JP3664965B2 - 道路課金システム及び路側装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定領域である進入制限の対象地域内に進入する車両に対して自動的に課金を行なう道路課金システム及び路側装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、大都市等においては交通量の増加に伴い渋滞が慢性化してきており、交通渋滞は経済効率の悪化や排気ガスによる環境悪化の原因となっている。このような状況により、交通混雑の激しい地域に進入する車両に対して課金することによって当該地域に進入する車両を抑制して交通渋滞を減らすことが考えられてきている。特定領域である進入制限の対象地域内に進入する車両への課金は、境界線の箇所で車両側との間で通信を行い、電子的な手段で停車することなく課金を行なう道路課金システムが種々検討されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
従来の道路料金課金システムでは、ノンストップにより無線等の通信により課金を行なうことが前提となっているため、課金方式や決済方式、違反車両に対する追課金、課金対象車両等の問題を解決する必要がある。解決しなければいけない問題の一つに、課金対象車両を確実に認識したり、一度課金処理を行なった退出側からの車両を確実に認識し、課金処理の要否を精度良く確実に判断して処理を行なう必要があることが挙げられる。
【０００４】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、課金処理の要否を精度良く確実に判断して処理を行なうことができる道路課金システム及び路側装置を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の道路課金システムの構成は、進入が制限される対象地域への進入車両に課金を行なう道路課金システムであって、車両に搭載され車両側固有情報が記憶される記憶部及び無線通信部を備えた車載側機器と、対象地域への進入道路に設置される課金用アンテナと、課金用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報及び課金情報を送受信する課金用制御部と、対象地域からの退出道路に設置される課金停止用アンテナと、課金停止用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報を送受信して課金停止情報を認識する課金停止用制御部と、対象地域の境界部位に設置され車両の進行方向を認識する進行方向認識手段と、所定の課金制御を行なうように課金用制御部を制御すると共に、課金停止用アンテナを介して退出車両と通信して課金停止用制御部が課金停止情報を認識したときに課金停止時間を設定し、退出車両の通過の際に課金用アンテナとの間で通信が行なわれても課金停止時間の間は所定の課金制御を停止するように課金停止用制御部を制御し、更に、進行方向認識手段の情報に基づいて課金処理の要否を判断するシステム制御部とからなることを特徴とする。
【０００９】
そして、進行方向認識手段は、道路状況を撮像する撮像カメラと、撮像カメラの画像情報を処理することで車両の進行方向を判断する画像処理手段とを備えたことを特徴とする。
【００１２】
また、上記目的を達成するための本発明の路側装置は、進入が制限される対象地域への進入車両に課金を行なう道路課金システムにおける路側装置であって、対象地域への進入道路に設置される課金用アンテナと、課金用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報及び課金情報を送受信する課金用制御部と、対象地域からの退出道路に設置される課金停止用アンテナと、課金停止用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報を送受信して課金停止情報を認識する課金停止用制御部と、対象地域の境界部位に設置され車両の進行方向を認識する進行方向認識手段と、所定の課金制御を行なうように課金用制御部を制御すると共に、課金停止用アンテナを介して退出車両と通信して課金停止用制御部が課金停止情報を認識したときに課金停止時間を設定し、退出車両の通過の際に課金用アンテナとの間で通信が行なわれても課金停止時間の間は所定の課金制御を停止するように課金停止用制御部を制御し、更に、進行方向認識手段の情報に基づいて課金処理の要否を判断するシステム制御部とを備えたことを特徴とする。
【００１３】
【発明の実施の形態】
図１には本発明の一実施形態例に係る道路料金課金システムの概略系統、図２には課金処理の流れ状況、図３には道路料金課金システムのセンター処理系統の全体構成を示してある。
【００１４】
本実施形態例の道路料金課金システムは、道路が境界線によって進入制限の対象地域（特定領域）に仕切られ、特定領域内に進入する進入側からの車両に対して電子的な手段を用いることにより、停車することなく課金を行なう電子式道路課金（ＥＲＰ：Electronic Road Pricing ）システムである。車両への課金は、境界線の箇所でアンテナを介して車両側との間で路車間通信を行い、処理センターでデータを集計して後払いにより車両または運転者に課金を行なうようになっている（セントラルアカウント）。また、カメラにより全ての車両を撮影し、課金が行なえなかった車両に対してはライセンスプレートの番号等を認識して請求により課金を行なうようになっている。更に、カメラによる画像は画像処理により処理されて車両の進行方向が認識され（進行方向認識手段）、車両の進入が認識されたときに路車間通信を有効として課金を行なうようになっている。
【００１５】
尚、ＥＲＰシステムにおける課金処理は、後払いに限らず、前払いにより処理センターで残高管理を行なって車両または運転者に課金を行なうようにすることも可能である。また、セントラルアカウントに限らず、前払いにより車載側機器側（個人ＩＣカード等）で残高管理を行い、車載側機器内での課金処理（オンボード処理）を行なうようにすることも可能である。また、料金の支払いは、プリペイドカードや利用者限定のハウスカードを用いたり、クレジットカードやデビットカード等を用いて金融機関による決済を行なうことが可能である。また、他の公的機関やコンビニエンスストア等の商店で決済が行なえるシステムを構築することも可能である。また、カメラによる画像処理により車両の進行方向を認識するようにしているが、専用の電波レーダ、レーザーレーダ、赤外線カメラ等の進行方向認識手段を設けて、車両の進行方向を認識することも可能である。
【００１６】
図１に示すように、車両１には車載側機器である車載器２が搭載され、車載器２にはライセンスプレート番号等の車両１の識別情報となる固有情報（車両ＩＤ）が記憶される記憶部が備えられている。車載器２には運転者の識別情報となる個別情報（個人ＩＤ）が記憶されたＩＣカード３が装着可能となっており、車載器２とＩＣカード３により車載側機器が構成されている。車載側機器（車載器２）は車両ＩＤ及び個人ＩＤ（車両側固有情報）の通信を行なう無線通信部を備えている。尚、車載器２に運転者の識別情報である個人ＩＤが保持できれば、ＩＣカード３は不要となる。
【００１７】
道路の特定領域を仕切る境界線の部位には路側装置４が備えられている。路側装置４には、境界線の部位の進入側に設けられる課金用アンテナ５と、課金用アンテナ５を経由した車載器２との間での無線通信により車両ＩＤ及び個人ＩＤ（車両側固有情報）を送受信する課金制御部としての路側サーバ６とが備えられている。また、路側装置４には、進入側からの車両１のライセンスプレートを撮影するビデオカメラ（カメラ）７が備えられており、カメラ７の撮影情報は路側サーバ６の画像処理機能により処理されるようになっている。
【００１８】
路側装置４は処理センター８のセンターサーバ９と専用回線等の、例えば、専用の通信回線ネットワークでつながり、課金用アンテナ５を経由した車載器２との間での無線通信に基づいて所定の課金制御を行なうように路側サーバ６が制御される（システム制御部）。センターサーバ９は、課金管理機関や金融機関、クレジット会社等の課金処理機構１０と電話回線等の、例えば、一般の通信回線ネットワークでつながっている。
【００１９】
即ち、図２に示すように、車両１の車載器２と課金用アンテナ５を経由した路側サーバ６との間の無線通信により、車両ＩＤ及び個人ＩＤ（車両側固有情報）が路側サーバ６に送られ、路側サーバ６とセンターサーバ９との間で有効性や利用明細等の情報がやりとりされる。センターサーバ９には利用実績ファイル機能１１が備えられ、利用実績がファイルされると共に課金処理機構１０に利用明細情報が送られる。そして、課金処理機構１０を介して車両１の所有者もしくは運転者に所定の課金が行なわれる。尚、有料道路の自動料金収受を行なうノンストップ料金収受（ＥＴＣ）システムに使用される車載器との間で通信を行なった場合、ＥＴＣシステムの車載器における車両ＩＤに基づいて車両の所有者に対して請求により課金を行なうことも可能である。
【００２０】
また、図１に示すように、カメラ７の撮影情報に基づいてセンターサーバ９では課金が行なえなかった車両１に対してライセンスプレートの番号等を認識して請求により課金を行なうようになっている。即ち、センターサーバ９には、通過する車両１のライセンスプレートの番号を記憶する通過車両記憶機能と、正常な課金が行なわれた車両１のライセンスプレートの番号を記憶する正常車両記憶機能と、通過車両記憶機能及び正常車両記憶機能の情報を照合して正常に課金されていない車両１を認識する未課金車両特定機能とが備えられている。そして、センターサーバ９では、未課金の車両１に対して請求により課金を要求するようになっている。尚、カメラ７の撮影情報に基づいて特定領域内に進入する車両１の台数を把握して、特定領域内の交通量を把握することが可能となっている。
【００２１】
課金が行なえなかった車両１に対してライセンスプレートの番号等を認識して請求により課金を行なうために用いられるカメラ７の映像は、撮像カメラの画像情報として路側サーバ６で画像処理されて車両１の進行方向が認識され（進行方向認識手段）、撮影された車両１が進入方向に進んでいる車両であるか否かを認識し、進入方向に進んでいる車両１であって課金用アンテナ５との交信により車両ＩＤと画像情報との情報が一致した時に、路車間通信による課金処理が実行されるようになっている。
【００２２】
図３に示すように、路側装置４は境界線が存在する多数の場所に設置され、それぞれの路側装置４は管理ネットワーク１２を介して一箇所の処理センター８につながっている。そして、処理センター８はネットワーク１３を介して必要な課金処理機構１０につながっている。
【００２３】
上述した課金システムを備えた本実施形態例の道路課金システムでは、路側装置４の退出道路に課金停止用アンテナが設置され、車両１が特定領域から退出するときに（退出車両）、課金停止用アンテナと車両１の車載器２とが交信し、車両ＩＤ及び個人ＩＤ（車両側固有情報）が路側サーバ６に送られ、所定の課金停止処理が施される。即ち、進入時に課金用アンテナ５との交信によって一度課金された車両１が退出側から境界線を越えるときに、課金停止用アンテナと車載器２とが交信し、何らかの理由により課金用アンテナ５と車載器２とが交信しても（課金指令があっても）、所定時間の間は課金処理が停止されて二重課金が防止されるようになっている。
【００２４】
また、上述した課金システムを備えた本実施形態例の道路課金システムは、路側装置４の退出側の道路を撮影する撮像カメラとしての退出側ビデオカメラ（退出用カメラ）が設けられている。退出用カメラの映像は、路側サーバ６で画像処理されて車両１の進行方向が認識され（進行方向認識手段）、撮影された車両１が退出方向に進んでいる車両であるか否かを認識し、退出方向に進んでいる車両１であって課金停止用アンテナとの交信により車両ＩＤと画像情報との情報が一致した時に、路車間通信による課金停止処理が行なわれるようになっている。
【００２５】
つまり、進行方向認識手段であるカメラ７の映像情報により進入側の車両の進行方向が認識され、認識情報に基づいて進入方向に移動していることが認識されたときは、即ち、間違いなく進入側の車両であれば課金処理が行なわれる。また、進行方向認識手段である退出用カメラの映像情報により退出側の車両の進行方向が認識され、認識情報に基づいて退出方向に移動していることが認識されたときは、即ち、間違いなく退出側の車両であれば課金停止処理が行なわれる。従って、路側サーバ６及びセンターサーバ９で構成されるシステム制御部では、進行方向認識手段の情報に基づいて課金処理の要否が判断されるようになっている。進行方向認識手段として画像処理を用いることにより、容易に車両の進行方向が認識される。
【００２６】
図４乃至図６に基づいて路側装置４の機器の設置状況を説明する。図４には路側機器の配置説明、図５には路側機器の側面視、図６には機器の構成ブロックを示してある。尚、図示の例は中央分離帯を有していない進入側及び退出側がそれぞれ１車線の道路を例に挙げて説明してある。
【００２７】
図４、図５に示すように、道路２２は境界線２３により進入制限の対象地域である特定領域（課金エリア）２４が仕切られている。境界線２３の部位には道路２２を跨ぐ状態にガントリー２５が設けられ、進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂに対応して課金用アンテナ５及びカメラ７がガントリー２５の境界線２３上にそれぞれ設けられている。それぞれの課金用アンテナ５の通信エリア５ａは課金エリア２４の手前側の進入車線２２ａの全幅及び退出車線２２ｂの全幅をそれぞれカバーした状態になっている。それぞれのカメラ７の撮影エリア７ａは課金エリア２４側の進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂに向けられ、進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂから進入してくる車両を撮影するようになっている。また、退出車線２２ｂ側のカメラ７は、退出車線２２ｂから退出した車両の後側を撮影するようになっている。
【００２８】
更に、退出車線２２ｂ及び進入車線２２ａに対応して課金停止用アンテナ１５及び退出用カメラ５１がガントリー２５にそれぞれ設けられている。それぞれの課金停止用アンテナ１５の通信エリア１５ａは課金エリア２４側の退出車線２２ｂの全幅及び進入車線２２ａの全幅をそれぞれカバーした状態になっている。それぞれの退出用カメラ５１の撮影エリア５１ａは課金エリア２４側の退出車線２２ｂ及び進入車線２２ａに向けられ、退出車線２２ｂ及び進入車線２２ａから退出してくる車両を撮影するようになっている。また、進入車線２２ａ側の退出用カメラ５１は、進入車線２２ａから進入した車両の後側を撮影するようになっている。
【００２９】
また、ガントリー２５にはそれぞれのカメラ７の撮影エリア７ａ及び退出用カメラ５１の撮影エリア５１ａの照明を行なう図示しない赤外照明装置が設けられている。
【００３０】
