電動機2に補助出力を生成させながら電動機用バッテリ
20の充電状態が良好であるか否か(残容量が所定値以
上あるか否か)を監視し(STEP77)、電動機用バ
ッテリ20の充電状態が良好な状態に維持されている場
合にはSTEP1からの処理を繰り返す。
【0097】一方、前記STEP74あるいはSTEP
77で電動機用バッテリ20の残容量が所定値を下回っ
て該バッテリ20の充電状態が悪化すると、コントロー
ラ27は、電動機クラッチ12を遮断状態に制御すると
共に、電動機用バッテリ20から電動機1への給電を遮
断させて該電動機1を動作停止状態とする(STEP7
8)。そして、コントローラ27はこの状態で、通常運
転処理を行って(STEP79)、エンジン1の出力に
よる車両の所要の加速性能を確保しながらSTEP1か
らの処理を繰り返す。
【0098】このようにして、車両の加速時において、
電動機用バッテリ20の充電状態が良好である場合に
は、エンジン1の出力と併せて電動機2の出力を駆動輪
に伝達することで、エンジン1の燃料消費を抑えつつ車
両の所要の加速性能を確保することができる。また、車
両の加速時において、電動機用バッテリ20の充電状態
が悪化すると、電動機用バッテリ20から電動機1への
給電を遮断させて該電動機1を動作停止状態とするの
で、電動機用バッテリ20の過剰なエネルギー消費を抑
えて該バッテリ20の劣化を防止することができ、ま
た、このとき電動機クラッチ12を遮断状態に制御する
ので、エンジン1の出力が電動機2には伝達されないこ
ととなって、該エンジン1の負荷が軽減し、該エンジン
1の燃料消費を抑えつつ車両の所要の加速を行うことが
できる。
【0099】尚、このような車両の加速時において、発
電機3の発電を要する場合には、前記発電機クラッチ1
3が接続状態とされているので、エンジン1の出力や電
動機2の補助出力が発電機3に伝達され、該発電機4の
発電を支障なく行うことができる。また、発電機3の発
電を要しない場合には、発電機クラッチ13が遮断状態
とされるので、エンジン1や電動機2の負荷が軽減さ
れ、これらのエネルギー消費を軽減することができる。
【0100】次に前記STEP73の判断において、車
両の加速中でない場合には、車両の減速中でもエンジン
1のアイドリング状態でもないので、この場合は、車両
のクルーズ走行状態(定速走行状態)である。そして、
このクルーズ走行時には、コントローラ27は、電動機
クラッチ12を遮断状態に制御すると共に、電動機用バ
ッテリ20から電動機1への給電を遮断させて該電動機
1を動作停止状態とする(STEP80)。そして、コ
ントローラ27はこの状態で、通常運転処理を行って
(STEP79)、エンジン1の出力による車両のクル
ーズ走行を行わせながらSTEP1からの処理を繰り返
す。
【0101】このように車両のクルーズ走行時に電動機
クラッチ12を遮断状態とすることで、エンジン1の負
荷を軽減して、その燃料消費を必要限に抑えることがで
き、また、このとき電動機2を動作停止状態とするの
で、電動機用バッテリ20のエネルギー消費を削減する
ことができる。
【0102】尚、このクルーズ走行時において、発電機
3の発電を要する場合には、前記発電機クラッチ13が
接続状態とされているので、エンジン1の出力が発電機
3に伝達され、該発電機4の発電を支障なく行うことが
できる。また、発電機3の発電を要しない場合には、発
電機クラッチ13が遮断状態とされるので、エンジン1
の負荷が軽減され、その燃料消費を軽減することができ
る。
【0103】以上説明したように、本実施形態のハイブ
リッド車両では、車両の走行状態や電動機用バッテリ2
0の充電状態、補機類用バッテリ23のエネルギー消費
状態に応じてエンジンクラッチ5や電動機クラッチ1
2、発電機クラッチ13の接続/遮断を制御し、また、
これらの接続/遮断に併せてエンジン1や電動機2、発
電機3等の運転状態を制御するようにしたことで、エン
ジン1の燃料消費を低減したり、電動機用バッテリ20
の過剰なエネルギー消費を抑えてその劣化の防止を図っ
たりする上で的確な車両の運転を行うことができる。
【0104】特に、本発明を適用している本実施形態の
ハイブリッド車両では、補機類用バッテリ23のエネル
ギー消費量やエネルギー貯蔵量に応じて発電機3の発電
を行うか否かを決定し、必要に応じて発電機3の発電を
行い、しかも発電時には、補機類用バッテリ23のエネ
ルギー消費量やエネルギー貯蔵量に応じた発電出力で発
電機3の発電を行うようにしたので、補機類用バッテリ
23のエネルギー貯蔵量の過不足を生じることなく最適
なタイミングで補機類用バッテリ23の充電を行うこと
ができる。
【0105】そして、発電機3の発電を行わないときに
は、発電機クラッチ13を遮断状態とすることで、エン
ジン1の出力を使用した車両の走行時等に発電機3がエ
ンジン1の負荷とならないため、エンジンの燃料消費を
低減することができる。
【0106】また、電動機2の回生発電を行う車両の減
速時においても、発電機3の発電を要しないときには、
発電機クラッチ13が遮断状態されるので、車両の運動
エネルギーを発電機3の回転軸17及びロータ16の回
転駆動のために無駄に消費することなく電動機2に与え
ることができ、しかも本実施形態ではエンジンクラッチ
5の遮断状態とされて、車両の運動エネルギーがエンジ
