JP2567228B2 - 半導体結晶のエピタキシャル成長法 - Google Patents

半導体結晶のエピタキシャル成長法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は半導体結晶のエピタキシャル成長法に関し、
特に真空排気された成長室で半導体結晶をエピタキシャ
ル成長させる方法に関する。
(従来の技術) 半導体結晶のエピタキシャル成長法として常圧ないし
は減圧された雰囲気下で行なう気相法が広く用いられて
いる。これは装置が簡易で量産性に優れているが、膜厚
の制御には限界を有している。すなわち、単分子層オー
ダの膜厚制御性は有していない。
例えば、テラヘルツ帯で動作可能な静電誘導トランジ
スタ(SIT)などの超高周波デバイスや、超格子(SL)
デバイスは単分子オーダの膜厚制御を必要とする。
高真空中で成長を行なうエピタキシー、例えば分子線
エピタキシー(MBE)、分子(原子)層エピタキシー(M
LEもしくはALE)は単分子層オーダの膜厚制御が可能で
ある。そこで、高度な膜厚制御を必要とするデバイスの
製造のため、これらの方法の研究が進められている。
MBEでは原料を加熱蒸発させ、蒸発した分子をビーム
状にして基板上に蒸着させ、エピタキシャル成長をさせ
る。高真空中での入射分子線の運動は指向性が強く、大
面積基板への成長は不均一になりやすい。基板の回転機
構などにより均一性を向上させる方法がとられている
が、そのため装置が複雑になっている。また、遮へい物
により基板に入射する分子線の1部をさえぎるとその部
分では成長は起こらなくなる。凹凸を有する基板では入
射分子線にとって凹凸の影になる部分、特に側壁での成
長は望めず、あっても不均一成長となってしまう。室温
でガス状分子であるアルキル金属化合物を用いるMO−MB
Eにおいても事情は同様である。
MLEでは、成分元素を含むガス状分子をパルス状に基
板上に交互に導入し結晶を単分子層ずつ成長させる方法
である。例えば、GaAsを成長させる際は、Ga層とAs層と
を交互に成長させる。この方法はガス状分子の単分子吸
着等の基板上の表面反応を利用しているため、導入ガス
のある圧力の範囲内で常に単分子層成長がおこる。ま
た、単分子層の成長が基本なので、当然均一性も良い。
例えば、3元化合物半導体の一つであるALxGa1−xAsの
成長ではIII族アルキル金属化合物としてトリメチルガ
リウムTMGとトリメチルアルミニウムTMA、V族水素化物
としてアルシンAsH3が用いられる。メチル系アルキル金
属水化物を用いると基板結晶の面方位による成長厚さの
依存性が大きい。例えば、(100)面には一分子層単位
で成長しても(100)面に設けられた溝部の側壁の(11
1)面等の他の面方位には成長しないかもしくは成長速
度が非常に小さいこともある。エチル系アルキル金属化
合物例えばトリエチルアルミニウム(TEA),トリエチ
ルガリウム(TEG)を用いると面方位依存性は小さく、
ある条件下では殆んどなくなる。しかし、この場合は導
入ガス分子の入射方向による指向性が現われる。
第4図はGaAs基板1上の窒化シリコンSiNx膜2をマス
クとして溝3をエッチし、その後TEA−TEG−AsH3系によ
り、成長を行なった結果を示す。TEA,TEGの入射方向4
による指向性が表われている。すなわち、ガス分子が直
接入射しない溝3の影の部分6において成長層5は薄く
なっている。
このように優れた厚さ制御性を有するMLEにおいて
も、凹凸を有する基板上へ均一性よく成長させることは
難しかった。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は、上記した真空排出した成長槽に原料ガスを
導入して成長を行なうエピタキシーにおいて、大面積基
板あるいは凹凸を有する基板の上にも均一なステップカ
バレージの良い薄膜成長できる半導体エピタキシャル成
長法を提供することを目的とする。特に、陰になる凹部
側壁面への薄膜成長に有効な半導体エピタキシャル成長
法を提供せんとするものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、従来のMLEあるいはMO−MBEが原料ガスを基
板上に直接入射させ、方向性を避け難ったことに鑑み、
原料ガスの少なくとも1つは噴出ノズルを基板以外の方
向に向け、原料ガスを基板上に直接入射させることなく
成長を行なうようにしたものである。
(作用) 基板以外の方向に向けられた原料ガスは1度は成長室
の壁等に当り、指向性を失なってから基板上に到達す
