JP3665796B2 - 円筒成型ロール装置 - Google Patents

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泰孝 井上
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井上産業株式会社
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、硬質ロールとこれが食い込む弾性素材を使用した円筒成型装置に関し、特に巾方向両側にフランジを有する断面コ字状の被成型材を円筒成型するのに最適な円筒成型ロール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属板のような可塑性板状素材からなる被成型材を円筒状に曲折成型する手段として、図6及び図7に示すように相対向して回転する弾性ロール30と硬質ロール40とを圧接して設け、被成型材Wを両ロール間に挿入通過させることにより円筒状に曲折成型する技術が公知である(例えば、特公昭41−13974号、実公昭43−11238号、実公昭60−37125号公報等に記載。)。
【0003】
この場合、図5に示すように巾方向両側にフランジ(立ち上がり縁)W1、W1を有する断面コ字状の被成型材Wを上記技術により円筒成型するためには、図6及び図7に示すように硬質ロール40に被成型材WのフランジW1、W1が収容されるべき逃げ溝41、41を設ければよいことは容易に想到し得るところである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような被成型材Wを円筒状に成型する場合、フランジW1に内周と外周の寸法差が生じ、この寸法差により図8に示すように皺Hが生じることとなる。
【0005】
一方、硬質ロール40の上記の逃げ溝41の巾を狭く設定することにより、この皺Hは溝の巾に規制されて平坦化されるが、この場合には被成型材WのフランジW1が逃げ溝41内に噛み込んで硬質ロール40から外せなくなってしまう事態は生じる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は以上の如き従来技術の問題点を解消することを目的として創作されたものであり、相対向して回転する弾性ロールと硬質ロールとを圧接して設け、巾方向両側にフランジを有する断面コ字状の被成型材を両ロール間に挿入通過させることにより円筒状に曲折成型する円筒成型装置において、被成型材のフランジにより挟まれた巾に長さを設定した硬質ロールの両側に、硬質ロールと同軸にして弾性ロールに圧接される一対のサイドロールを硬質ロール端面に向かって進退自在に設けると共に、このサイドロールに硬質ロール端面より離隔方向に押し戻すための附勢力を与え、更にこのサイドロールの外側端面には外周に向かうと共に硬質ロール端面側に傾斜するテーパ面を設けたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の成型装置の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1及び2はこの発明の成型装置の全体を示す図である。
図中符号21は硬質ロールである。
この硬質ロール21は被成型材WのフランジW1、W1により挟まれた巾に長さを設定され、ここでは金属により構成される。
図中符号10はこの硬質ロール21に対して相対向して回転する弾性ロールであり、硬質ロール21に対し圧接される。
尚、図中符号11は弾性ロールの弾性素材層であり、ここではウレタンにより構成される。
【0008】
以上の構成により、被成型材Wは、一端が硬質ロール21と一方の弾性ロール10間に挿入され、これらのロールの回転に伴い硬質ロール21が食い込むことにより弾性ロール10の表面に生ずる円弧状の窪みにより円筒状にプレス成型されることとなる。
【0009】
一方、図中符号22、22は上記の硬質ロール21の両側に硬質ロールと同軸に設けられるサイドロールであり、ここでは金属により構成される。
このサイドロール22、22はやはり弾性ロールに圧接されるものであり、この実施例においては貫通孔23Bに対して摺動自在に貫通させたボルト23A端を硬質ロール21の端面に螺合することにより、硬質ロール21の回転方向への移動は規制しつつ、硬質ロール端面に向かっては進退自在に設けられる(図3及び4参照)。
そして、この実施例においては、サイドロール22、22を硬質ロール21端面より離隔方向に押し戻すために、両者間にゴム製のOリング24を介在させる手段を採用している(図3及び4参照)。
【0010】
さて、上記のサイドロール22の外側端面には外周に向かうと共に硬質ロール21端面側に傾斜するテーパ面Tが設けられる。
よって、成型時に弾性ロール10に圧接されることによりサイドロール22の軸芯方向に加わる力は、このテーパ面Tにより硬質ロール21端面方向への力としても加わることになり、サイドロール22内側端面はOリング24を押し潰しながら硬質ロール21端面方向に押しつけられることとなる(図3及び4参照)。
【0011】
従って、この場合、被成型材WのフランジW1、W1は成型時に上記のサイドロール22、22内側端面により硬質ロール21端面に押しつけられることにより皺の発生が規制される。
【0012】
一方、成型完了時にはサイドロール22、22の弾性ロール10への圧接は解除されるのであるから、サイドロール22、22は前記の押し潰されたOリング24の復元力により硬質ロール21端面より離隔方向に押し戻されることとなり、被成型材WのフランジW1、W1の押しつけ状態は解消し、その取り外しが可能となる。
【0013】
【発明の効果】
以上のように構成されるこの発明は次の特有の効果を奏する。
▲1▼被成型材のフランジは成型時には、硬質ロール端面とサイドロール端面間に固く挟持されるので、皺の発生が確実に防止される。
【0014】
▲2▼成型完了時には、サイドロール端面は硬質ロール端面より離隔するので、成型された被成型材のフランジが噛み込まれることがなく、被成型材は硬質ロールより容易に離脱する。
【0015】
▲3▼以上の効果を奏するためのサイドロールの進退は、サイドロールに設けたテーパ面及び、例えば弾性素材等による附勢力により実現されるので、構造が極めて簡易であり、又故障のおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の円筒成型ロール装置の非成型状態の一部切り欠き正面図。
【図2】同上、成型状態の一部切り欠き正面図。
【図3】同上、非成型状態の要部の一部切り欠き正面図。
【図4】同上、成型状態の要部の一部切り欠き正面図。
【図5】被成型材の斜視図。
【図6】従来技術の円筒成型ロール装置の正面図。
【図7】同上、一部切り欠き側面図。
【図8】従来技術により成型された被成型材の斜視図。
【符号の説明】
10 弾性ロール
21 硬質ロール
22 サイドロール
24 Oリング
T テーパ面
W 被成型材
W1 フランジ

Claims (2)

  1. 相対向して回転する弾性ロールと硬質ロールとを圧接して設け、巾方向両側にフランジを有する断面コ字状の被成型材を両ロール間に挿入通過させることにより円筒状に曲折成型する円筒成型装置において、被成型材のフランジにより挟まれた巾に長さを設定した硬質ロールの両側に、硬質ロールと同軸にして弾性ロールに圧接される一対のサイドロールを硬質ロール端面に向かって進退自在に設けると共に、このサイドロールに硬質ロール端面より離隔方向に押し戻すための附勢力を与え、更にこのサイドロールの外側端面には外周に向かうと共に硬質ロール端面側に傾斜するテーパ面を設けたことを特徴とする円筒成型ロール装置。
  2. サイドロールの内側端面と硬質ロール端面間に、サイドロールを硬質ロール端面より離隔方向に押し戻すための弾性部材を介在させることにより附勢力を与える手段とした請求項1記載の円筒成型ロール装置。
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