ン1によって無駄に消耗されることがないので、電動機
3の回生発電を車両の運動エネルギーを有効に活用して
効率よく行うことができる。そして、車両の減速時にお
いて、発電機3の発電を要する場合にも、エンジンクラ
ッチ5は遮断状態されるので、車両の運動エネルギーに
よる発電機3の発電を電動機2の回生発電と併せて効率
よく行うことができる。
【0107】さらに、このような車両の減速時におい
て、発電機3の発電を要しない場合はもちろん、発電機
3の発電を要する場合でも車両の運動エネルギーによっ
て発電機3の発電を行うことができるときには、エンジ
ン1の給燃及び点火を停止するので、エンジン1の燃料
消費や補機類用バッテリ23のエネルギー消費を低減す
ることができる。
【0108】また、車両の駐停車時においても発電機3
の発電を要せず、エンジン1の出力を必要しない状態で
は、エンジン1の給燃及び点火を停止するので、エンジ
ン1の燃料消費や補機類用バッテリ23のエネルギー消
費を低減することができる。
【0109】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、補機類用エネルギー貯蔵手段に貯蔵する電気
エネルギーを発生する発電機をエンジンの出力軸に発電
機用クラッチ手段を介して接続して設け、補機類用電気
エネルギー貯蔵手段のエネルギー消費状態に応じて発電
機の発電を行うか否かを決定し、該発電機の発電を行わ
しめるときには、前記発電機用クラッチ手段を接続状態
に制御し、該発電機の発電を行わないときには、前記発
電機用クラッチ手段を切断状態に制御するようにしたこ
とによって、補機類用の電源エネルギーを貯蔵した補機
類用電気エネルギー貯蔵手段にエンジンの出力により駆
動される発電機の発電出力を的確に給電しつつ、エンジ
ンの燃料消費をできるだけ抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のハイブリッド車両の全体
的システム構成図。
【図2】図1の要部の構成を示す説明図。
【図3】図1のハイブリッド車両の作動を説明するため
のフローチャート。
【図4】図1のハイブリッド車両の作動を説明するため
のフローチャート。
【図5】図1のハイブリッド車両の作動を説明するため
のフローチャート。
【図6】図1のハイブリッド車両の作動を説明するため
のフローチャート。
【符号の説明】 1…エンジン、1a…クランク軸(エンジンの出力
軸)、2…電動機、3…発電機、4…変速装置(動力伝
達手段)、5…エンジンクラッチ(エンジン用クラッチ
手段)、13…発電機クラッチ(発電機用クラッチ手
段)、20…電動機用バッテリ(電動機用電気エネルギ
ー貯蔵手段)、23…補機類用バッテリ(補機類用電気
エネルギー貯蔵手段)、27…コントローラ(車両運転
制御手段)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02D 41/12 330 F02D 41/12 330J (72)発明者 高橋 秀幸 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 澤村 和同 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 若城 輝男 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両の走行駆動源としてのエンジンと、該
    エンジンの出力を該エンジンの出力軸から駆動輪に伝達
    する動力伝達手段と、該エンジンの出力を補助する補助
    出力を前記動力伝達手段を介して前記駆動輪に伝達可能
    に設けられた電動機と、該電動機の電源エネルギーを貯
    蔵する電動機用電気エネルギー貯蔵手段と、前記電動機
    よりも低電圧で動作する補機類と、該補機類の電源エネ
    ルギーを貯蔵する補機類用電気エネルギー貯蔵手段と、
    前記エンジンの出力により駆動されて発電し、その発電
    出力を前記補機類用電気エネルギー貯蔵手段に給電する
    ように設けられた発電機と、前記エンジン、電動機及び
    発電機による車両の運転制御を行う車両運転制御手段と
    を備えたハイブリッド車両において、 前記発電機が前記エンジンの出力軸に前記車両運転制御
    手段により制御可能な発電機用クラッチ手段を介して接
    続して設けられ、前記車両運転制御手段は、前記補機類
    用電気エネルギー貯蔵手段のエネルギー消費状態又はエ
    ネルギー貯蔵状態に応じて前記発電機の発電を行うか否
    かを決定し、該発電機の発電を行わしめるときには、前
    記発電機用クラッチ手段を接続状態に制御し、該発電機
    の発電を行わないときには、前記発電機用クラッチ手段
    を切断状態に制御することを特徴とするハイブリッド車
    両。
  2. 【請求項2】前記車両運転制御手段は、前記補機類用電
    気エネルギー貯蔵手段のエネルギー消費状態であるエネ
    ルギー消費量が所定量以上であるとき、前記発電機用ク
    ラッチ手段を接続状態に制御しつつ前記発電機の発電を
    行わしめるように該発電機を制御し、前記補機類用電気
    エネルギー貯蔵手段のエネルギー消費量が前記所定量に
