JP3668802B2 - 原子層成長による薄膜形成方法 - Google Patents
原子層成長による薄膜形成方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3668802B2 JP3668802B2 JP2002187362A JP2002187362A JP3668802B2 JP 3668802 B2 JP3668802 B2 JP 3668802B2 JP 2002187362 A JP2002187362 A JP 2002187362A JP 2002187362 A JP2002187362 A JP 2002187362A JP 3668802 B2 JP3668802 B2 JP 3668802B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thin film
- atomic layer
- growth
- layer growth
- plane
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Recrystallisation Techniques (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイス等を構成する量子細線および量子箱を形成するのに利用される原子層成長による薄膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体結晶中の電子の波長以下の大きさ(数十nm程度)を有する微細構造いわゆる量子細線および量子箱では、内部に閉じ込められた電子による量子効果が現れることが知られており、このような現象を利用した半導体デバイス等の開発が行われている。
【0003】
このような量子細線および量子箱を形成する方法としては、成長速度の面方位依存性を用いて結晶成長を行うMOVPE(有機金属気相成長法)による方法が知られている。この方法では、化学的エッチング等の基板加工によって基板上にV字状の凹部を形成すること等により、結晶成長前に基板面に複数の面方位を出し、この後MOVPE成長によって所望の面に選択的に薄膜を形成する。なお、MOVPE成長では、例えばGaAs膜を形成する場合、Gaを含む原料ガスとAsを含む原料ガスを同時に供給して気相中で反応を生じさせる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のMOVPEによる方法では、面方位に対する成長速度の差をあまり大きくすることができず、理想的な量子細線および量子箱を作成するような形状制御を行うことが困難であるという問題があった。また、MOVPEによる方法では、非結晶成長部位から結晶成長部位に未反応の原料ガスが流れてくるため、特にこれらの部位の境界部分において異常成長が生じ易く、その制御が困難であるという問題もある。
【0005】
本発明は、かかる従来の事情に対処してなされたもので、面方位による成長速度の差を大きくすることができるとともに異常成長の発生等がなく、従来に較べて形状制御性を向上させることができる原子層成長による薄膜形成方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の原子層成長による薄膜形成方法は、面方位の異なる複数の結晶面を有する基板の前記結晶面に選択的に薄膜を形成するにあたり、それぞれ薄膜を構成する異なった原料物質を含む少なくとも2種類の原料ガスを所定の時間間隔を設けて交互に供給するとともに、成長温度を前記複数の結晶面のうち所望の1つの結晶面にのみ選択的に原子層成長が行われる温度に設定して、前記複数の結晶面のうち所望の1つの結晶面にのみ原子層成長により選択的に薄膜を形成することを特徴とする。また、本発明の原子層成長による薄膜形成方法では、前記薄膜がGaAsとAlGaAsからなる積層構造であることを特徴とする。
【0007】
本発明者等は、例えば、GaAs膜を形成する場合、Gaを含む原料ガスとAsを含む原料ガスとを交互に供給し、1原子層単位で薄膜を形成する原子層成長(ALE)に係る技術の研究を従来から行っており、この結果次のような知見を得ることができた。
【0008】
すなわち、原子層成長においては、面方位による化学結合手の数の違いに起因して、原子吸着(または吸着後の離脱)の面方位依存性があり、これを利用することにより面方位に対する成長速度の差を大きくすることができ、結晶の面方位選択成長が可能となる。
【0009】
ここで、縦軸を結晶成長速度、横軸を成長温度とした図2のグラフは、GaAs−ALE成長における成長温度に対する成長速度の面方位依存性を示したものである。同図に示すように、GaAs(100)面で原子層成長が実現されている温度領域530〜570℃において、560℃以上の温度では(111)A面および(110)面の成長速度がゼロになる。
【0010】
そこで、本発明方法では、原子層成長が選択的に行われる成長温度、例えば、GaAs膜の場合上述した560℃以上、で原子層成長を行い、所望の結晶面、例えば(100)面に選択的に薄膜を形成する。
【0011】
本発明方法では、成長温度のみでなく、例えば、原料ガス供給と原料ガス供給との間の時間間隔を長くすれば、この間に原子吸着後の離脱が進み、面方位に対する成長速度の差を大きくすることができる。
【0012】
