JP4078088B2 - オートテンショナの制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベルト伝動システムに用いられてベルト張力を自動的に調整するためのオートテンショナの制御装置に関し、特に、そのベルトの張力変化に伴う移動体の振動を磁気粘性流体の粘性抵抗を利用して制動するようにしたものに関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のオートテンショナとして、その減衰装置(ダンパ)の種類に応じて油圧式、摩擦式及びビスカス式のものが知られており、油圧式及びビスカス式の減衰装置はオイルの粘性により、また摩擦式の減衰装置は樹脂と金属との摩擦抵抗によりそれぞれ減衰を得るようにしたものである。
【0003】
例えば自動車用エンジンの補機を駆動する補機駆動システムに用いられる従来の油圧式オートテンショナの構造について説明すると、この油圧式オートテンショナはアームタイプやロッドタイプのものがあり、アームタイプの油圧式オートテンショナは、エンジン等の固定部に基端部にて回動可能に支持されたアームと、このアームの先端部に回転自在に支持され、ベルトが巻き掛けられるテンションプーリとに加え、アームと固定部との間に連結されてアームの回動を減衰させる油圧式ダンパを具備している。
【0004】
また、ロッドタイプの油圧式オートテンショナは、エンジン等の固定部に軸方向に摺動可能(スライド可能)に支持されたロッド部と、このロッド部の先端部に回転自在に支持されたテンションプーリと、ロッド部に連結されてその摺動を減衰させる油圧式ダンパとを備えたものが知られている。
【0005】
上記油圧式ダンパは、シリンダボディと、このシリンダボディ内に往復動可能に嵌挿され、シリンダボディ内をオイルが充填された第1及び第2の2室に区画するピストンと、このピストンに連結され、シリンダボディに対し伸縮するロッドとを備え、これらシリンダボディ又はロッドの一方が固定部に、また他方がアーム又はロッド部にそれぞれ連結されている。そして、シリンダボディ内の両室は、ピストンに形成したオイル通路又はシリンダボディ及びピストンの間のクリアランスを通って連通され、オイル通路には第2室のオイルが第1室に流れるのを阻止する逆止弁が、また第2室には、ロッドをテンションプーリがベルトを押圧するように伸張方向に付勢するばね(付勢手段)がそれぞれ配設されており、ばねの付勢力によりロッドが伸張するときには、第1室のオイルが逆止弁の影響を受けずに第2室に流れるため、ロッドがスムーズに速い速度で伸張移動し、テンションプーリをベルト押圧方向にさせる一方、ベルト張力が増大してテンションプーリと共にロッドが収縮するときには、第2室のオイルがオイル通路を通って第1室に流れるのは逆止弁により阻止され、そのオイルはピストンとシリンダボディ内面との間の小さなクリアランスを通って流れるために、大きな粘性抵抗が働き、減衰効果が得られる。
【0006】
すなわち、ベルトに発生する張力変化を吸収するためには、張力が高くなるとき(ロッド収縮時)には減衰を持たせ、張力が低くなるとき(ロッド伸張時)には速く追従して張力を与える必要があり、上記油圧式ダンパの構造はこれに叶ったものになっている。
【0007】
尚、上記ロッドタイプの油圧式オートテンショナにおいて、そのロッド部を油圧式ダンパのシリンダボディ又はロッドの一方で、また固定部をシリンダボディ又はロッドの他方でそれぞれ構成(兼用)したものも知られている(例えば特開平9―60697号公報等参照)。
【0008】
ところで、従来、実開昭63―89457号公報に示されるように、上記油圧式ダンパのシリンダボディ内部に充填されるオイルを磁気粘性流体としたものが提案されている。この磁気粘性流体は、極めて微細な強磁性体を液体中に分散させてなる流体であって、この磁気粘性流体に外部から磁力を付与することで、その磁気粘性流体の粘性抵抗や剪断抵抗が変化するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記エンジンの補機駆動システムや動弁システムでは、エンジン回転数がアイドル回転域から高速回転域までの極めて広い回転域で変化するので、それに伴ってベルトの走行速度や張力も大きく変わり、プーリ間にあるベルトのスパンで共振が発生するのは避けられず、このベルトスパンの共振によるベルト張力の変動は大きい。
【0010】
これに対し、上記従来のオートテンショナを用いた補機駆動システムや動弁システムにおいては、ベルトの急激な張力変動が発生したときでもテンショナの移動体が振動しないようにダンパが設けられているものの、通常、このダンパの抵抗は一定であり、このダンパ抵抗を初期の設定値から変更することはできない。このように、ダンパの抵抗(テンショナのダンピング量)が一定であると、上記ベルトスパンの共振によるベルト張力の変動を有効に抑えきれず、テンショナの移動体が大きく飛び跳ねるように振動してしまい、叩き音等の異音が発生したり、ベルトの寿命が低下したりする等の問題が生じる。
【0011】
そこで、予め、上記補機駆動システムや動弁システムにおけるベルトスパンの共振を見込んでベルトの張力を当初から高くしておくこともできるが、その場合、ベルト張力が常時増大維持されることとなり、ベルトが早期に破損したり、或いは高いベルト張力に対応してシステムの強度アップをしておく必要があり、さらには機械的な駆動ロスが生じることも避けられない。特に、補機駆動システムや動弁システムでは、上記機械的な駆動ロスに起因してエンジンの燃費の悪化等を招来することとなり、現実的な解決策とはなり得ない。
【0012】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記の磁気粘性流体をオートテンショナに用いた構造に対し、その磁気粘性流体による抵抗を所定の条件下で可変とすることで、テンショナの移動体の振動を抑制して異音の発生やベルトの寿命低下を防止することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1又は2の発明では、オイルの粘性により移動体の振動(移動)の制動を得るオートテンショナに対し、そのオイルを磁気粘性流体に置き換え、オートテンショナの移動体又はベルトのスパンの過度の振動を検出したときに、その磁気粘性流体に対し磁力を付与して抵抗を高くし、移動体の振動をロック停止するようにした。