る。これにより、半導体結晶薄膜を単分子槽オーダで制
御でき、なおかつ、指向性を生じさせずに大面積基板上
でも、凹凸を有する基板上でも均一性良く成長できる。
(実施例) 以下、TEA−TEG−AsH3系によるALxGa1−xAsMLEを例に
とって本発明を説明する。
第1図は本発明によるMLE装置の一実施例である。7
はTEA導入口、8はTEG導入口、9はAsH3導入口、7′,
8′,9′は各々TEA,TEG,AsH3の噴出口、10はTEA導入量制
御装置、11はTEG導入量制御装置、12はAsH3導入量制御
装置、13はGaAs基板、14は石英サプセタ、15は基板加熱
用ランプ室、16は基板加熱用赤外線ランプ、17は成長
室、18はゲートバルブ、19は真空排出装置、20はガス導
入モード制御装置である。
ALxGa1−xAsの成長は以下の手順により行なう。
まず、成長室11の石英サプセタ14にGaAs基板13をセッ
トし、真空排気装置19により10-8〜1010Torr程度の圧力
になるまで真空排気する。真空排気装置19は、クライオ
ポンプ,ターボ分子ポンプ等の超高真空用ポンプにより
構成される。次に、赤外線ランプ16によりGaAs基板を所
定の成長温度に加熱し一定温度に保持する。次いで、各
々の導入量制御装置10,11,12により制御された導入ガス
圧力でTEA,TEG,AsH3が各々導入口7,8,9よりガス導入モ
ード制御装置20により制御されたガス導入モードに従っ
て成長室内の各々の噴出口7′,8′9より導入される。
本実施例においては成長温度は475℃、導入ガス圧力
およびモードはTEA:4×10-6Torr2秒導入,2秒排気、TEA:
6×10-6Torr2秒導入,2秒排気、AsH3:1×10-4Torr10秒導
入,2秒排気で1サイクルであった。700サイクルの成長
を行なった結果、凹凸を有する基板上への成長は第2図
の如くほぼ均一なことが確認された。
第2図において、21はGaAs基板、22はSiNxマスクであ
る。基板21にはマスク22を使って逆メサ型の溝23を設け
てある。24は成長したALxGa1−xAsである。24の組成x
は約0.4で成長厚は溝23の底部で約2000Å、溝23の側壁
で約1800Åであった。
成長は1分子層づつ行なわれると考えられる。同種元
素が2層以上付着する傾向は低い。底部ではほぼ1分子
層の均一な成長膜が得られ、さらに側壁においても底部
より10%程度薄くなっているが均一に成長がおこってお
り、逆メサ形状の基板表面からは陰になる部分にまで均
一に成長している。第2図の陰の部分における不均一が
除かれ極めて均一な成長膜が得られた。
TEA,TEG噴出口7′,8′が基板方向でなく、上向きに
なっているため、成長室に導入されたTEA,TEGは基板表
面に達する前に1回以上成長室壁面と衝突することにな
り、TEA,TEGガス分子は殆んど指向性をなくし、全方位
から基板上へ入射するため、均一性良く成長がおこった
と考えられる。
本実施例においては噴出口方向を上向きとしたが基板
方向以外の方向へ噴出口を向けた場合にも同様の効果が
現われるのは言う迄もない。AsH3噴出口が基板方向を向
いているのはAsH3の場合、圧力が比較的高いこと、GaAs
基板にTEA,TEGあるいはその一部分解したもの、あるい
はAl,Ga金属がある場合のみGaAs基板上に吸着され反応
すること等のため、特に方向性について考慮する必要は
ないためである。
原料ガスとして、例えばGaCl3,AlCl3等の吸着エネル
ギーの大きな化合物を用いる場合は成長室壁面に吸着さ
れ再放出ガスが少なくなり成長し支障をきたすが、壁面
温度を適当な温度、例えばGaCl3,AlCl3等の場合は200〜
250℃に加熱すれば吸着されずに、壁面より再放出さ
れ、上記実施例同様の効果が得られる。
第3図は、本発明を適用して製造した理想型MISSITの
一例を示す断面図である。
N+−GaAs基板31上にP−GaAs32およびN+−GaAs33をML
Eにより成長させ、SiN34をマスクとしてドライエッチに
より逆メサ型の溝を設け、本発明の方法によりAlGaAs35
を溝側壁も含めて成長させる。その後、指向性蒸着によ
りSiO236を蒸着し、次いでAl電極37をななめ蒸着により
側壁のAlGaAsおよびSiO2上に蒸着する。さらに、SiO238
の蒸着を行ない、ソース39およびゲート40の窓開けを行
ない、Au−Ga−Niにより、ソース39およびゲート40、次
いで裏面にドレイン41のメタライゼイションを行なう。
