JP3664773B2 - 除塵システム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は除塵システムに関し、特にフィルタの再生用の排ガスを加熱する加熱手段を有する場合に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
ボイラ装置やごみ焼却炉などから出される排ガス中には煤塵が含まれている。そこで大気汚染を防止するため、上記ボイラ装置等には煤塵を除去(捕集)する除塵装置が設けられている。
【0003】
ボイラ装置などに利用される従来の除塵装置としては、次のようなものが知られている。
(1)遠心力集塵器
この遠心力集塵器では、遠心力を利用して排ガスに大きな加速度(旋回速度)を与え、煤塵をガスから分離するものであり、実用的なものとしてはサイクロン式集塵器が知られている。
なお、サイクロン式集塵器で代表される遠心力集塵器では、遠心力を利用して除塵するため、ガス中に含まれる煤塵等の粒子径がある程度以上大きくなければ、煤塵を捕集することができない。
【0004】
(2)濾過式集塵器
濾過式集塵器は、テフロン繊維やガラス繊維を使った濾布で排ガスを濾過して煤塵を捕集するものであり、バグフィルタとして知られている。この濾過式集塵器では、集塵室が複数に分かれており、集塵されたダストの払い落としは、各室ごとに順次行なわれる。払い落し方法としては、機械振動式,逆圧払い落し式,パルスジェット式などがある。
なおバグフィルタでは、バグを通過するガス流速を非常に遅くする必要があり、きわめて多くのバグを必要とする。
【0005】
(3)電気集塵器
電気集塵器では、放電極周辺のコロナ放電を利用してガス中の煤塵粒子に電荷を与え、この帯電粒子にクーロン力を作用させて集塵極に煤塵を吸引捕集する。なお、電気集塵器では、煤塵等の粒子径がある程度以上大きくなければ、煤塵を捕集することができず、また大きな電力を消費する。
【0006】
ところで離島などでは、ディーゼル発電設備により発電している。このディーゼル発電設備では、ディーゼル機関により発電機を回転させている。
上記ディーゼル機関から出る排ガス中にも当然に煤塵が含まれているが、現状ではほとんどの場合ディーゼル発電設備には除塵装置を備えていない。その理由は次のとおりである。
【0007】
ディーゼル機関から出る排ガス中に含まれる煤塵の粒子径は極めて小さい(図8参照)のに対し、遠心力集塵器や濾過式集塵器や電気集塵器は約1[μm]以上の粒子径の煤塵でないと捕集ができず、これら従来の集塵器を備えても除塵効率がきわめて悪い。
【0008】
また除塵効率が悪くても少しでも煤塵排出量を減らすべく、仮に上記従来の集塵器を備えたとしても、排ガスに大きな流通(通過)抵抗が加わり圧力損失が大きくなってディーゼル機関の効率が低下したり(特にバグフィルタを用いた場合)、発電電力を除塵のために多く消費したり(特に電気集塵器の場合)するというデメリットがある。
【0009】
そこで本願発明者等は、粒子径の小さい煤塵も捕集でき、しかも、圧力損失や消費電力の少ない除塵装置を開発し特許出願した(特願平2−1473号:これを以下「先願」と呼ぶ)。
【0010】
ここで先願の除塵装置の概要を、図9を参照して説明する。同図に示すようにケーシング01内は仕切板02により仕切られて5つの流路03が形成されている。各流路03にはそれぞれ、入口側(入口ガスダクト04側)から出口側(出口ガスダクト05側)に向い、ダンパ06,ヒータ07及びフィルタ08が順に備えられている。
【0011】
前記ダンパ06は図示しないモータにより回転して、流路03を開閉する。前記ヒータ07は電流が流れて発熱してフィルタ08を再生する。つまりフィルタ08を加熱して、フィルタ08に捕集された煤塵(燃料未然分(スス)や潤滑油が飛散して生じたオイルミスト等)を燃焼させる。また前記フィルタ08はセラミック多孔体で形成されている。
【0012】