【0014】
具体的には、請求項1の発明では、固定部に移動可能に支持された移動体と、この移動体に回転自在に支持され、ベルトが巻き掛けられるテンションプーリと、上記移動体をテンションプーリがベルトを押圧するように移動付勢する付勢手段とを備え、ベルト伝動システムにおけるベルトの張力を自動的に調整するようにしたオートテンショナの制御装置が対象である。
【0015】
そして、磁気粘性流体の粘性抵抗により上記移動体の振動を制動する制振手段と、この制振手段の磁気粘性流体に磁力を付与する磁気付与手段と、上記オートテンショナの移動体が振動したことを検出するテンショナ振動検出手段と、このテンショナ振動検出手段により移動体の所定量以上の振動が検出されたときに、上記制振手段の磁気粘性流体に磁力が付与されて上記移動体の振動がロック停止されるように上記磁気付与手段を制御する磁力制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0016】
一方、請求項2の発明では、上記請求項1の発明の対象と同様のオートテンショナの制御装置として、磁気粘性流体の粘性抵抗により移動体の振動を制動する制振手段と、この制振手段の磁気粘性流体に磁力を付与する磁気付与手段と、テンションプーリの押圧しているベルトのスパンが振動したことを検出するベルト振動検出手段と、このベルト振動検出手段によりベルトスパンの所定量以上の振動が検出されたときに、上記制振手段の磁気粘性流体に磁力が付与されて上記移動体の振動がロック停止されるように上記磁気付与手段を制御する磁力制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0017】
これら発明の構成によると、テンションプーリに巻き掛けられるベルトの張力が低下すると、付勢手段の付勢力により、テンションプーリがベルトを押圧するように移動体が移動する一方、ベルトの張力が増大すると、テンションプーリがベルトにより押されて移動体が付勢手段の付勢力に抗して移動する。
【0018】
そして、制振手段は、磁気粘性流体の粘性抵抗により移動体の振動を制動するものであり、オートテンショナの移動体が所定量以上振動したことがテンショナ振動検出手段により検出されるか、又はテンションプーリの押圧しているベルトのスパンが所定量以上振動したことがベルト振動検出手段により検出されると、磁力制御手段により磁気付与手段が制御されて、この磁気付与手段により上記制振手段の磁気粘性流体に磁力が付与され、この磁力により磁気粘性流体の粘性抵抗又は剪断抵抗が増大し、このことで上記移動体(及びベルトスパン)の振動がロック停止される。よって、共振によるベルトや移動体の振動を確実に抑えて、ベルトのスリップや叩き音等の異音を有効に防止し、ベルトの寿命を延ばすことができる。
【0019】
請求項3の発明では、請求項1の発明と同様のオートテンショナにおいて、ベルト伝動システムの駆動回転数が共振周波数に相当する回転数になったときに、オートテンショナの磁気粘性流体に対し磁力を付与して移動体の振動をロック停止するようにした。
【0020】
すなわち、この発明では、固定部に移動可能に支持された移動体と、この移動体に回転自在に支持され、ベルトが巻き掛けられるテンションプーリと、上記移動体をテンションプーリがベルトを押圧するように移動付勢する付勢手段とを備え、ベルト伝動システムにおけるベルトの張力を自動的に調整するようにしたオートテンショナの制御装置であって、磁気粘性流体の粘性抵抗により上記移動体の振動を制動する制振手段と、この制振手段の磁気粘性流体に磁力を付与する磁気付与手段と、上記ベルト伝動システムの駆動回転数が、該ベルト伝動システムの共振周波数に相当する回転数になったとき、上記制振手段の磁気粘性流体に磁力が付与されて上記移動体の振動がロック停止されるように上記磁気付与手段を制御する磁力制御手段を備えていることを特徴とする。
【0021】
この構成によると、予め、ベルト伝動システムの共振周波数に相当する回転数が計算や実験による実測データ等により求められており、ベルト伝動システムの駆動回転数がこの共振周波数に相当する回転数になったとき、磁力制御手段により磁気付与手段が制御されて上記制振手段の磁気粘性流体に磁力が付与され、この磁力により磁気粘性流体の粘性抵抗又は剪断抵抗が増大し、このことで上記移動体の振動がロック停止される。よって、請求項1の発明と同様に、共振によるベルトや移動体の振動を確実に抑えて、ベルトのスリップや叩き音等の異音を有効に防止し、ベルトの寿命を延ばすことができる。
【0022】
特に、この発明では、予め、ベルト伝動システムの共振周波数に相当する回転数を求めて、その回転数になると、制振手段の磁気粘性流体に磁力を付与するので、請求項1又は2の発明のように、オートテンショナの移動体やベルトスパンの振動を検出するための検出手段が不要となり、簡単な構成で共振によるベルトや移動体の振動を抑えることができる
【0023】
請求項の発明では、上記ベルト伝動システムは、エンジンによりベルトを介して補機を駆動する補機駆動システムとする。また、請求項の発明では、ベルト伝動システムは、エンジンの吸排気弁の少なくとも一方をベルトを介して開閉駆動する動弁システムとする。
【0024】
これらの発明によれば、本発明の効果が有効に発揮される最適なベルト伝動システムが得られる。
【0025】
請求項の発明では、制振手段は、シリンダボディと、このシリンダボディ内に往復動可能に嵌挿され、シリンダボディ内を磁気粘性流体が充填された2室に区画するピストンと、上記シリンダボディ内の両室を連通する連通路と、上記ピストンに連結され、シリンダボディに対し伸縮するロッドとを備え、上記シリンダボディ又はロッドの一方が固定部を、また他方が移動体をそれぞれ構成しており、磁気付与手段は、上記連通路の磁気粘性流体に磁力を付与するように構成されているものとする。
【0026】
このことで、ベルトの張力変化によりテンションプーリが移動体と共に移動すると、この移動体の移動によりピストンがシリンダボディ内で往復動し、シリンダボディ内の2室間で磁気粘性流体が連通路を介して往来して、この連通路を通る磁気粘性流体の流路抵抗(粘性抵抗)により移動体の振動が制動される。この連通路の磁気粘性流体に対し磁気付与手段により磁力が付与され、この磁力の変化により磁気粘性流体の流路抵抗が変更されて制動力が変えられる。従って、磁気粘性流体を用いた望ましい制振手段が得られる。
【0027】
