JP4188001B2 - エンジンのベルトテンショナ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのクランクシャフトと少なくともスタータモータを含む補機類との間で駆動力を伝達するベルトに所定の張力を付与するためのエンジンのベルトテンショナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開2001−59555号公報には、車両のエンジンのクランクシャフトに設けたクランクプーリとモータ・ジェネレータに設けたモータ・ジェネレータプーリとにベルトを巻き掛け、エンジンの駆動時にクランクプーリでモータ・ジェネレータプーリを駆動してモータ・ジェネレータをジェネレータとして機能させ、エンジンの始動時に逆にモータ・ジェネレータをモータとして機能させてエンジンを始動するベルト伝動システムにおいて、モータ・ジェネレータプーリのベルト回転方向下流側に第1のオートテンショナを設けるとともに、モータ・ジェネレータプーリとそのベルト回転方向上流側のクランクプーリとの間に第2のオートテンショナを設けたものが記載されている。クランクシャフトでモータ・ジェネレータを駆動するエンジンの通常の運転時には、第1、第2オートテンショナを機能させてベルトの張力を調整するが、モータ・ジェネレータでクランクシャフトをクランキングするエンジンの始動時には、ベルトの張力が増加する側の第2のオートテンショナを収縮不能にロックしてベルトのスリップを防止するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図8(A)に示すように、クランクプーリ01と、モータ・ジェネレータプーリ02と、オートテンショナプーリ03とにベルト04を巻き掛けたベルト伝動装置において、クランクプーリ01およびモータ・ジェネレータプーリ02間のスパン▲1▼の張力変動と、モータ・ジェネレータプーリ02およびオートテンショナプーリ03間のスパン▲2▼の張力変動と、オートテンショナプーリ03およびクランクプーリ01間のスパン▲3▼の張力変動とが図8(B)に示される。
【0004】
図8(B)における実線はエンジンの駆動力でモータ・ジェネレータをジェネレータとして駆動する場合(補機駆動時)のベルト04の張力であり、張り側となるスパン▲1▼の張力が高く、緩み側となるスパン▲2▼,▲3▼の張力が低くなる。また破線はモータ・ジェネレータをスタータモータとして駆動することでエンジンをクランキングして始動する場合(始動時)のベルト04の張力であり、緩み側となるスパン▲1▼の張力が低く、張り側となるスパン▲2▼,▲3▼の張力が高くなる。上記何れも場合にも、スパン▲2▼,▲3▼にはオートテンショナによって一定の張力T0が与えられるため、スパン▲1▼における補機駆動時の張力THと始動時の張力TLとの差ΔTは大きくなる。
【0005】
図9(A)には、前記図8(A)に対してオートテンショナプーリ03の位置を逆にした場合が示されており、これに対応するクランクプーリ01およびオートテンショナプーリ03間のスパン▲1▼の張力変動と、オートテンショナプーリ03およびモータ・ジェネレータプーリ02間のスパン▲2▼の張力変動と、モータ・ジェネレータプーリ02およびクランクプーリ01間のスパン▲3▼の張力変動とが図9(B)に示される。
【0006】
図9(B)における実線はエンジンの駆動力でモータ・ジェネレータをジェネレータとして駆動する場合(補機駆動時)のベルト04の張力であり、張り側となるスパン▲1▼,▲2▼の張力が高く、緩み側となるスパン▲3▼の張力が低くなる。また破線はモータ・ジェネレータをスタータモータとして駆動することでエンジンをクランキングして始動する場合(始動時)のベルト04の張力であり、緩み側となるスパン▲1▼,▲2▼の張力が低く、張り側となるスパン▲3▼の張力が高くなる。上記図8の場合はスパン▲2▼,▲3▼にオートテンショナによって一定の張力T0が与えられるため、スパン▲1▼の補機駆動時の張力TLと始動時の張力THとの差ΔTは大きくなる。また上記図9の場合はスパン▲1▼,▲2▼にオートテンショナによって一定の張力T0が与えられるため、スパン▲3▼の補機駆動時の張力TLと始動時の張力THとの差ΔTは大きくなる。