図６に示すように、ガントリー２５に設けられた課金用アンテナ５及び課金停止用アンテナ１５と路側サーバ６のアンテナ制御機能３１とがつなげられ、車載器２との間の交信状況が制御される。アンテナ制御機能３１は路側制御機能３２により制御され、前述した所定の課金処理及び後述する課金停止処理が行なわれてセンターサーバ９との間で情報がやりとりされる。また、ガントリー２５に設けられたカメラ７と画像処理機能２７とがつなげられ、画像処理機能２７は路側制御機能３２により制御され、前述した通過車両記憶機能、正常車両記憶機能及び未課金車両特定機能による未課金の車両の認識が行なわれ、センターサーバ９との間で情報がやりとりされる。
【００３１】
また、カメラ７及び退出用カメラ５１と画像処理機能２７とがつなげられ、画像処理機能２７には進行方向認識機能５２が設けられている。進行方向認識機能５２により撮影された車両の進行方向が認識され、認識情報に基づいて課金処理の要否、即ち、課金処理を行なうか及び課金停止処理を行なうかが路側制御機能３２で判断されるようになっている。つまり、撮影された車両の移動方向が認識され、移動方向の情報により課金処理の要否が判断される。
【００３２】
図７に基づいて車両の進行方向認識について説明する。図７には進行方向認識の説明状況を示してある。図７(a) に示すように、進行方向認識機能５２では、画像のなかで周辺に比べて明暗がはっきりとした車両１の特徴点Ｙを検出する。そして、図７(b) に示すように、各画像毎の特徴点Ｙを追尾することで、車両１の流れを抽出し、流れの方向により車両１の移動方向が認識される。即ち、カメラ７の画像であれば、進入側に移動している車両１であるか否かが認識され、退出用カメラ５１の画像であれば退出側に移動している車両１であるか否かが認識される。また、カメラ７の画像に基づいて流れの方向によっては、車両１が退出側に移動していることが認識されると共に、退出用カメラ５１の画像に基づいて流れの方向によっては、車両１が進入側に移動していることが認識される。
【００３３】
上述した道路課金システムにおける課金制御について説明する。進入側の道路２２ａから課金エリア２４に進入した車両１は課金用アンテナ５の通信エリア５ａで課金用アンテナ５と交信し、所定の課金処理が行なわれる。この時、通過する車両１がカメラ７により連続して撮影され、課金用アンテナ５と交信した車両１（車両ＩＤと撮影されたナンバープレートの照合により特定）の撮影画像が処理されて移動方向が認識される。認識情報に基づいて車両１が進入方向に移動していることが認識されたときは、即ち、間違いなく進入側の車両１であれば、課金処理が行なわれる。このため、確実に課金対象の車両１を認識して課金処理を行なうことが可能になる。
【００３４】
また、通過する車両１はカメラ７により連続して撮影されているため、課金ができなかった車両１や不正に進入した車両１は、撮影されたライセンスプレートの番号や時間情報等に基づいて認識され、請求により課金が行なわれる。
【００３５】
一方、一度課金されて退出側の道路２２ｂから課金エリア２４の外側に退出する車両１は、課金停止用アンテナ１５と交信して所定時間の間は課金用アンテナ５と交信しても課金処理が停止されるようになっている。例えば、退出側の道路２２ｂから課金エリア２４の外側に退出する車両１が課金停止用アンテナ１５と交信すると、路側制御機能３２から所定時間の間は課金を停止する指令がアンテナ制御機能３１に出力され、退出する車両１が境界線２３を通過して課金停止用アンテナ１５と交信しても、課金停止用アンテナ１５側から課金の指令が車載器２には送信されず課金処理が行なわれないようになっている。
【００３６】
または、退出側の道路２２ｂから課金エリア２４の外側に退出する車両１が課金停止用アンテナ１５と交信すると、路側制御機能３２から課金を停止する所定時間情報を車載器２に送信する指令がアンテナ制御機能３１に出力され、退出する車両１が境界線２３を通過して課金停止用アンテナ１５と交信しても、車載器２側では指令された時間の間（指定の時刻まで）は課金制御が停止されて課金処理が行なわれないようになっている。
【００３７】
課金停止時間は、道路の混雑状況等の道路環境に応じ可変に設定され、渋滞等により車両１が低車速で境界線２３を通過する際には課金停止時間が長く設定されるようになっている。
【００３８】
この時、通過する車両１が退出用カメラ５１により連続して撮影され、課金停止用アンテナ１５と交信した車両１（車両ＩＤと撮影されたナンバープレートの照合により特定）の撮影画像が処理されて移動方向が認識される。認識情報に基づいて車両１が退出方向に移動していることが認識されたときは、即ち、間違いなく退出側の車両１であれば、課金停止処理が行なわれる。このため、確実に課金停止対象の車両１を認識して課金停止処理を行なうことが可能になる。
【００３９】
上述した実施形態例における中央分離帯がない道路２２では、退出車線２２ｂから課金エリア２４に進入したり、進入車線２２ａから課金エリア２２の外に退出することも可能である。本実施形態例では、進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂにそれぞれ課金用アンテナ５及びカメラ７が設けられると共に、退出車線２２ｂ及び進入車線２２ａにそれぞれ課金停止用アンテナ１５及び退出用カメラ５１が設けられている。このため、進入車線２２ａの全幅が課金用アンテナ５の通信エリア５ａ及びカメラ７の撮影エリア７ａとなる共に、退出車線２２ｂの全幅が課金停止用アンテナ１５の通信エリア１５ａ及び退出用カメラ５１の撮影エリア５１ａとなるとなる。従って、中央分離帯がない道路２２で退出車線２２ｂから課金エリア２４に進入したり、進入車線２２ａから課金エリア２４の外に退出した場合であっても、所定の課金処理及び課金停止処理が行なえ、退出時の車両１が課金される（誤課金）ことがなくなり二重課金を確実に防止することが可能になる。
【００４０】
そして、進入車線２２ａから進入する車両１の移動方向を認識して車両１が進入方向に移動していることが認識されたときに課金処理が行なわれると共に、退出車線２２ｂから退出する車両１の移動方向を認識して車両１が退出方向に移動していることが認識されたときに課金停止処理が行なわれるようになっている。このため、確実に課金処理対象及び課金停止処理対象の車両１を認識（課金処理の要否を判断）して課金処理及び課金停止処理を行なうことが可能になる。このため、所定の課金処理を精度良く確実に行なうことができるようになる。
【００４１】
尚、上記実施形態例では、進入側及び退出側のそれぞれに課金処理用のアンテナ及び撮影用のカメラを設けた例を示したが、どちらか一方に、課金及び課金停止処理が可能なアンテナ及び車両の移動方向が認識できるカメラを設置し、カメラの画像認識により車両の移動方向を特定し、特定された移動方向によりアンテナと交信して、課金処理もしくは課金停止処理を行なうようにすることも可能である。この場合、制御機能を追加することで機器点数を少なくすることができ、路側の省スペース化が可能になる。
【００４２】
図８、図９に基づいて他の形態の道路に道路課金システムを適用した実施形態例を説明する。図８には他の実施形態例に係る道路課金システムの路側機器の配置説明、図９には図８中の側面視を示してある。尚、図４、図５に示した部材と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
【００４３】