請求項の発明では、制振手段は、固定部と移動体との間に移動体の回動軸心と同心状に配置されかつ磁気粘性流体が充填された流体室を備え、この流体室には、固定部に回転一体に設けられた少なくとも1枚の固定部側プレートと、移動体に回転一体に設けられた少なくとも1枚の移動体側プレートとが移動体の回動軸心方向に交互に並べられて配置されており、磁気付与手段は、上記流体室の磁気粘性流体に磁力を付与するように構成されているものとする。
【0028】
この構成によると、ベルトの張力変化によりテンションプーリが移動体と共に回動すると、この移動体の回動により、固定部と移動体との間の流体室において移動体側プレートが固定部側プレートと相対的に回動し、この両プレートの相対回動に伴い流体室内の磁気粘性流体が剪断抵抗(粘性抵抗)を受け、この磁気粘性流体の剪断抵抗により移動体の回動が制動される。この流体室の磁気粘性流体に対し磁気付与手段により磁力が付与され、この磁力の変化により磁気粘性流体の粘性が変更されて制動力が可変とされる。この場合も、磁気粘性流体を用いた望ましい制振手段が得られる。
【0029】
請求項の発明では、上記制振手段は、移動体の振動を減衰させる減衰手段を構成しているものとする。このことで、制振手段を減衰手段と兼用することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図2は本発明の実施形態1に係る、ベルト伝動システムとしてのエンジンの補機駆動システムA1を示し、1は自動車に搭載されたV型多気筒エンジン、3はエンジン1のクランク軸2に回転一体に取付固定されたクランクプーリ、5は補機としての空調機用コンプレッサ(図示せず)の回転軸4に回転一体に取付固定されたコンプレッサプーリ、7は補機としてのパワーステアリング用ポンプ(図示せず)の回転軸6に回転一体に取付固定されたPSポンププーリ、10は補機としてのオルタネータ8の回転軸9に回転一体に取付固定されたオルタネータプーリ、11は冷却ファン11aと一体に形成されてそれを回転駆動するためのファンプーリ、12はアイドラプーリで、上記クランクプーリ3、コンプレッサプーリ5、PSポンププーリ7、オルタネータプーリ10及びアイドラプーリ12はいずれもVリブドプーリからなる一方、ファンプーリ11は平プーリからなる。これらのプーリ3,5,7,10〜12間にはVリブドベルトからなる伝動ベルト13が巻き掛けられ、このベルト13は、上記Vリブドプーリからなる各プーリ3,5,7,10,12にあってはベルト13内面(下面)をプーリ3,5,7,10,12に接触させた正曲げ状態で、また平プーリからなるファンーリ11にあってはベルト13外面(背面)をプーリ11に接触させた逆曲げ状態でそれぞれ巻き付けられて、いわゆるサーペンタインレイアウトで巻き掛けられており、エンジン1の運転に伴うクランク軸2(クランクプーリ3)の回転によりベルト13をクランクプーリ3→ファンプーリ11→コンプレッサプーリ5→アイドラプーリ12→PSポンププーリ7→オルタネータプーリ10→クランクプーリ3の順に図2で時計回り方向に走行させて、各補機を駆動するようにしている。
【0031】
そして、上記ベルト13においてクランクプーリ3から出る側の緩み側スパン13aのうち、該クランクプーリ3とオルタネータプーリ10との間のスパン13aには、そのスパン13aをベルト13外面側から押圧してベルト13の張力を自動的に調整するためのアームタイプの油圧式オートテンショナ16が配置されている。
【0032】
すなわち、図5は上記オートテンショナ16の構造を拡大して示しており、17は上記エンジン1の側壁部に取付固定されるマウントで、この実施形態では上記マウント17とエンジン1とで本発明でいう固定部を構成している。上記マウント17には移動体としてのアーム18が基端部にて支持軸19により揺動可能(回動可能)に支持されている。このアーム18の先端部には上記支持軸19と平行のプーリ軸20が突設され、このプーリ軸20には平プーリからなるテンションプーリ21がベアリング(図示せず)を介して回転自在に支持され、このテンションプーリ21に伝動ベルト13が外面(背面)から巻き掛けられて押圧される。
【0033】
上記アーム18の基端部には上記支持軸19とオフセットした位置に、制振手段を構成する油圧式ダンパ24の一端部が連結ピン23を介して揺動可能に連結され、このダンパ24の他端部はエンジン1の側壁部(固定部の一部)に揺動可能に連結されており、ダンパ24によりアーム18の振動(揺動)を制動させるようにしている。
【0034】
図3に示すように、上記ダンパ24は、極めて微細な強磁性体を液体中に分散させてなる磁気粘性流体MRFの粘性抵抗によりアーム18(移動体)の振動を制動させるものとされている。すなわち、ダンパ24は、エンジン1に揺動可能に連結するための連結部25aを有するシリンダボディ25を備え、このシリンダボディ25内にはその内部空間を第1室26及び第2室27に区画するピストン28が往復動可能に嵌挿され、このシリンダボディ25内の2室26,27に磁気粘性流体MRFが充填されている。上記ピストン28にはロッド29の基端部が一体的に連結固定され、このロッド29はシリンダボディ25外に第1室26側の端部を液密状に貫通して突出しており、ピストン28の移動によりロッド29がシリンダボディ25に対し伸縮する。ロッド29の先端部には、アーム18の基端部に上記連結ピン23により連結するための連結部29aが形成されている。
【0035】
また、上記シリンダボディ25内の第2室27にはピストン28を第1室26側に向かう方向、つまりロッド29が伸張する方向に押す付勢手段としての圧縮ばね31が縮装されている。つまりダンパ24にばね31(付勢手段)が内蔵されており、この圧縮ばね31により、アーム18をテンションプーリ21がベルト13を押圧するように回動付勢している。
【0036】
そして、上記シリンダボディ25内周面とピストン28外周面との間は所定の間隔があけられていて、この間隔により第1及び第2の両室26,27を互いに連通する連通路33が形成されており、ベルト13の張力が変化してテンションプーリ21及びそれを支持しているアーム18が揺動したとき、このアーム18の揺動によりピストン28をシリンダボディ25内で往復動させ、シリンダボディ25内の2室26,27間で磁気粘性流体MRFを連通路33を介して往来させて、この連通路33を通る磁気粘性流体MRFの流路抵抗(粘性抵抗)によりアーム18の振動(揺動)を制動するようにしている。
