JP3668565B2

JP3668565B2 - ケーブル式ステアリング装置

Info

Publication number: JP3668565B2
Application number: JP22647596A
Authority: JP
Inventors: 康夫清水; 宏田畠; 茂樹江原
Original assignee: Honda Motor Co Ltd
Current assignee: Honda Motor Co Ltd
Priority date: 1996-08-28
Filing date: 1996-08-28
Publication date: 2005-07-06
Anticipated expiration: 2016-08-28
Also published as: DE19737383C2; US5951031A; JPH1067331A; DE19737383A1

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンドルに連結された駆動プーリと車輪を操舵するギヤボックスに連結された従動プーリとをワイヤーで接続し、ハンドルに入力される操舵トルクを前記ワイヤーを介してギヤボックスに伝達するケーブル式ステアリング装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来の車両用ステアリング装置は、上端にハンドルを有するステアリングシャフトの下端をギヤボックスに接続し、ハンドルに入力される操舵トルクをステアリングシャフトを介してギヤボックス内に設けたラックアンドピニオン機構に伝達するようになっていた。
しかしながら、ステアリングシャフトを用いてハンドルとギヤボックスとを接続すると、ギヤボックスの位置に対するハンドルの相対位置を自由に選択することが難しいため、設計自由度が大幅に制限されるばかりか、右ハンドル車と左ハンドル車とでギヤボックスを共用することができないという問題がある。しかも、路面からタイヤに入力される振動やエンジンの振動がステアリングシャフトを介してハンドルに入力されるため、その振動によって室内の静粛性や乗り心地が阻害されるという問題がある。
【０００３】
そこで、従来のステアリングシャフトに代えて、ボーデンワイヤー等のフレキシブルな伝達手段を採用したケーブル式ステアリング装置が提案されている（特開平７−１１７６２５号公報参照）。
【０００４】
このようにすれば、ギヤボックスの位置に対するハンドルの相対位置を自由に選択することが可能になり、しかもギヤボックスの振動がハンドルに伝達され難くなるため、上述した各問題を解消することができる。
【０００５】
上記従来のケーブル式ステアリング装置のハンドルロック機構は、キーシリンダから出没するロックピンで、ボーデンワイヤーのインナーワイヤーの中間部に固定したロックプレートのロック孔を係止してハンドルの回転を阻止するようになっている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のものは、剛体であるロックプレートが移動する範囲でボーデンワイヤーを直線状に配置する必要があるため、ボーデンワイヤーの取り回しに制約が生じてハンドルに近い位置にハンドルロック機構を設けるのが難しくなる場合があった。またボーデンワイヤーを係止することによりハンドルの回転を阻止しているので、ハンドルを回転させる荷重がボーデンワイヤーに直接作用して伸びやガタが発生する場合があった。
【０００７】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、ハンドルロック機構をドライバーが操作し易い位置に設けるとともに、ボーデンワイヤーに大きな荷重が加わるのを防止することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載された発明によれば、ハンドルに連結された駆動プーリと車輪を操舵するギヤボックスに連結された従動プーリとをワイヤーで接続し、ハンドルに入力される操舵トルクを前記ワイヤーを介してギヤボックスに伝達するケーブル式ステアリング装置であって、駆動プーリを収納するハウジングに該駆動プーリの回転を阻止するロック手段を設け、ロック手段から突出するロックピンが係合するロック孔を駆動プーリの側面に設けたことを特徴とするケーブル式ステアリング装置が提案される。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の参考例および実施例に基づいて説明する。
