JP3669226B2 - 内燃機関のロール振動低減装置 - Google Patents

内燃機関のロール振動低減装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用エンジン等の内燃機関において、燃焼圧力変動等に起因して生じる内燃機関のロール振動を低減するためのロール振動低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の内燃機関のロール振動低減装置として、例えば特開平6−33990号公報のものが知られている。これはクランクシャフトおよびフライホイールを主体とする主フライホイールに対し、これと逆方向に回転駆動される副フライホイール系を設け、これらの2つのフライホイール系の軸受部分に作用する反力により発生するロールモーメントを利用して、内燃機関のロール振動を打ち消すものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の構成では、エンジンロール振動を完全に打ち消すための条件は、次式(1)のようになる。
【0004】
【数1】
1=ρI2 … (1)
但し、I1は主フライホイール系の慣性モーメント、I2は副フライホイール系の慣性モーメント、ρは副フライホイール系の増速比、である。
【0005】
この条件の近傍では大きなロール振動低減効果が得られる。しかし、主フライホイール系は元々大きな慣性モーメントを持っているため、これを完全に打ち消すためには、上記(1)式から明らかなように、副フライホイール系の慣性モーメントを十分大きくするか、あるいはその増速比ρを大きく確保する必要がある。しかし、副フライホイール系の慣性モーメントを大きくするためには、大型の副フライホイールが必要であり、これに伴って機関全体の重量増を招き、また増速比を高くすると、副フライホイール系が高速回転するため、その軸受部の耐久性の低下を招く。これらの種々の要因により、現実的には、上記の装置でもってエンジンロール振動を完全に打ち消すことはできず、その効果は限られたものとなる。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ロール振動低減を必要とする運転条件においては、より大きな効果を得られるようにするとともに、他の運転条件での好ましくない振動の悪化を最小限に抑制するようにした内燃機関のロール振動低減装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、内燃機関のクランクシャフトと一体に回転する主フライホイール系と、この主フライホイール系とほぼ平行に回転自在に設けられた副フライホイール系と、上記クランクシャフトの回転駆動力を上記副フライホイール系に伝達して該副フライホイール系を回転駆動する駆動力伝達機構と、を備え、上記副フライホイール系の回転によりクランクシャフトの回転に伴う内燃機関のロール振動を低減するようにした内燃機関のロール振動低減装置において、
上記駆動力伝達機構における動力伝達系の一部にばね要素を介在させて、所定の回転数で共振する振動系を形成し、
上記駆動力伝達機構の減衰定数を、上記の共振回転数付近で大となるように、内燃機関の運転条件に応じて変化させる減衰定数可変手段を設けたことを特徴としている。
【0008】
このようにばね要素が介在した駆動力伝達機構を介して副フライホイール系を駆動すると、いわゆるバネ−マス系の振動系が構成され、特定の回転数で共振が発生するが、エンジンのロール振動に関しては、共振に伴う反共振が起こるため、この反共振の周波数においてロール振動が低く抑えられる。上記の共振が生じる周波数f0および反共振が生じる周波数fは、次の(2)式および(3)式で表される。
【0009】
【数2】
Figure 0003669226
【0010】
但し、I1は主フライホイール系の慣性モーメント、I2は副フライホイール系の慣性モーメント、ρは副フライホイール系の増速比(機関回転方向に対して順方向の場合はρ>0、逆方向の場合はρ<0)、kはばね要素のばね定数である。
【0011】
従って、上記の反共振周波数fが、ロール振動を低減すべき回転数領域、例えばアイドル回転で問題となる周波数となるように設定しておけば、アイドル時のロール振動が大幅に低減する。つまり、副フライホイール系の慣性モーメントや増速比が同一であっても、振動系の反共振作用によって、ロール振動の一層の低減が可能となる。
【0012】
例えば、ロール振動を低減すべきアイドル回転数が750rpmであるとすると、4気筒エンジンの場合、エンジン回転2次の周波数が問題となるので、25Hzに反共振がくるように設定しておけば良い。
【0013】