【0007】
以上のように、モータ・ジェネレータをジェネレータおよびスタータモータに共用して、クランクシャフトからモータ・ジェネレータへ、あるいはモータ・ジェネレータからクランクシャフトへ双方向にベルト04で回転力を伝達する場合には、オートテンショナの存在によって補機駆動時および始動時のベルト04の張力差ΔTが大きくなるため、ベルト04の負荷が増加して耐久性が低下する虞がある。
【0008】
この不具合を解消するために、図10(A)に示すように、オートテンショナを廃止してクランクプーリ01およびモータ・ジェネレータプーリ02に直接ベルト04を巻き掛けることが考えられる。
【0009】
図10(B)における実線はエンジンの駆動力でモータ・ジェネレータをジェネレータとして駆動する場合(補機駆動時)のベルト04の張力であり、張り側となるスパン▲1▼の張力が高く、緩み側となるスパン▲2▼の張力が低くなる。また破線はモータ・ジェネレータをスタータモータとして駆動することでエンジンをクランキングして始動する場合(始動時)のベルト04の張力であり、緩み側となるスパン▲1▼の張力が低く、張り側となるスパン▲2▼の張力が高くなる。張り側となる補機駆動時のスパン▲1▼の張力および始動時のスパン▲2▼の張力をTHとし、緩み側となる始動時のスパン▲1▼の張力および補機駆動時のスパン▲2▼の張力をTLとすると、両スパン▲1▼,▲2▼の始動時および補機駆動時の張力差ΔTは前記図8および図9の場合の張力差ΔTに比べて大幅に小さくなる。
【0010】
しかしながら、オートテンショナは経年変化によるベルトの伸びを補償して張力を一定に保持する機能を有するが、このオートテンショナを廃止するとベルトの伸びを補償することができないため短時間でベルトの伸びが使用限界に達してしまう問題がある。使用限界を延ばすためにベルトの初期張力を高めに設定すると、ベルトの使用開始直後の張力が過剰になって耐久性に悪影響が出たり、動力伝達時の摩擦力が増加したりする問題がある。
【0011】
上記特開2001−59555号公報に記載されたものは、第1、第2のオートテンショナでベルトの張力変動およびベルトの経年変化による伸びを補償するとともに、モータ・ジェネレータによるエンジンの始動時に第2のオートテンショナをロックすることによりベルトのスリップを防止することが可能であるが、2個のオートテンショナを必要とするために部点数が増加してコストが嵩む問題がある。
【0012】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、エンジンのベルトテンショナ装置において、部品点数の増加を抑えながら、両方向に回転するベルトの張力変動を最小限に抑えて耐久性の向上を図ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、エンジンのクランクシャフトと少なくともスタータモータを含む補機類との間で駆動力を伝達するベルトに所定の張力を付与するためのエンジンのベルトテンショナ装置において、ベルトの張力に応じてテンショナ本体が作動して該ベルトを所定の張力にするオートテンショナモードと、ベルトの張力が作用してもテンショナ本体が作動しないようにロックする固定テンショナモードとを切換可能なテンショナ装置と、前記エンジンの運転中はテンショナ装置を固定テンショナモードに保持し、前記エンジンの停止時にテンショナ装置をオートテンショナモードに切り換える制御手段とを備え、前記テンショナ本体は、該テンショナ本体を伸張する方向に付勢する第1のスプリングと、該テンショナ本体が収縮すると容積が縮小し、該テンショナ本体が伸張すると容積が拡大する第1液室と、前記第1液室との間で液体の移動が可能な第2液室と、前記第1液室と前記第2液室とを接続する連通路と、前記連通路に設けられた制御弁と、前記制御弁を閉弁方向に付勢する第2のスプリングと、ソレノイドと、前記ソレノイドに通電すると前記制御弁を開弁状態に保持するように作動する押圧ロッドとを備え、前記ソレノイドは、前記制御手段からの通電により前記制御弁を開弁してテンショナ装置をオートテンショナモードに保持することを特徴とするエンジンのベルトテンショナ装置が提案される。
