JP3669666B2 - クーラーボックス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚等を収納し保冷するクーラーボックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のクーラーボックスは、箱形の本体部と、本体部上部に開閉可能に設けられた蓋部とを有している。本体部は、例えば、発砲ポリウレタン製断熱素材を含むポリプロピレンで形成され、側壁面下部に貫通孔を有している。また、蓋部は、本体部同様に発砲ポリウレタン製断熱材を含むポリプロピレン製部材で形成されている。そして、本体部の貫通孔には、水抜部が設けられており、この水抜部は、貫通孔に貫通されて固定され内周面に雌ネジ部が形成された筒体と、筒体の雌ネジ部に螺合可能な栓部材とを有している。
【0003】
このクーラーボックスは、氷と共に魚等を入れて使用される。この際、本体部及び蓋部が有する断熱効果により、内部の温度を低く保つことができ、内部に収納した魚等が保冷される。また、本体内に収納した氷が溶けてできた水は、水抜部から排出可能になっている。
【0004】
この水抜部は、栓部材を筒体にネジ込んで筒体を閉塞させるものである。また、この栓部材にはT字型に形成され湾曲可能な脱落防止部材が連結されている。そして、脱落防止部材は筒体内を通ってT字部分が本体部に引っかけられている。
【0005】
このクーラーボックスでは、本体内に溜まった水を抜き取る際には、栓部材を回転させてはずして、筒体から水を外部に放出する。この際、脱落防止部材が筒体から取り外した栓部材が脱落して紛失してしまうのを防止する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のクーラーボックスでは、栓部材を筒体から取り外して排水する際、栓部材は脱落防止部材により筒体の排水溝からぶら下がった状態になる。このため、排水が栓部材にかかり、栓部材が汚れてしまう場合がある。また、目的の場所に排水を導けない場合がある。さらに、この栓部材はユーザが手で回して筒体に取り付けたり取り外したりするものであり、栓部材に排水がかかって汚れてしまうと、ユーザの手も汚れてしまう。特に、魚とともにクーラー本体部に入れた氷が溶けだした水は魚臭が激しい。
【0007】
本発明の課題は、手を汚すことなく容易に排水可能なクーラーボックスを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明1にかかるクーラーボックスは、保冷のためのクーラーボックスであって、側壁下部に設けられた貫通孔を有する本体部と、貫通孔に配置され、貫通孔を塞いで本体部内に溜まった水等の流出を抑える閉塞姿勢と、上方に回動して本体部内に溜まった水等の流出を可能にする開放姿勢との二つの姿勢をとり得る水抜部とを備えている。また、水抜部は、貫通孔に挿通された筒体と上方に回動可能でかつ筒体にロック可能な栓部とを有している。
【0009】
この場合には、通常の使用時では、水抜部が貫通孔を塞いた塞閉姿勢をとり、クーラーボックス本体内の水の流出を抑えている。そして、排水時には、水抜部が閉塞姿勢から上方に回動し、貫通孔から排水可能な開放姿勢をとる。排水時に水抜部が、上方に回動するので、貫通孔からの排水が水抜部にひっかかってしまうことなく水抜部は汚れない。
【0010】
また、通常の使用時には、栓部が貫通孔に挿通された筒体を閉塞した姿勢をとるとともに、栓部は筒体にロックされる。この結果、例えば、運搬時などにおいて、栓部が誤って開放姿勢になり、本体部内の水が流出してしまうのを防止できる。また、排水時には、栓部が閉塞姿勢から上方に回動して開放姿勢をとり、栓部に排水がかかってしまうのを防止する。
【0011】
発明にかかるクーラーボックスは、発明1のクーラーボックスであって、水抜部は下端が下方に伸びた板状部材をさらに有している。
この場合には、排水時において、水抜部の板状部材が排水の上方に位置して、排水が上方に跳ね上がるのを抑える。
【0012】
発明にかかるクーラーボックスは、発明1または発明2のクーラーボックスであって、水抜部を上方に回動させる方向に付勢する付勢手段をさらに備える。
この場合には、水抜部を筒体から取り外した場合、栓材が自動的に上方に回動し、手を汚すことなく排水作業がより容易になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に示すように、クーラーボックス1は、箱形の本体部2と、蝶番(図示せず)によって開閉可能なように本体部2の上部に設けられている蓋部3と、蓋部3を本体部2に密閉し固定するフック4と、本体部2に回動可能に装着されているハンドル5とを有している。
【0014】
ハンドル5は、本体部2の左側面2bと右側面2dにビス(図示せず)等を用いて固定され、本体部2の前側面2aから背側面2c方向に回動可能となっている。このハンドル5はユーザがクーラーボックスを持ち運ぶ場合に把持する部分である。
【0015】
本体部2は、内部に空間を有し魚等を保存するものであり、断熱効果を必要とするので、表面壁となる1対のポリプロピレン製の部材の間に発砲ポリウレタン製断熱材(図示せず)を内包する3層構造である。また、本体部2の側壁面下部には、貫通孔6が設けられおり、この貫通孔6には水抜部10が設けられている。
