JP4712597B2 - 発電機兼用電動機および液圧式テンショナを備えるエンジン - Google Patents
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Description
請求項2記載の発明は、請求項1記載のエンジンにおいて、前記テンショナには、前記第1作動部材および前記第2作動部材の相対移動により動作液が流通する調整通路が設けられ、前記調整手段は、前記張力緩和動作時に前記調整通路を流通する前記動作液の流量を制限するオリフィスから構成されるものである。
請求項3記載の発明は、請求項1記載のエンジンにおいて、前記テンショナには、前記第1作動部材および前記第2作動部材の相対移動により作動液が流通する調整通路が設けられ、前記調整手段は、前記張力緩和動作時に前記調整通路を流通する前記動作液の流量を制限するオリフィスと、前記調整通路の通路面積を増減する弁体を備える弁機構とから構成され、前記弁機構は、前記逆回転時張力付与動作時の前記テンショナのストローク量が所定ストローク量以下のとき、前記調整通路での前記作動液の流量が前記オリフィスにより規定される非絞り位置に前記弁体を位置させることにより前記逆回転時張力付与動作の終了直後から前記張力緩和動作を可能とし、前記ストローク量が前記所定ストローク量を越えるとき、前記調整通路での前記作動液の流量が前記弁体により規定される絞り位置に所定時間だけ前記弁体を位置させて、前記逆回転時張力付与動作の終了直後からの前記オリフィスによる前記張力緩和動作を前記所定時間遅延させるものである。
請求項4記載の発明は、請求項3記載のエンジンにおいて、前記弁体は前記張力付与動作時に移動する前記第1作動部材に移動可能に設けられ、前記弁機構は、移動する前記第1作動部材に追従可能に前記弁体を保持する保持手段と、前記張力付与動作時の前記第1作動部材の移動により生じる弾性変形による弾発力で前記弁体を移動させる弾発部材とを備え、前記弾発部材は、前記第1作動部材による前記ストローク量が前記小ストローク量であるとき、前記保持手段により保持される前記弁体を、前記非絞り位置に位置させるように弾性変形し、前記第1作動部材による前記ストローク量が前記大ストローク量であるとき、前記保持手段に保持される前記弁体を前記絞り位置に位置させるように弾性変形した後、前記所定時間経過後に弾発力により前記非絞り位置に前記弁体を移動させるものである。
請求項5記載の発明は、請求項4記載のエンジンにおいて、前記保持手段は、前記張力付与動作時に移動する前記第1作動部材に追従して前記弁体が移動するように前記弁体に設けられて前記第1作動部材との間で摩擦が発生する摩擦部材であるものである。
請求項2記載の事項によれば、逆回転時張力付与動作直後からの張力緩和動作がオリフィスにより行われることから、該張力緩和動作を行うための制御弁や該制御弁を駆動するアクチュエータが不要になるので、テンショナのコストが削減され、かつ小型化される。
請求項3記載の事項によれば、電動機により出力軸を回転駆動するときの動力伝達効率を格別に高める必要がないために電動機の逆トルクを小さくすることなどにより、電動機の逆回転時の張力減少が比較的小さく、したがって逆回転時張力付与動作時の第1作動部材のストローク量が小ストローク量である場合、逆回転時張力付与動作終了直後から、張力緩和動作が行われて、無端伝動帯に過大な張力が発生することが防止される。一方、電動機により出力軸を回転駆動するときの動力伝達効率を一層高めるために電動機の逆トルクを大きくすることなどにより、電動機の逆回転時の張力減少が比較的大きく、したがって逆回転時張力付与動作時の第1作動部材のストローク量が大ストローク量である場合、テンショナは、逆回転時張力付与動作終了直後からの張力緩和動作が所定時間だけ遅延されて、電動機が正転方向に回転するときにテンショナの張力が大きな状態に所定時間維持されるので、電動機により出力軸を回転駆動するときの動力伝達効率が高められる。そして、比較的短時間である所定時間経過後は、オリフィスによる張力緩和動作が行われため、過大な張力の発生が抑制される。
