JP3665564B2 - 減速機構付きモータ及び減速機構付きモータのギヤハウジング - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、減速機構付きモータ及び減速機構付きモータのギヤハウジングに係り、詳しくは、モータの部品点数の削減を図るべくブラシ保持部を一体形成したギヤハウジングにおいて、ヨークハウジングを取り付けるための取付部の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
減速機構付きモータは、モータ本体と該モータ本体の回転を減速して出力する減速部とを一体に備えたものである。図6に示すように、モータ本体を構成するヨークハウジング51は有底扁平円筒状に形成され、該ハウジング51は、互いに平行な一対の平面部51aと、対向する平面部51aの端部間を繋ぐ円弧部51bとを備えている。ヨークハウジング51には、図示しないがその内周面にマグネットが固着され、該マグネットの内側には電機子が回転可能に収容される。
【0003】
これに対し、減速部を構成する樹脂製のギヤハウジング52には、図示しないがその内部に前記モータ本体(ヨークハウジング51)からのびる回転軸と駆動連結し、出力軸に回転軸の回転を減速して出力する減速機構が収容されている。このようなギヤハウジング52には、図6〜図8に示すように、ヨークハウジング51の開口部51cに内嵌する環状の内嵌壁部53が形成されている。内嵌壁部53は、ヨークハウジング51と同様に、一対の平面部53aと円弧部53bを備えている。内嵌壁部53内の中央部には、回転軸を収容するための軸収容部54が形成されており、その軸収容部54の開口部近傍には該軸収容部54を挟んで相互に対向する一対のブラシ保持部55が一体に形成されている。
【0004】
ブラシ保持部55は、前記回転軸に固着される整流子に摺接するためのブラシを保持するものであって、内嵌壁部53における円弧部53bの中心線L51上に配置されている。このようにブラシ保持部55を配置すると、内嵌壁部53内のブラシ保持部55周りに他のモータ構成部品を収容するための収容スペースが広く取れる。ブラシ保持部55は、ブラシが挿入されるブラシ挿入孔55aを有している。ブラシ挿入孔55aは、軸収容部54の軸方向に略直交する方向に延びている。
【0005】
又、ギヤハウジング52には、内嵌壁部53の外側において、前記ヨークハウジング51を取り付けるための取付部56が形成されている。取付部56には、軸収容部54の延びる方向に3つのネジ挿通孔57が形成されている。取付部56の外側面には、各ネジ挿通孔57の延びる方向(ネジ挿入方向)と直交する方向に延び、ネジ挿通孔57の底部と連通するナット保持孔58がそれぞれ形成されている。ナット保持孔58は、挿入される六角ナット59を回転不能かつ軸方向に移動不能にするために設けられている。
【0006】
前記ヨークハウジング51の開口部51cにはギヤハウジング52の取付部56に対応した固定片51dが形成され、この固定片51dには前記各ネジ挿通孔57に対応したネジ挿通孔51eが形成されている。そして、ギヤハウジング52の取付部56にヨークハウジング51の固定片51dを密着させ、ナット保持孔58にナット59を保持した状態でネジ60を各ネジ挿通孔51e,57を介してナット59と螺着させ、ギヤハウジング52とヨークハウジング51とが連結固定される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したギヤハウジング52は、金型に樹脂を流し込むことにより成形される。この金型は、ギヤハウジング52の外形及びナット保持孔58等を形成する最中合せ一対の(図6において上下方向に分離する一対の)第1及び第2金型と、軸収容部54の軸方向に沿ってスライドし、該軸収容部54、ブラシ保持部55の外形及びネジ挿通孔57を形成する第1スライド型と、軸収容部54の軸方向と略直交する方向に沿ってスライドし、ブラシ挿入孔55aを形成する第2スライド型とからなる。そして、上記したギヤハウジング52は、ブラシ挿入孔55aを径方向外側に延長させた領域から外れた位置に各ネジ挿通孔57を配置することで、第1スライド型と第2スライド型とが相互に干渉しないようにしている。
【0008】