【0016】
図2に示すように、水抜部10は、本体部2の貫通孔6に挿通された筒体11と、筒体11に対して一操作で閉塞可能な栓部12と、クーラーボックス本体部2の貫通孔6付近の側面に固定された背板13と、背板13の上部に上端部が揺動可能に連結された支持部14とを有している。そして、栓部12はこの支持部14に回転可能に支持されており、支持部14とともに上方に揺動可能になっている。
【0017】
筒体11は、図2及び図3に示すように、内部に排水路100を有する筒状部材であり、本体部2の貫通孔6を貫通するようにはめ込まれている。筒体11は、軸方向中央付近からクーラーボックス内面側(図2の左側;以下、ボックス内方向という)にかけて外径がやや小径に形成されており、小径に形成された部分と他の部分との間に係止段11bが形成されている。また、筒体11のボックス内方向端部の外周面には雄ネジ部11aが形成されており、クーラーボックス外方側(図2の右側;以下、ボックス外方向という)端部付近には他の部分より径の大きいフランジ11cが形成されている。このフランジ11cには、図4に示すように、一対の切欠き11dが設けられている。
【0018】
なお、図4は、図3に示す筒体11をボックス内方向(図3の左方)から見た図である。さらに、筒体11の外周部の一部には、軸方向に所定の長さを有する1対の係止部11eが突出して形成されている。この係止部11eは、本体部2の貫通孔6に係止された係止用の切欠き(図示せず)及び背板13に形成された係止用の切欠き13b(図5を参照)に係止しており、これにより、筒体11の回止めを実現している。
【0019】
また、筒体11のフランジ11cにおけるボックス内方向の面には、切欠き11dから反時計回りに所定の角度で傾斜面11f(図4の斜線で示す部分)が形成されている。この傾斜面11fは、時計回りに徐々にその厚みが薄くなっている。
【0020】
この筒体11は、雄ネジ部11aがボックス内方向に位置するように雄ネジ部11a側から貫通孔6に差し込まれる。そして、雄ネジ部11aと螺合可能なナット15がクーラーボックス内部に配置され、これらを締め込めこんで、本体2の側壁2b及び背板13を挟むようにして固定されている。この際、ナット15とクーラーボックスの本体部2との間には、ゴム製のパッキン16が配置される。
【0021】
背板13は、図2及び図5に示すように、中央に孔41が形成された矩形の板状部材であって、上部の左右には一対の揺動支持部40が軸方向に突出して設けられている。孔41の周縁は孔41に沿って所定の深さに切り欠かれており、この切り欠かれた部分が筒体11の係止段11bと係止する係止部13aとなっている。また、孔41の内周面には、対向するように形成された1対の係止用の切欠き13bが形成されており、この切欠き13bに筒体11の係止部11eが係止している。揺動支持部40は、内支持部40aと外支持部40bとを有しており、それぞれシャフト20が貫通可能な軸穴40cが形成されている。この揺動支持部40は、後に詳しく説明する支持部14の上端部が揺動可能に連結される。そして、この背板13は、孔41に筒体11が挿通され係止部13aが筒体11の係止段11bに係止した状態で、クーラーボックス本体部2の側壁2bに固定されている。
【0022】
栓部12は、図2及び図7に示すように、筒体11のボックス外方向端部に係止可能な蓋付き円筒形部材である。なお、図7は栓部12をボックス内方向から見た図である。栓部12のボックス内方向端部には、中心方向に突出した一対の突出部60が設けられており、突出部60と軸方向において所定の間隔をあけたボックス外方向の内周面には複数の小突起部61が設けられている。ここでは、突出部60が筒体11のフランジ11cに係止し、パッキン17が筒体11の排水路100の開口部に密着することで、排水路100が閉じられる。また、小突起部61と栓部12のボックス外方向の内底面との間には、円盤状のゴム製パッキン17が配置されている。
【0023】
また、栓部12は、ボックス外方向底面に設けられボックス外方向に突出した複数の突起12aと、ボックス外方向底面の中央付近に設けられた貫通孔12bと、ボックス外方向底面に設けられ筒体11のボックス外方向端面と合致するようにボックス内方向に突出した環状の凸部12cとを有している。この凸部12cが栓部12を筒体11に固定した際に、パッキン17を筒体11のボックス外方向端面に押し付けて、密着性を向上させる。
【0024】
支持部14は、図2及び図6に示すように、矩形の板状の部材であって、中央部に孔51を有するとともに、上部の左右には1対の揺動支持部50が軸方向に沿ってボックス内方向に突出して設けられている。また、その下部は背板13の下端よりも下方に延びて設けられている。揺動支持部50は、一対の内支持部50aと、各内支持部50aの左右両側に所定の間隔を隔てて設けられた一対の外支持部50bとからなる。この揺動支持部50にはそれぞれシャフト20が貫通可能な軸穴50cが形成されており、各支持部50a,50bは背板13の各支持部40a,40bと交互になるように組み合わされて、シャフト20が貫通している。