【0037】
さらに、上記シリンダボディ25の周りには磁気粘性流体MRFに磁力を付与する磁気付与手段としての電磁石34が設けられており、この電磁石34に対する電流の供給による励磁状態により、シリンダボディ25とピストン28との間の連通路33の磁気粘性流体MRFに磁力を付与し、電磁石34への出力制御により磁気粘性流体MRFに付与する磁力を変化させてアーム18に対する減衰定数を可変とするようにしている。
【0038】
図2及び図5に示すように、上記電磁石34は、コントローラ37からの制御信号を受けて励磁状態もしくは消磁状態に切り換えられ、又は励磁状態での磁力を変化させるようになっている。上記コントローラ37には、オートテンショナ16における移動体としてのアーム18の近傍(アーム18自体に設けることもできる)に配置されてその振動量(揺動角)を検出するテンショナ振動検出手段としてのテンショナ振動ピックアップ38の出力信号と、ベルト13のうち上記クランクプーリ3及びオルタネータプーリ9間でテンションプーリ21が押圧しているベルトスパン13aの近傍(図示例ではテンションプーリ21とオルタネータプーリ9との間)に配置され、このベルトスパン13aの振動量(振れ量)を検出するベルト振動検出手段としてのベルト振動ピックアップ39の出力信号とが入力されている。
【0039】
ここで、上記コントローラ37において、オートテンショナ16の制御のために行われる信号処理動作を図1により説明する。まず、最初のステップS1で上記各振動ピックアップ38,39の検出値を入力し、ステップS2では、テンショナ振動ピックアップ38の検出値が所定の設定値以上か、換言するとオートテンショナ16のアーム18が所定量以上振動したかどうかを判定する。この判定がアーム18の所定量未満の振動によるNOのときには、ステップS3に進み、今度は、ベルト振動ピックアップ39の検出値が所定の設定値以上か、換言するとテンションプーリ21の押圧しているベルトスパン13aが所定量以上振動したか否かを判定し、この判定がベルトスパン13aの所定量未満の振動によるNOのときには、ステップS1に戻る。
【0040】
これに対し、上記ステップS2の判定がアーム18の所定量以上の振動によるYESのとき、及びステップS3の判定がベルトスパン13aの所定量以上の振動によるYESのときには、いずれもステップS4に進み、上記電磁石34に制御信号を出力してそれを励磁状態にし、シリンダボディ25とピストン28との間の連通路33の磁気粘性流体MRFに磁力を付与してアーム18に対する減衰定数を可変とする。
【0041】
この実施形態では、上記ステップS2〜S4により、オートテンショナ16のアーム18(移動体)が所定量以上振動したことがテンショナ振動ピックアップ38(テンショナ振動検出手段)により検出されたとき、又はテンションプーリ21の押圧しているベルト13のスパン13aが所定量以上振動したことがベルト振動ピックアップ39(ベルト振動検出手段)により検出されたときに、ダンパ24の磁気粘性流体MRFに磁力が付与されてアーム18の振動がロック停止されるように電磁石34を制御する構成とされている。
【0042】
したがって、この実施形態においては、オートテンショナ16のアーム18にダンパ24のピストン28がロッド29を介して連結され、このピストン28がシリンダボディ25内における第2室27の圧縮ばね31の付勢力によりロッド29をシリンダボディ25から伸張させる方向に付勢されているので、エンジン1の運転中、補機駆動システムA1により各補機(空調機用コンプレッサ、パワーステアリング用ポンプ、オルタネータ8、ファン11a)が駆動されているとき、ダンパ24内の圧縮ばね31によりアーム18が回動付勢されて、この付勢力によりアーム18先端のテンションプーリ21がベルト13のスパン13aを押圧し、このことでベルト13の張力が付与される。
【0043】
そして、ベルト13の張力の変化によりアーム18がテンションプーリ21と共に支持軸19回りに揺動すると、このアーム18に連結されているピストン28がシリンダボディ25内で往復動する。このピストン28の往復動に伴い、シリンダボディ25内の2室26,27間で磁気粘性流体MRFが連通路33を介して往来し、この連通路33を通る磁気粘性流体MRFの流路抵抗(粘性抵抗)によりアーム18の振動が制動される。
【0044】
そのとき、上記ダンパ24のシリンダボディ25外には電磁石34が配置され、この電磁石34にコントローラ37から電流を流して電磁石34を励磁させることにより、上記連通路33の磁気粘性流体MRFに磁力が付与される。そして、この磁力の変化により磁気粘性流体MRFの流路抵抗が変更されて制動力が変えられる。このような磁気粘性流体MRFへの磁力を変更制御することにより、アーム18に対する減衰定数を可変とすることができる。
【0045】
すなわち、具体的には、補機駆動システムA1における共振により、図6(a),(b)に破線にて示すように、オートテンショナ16のアーム18が所定量以上振動してテンショナ振動ピックアップ38の検出値が所定の設定値以上になるか、或いは図6(a),(b)に実線にて示す如く、テンションプーリ21の押圧しているベルトスパン13aが所定量以上振動してベルト振動ピックアップ39の検出値が所定の設定値以上になると、コントローラ37から電磁石34に励磁信号が出力されて電磁石34が励磁状態になり、この電磁石34の励磁によりダンパ24の磁気粘性流体MRFに磁力が付与され、この磁力により磁気粘性流体MRFの粘性抵抗が増大して、この抵抗によりアーム18の振動がロック停止するように抑制される。このことによって、アーム18やベルトスパン13aの振動が確実に停止して共振によるベルト13やオートテンショナ16のアーム18の振動を有効に抑えて、ベルト13のスリップや叩き音等の異音を防止でき、ベルト13の寿命を延ばすことができる。
【0046】
尚、上記実施形態のダンパ24は図4に示す振動モデルと見倣すことができ、その振動モデルは以下の式で表される。
【0047】
m(dx/dt)+c(dx/dt)+kx=F(t)
但し、mは可動部分の質量、kはばね定数、cは粘性減衰定数、F(t)はベルト13の張力である。
【0048】