【0014】
上記構成によれば、オートテンショナモードおよび固定テンショナモードを切換可能なテンショナ装置を、エンジンの運転中は固定テンショナモードに保持するので、クランクシャフトで補機類を駆動するときもスタータモータでエンジンをクランキングするときも、テンショナ本体を作動不能にロックしてベルトのスリップを防止しながら張力の変動を防止することができ、またエンジンの停止時にテンショナ装置をオートテンショナモードに切り換えるので、その度にベルトの経年変化による伸縮を補償して張力の変動を防止することができる。このように、単一のテンショナ装置を用いた部品点数の少ない構造で、エンジンの運転時およびエンジンの始動時のベルトの張力変動と、経年変化によるベルトの張力の変動とを吸収して耐久性を向上させることができる。
また、前記テンショナ本体は、該テンショナ本体を伸張する方向に付勢する第1のスプリングと、該テンショナ本体が収縮すると容積が縮小し、該テンショナ本体が伸張すると容積が拡大する第1液室と、前記第1液室との間で液体の移動が可能な第2液室と、前記第1液室と前記第2液室とを接続する連通路と、前記連通路に設けられた制御弁と、前記制御弁を閉弁方向に付勢する第2のスプリングと、ソレノイドと、前記ソレノイドに通電すると前記制御弁を開弁状態に保持するように作動する押圧ロッドとを備え、前記ソレノイドは、前記制御手段からの通電により前記制御弁を開弁してテンショナ装置をオートテンショナモードに保持するから、ソレノイドの励磁状態では、開弁状態にある制御弁を介して第1液室および第2液室間の双方向への液体の移動が許容され、ソレノイドを消磁すると、第2のスプリングの弾発力で制御弁が閉弁し、第1液室および第2液室の相互間の液体の移動が阻止されてテンショナ本体が伸縮不能にロックされる。
【0018】
た請求項に記載された発明によれば、請求項の構成に加えて、制御手段は、エンジンの停止時に所定時間だけソレノイドに通電することを特徴とするエンジンのベルトテンショナ装置が提案される。
【0019】
尚、実施例の空調用コンプレッサ13、ウオータポンプ14およびモータ・ジェネレータ15は本発明の補機類に対応し、実施例のオイルロックテンショナ17は本発明のテンショナ装置に対応し、実施例の電子制御ユニットUは本発明の制御手段に対応する。また、実施例のスプリング59,スプリング65は、本発明の第1のスプリング,第2のスプリングにそれぞれ対応する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0021】
図1〜図6は本発明の第1実施例を示すもので、図1はハイブリッド車両用のエンジンの正面図、図2は図1の2部拡大断面図、図3はオイルロックテンショナの制御ルーチンのフローチャート、図4はオイルロックテンショナのソレノイドをオンするタイミングを示すタイムチャート、図5はオイルロックテンショナによるベルトの静止張力調整機能を説明する図、図6は第1実施例の効果を説明する図である。
【0022】
図1に示すように、ハイブリッド車両用のエンジンEはエンジンブロック11の側面に取り付けた補機ブラケット12を備えており、補機ブラケット12に空調用コンプレッサ13、ウオータポンプ14、モータ・ジェネレータ15、アイドラプーリ16およびオイルロックテンショナ17が支持される。エンジンEのクランクシャフト18に設けたクランクプーリ19と、空調用コンプレッサ13の回転軸20に設けた空調用コンプレッサプーリ21と、ウオータポンプ14の回転軸22に設けたウオータポンププーリ23と、モータ・ジェネレータ15の回転軸24に設けたモータ・ジェネレータプーリ25と、回転軸26に設けた前記アイドラプーリ16と、オイルロックテンショナ17に設けたテンショナプーリ27とにベルト28が巻き掛けられる。クランクプーリ19、空調用コンプレッサプーリ21、ウオータポンププーリ23、モータ・ジェネレータプーリ25、アイドラプーリ16およびテンショナプーリ27の回転方法は矢印で示される。