また、原子層成長では、例えば、Gaを含む原料ガスとAsを含む原料ガス等を交互に供給すると1回の原料供給サイクル当たり、1原子層だけ薄膜が形成されるため、未反応の原料ガスが薄膜形成部位に余分に供給されても異常成長が起きない。このため、MOVPEによる方法では異常成長によって形状制御が困難であった形、例えば、矩形状の凹部内へ成膜して量子細線および量子箱を形成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に用いた装置の構成を示すもので、同図において符号1は2重管構造の真空容器を示している。この真空容器1内には、カーボン製のサセプタ2が設けられており、このサセプタ2上に基板3を載置し、真空容器1の外部に設けられたランプ4によってサセプタ2の裏面側から基板3を所定温度に加熱することができるよう構成されている。
【0015】
また、真空容器1の一端には、それぞれ図示しない所定の原料ガス供給源から原料ガスを供給する原料ガス供給配管5が、真空容器1の他端近傍には排気配管6が接続されており、これらの原料ガス供給配管5および排気配管6によって、真空容器1内に所望の原料ガスを流通させることができるよう構成されている。なお、各原料ガス供給配管5には、バルブ7が介挿されており、所望のタイミングで原料ガスの切り替えを行うことができるようになっている。
【0016】
本実施形態では、図3に示すように、予め化学エッチングにより基板(GaAs基板)3上に断面V字状の凹部を形成し、基板表面に(111)A面(図中傾斜面)を出し、この基板3を真空容器1内のサセプタ2上に載置し、ランプ6でこの基板3を560℃に加熱しつつバルブ7を開閉し、以下のようにして基板3の凹部内に、原子層成長によってAlGaAs膜とGaAs膜を交互に形成し、量子細線構造を形成した。
【0017】
各原料ガスは、Alの原料ガスがDMAH(ジメチルアルミハイドライド)、Gaの原料ガスがTMG(トリメチルガリウム)、Asの原料ガスがAsH3 であり、キャリアガスとしてH2 ガスを用いた。各原料ガスの供給は、図4に示すように、DMAHおよびTMGの1回の供給時間が2秒、AsH3 の1回の供給時間が1秒、ガス供給とガス供給との間の間隔が1秒となるようバルブ7を開閉して行った。この時のガス供給量は、DMAHおよびTMGの場合が10-7mol/cycle 、AsH3 の場合が10-5mol/cycle である。
【0018】
このようにして原子層成長を行った基板3を電子顕微鏡で観察したところ、図5に示すように、(100)面に対して、高い選択性で成膜を行うことができ、量子細線構造を得ることができた。
【0019】
なお上記実施例において、例えば、原料ガス供給と原料ガス供給との間の時間間隔を長くすれば、この間に原子吸着後の離脱が進み、面方位に対する成長速度の差をさらに大きくすることができる。
【0020】
また、上記実施例では、断面V字状の凹部内に量子細線構造を形成したが、図6に示すように、断面矩形上の凹部内に量子細線構造を形成することもできる。この場合、例えば電子ビームリソグラフィー等によっても、幅50nm程度の溝しか形成することができないので、まず、電子ビームリソグラフィー等によって基板20に幅50nm程度の矩形状の溝21を形成する(a)。
【0021】
次に、比較的低温(530℃程度)で、主として横方向(110)面に、原子層成長によってAlGaAs膜22等を形成して溝21の幅を、量子細線となる10nm程度にまで狭める(b)。
【0022】
この後、上述した実施例と同様に、高温(560℃程度)で(100)面に選択的にGaAs膜23、AlGaAs膜22等を形成して量子細線構造を形成することができる(c)。
【0023】
また、このようにして、断面矩形状の井戸型の凹部内に、量子箱構造を形成することもできる。なお、このような矩形溝内に量子細線等を形成する場合、従来のMOVPEによる方法では異常成長が生じてしまい、その形状制御が困難であった。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の原子層成長による薄膜形成方法によれば、面方位による成長速度の差を大きくすることができるとともに異常成長の発生等がなく、従来に較べて形状制御性を向上させることができる。これによって、良好な形状の量子細線および量子箱を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に用いた装置の構成を示す図。
【図2】成長温度に対する成長速度の面方位依存性を示す図。
【図3】基板面の状態を拡大して示す図。
【図4】原料ガス供給のタイミングを説明するための図。
【図5】実施形態における原子層成長の結果を模式的に示す図。
【図6】断面矩形状の凹部内に量子細線を形成する手順を説明するための図。
【符号の説明】
1……真空容器、2……サセプタ、3……基板、4……ランプ、5……原料ガス供給配管、6……排気配管、7……バルブ。
Claims (2)
- 面方位の異なる複数の結晶面を有する基板の前記結晶面に選択的に薄膜を形成するにあたり、それぞれ薄膜を構成する異なった原料物質を含む少なくとも2種類の原料ガスを所定の時間間隔を設けて交互に供給するとともに、成長温度を前記複数の結晶面のうち所望の1つの結晶面にのみ選択的に原子層成長が行われる温度に設定して、前記複数の結晶面のうち所望の1つの結晶面にのみ原子層成長により選択的に薄膜を形成することを特徴とする原子層成長による薄膜形成方法。
- 請求項1記載の原子層成長による薄膜形成方法において、
前記薄膜はGaAsとAlGaAsからなる積層構造であることを特徴とする原子層成長による薄膜形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002187362A JP3668802B2 (ja) | 2002-06-27 | 2002-06-27 | 原子層成長による薄膜形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002187362A JP3668802B2 (ja) | 2002-06-27 | 2002-06-27 | 原子層成長による薄膜形成方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24371192A Division JP3335671B2 (ja) | 1992-09-11 | 1992-09-11 | 原子層成長による量子細線および量子箱の形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003051450A JP2003051450A (ja) | 2003-02-21 |