排ガスは入口ガスダクト04からケーシング01内に送られる。排ガス中の煤塵を捕集するには、ヒータ07に電流を流すことなくダンパ06を開状態にする。こうすると、排ガスはフィルタ08を通過し、フィルタ08に煤塵が捕集される。フィルタ08を通過した排ガスは出口ガスダクト05を介して煙突に送られる。
【0013】
フィルタ08の再生は、各流路03ごとに順に位相をずらして周期的に行う。この再生手法を、図9を参照して説明する。なお各流路03を区別するため、ここでは流路に符号03−1,03−2,03−3,03−4,03−5を付して説明する。
【0014】
図9に示すように期間T1 では、流路03−1で再生をし、流路03−2,03−3,03−4,03−5により煤塵の捕集をする。即ち、流路03−1では、ダンパ06を閉じヒータ07に電流を流してフィルタ08を加熱してフィルタの再生をし、他の流路03−2,03−3,03−4,03−5では、ダンパ06を開けヒータ07に電流を流すことなくフィルタ08により煤塵の捕集をする。
【0015】
期間T2 では流路03−2で再生をし、他の流路で煤塵捕集をし、期間T3 では流路03−3で再生をし他の流路で煤塵捕集をし、以降同様に、1つの流路で再生をしつつ他の流路で捕集をする。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く従来の除塵装置は、再生用の排気ガスの加熱のためのヒータ07をケーシング01内の各室にそれぞれ設けているため、除塵装置の構造の複雑化を招くという問題を有している。
【0017】
本発明は、上記従来技術に鑑み、除塵装置の構造を簡素化し得、この除塵装置を用いるシステム全体のコストの低減も図り得る除塵システムを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の構成は次の点を特徴とする。
【0019】
1) 入口側から出口側に向い排ガスを流通させる複数の室を有するケーシングと、各室に対応して設置されており開状態になることにより対応した室に排ガスを流通させる一方、閉状態になることにより対応した室に排ガスが流通することを阻止する複数のダンパと、各室にそれぞれ配置されたセラミック多孔体でなるフィルタとを有する除塵装置と、
排ガス源が排出する除塵用の排ガスを除塵装置に導く除塵用の排気管と、
除塵装置の各室のフィルタの上流側にそれぞれ直接連通する分岐管を有するとともに排ガス源が排出するフィルタの再生用の排ガスを各分岐管を介して除塵装置に導く再生用の排気管と、
再生用の排気管の途中に配設してこの排気管を流通する排ガスを加熱する加熱手段と、
再生用の排ガスの除塵装置の各室に対する流入を制御するよう各分岐管にそれぞれ配設した弁とを有して、
少なくとも何れか一つの前記室に対応する弁を開状態、ダンパを閉状態として当該室のフィルタの再生を行うとともに、残りの室に対応する弁を閉状態、ダンパを開状態として当該室のフィルタで前記排ガスの除塵を行う一方、かかる再生モード乃至除塵モードが各室において順次切り替わるように前記弁及びダンパの動作を制御するように構成したこと。
2) 上記1)において、
排ガス源は過給機を有する内燃機関で構成する一方、再生用の排気管は過給機の下流側で除塵用の排気管に連通させるとともに、再生用の排気管の途中にファンを介在させたこと。
3) 上記1)において、
排ガス源は過給機を有する内燃機関で構成する一方、再生用の排気管は過給機の上流側で除塵用の排気管に連通させたこと。
4) 上記1)において、
排ガス源はボイラで構成する一方、再生用の排気管の途中にファンを介在させたことム。
5) 上記1)〜4)の何れかにおいて、
加熱手段は電気ヒータで構成したこと。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0025】
図1は第1の形態を示すブロック図である。同図に示すように、本形態における排ガス源は過給機101を有する内燃機関であるディーゼル機関102である。除塵用の排気管103は、過給機101及び除塵装置Iの入側ダンパ8a,8b,8c,8d,8eを介して除塵すべき排ガスを除塵装置Iの各室3a,3b,3c,3d,3eに導くように構成してある。除塵後の排ガスは出側ダンパ11a,11b,11c,11d,11eを介して外部に排出する。
【0026】
フィルタ5の再生用の排ガスを流通させる再生用の排気管104は、その最上流側を、過給機101の下流側で除塵用の排気管103に連結するとともに、その最下流側に分岐管104a,104b,104c,104d,104eを設けてある。各分岐管104a〜104eは、それぞれ弁105a,105b,105c,105d,105eを有するとともに、除塵装置Iの各室3a〜3eにフィルタ5の上流側で連通させてある。
【0027】
ファン106及び加熱装置107は上流側から順に排気管104の途中に介在させてある。ここでファン106は再生に必要な排ガス流量を確保すべく排ガスを圧縮する一方、過熱装置107は再生に必要な排ガス温度を確保すべく排ガスをヒートアップするように構成してある。
【0028】
上述の如き形態においては、フィルタ5の再生を行なう再生モードの室3a〜3eには、ファン106で圧縮するとともに加熱装置107でヒートアップした排ガスを排気管104の分岐管104a〜104eを介して導入する。例えば室3aを再生モードにする場合には、高温ガス弁105aを開状態にするとともに入側ダンパ8aを閉じる。
【0029】
一方、他の室3b〜3eに関しては、各室3b〜3eに対応する弁105b〜105eを閉状態にするとともに、入側ダンパ8b〜8eを開状態としておく。
【0030】
かくして、室3aにはそのフィルタ5の上流側に分岐管104aを介して高温,高圧の排ガスを導入するとともに、この排ガスによりフィルタ5の再生を行なう一方、他の室3b〜3eには排気管103を流通する除塵用の排ガスを導入した通常の除塵を行なう。室3aに関する再生が終了した後には、例えば室3bというように再生モードとする室を順次切換える。
【0031】
図2は第2の形態を示すブロック図である。同図に示すように、本形態は、前記第1の形態に対し、分岐管204a,204b,204c,204d,204eを有する排気管204を過給機101の入力側で排気管103に連結してある点が異なる。そこで、図1と同一部分には同一番号を付し重複する説明は省略する。
【0032】
過給機101の入口側の排ガスは出口側に較べ高温,高圧である。特に、温度は50°〜150℃高温である。したがって、入口側の排ガスを利用すれば加熱装置107によるヒートアップの割合を小さくできることは明らかである。また、入口側の排ガスを利用すればそれ自体が高圧であるため、ファン106も不要になる。
【0033】
一方、過給機101を流通する排ガス量は減少するので、その分過給効率は低減する。
【0034】
したがって、本形態による技術的効果は、その長所及び欠点の兼合いで決定される。しかし、再生用の排気管204に流す排ガスは排気管103に流す排ガスの数パーセントで良いため、過給効率の低減は実用上問題はない。
【0035】
したがって、本形態によれば加熱装置207の容量を第1の形態における加熱装置107に較べ、格段に小さくすることかができ、また前述の如くファン106も不要になる。すなわち、過給機101の入口側の高温,高圧の排ガスを有効に利用し得るものとなる。
【0036】
本形態においても、再生及び除塵時の態様は第1の形態と同様である。
【0037】
上述の如き第1及び第2の態様では、ディーゼル機関102の排ガスを再生用と除塵用とに分けているが、両者の分配比は、▲1▼ 排気管103,104若しくは103,204の管径を選択する、▲2▼ 弁105a〜105eに絞り機能を兼備させる等の手段を講じることにより容易に選定し得る。
【0038】
また、両態様では、ディーゼル機関102を排ガス源としたが、過給機101を有するもので他の内燃機関でも良い。
【0039】