【0023】
オイルロックテンショナ17は伸縮自在なテンショナ本体29を備えており、その上端が支点ピン30を介して補機ブラケット12に枢支される。補機ブラケット12には支点ピン31を介してベルクランク32の中間部が枢支されており、ベルクランク32の一端部がピン33を介してテンショナ本体29の下端に枢支され、ベルクランク32の他端部に回転軸34を介して前記テンショナプーリ26が枢支される。
【0024】
エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ35と、モータ・ジェネレータ15の回転数を検出するモータ・ジェネレータ回転数センサ36と、イグニッションスイッチ37とからの信号が入力される電子制御ユニットUは、燃料噴射弁38の燃料噴射量と、点火プラグ39の点火時期と、モータコントローラ40およびインバータ41を介してのモータ・ジェネレータ15の作動と、オイルロックテンショナ17のテンショナ本体29の伸縮のロックとを制御する。エンジンEの運転時にモータ・ジェネレータ15はジェネレータとして機能して発電あるいは回生制動を司り、エンジンEのアイドル停止後にモータ・ジェネレータ15はスタータモータとして機能してエンジンEを再始動し、車両の加速時にモータ・ジェネレータ15はアシストモータとして機能してエンジンEをアシストする。
【0025】
図2に示すように、オイルロックテンショナ17のテンショナ本体29は、補機ブラケット12に接続されるアッパーハウジング51の内周面に、ベルクランク32に接続されるロアハウジング52の外周面を摺動自在に嵌合させてなり、ロアハウジング52に一体に形成したシリンダ53にアッパーハウジング51に一体に形成したピストン54が摺動自在に嵌合する。シリンダ53およびピストン54によって区画された第1液室55と、シリンダ53の外側に区画された第2液室56とがロアハウジング52に形成した連通路58を介して接続されており、第1液室55の全部および第2液室56の一部に液体が封入される。テンショナ本体29が収縮すると第1液室55の容積が縮小し、テンショナ本体29が伸長すると第1液室55の容積が拡大する。
【0026】
アッパーハウジング51およびロアハウジング52は第2液室56に収納したスプリング59で相互に離反する方向(つまりテンショナ本体29が伸長する方向)に付勢されており、このスプリング59の弾発力はテンショナプーリ27をベルト28に押し付けて張力を付与する方向に作用する。
【0027】
連通路58には、円錐状の弁座63に向けて球状の弁体64をスプリング65で付勢した制御弁66と、絞り67とが設けられる。制御弁66の開閉を制御するアクチュエータ68は、ソレノイド69と、ソレノイド69により作動するアマチュア70と、アマチュア70と一体に設けられた押圧ロッド71と、アマチュア70を付勢するスプリング72とからなる。
【0028】
アクチュエータ68のソレノイド69を励磁すると、アマチュア70が左動して押圧ロッド71が弁体64を弁座63から離反させ、制御弁66は強制的に開弁状態に保持される。従って、ソレノイド69の励磁状態では、開弁状態にある制御弁66を介して第1液室55および第2液室56間の双方向への液体の移動が許容される。一方、ソレノイド69を消磁すると、スプリング65の弾発力でアマチュア70と共に押圧ロッド71が右動して弁体64が弁座63に着座し、制御弁66は閉弁する。従って、ソレノイド69の消磁状態では、第1液室55および第2液室56の相互間の液体の移動が阻止されてテンショナ本体29が伸縮不能にロックされる
【0029】
次に、上記構成を備えた本発明の第1実施例の作用を説明する。
【0030】