しかしながら、第1スライド型のネジ挿通孔57を形成する部分と第2スライド型のブラシ挿入孔55aを形成する部分との干渉を十分考慮して各金型を製作しなければならない。従って、各金型の製作が煩雑であり、その製作に時間がかかっていた。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、樹脂製のギヤハウジングを成形するための金型の製作を簡素化することができる減速機構付きモータ及びそのギヤハウジングを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、電機子等のモータ構成部品を収容するヨークハウジングを有するモータ本体と、該モータ本体の回転を減速する減速機構を収容する樹脂製のギヤハウジングを有する減速部とを備えた減速機構付きモータであって、前記ヨークハウジングは、開口部に設けられる取付片と、該取付片においてネジを挿通するための一対のネジ挿通孔とを備えるとともに、前記ギヤハウジングは、前記ヨークハウジングを取り付けるための取付部と、該取付部の内側においてブラシ挿入孔を有するブラシ保持部と、前記ネジの挿入方向と直交する方向に延設され前記ネジと螺着されるナットを挿入保持するナット保持孔と、該ナット保持穴と連通して前記ネジを挿通し前記ブラシ挿入孔の延びる方向又は前記ナット保持孔の延びる方向と平行に切り欠かれたネジ挿通用切欠きとを備え、前記ネジを前記ヨークハウジングのネジ挿通孔及び前記ギヤハウジングのネジ挿通用切欠きを介して挿通し、前記ナット保持孔に挿入保持したナットと螺着して、両ハウジングを連結固定するようにした。
【0011】
請求項2に記載の発明は、互いに平行な一対の平面部と該平面部の端部間を繋ぐ円弧部とを備えた扁平円筒状に形成され、電機子等のモータ構成部品を収容するヨークハウジングを有するモータ本体と、該モータ本体の回転を減速する減速機構を収容する樹脂製のギヤハウジングを有する減速部とを備えた減速機構付きモータであって、前記ヨークハウジングは、開口部に設けられる取付片と、該取付片において円弧部の中心線上に配設されネジを挿通するための一対のネジ挿通孔とを備えるとともに、前記ギヤハウジングは、前記ヨークハウジングを取り付けるための取付部と、該取付部の内側において前記ヨークハウジングの円弧部の中心線上に配設されブラシ挿入孔を有するブラシ保持部と、前記ネジの挿入方向と直交する方向に延設され前記ネジと螺着されるナットを挿入保持するナット保持孔と、該ナット保持穴と連通して前記ネジを挿通し前記ブラシ挿入孔の延びる方向又は前記ナット保持孔の延びる方向と平行に切り欠かれたネジ挿通用切欠きとを備え、前記ネジを前記ヨークハウジングのネジ挿通孔及び前記ギヤハウジングのネジ挿通用切欠きを介して挿通し、前記ナット保持孔に挿入保持したナットと螺着して、両ハウジングを連結固定するようにした。
【0012】
請求項3に記載の発明は、電機子等のモータ構成部品を収容するヨークハウジングを有するモータ本体と、該モータ本体の回転を減速する減速機構を収容する樹脂製のギヤハウジングを有する減速部とを備えた減速機構付きモータのギヤハウジングであって、前記ヨークハウジングは、開口部に設けられる取付片と、該取付片においてネジを挿通するための一対のネジ挿通孔とを備えるものであり、前記ギヤハウジングは、前記ヨークハウジングを取り付けるための取付部と、該取付部の内側においてブラシ挿入孔を有するブラシ保持部と、前記ネジの挿入方向と直交する方向に延設され前記ネジと螺着されるナットを挿入保持するナット保持孔と、該ナット保持穴と連通して前記ネジを挿通し前記ブラシ挿入孔の延びる方向又は前記ナット保持孔の延びる方向と平行に切り欠かれたネジ挿通用切欠きとを備えた。
【0013】
(作用)
請求項1,3に記載の発明によれば、ギヤハウジングは、ヨークハウジングを取り付けるための取付部と、該取付部の内側においてブラシ挿入孔を有するブラシ保持部と、ネジの挿入方向と直交する方向に延設されネジと螺着されるナットを挿入保持するナット保持孔と、該ナット保持穴と連通してネジを挿通しブラシ挿入孔の延びる方向又はナット保持孔の延びる方向と平行に切り欠かれたネジ挿通用切欠きとが備えられる。
【0014】
ここで、ギヤハウジングは、金型に樹脂を流し込むことにより成形される。この金型は、ネジ挿通用切欠きをブラシ挿入孔の延びる方向と平行に切り欠かれた場合、ギヤハウジングの外形及びナット保持孔を形成する最中合せ一対の第1及び第2金型と、ヨークハウジングが組み付けられる方向に沿ってスライドし、ブラシ保持部の外形を形成する第1スライド型と、ヨークハウジングの組み付けられる方向と略直交する方向に沿ってスライドし、ブラシ挿入孔及びネジ挿通用切欠きを形成する第2スライド型とからなる。