図3は第3の態様を示すブロック図である。同図に示すように、排ガス源は、図1のディーゼル機関102の代わりにボイラ301であっても良い。すなわち、本態様は排ガス源がボイラ301である点を除き、図1と全く同構成であり、同様の態様で再生及び除塵作業を行なう。そこで、図3中、図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
上記第1〜第3の態様における過熱装置107,207は電気ヒータが最も一般的ではあるが、これに限るものでは勿論ない。他に適切な熱源があれば、この熱源から導く熱と熱交換するように構成することによっても所期の目的は達成し得る。
【0041】
【実施例】
ここで、上述の如き除塵システムにおける除塵装置として有用な、特にディーゼル機関102の除塵装置として有用な実施例を説明しておく。
【0042】
図4は本実施例に得る除塵装置を、一部破断して示す斜視図である。この除塵装置では、ケーシング1内に垂直方向に4枚の仕切板2を備え、ケーシング1内に5つの室3a〜3eを形成している。各室3a〜3eは垂直方向に延びておりその中にはそれぞれフィルタ5(詳細後述)を備えている。
【0043】
各室3a〜3eの下部の前方側にはそれぞれ入口ガスダクト6a〜6eが連通しており、各入口ガスダクト6a〜6e内には、モータ7a〜7eの駆動により開閉する入側ダンパ8a〜8eが備えられている。
【0044】
また各室3a〜3eの上部の後方側にはそれぞれ出口ガスダクト9a〜9eが連通しており、各出口ガスダクト9a〜9e内には、モータ10a〜10eの駆動により開閉する出側ダンパ11a〜11e(なお図では11b〜11eは見えていない)が備えられている。
【0045】
そしてディーゼル機関などから出た排ガスは、入口ガスダクト6a〜6eを介して各室3a〜3eに導びかれ、各室3a〜3eを下方から上方に向い通過した後、出口ガスダクト9a〜9eを介して排出され、煙突に送られる。
【0046】
一方、各室3a〜3eには、入口ガスダクト6a〜6eを介することなく直接各室3a〜3eに連通する分岐管104a〜104eが連結してあり、各分岐管104a〜104eが弁102a〜102e(図1〜図3参照)を介して排気管103,104(図1〜図3参照)に連通している。かくして、加熱装置107,207(図1〜図3参照)でヒートアップした再生用の高温の排ガスが排気管101及び弁105a〜105eを介して各室3a〜3eに直接流入するように構成してある。
【0047】
前記フィルタ5は、図5に示すように、2枚のフィルタ部材5−1,5−2を合掌配置した構造、即ち上辺が連結されると共に下辺に向うに従い両者間の隙間が漸増するように開いた構造となっている。そして各フィルタ部材5−1,5−2は、枠材5aにセラミック多孔体5bを組み込んだ構成となっている。このセラミック多孔体5bは、コージェライト(2MgO・Al2 O3 ・5SiO2 )とアルミナ(Al2 O3 )の混合物であり、1インチ当りに10〜15個の孔を有し、空孔率が高い(空孔率は80〜90%)。またセラミック多孔体5bの厚さ(排ガスが通過していく方向の長さ)は40〜60[mm]としている。
【0048】
室3a〜3e内を流通する排ガス(ディーゼル機関から出た排ガス)の流速は0.5〜2[m/秒]と速いが、セラミック多孔体5bは三次元骨格構造となってその空孔率が大きいので圧力損失は少ない。またセラミック多孔体5bの孔の径は数[mm]と大きいがセラミック多孔体5bの厚さが40〜60[mm]あり且つ連続する気孔による流通経路が複数なので、ミクロンオーダの煤塵を捕集することができる。結局、一方を良好にすると他方が悪化する関係にある圧力損失と捕集効率とを勘案して、両特性が良好になるようにセラミック多孔体5bの空孔率と厚さを決定した。
【0049】
なおここで付言すると、バグフィルタでの排ガスの流速は、1〜2[m/分]程度と、きわめて遅い。
【0050】