図3(A)のフローチャートのステップS1でイグニッションスイッチ37がオフされると、ステップS2で所定時間の経過後にオイルロックテンショナ17のソレノイド69に所定時間通電し、アマチュア70と共に押圧ロッド71を左動させて弁体64を弁座63から離反させることで、制御弁66を強制的に開弁状態にしてテンショナ本体29を伸縮自在な状態にする。一方、前記ステップS1でイグニッションスイッチ37がオンしていれば、即ちエンジンEの運転中は、オイルロックテンショナ17のソレノイド69に対する通電を停止し、スプリング65の弾発力で弁体64を弁座63に着座させてテンショナ本体29を伸縮不能にロックする。
【0031】
上記図3(A)の制御に代えて、図3(B)のフローチャートに示す制御を採用しても良い。即ち、ステップS11でイグニッションスイッチ37がオフされ、ステップS12でエンジン回転数センサ35およびモータ・ジェネレータ回転数センサ36出力からベルト28が停止したことが確認されると、ステップS13でオイルロックテンショナ17のソレノイド69に所定時間通電してテンショナ本体29を伸縮自在な状態にする。一方、前記ステップS11でイグニッションスイッチ37がオンしているか、前記ステップS12でベルト28が停止したことが確認されなければ、即ちエンジンEの運転中は、オイルロックテンショナ17のソレノイド69に対する通電を停止してテンショナ本体29を伸縮不能にロックする。
【0032】
図4に示すように、イグニッションスイッチ37がオフしてエンジンEが停止する度にオイルロックテンショナ17のソレノイド69が所定時間励磁されるので、ベルト28の停止状態での張力がオイルロックテンショナ17のスプリング59の弾発力によって決まる所定の静止張力に設定される。
【0033】
第1実施例ではエンジンEの運転中にオイルロックテンショナ17は伸縮不能にロックされるため、図5に示すように、使用に伴ってベルト28が伸長するとベルト28の静止張力は次第に低下し、逆にベルト28が収縮するとベルト28の静止張力は次第に増加する。しかしながら、エンジンEが停止するとオイルロックテンショナ17が伸縮自在になってオートテンショナの機能を発揮することで、ベルト28の伸長や収縮による静止張力の変動を吸収し、ベルト28の寿命が尽きるまでの長期間に亘って最適な静止張力を与え続けることができる。
【0034】
ところで第1実施例では、イグニッションスイッチ37のオン時、即ちエンジンEの運転中にオイルロックテンショナ17を伸縮不能にロックしてオートテンショナの機能を意識的に発揮させないことで、ベルト28の各スパンの張力変動を抑制することができる。以下、その理由を説明する。
【0035】
図6(A)には第1実施例のベルト伝動系の模式図が示される。同図において本発明の作用に直接影響のないアイドラプーリ16は省略されており、また空調用コンプレッサプーリ21およびウオータポンププーリ23は便宜的に1個の補機プーリ21,23として纏めて示されている。
【0036】
図6(B)に鎖線で示す張力T0はイグニッションスイッチ37のオフ時にオイルロックテンショナ17に一時的にオートテンショナの機能を発揮させることで調整したベルト28の静止張力である。この状態からエンジンEでモータ・ジェネレータ15を含む補機を駆動した場合、クランクプーリ19および補機プーリ21,23間のスパン▲1▼の張力が静止張力T0から増加し、テンショナプーリ27の両側のスパン▲3▼,▲4▼の張力が静止張力T0から減少する。
【0037】
一方、ベルト28の張力が静止張力T0である状態からモータ・ジェネレータ15をモータとして駆動してエンジンEを始動する場合、補機プーリ21,23およびモータ・ジェネレータプーリ25間のスパン▲2▼の張力が静止張力T0から減少し、テンショナプーリ27の両側のスパン▲3▼,▲4▼の張力が静止張力T0から増加する。
【0038】
しかして、補機駆動時におけるスパン▲1▼の張力が最大張力THとなり、エンジン始動時におけるスパン▲2▼の張力が最小張力TLとなり、最大張力THおよび最小張力TL間の張力差ΔTは比較的に小さく抑えられる。
【0039】