このとき、振動系に対する減衰作用が小さいほど、反共振でのロール振動低減効果は大きくなる。しかし、減衰作用が小さいと、共振領域で副フライホイール系の振動が過度に大きくなってしまう。本発明では、運転条件に応じて駆動力伝達機構の減衰定数を変化させることにより、共振時の振動の悪化を回避しつつ、ロール振動を低減すべき領域でのロール振動低減効果を高めることができる。
【0014】
請求項2の発明では、上記減衰定数可変手段は、2段階に減衰定数を切り換えるように構成されている。
【0015】
また請求項3の発明では、上記内燃機関の回転周波数を(気筒数/2)倍した周波数が、上記振動系の共振周波数と略一致する第1の運転条件における減衰定数が、上記内燃機関の回転周波数を(気筒数/2)倍した周波数が、上記振動系の共振に伴う内燃機関のロール振動における反共振周波数と略一致する第2の運転条件における減衰定数よりも大きくなるように、上記減衰定数可変手段が構成されている。
【0016】
例えば、ロール振動を低減すべきアイドル回転数が750rpmであるとすると、4気筒エンジンの場合、エンジン回転2次の周波数が問題となるので、25Hzに反共振がくるように設定されるが、このときの減衰定数は小さいことが望ましい。これに対し、例えば機関回転数が810rpmのときに共振が生じるが、このときの減衰定数は大きいことが望ましい。
【0017】
請求項4の発明では、上記ばね要素および上記減衰定数可変手段が、クランクシャフトに結合されたクランクプーリに設けられており、かつ、上記減衰定数可変手段は、減衰力を発生させるオリフィス部材を、クランクシャフトを経由して供給される油圧により移動させることにより、減衰定数を切り換えるようになっている。すなわち、オリフィス部材の移動により、流体が通流するオリフィスの通路面積が変化し、減衰定数が変化する。
【0018】
また、請求項5の発明では、上記減衰定数可変手段は、減衰力を生じる電磁粘性流体を用い、その印加電圧の制御により減衰定数を変化させることを特徴としている。このものでは、印加電圧によって、電磁粘性流体の粘性が制御され、減衰定数が変化する。
【0019】
請求項6の発明では、上記減衰定数可変手段は、減衰力を発生させるオリフィス部材を、機関の回転に伴う遠心力によって移動させることにより、減衰定数を切り換えるようになっている。つまり、機関の高速域では上記遠心力が大となり、低速域では小となるので、これを利用して減衰定数が機械的に切り換えられる。
【0020】
上記ばね要素は、ゴムのような弾性体を用いることもでき、あるいは請求項7のように、金属製のばねを用いることもできる。金属ばねの方が、ばね要素自体の減衰が小さいので、反共振を利用して、より大きなロール振動低減効果が得られる。
【0021】
請求項8の発明では、上記副フライホイール系が、上記主フライホイール系に対し逆方向に回転する。上記(3)式から明らかなように、逆方向に回転させると、共振周波数と反共振周波数とが離れたものとなり、その間隔が広くなるので、減衰定数を異ならせることが容易となり、かつ同方向に駆動する場合に比べて、ロール振動低減効果自体も大きくなる。
【0022】
また請求項9の発明は、上記減衰定数可変手段は、上記振動系が共振する回転域で減衰定数を大きくし、この回転域より低回転側および高回転側の領域でそれぞれ減衰定数を小さくすることを特徴としている。
【0023】
これにより、共振時の振動は確実に減衰され、かつその前後の回転数領域では、ロール振動の低減が図れる。
【0024】
【発明の効果】
この発明に係る内燃機関のロール振動低減装置によれば、副フライホイール系の大型化や増速比の高速化によらずに、振動系の反共振作用によって、ロール振動を一層効果的に低減することができ、特に、運転条件に応じて駆動力伝達機構の減衰定数を変化させることにより、共振時の振動の悪化を回避しつつ、ロール振動を低減すべき領域でのロール振動低減効果を高めることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
まず、本発明の第1実施例を図1〜図6に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本発明のロール振動低減装置を備えた自動車用の直列4気筒内燃機関の全体を示しており、内燃機関本体1には、図示せぬフライホイールを後端に備えたクランクシャフト2を主体とする主フライホイール系が設けられているとともに、クランクシャフト2によって駆動されるオルタネータ7等の補機を備えている。上記オルタネータ7は、図2にも示すように、円盤状の付加慣性質量体4を有し、この付加慣性質量4の慣性モーメントおよびオルタネータ7の慣性モーメントによって、ロール振動低減のための副フライホイール系が構成されている。上記オルタネータ7は、クランクシャフト2に結合されたクランクプーリ5と、オルタネータ7側のプーリ34と、両者間に巻き掛けられた補機駆動ベルト6と、を主体とする駆動力伝達機構を介して駆動される。