図示の実施形態例は、図に示すように、道路２２の脇には１本のポール５４が設けられ、ポール５４には支持枠５５，５６，５７が取り付けられている。最上部の支持枠５５にはカメラ７が設けられ、カメラ７の撮影エリア７ａは課金エリア２４の手前側の進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂに向けられ、進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂから進入する車両の前側及び進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂから退出してきた車両の後側を撮影するようになっている。また、最上部の支持枠５５には退出用カメラ５１が設けられ、退出用カメラ５１の撮影エリア５１ａは課金エリア２４の進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂに向けられ、進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂから退出する車両の前側及び進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂから進入してきた車両の後側を撮影するようになっている。
【００４４】
中央部の支持枠５６には課金用アンテナ５及び課金停止用アンテナ１５が設けられている。課金用アンテナ５の通信エリア５ａは課金エリア２４の手前側の進入車線２２ａの全幅及び退出車線２２ｂの全幅をカバーした状態になっている。課金停止用アンテナ１５の通信エリア１５ａは課金エリア２４側の退出車線２２ｂの全幅及び進入車線２２ａの全幅をカバーした状態になっている。最下部の支持枠５７には路側サーバ６が設けられている。
【００４５】
上述した実施形態例では、進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂの全幅が課金用アンテナ５の通信エリア５ａ及びカメラ７の撮影エリア７ａとなる共に、退出車線２２ｂ及び進入車線２２ａの全幅が課金停止用アンテナ１５の通信エリア１５ａ及び退出用カメラ５１の撮影エリア５１ａとなる。従って、中央分離帯がない道路２２で退出車線２２ｂから課金エリア２４に進入したり、進入車線２２ａから課金エリア２４の外に退出した場合であっても、車両の移動方向を認識して所定の課金処理及び課金停止処理が確実に行なえ、退出時の車両が課金される（誤課金）ことがなくなり二重課金を精度良く確実に防止することが可能になる。そして、道路２２の脇の１本のポール５４に路側装置が設けられているので、狭い道路２２であっても、通行の邪魔になることなく課金処理及び課金停止処理を行なうことが可能である。
【００５１】
【発明の効果】
本発明の道路課金システムは、進入が制限される対象地域への進入車両に課金を行なう道路課金システムであって、車両に搭載され車両側固有情報が記憶される記憶部及び無線通信部を備えた車載側機器と、対象地域への進入道路に設置される課金用アンテナと、課金用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報及び課金情報を送受信する課金用制御部と、対象地域からの退出道路に設置される課金停止用アンテナと、課金停止用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報を送受信して課金停止情報を認識する課金停止用制御部と、対象地域の境界部位に設置され車両の進行方向を認識する進行方向認識手段と、所定の課金制御を行なうように課金用制御部を制御すると共に、課金停止用アンテナを介して退出車両と通信して課金停止用制御部が課金停止情報を認識したときに課金停止時間を設定し、退出車両の通過の際に課金用アンテナとの間で通信が行なわれても課金停止時間の間は所定の課金制御を停止するように課金停止用制御部を制御し、更に、進行方向認識手段の情報に基づいて課金処理の要否を判断するシステム制御部とからなるので、車両の進行方向を認識すことで課金処理の要否の判断が行なえるようになる。この結果、車両の進行方向に基づいて課金処理及び課金停止処理が精度良く確実に行なえるようになる。
【００５２】
そして、進行方向認識手段は、道路状況を撮像する撮像カメラと、撮像カメラの画像情報を処理することで車両の進行方向を判断する画像処理手段とを備えたので、容易に車両の進行方向を認識することができる。
【００５５】
また、本発明の路側装置は、進入が制限される対象地域への進入車両に課金を行なう道路課金システムにおける路側装置であって、対象地域への進入道路に設置される課金用アンテナと、課金用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報及び課金情報を送受信する課金用制御部と、対象地域からの退出道路に設置される課金停止用アンテナと、課金停止用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報を送受信して課金停止情報を認識する課金停止用制御部と、対象地域の境界部位に設置され車両の進行方向を認識する進行方向認識手段と、所定の課金制御を行なうように課金用制御部を制御すると共に、課金停止用アンテナを介して退出車両と通信して課金停止用制御部が課金停止情報を認識したときに課金停止時間を設定し、退出車両の通過の際に課金用アンテナとの間で通信が行なわれても課金停止時間の間は所定の課金制御を停止するように課金停止用制御部を制御し、更に、進行方向認識手段の情報に基づいて課金処理の要否を判断するシステム制御部とを備えたので、車両の進行方向を認識すことで課金処理の要否の判断が行なえるようになる。この結果、車両の進行方向に基づいて課金処理及び課金停止処理が精度良く確実に行なえるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態例に係る道路料金課金システムの概略系統図。
【図２】課金処理の流れ状況説明図。
【図３】道路料金課金システムのセンター処理系統の全体構図。
【図４】路側機器の配置説明図。
【図５】路側機器の側面図。
【図６】機器の構成ブロック図。
【図７】進行方向認識の説明図。
【図８】他の実施形態例に係る道路課金システムの路側機器の配置説明図。
【図９】図８中の側面図。
【符号の説明】
１ 車両
２ 車載器
３ ＩＣカード
４ 路側装置
５ 課金用アンテナ
６ 路側サーバ
７ ビデオカメラ（カメラ）
８ 処理センター
９ センターサーバ
１０ 課金処理機構
１５ 課金停止用アンテナ
２２ 道路
２３ 境界線
２４ 課金エリア
５１ 退出用カメラ
５２ 進行方向認識機能
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定領域である進入制限の対象地域内に進入する車両に対して自動的に課金を行なう道路課金システム及び路側装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、大都市等においては交通量の増加に伴い渋滞が慢性化してきており、交通渋滞は経済効率の悪化や排気ガスによる環境悪化の原因となっている。このような状況により、交通混雑の激しい地域に進入する車両に対して課金することによって当該地域に進入する車両を抑制して交通渋滞を減らすことが考えられてきている。特定領域である進入制限の対象地域内に進入する車両への課金は、境界線の箇所で車両側との間で通信を行い、電子的な手段で停車することなく課金を行なう道路課金システムが種々検討されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
従来の道路料金課金システムでは、ノンストップにより無線等の通信により課金を行なうことが前提となっているため、課金方式や決済方式、違反車両に対する追課金、課金対象車両等の問題を解決する必要がある。解決しなければいけない問題の一つに、課金対象車両を確実に認識したり、一度課金処理を行なった退出側からの車両を確実に認識し、課金処理の要否を精度良く確実に判断して処理を行なう必要があることが挙げられる。