【００１０】
図１〜図３は本発明の参考例を示すもので、図１は車両用ステアリング装置の全体斜視図、図２は図１の２−２線拡大断面図、図３は図１の３−３線拡大断面図である。
【００１１】
図１に示すように、自動車のハンドル１の前方に設けた駆動プーリハウジング２と、ギヤボックス３に設けた従動プーリハウジング４とが、２本のボーデンワイヤー５，６によって接続される。ギヤボックス３の両端部から車体左右方向に延びるタイロッド８_L，８_Rが、左右の車輪Ｗ_L，Ｗ_Rを支持するナックル（図示せず）に接続される。
【００１２】
図２に示すように、駆動プーリハウジング２に回転自在に支持されてハンドル１と共に回転する回転軸１２に駆動プーリ１３が固定される。ボーデンワイヤー５，６はアウターチューブ５ｏ，６ｏと、その内部にスライド自在に収納されるインナーケーブル５ｉ，６ｉとから構成される。両インナーケーブル５ｉ，６ｉの一端は駆動プーリ１３の外周に形成した螺旋状のプーリ溝に巻き付けられて固定され、アウターチューブ５ｏ，６ｏの一端は駆動プーリハウジング２に固定される。
【００１３】
図３に示すように、ギヤボックス３は左側のモータ収納室１８と右側のラックアンドピニオン収納室１９とに分割されており、そのラックアンドピニオン収納室１９に前記従動プーリハウジング４が支持される。従動プーリハウジング４内に設けた従動プーリ２０と一体の回転軸２１がラックアンドピニオン収納室１９内に延びており、そこにピニオン２２が固定される。ギヤボックス３の内部には、両端が前記タイロッド８_L，８_Rに接続されたステアリングロッド２３が左右スライド自在に支持されており、このステアリングロッド２３に形成したラック２４に前記ピニオン２２が噛み合っている。
【００１４】
従動プーリ２０の外周に２本のボーデンワイヤー５，６のインナーケーブル５ｉ，６ｉの他端が巻き付けられて固定されるとともに、アウターチューブ５ｏ，６ｏの他端が従動プーリハウジング４の適宜位置に固定される。
【００１５】
ギヤボックス３のモータ収納室１８に収納されたパワーステアリング用モータ２５は、モータ収納室１８の内周面に固定されたステータ２６と、モータ収納室１８の内周面に３個のボールベアリング２７，２８，２９を介して回転自在に支持されてステアリングロッド２３の外周に嵌まるモータ出力軸３０と、モータ出力軸３０に固着されて前記ステータ２６に対向するロータ３１とを備える。モータ出力軸３０の内周面とステアリングロッド２３の外周面との間にボールネジ機構３２が設けられており、モータ２５を駆動してモータ出力軸３０を正逆転させることにより、ステアリングロッド２３を左右方向に往復移動させる操舵アシスト力を発生させることができる。
【００１６】
図１及び図２から明らかなように、駆動プーリハウジング２にイグニッションスイッチと一体のハンドルロック機構３５が設けられる。ハンドルロック機構３５は駆動プーリハウジング２に固定された周知のシリンダ錠３６を備えており、イグニッションキー３７により操作されるシリンダ錠３６は、ハンドルロック機構３５が作動するロック位置、ラジオ等の電気機器が使用可能になるアクセサリ位置、エンジンを運転するＯＮ位置、スタータモータが作動するスタート位置等を切り換えることができる。
【００１７】
シリンダ錠３６がイグニッションキー３７を抜き差しすることができるロック位置にあるとき、シリンダ錠３６から突出したロックピン３８が駆動プーリ１３の外周面に形成したロック孔３９に係合する。
【００１８】
次に、前述の構成を備えた本発明の参考例の作用について説明する。
【００１９】
車両を旋回させるべくハンドル１を回転させると、図２において回転軸１２が駆動プーリ１３と共に回転し、ボーデンワイヤー５，６のインナーケーブル５ｉ，６ｉが押し引きされる。その結果、図３においてギヤボックス３の従動プーリ２０が回転軸２１及びピニオン２２と一体に回転し、ラック２４に操舵トルクが伝達される。
【００２０】
ハンドル１の操舵トルクが駆動プーリハウジング２内に設けた図示せぬ検出手段により検出されると、その操舵トルクに基づいてパワーステアリング用モータ２５が駆動される。而して、ステアリングロッド２３がパワーステアリング用モータ２５により左右方向に駆動され、ドライバーによるハンドル１の操作がアシストされる。
【００２１】
