JP3669171B2 - 燃焼装置ならびにそれを備える給湯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼部に空気を供給して燃焼運転を行う燃焼装置ならびにこの燃焼装置を備える給湯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば液体燃料気化式の燃焼装置においては、灯油等の液体燃料を気化器でガス状に気化し、空気と混合させてバーナで燃焼させるようになっている。前記液体燃料は、定流量ポンプを用い、前記空気は、送風機を用いている。
【0003】
なお、前述の定流量ポンプは、パルス幅制御によりオン・オフ制御される。このパルス幅制御では、必要燃焼能力に応じて、オン・オフ動作周期を変えずにオン時間とオフ時間との比率を可変するようになっている。通常、必要燃焼能力が大きくなると、オン時間を長くしてオフ時間を短くし、必要燃焼能力が小さくなると、オン時間を短くしてオフ時間を長くする。但し、オン・オフ動作周期は、実験により求めた所要値に固定している。
【0004】
このような燃焼装置を利用した給湯装置では、給湯要求されたとき、要求給湯流量、要求給湯温度および入水温度などに基づき、必要燃焼能力つまり必要出力号数を演算し、この必要出力号数に応じて、送風機ならびに定流量ポンプを制御して燃焼装置を燃焼動作させるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来例では、定流量ポンプのオン・オフ動作周期を固定していたために、次のような不具合が発生する。
【0006】
すなわち、定流量ポンプは、プランジャ等の機械的部分を有しているために、製品ごとの動作特性にばらつきが生じる。この特性ばらつきは、特に燃焼能力を小とする場合のようにオン時間を短くする場合に影響を受けやすく、燃料供給量が不正確になって、燃焼状態が不安定になる場合が起こり得る。
【0007】
ここで、仮に、オン・オフ動作周期を短くする側に決定すると、上述した不具合が顕著に発生する。これとは逆に、オン・オフ動作周期を長くする側に決定すると、燃焼能力を大とする場合に、オン時間を長くするもののそれ以上にオフ時間つまり燃料供給停止時間が長くなってしまうために、バーナの燃焼炎にちらつきが発生しやすくなる。
【0008】
このような事情に鑑み、本発明では、燃焼装置において、定流量ポンプごとの特性ばらつきに伴う燃料供給量のばらつきを抑制するとともに、燃焼炎のちらつき防止を図り、燃焼状態を安定化できるようにすることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、定流量ポンプのオン・オフ動作周期を従来のように固定とせずに、必要燃焼能力が大側のとき通風量制御用の弁体を開側に動作するとともにその開動作に同期して定流量ポンプのオン・オフ動作周期を短く設定する一方、必要燃焼能力が小側のとき前記弁体を閉側に動作するとともにその閉動作に同期して前記定流量ポンプのオン・オフ動作周期を長く設定することによって上述の課題を解決する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細について図面に示す実施形態に基づいて説明する。ここでは、燃焼装置単体ではなく、燃焼装置を備えた給湯装置を例示する。
【0011】
図1および図2において、Aは燃焼装置の全体を示し、この燃焼装置Aは、熱交換缶体10と、気化器20と、燃焼部に相当するバーナ30と、燃料供給手段40と、空気供給手段に相当する送風機50と、通風量制御体に相当するダンパ60とを備えている。この燃焼装置Aに対し、給湯回路70と、風呂追い炊き回路80と、コントローラ90とが付設されており、これによって給湯装置が構成される。
【0012】
熱交換缶体10の下部には、気化器20とバーナ30とが配置されていて、この熱交換缶体10の上部には、給湯回路70および風呂追い炊き回路80の各熱交換管路72,82が貫通されている。
【0013】
気化器20は、燃料供給手段40から供給される灯油などの液体燃料を気化するものであり、拡散羽根21、気化ヒータ22、気化器温度センサ23、気化壁面24、混合室25、混合室ヒータ26、モータ27、給気温度センサ28、モータ回転数センサ29などを備えている。この気化器20では、供給されてきた液体燃料を拡散羽根21をモータ27で回転させることによってその周囲の気化壁面24に飛散させるとともに、気化ヒータ22および混合室ヒータ26での熱によって気化させるようになっている。なお、給気温度センサ28は、気化器20やバーナ30に送る空気の温度を検出するものである。
【0014】