【0028】
図3、図4は、上記駆動力伝達機構の一部をなすクランクプーリ5の詳細を示している。このクランクプーリ5は、内燃機関本体1寄りに位置する大径な第1のプーリ8と、その外側に位置する小径な第2のプーリ14とを有する2段構成になっており、オルタネータ7を駆動する補機駆動ベルト6は、第1のプーリ8に掛かっている。この第1のプーリ8は、クランクシャフト2に直接固定された内周部9と、補機駆動ベルト6を受ける外周部10と、に二分割されており、上記外周部10は、内周部9に対しベアリング11を介して回転自在に支持されているとともに、ばね要素となるゴム層12によって内周部9と結合されている。さらに、外周部10と内周部9との間には、両者の回転方向の相対移動に対し減衰作用を与えるダンパ13が構成されている。
【0029】
また、他の補機を駆動する第2のプーリ14も、クランクシャフト2に固定された内周部15と外周部16とに二分割され、かつ両者間にゴム層17が設けられているが、この第2のプーリ14は、クランクシャフト2のねじり共振を抑えるための動吸振器として働くように、上記ゴム層17のばね定数や外周部16の慣性モーメントがチューニングされている。
【0030】
二つのプーリ8,14の内周部9,15は、ボルト18によって一体に結合されており、その接合面、特にダンパ13周辺の部分には、オイル漏れを防ぐためのシール材19が塗布されている。
【0031】
図5は、上記ダンパ13の詳細を示している。図示するように、ダンパ13は、内周部9に設けられた円弧状の溝部20内にオイル21を満たし、該溝部20の一端に、伸縮変形可能なベローズ22を設けるとともに、他端に、外周部10と結合されたピストン23を配置し、このピストン23が溝部20内を周方向に摺動する構成となっている。また、溝部20の中間部を横切るように、内周部9の半径方向に沿って進退可能なオリフィス部材25が設けられており、かつこのオリフィス部材25の先端部に、オリフィス24が形成されている。上記オリフィス部材25は、リターンスプリング31によって内周側つまり後退方向に付勢されている一方、油路27を介して供給される油圧により外周側つまり突出方向に付勢されるようになっている。上記の油圧は、図4に示すように、オイルポンプ26からクランクシャフト2内を経由して供給されるものであって、油圧を油路27側へ供給するかドレイン30側へ排出するかを切り換えるバルブ28が、コントローラ29からの信号により制御されている。
【0032】
油圧が供給されている状態では、図5(a)のようにオリフィス部材25先端部が溝部20内に突出し、溝部20をオリフィス24によって仕切るようになるので、内周部9と外周部10が相対的に回転してピストン23が溝部20内で摺動すると、オイル21がオリフィス24内を流れ、大きな減衰力が発生する。これに対し、バルブ28により油圧供給が停止されると、図5(b)のようにオリフィス部材25がリターンスプリング31のばね力によって後退し、溝部20におけるオイル21の流路が広くなるため、減衰定数は小さくなる。
【0033】
上記のように、ばね要素を介して副フライホイール系を駆動した場合、いわゆるバネ−マス系の振動系が構成され、所定周波数で共振が発生するが、内燃機関のロール振動に関しては、この共振に伴う反共振が起こり、この反共振の周波数でロール振動が低く抑えられる。
【0034】
この共振が生じる周波数f0および反共振が生じる周波数fは、前述した(2)式および(3)式で表される。
【0035】
この反共振周波数fが、アイドル回転で問題となる周波数となるように設定しておくことにより、アイドル振動を大幅に低減することができる。アイドル回転数が750rpmであった場合には、4気筒内燃機関の場合、回転2次の周波数が問題となるので、25Hzに反共振がくるように設定しておけば良い。
【0036】
図6は、この実施例におけるロール振動の特性を示している。この図6に示すように、ダンパ13による減衰が小さいと、750rpm付近の反共振での振動低減効果は大きくなるが、機関回転2次周波数が共振周波数となる810rpm付近では、共振による振動悪化が顕著となる。従って、本実施例では、この共振周波数となる810rpmおよびその近傍の振動が悪化する領域において、オリフィス部材25を図5(a)の位置に切り換え、減衰定数を大とする。これにより、図6に実線で示すように、共振による振動の悪化が抑制される。より具体的には、減衰定数が小のときの特性と減衰定数が大のときの特性とが交差する点、例えば780rpm付近で減衰定数を切り換えるようにしている。また共振点を越えた高速域では、減衰の大小は振動に対してあまり影響を与えないので、油圧供給による仕事を小さくするため、油圧供給を停止し、減衰を小さくする。つまり、図6に示すように、共振周波数を含む810rpm付近の領域で減衰定数が大となり、これよりも低速側および高速側の双方で、減衰定数が小となる。
【0037】
このような減衰定数の可変制御と組み合わせることにより、最終的に、図6の実線で示すようなロール振動低減特性が得られる。同図には、参考例として、駆動力伝達機構にばね要素を具備しない場合の特性を併記してあり、両者の比較から明らかなように、ロール振動が問題となるアイドル回転数(750rpm)付近で、ロール振動を大幅に低減することができる。
【0038】
なお、車両走行時には約1000rpm以上の回転数を使用するので、通常は、上記の共振点付近の回転数での振動悪化が問題となることは少ないが、冷機時の始動後等にこのような回転数領域が使用されることもある。本発明では、このような場合でも、共振による振動の悪化を確実に回避できる。
【0039】
次に本発明の第2実施例を、図7〜図10に基づいて説明する。
【0040】
この第2実施例は、図8、9に示すように、クランクプーリ5の第1のプーリ9におけるばね要素を、ゴムではなく、金属製コイルばね32に変更したものである。このような金属製コイルばね32によれば、ゴムに比較して、ばね要素自身が持つ減衰が小さいので、ダンパ13と合わせた振動系全体の減衰をより小さくすることができる。
【0041】
そのため、図10の特性図に示すように、回転2次周波数が反共振周波数となるアイドル回転数(750rpm)付近において、ダンパ13を低減衰定数に切り換えることにより、より大きな振動低減効果が得られる。また、回転2次周波数が共振周波数となる810rpm付近では、ばね要素の減衰が減ったことにより共振による振動悪化が一層顕著となるので、ダンパ13のオリフィス24の径をそれだけ小さく設定してある。これにより、ダンパ13による減衰作用が大きくなり、振動の悪化を十分に抑えることができる。
【0042】
また、金属製コイルばね32を用いることにより、ゴムに比較して、より大きな振幅まで破断に耐えられるので、ばねをより低剛性化することができる。そのため、反共振周波数を同一の周波数に確保するものとすれば、副フライホイール系の慣性モーメントをより小さくすることが可能となる。従って、図7に示すように、オルタネータ7に付加慣性質量体を設ける必要が無くなり、オルタネータ7のローター部33が持つ慣性モーメントだけで、反共振周波数をアイドル回転数の回転2次周波数まで下げることが可能となる。
【0043】
次に第3実施例を図11〜図13に基づいて説明する。
【0044】
この第3実施例は、ばね要素ならびに減衰要素を、クランクプーリ5ではなく、オルタネータプーリ34側に設けたものである。
【0045】
図11および図12に示すように、オルタネータプーリ34は、回転軸35に直接固定された内周部36と、補機駆動ベルト6が掛かる外周部37と、に二分割されており、上記外周部37は、内周部36にベアリング38を介して回転自在に支持されているとともに、金属製コイルばね32およびダンパ39を介して内周部36に結合されている。このように、ばね要素ならびに減衰要素をオルタネータプーリ34上に設けた構成においても、オルタネータ7のローター部33(図7参照)および上記内周部36が副フライホイール系の慣性質量となり、上述した第1、第2実施例と同様の作用効果が得られる。
【0046】
また、本実施例では、上記ダンパ39における減衰定数の可変手段として、電磁粘性流体40が用いられている。すなわち、上記ダンパ39は、図13に示すように、前述したダンパ13と同様に、内周部36に設けられた円弧状の溝部20の一端に、伸縮変形可能なベローズ22を設けるとともに、他端に、外周部10と結合されたピストン23を配置し、このピストン23が溝部20内を周方向に摺動する構成となっているが、溝部20内には、通常のオイルに代えて、電圧により粘性が変化する電磁粘性流体40が封入されている。そして、溝部20内に、セラミック等の絶縁体41を介してプラスおよびマイナスの電極42,43が配置されている。コントローラ29により制御される電圧印加装置44によって、電極42,43間に電圧を印加すると、その電圧が高いほど粘性が高くなって、ダンパ39の減衰定数は大きくなる。
【0047】