【0025】
ここで、シャフト20と各揺動支持部40,50の孔40c,50cとの間には、隙間が空くように形成されており、支持部14及びこの支持部14に装着された栓部12とツマミ部19とが筒体11に対して軸方向に移動可能になっている。
【0026】
また、栓部12は支持部14の孔51に対して、所定の角度範囲で回転可能に装着されている。詳しくは、栓部12がボックス内方向から挿入された状態で支持部14の孔51に配置される。この栓部12の孔12bにはビス18が貫通してボックス外方向に突出している。そして、このビス18の先端部がツマミ部19のボックス内方向側の面の中央部に形成されたネジ穴19aに螺合し、栓部12とツマミ部19とが固定されている。従って、このツマミ部19の回転とともに、栓部12が支持部14に対して回転可能になっている。
【0027】
このように構成されたクーラーボックスでは、栓部12を筒体11に締め込んで排水路100を閉じる場合、図8に示すように、栓部12の突出部60を筒体11のフランジ11cの切欠部11dに合わせてボックス内方向に押し込んだ後、ツマミ部19を時計回り方向に回転させ、突出部60をフランジ11cに係止させる。このとき、突出部60はフランジ11cの傾斜面11f(図8に波線で示す領域)に沿って回転する。傾斜面11fは、時計回りに回転するに従って厚みが厚くなっており、回転に従って栓部12及びツマミ部19は支持部14とともにボックス内方向に移動する。これにより、パッキン17が栓部12の凸部12cにより筒体11の外側端面に圧接され、筒体11と栓部12との隙間からクーラーボックス本体2内の水が液漏れするのを抑えている。
【0028】
なお、前述のように、各揺動支持部40,50の孔40c,50cとシャフト20との間には隙間が設けられているので、栓部12,ツマミ部19及び支持部14は、栓部12の突出部60が筒体11のフランジ11cに係止した後も、筒体11に対して軸方向に移動可能である。
【0029】
また、栓部12を取り外して排水路100を開放する場合は、排水路100を閉じる場合と逆に、ツマミ部19を半時計回りに回転させて、突出部60をフランジ11cの切欠部11dへ移動させ、栓部12を筒体11から取り外す。
【0030】
排水時にクーラーボックス本体を排水路100側へ傾けると、栓部12及びツマミ部19は支持部材14とともに、図2の2点鎖線で示すように、上方に揺動する。この際、支持部14の下端は下方に長く延伸しているので、排水路100から流出する水等が跳ね上がるのを抑える。
【0031】
以上のように、このクーラーボックスでは、支持部14が取り外された栓部12を支持しつつ上方へ揺動させるので、取り外した排水が栓部12に直接かからず、手を汚すことなくクーラーボックス内に溜まった水を排水できる。また、取り外した栓部12を紛失してしまうこともない。
【0032】
また、栓部12は筒体11にロック可能であり、運搬時に誤ってはずれてしまうこともない。さらに、支持部14の下端が下方に延伸しているので、排水が跳ね上がって栓部12が汚れてしまうのも防止できる。
【0033】
[他の実施形態]
(a)背板13と支持部材14との間に支持部材14を上方に回動させる方向に付勢するバネ等の付勢手段を設けてもよい。
【0034】
この付勢手段を設けることで、栓部12を筒体11から取り外した場合、栓材12が自動的に上方に回動し、手を汚すことなく排水作業がより容易になる。
【0035】
【発明の効果】
本発明にかかるクーラーボックスによれば、取り外した栓部が上方に回動するので、栓部に排水がかかることなく、手を汚さずに排水作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を採用したクーラーボックスの全体図。
【図2】図1の水抜部10付近の拡大断面図。
【図3】筒体11の側面図。
【図4】筒体11の正面図。
【図5】背板13の正面図。
【図6】支持部14の正面図。
【図7】栓部12の正面図。
【図8】筒体11の正面図における、突出部60の移動を示した図。
【符号の説明】
2 本体部
10 水抜部
11 筒体
12 栓部
13 背板
14 支持部
19 ツマミ部

Claims (3)

  1. 保冷のためのクーラーボックスであって、
    側壁下部に設けられた貫通孔を有する本体部と、
    前記貫通孔に配置され、前記貫通孔を塞いで前記本体部内に溜まった水等の流出を抑える閉塞姿勢と、上方に回動して前記本体部内に溜まった水等の流出を可能にする開放姿勢との二つの姿勢をとり得る水抜部と、
    を備え、
    前記水抜部は、前記貫通孔に挿通された筒体と上方に回動可能でかつ前記筒体にロック可能な栓部とを有している、
    クーラーボックス。
  2. 前記水抜部は下端が下方に伸びた板状部材をさらに有している、
    請求項1に記載のクーラーボックス。
  3. 前記水抜部を上方に回動させる方向に付勢する付勢手段をさらに備える、
    請求項1または2に記載のクーラーボックス。
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