【０００４】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、課金処理の要否を精度良く確実に判断して処理を行なうことができる道路課金システム及び路側装置を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の道路課金システムの構成は、進入が制限される対象地域への進入車両に課金を行なう道路課金システムであって、車両に搭載され車両側固有情報が記憶される記憶部及び無線通信部を備えた車載側機器と、対象地域への進入道路に設置される課金用アンテナと、課金用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報及び課金情報を送受信する課金用制御部と、対象地域からの退出道路に設置される課金停止用アンテナと、課金停止用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報を送受信して課金停止情報を認識する課金停止用制御部と、対象地域の境界部位に設置され車両の進行方向を認識する進行方向認識手段と、所定の課金制御を行なうように課金用制御部を制御すると共に、課金停止用アンテナを介して退出車両と通信して課金停止用制御部が課金停止情報を認識したときに課金停止時間を設定し、退出車両の通過の際に課金用アンテナとの間で通信が行なわれても課金停止時間の間は所定の課金制御を停止するように課金停止用制御部を制御し、更に、進行方向認識手段の情報に基づいて課金処理の要否を判断するシステム制御部とからなることを特徴とする。
【０００９】
そして、進行方向認識手段は、道路状況を撮像する撮像カメラと、撮像カメラの画像情報を処理することで車両の進行方向を判断する画像処理手段とを備えたことを特徴とする。
【００１２】
また、上記目的を達成するための本発明の路側装置は、進入が制限される対象地域への進入車両に課金を行なう道路課金システムにおける路側装置であって、対象地域への進入道路に設置される課金用アンテナと、課金用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報及び課金情報を送受信する課金用制御部と、対象地域からの退出道路に設置される課金停止用アンテナと、課金停止用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報を送受信して課金停止情報を認識する課金停止用制御部と、対象地域の境界部位に設置され車両の進行方向を認識する進行方向認識手段と、所定の課金制御を行なうように課金用制御部を制御すると共に、課金停止用アンテナを介して退出車両と通信して課金停止用制御部が課金停止情報を認識したときに課金停止時間を設定し、退出車両の通過の際に課金用アンテナとの間で通信が行なわれても課金停止時間の間は所定の課金制御を停止するように課金停止用制御部を制御し、更に、進行方向認識手段の情報に基づいて課金処理の要否を判断するシステム制御部とを備えたことを特徴とする。
【００１３】
【発明の実施の形態】
図１には本発明の一実施形態例に係る道路料金課金システムの概略系統、図２には課金処理の流れ状況、図３には道路料金課金システムのセンター処理系統の全体構成を示してある。
【００１４】
本実施形態例の道路料金課金システムは、道路が境界線によって進入制限の対象地域（特定領域）に仕切られ、特定領域内に進入する進入側からの車両に対して電子的な手段を用いることにより、停車することなく課金を行なう電子式道路課金（ＥＲＰ：Electronic Road Pricing ）システムである。車両への課金は、境界線の箇所でアンテナを介して車両側との間で路車間通信を行い、処理センターでデータを集計して後払いにより車両または運転者に課金を行なうようになっている（セントラルアカウント）。また、カメラにより全ての車両を撮影し、課金が行なえなかった車両に対してはライセンスプレートの番号等を認識して請求により課金を行なうようになっている。更に、カメラによる画像は画像処理により処理されて車両の進行方向が認識され（進行方向認識手段）、車両の進入が認識されたときに路車間通信を有効として課金を行なうようになっている。
【００１５】
尚、ＥＲＰシステムにおける課金処理は、後払いに限らず、前払いにより処理センターで残高管理を行なって車両または運転者に課金を行なうようにすることも可能である。また、セントラルアカウントに限らず、前払いにより車載側機器側（個人ＩＣカード等）で残高管理を行い、車載側機器内での課金処理（オンボード処理）を行なうようにすることも可能である。また、料金の支払いは、プリペイドカードや利用者限定のハウスカードを用いたり、クレジットカードやデビットカード等を用いて金融機関による決済を行なうことが可能である。また、他の公的機関やコンビニエンスストア等の商店で決済が行なえるシステムを構築することも可能である。また、カメラによる画像処理により車両の進行方向を認識するようにしているが、専用の電波レーダ、レーザーレーダ、赤外線カメラ等の進行方向認識手段を設けて、車両の進行方向を認識することも可能である。
【００１６】
図１に示すように、車両１には車載側機器である車載器２が搭載され、車載器２にはライセンスプレート番号等の車両１の識別情報となる固有情報（車両ＩＤ）が記憶される記憶部が備えられている。車載器２には運転者の識別情報となる個別情報（個人ＩＤ）が記憶されたＩＣカード３が装着可能となっており、車載器２とＩＣカード３により車載側機器が構成されている。車載側機器（車載器２）は車両ＩＤ及び個人ＩＤ（車両側固有情報）の通信を行なう無線通信部を備えている。尚、車載器２に運転者の識別情報である個人ＩＤが保持できれば、ＩＣカード３は不要となる。
【００１７】
道路の特定領域を仕切る境界線の部位には路側装置４が備えられている。路側装置４には、境界線の部位の進入側に設けられる課金用アンテナ５と、課金用アンテナ５を経由した車載器２との間での無線通信により車両ＩＤ及び個人ＩＤ（車両側固有情報）を送受信する課金制御部としての路側サーバ６とが備えられている。また、路側装置４には、進入側からの車両１のライセンスプレートを撮影するビデオカメラ（カメラ）７が備えられており、カメラ７の撮影情報は路側サーバ６の画像処理機能により処理されるようになっている。
【００１８】
路側装置４は処理センター８のセンターサーバ９と専用回線等の、例えば、専用の通信回線ネットワークでつながり、課金用アンテナ５を経由した車載器２との間での無線通信に基づいて所定の課金制御を行なうように路側サーバ６が制御される（システム制御部）。センターサーバ９は、課金管理機関や金融機関、クレジット会社等の課金処理機構１０と電話回線等の、例えば、一般の通信回線ネットワークでつながっている。
【００１９】
即ち、図２に示すように、車両１の車載器２と課金用アンテナ５を経由した路側サーバ６との間の無線通信により、車両ＩＤ及び個人ＩＤ（車両側固有情報）が路側サーバ６に送られ、路側サーバ６とセンターサーバ９との間で有効性や利用明細等の情報がやりとりされる。センターサーバ９には利用実績ファイル機能１１が備えられ、利用実績がファイルされると共に課金処理機構１０に利用明細情報が送られる。そして、課金処理機構１０を介して車両１の所有者もしくは運転者に所定の課金が行なわれる。尚、有料道路の自動料金収受を行なうノンストップ料金収受（ＥＴＣ）システムに使用される車載器との間で通信を行なった場合、ＥＴＣシステムの車載器における車両ＩＤに基づいて車両の所有者に対して請求により課金を行なうことも可能である。
【００２０】