従って、回転2次周波数が共振周波数となる810rpm付近では、電極42,43間に高い電圧を印加することにより減衰を大として、共振による振動の悪化を抑制することができ、また回転2次周波数が反共振周波数となるアイドル回転(750rpm)付近では、電圧印加を停止して減衰を小さくし、大きな振動低減効果を得ることができる。共振点を越えた高い回転数領域では、電力消費を抑えるため、電圧印加を停止する。これにより図10と同様の特性を得ることができる。
【0048】
また、本実施例では電極42,43にかける電圧を連続的に変化させることにより、減衰特性を連続的に変化させることができる。従って、減衰定数の切換時に徐々に減衰定数を変化させることにより、補機駆動ベルト6の急激な張力変化を回避でき、該ベルト6の過渡振動の発生を防止するととともに、該ベルト6の耐久性を向上させることができる。
【0049】
次に第4実施例を図14〜図16に基づいて説明する。
【0050】
この第4実施例は、減衰定数の可変手段を、外部からの制御ではなく、遠心力を利用して機械的に切り換えるようにしたものである。
【0051】
この実施例では、第3実施例と同様に、ばね要素および減衰要素がオルタネータプーリ34側に設けられており、内周部36と外周部37との間に、金属製コイルばね32およびダンパ45が設けられている。ダンパ45は、前述したダンパ13と同様に、内周部36に設けられた円弧状の溝部20内にオイル21を満たし、該溝部20の一端に、伸縮変形可能なベローズ22を設けるとともに、他端に、外周部37と結合されたピストン23を配置し、このピストン23が溝部20内を周方向に摺動する構成となっている。また、溝部20の中間部を横切るように、内周部36の半径方向に沿って進退可能なオリフィス部材46が設けられており、かつこのオリフィス部材46の先端部に、オリフィス24が形成されている。上記オリフィス部材46は、その下端47と内周部36の突起48との間に配設されたリターンスプリング49によって内周側つまり後退方向に常時付勢されている。
【0052】
ここで、オルタネータプーリ34が回転すると、オリフィス部材46には外周方向に向かって遠心力が発生し、かつこの遠心力は高回転であるほど大きくなる。そして、オリフィス部材46は、リターンスプリング49のばね力と遠心力とが釣り合う位置まで摺動する。従って、低回転時には、図16(a)のようにオリフィス部材46が内周側に後退しており、減衰定数は小さくなる。また、高回転時には、オリフィス部材46は、遠心力によって外周側に突出し、オイルがオリフィス24を通して移動するようになることから、減衰定数は大きくなる。
【0053】
減衰定数は、回転2次周波数が共振周波数となる810rpm付近では大きく、回転2次周波数が反共振周波数となるアイドル回転(750rpm)近傍では小さくなることが望ましいので、両者間の適宜な回転数でオリフィス部材46の位置が切り換わるように、リターンスプリング49のばね定数とオリフィス部材46の質量が設定されている。これにより、図10と同様に、アイドル回転数付近で大きな振動低減効果を得ながら、共振点付近での振動悪化を十分に抑えることができる。特に、この実施例では、減衰定数の可変制御のための制御手段が不要となるため、システムの簡略化が図れる。
【0054】
次に第5実施例を図17および図18に基づいて説明する。
【0055】
この第5実施例は、副フライホイール系となるオルタネータ7を、補機駆動ベルト6の背面で駆動することにより、クランクシャフト2に対し逆方向に回転させるようにしたものである。
【0056】
このように逆方向に回転駆動すれば、前述した(3)式から明らかなように、共振周波数f0と反共振周波数fとの間隔が広くなる。従って、減衰定数の切換に際して、回転数に対する切換点に多少の誤差があったとしても、反共振周波数となる回転数では小さな減衰定数を、共振周波数となる回転数では大きな減衰定数を、それぞれ確実に得ることができる。換言すれば、切換が実際に実行される回転数に、より大きな誤差を許容することができ、その設定がより容易になる。また、図18に示すように、クランクシャフト2と同方向に回転させる場合に比べて、反共振によるロール振動低減効果も一層大きくなる。なお、前述した第1〜第4実施例の構成のいずれも、この第5実施例のように逆方向駆動に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る自動車用内燃機関の正面図。
【図2】第1実施例のオルタネータの側面図。
【図3】図4のA−A線に沿った第1実施例のクランクプーリの断面図。
【図4】図3のB−B線に沿った第1実施例のクランクプーリの断面図。
【図5】(a),(b)は、第1実施例のダンパの詳細を示し、かつその切換状態を示す断面図。
【図6】第1実施例におけるロール振動の特性を示す特性図。
【図7】第2実施例のオルタネータの一部切欠断面図。