JP3668802B2 true JP3668802B2 (ja) | 2005-07-06 |
Family
ID=19195435
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002187362A Expired - Fee Related JP3668802B2 (ja) | 2002-06-27 | 2002-06-27 | 原子層成長による薄膜形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3668802B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006161061A (ja) * | 2004-12-02 | 2006-06-22 | Sony Corp | 薄膜の形成方法および半導体装置の製造方法 |
-
2002
- 2002-06-27 JP JP2002187362A patent/JP3668802B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003051450A (ja) | 2003-02-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3181171B2 (ja) | 気相成長装置および気相成長方法 | |
JPH01296613A (ja) | 3−v族化合物半導体の気相成長方法 | |
JP2006261476A (ja) | Si基板結晶上における窒化ガリウム結晶成長方法 | |
JP3668802B2 (ja) | 原子層成長による薄膜形成方法 | |
JP3137767B2 (ja) | 半導体装置の製造方法 | |
US20030070610A1 (en) | Method and device for producing group III-N, group III-V-N and metal-nitrogen component structures on Si substrates | |
JP4238372B2 (ja) | 半導体基板の製造方法及び素子構造の製造方法 | |
JPS63112A (ja) | 半導体製造装置 | |
JP3335671B2 (ja) | 原子層成長による量子細線および量子箱の形成方法 | |
JP2773849B2 (ja) | 気相の成長方法及び光励起気相成長装置 | |
JPH05186295A (ja) | 結晶成長方法 | |
JPH01290221A (ja) | 半導体気相成長方法 | |
JPH01245512A (ja) | 3−v族化合物半導体のエピタキシャル成長方法 | |
JP3577880B2 (ja) | 3−5族化合物半導体の製造方法 | |
JP2733725B2 (ja) | 半導体結晶成長方法 | |
JP2671089B2 (ja) | 量子構造作製方法 | |
JPH0431391A (ja) | エピタキシャル成長方法 | |
JP2567228B2 (ja) | 半導体結晶のエピタキシャル成長法 | |
JPS61260622A (ja) | GaAs単結晶薄膜の成長法 | |
JPS6134987A (ja) | 半導体レ−ザの製造方法 | |
JPH04306821A (ja) | 化合物半導体結晶成長方法 | |
JPH01290222A (ja) | 半導体気相成長方法 | |
JP2729866B2 (ja) | 化合物半導体エピタキシャル成長方法 | |
JPH09306840A (ja) | 化合物半導体の微細堆積体の形成方法 | |
JPH05234968A (ja) | Iii−v族化合物半導体のガスエッチング方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20031201 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20031215 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040326 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20040326 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040831 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20041101 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050222 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050223 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050315 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050323 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |