JP3668571B2 - 密閉容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばトイレットや家屋の床、家具、または人体を拭くためのウエットシートまたはウエットティッシュあるいはその他の内容物を収納する密閉容器に係り、特に、蓋体を確実に開放位置に移動させることができるとともに蓋体を確実に閉鎖できるようにして密閉機能を損なわないようにした密閉容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
トイレットや家屋の床などを拭くために使用されるウエットシートは、紙または不織布などのシート状担体に、水やアルコールさらに界面活性剤などを含む清浄薬液が含浸されたものであるが、このウエットシートを収納する容器は、シートが乾燥しないように密閉性の優れたものであることが必要である。
図8(A)は、この種のウエットシートを収納する従来の容器を示す斜視図、図8(B)は蓋体が閉じられた状態でのB−B線の部分断面図である。
【0003】
容器本体1は、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などのプラスチック材料で箱状に形成されている。容器本体1の上部は幅広の開口部1aとなっており、開口部1aの縁部1bは、図8(B)に示すように、コの字状に形成されて見掛けの厚さ寸法がやや大きくなっている。蓋体2は、容器本体1と同じプラスチック材料で形成されたものであり、図8(B)に示すように、容器本体1の開口部1aの縁部1bの外側に当たるアウターリブ2aと、縁部1bの内側に当たるインナーリブ2bとを有している。この容器は、蓋体2のアウターリブ2aとインナーリブ2bとの間に容器本体1の縁部1bを嵌着させ、またインナーリブ2bを縁部1bの内面に密着させることにより、密閉性を確保できるようにしている。
【0004】
前記蓋体2は、半固定部2Aと開閉部2Bとに区分され、両部の中間は曲げ変形可能なヒンジ部2Cとなっており、このヒンジ部2Cでの曲げを許容するために、前記アウターリブ2aおよびインナーリブ2bには切り込み部2Dが形成されている。前記半固定部2Aと開閉部2Bは共に、前記アウターリブ2aおよびインナーリブ2bと縁部1bとの嵌合により容器本体1に取り付けられる。
そして、容器本体1内の内容物を取り出すときには、図8(A)に示すように、開閉部2Bを容器本体1の縁部1bから外し、ヒンジ部2Cを支点として開閉部2Bを持ち上げる。そして開閉部2Bが開放された部分の開口部1aから内容物が取り出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構造のウエットシート用の容器では、以下に列記する問題点がある。
(1)内容物を取り出すときに、蓋体2の一部の開閉部2Bのみが開放する構造であるため、容器本体1の開口面積が狭くなり、内容物を取り出しにくい。また、蓋体2の開閉部2Bを開放させ、内容物を取り出しているときに、ヒンジ部2Cの部分の弾性により開閉部2Bが閉じ方向へ回動しようとするため、片手で内容物を取り出しているときに、手に開閉部2Bが当たりやすく、内容物を取り出すときに不便である。
【0006】
(2)内容物を取り出した後、蓋体2を閉じるときに、図8(B)に示すように、アウターリブ2aとインナーリブ2bとの間に縁部1bが確実に入り込むまで開閉部2Bを押し込むことが必要である。しかし、開閉部2Bを閉じるときに、図8(B)に示す位置まで完全に閉めず、縁部1bが、アウターリブ2aとインナーリブ2bとの間に軽く挟まり始めた時点で開閉部2Bが閉じたと錯覚してそのまま放置されることがおこりやすい。
このように蓋体2の開閉部2Bが中途半端に閉じられた半閉め状態で放置されていると、容器本体1の内部の気密度が低下して、容器本体1の内部のウエットシートなどが乾燥しやすくなる。
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、蓋体が開口部から離れる位置に立ち上がった姿勢から倒れないようにし、内容物を取り出しているときに蓋体が手に当たりにくくして、取出し操作を容易に行えるようにした密閉容器を提供することを目的としている。
【0008】
また本発明は、蓋体が確実に閉じられたか否かを使用者が確認しやすいようにして、常に容器内の気密を維持できるようにした密閉容器を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明による密閉容器は、開口部を有する容器本体と、前記容器本体の開口部に設置される蓋体と、前記蓋体が容器本体の開口部を閉鎖する位置と開放する位置との間で回動できるように蓋体と容器本体とを連結する連結部とを有し、
前記連結部は、容器本体の開口部の縁部よりも外側に位置し、前記連結部の直近に位置する蓋体の側辺部には、前記開口部の縁部の内側に密着する密着部と、この密着部に連続して容器本体の底部に向かうにしたがって前記縁部から離れるように湾曲しまたは傾斜する案内部とが設けられ、
前記密着部の肉厚が、蓋体の他の部分より薄く形成されており、
前記連結部では、閉鎖位置に至った蓋体を軽ロックする凹凸嵌合部が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
第2の本発明は、開口部を有する容器本体と、前記容器本体の開口部に設置される蓋体と、前記蓋体が容器本体の開口部を閉鎖する位置と開放する位置との間で回動できるように蓋体と容器本体とを連結する連結部とを有し、
前記連結部は、容器本体の開口部の縁部よりも外側に位置し、前記連結部の直近に位置する蓋体の側辺部には、前記開口部の縁部の内側に密着する密着部と、この密着部に連続して容器本体の底部に向かうにしたがって前記縁部から離れるように湾曲しまたは傾斜する案内部とが設けられ、
前記蓋体が前記容器本体よりも曲げ弾性率が低く形成されており、
前記連結部では、開口部を閉鎖する位置に至った蓋体を軽ロックする凹凸嵌合部が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
上記両発明において、連結部が設けられているのと逆側の側部において、容器本体には留め片が一体に形成され、蓋体には前記留め片に弾性的に嵌合する留めフラップが一体に形成されていることが好ましい。
【0012】
本発明の密閉容器は、容器本体と蓋体とがプラスチック材料で形成されるものであり、ウエットシートやウエットティッシュなどのような乾燥を防止する必要のある内容物を収納するものとして適する。
【0013】
本発明の容器は前記従来の問題点を解決することを可能とした以下の特徴点を備えている。
▲1▼蓋体が、容器本体との連結部を支点として、閉鎖位置と開放位置との間を回動するものであるため、蓋体を開放したときに容器本体の開口面積を広くできて内容物が取り出しやすくなる。特に、蓋体が開放位置に至ったときに、連結部での凹凸嵌合により蓋体が軽ロックされるため、蓋体は開放された姿勢に維持され、閉鎖方向へ勝手に回動しにくくなる。よって、内容物を取り出しているときに、蓋体が手に当たることがなく、例えば片手での内容物の取出し操作のときに便利である。
【0014】
▲2▼蓋体が容器本体を閉じる状態に回動したときにも、連結部での凹凸嵌合により蓋体が軽ロックされる。よって、蓋体が閉じて容器本体内を密閉した状態が維持され、蓋体が容器本体から浮き上がることがなく、常に容器本体内の気密を保つことができるようになる。また、使用者が蓋体を完全に閉じたときに凹凸嵌合によるクリック感触が蓋体から得られるため、使用者はこのクリック感触により蓋体を確実に閉じたことを認識できるようになり、蓋体を中途半端に閉じて放置することが起こりにくくなる。
【0015】
▲3▼蓋体が容器本体に対し完全に閉じられたときに、蓋体に設けられた留めフラップが容器本体に設けられた留め片に弾性的に嵌合する。よって、使用者は常に留めフラップが留め片と係合する位置まで蓋体を閉じるようになり、これによって蓋体が中途半端に閉じられた状態で放置されることがおこりにくくなる。
【0016】
なお、本発明での連結部の凹凸嵌合は、図5に示すように、容器本体側に突部が形成され、蓋体側にこれに嵌合する嵌合凹部が形成されているものでもよいし、逆に容器本体側に凹部が形成され、蓋体側にこれと嵌合する突部が形成されていてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の密閉容器の一実施の形態を示す分解斜視図、図2は容器本体と蓋体とが組み立てられた状態で且つ蓋体が閉じられた状態を示す斜視図、図3は蓋体が開かれた状態を示す断面図、図4は蓋体の留め部を示す図2のIV矢視図、図5は図2にV−V線の断面図、図6は図2のVI−VI線の断面図、図7は蓋体のみが積み重ねられた状態を示す断面図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の密閉容器は、容器本体10と、蓋体20との組み合わせにより構成されている。容器本体10の内容物は、例えばトイレットや家屋の床を清掃する際に使用されるウエットシートである。このウエットシートは、紙または不織布などのシート状担体に、水やアルコールさらに界面活性剤などを含む清浄薬液が含浸されたものである。
容器本体10と蓋体20はプラスチック材料により形成されており、例えばポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)などにより形成されている。また蓋体20の容器本体10に対する密閉性を高めるために、蓋体20の曲げ弾性率が容器本体10の曲げ弾性率よりも低いことが好ましい。
【0019】
容器本体10は、底板11と、蓋体20との連結部30が設けられる側板12と、蓋体20との留め部40が設けられる側板13と、他の2側面を構成する側板14と15とを有し、上面が全面的に開放された開口部16となっている。図3に示すように、容器本体10の内幅は開口部16がW1、底板11側がW2であり、内幅はW1がW2よりも広くなっている。
側板13、14、15の上端では、開口部16の縁部16aが、図6に示すように折り返し形状となっており、見掛けの厚さ寸法T1が、側板12、13、14、15の板厚よりも大きくなっている。側板12の上端での開口部16の縁部を符号16bで示しているが、この縁部16bは他の側板の上端での前記縁部16aと連続し、開口部16の縁部16aと16bはほぼ長方形状である。
【0020】
側板12の上端では開口部16bから外方へ延びる連結ステージ17が一体に突出成形されている。この連結ステージ17の上面には、図5に示すように、断面が部分円弧形状の窪み部17aが形成されている。この窪み部17aは前記縁部16bに対してほぼ平行に延びている。図5に示すように、窪み部17a内には軽ロック機構(クリック機構)を構成する突部17bが隆起形成されており、この突部17bは窪み部17a内において、前記縁部16bとほぼ平行に延びている。
窪み部17aの長手方向両端部の壁面17c、17cには、連結部30を構成する穴31、31が形成されている。図1および図5に示すように、この穴31、31は図示上下方向(蓋体20の装着方向)に延びる長穴であり、蓋体20が図示上方から装着されたときに、蓋体20に形成された軸32が穴31に嵌合しやすくなっている。
【0021】
蓋体20は、容器本体10の開口部16を覆うことのできるほぼ長方形状であり、その側辺部20a、20b、20cが、容器本体10の3つの側板13、14、15の上端にて開口部16の縁部16aを覆うものとなっている。また蓋体20の側辺部20dが、容器本体10の連結側の側板12の上端にて開口部16の縁部16bを覆うものとなっている。
蓋体の3つの側辺部20a、20b、20cには、下方に延びるスカート部(アウターリブ)21が一体に形成されており、図2および図6に示すように、蓋体20が容器本体10に対して閉じられた状態で、前記スカート部21が、容器本体10の側板13、14、15の上端の外面側に重ねられる。また好ましくは、スカート部21は、容器本体10の開口部16の縁部16aの外面に弾性的に密着できるようになっている。
【0022】
図2に示すように、蓋体20が閉じられた状態では、蓋体20の側辺部20a、20b、20cに形成されているスカート部21と、容器本体10に形成された前記連結ステージ17とが連続し、連結ステージ17がスカート部の一部となるような外観を呈する。よって容器本体10と蓋体20との接合部において、容器本体10の全周に渡ってスカート部が形成されているような外観を呈し、デザイン上からも、密閉度の高い視覚感覚が得られるようになっている。
蓋体20は、中央部分が長方形状にて上方へ隆起する隆起部22となっており、この隆起部22の周縁と、前記各側辺部20a、20b、20c、20dとの間で、容器本体10の開口部16内へ入り込む溝24が形成されている。この溝24は隆起部22の周縁の全長のいずれの箇所においても同じ断面形状となるように形成されており、図5では溝24が前記側板12の上端において縁部16bの内側に嵌着された状態を示し、図6は、溝24が側板13の上端において縁部16aの内側に嵌着された状態を示している。
【0023】
前記溝24の外周側の壁面は密着部25である。図5および図6に示すように、密着部25は、蓋体20の各側辺部20a、20b、20c、20dの内側にて下方へ延びているものであり、この密着部25は、開口部16の各縁部16a、16bの内側に密着して嵌合する密着嵌合部25aと、密着嵌合部25aの下端から容器本体10の内側方向へ向かう湾曲状の案内部25bとを有している。なお、図5と図6では案内部25bが湾曲形状であるが、案内部25bが容器本体10の内方へ向かう平板状の傾斜案内部であってもよい。
【0024】
図2、図5、図6に示すように、蓋体20が容器本体10の開口部16を閉じている状態では、開口部16の縁部16aと16bの全長(全周)に渡って、蓋体20の前記密着部25が密着しており、さらに詳しくは、前記密着嵌合部25aが開口部16の縁部16aと16bの内面の全長に渡って密着嵌合している。よって、開口部16の全領域が蓋体20により確実に密閉される。また、図6に示すように、容器本体10の側板13の上部内面に縁部16aに沿って延びる密着突条部13aを形成し、この密着突条部13aが前記密着嵌合部25aに密着嵌合し、密閉性を高めるようにしてもよい。なおこの場合、密着突条部は全ての側板12、13、14、15の上部内面に設けられることが好ましい。
【0025】
また、対向する密着部25(密着嵌合部25a)の外面間の間隔寸法W3(図3参照)を、容器本体10の開口部16の開口幅寸法W1よりもやや広めに形成しておくと、蓋体20が容器本体10の開口部16を閉じたときに、密着嵌合部25aが、開口部16の縁部16a、16bの内面に強制的に介入するようになり、開口部16と蓋体20との密着性がさらに高くなる。さらに、この場合に、密着嵌合部25aが、開口部16の縁部16a、16bの内面に弾性的に嵌合するように、密着部25に適度な弾性を持たせることが好ましい。
【0026】
密着部25の部分に適度な弾性力を持たせるためには、例えば図5に示す密着部25の肉厚寸法(密着嵌合部25aと案内部25bの肉厚寸法)あるいは密着嵌合部25aのみの肉厚寸法t1を、蓋体20の他の部分の肉厚寸法t2よりもやや薄く形成することにより実現できる。このように肉厚寸法を変えておくと、蓋体20の全体の剛性を低下させることなく、密着部25の特に密着嵌合部25aに適度な弾性を持たせることができ、この密着嵌合部25aを開口部16の縁部16a、16bの内側に弾性的に密着させることが可能である。あるいは、容器本体10を構成するプラスチック材料の曲げ弾性率よりも、蓋体20を構成するプラスチック材料の曲げ弾性率の方を低く設定しておき、剛性の高い容器本体10に対して、蓋体20の密着嵌合部25aが適度な弾性力で嵌着されるようにしてもよい。または容器本体10よりも蓋体20の弾性率を低くすることと、前記肉厚寸法t1とt2との差を設けることとを併用してもよい。
また、蓋体20の密着部25では、密着嵌合部25aの下端に連続して容器の内側に向かって傾斜する湾曲した案内部25bが形成されているため、密着嵌合部25aが開口部16の縁部16a、16bの内側に確実に導かれるようになる。
【0027】
側板12の上端の縁部16bは、回動支点となる軸32にきわめて近く、蓋体の密着部の回動軌跡の半径が小さくなるため、通常は縁部16bに対する蓋体の密着部の位置合せが難しい。例えば、図8(B)に示す従来のインナーリブ2bを蓋体に設けたものでは、縁部16bの部分で、蓋体と容器本体とを確実に嵌着させるための寸法設定が困難である。これに対し、図5に示す本発明では、蓋体20の密着部25に案内部25bが形成されているために、軸32からの回動軌跡の半径が短い側板12の部分であっても、密着嵌合部25aが容易に縁部16bの内側へ導かれるようになり、厳しい寸法設定が不要になる。
また、図5と図6において符号(イ)で示す部分、すなわち容器本体10の各側板12、13、14、15の頂面に当たる部分で、蓋体20側にパッキンを嵌着することにより、さらに密閉度を高めることができる。
【0028】
パッキンとしては、発泡ポリプロピレンまたは発泡ポリエチレンなどの発泡シートを打ち抜き加工して用いることが好ましい。この発泡シートの発泡倍率によりパッキンの剛性が決められるが、この発泡倍率は、2から40倍の範囲で選択される。またパッキンは前記発泡シートにポリプロピレンシートが接着されたものでもよいし、またはポリプロピレン系のエラストマーまたはこのエラストマーと前記発泡シートとの積層などであってもよい。
【0029】
図1および図5に示すように、蓋体20では側辺部20dからさらに側方へ突出する連結突部26が一体に形成されている。この連結突部26は、前記容器本体10の連結ステージ17上の窪み部17a内に設置される。
前記連結突部26の両端部には、一対の軸32、32が形成されており、この軸32、32が連結ステージ17に形成された穴31、31に回動自在に嵌合し、連結部30が構成される。蓋体20は、軸32と穴31との嵌合による連結部30を支点として、図2に示すように、容器本体10の開口部16を閉鎖する位置と、図3に示すように開口部16を開放する位置との間で回動できるようになる。
【0030】
また前記連結突部26では、軸32、32が一体に形成されている両端部分(軸32が設けられている部分)26a、26aの内側に、切欠き部26b、26bが形成されて、前記両端部分26a、26aが弾性変形可能な幅寸法Waに設定されている。したがって、図1に示すように蓋体20が容器本体10から離れている状態から、蓋体20を容器本体10の開口部16に押し付けたときに、前記両端部分26a、26aが弾性変形し、軸32、32が穴31、31に容易に且つ確実に嵌合できるようになる。
【0031】
図5に示すように、前記連結突部26の窪み部17aに介入する部分の外面の断面形状は、軸32を中心とする部分円弧形状であり、また円弧の円周方向に所定角度を開けて、軽ロック機構(クリック機構)を構成する嵌合凹部27aと27bが形成されている。この嵌合凹部27aと27bは、前記軸32、32の軸線方向に沿って延びる溝である。図5に示すように、蓋体20が開口部16を閉鎖しているときには、一方の嵌合凹部27aが、窪み部17a内の突部17bに嵌合して、蓋体20が閉鎖した状態を確実に維持でき、且つ使用者が蓋体20を確実に閉じた位置まで回動させたことを手のクリック感触で理解できるようになっている。また、蓋体20が、図3に示す角度まで開放されると、他方の嵌合凹部27bが突部17bに嵌合する。よって、蓋体20は確実に開放された状態で停止し、容器本体10内から内容物を取り出しているときに、蓋体20が勝手に閉じるようなことはない。また、図3に示す位置まで蓋体20を開放させたときに、凹部27bと突部17bとが嵌合したクリック感触により、蓋体20が開放限界に至ったことを使用者が認識しやすくなっている。
なお、蓋体20が図3の位置よりもやや容器本体10の方向へ倒された位置において突部17bが嵌合する凹部を設け、蓋体20が軽ロックされる角度を3段階に設定してもよい。
【0032】
図4は留め部40の構造を示したものであるが、この留め部40では、蓋体20の側辺部20a、すなわち前記連結部30と逆側の側辺部において、スカート部21に切り込み21a、21aが入れられ、両切り込み21aと21aとで挟まれた部分に留めフラップ41が一体に形成されている。この留めフラップ41は、スカート部21よりも下方へ長く形成されており、外側方向(α方向)へ弾性変形可能となっている。そしてこの留めフラップ41には留め穴42が形成されている。図4に示すものでは留めフラップ41の両側において、スカート部21に切り込み21a、21aが入れられているが、切り込みが入れられず、留めフラップ41とスカート部21との間に単に段差が設けられているものであってもよい。
【0033】
一方、容器本体10の側板13の上端での縁部16aの外側には、留め片43が一体に形成されている。蓋体20が連結部30を支点として図2に示す閉鎖位置まで回動させられ、図5に示すように、嵌合凹部27aが突部17bに嵌合した時点で、留めフラップ41の留め穴42が、留め片43に弾性的に嵌合する。この留め部40を設けておくと、使用者は、留め穴42と留め片43とが掛止されたことにより、蓋体20が完全に閉鎖されたことを認識でき、蓋体が中途半端に閉じられて密閉性が低下し、内部のウエットシートが乾燥しやすくなることを防止できる。また蓋体20を開放させるときは、指で留めフラップ41を掴んで持ち上げればよいため、蓋体20を開放させる操作が容易になる。
【0034】
次に、上記構造の密閉容器の組み立て方法および使用状態を説明する。
この密閉容器の組み立て作業は、自動機により行われる。
組み立てライン上では、容器本体10が開口部16を上向きにした状態で移送され、容器本体10内に、ウエットシートが収納される。内容物が収納された後のラインで、上方から蓋体20が図1に示すような水平姿勢で降ろされ、蓋体20が容器本体10の開口部16に設置されさらに押し付けられる。このとき、図5および図6に示すように、蓋体20の密着部25では、湾曲面となっている案内部25bが、容器本体10の開口部16の縁部16a、16bを滑るように案内されて容易に開口部16内に導かれ、蓋体20の密着嵌合部25aが、縁部16a、16bの内側に確実に嵌着される。
【0035】
一方、容器本体10の連結ステージ17の窪み部17a内に、蓋体20の連結突部26が押し付けられると、切欠き部26b、26bにより他の部分と分離されている両端部26a、26aが弾性変形し、軸32が確実に穴31内に嵌合し、連結部30が構成される。
また、蓋体20が容器本体10の開口部16に設置されて密閉された状態で、図4に示す留め部40では、留めフラップ41の留め穴42が留め片43に弾性的に嵌合する。
【0036】
なお、この密閉容器では、容器本体10と蓋体20との位置決め基準を連結部30により行なうことができる。蓋体20の連結突部26を容器本体10の窪み部17a上に位置合わせし、軸32を穴31に嵌合させれば、蓋体20を容器本体10に対して確実に組み付けることができ、このとき軸32と穴31との嵌合を組み立て基準とすれば、その他の部分では柔軟性を持って組み立てられる。すなわち、蓋体20に形成された密着部25は密着嵌合部25aと案内部25bとから構成されているため、密着嵌合部25aと開口部16の縁部16a、16bとの間に若干の位置精度の違いや形状の違いがあったとしても、案内部25bが縁部16a、16bの内側へ滑らかに案内されて介入していく。よって、前記連結部30にて軸32と穴31とを組立て基準として嵌合させれば、蓋体20は容器本体10に対して確実に密着嵌合するものとなる。
したがって、自動機では、連結部30の嵌合が確実に行なえるように容器本体10と蓋体20とを位置決めすればよく、自動機での容器本体10と蓋体20の位置決めが容易になる。
【0037】
この密閉容器の使用時では、留めフラップ41を指で掴んで持ち上げることにより蓋体20を容易に開放させることができる。図3に示す位置まで、蓋体20を開放させると、連結部30において、図5に示す嵌合凹部27bが突部17bに嵌合して、蓋体20は開放状態で軽ロックされる。蓋体20はフルオープン型であるため、容器10の開口部16の全体を開放させることができ内容物を取り出しやすい。また蓋体20は開放状態で軽ロックされているため、内容物を取り出している間に蓋体20が自重で下降することがなく、片手での内容物の取り出し操作が容易である。
【0038】
次に、蓋体20を閉じる際、組立時と同様に、蓋体20の密着部25の案内部25bが開口部16の縁部16a、16bに案内されていくため、密着嵌合部25aが縁部16a、16bの内側に確実に案内されて密着する。しかも密着嵌合部25aが、開口部16の縁部16a、16bの全長に渡って密着するため、密閉性がよくなり、内部のウエットシートが乾燥しにくくなる。
また、密着嵌合部25aが縁部16a、16bの内側に密着する位置まで、蓋体20を閉じた時点で、図5に示す嵌合凹部27aが突部17bに嵌合し、使用者が蓋体20を閉じたロック感触(クリック感触)を得られる。よって蓋体20を確実に閉じたことを確認でき、蓋体20が半開き状態で放置される心配がなくなる。また蓋体20が完全に閉じた状態で、図4に示す留め部40にて留め穴42と留め片43とが嵌合するため、使用者はこの嵌合を確認できる位置まで蓋体20をしっかり閉めることになり、これによって半開き状態で放置されることが生じにくくなる。
【0039】
次に、本発明の密閉容器は、販売店にて容器を展示するときに、容器を積み上げて設置してもずれ落ちることのないようスタック安定性についての改善がなされている。
図3に示すように、容器本体10の底板11の下面には平面形状がほぼ長方形の凹部11aが段差を有して形成されている。そして、蓋体20の前記隆起部22の頂部が、前記凹部11a内に入り嵌合できるようになっている。したがって、図2に示す蓋体20を閉じた状態でこの密閉容器を積み重ねると、隆起部22と凹部11aとの嵌合により、容器間で滑りが生じなくなり、展示中などにおいて、積み上げ状態が崩れにくくなる。
また、蓋体20だけが積み重ねられているときも、上下の蓋体20の間で滑りによる崩れが生じないものとなっている。
【0040】
図7に示すように、蓋体20は隆起部22の内側の周縁部に補強リブ28、29が形成されているが、連結部30が形成されている側に設けられた補強リブ(図示右側の補強リブ)29の下部には凹部29aが形成されている。そしてこの凹部29aには、下側に位置する蓋体20の隆起部22の縁部が嵌合できるようになっている。すなわち、蓋体20の側辺部20a、20b、20cにはスカート部21が設けられているため、図7に示すように、側辺部20aなどでは、上下のスカート部21どうしを嵌合させて蓋体を積み上げれば横ずれを防止できる。しかし、連結部30を構成する連結突部26が側辺部20dにて外方に突出しスカートが存在していないため、側辺部20dでは横ずれのための嵌合部が無くなっている。
【0041】
そこで補強リブ29に凹部29aを形成し、この凹部29aと下側の蓋体20の隆起部22とを嵌合させることにより、蓋体を積み上げたときに、スカート部21どうしの嵌合と、前記凹部29aによる嵌合とで、蓋体20どうしが滑らなくなる。よって工場で蓋体20のみが重ねられて保管されているとき、または自動機の供給部に蓋体20が重ねられているときに、重ねた状態での崩れが生じなくなる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本発明では、容器本体の開口面積を広くできて内容物を取り出しやすくなり、また蓋体が開放位置で軽ロックされるため、内容物を取り出しているときに蓋体が倒れることがなく、取出し操作が容易である。
【0043】
また蓋体が閉鎖状態で軽ロックされるので、蓋体が閉鎖状態を維持して気密度が高まる。また蓋体が完全に閉じたことを凹凸嵌合のクリック感触で得ることができるため、蓋体を中途半端に閉じて放置することがおこりにくい。
【0044】
さらに蓋体と容器本体との間に弾性的に嵌合する留めフラップと留め片を設けておくと、蓋体を閉じたときに留めフラップと留め片とが弾性的に嵌合して自動的に蓋体がロックされ、さらに蓋体の不用意な開きを防止でき、また留めフラップと留め片との嵌合を確かめることにより蓋体が完全に閉鎖されたことを目視で確認できる。
【0045】
また、蓋体に留めフラップが形成されていると、これを掴んで蓋体を開放できるので、開放操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の密閉容器の分解斜視図、
【図2】密閉容器が組み立てられ且つ、蓋体が閉じている状態を示す斜視図、
【図3】蓋体が開放された状態を示す断面図、
【図4】蓋体と容器本体との留め部を示す図2のIV矢視図、
【図5】図2のV−V線の断面図、
【図6】図2のVI−VI線の断面図、
【図7】蓋体のみが積み重ねられている状態を示す断面図、
【図8】(A)は従来の密閉容器を示す斜視図、(B)はB−B線の拡大断面図、
【符号の説明】
10 容器本体
11 底板
11a 凹部
12、13、14、15 側板
16 開口部
16a、16b 縁部
17 連結ステージ
17a 窪み部
17b 突部
20 蓋体
21 スカート部
22 隆起部
25 密着部
25a 密着嵌合部
25b 案内部
26 連結突部
27a、27b 嵌合凹部
30 連結部
31 穴
32 軸
40 留め部
41 留めフラップ
42 留め穴
43 留め片
Claims (3)
- 開口部を有する容器本体と、前記容器本体の開口部に設置される蓋体と、前記蓋体が容器本体の開口部を閉鎖する位置と開放する位置との間で回動できるように蓋体と容器本体とを連結する連結部とを有し、
前記連結部は、容器本体の開口部の縁部よりも外側に位置し、前記連結部の直近に位置する蓋体の側辺部には、前記開口部の縁部の内側に密着する密着部と、この密着部に連続して容器本体の底部に向かうにしたがって前記縁部から離れるように湾曲しまたは傾斜する案内部とが設けられ、
前記密着部の肉厚が、蓋体の他の部分より薄く形成されており、
前記連結部では、閉鎖位置に至った蓋体を軽ロックする凹凸嵌合部が設けられていることを特徴とする密閉容器。 - 開口部を有する容器本体と、前記容器本体の開口部に設置される蓋体と、前記蓋体が容器本体の開口部を閉鎖する位置と開放する位置との間で回動できるように蓋体と容器本体とを連結する連結部とを有し、
前記連結部は、容器本体の開口部の縁部よりも外側に位置し、前記連結部の直近に位置する蓋体の側辺部には、前記開口部の縁部の内側に密着する密着部と、この密着部に連続して容器本体の底部に向かうにしたがって前記縁部から離れるように湾曲しまたは傾斜する案内部とが設けられ、
前記蓋体が前記容器本体よりも曲げ弾性率が低く形成されており、
前記連結部では、開口部を閉鎖する位置に至った蓋体を軽ロックする凹凸嵌合部が設けられていることを特徴とする密閉容器。 - 連結部が設けられているのと逆側の側部において、容器本体には留め片が一体に形成され、蓋体には前記留め片に弾性的に嵌合する留めフラップが一体に形成されている請求項1または2記載の密閉容器。
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