【0015】
そして、上記したように、ネジ挿通用切欠きをブラシ挿入孔の延びる方向と平行となるように径方向外側に切り欠いた形状とすることで、ブラシ挿入孔を形成する第2スライド型でネジ挿通用切欠きを同時に形成するようにしている。つまり、第1スライド型と第2スライド型の干渉する個所が少なくなるので、各金型の製作を簡素化できる。
【0016】
一方、ネジ挿通用切欠きをナット保持孔の延びる方向と平行に切り欠かれた場合、金型は、ギヤハウジングの外形、ナット保持孔及びネジ挿通用切欠きを形成する最中合せ一対の第1及び第2金型と、ヨークハウジングが組み付けられる方向に沿ってスライドし、ブラシ保持部の外形を形成する第1スライド型と、ヨークハウジングの組み付けられる方向と略直交する方向に沿ってスライドし、ブラシ挿入孔を形成する第2スライド型とからなる。
【0017】
そして、上記したように、ネジ挿通用切欠きをナット保持孔の延びる方向と平行となるように径方向外側に切り欠いた形状とすることで、ギヤハウジングの外形及びナット保持孔を形成する第1及び第2金型でネジ挿通用切欠きを同時に形成するようにしている。つまり、この場合においても、第1スライド型と第2スライド型の干渉する個所が少なくなるので、各金型の製作を簡素化できる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、ギヤハウジングは、ヨークハウジングを取り付けるための取付部と、該取付部の内側においてブラシ挿入孔を有するブラシ保持部と、ネジの挿入方向と直交する方向に延設されネジと螺着されるナットを挿入保持するナット保持孔と、該ナット保持穴と連通してネジを挿通しブラシ挿入孔の延びる方向又はナット保持孔の延びる方向と平行に切り欠かれたネジ挿通用切欠きとが備えられる。
【0019】
ここで、ギヤハウジングは、金型に樹脂を流し込むことにより成形される。この金型は、ネジ挿通用切欠きをブラシ挿入孔の延びる方向と平行に切り欠かれた場合、ギヤハウジングの外形及びナット保持孔を形成する最中合せ一対の第1及び第2金型と、ヨークハウジングが組み付けられる方向に沿ってスライドし、ブラシ保持部の外形を形成する第1スライド型と、ヨークハウジングの組み付けられる方向と略直交する方向に沿ってスライドし、ブラシ挿入孔及びネジ挿通用切欠きを形成する第2スライド型とを備えている。
【0020】
そして、上記したように、ネジ挿通用切欠きをブラシ挿入孔の延びる方向と平行となるように径方向外側に切り欠いた形状とすることで、ブラシ挿入孔を形成する第2スライド型でネジ挿通用切欠きを同時に形成するようにしている。つまり、第1スライド型と第2スライド型の干渉する個所が少なくなるので、各金型の製作を簡素化できる。
【0021】
一方、ネジ挿通用切欠きをナット保持孔の延びる方向と平行に切り欠かれた場合、金型は、ギヤハウジングの外形、ナット保持孔及びネジ挿通用切欠きを形成する最中合せ一対の第1及び第2金型と、ヨークハウジングが組み付けられる方向に沿ってスライドし、ブラシ保持部の外形を形成する第1スライド型と、ヨークハウジングの組み付けられる方向と略直交する方向に沿ってスライドし、ブラシ挿入孔を形成する第2スライド型とを備えている。
【0022】
そして、上記したように、ネジ挿通用切欠きをナット保持孔の延びる方向と平行となるように径方向外側に切り欠いた形状とすることで、ギヤハウジングの外形及びナット保持孔を形成する第1及び第2金型でネジ挿通用切欠きを同時に形成するようにしている。つまり、この場合においても、第1スライド型と第2スライド型の干渉する個所が少なくなるので、各金型の製作を簡素化できる。
【0023】
しかも、ヨークハウジングは扁平円筒状をなし、該ヨークハウジングは円弧部の中心線上に配置される一対のネジにより固定される。従って、ギヤハウジングに取り付けたヨークハウジングの安定性は良好である。そのため、ネジ及びナットを使用する個数が少なくてすむ。又、ヨークハウジングを回転対称形状にできるので、該ハウジングの取付けの自由度は大きい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、減速機構付きモータ1は、モータ本体2と、該モータ本体2の回転を減速して出力する減速部3とが一体に組み付けられて構成されている。
【0025】
モータ本体2は、図1及び図2に示すように、有底扁平円筒状のヨークハウジング4を有している。ヨークハウジング4は、互いに平行な一対の平面部4aと、対向する平面部4aの端部間を繋ぐ円弧部4bとを備えている。ヨークハウジング4には、その内周面にマグネット(図示略)が固着され、該マグネットの内側には電機子5が回転可能に収容される。ヨークハウジング4の開口部4cにはフランジ状の取付片4dが形成され、該取付片4dにおける円弧部4bの中心線(後述する中心線L1と一致する線)上にはネジ挿通孔4eが1つずつ形成されている。
【0026】
減速部3は、樹脂製のギヤハウジング6を有している。ギヤハウジング6には、図1に示すように、その内部に前記モータ本体2からのびる回転軸5aと駆動連結し、出力軸7に回転軸の回転を減速して出力する減速機構8が収容されている。このようなギヤハウジング6には、図2〜図4に示すように、ヨークハウジング4の開口部4cに内嵌する環状の内嵌壁部9が形成されている。内嵌壁部9は、ヨークハウジング4と同様に、一対の平面部9aと円弧部9bを備えている。内嵌壁部9内の中央部には、回転軸を収容するための軸収容部10が形成されており、その軸収容部10の開口部近傍には該軸収容部10を挟んで相互に対向する一対のブラシ保持部11が一体に形成されている。
【0027】
ブラシ保持部11は、図1に示す前記回転軸5aに固着される整流子5bに摺接するためのブラシを保持するものであって、内嵌壁部9における円弧部9bの中心線L1上に配置されている。このようにブラシ保持部11を配置すると、内嵌壁部9内のブラシ保持部11周りに他のモータ構成部品を収容するための収容スペースが広く取れる。ブラシ保持部11は、ブラシが挿入されるブラシ挿入孔11aを有している。ブラシ挿入孔11aは、軸収容部10の軸方向に略直交する方向に延びている。
【0028】
又、ギヤハウジング6には、内嵌壁部9の外側において、前記ヨークハウジング4を取り付けるための取付部12が形成されている。取付部12には、軸収容部10の延びる方向に2つのネジ挿通用切欠き13が形成されている。このネジ挿通用切欠き13は、内嵌壁部9における円弧部9bの中心線L1上に配置され、該中心線L1に沿って開口している。即ち、このネジ挿通用切欠き13は、前記ブラシ挿入孔11aの延びる方向と平行となるように径方向外側に切り欠かれている。取付部12の外側面には、ネジ14の挿入方向と直交する方向に延び、ネジ挿通用切欠き13と連通するナット保持孔15がそれぞれ形成されている。ナット保持孔15は、挿入される六角ナット16を回転不能かつ軸方向に移動不能にするために設けられている。
【0029】
尚、取付部12におけるヨークハウジング4の取付面12aには、前記ヨークハウジングの取付片4dが当接する部位において、ギヤハウジング6とヨークハウジング4との軸線を一致させるようにヨークハウジング4の傾きを調整する調整突起12b,12cが複数個、所定位置に形成されている。この調整突起12b,12cは、両ハウジング4,6の軸線が一致するように適宜削られるものである。
【0030】
そして、このようなギヤハウジング6と前記ヨークハウジング4とを組み付けるにあたり、先ず、マグネットや電機子5等を収容したヨークハウジング4の開口部4cにギヤハウジング6の内嵌壁部9を嵌挿し、ヨークハウジング4の取付片4dがギヤハウジング6の取付部12に密着される。次いで、ナット保持孔15にナット16が保持され、ネジ14がネジ挿通孔4e及びネジ挿通用切欠き13を介してナット16と螺着されることにより、ギヤハウジング6とヨークハウジング4とが連結固定される。
【0031】
ここで、本実施形態のギヤハウジング6は、金型に樹脂を流し込むことにより成形される。この金型は、ギヤハウジング6の外形及びナット保持孔15を形成する最中合せ一対の(図2において上下方向に分離する一対の)第1及び第2金型と、軸収容部10の軸方向に沿ってスライドし、該軸収容部10、ブラシ保持部11の外形及び調整突起12bを形成する第1スライド型と、軸収容部10の軸方向と略直交する方向に沿ってスライドし、ブラシ挿入孔11a、ネジ挿通用切欠き13及び調整突起12cを形成する第2スライド型とからなる。
【0032】
本実施形態では、上記したように、ネジ挿通用切欠き13をブラシ挿入孔11aの延びる方向と平行となるように径方向外側に切り欠いた形状とすることで、ブラシ挿入孔11aを形成する第2スライド型でネジ挿通用切欠き13を同時に形成するようにしている。つまり、第1スライド型と第2スライド型の干渉する個所が少なくなるので、各金型の製作を簡素化できる。
【0033】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態では、ネジ挿通用切欠き13をブラシ挿入孔11aの延びる方向と平行となるように径方向外側に切り欠いた形状とし、ブラシ挿入孔11aを形成する第2スライド型でネジ挿通用切欠き13を同時に形成するようにした。従って、第1スライド型と第2スライド型の干渉する個所を少なくできるので、各金型の製作を簡素化することができる。
【0034】
(2)ヨークハウジング4は、円弧部4bの中心線上に配置されるネジ14により固定されるので、安定性が良好である。ここで、従来のヨークハウジング51は角部近傍の3箇所に配置されるネジ60にて固定されている。これは、仮にヨークハウジング51を対角の2箇所でネジ60にて固定すると、該ハウジング51の安定性が若干悪い。そのため、対角の2箇所に更に1箇所加えて3箇所とすることで、ヨークハウジング51の安定性を向上させている。従って、従来ではネジ60及びナット59が3組必要なのに対し、本実施形態ではネジ14及びナット16が2組ですみ、部品点数を少なくすることができる。しかも、本実施形態のヨークハウジング4は従来とは違って回転対称形状であるため、該ハウジング4の取付けの自由度は大きい。
【0035】
(3)取付部12におけるヨークハウジング4の取付面12aには、ヨークハウジングの取付片4dが当接する部位において、ギヤハウジング6とヨークハウジング4との軸線を一致させるようにヨークハウジング4の傾きを調整する調整突起12b,12cが複数個、所定位置に形成されている。従って、調整突起12b,12cを適宜削るだけで、両ハウジング4,6の軸線が一致するように容易に調整することができる。
【0036】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、ネジ挿通用切欠き13をブラシ挿入孔11aの延びる方向と平行に切り欠いたが、これに限定されるものではなく、例えば、図5のように変更してもよい。
【0037】
図5に示すように、ネジ挿通用切欠き17はナット保持孔15の延びる方向と平行に切り欠かれている。この場合、ギヤハウジング6を成形する金型は、ギヤハウジング6の外形、ナット保持孔15及びネジ挿通用切欠き17を形成する最中合せ一対の第1及び第2金型と、軸収容部10の軸方向に沿ってスライドし、該軸収容部10及びブラシ保持部11の外形を形成する第1スライド型と、軸収容部10の軸方向と略直交する方向に沿ってスライドし、ブラシ挿入孔11aを形成する第2スライド型とからなる。
【0038】
そして、上記したように、ネジ挿通用切欠き17をナット保持孔15の延びる方向と平行となるように径方向外側に切り欠いた形状とすることで、ギヤハウジング6の外形及びナット保持孔15を形成する第1及び第2金型でネジ挿通用切欠き17を同時に形成するようにしている。つまり、この場合においても、第1スライド型と第2スライド型の干渉する個所が少なくなるので、各金型の製作を簡素化できる。
【0039】
○上記実施形態では、ヨークハウジング4は扁平円筒状であったが、円筒状であってもよい。
○上記実施形態の調整突起12b,12cの形状、数、配置を適宜変更してもよい。又、特に設けなくてもよい。
【0040】
○上記実施形態の減速機構付きモータ1の構成を適宜変更してもよい。
上記各実施形態から把握できる請求項以外の技術的思想を以下に記載する。
(イ)請求項1又は2に記載の減速機構付きモータにおいて、前記ギヤハウジングの取付部には、前記ヨークハウジングの開口部及び取付片が当接する部位において該ヨークハウジングの傾きを調整する複数の調整突起が形成されていることを特徴とする減速機構付きモータ。このようにすれば、調整突起を適宜削るだけで、両ハウジングの軸線が一致するように容易に調整することができる。
【0041】
(ロ)請求項3に記載の減速機構付きモータのギヤハウジングにおいて、前記ヨークハウジングを取り付けるための取付部には、前記ヨークハウジングの開口部及び取付片が当接する部位において該ヨークハウジングの傾きを調整する複数の調整突起が形成されていることを特徴とする減速機構付きモータのギヤハウジング。このようにすれば、調整突起を適宜削るだけで、両ハウジングの軸線が一致するように容易に調整することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、樹脂製のギヤハウジングを成形するための金型の製作を簡素化することができる減速機構付きモータ及びそのギヤハウジングを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の減速機構付きモータの概略構成図である。