この場合、磁気粘性流体MRFを使用して、その粘性減衰定数cを任意に変化させることができるので、入力となるベルト張力F(t)に対し最適な減衰力を時系列で調整することができる。速度依存性に対しては、速度が速い場合は粘性を低く、遅い場合は粘度を高くすることによって一定の減衰力を得ることができ、速度依存性を考慮する必要がなくなる。換言すれば、任意の速度依存性を持った減衰力を得ることができることとなる。
【0049】
尚、上記実施形態では、シリンダボディ25内の両室26,27を連通する連通路33をシリンダボディ25内周面とピストン28外周面との間に形成しているが、この他、例えばピストン28自体やシリンダボディ25の壁部等に連通路を形成することもできる。
【0050】
また、上記実施形態では、電磁石34をシリンダボディ25の外側に配置しているが、必ずしも外側にある必要はなく、例えばピストン28内部等にあってもよい。
【0051】
さらに、上記実施形態はアームの油圧式オートテンショナ16に適用した例であるが、本発明はロッドタイプの油圧式オートテンショナにも適用することができる。このロッドタイプの油圧式オートテンショナは、図示しないが、エンジン1(固定部)に軸方向に摺動可能つまりスライド可能に支持されたロッド部と、このロッド部の先端部に回転自在に支持されたテンションプーリと、ロッド部に連結されてその摺動を減衰させる油圧式ダンパとを備えたもので、この油圧式ダンパは上記実施形態1と同様のものが用いられる。また、このロッドタイプの油圧式オートテンショナにおいて、そのロッド部を油圧式ダンパのシリンダボディ又はロッドの一方で、また固定部をシリンダボディ又はロッドの他方でそれぞれ構成して兼用してもよく、オートテンショナがコンパクトな構造となる
【0052】
(実施形態2)
図7〜図10は本発明の実施形態2を示し(尚、以下の各実施形態では、図1〜図6と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、上記実施形態1では、オートテンショナ16のアーム18の振動量及びベルト13のスパン13aの振動量をそれぞれ検出する振動ピックアップ38,39を設けて、これらの検出値の設定値との大小比較に基づいてダンパ24の電磁石34の励磁状態又は消磁状態の切換えを行うようにしているのに対し、補機駆動システムA1における共振が発生するエンジン回転数が計算や実験で予測できることを利用し、この共振状態となるエンジン回転数になったときにダンパ24の電磁石34を励磁状態に切り換えて、その磁気粘性流体MRFに磁力を付与し、アーム18の振動をロック停止するようにしたものである。
【0053】
すなわち、この実施形態においては、上記実施形態1とは異なり、図8に示すように、テンショナ振動ピックアップ38やベルト振動ピックアップ39は設けられておらず、その代わり、エンジン回転数を検出する回転センサ41の出力信号が入力されている。
【0054】
この実施形態のコントローラ37において、オートテンショナ16の制御のために行われる信号処理動作を図7により説明するに、ステップS11で回転センサ41により検出されたエンジン回転数を読み込み、次のステップS12で、そのエンジン回転数が補機駆動システムA1の共振周波数に相当する回転数になったかどうかを判定する。
【0055】
この補機駆動システムA1の共振周波数は、予め、当該補機駆動システムA1の構成部品等に基づき計算や実験等により求められている。例えば図9(a)は、補機駆動システムA1のうちの各プーリの回転周期と、各プーリ間のベルトスパンの長さ及び設計上の張力により計算で得られた各スパンの固有振動数とを併せてグラフにしたものであり、この各スパンの回転周期とスパンの固有振動数とが交わる点がスパン振動発生が予想される回転数となる(尚、このスパン振動は必ず発生するとは限らない)。そして、このスパン振動が予想される回転数においてダンパ24の電磁石34を制御してスパン振動を未然に防ぐようにする。
【0056】
一方、図9(b)は、エンジン1の実際の運転状態を評価している段階で、その各エンジン回転数でのスパン振動を実験的に評価し、それにより得られるスパン振動の発生のエンジン回転数毎にダンパ24の電磁石34を制御して振動を未然に防ぐようにする。尚、この図9(b)においては、エンジン1の運転特性上、その回転数が2000rpm付近のときにスパン振動(共振)が多く発生することを例示している。
【0057】
そして、上記のような共振周波数に対応するエンジン回転数はエンジン1のアイドル回転域から高速回転域までの範囲で記憶されており、この記憶されたエンジン回転数と実際のエンジン回転数とを比較して、両回転数が略一致すると、その実際のエンジン回転数が補機駆動システムA1の共振周波数に相当する回転数になったと判定する。
【0058】
ここで、上記共振周波数を求める計算式の例を下記に示す。走行状態にあるベルトの横振動数N(サイクル/s)は、
N={n・(p−V)}/(2pl) … 1
で求められる。但し、
=T/{(r/g)・F} … 2
であり、
n:振動の次数(n=1,2,…)
V:ベルトの走行速度(m/s)
l:スパン長さ(=ベルトがプーリに接触していない距離)(m)
T:ベルトの緩み側張力(kgf)
r:ベルトの単位体積重量(kgf/m
g:重力加速度(=9.8m/s
F:ベルトの断面積(m
である。
【0059】
この振動に作用する外力の振動としては、ベルトの循環数N′(サイクル/s)が作用し、このベルトの循環数N′は次の式で求められる。
【0060】
N′=V/L … 3
但し、L:ベルト長さ(m)
である。
【0061】
上記式 1 ),( 3 から
N=K・N′ … 4
(K=1,2,…)のときにベルトが共振する。以上の如き計算に基づいて共振周波数を求めればよい。
【0062】
上記ステップS12の判定が両回転数の不一致によるNOのときには、ステップS11に戻るが、判定が両回転数の略一致によるYESになると、ステップS13に進み、ダンパ24の電磁石34に制御信号を出力してそれを励磁状態にし、シリンダボディ25とピストン28との間の連通路33の磁気粘性流体MRFに磁力を付与してアーム18に対する減衰定数を可変とする。
【0063】
この実施形態の場合、ステップS12,S13により、補機駆動システムA1のエンジン回転数が、該補機駆動システムA1の共振周波数に相当する回転数になったとき、ダンパ24の磁気粘性流体MRFに磁力が付与されてアーム18の振動がロック停止されるように電磁石34を制御する構成とされている。その他の構成は上記実施形態1と同様である。