    満たないときには、前記発電機を動作停止状態としつ
    つ、前記発電機用クラッチ手段を遮断状態に制御するこ
    とを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両。
  3. 【請求項3】前記車両運転制御手段は、前記補機類用電
    気エネルギー貯蔵手段のエネルギー貯蔵状態であるエネ
    ルギー貯蔵量が所定量以下であるとき、前記発電機用ク
    ラッチ手段を接続状態に制御しつつ前記発電機の発電を
    行わしめるように該発電機を制御し、前記補機類用電気
    エネルギー貯蔵手段のエネルギー貯蔵量が前記所定量を
    超えているときには、前記発電機を動作停止状態としつ
    つ、前記発電機用クラッチ手段を遮断状態に制御するこ
    とを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両。
  4. 【請求項4】前記車両運転制御手段は、前記発電機の発
    電を行わしめるとき、前記補機類用電気エネルギー貯蔵
    手段のエネルギー消費量に応じて前記発電機の発電出力
    を決定し、その決定した発電出力に従って該発電機を制
    御することを特徴とする請求項2記載のハイブリッド車
    両。
  5. 【請求項5】前記車両運転制御手段は、前記発電機の発
    電を行わしめるとき、前記補機類用電気エネルギー貯蔵
    手段のエネルギー貯蔵量に応じて前記発電機の発電出力
    を決定し、その決定した発電出力に従って該発電機を制
    御することを特徴とする請求項3記載のハイブリッド車
    両。
  6. 【請求項6】前記車両運転制御手段は、前記車両の駐停
    車時に前記発電機の発電を行わないことを決定したとき
    には、前記エンジンを動作停止状態とし、前記車両の駐
    停車時に前記発電機の発電を行うことを決定したときに
    は、前記エンジンをアイドリング状態に制御することを
    特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のハイ
    ブリッド車両。
  7. 【請求項7】前記車両運転制御手段は、前記車両の駐停
    車時に前記エンジンをアイドリング状態に制御するとき
    には、該エンジンの出力軸に生じるトルク変動を抑制す
    るトルクを前記電動機から該エンジンの出力軸に付与さ
    せるように該電動機を制御することを特徴とする請求項
    6記載のハイブリッド車両。
  8. 【請求項8】前記発電機は、前記車両の減速時に、前記
    発電機用クラッチ手段の接続状態において前記駆動輪か
    ら前記動力伝達手段を介して前記エンジンの出力軸側に
    伝達される車両の運動エネルギーにより駆動可能に設け
    られ、前記車両運転制御手段は、前記車両の減速時に前
    記エンジンへの燃料供給及び点火を停止せしめることを
    特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のハイ
    ブリッド車両。
  9. 【請求項9】前記車両運転制御手段は、前記車両の減速
    時に前記発電機の発電を行うことを決定した状態で該車
    両の速度が所定車速以下に低下したとき、前記エンジン
    への燃料供給及び点火を再開させて、前記発電機を駆動
    する出力を該エンジンに生成せしめることを特徴とする
    請求項8記載のハイブリッド車両。
  10. 【請求項10】前記エンジンは、前記車両運転制御手段
    により制御可能なエンジン用クラッチ手段を介して前記
    動力伝達手段に接続して設けられると共に、前記発電機
    は前記エンジン用クラッチ手段の出力側に前記発電機用
    クラッチ手段を介して接続して設けられ、前記車両運転
    制御手段は、前記車両の減速時に前記エンジン用クラッ
    チ手段を遮断状態に制御することを特徴とする請求項8
    記載のハイブリッド車両。
  11. 【請求項11】前記エンジンは、前記車両運転制御手段
    により制御可能なエンジン用クラッチ手段を介して前記
    動力伝達手段に接続して設けられると共に、前記発電機
    は前記エンジン用クラッチ手段の出力側に前記発電機用
    クラッチ手段を介して接続して設けられ、前記車両運転
    制御手段は、前記車両の減速時に前記車両の速度が前記
    所定車速よりも高いときには、前記エンジン用クラッチ
    手段を遮断状態に制御し、該車両の速度が前記所定車速
    以下に低下したときには、前記エンジン用クラッチ手段
    を接続状態に制御することを特徴とする請求項9記載の
    ハイブリッド車両。
  12. 【請求項12】前記車両運転制御手段は、前記車両の減
    速時に前記駆動輪から前記動力伝達機構を介して前記電
    動機に伝達される前記車両の運動エネルギーにより該電
    動機の回生発電を行わしめるように該電動機を制御する
    ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記
    載のハイブリッド車両。
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