AlGaAs35はMIS構造の絶縁ゲート膜として働き、GaAs表
面電位を変化させP−GaAs32表面を流れる電流を制御す
る。この場合、AlGaAs35の厚さが不均一であると、P−
GaAs32表面の電位制御が不均一になり良好な理想型MISS
ITは作製できない。本発明によれば溝側壁へのAlGaAs成
長が均一となるため、理想型MISSITの作製には極めて有
効な成長法であることは明白である。
このように、本実施例の方法はMLEあるいはMBEのもつ
単分子オーダの膜厚制御性を保持し、良好な均一性と凹
凸面への良好なステップカバレージ性とをもつことにな
り超高周波デバイスや超格子デバイスといった微細な構
造をもつデバイス作製、特に三次元構造の超VLSI等のデ
バイス作製に適する。
なお、以上述べてきた実施例においてはALxGa1−xAs
について説明を行なったが、本発明が他の化合物半導
体、あるいはSi,Ge等の元素半導体のMLEあるいはMO−MB
Eにも適用できることは言う迄もない。
(発明の効果) 以上のように本発明によれば、原料ガスの成長室への
噴出方向を基板へ直接入射しない方向とすることによ
り、基板へ入射するガス分子の指向性を除き、均一な成
長膜を得ることができ、大面積への均一な成長あるいは
凹凸を有する基板への均一な成長を行なうことができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施するためのMLE成長装置の一例を
示す断面図、第2図は本発明により溝つき基板上にMLE
成長した例を示す断面図、第3図は本発明を適用して作
製した理想型MISSIT一例を示す断面図、第4図は従来の
MLEによる溝つき基板上への成長例を示す断面図であ
る。 7……TEA導入口、8……TEG導入口、9……AsH3導入
口、10……TEA導入量制御装置、11……TEG導入量制御装
置、12……AsH3導入量制御装置、13,21……GaAs基板、1
4……石英サセプタ、15……基板加熱用ランプ室、16…
…基板加熱用赤外線ランプ、17……成長室、18……ゲー
トバルブ、19……真空排出装置、20……ガス導入モード
制御装置、22……SiNxマスク、23……逆メサ型の溝、24
……ALxGa1−xAs。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 999999999 三洋電機株式会社 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 (72)発明者 西澤 潤一 仙台市米ヶ袋1丁目6番16号 (72)発明者 松本 史夫 仙台市国見3丁目11番53号 (72)発明者 倉林 徹 仙台市八木山香澄町7−25 姉帯アパー ト2A (56)参考文献 特開 昭60−202927(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成長室外部に設けられた、III族元素の有
    機金属化合物と、V族元素の水素化物をそれぞれ含む各
    原料ガス源から、それぞれガス導入ノズルを、真空排気
    された成長室内に設置された結晶基板近くまで導入配管
    し、前記各原料ガスを前記各ガス導入ノズルの噴出口よ
    りパルス状に交互に噴出させて前記結晶基板上にIII−
    V族化合物半導体結晶を単分子層ずつエピタキシャル成
    長させる方法であって、前記III族元素の有機金属化合
    物ガスは前記ガス導入ノズルの噴出口を結晶基板以外の
    方向に向けて成長室内に導入し、前記V族元素の水素化
    物は前記ノズルのガス導入噴出口を基板結晶方向に向け
    て導入することにより、結晶基板上に形成された凹部の
    側壁に単結晶をほぼ均一に成長させることを特徴とする
    半導体結晶のエピタキシャル成長法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項記載において、前記
    基板結晶が所定温度に加熱されていることを特徴とする
    半導体結晶のエピタキシャル成長法。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項または第2項記載の
    いずれかにおいて、前記成長室内壁面が所定温度に加熱
    されていることを特徴とする半導体結晶のエピタキシャ
    ル成長法。
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