【0064】
したがって、この実施形態では、図10(a)に示すように、エンジン1の運転状態で、補機駆動システムA1のエンジン回転数が、予め補機駆動システムA1の共振周波数に相当する回転数(図示例では略2000rpm)になったとき、その共振によりアーム18が振動しようとする。しかし、その際、回転センサ41の検出信号を受けたコントローラ37により、ダンパ24の電磁石34に励磁信号が出力されて磁気粘性流体MRFに磁力が付与され、この磁力により磁気粘性流体MRFの粘性抵抗が増大し、その結果、図10(b)に示す如く、オートテンショナ16のアーム18やベルトスパン13aの振動がロック停止される。よって、上記実施形態1と同様に、補機駆動システムA1における共振によるベルト13やアーム18の振動を有効に抑えて、ベルト13のスリップや叩き音等の異音を防止し、ベルト13の寿命を延ばすことができる。
【0065】
また、この実施形態では、予め、補機駆動システムA1の共振周波数に相当するエンジン回転数を記憶させておき、回転センサ41により検出した実際のエンジン回転数がその回転数になると、ダンパ24の磁気粘性流体MRFに磁力が付与されるので、実施形態1のように、テンショナ振動ピックアップ38やベルト振動ピックアップ39が不要となり、簡単な構成で共振によるベルト13やアーム18の振動を抑えることができる。
【0066】
(実施形態3)
図11及び図12は本発明の実施形態3を示し、上記各実施形態では、ベルト伝動システムを補機駆動システムA1とし、かつ油圧式ダンパ24を備えたオートテンショナ16に適用しているのに対し、ベルト伝動システムをエンジン1の動弁システムとし、かつビスカス式ダンパ(多板式粘性ダンパ)を備えたオートテンショナ16に適用したものである。
【0067】
すなわち、この実施形態では、図示しないが、例えばエンジン1のクランク軸2により吸排気弁駆動用のカム軸を歯付ベルトからなるタイミングベルト45(図12参照)によりクランク軸2の回転と同期して駆動するための動弁システムA2を対象としており、ビスカス式オートテンショナ16は、そのタイミングベルト45の張力を自動的に調整するために用いられている。
【0068】
図11及び図12において、46は基端部(図11で右端部)に位置する大径部46aと先端側(図11で左側)に位置する小径部46bとからなる円筒状の固定軸で、その内部に先端側から取付ボルト(図示せず)を挿通してそれをエンジン1に螺合することで、固定軸46がエンジン1に回動不能に取付固定される。この実施形態では固定軸46とエンジン1とで固定部を構成している。
【0069】
上記固定軸46には移動体としての段付き円筒状のスリーブ47が揺動可能(回動可能)に支持されている。このスリーブ47は、固定軸46の大径部46aが嵌合される大径孔部48aと、小径部46bが嵌合される小径孔部48bとからなる中心孔48を有し、この中心孔48に固定軸46を先端側から滑り軸受49,49を介在して嵌合することで、スリーブ47が固定軸46にその軸心O1回りに揺動するように支持されている。
【0070】
上記スリーブ47の先端側には、中心孔48(固定軸46の軸心O1)からオフセットした中心O2を有するプーリ軸20が一体に形成され、このプーリ軸20にテンションプーリ21がベアリング51(そのアウタレースをテンションプーリ21で兼用している)を介して回転自在に支持されている。
【0071】
一方、スリーブ47の基端部の外周にはばね止め部材52が外嵌合されて回転一体に固定され、図12に示す如く、このばね止め部材52には付勢手段としての引張ばね53の一端部が係合され、この引張ばね53の他端部はエンジン1に係止されており、この引張ばね53によりスリーブ47を図12で時計回り方向に回動付勢してプーリ軸20上のテンションプーリ21がタイミングベルト45のスパンを背面から押圧するようにしている。
【0072】
図11に示すように、上記固定軸46とスリーブ47との間にビスカス式ダンパ55が設けられている。このダンパ55は、固定軸46の大径部46a前面及び該大径部46a側の小径部46b外周面と、スリーブ47の中心孔48における大径孔部48aの小径孔部48b側の内周面並びに大径孔部48a及び小径孔部48b間の段差面とで囲まれてスリーブ47の回動軸心(固定軸46の軸心O1)と同心状に配置された円環状の流体室56を備え、この流体室56に磁気粘性流体MRFが充填されている。
【0073】
さらに、上記流体室56には、固定軸46の小径部46b外周面に回転一体に係合された複数枚のインナプレート57,57,…(固定部側プレート)と、スリーブ47の大径孔部48a内周面に回転一体に係合された複数枚のアウタプレート58,58,…(移動体側プレート)とが各プレート57,58間にそれぞれスペーサ(図示せず)を介して間隔をあけるようにスリーブ47の回動軸心方向に交互に並べられて配置されており(尚、両プレート57,58は少なくとも1枚ずつであればよい)、ベルト45の張力の変化によりテンションプーリ21と共にスリーブ47が固定軸46に対し回動したときに、固定軸46とスリーブ47との間の流体室56において各アウタプレート58を各インナプレート57と相対的に回動させ、この両プレート57,58の相対回動に伴う流体室56内の磁気粘性流体MRFの剪断抵抗(粘性抵抗)によりスリーブ47の回動を減衰するようにしている。尚、図11中、59は流体室56の先端側部に配置された固定プレート、60は流体室56を密閉状にシールするシール部材である。
【0074】
そして、上記スリーブ47の基端部の周りには電磁石34が配置され、この電磁石34の励磁により流体室56の磁気粘性流体MRFに磁力を付与するようにしている。尚、この電磁石34は固定軸46やスリーブ47の内部に埋込み状態で設けてもよく、流体室56の磁気粘性流体MRFに磁力を付与するように配置すればよい。その他の構成は上記実施形態1又は実施形態2と同じである。
【0075】
したがって、この実施形態においては、オートテンショナ16のスリーブ47に引張ばね53が連結され、この引張ばね53の付勢力によりスリーブ47が回動付勢されているので、エンジン1の運転状態で動弁システムA2によりカム軸がクランク軸2と同期して駆動されているとき、スリーブ47上のテンションプーリ21がタイミングベルト45を押圧する。
【0076】