以上説明したように、ハンドル１とギヤボックス３とを撓み易いボーデンワイヤー５，６で接続したので、ギヤボックス３に対してハンドル１を任意の位置に配置することが可能になり、設計自由度が大幅に向上する。これにより、例えば右ハンドル車と左ハンドル車とでギヤボックス３を共用したり、ハンドル１のチルト機構やテレスコピック機構の構造を簡略化することができる。
【００２２】
また、ハンドル１とギヤボックス３とを接続する従来のステアリングシャフトが廃止されるため、ギヤボックス３の振動やエンジンの振動がハンドル１に伝達され難くなって乗り心地が向上するだけでなく、ドライバーの足元の空間を充分に確保して居住性を高めることができ、しかも車両の衝突時にハンドル１を車体前方に向けて充分なストロークで移動させることができるので、大きな衝撃吸収効果を発揮させることができる。
【００２３】
更に、ハンドルロック機構３５がドライバーに近い駆動プーリハウジング２に設けられているので操作が容易であり、しかもハンドルロック機構３５の作動中にハンドル１を無理に回転させようとした場合に、その荷重が駆動プーリ１３によって受け止められてボーデンワイヤー５，６に伝達されないため、該ボーデンワイヤー５，６が伸びてガタが発生する虞がない。
【００２４】
次に、図４〜図６に基づいて本発明の第１〜第３実施例を説明する。尚、第１〜第３実施例において、説明を省略した部分の構成および作用効果は上述した参考例と同じである。
【００２５】
図４に示す第１実施例は、ハンドルロック機構３５のシリンダ錠３６のロックピン３８が係合するピン孔３９を、駆動プーリ１３の外周面ではなく側面に設けたものである。また、図５に示す第２実施例は、シリンダ錠３６に２本のロックピン３８，３８を設け、これら２本のロックピン３８，３８を駆動プーリ１３の側面に設けた２個のロック孔３９，３９に係合させるものである。この第２実施例によれば、駆動プーリ１３の回転を一層確実に規制して信頼性を高めることができる。
【００２６】
また図６に示す第３実施例のハンドルロック機構３５は、回転軸４０に支持されてスプリング４１により駆動プーリ１３に向けて付勢されたロックアーム４２を備えており、このロックアーム４２に駆動プーリ１３のロック孔３９に係合するロックピン３８が設けられる。図示せぬシリンダ錠でカム部材４３を回転させると、ロックアーム４２が駆動プーリ１３から離れる方向に回転し、ロックピン３８がロック孔３９から離脱して駆動プーリ１３のロックが解除される。
【００２７】
従って、カム部材４３を図示位置に回転させて駆動プーリ１３をロックするとき、ロック孔３９及びロックピン３８の位相が一致していなくても、ハンドル１を操作して駆動プーリ１３を回転させると、前記位相が一致したときにロックピン３８がロック孔３９に係合する。これにより、ハンドル１を所定位置に位置決めしなくてもシリンダ錠３５をロック位置に操作することが可能となり、利便性が向上する。
【００２８】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【００２９】
【発明の効果】
以上のように、請求項１に記載された発明によれば、駆動プーリを収納するハウジングに該駆動プーリの回転を阻止するロック手段を設けたので、ロック手段の位置がドライバーに近くなって操作が容易になり、しかもロックされたハンドルを回転させようとしてもワイヤーに荷重が加わることがない。
【図面の簡単な説明】
【図１】車両用ステアリング装置の全体斜視図
【図２】図１の２−２線拡大断面図
【図３】図１の３−３線拡大断面図
【図４】本発明の第１実施例に係る、前記図２に対応する図
【図５】本発明の第２実施例に係る、前記図２に対応する図
【図６】本発明の第３実施例に係る、前記図２に対応する図
【符号の説明】
１ハンドル
２駆動プーリハウジング（ハウジング）
３ギヤボックス
５ボーデンワイヤー（ワイヤー）
６ボーデンワイヤー（ワイヤー）
１３駆動プーリ
２０従動プーリ
３５ハンドルロック機構（ロック手段）
３８ロックピン
３９ロック孔
Ｗ_L 車輪
Ｗ_R 車輪

Claims

ハンドル（１）に連結された駆動プーリ（１３）と車輪（Ｗ_L，Ｗ_R）を操舵するギヤボックス（３）に連結された従動プーリ（２０）とをワイヤー（５，６）で接続し、ハンドル（１）に入力される操舵トルクを前記ワイヤー（５，６）を介してギヤボックス（３）に伝達するケーブル式ステアリング装置であって、
駆動プーリ（１３）を収納するハウジング（２）に該駆動プーリ（１３）の回転を阻止するロック手段（３５）を設け、ロック手段（３５）から突出するロックピン（３８）が係合するロック孔（３９）を駆動プーリ（１３）の側面に設けたことを特徴とするケーブル式ステアリング装置。