それに対して、図6(C)は補機駆動時およびエンジン始動時の両方においてオイルロックテンショナ17を伸縮可能なオートテンショナとして機能させた場合を示すもので、この場合にはオイルロックテンショナ17の両側のスパン▲3▼,▲4▼の張力は静止張力T0となる。従って、最大張力THである補機駆動時のスパン▲1▼の張力と、最小張力TLであるエンジン始動時のスパン▲2▼の張力との張力差ΔTは、図6(B)で説明した第1実施例の張力差ΔTに比べて大幅に増加する。
【0040】
以上のように、第1実施例によれば、イグニッションスイッチ37のオン時、即ちエンジンEの運転中にオイルロックテンショナ17を伸縮不能にロックすることで、最小個数である単一のオイルロックテンショナ17を設けるだけで、ベルト28の各スパン間の張力差ΔTを減少させて該ベルト28の耐久性を確保するとともに、各プーリを支持する回転軸の軸受けの負荷を軽減することができる。また長期の使用に伴う経時変化でベルト28が伸縮したような場合でも、イグニッションスイッチ37のオフ時にオイルロックテンショナ17を一時的にオートテンショナとして機能させることで、ベルト28の伸縮を吸収して安定した静止張力T0を与えることができる。これにより、将来のベルト28の伸びを考慮して最初にベルト28を組み付ける際に大きな静止張力T0を与える必要がなくなり、動力伝達時の摩擦力を低減して燃料消費量の節減を図ることができる。
【0041】
またイグニッションスイッチ37のオン時、即ちエンジンEの運転中にはソレノイド69を励磁する必要はなく、イグニッションスイッチ37のオフ時のうちの所定時間だけソレノイド69を励磁すれば良いため、ソレノイド69の消費電力を最小限に抑えることができる。
【0042】
次に、図7に基づいて本発明の第2実施例を説明する。
【0043】
第2実施例はモータ・ジェネレータ15以外の補機類を備えていない場合であって、図7(A)に示すように、クランクプーリ19とモータ・ジェネレータプーリ25とテンショナプーリ27とにベルト28が巻き掛けられる。そして第1実施例と同様に、イグニッションスイッチ37のオフ時に一時的にオイルロックテンショナ17のソレノイド69を励磁してオートテンショナの機能を発揮させ、ベルト28の張力を所定の静止張力T0に調整する。
【0044】
図7(B)に示すように、エンジンEでモータ・ジェネレータ15を駆動する場合、クランクプーリ19およびモータ・ジェネレータプーリ27間のスパン▲1▼の張力が静止張力T0から増加し、テンショナプーリ27の両側のスパン▲3▼,▲4▼の張力が静止張力T0から減少する。一方、モータ・ジェネレータ15をモータとして駆動してエンジンEを始動する場合、クランクプーリ19およびモータ・ジェネレータプーリ27間のスパン▲1▼の張力が静止張力T0から減少し、テンショナプーリ27の両側のスパン▲3▼,▲4▼の張力が静止張力T0から増加する。従って、最大張力THと最小張力TLの張力差ΔTは、クランクプーリ19およびモータ・ジェネレータプーリ27間のスパン▲1▼において発生する。
【0045】
それに対して、図7(C)は補機駆動時およびエンジン始動時の両方においてオイルロックテンショナ17を伸縮可能なオートテンショナとしての機能させた場合を示すもので、この場合にはオイルロックテンショナ17の両側のスパン▲3▼,▲4▼の張力は静止張力T0となる。従って、最大張力THである補機駆動時のスパン▲1▼の張力と、最小張力TLであるエンジン始動時のスパン▲1▼の張力との張力差ΔTは、図7(B)で説明した第2実施例における張力差ΔTに比べて大幅に増加する。
【0046】
以上のように、第2実施例によっても上述した第1実施例と同様の作用効果を達成することができる。
【0047】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0048】
例えば、実施例ではモータ・ジェネレータ15をスタータモータとして使用しているが、始動専用のスタータモータを用いることも可能である。
【0049】
また実施例のオイルロックテンショナ17の制御弁66の構造は任意であり、ロータリ弁等の他種の弁を採用することができる。
【0050】