そして、ベルト45の張力変化によりスリーブ47がテンションプーリ21と共に固定軸46回りに回動すると、このスリーブ47の回動により、固定軸46外周面とスリーブ47の中心孔48内周面との間の流体室56において、スリーブ47に回転一体に係合されている各アウタプレート58が、固定軸46に回転一体に係合されている各インナプレート57と相対的に回動し、この両プレート57,58の相対回動に伴って流体室56内の磁気粘性流体MRFが剪断抵抗(粘性抵抗)を受け、この磁気粘性流体MRFの剪断抵抗によりスリーブ47の回動が減衰される。
【0077】
また、実施形態1のように、動弁システムA2における共振により、オートテンショナ16のスリーブ47が所定量以上振動してテンショナ振動ピックアップ38の検出値が所定の設定値以上になるか、テンションプーリ21の押圧しているベルトスパン13aが所定量以上振動してベルト振動ピックアップ39の検出値が所定の設定値以上になると、或いは実施形態2のように、エンジン回転数が、予め動弁システムA2の共振周波数に相当する回転数になったとき、スリーブ47外の電磁石34にコントローラ37から励磁信号が出力されて、この電磁石34により流体室56の磁気粘性流体MRFに磁力が付与され、この磁力の変化により磁気粘性流体MRFの粘性が変更されて制動力が可変とされる。
【0078】
よって、この実施形態においても実施形態1又は実施形態2と同様の作用効果が得られる。また、このようにビスカス式オートテンショナ16のダンパ55に磁気粘性流体MRFを用いることにより、減衰特性を保ったままで、タイミングベルト45の張力変化が速い状態においても追従できない領域をなくすことができる。
【0079】
尚、上記実施形態1では、オートテンショナ16のダンパとして油圧式ダンパ24を、また実施形態ではビスカス式ダンパ55(多板式粘性ダンパ)をそれぞれ用いているが、これら以外の他の構造のダンパを用いて、その内部に磁気粘性流体MRFを充填してもよい。その各種の例については本出願人が先に提案している構造(特願2001―283141号明細書及び図面参照)を採用することができる。
【0080】
また、上記各実施形態では、制振手段をダンパ24,55で兼用しているが、ダンパとは別個に設けてもよいのは勿論のことである。
【0081】
さらに、上記各実施形態は、エンジン1の補機駆動システムA1や動弁システムA2に適用した例であるが、本発明はその他のベルト伝動システムに用いられるオートテンショナに対しても適用できるのはいうまでもない。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明では、ベルト伝動システムにおけるベルトの張力を自動的に調整するオートテンショナに対し、磁気粘性流体の粘性抵抗により移動体の振動を制動させる制振手段と、この制振手段の磁気粘性流体に磁力を付与する磁気付与手段とを設け、オートテンショナの移動体が所定量以上振動したことを検出して、その検出時に磁気付与手段を制御し、制振手段の磁気粘性流体に磁力を付与して移動体の振動をロック停止するようにした。また、請求項2の発明では、テンションプーリの押圧しているベルトスパンが所定量以上振動したことを検出して、その検出時に磁気付与手段を制御し、制振手段の磁気粘性流体に磁力を付与して移動体の振動をロック停止するようにした。さらに、請求項3の発明では、ベルト伝動システムの駆動回転数がシステムの共振周波数に相当する回転数になったとき、磁気付与手段を制御し、制振手段の磁気粘性流体に磁力を付与して移動体の振動をロック停止するようにした。従って、これら発明によると、制振手段の磁気粘性流体に付与された磁力により磁気粘性流体の粘性抵抗又は剪断抵抗を増大させて移動体又はベルトスパンの振動をロック停止でき、共振によるベルトや移動体の振動を有効に抑えて、ベルトのスリップや叩き音等の異音の防止化、ベルトの高寿命化を図ることができる。
【0083】
特に、請求項3の発明によると、ベルト伝動システムの共振周波数に相当する回転数を予め計算や実験による実測データ等により設定しておき、その回転数になると、制振手段の磁気粘性流体に磁力が付与されるので、オートテンショナの移動体やベルトスパンの振動を検出するための検出手段を不要として、簡単な構成で共振によるベルトや移動体の振動を抑えることができる
【0084】
請求項の発明では、ベルト伝動システムは、エンジンによりベルトを介して補機を駆動する補機駆動システムとした。また、請求項の発明では、ベルト伝動システムは、エンジンの吸排気弁の少なくとも一方をベルトを介して開閉駆動する動弁システムとした。従って、これら発明によれば、本発明の効果が有効に発揮される最適なベルト伝動システムが得られる。
【0085】
請求項の発明では、制振手段は、シリンダボディと、このシリンダボディ内に往復動可能に嵌挿され、シリンダボディ内を磁気粘性流体が充填された2室に区画するピストンと、上記シリンダボディ内の両室を連通する連通路と、上記ピストンに連結され、シリンダボディに対し伸縮するロッドとを備え、上記シリンダボディ又はロッドの一方が固定部を、また他方が移動体をそれぞれ構成しており、磁気与手段で上記連通路の磁気粘性流体に磁力を付与するようにした。また、請求項の発明では、制振手段は、固定部と移動体との間に移動体の回動軸心と同心状に配置されかつ磁気粘性流体が充填された流体室を備え、この流体室には、固定部に回転一体に設けられた少なくとも1枚の固定部側プレートと、移動体に回転一体に設けられた少なくとも1枚の移動体側プレートとが移動体の回動軸心方向に交互に並べられて配置されており、磁気付与手段により上記流体室の磁気粘性流体に磁力を付与するようにした。従って、これらの発明によれば、磁気粘性流体を用いた望ましい制振手段が得られる。
【0086】
請求項の発明によると、制振手段は、移動体の振動を減衰させる減衰手段を構成しているものとしたことにより、制振手段を減衰手段と兼用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1においてオートテンショナの制御のためにコントローラで行われる信号処理動作を示すフローチャート図である。
【図2】 本発明の実施形態1に係るエンジンの補機駆動システムの全体構成を示す正面図である。
【図3】 オートテンショナにおけるダンパを模式的に示す断面図である。
【図4】 ダンパの振動モデルを示す図である。
【図5】 オートテンショナの全体斜視図である。
【図6】 エンジン回転数の変化に応じてダンパによりアームの振動を制動する特性を示す特性図である。