【図2】 ヨークハウジング及びギヤハウジングの組付けを説明するための斜視図である。
【図3】 ギヤハウジングの要部斜視図である。
【図4】 ギヤハウジングの要部平面図である。
【図5】 別例のギヤハウジングの要部平面図である。
【図6】 従来のヨークハウジング及びギヤハウジングの組付けを説明するための斜視図である。
【図7】 ギヤハウジングの要部斜視図である。
【図8】 ギヤハウジングの要部平面図である。
【符号の説明】
2…モータ本体、4…ヨークハウジング、4a…平面部、4b…円弧部、4c…開口部、4d…取付片、4e…ネジ挿通孔、5…電機子、6…ギヤハウジング、11…ブラシ保持部、11a…ブラシ挿入孔、12…取付部、13,17…ネジ挿通用切欠き、14…ネジ、15…ナット保持孔、16…ナット、L1…中心線。
Claims (3)
- 電機子等のモータ構成部品を収容するヨークハウジングを有するモータ本体と、該モータ本体の回転を減速する減速機構を収容する樹脂製のギヤハウジングを有する減速部とを備えた減速機構付きモータであって、
前記ヨークハウジングは、開口部に設けられる取付片と、該取付片においてネジを挿通するための一対のネジ挿通孔とを備えるとともに、
前記ギヤハウジングは、前記ヨークハウジングを取り付けるための取付部と、該取付部の内側においてブラシ挿入孔を有するブラシ保持部と、前記ネジの挿入方向と直交する方向に延設され前記ネジと螺着されるナットを挿入保持するナット保持孔と、該ナット保持穴と連通して前記ネジを挿通し前記ブラシ挿入孔の延びる方向又は前記ナット保持孔の延びる方向と平行に切り欠かれたネジ挿通用切欠きとを備え、
前記ネジを前記ヨークハウジングのネジ挿通孔及び前記ギヤハウジングのネジ挿通用切欠きを介して挿通し、前記ナット保持孔に挿入保持したナットと螺着して、両ハウジングを連結固定するようにしたことを特徴とする減速機構付きモータ。 - 互いに平行な一対の平面部と該平面部の端部間を繋ぐ円弧部とを備えた扁平円筒状に形成され、電機子等のモータ構成部品を収容するヨークハウジングを有するモータ本体と、該モータ本体の回転を減速する減速機構を収容する樹脂製のギヤハウジングを有する減速部とを備えた減速機構付きモータであって、
前記ヨークハウジングは、開口部に設けられる取付片と、該取付片において円弧部の中心線上に配設されネジを挿通するための一対のネジ挿通孔とを備えるとともに、
前記ギヤハウジングは、前記ヨークハウジングを取り付けるための取付部と、該取付部の内側において前記ヨークハウジングの円弧部の中心線上に配設されブラシ挿入孔を有するブラシ保持部と、前記ネジの挿入方向と直交する方向に延設され前記ネジと螺着されるナットを挿入保持するナット保持孔と、該ナット保持穴と連通して前記ネジを挿通し前記ブラシ挿入孔の延びる方向又は前記ナット保持孔の延びる方向と平行に切り欠かれたネジ挿通用切欠きとを備え、
前記ネジを前記ヨークハウジングのネジ挿通孔及び前記ギヤハウジングのネジ挿通用切欠きを介して挿通し、前記ナット保持孔に挿入保持したナットと螺着して、両ハウジングを連結固定するようにしたことを特徴とする減速機構付きモータ。 - 電機子等のモータ構成部品を収容するヨークハウジングを有するモータ本体と、該モータ本体の回転を減速する減速機構を収容する樹脂製のギヤハウジングを有する減速部とを備えた減速機構付きモータのギヤハウジングであって、前記ヨークハウジングは、開口部に設けられる取付片と、該取付片においてネジを挿通するための一対のネジ挿通孔とを備えるものであり、
前記ギヤハウジングは、前記ヨークハウジングを取り付けるための取付部と、該取付部の内側においてブラシ挿入孔を有するブラシ保持部と、前記ネジの挿入方向と直交する方向に延設され前記ネジと螺着されるナットを挿入保持するナット保持孔と、該ナット保持穴と連通して前記ネジを挿通し前記ブラシ挿入孔の延びる方向又は前記ナット保持孔の延びる方向と平行に切り欠かれたネジ挿通用切欠きとを備えたことを特徴とする減速機構付きモータのギヤハウジング。
Priority Applications (1)
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