バーナ30は、気化器20から供給される気化燃料と送風機50から供給される空気とを点火燃焼させるもので、点火器31と炎検出器32とから構成されている。
【0015】
燃料供給手段40は、不図示の液体燃料タンクからの液体燃料を気化器20に供給するものであり、汲み上げポンプ41、サブタンク42、定流量ポンプ43などを備えている。なお、定流量ポンプ43の詳細な構造は周知であるので図示を省略している。
【0016】
送風機50は、気化器20およびバーナ30に対して空気を供給するものであり、送風ファン51、駆動モータ52、回転数センサ53などを備えている。
【0017】
ダンパ60は、気化器20と送風機50とを連通する通風路の途中に設けられており、該通風路の開度を制御して前記燃焼部であるバーナ30への通風量を制御するものである。このダンパ60は、不図示のモータ等の駆動手段によって通風路を閉止する位置(図2実線参照)と、通風路を開放する位置(図2破線参照)との2状態に変位させられる。ここでのダンパ60は、閉止位置において通風路を完全に閉塞せずに所要の通風を可能とする状態になり、開放位置において通風路を開放して最大の通風を可能とする状態になる。そして、このダンパ60の開閉位置を検知するためにダンパ60の閉止位置側に、リミットスイッチ62が設けられている。このリミットスイッチ62は、ダンパ60が閉止位置に位置するときには接点が閉じてオン状態となり、開放位置に位置するときには接点が開いてオフ状態となる。
【0018】
このような構成要素10〜60を有する燃焼装置Aでは、燃料供給手段40から供給される灯油等の液体燃料を気化器20で気化し、この気化燃料を送風機50から供給される空気と所要比率で混合してバーナ30に送って燃焼させるようになっている。
【0019】
この燃焼熱によって熱交換缶体10内の給湯回路70および風呂追い炊き回路80の各熱交換管路72,82を通る水が加熱される。なお、送風機50から供給されてダンパ60を通過した空気は、一次空気として気化器20側に送られる他、二次空気としてバーナ30に直接的に供給され、二次空気の一部は無効空気となって熱交換缶体10内を通過する。
【0020】
給湯回路70は、例えば水道水などを燃焼装置Aで加熱された湯と水道水の一部とを混合して給湯カラン(破線参照)などから出湯させるバイパスミキシング構造である。この給湯回路70は、入水管路71、熱交換管路72、出湯管路73、バイパス管路74、給湯管路75、入水流量センサ76、入水温度センサ77、出湯温度センサ78、給湯温度センサ79などを備えている。給湯管路75は途中で一般給湯管路75aと風呂落とし込み給湯管路75bとに分岐されている。
【0021】
風呂追い炊き回路80は、不図示の浴槽の浴槽水を取り出して燃焼装置Aで所要温度に加熱して浴槽に戻すもので、給湯回路70から所要温度の湯を混合させることもできるような構造となっている。この風呂追い炊き回路80は、風呂戻り管路81、熱交換管路82、風呂往き管路83、バイパス管路84、循環ポンプ86などを備えている。
【0022】
コントローラ90は、給湯運転を実行する。この給湯運転では、例えば給湯カランが開放されるなどして入水量センサ76で最低動作水量MOQ以上を検出したときに、前記各センサから入力される要求給湯流量、要求給湯温度、入水温度のデータに基づき必要出力号数つまり必要燃焼熱量を演算し、その必要出力号数に対応した燃焼制御を行う。この燃焼制御では、FF(フィードフォワード)制御による燃焼熱量にFB(フィードバック)制御による燃焼熱量を加えることで実際の燃焼熱量が必要燃焼熱量(必要出力号数)に近付くように、ダンパ60の開閉動作と、送風機50による空気供給量(送風ファン51による回転数)と、定流量ポンプ43による燃料供給量とを制御する。
【0023】
この実施形態では、演算した必要出力号数つまり総燃焼熱量(FF燃焼号数+FB燃焼号数)を、予め決定した第1基準値と第2基準値(第1基準値+所要値)とに対してそれぞれ比較し、ダンパ60を開放位置と閉止位置とのどちらにするかを決定する。このように2つの基準値を用いる理由は、図3に示すように、必要出力号数が第1基準値(例えば10号)以上になっても第2基準値(例えば12号)以上とならない場合はダンパ60を閉止位置に保持し、また、必要出力号数が第2基準値(例えば12号)以下となっても第1基準値(例えば10号)以下になるまでは開放状態を保持することでダンパ60の切り換えにおけるヒステリシスを実質的に大きくし、ダンパ60が頻繁に開閉するハンチング現象の発生を防止するためである。
【0024】
また、この実施形態では、定流量ポンプ43をオン・オフ制御するとともに必要出力号数(必要燃焼能力)に応じてオン時間とオフ時間との比率を可変するパルス幅制御方式としている。