【図8】図9のA−A線に沿った第2実施例のクランクプーリの断面図。
【図9】図8のB−B線に沿った第2実施例のクランクプーリの断面図。
【図10】第2実施例におけるロール振動の特性を示す特性図。
【図11】図12のA−A線に沿った第3実施例のオルタネータプーリの断面図。
【図12】図11のB−B線に沿った第3実施例のオルタネータプーリの断面図。
【図13】第3実施例のダンパの詳細を示す拡大断面図。
【図14】図13のA−A線に沿った第4実施例のオルタネータプーリの断面図。
【図15】図14のB−B線に沿った第4実施例のオルタネータプーリの断面図。
【図16】(a),(b)は、第4実施例のダンパの詳細を示し、かつその切換状態を示す断面図。
【図17】第5実施例に係る自動車用内燃機関の正面図。
【図18】第5実施例におけるロール振動の特性を示す特性図。
【符号の説明】
5…クランクプーリ
7…オルタネータ
8…第1のプーリ
9…内周部
10…外周部
12…ゴム層
13…ダンパ
25…オリフィス部材
32…金属製コイルばね
34…オルタネータプーリ
39…ダンパ
40…電磁粘性流体
45…ダンパ
46…オリフィス部材

Claims (9)

  1. 内燃機関のクランクシャフトと一体に回転する主フライホイール系と、この主フライホイール系とほぼ平行に回転自在に設けられた副フライホイール系と、上記クランクシャフトの回転駆動力を上記副フライホイール系に伝達して該副フライホイール系を回転駆動する駆動力伝達機構と、を備え、上記副フライホイール系の回転によりクランクシャフトの回転に伴う内燃機関のロール振動を低減するようにした内燃機関のロール振動低減装置において、
    上記駆動力伝達機構における動力伝達系の一部にばね要素を介在させて、所定の回転数で共振する振動系を形成し、
    上記駆動力伝達機構の減衰定数を、上記の共振回転数付近で大となるように、内燃機関の運転条件に応じて変化させる減衰定数可変手段を設けたことを特徴とする内燃機関のロール振動低減装置。
  2. 上記減衰定数可変手段は、2段階に減衰定数を切り換えるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の内燃機関のロール振動低減装置。
  3. 上記内燃機関の回転周波数を(気筒数/2)倍した周波数が、上記振動系の共振周波数と略一致する第1の運転条件における減衰定数が、上記内燃機関の回転周波数を(気筒数/2)倍した周波数が、上記振動系の共振に伴う内燃機関のロール振動における反共振周波数と略一致する第2の運転条件における減衰定数よりも大きくなるように、上記減衰定数可変手段が構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関のロール振動低減装置。
  4. 上記ばね要素および上記減衰定数可変手段が、クランクシャフトに結合されたクランクプーリに設けられており、かつ、上記減衰定数可変手段は、減衰力を発生させるオリフィス部材を、クランクシャフトを経由して供給される油圧により移動させることにより、減衰定数を切り換えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関のロール振動低減装置。
  5. 上記減衰定数可変手段は、減衰力を生じる電磁粘性流体を用い、その印加電圧の制御により減衰定数を変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関のロール振動低減装置。
  6. 上記減衰定数可変手段は、減衰力を発生させるオリフィス部材を、機関の回転に伴う遠心力によって移動させることにより、減衰定数を切り換えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関のロール振動低減装置。
  7. 上記ばね要素は、金属製のばねであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関のロール振動低減装置。
  8. 上記副フライホイール系が、上記主フライホイール系に対し逆方向に回転することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関のロール振動低減装置。
  9. 上記減衰定数可変手段は、上記振動系が共振する回転域で減衰定数を大きくし、この回転域より低回転側および高回転側の領域でそれぞれ減衰定数を小さくすることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関のロール振動低減装置。
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