【図7】 実施形態2を示す図1相当図である。
【図8】 実施形態2を示す図2相当図である。
【図9】 補機駆動システムにおいて共振状態となるエンジン回転数を求めるための特性図である。
【図10】 補機駆動システムの共振周波数に対応するエンジン回転数でオートテンショナのアームの振動抑制効果を示す図である。
【図11】 実施形態3に係るオートテンショナの断面図である。
【図12】 実施形態3に係るオートテンショナの正面図である。
【符号の説明】
A1 補機駆動システム(ベルト伝動システム)
A2 動弁システム(ベルト伝動システム)
1 エンジン
3 クランクプーリ
5 コンプレッサプーリ
7 PSポンププーリ
8 オルタネータ
10 オルタネータプーリ
13 伝動ベルト
13a スパン
16 オートテンショナ
17 マウント
18 アーム(移動体)
21 テンションプーリ
24 油圧式ダンパ(制振手段)
26 第1室
27 第2室
28 ピストン
29 ロッド
31 ばね(付勢手段)
33 連通路
34 電磁石(磁気付与手段)
37 コントローラ(磁力制御手段)
38 テンショナ振動ピックアップ(テンショナ振動検出手段)
39 ベルト振動ピックアップ(ベルト振動検出手段)
41 回転センサ
45 タイミングベルト
46 固定軸
47 スリーブ
53 引張ばね(付勢手段)
55 ビスカス式ダンパ(制振手段)
56 流体室
57 インナプレート(固定部側プレート)
58 アウタプレート(移動体側プレート)
MRF 磁気粘性流体

Claims (8)

  1. 固定部に移動可能に支持された移動体と、該移動体に回転自在に支持され、ベルトが巻き掛けられるテンションプーリと、上記移動体をテンションプーリがベルトを押圧するように移動付勢する付勢手段とを備え、ベルト伝動システムにおけるベルトの張力を自動的に調整するようにしたオートテンショナの制御装置であって、
    磁気粘性流体の粘性抵抗により上記移動体の振動を制動する制振手段と、
    上記制振手段の磁気粘性流体に磁力を付与する磁気付与手段と、
    上記オートテンショナの移動体が振動したことを検出するテンショナ振動検出手段と、
    上記テンショナ振動検出手段により移動体の所定量以上の振動が検出されたときに、上記制振手段の磁気粘性流体に磁力が付与されて上記移動体の振動がロック停止されるように上記磁気付与手段を制御する磁力制御手段とを備えていることを特徴とするオートテンショナの制御装置。
  2. 固定部に移動可能に支持された移動体と、該移動体に回転自在に支持され、ベルトが巻き掛けられるテンションプーリと、上記移動体をテンションプーリがベルトを押圧するように移動付勢する付勢手段とを備え、ベルト伝動システムにおけるベルトの張力を自動的に調整するようにしたオートテンショナの制御装置であって、
    磁気粘性流体の粘性抵抗により上記移動体の振動を制動する制振手段と、
    上記制振手段の磁気粘性流体に磁力を付与する磁気付与手段と、
    上記テンションプーリの押圧しているベルトのスパンが振動したことを検出するベルト振動検出手段と、
    上記ベルト振動検出手段によりベルトスパンの所定量以上の振動が検出されたときに、上記制振手段の磁気粘性流体に磁力が付与されて上記移動体の振動がロック停止されるように上記磁気付与手段を制御する磁力制御手段とを備えていることを特徴とするオートテンショナの制御装置。
  3. 固定部に移動可能に支持された移動体と、該移動体に回転自在に支持され、ベルトが巻き掛けられるテンションプーリと、上記移動体をテンションプーリがベルトを押圧するように移動付勢する付勢手段とを備え、ベルト伝動システムにおけるベルトの張力を自動的に調整するようにしたオートテンショナの制御装置であって、
    磁気粘性流体の粘性抵抗により上記移動体の振動を制動する制振手段と、
    上記制振手段の磁気粘性流体に磁力を付与する磁気付与手段と、
    上記ベルト伝動システムの駆動回転数が、該ベルト伝動システムの共振周波数に相当する回転数になったとき、上記制振手段の磁気粘性流体に磁力が付与されて上記移動体の振動がロック停止されるように上記磁気付与手段を制御する磁力制御手段を備えていることを特徴とするオートテンショナの制御装置。
  4. 請求項1〜のいずれか1つのオートテンショナの制御装置において、
    ベルト伝動システムは、エンジンによりベルトを介して補機を駆動する補機駆動システムであることを特徴とするオートテンショナの制御装置。
  5. 請求項1〜のいずれか1つのオートテンショナの制御装置において、
    ベルト伝動システムは、エンジンの吸排気弁の少なくとも一方をベルトを介して開閉駆動する動弁システムであることを特徴とするオートテンショナの制御装置。
  6. 請求項1〜3のいずれか1つのオートテンショナの制御装置において、
    制振手段は、シリンダボディと、
    上記シリンダボディ内に往復動可能に嵌挿され、シリンダボディ内を磁気粘性流体が充填された2室に区画するピストンと、
    上記シリンダボディ内の両室を連通する連通路と、
    上記ピストンに連結され、シリンダボディに対し伸縮するロッドとを備え、
    上記シリンダボディ又はロッドの一方が固定部を、また他方が移動体をそれぞれ構成しており、
    磁気付与手段は、上記連通路の磁気粘性流体に磁力を付与するように構成されていることを特徴とするオートテンショナの制御装置。
  7. 請求項1〜3のいずれか1つのオートテンショナの制御装置において、
    制振手段は、固定部と移動体との間に移動体の回動軸心と同心状に配置されかつ磁気粘性流体が充填された流体室を備え、
    上記流体室には、固定部に回転一体に設けられた少なくとも1枚の固定部側プレートと、移動体に回転一体に設けられた少なくとも1枚の移動体側プレートとが移動体の回動軸心方向に交互に並べられて配置されており、
    磁気付与手段は、上記流体室の磁気粘性流体に磁力を付与するように構成されていることを特徴とするオートテンショナの制御装置。
  8. 請求項1〜のいずれか1つのオートテンショナの制御装置において、
    制振手段は、移動体の振動を減衰させる減衰手段を構成していることを特徴とするオートテンショナの制御装置。
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