【0025】
ここで、本発明の特徴は、必要出力号数に応じてダンパ60を開放状態と閉止状態とに切り換えることに関連して、この状態別に定流量ポンプ43のオン・オフ動作周期の長さを変更するようにしていることである。以下において詳細に説明する。
【0026】
すなわち、コントローラ90は、図4の制御フローで示すように、ステップn1で必要出力号数を演算し、ステップn2で前記演算結果によりダンパ60を開放するか否かを判定し、開放するときは、ステップn3で定流量ポンプ43を第1パルス幅制御モードで制御する一方、閉止するときは、ステップn4で定流量ポンプ43を第2パルス幅制御モードで制御する。
【0027】
第1パルス幅制御モードでは、定流量ポンプ43のオン・オフ動作周期を、図5(a),(b)に示すように、周波数24Hzと短い第1周期T24とし、第2パルス幅制御モードでは、図6(a),(b)に示すように、周波数12Hzと長い第2周期T12とする。
【0028】
これらいずれのモードでも、必要出力号数が大つまりダンパ60を開放するときには、図5(a)および図6(a)に示すように、定流量ポンプ43を駆動するオン時間Tonを長くし、必要出力号数が小つまりダンパ60を閉止するときには、図5(b)および図6(b)に示すように、定流量ポンプ43を駆動するオン時間Tonを短くする。
【0029】
このように、ダンパ60の閉止状態では定流量ポンプ43のオン・オフ動作周期を12Hzと低周波にし、ダンパ60の開放状態では24Hzと高周波にするから、図3の縦軸で示すオン時間のパルス幅をダンパ60の閉止状態と開放状態とで同一に設定していても、燃料供給量はダンパ60の閉止状態のときに開放状態のときの半分となる。但し、図3は単なる一例であって、ダンパ60が開放状態における必要出力号数とパルス幅との関係と、閉止状態における必要出力号数とパルス幅との関係を異ならせていても構わない。
【0030】
このようにした本実施形態での優位性について、図7および図8を参照して説明する。
【0031】
まず、従来例1として、図7(a)で示すように定流量ポンプ43を例えば24Hzに固定したオン・オフ動作周期T24でのみパルス幅制御すると仮定する。このようにオン・オフ動作周期T24を24Hzと短く固定していると、ダンパ60が閉止状態で必要出力号数が下限側となる場合に、それに見合う定流量ポンプ43のオン時間Ton24が非常に短くなるために、定流量ポンプ43がそのオン時間Ton24に合わせて正確に動作できなくなる場合があって、燃料供給量が不正確かつ不安定になることが起こり得る。
【0032】
また、従来例2として、図8(a)で示すように定流量ポンプ43を例えば12Hzに固定したオン・オフ動作周期T12でのみパルス幅制御すると仮定する。このようにオン・オフ動作周期T12を12Hzと長く固定していると、ダンパ60が開放状態で必要出力号数が上限側となる場合に、それに見合う定流量ポンプ43のオン時間Ton12が長くなるものの、オフ時間Toff12つまりバーナ30への燃料供給停止時間が非常に長くなるために、バーナ30の燃焼炎にちらつきが発生しやすくなることが起こり得る。
【0033】
但し、従来例1の場合、従来例2の不具合を解消でき、従来例2の場合だと、従来例1の不具合を解消できる。このような事象に着目し、本実施形態では、従来例1と2を組み合わせるようにしている。
【0034】
本実施形態では、ダンパ60を閉止状態とする場合に、図7(b)で示すように、オン・オフ動作周期を12Hzの第1周期T12にと長くするから、必要出力号数が下限側となる場合でも、オン・オフ動作周期を長くした分だけ必要出力号数に見合う定流量ポンプ43のオン時間Ton12が長くなる。つまり、図7(a)の2×Ton24=図7(b)のTon12となり、本実施の形態における1回のオン時間Tonが従来例1の2倍となるために、定流量ポンプ43の動作特性ばらつきの影響を無くせるようになり、燃料供給量を正確かつ安定にできる結果となる。
【0035】
また、本実施形態では、ダンパ60を開放状態とする場合に、図8(b)で示すように、オン・オフ動作周期を24Hzの第2周期T24にと短くするから、必要出力号数が上限側となる場合でも、周期が短くなった分だけ必要出力号数に見合う定流量ポンプ43のオフ時間Toff24が短くなる。つまり、図8(a)のToff12=図8(b)のToff24×2となり、本実施の形態における1回のToff時間が従来例2の半分となり、したがって、バーナ30の燃料供給停止時間が短くなるから、燃焼炎のちらつきの発生が防止される。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態では、必要出力号数が大でダンパ60を開放状態とするときの定流量ポンプ43のオン・オフ動作周期を短くし、必要出力号数が小でダンパ60を閉止状態とするときのオン・オフ動作周期を長くすることにより、常に燃焼動作を安定化できるようになる。