また、図１に示すように、カメラ７の撮影情報に基づいてセンターサーバ９では課金が行なえなかった車両１に対してライセンスプレートの番号等を認識して請求により課金を行なうようになっている。即ち、センターサーバ９には、通過する車両１のライセンスプレートの番号を記憶する通過車両記憶機能と、正常な課金が行なわれた車両１のライセンスプレートの番号を記憶する正常車両記憶機能と、通過車両記憶機能及び正常車両記憶機能の情報を照合して正常に課金されていない車両１を認識する未課金車両特定機能とが備えられている。そして、センターサーバ９では、未課金の車両１に対して請求により課金を要求するようになっている。尚、カメラ７の撮影情報に基づいて特定領域内に進入する車両１の台数を把握して、特定領域内の交通量を把握することが可能となっている。
【００２１】
課金が行なえなかった車両１に対してライセンスプレートの番号等を認識して請求により課金を行なうために用いられるカメラ７の映像は、撮像カメラの画像情報として路側サーバ６で画像処理されて車両１の進行方向が認識され（進行方向認識手段）、撮影された車両１が進入方向に進んでいる車両であるか否かを認識し、進入方向に進んでいる車両１であって課金用アンテナ５との交信により車両ＩＤと画像情報との情報が一致した時に、路車間通信による課金処理が実行されるようになっている。
【００２２】
図３に示すように、路側装置４は境界線が存在する多数の場所に設置され、それぞれの路側装置４は管理ネットワーク１２を介して一箇所の処理センター８につながっている。そして、処理センター８はネットワーク１３を介して必要な課金処理機構１０につながっている。
【００２３】
上述した課金システムを備えた本実施形態例の道路課金システムでは、路側装置４の退出道路に課金停止用アンテナが設置され、車両１が特定領域から退出するときに（退出車両）、課金停止用アンテナと車両１の車載器２とが交信し、車両ＩＤ及び個人ＩＤ（車両側固有情報）が路側サーバ６に送られ、所定の課金停止処理が施される。即ち、進入時に課金用アンテナ５との交信によって一度課金された車両１が退出側から境界線を越えるときに、課金停止用アンテナと車載器２とが交信し、何らかの理由により課金用アンテナ５と車載器２とが交信しても（課金指令があっても）、所定時間の間は課金処理が停止されて二重課金が防止されるようになっている。
【００２４】
また、上述した課金システムを備えた本実施形態例の道路課金システムは、路側装置４の退出側の道路を撮影する撮像カメラとしての退出側ビデオカメラ（退出用カメラ）が設けられている。退出用カメラの映像は、路側サーバ６で画像処理されて車両１の進行方向が認識され（進行方向認識手段）、撮影された車両１が退出方向に進んでいる車両であるか否かを認識し、退出方向に進んでいる車両１であって課金停止用アンテナとの交信により車両ＩＤと画像情報との情報が一致した時に、路車間通信による課金停止処理が行なわれるようになっている。
【００２５】
つまり、進行方向認識手段であるカメラ７の映像情報により進入側の車両の進行方向が認識され、認識情報に基づいて進入方向に移動していることが認識されたときは、即ち、間違いなく進入側の車両であれば課金処理が行なわれる。また、進行方向認識手段である退出用カメラの映像情報により退出側の車両の進行方向が認識され、認識情報に基づいて退出方向に移動していることが認識されたときは、即ち、間違いなく退出側の車両であれば課金停止処理が行なわれる。従って、路側サーバ６及びセンターサーバ９で構成されるシステム制御部では、進行方向認識手段の情報に基づいて課金処理の要否が判断されるようになっている。進行方向認識手段として画像処理を用いることにより、容易に車両の進行方向が認識される。
【００２６】
図４乃至図６に基づいて路側装置４の機器の設置状況を説明する。図４には路側機器の配置説明、図５には路側機器の側面視、図６には機器の構成ブロックを示してある。尚、図示の例は中央分離帯を有していない進入側及び退出側がそれぞれ１車線の道路を例に挙げて説明してある。
【００２７】
図４、図５に示すように、道路２２は境界線２３により進入制限の対象地域である特定領域（課金エリア）２４が仕切られている。境界線２３の部位には道路２２を跨ぐ状態にガントリー２５が設けられ、進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂに対応して課金用アンテナ５及びカメラ７がガントリー２５の境界線２３上にそれぞれ設けられている。それぞれの課金用アンテナ５の通信エリア５ａは課金エリア２４の手前側の進入車線２２ａの全幅及び退出車線２２ｂの全幅をそれぞれカバーした状態になっている。それぞれのカメラ７の撮影エリア７ａは課金エリア２４側の進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂに向けられ、進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂから進入してくる車両を撮影するようになっている。また、退出車線２２ｂ側のカメラ７は、退出車線２２ｂから退出した車両の後側を撮影するようになっている。
【００２８】
更に、退出車線２２ｂ及び進入車線２２ａに対応して課金停止用アンテナ１５及び退出用カメラ５１がガントリー２５にそれぞれ設けられている。それぞれの課金停止用アンテナ１５の通信エリア１５ａは課金エリア２４側の退出車線２２ｂの全幅及び進入車線２２ａの全幅をそれぞれカバーした状態になっている。それぞれの退出用カメラ５１の撮影エリア５１ａは課金エリア２４側の退出車線２２ｂ及び進入車線２２ａに向けられ、退出車線２２ｂ及び進入車線２２ａから退出してくる車両を撮影するようになっている。また、進入車線２２ａ側の退出用カメラ５１は、進入車線２２ａから進入した車両の後側を撮影するようになっている。
【００２９】
また、ガントリー２５にはそれぞれのカメラ７の撮影エリア７ａ及び退出用カメラ５１の撮影エリア５１ａの照明を行なう図示しない赤外照明装置が設けられている。
【００３０】
図６に示すように、ガントリー２５に設けられた課金用アンテナ５及び課金停止用アンテナ１５と路側サーバ６のアンテナ制御機能３１とがつなげられ、車載器２との間の交信状況が制御される。アンテナ制御機能３１は路側制御機能３２により制御され、前述した所定の課金処理及び後述する課金停止処理が行なわれてセンターサーバ９との間で情報がやりとりされる。また、ガントリー２５に設けられたカメラ７と画像処理機能２７とがつなげられ、画像処理機能２７は路側制御機能３２により制御され、前述した通過車両記憶機能、正常車両記憶機能及び未課金車両特定機能による未課金の車両の認識が行なわれ、センターサーバ９との間で情報がやりとりされる。
【００３１】
また、カメラ７及び退出用カメラ５１と画像処理機能２７とがつなげられ、画像処理機能２７には進行方向認識機能５２が設けられている。進行方向認識機能５２により撮影された車両の進行方向が認識され、認識情報に基づいて課金処理の要否、即ち、課金処理を行なうか及び課金停止処理を行なうかが路側制御機能３２で判断されるようになっている。つまり、撮影された車両の移動方向が認識され、移動方向の情報により課金処理の要否が判断される。
【００３２】
図７に基づいて車両の進行方向認識について説明する。図７には進行方向認識の説明状況を示してある。図７(a) に示すように、進行方向認識機能５２では、画像のなかで周辺に比べて明暗がはっきりとした車両１の特徴点Ｙを検出する。そして、図７(b) に示すように、各画像毎の特徴点Ｙを追尾することで、車両１の流れを抽出し、流れの方向により車両１の移動方向が認識される。即ち、カメラ７の画像であれば、進入側に移動している車両１であるか否かが認識され、退出用カメラ５１の画像であれば退出側に移動している車両１であるか否かが認識される。また、カメラ７の画像に基づいて流れの方向によっては、車両１が退出側に移動していることが認識されると共に、退出用カメラ５１の画像に基づいて流れの方向によっては、車両１が進入側に移動していることが認識される。