またクランクプーリ、モータ・ジェネレータプーリ、テンショナプーリ、補機プーリ等は、実施例以外の任意のレイアウトが可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、オートテンショナモードおよび固定テンショナモードを切換可能なテンショナ装置を、エンジンの運転中は固定テンショナモードに保持するので、クランクシャフトで補機類を駆動するときもスタータモータでエンジンをクランキングするときも、テンショナ本体を作動不能にロックしてベルトのスリップを防止しながら張力の変動を防止することができ、またエンジンの停止時にテンショナ装置をオートテンショナモードに切り換えるので、その度にベルトの経年変化による伸縮を補償して張力の変動を防止することができる。このように、単一のテンショナ装置を用いた部品点数の少ない構造で、エンジンの運転時およびエンジンの始動時のベルトの張力変動と、経年変化によるベルトの張力の変動とを吸収して耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ハイブリッド車両用のエンジンの正面図
【図2】 図1の2部拡大断面図
【図3】 オイルロックテンショナの制御ルーチンのフローチャート
【図4】 オイルロックテンショナのソレノイドをオンするタイミングを示すタイムチャート
【図5】 オイルロックテンショナによるベルトの静止張力調整機能を説明する図
【図6】 第1実施例の効果を説明する図
【図7】 第2実施例の説明図
【図8】 第1従来例の説明図
【図8】 第1従来例の説明図
【図9】 第2従来例の説明図
【図10】 第3従来例の説明図
【符号の説明】
13 空調用コンプレッサ(補機類)
14 ウオータポンプ(補機類)
15 モータ・ジェネレータ(補機類)
17 オイルロックテンショナ(テンショナ装置)
18 クランクシャフト
28 ベルト
29 テンショナ本体
37 イグニッションスイッチ(主作動スイッチ)
59 スプリング(第1のスプリング)
65 スプリング(第2のスプリング
69 ソレノイド
E エンジン
U 電子制御ユニット(制御手段)

Claims (2)

  1. エンジン(E)のクランクシャフト(18)と少なくともスタータモータを含む補機類(13,14,15)との間で駆動力を伝達するベルト(28)に所定の張力を付与するためのエンジンのベルトテンショナ装置において、
    ベルト(28)の張力に応じてテンショナ本体(29)が作動して該ベルト(28)を所定の張力にするオートテンショナモードと、ベルト(28)の張力が作用してもテンショナ本体(29)が作動しないようにロックする固定テンショナモードとを切換可能なテンショナ装置(17)と、
    前記エンジン(E)の運転中はテンショナ装置(17)を固定テンショナモードに保持し、前記エンジン(E)の停止時にテンショナ装置(17)をオートテンショナモードに切り換える制御手段(U)とを備え、
    前記テンショナ装置(17)は、前記テンショナ本体(29)を伸張する方向に付勢する第1のスプリング(59)と、該テンショナ本体(29)が収縮すると容積が縮小し、該テンショナ本体(29)が伸張すると容積が拡大する第1液室(55)と、前記第1液室(55)との間で液体の移動が可能な第2液室(56)と、前記第1液室(55)と前記第2液室(56)とを接続する連通路(58)と、前記連通路(58)に設けられた制御弁(66)と、前記制御弁(66)を閉弁方向に付勢する第2のスプリング(65)と、ソレノイド(69)と、前記ソレノイド(69)に通電すると前記制御弁(66)を開弁状態に保持するように作動する押圧ロッド(71)とを備え、
    前記ソレノイド(69)は、前記制御手段(U)からの通電により前記制御弁(66)を開弁してテンショナ装置(17)をオートテンショナモードに保持することを特徴とするエンジンのベルトテンショナ装置。
  2. 前記制御手段(U)は、前記エンジン(E)の停止時に所定時間だけ前記ソレノイド(69)に通電することを特徴とする請求項1に記載のエンジンのベルトテンショナ装置。
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