【0037】
この他、上記実施の形態では、定流量ポンプ43のオン・オフ動作周期の長さを切り換えるタイミングと、ダンパ60による送風風量を切り換えるタイミングとを同期させているので、ダンパ60の切り換え時に過渡的に空燃比が一時的に崩れる現象と、定流量ポンプ43のオン・オフ動作周期の切り換え時に過渡的に燃料供給量が変化して空燃比が一時的に崩れる現象とが同時に発生することになり、これらの切り換えタイミングを無関係にする場合に比べて、空燃比の一時的な崩れ現象の発生回数を少なくできるようになる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
【0040】
(2) 上記実施形態では、ダンパ60の開閉が必要出力号数との関係で図3で示すようにヒステリシス特性を有しているが、このようなヒステリシス特性を有しないダンパ60であっても上記実施形態と同様に本発明を適用することができる。
【0041】
(3) 上記実施形態では、第1パルス幅制御モードでのオン・オフ動作周期の上限を24Hz、第2パルス幅制御モードでのオン・オフ動作周期の下限を12Hzとしているが、これに限定されるものではない。
【0042】
【発明の効果】
本発明にかかる燃焼装置では、定流量ポンプのオン・オフ動作周期を従来のように固定とせずに、必要燃焼能力に応じて可変するようにしているから、必要燃焼能力小側における定流量ポンプごとの動作特性ばらつきの影響を無視できるとともに、必要燃焼能力大側における燃料供給停止時間を必要以上に長引かせることを防止することができる。したがって、必要燃焼能力に応じて燃焼部に対して最適な量の燃料供給が可能となるとともに、燃料途切れによる燃焼炎のちらつきの発生を防止できるようになるなど、常に燃焼状態を安定化できるようになる。
【0043】
しかも、本発明では、必要燃焼能力に応じて弁体を開閉して燃焼部への通風量を変更するとともに、その開閉動作に同期して定流量ポンプのオン・オフ動作周期を変更するようにしており、それらの変更タイミングを同期させるようにしているから、通風量変更に伴い過渡的に空燃比が一時的に崩れる現象と、燃料供給量変更に伴い空燃比が一時的に崩れる現象とを同時に発生させることができ、これらの変更タイミングを無関係にする場合に比べて、空燃比の一時的な崩れ現象の発生回数を少なくできるようになる。
【0044】
請求項2の発明にかかる給湯装置では、上記のような燃焼装置を有しているから、安定した温度の給湯が可能になるなど、信頼性の向上に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る燃焼装置を備えた給湯装置の全体を示す図
【図2】図1中の燃焼装置を示す図
【図3】パルス幅制御と出力号数とにおいてダンパの開閉状態との関係を示す図
【図4】給湯装置の動作説明用の制御フローを示す図
【図5】第1パルス幅制御モードでの定流量ポンプの動作説明に供する図
【図6】第2パルス幅制御モードでの定流量ポンプの動作説明に供する図
【図7】従来と本実施の形態とのパルス幅制御の比較の説明に供する図
【図8】従来と本実施の形態とのパルス幅制御の比較の説明に供する図
【符号の説明】
30 バーナ
43 定流量ポンプ
50 送風機
60 ダンパ
90 コントローラ
Claims (2)
- 燃焼部に対して空気を供給する空気供給手段と、空気供給手段と燃焼部との間に設けられて燃焼部への空気通風量を制御する弁体と、燃焼部に対して燃料を供給する定流量ポンプと、燃焼動作時に定流量ポンプをオン・オフ制御するとともに弁体の開度を制御する他、必要燃焼能力に応じてオン時間とオフ時間との比率を可変する管理手段とを含み、
前記管理手段は、必要燃焼能力が大側のとき前記弁体を開側に動作するとともにその開動作に同期して定流量ポンプのオン・オフ動作周期を短く設定する一方、必要燃焼能力が小側のとき前記弁体を閉側に動作するとともにその閉動作に同期して前記定流量ポンプのオン・オフ動作周期を長く設定するものである、ことを特徴とする燃焼装置。 - 請求項1の燃焼装置と、一端側から他端側へ水が通過させられかつ途中部が前記燃焼装置の燃焼部に対して貫通される熱交換管路とを備える、ことを特徴とする給湯装置。
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