【００３３】
上述した道路課金システムにおける課金制御について説明する。進入側の道路２２ａから課金エリア２４に進入した車両１は課金用アンテナ５の通信エリア５ａで課金用アンテナ５と交信し、所定の課金処理が行なわれる。この時、通過する車両１がカメラ７により連続して撮影され、課金用アンテナ５と交信した車両１（車両ＩＤと撮影されたナンバープレートの照合により特定）の撮影画像が処理されて移動方向が認識される。認識情報に基づいて車両１が進入方向に移動していることが認識されたときは、即ち、間違いなく進入側の車両１であれば、課金処理が行なわれる。このため、確実に課金対象の車両１を認識して課金処理を行なうことが可能になる。
【００３４】
また、通過する車両１はカメラ７により連続して撮影されているため、課金ができなかった車両１や不正に進入した車両１は、撮影されたライセンスプレートの番号や時間情報等に基づいて認識され、請求により課金が行なわれる。
【００３５】
一方、一度課金されて退出側の道路２２ｂから課金エリア２４の外側に退出する車両１は、課金停止用アンテナ１５と交信して所定時間の間は課金用アンテナ５と交信しても課金処理が停止されるようになっている。例えば、退出側の道路２２ｂから課金エリア２４の外側に退出する車両１が課金停止用アンテナ１５と交信すると、路側制御機能３２から所定時間の間は課金を停止する指令がアンテナ制御機能３１に出力され、退出する車両１が境界線２３を通過して課金停止用アンテナ１５と交信しても、課金停止用アンテナ１５側から課金の指令が車載器２には送信されず課金処理が行なわれないようになっている。
【００３６】
または、退出側の道路２２ｂから課金エリア２４の外側に退出する車両１が課金停止用アンテナ１５と交信すると、路側制御機能３２から課金を停止する所定時間情報を車載器２に送信する指令がアンテナ制御機能３１に出力され、退出する車両１が境界線２３を通過して課金停止用アンテナ１５と交信しても、車載器２側では指令された時間の間（指定の時刻まで）は課金制御が停止されて課金処理が行なわれないようになっている。
【００３７】
課金停止時間は、道路の混雑状況等の道路環境に応じ可変に設定され、渋滞等により車両１が低車速で境界線２３を通過する際には課金停止時間が長く設定されるようになっている。
【００３８】
この時、通過する車両１が退出用カメラ５１により連続して撮影され、課金停止用アンテナ１５と交信した車両１（車両ＩＤと撮影されたナンバープレートの照合により特定）の撮影画像が処理されて移動方向が認識される。認識情報に基づいて車両１が退出方向に移動していることが認識されたときは、即ち、間違いなく退出側の車両１であれば、課金停止処理が行なわれる。このため、確実に課金停止対象の車両１を認識して課金停止処理を行なうことが可能になる。
【００３９】
上述した実施形態例における中央分離帯がない道路２２では、退出車線２２ｂから課金エリア２４に進入したり、進入車線２２ａから課金エリア２２の外に退出することも可能である。本実施形態例では、進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂにそれぞれ課金用アンテナ５及びカメラ７が設けられると共に、退出車線２２ｂ及び進入車線２２ａにそれぞれ課金停止用アンテナ１５及び退出用カメラ５１が設けられている。このため、進入車線２２ａの全幅が課金用アンテナ５の通信エリア５ａ及びカメラ７の撮影エリア７ａとなる共に、退出車線２２ｂの全幅が課金停止用アンテナ１５の通信エリア１５ａ及び退出用カメラ５１の撮影エリア５１ａとなるとなる。従って、中央分離帯がない道路２２で退出車線２２ｂから課金エリア２４に進入したり、進入車線２２ａから課金エリア２４の外に退出した場合であっても、所定の課金処理及び課金停止処理が行なえ、退出時の車両１が課金される（誤課金）ことがなくなり二重課金を確実に防止することが可能になる。
【００４０】
そして、進入車線２２ａから進入する車両１の移動方向を認識して車両１が進入方向に移動していることが認識されたときに課金処理が行なわれると共に、退出車線２２ｂから退出する車両１の移動方向を認識して車両１が退出方向に移動していることが認識されたときに課金停止処理が行なわれるようになっている。このため、確実に課金処理対象及び課金停止処理対象の車両１を認識（課金処理の要否を判断）して課金処理及び課金停止処理を行なうことが可能になる。このため、所定の課金処理を精度良く確実に行なうことができるようになる。
【００４１】
尚、上記実施形態例では、進入側及び退出側のそれぞれに課金処理用のアンテナ及び撮影用のカメラを設けた例を示したが、どちらか一方に、課金及び課金停止処理が可能なアンテナ及び車両の移動方向が認識できるカメラを設置し、カメラの画像認識により車両の移動方向を特定し、特定された移動方向によりアンテナと交信して、課金処理もしくは課金停止処理を行なうようにすることも可能である。この場合、制御機能を追加することで機器点数を少なくすることができ、路側の省スペース化が可能になる。
【００４２】
図８、図９に基づいて他の形態の道路に道路課金システムを適用した実施形態例を説明する。図８には他の実施形態例に係る道路課金システムの路側機器の配置説明、図９には図８中の側面視を示してある。尚、図４、図５に示した部材と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
【００４３】
図示の実施形態例は、図に示すように、道路２２の脇には１本のポール５４が設けられ、ポール５４には支持枠５５，５６，５７が取り付けられている。最上部の支持枠５５にはカメラ７が設けられ、カメラ７の撮影エリア７ａは課金エリア２４の手前側の進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂに向けられ、進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂから進入する車両の前側及び進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂから退出してきた車両の後側を撮影するようになっている。また、最上部の支持枠５５には退出用カメラ５１が設けられ、退出用カメラ５１の撮影エリア５１ａは課金エリア２４の進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂに向けられ、進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂから退出する車両の前側及び進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂから進入してきた車両の後側を撮影するようになっている。
【００４４】
中央部の支持枠５６には課金用アンテナ５及び課金停止用アンテナ１５が設けられている。課金用アンテナ５の通信エリア５ａは課金エリア２４の手前側の進入車線２２ａの全幅及び退出車線２２ｂの全幅をカバーした状態になっている。課金停止用アンテナ１５の通信エリア１５ａは課金エリア２４側の退出車線２２ｂの全幅及び進入車線２２ａの全幅をカバーした状態になっている。最下部の支持枠５７には路側サーバ６が設けられている。
【００４５】