請求項4記載の事項によれば、逆回転時張力付与動作の終了後の張力緩和動作の特性を規定する調整通路の通路面積を制御する弁体の移動および所定時間の設定が、逆回転時張力付与動作時の第1作動部材の移動を利用した保持手段および弾発部材により行われるので、逆回転時張力付与動作終了直後の張力緩和動作の制御がテンショナの張力付与動作を利用して動作する弁機構により行われて、ソレノイドなどのアクチュエータが不要になり、テンショナのコストが削減される。
請求項5記載の事項によれば、保持手段が第1作動部材との間で摩擦が発生する摩擦部材、例えばゴム材により構成されるので、テンショナのコスト削減に寄与する。
図1〜図3は本発明の第1実施形態を説明するための図である。
図1を参照すると、本発明が適用されたエンジン1は、車両に搭載される水冷式の直列多気筒4ストローク内燃機関であり、燃焼室で発生する燃焼ガスの圧力により駆動されるピストンが往復動可能に嵌合する複数のシリンダが一体成形されたシリンダブロックを含むエンジン本体2と、前記ピストンにより回転駆動される出力軸としてのクランク軸3と、該クランク軸3により正転方向に回転駆動されて発電すると共にクランク軸3を正転方向に回転駆動可能な発電機兼用電動機4と、1以上の補機5と、クランク軸3の動力により電動機4および補機5を駆動すべくクランク軸3と電動機4と補機5との間で動力を伝達する巻掛け伝動機構10と、テンショナTとを備える。電動機4および補機5は、エンジン本体2に取り付けられた補機ブラケット6に取り付けられる。補機5は、冷却水を圧送する水ポンプ5aおよび空調用コンプレッサ5bを含む。
また、電子制御ユニット7は、エンジン1の始動時や車両の停車時のアイドル停止状態からの再始動時、またはエンジン1の加速時などに、エンジン運転状態検出手段8からの信号に基づいて、電動機4がクランク軸3を回転駆動する特定エンジン運転条件が成立したと判断すると、電動機4の動力をクランク軸3に伝達する際の動力伝達効率を高めるために、テンショナTに張力付与動作を行わせるべく、一時的に電動機4を逆転方向に回転させる。
図2を併せて参照すると、ベルト16の張力を調整するために伸縮する液圧式テンショナとしての油圧式テンショナTは、伸縮可能な本体20を構成すると共に伸縮方向に平行に相対移動可能な1対のケース部材としての基体21および駆動体22と、基体21と駆動体22との間に配置されて本体20を伸長方向に付勢する弾発力を発生する弾発部材としてのテンショナバネ24と、駆動体22に固定されて設けられて駆動体22と一体に移動する第1作動部材としてのシリンダ25と、基体21に固定されて一体に設けられる第2作動部材としてのピストン26と、ピストン26に設けられるオリフィス27と、駆動体22に設けられるチェック弁28と、を備える。
基体21は、ホルダ9に枢着される連結部21aにおいてホルダ9および補機ブラケット6を介して固定側部材としてのエンジン本体2に連結され、駆動体22は、レバー19に支点部19cを挟んでテンショナプーリ18とは反対側で枢着される連結部22aにおいてレバー19を介してテンショナプーリ18に連結される。また、基体21と駆動体22とは、伸縮方向での両者の相対移動を可能とする連結構造としての可撓性部材であるゴム製の蛇腹23により連結される。なお、該連結構造は基体21と駆動体22との嵌合構造であってもよい。
貯留室30と圧力室31とを連通させる連通路32に配置されるチェック弁28は、本体20の伸長時であるテンショナTの張力付与動作時に、シリンダ25およびピストン26が伸長方向(すなわちテンショナTの伸張方向)に相対移動するときに開弁して、容積が増加する圧力室31に連通路32を通じて貯留室30からの作動油Hが流入することを許容する一方で、本体20の収縮時であるテンショナTの張力緩和動作時に、シリンダ25およびピストン26が収縮方向(すなわちテンショナTの収縮方向)に相対移動するときに閉弁して、容積が減少する圧力室31から連通路32を通じて貯留室30に作動油Hが流出することを阻止する。
テンショナTは、張力緩和動作時および張力付与動作時に相対移動可能なシリンダ25およびピストン26と、電動機4が逆転方向に回転するときの逆回転時張力付与動作の終了直後からベルト16の張力に応じた張力緩和動作を可能とするオリフィス27とを備えることにより、電動機4の逆回転によりベルト16の張力が減少して、テンショナTが逆回転時張力付与動作を行うため、その後に電動機4が正回転してクランク軸3を回転駆動する際には、該逆回転時張力付与動作が行われない場合に比べてベルト16の張力が増加するので、巻掛け伝動機構10の動力伝達効率が高まる。そして、テンショナTは、逆回転時張力付与動作の終了直後からベルト16の張力に応じた張力緩和動作を行うことができるので、電動機4の正回転により張力が増加したときに、この張力緩和動作によりベルト16に過大な張力が発生することが防止される。
ここで、ストッパ26bおよび受け部26cは収容室44の底壁である小径部26aと共に収容室44を画成する側壁であり、小径部26aの外周には絞り通路27aが開口する。そして、弁機構40は、弁体41、摩擦部材42および弁バネ43が収容室44に収容された状態でピストン26に組み付けられている。
このため、シリンダ25が伸長方向に移動すると、前記静摩擦力により、弁体41は、移動するシリンダ25に一旦追従して、シリンダ25と一体に移動し、その慣性で弁バネ43の弾発力が前記静摩擦力を越えて大きくなる位置まで移動し、その後に弁バネ43の弾発力によりシリンダ25に対してシリンダ25の収縮方向に急速に移動してストッパ26bに当接する前記初期位置を占める。
それゆえ、テンショナTが張力緩和動作を行うか否かと張力緩和動作時の特性とを決定する最小リーク通路面積は、弁体41が非絞り位置を占めるときはオリフィス27により規定される絞り通路面積であり、弁体41が絞り位置を占めるときは弁体41により規定される弁通路面積である。
ここで、前記所定ストローク量や所定時間tは、弁体41の形状、弁バネ43のバネ定数および初期弾発力、前記摩擦係数などを変更することにより調整できる。
弁体41は、シリンダ25およびピストン26が相対移動しないとき、弁バネ43の弾発力によりストッパ26bに当接していて、非絞り位置を占める(図5(A)参照)。
この状態から、テンショナTが張力緩和動作を行うとき、シリンダ25およびピストン26は第1実施形態と同様の動作を行う一方で、張力付与動作を行うときは、弁体41の前記ストローク量に応じて次にように動作する。
一方、電動機4による逆トルクがベルト16に作用するときなど、ベルト16の張力が急激に減少して前記ストローク量が大ストローク量となるとき、弁体41は絞り位置を一時的に占める。このため、大ストローク量での張力付与動作によるテンショナTの伸張が終了した直後の所定時間tの間、弁体41はリーク通路33を閉塞する絞り位置を占める。そして、この張力付与動作の終了直後にベルト16の張力が増加した場合、テンショナTは、所定時間tの間、実質的に張力緩和動作を行わないロック状態になる。所定時間tが経過すると、弁体41は弁バネ43に付勢されて急速に前記初期位置に移動して、オリフィス27による特性で張力緩和動作が行われる(図5(C)参照)。
それゆえ、弁体41が絞り位置を占めるとき、リーク通路33での作動油Hの流量がオリフィス27により決定される場合に比べて減少するため、テンショナTはより大きな減衰力でベルト16の振れを規制し、テンショナTの張力緩和機能が減少して、ベルト16の張力がより大きい状態に維持される。
なお、電動機4の逆回転時のようにベルト16の張力が短時間の間に急減する特別な場合を除いて、通常のベルト16の張力変動では、弁体41が絞り位置を占めることは殆どない。
第1実施形態と同様に、エンジン1の始動時や加速時などの前記特定エンジン運転条件が成立したとき、電動機4がクランク軸3を回転駆動する前に、電子制御ユニット7(図1参照)からの指令により電動機4は逆回転する。この電動機4の逆回転時に発生する第1実施形態のときと同様の逆トルクにより、ベルト16の張力が一時的に減少するので、テンショナTは逆転時張力付与動作を行い、シリンダ25は、ベルト16の張力の減少量に応じたストローク量SR(図6参照)だけ、逆転開始直前の状態に比べて伸張する。このとき、ストローク量SRが、前記初期位置からの前記ストローク量に換算したとき前記所定ストローク量(図6において所定ストローク量SR0で示される。)以下の小ストローク量であると、逆回転時張力付与動作が終了した時点で、弁体41は非絞り位置にあるので、テンショナTにおいては圧力室31がリーク通路33を通じて貯留室30と連通状態にある。このため、例えば図6に示されるように、電動機4の逆回転終了直後、すなわち逆転時張力付与動作終了直後に、電動機4が正回転してクランク軸3を回転駆動してベルト16の張力が増加すると、テンショナTは、ベルト16の張力の増加に対応して、図6に二点鎖線で示されるように、オリフィス27により決まる特性で張力緩和動作を行う。