上述した実施形態例では、進入車線２２ａ及び退出車線２２ｂの全幅が課金用アンテナ５の通信エリア５ａ及びカメラ７の撮影エリア７ａとなる共に、退出車線２２ｂ及び進入車線２２ａの全幅が課金停止用アンテナ１５の通信エリア１５ａ及び退出用カメラ５１の撮影エリア５１ａとなる。従って、中央分離帯がない道路２２で退出車線２２ｂから課金エリア２４に進入したり、進入車線２２ａから課金エリア２４の外に退出した場合であっても、車両の移動方向を認識して所定の課金処理及び課金停止処理が確実に行なえ、退出時の車両が課金される（誤課金）ことがなくなり二重課金を精度良く確実に防止することが可能になる。そして、道路２２の脇の１本のポール５４に路側装置が設けられているので、狭い道路２２であっても、通行の邪魔になることなく課金処理及び課金停止処理を行なうことが可能である。
【００５１】
【発明の効果】
本発明の道路課金システムは、進入が制限される対象地域への進入車両に課金を行なう道路課金システムであって、車両に搭載され車両側固有情報が記憶される記憶部及び無線通信部を備えた車載側機器と、対象地域への進入道路に設置される課金用アンテナと、課金用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報及び課金情報を送受信する課金用制御部と、対象地域からの退出道路に設置される課金停止用アンテナと、課金停止用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報を送受信して課金停止情報を認識する課金停止用制御部と、対象地域の境界部位に設置され車両の進行方向を認識する進行方向認識手段と、所定の課金制御を行なうように課金用制御部を制御すると共に、課金停止用アンテナを介して退出車両と通信して課金停止用制御部が課金停止情報を認識したときに課金停止時間を設定し、退出車両の通過の際に課金用アンテナとの間で通信が行なわれても課金停止時間の間は所定の課金制御を停止するように課金停止用制御部を制御し、更に、進行方向認識手段の情報に基づいて課金処理の要否を判断するシステム制御部とからなるので、車両の進行方向を認識すことで課金処理の要否の判断が行なえるようになる。この結果、車両の進行方向に基づいて課金処理及び課金停止処理が精度良く確実に行なえるようになる。
【００５２】
そして、進行方向認識手段は、道路状況を撮像する撮像カメラと、撮像カメラの画像情報を処理することで車両の進行方向を判断する画像処理手段とを備えたので、容易に車両の進行方向を認識することができる。
【００５５】
また、本発明の路側装置は、進入が制限される対象地域への進入車両に課金を行なう道路課金システムにおける路側装置であって、対象地域への進入道路に設置される課金用アンテナと、課金用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報及び課金情報を送受信する課金用制御部と、対象地域からの退出道路に設置される課金停止用アンテナと、課金停止用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報を送受信して課金停止情報を認識する課金停止用制御部と、対象地域の境界部位に設置され車両の進行方向を認識する進行方向認識手段と、所定の課金制御を行なうように課金用制御部を制御すると共に、課金停止用アンテナを介して退出車両と通信して課金停止用制御部が課金停止情報を認識したときに課金停止時間を設定し、退出車両の通過の際に課金用アンテナとの間で通信が行なわれても課金停止時間の間は所定の課金制御を停止するように課金停止用制御部を制御し、更に、進行方向認識手段の情報に基づいて課金処理の要否を判断するシステム制御部とを備えたので、車両の進行方向を認識すことで課金処理の要否の判断が行なえるようになる。この結果、車両の進行方向に基づいて課金処理及び課金停止処理が精度良く確実に行なえるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態例に係る道路料金課金システムの概略系統図。
【図２】課金処理の流れ状況説明図。
【図３】道路料金課金システムのセンター処理系統の全体構図。
【図４】路側機器の配置説明図。
【図５】路側機器の側面図。
【図６】機器の構成ブロック図。
【図７】進行方向認識の説明図。
【図８】他の実施形態例に係る道路課金システムの路側機器の配置説明図。
【図９】図８中の側面図。
【符号の説明】
１ 車両
２ 車載器
３ ＩＣカード
４ 路側装置
５ 課金用アンテナ
６ 路側サーバ
７ ビデオカメラ（カメラ）
８ 処理センター
９ センターサーバ
１０ 課金処理機構
１５ 課金停止用アンテナ
２２ 道路
２３ 境界線
２４ 課金エリア
５１ 退出用カメラ
５２ 進行方向認識機能
Claims (3)
- 進入が制限される対象地域への進入車両に課金を行なう道路課金システムであって、車両に搭載され車両側固有情報が記憶される記憶部及び無線通信部を備えた車載側機器と、対象地域への進入道路に設置される課金用アンテナと、課金用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報及び課金情報を送受信する課金用制御部と、対象地域からの退出道路に設置される課金停止用アンテナと、課金停止用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報を送受信して課金停止情報を認識する課金停止用制御部と、対象地域の境界部位に設置され車両の進行方向を認識する進行方向認識手段と、所定の課金制御を行なうように課金用制御部を制御すると共に、課金停止用アンテナを介して退出車両と通信して課金停止用制御部が課金停止情報を認識したときに課金停止時間を設定し、退出車両の通過の際に課金用アンテナとの間で通信が行なわれても課金停止時間の間は所定の課金制御を停止するように課金停止用制御部を制御し、更に、進行方向認識手段の情報に基づいて課金処理の要否を判断するシステム制御部とからなることを特徴とする道路課金システム。
- 請求項１において、進行方向認識手段は、道路状況を撮像する撮像カメラと、撮像カメラの画像情報を処理することで車両の進行方向を判断する画像処理手段とを備えたことを特徴とする道路課金システム。
- 進入が制限される対象地域への進入車両に課金を行なう道路課金システムにおける路側装置であって、対象地域への進入道路に設置される課金用アンテナと、課金用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報及び課金情報を送受信する課金用制御部と、対象地域からの退出道路に設置される課金停止用アンテナと、
課金停止用アンテナを介して車載側機器との間で車両側固有情報を送受信して課金停止情報を認識する課金停止用制御部と、対象地域の境界部位に設置され車両の進行方向を認識する進行方向認識手段と、所定の課金制御を行なうように課金用制御部を制御すると共に、課金停止用アンテナを介して退出車両と通信して課金停止用制御部が課金停止情報を認識したときに課金停止時間を設定し、退出車両の通過の際に課金用アンテナとの間で通信が行なわれても課金停止時間の間は所定の課金制御を停止するように課金停止用制御部を制御し、更に、進行方向認識手段の情報に基づいて課金処理の要否を判断するシステム制御部とを備えたことを特徴とする路側装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000318021A JP3664965B2 (ja) | 2000-10-18 | 2000-10-18 | 道路課金システム及び路側装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
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