シリンダ25が基体21に設けられ、ピストン26が駆動体22に設けられてもよい。
無端伝動帯は無端のチェーンであってもよい。
第2実施形態において、弁体41が絞り位置を占めるとき、弁体41はリーク通路33を閉塞することなく、絞り通路面積よりも小さく、かつ0(ゼロ)よりも大きい弁通路面積を形成するものであってもよい。
エンジンは、前記実施形態では車両に使用されるものであったが、車両以外の機械、例えば鉛直方向を指向するクランク軸を備える船外機等の船舶推進装置に使用されるものであってもよい。また、エンジンは、内燃機関以外の燃焼機関または原動機であってよく、さらに出力軸は、クランク軸以外の軸であってもよい。
T…テンショナ、SR…ストローク量。
Claims (5)
- 出力軸と、
正逆回転可能で、出力軸により正転方向に回転駆動されて発電すると共に出力軸を正転方向に回転駆動可能な発電機兼用電動機と、
出力軸と電動機との間で動力を伝達する無端伝動帯を備える巻掛け伝動機構と、
無端伝動帯の張力を調整する液圧式テンショナとを備えるエンジンにおいて、
前記電動機は、該電動機を一時的に逆転方向に回転した直後に正転方向に回転する手段を備え、
前記テンショナは、
無端伝動帯の張力付与動作および張力緩和動作のために相対移動可能な第1作動部材および第2作動部材と、
前記無端伝動帯の張力緩和のための調整手段とを備え、
前記調整手段は、前記電動機の逆回転に伴う無端伝動帯の張力減少に応じる前記テンショナの張力付与動作がなされ、該電動機の逆回転直後の正回転時から前記無端伝動帯の張力緩和動作を行う
ことを特徴とするエンジン。 - 前記テンショナには、前記第1作動部材および前記第2作動部材の相対移動により動作液が流通する調整通路が設けられ、
前記調整手段は、前記張力緩和動作時に前記調整通路を流通する前記動作液の流量を制限するオリフィスから構成されることを特徴とする請求項1記載のエンジン。 - 前記テンショナには、前記第1作動部材および前記第2作動部材の相対移動により作動液が流通する調整通路が設けられ、
前記調整手段は、前記張力緩和動作時に前記調整通路を流通する前記動作液の流量を制限するオリフィスと、前記調整通路の通路面積を増減する弁体を備える弁機構とから構成され、
前記弁機構は、前記逆回転時張力付与動作時の前記テンショナのストローク量が所定ストローク量以下のとき、前記調整通路での前記作動液の流量が前記オリフィスにより規定される非絞り位置に前記弁体を位置させることにより前記逆回転時張力付与動作の終了直後から前記張力緩和動作を可能とし、前記ストローク量が前記所定ストローク量を越えるとき、前記調整通路での前記作動液の流量が前記弁体により規定される絞り位置に所定時間だけ前記弁体を位置させて、前記逆回転時張力付与動作の終了直後からの前記オリフィスによる前記張力緩和動作を前記所定時間遅延させることを特徴とする請求項1記載のエンジン。 - 前記弁体は前記張力付与動作時に移動する前記第1作動部材に移動可能に設けられ、
前記弁機構は、移動する前記第1作動部材に追従可能に前記弁体を保持する保持手段と、前記張力付与動作時の前記第1作動部材の移動により生じる弾性変形による弾発力で前記弁体を移動させる弾発部材とを備え、
前記弾発部材は、前記第1作動部材による前記ストローク量が前記小ストローク量であるとき、前記保持手段により保持される前記弁体を、前記非絞り位置に位置させるように弾性変形し、前記第1作動部材による前記ストローク量が前記大ストローク量であるとき、前記保持手段に保持される前記弁体を前記絞り位置に位置させるように弾性変形した後、前記所定時間経過後に弾発力により前記非絞り位置に前記弁体を移動させることを特徴とする請求項3記載のエンジン。 - 前記保持手段は、前記張力付与動作時に移動する前記第1作動部材に追従して前記弁体が移動するように前記弁体に設けられて前記第1作動部材との間で摩擦が発生する摩擦部材であることを特徴とする請求項4記載のエンジン。
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