また図6に示すように、フィルタ部材5−1,5−2がなす角度θを、10〜30°にした。このようにすることにより、フィルタ5の総面積が、室の横断面積に対して広くなり、圧力損失の軽減に寄与する。
【0051】
【発明の効果】
以上実施例とともに具体的に説明したように、本発明によれば再生用の排ガスのヒートアップ用の加熱手段を除塵装置の外部に配設したので、除塵装置が加熱手段を備える必要はなく、その分構成が簡単となり、システム全体としてのコストの低減化を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の態様を示すブロック図。
【図2】本発明の第2の実施の態様を示すブロック図。
【図3】本発明の第3の実施の態様を示すブロック図。
【図4】本発明の実施例に係る除塵装置を一部破断して示す斜視図。
【図5】フィルタを示す斜視図。
【図6】フィルタを示す正面図。
【図7】ディーゼル排ガス中の煤塵径とその割合を示す特性図。
【図8】従来の除塵装置を一部破断して示す斜視図。
【図9】従来の除塵装置の運転方法を示すタイムシーケンス図。
【符号の説明】
I 除塵装置
1 ケーシング
2 仕切板
3a〜3e 室
5 フィルタ
5−1,5−2 フィルタ部材
5a 枠材
5b セラミック多孔体
6a〜6e 入口ガスダクト
7a〜7e モータ
8a〜8e 入側ダンパ
9a〜9e 出口ガスダクト
10a〜10e モータ
11a〜11e 出側ダンパ
101 過給機
102 ディーゼル機関
013,104,204 排気管
104a〜104e,204a〜204e 分岐管
105a〜105e 弁
106 ファン
107,207 加熱装置
301 ボイラ
【発明の属する技術分野】
本発明は除塵システムに関し、特にフィルタの再生用の排ガスを加熱する加熱手段を有する場合に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
ボイラ装置やごみ焼却炉などから出される排ガス中には煤塵が含まれている。そこで大気汚染を防止するため、上記ボイラ装置等には煤塵を除去(捕集)する除塵装置が設けられている。
【0003】
ボイラ装置などに利用される従来の除塵装置としては、次のようなものが知られている。
(1)遠心力集塵器
この遠心力集塵器では、遠心力を利用して排ガスに大きな加速度(旋回速度)を与え、煤塵をガスから分離するものであり、実用的なものとしてはサイクロン式集塵器が知られている。
なお、サイクロン式集塵器で代表される遠心力集塵器では、遠心力を利用して除塵するため、ガス中に含まれる煤塵等の粒子径がある程度以上大きくなければ、煤塵を捕集することができない。
【0004】
(2)濾過式集塵器
濾過式集塵器は、テフロン繊維やガラス繊維を使った濾布で排ガスを濾過して煤塵を捕集するものであり、バグフィルタとして知られている。この濾過式集塵器では、集塵室が複数に分かれており、集塵されたダストの払い落としは、各室ごとに順次行なわれる。払い落し方法としては、機械振動式,逆圧払い落し式,パルスジェット式などがある。
なおバグフィルタでは、バグを通過するガス流速を非常に遅くする必要があり、きわめて多くのバグを必要とする。
【0005】
(3)電気集塵器
電気集塵器では、放電極周辺のコロナ放電を利用してガス中の煤塵粒子に電荷を与え、この帯電粒子にクーロン力を作用させて集塵極に煤塵を吸引捕集する。なお、電気集塵器では、煤塵等の粒子径がある程度以上大きくなければ、煤塵を捕集することができず、また大きな電力を消費する。
【0006】
ところで離島などでは、ディーゼル発電設備により発電している。このディーゼル発電設備では、ディーゼル機関により発電機を回転させている。
上記ディーゼル機関から出る排ガス中にも当然に煤塵が含まれているが、現状ではほとんどの場合ディーゼル発電設備には除塵装置を備えていない。その理由は次のとおりである。
【0007】
ディーゼル機関から出る排ガス中に含まれる煤塵の粒子径は極めて小さい(図8参照)のに対し、遠心力集塵器や濾過式集塵器や電気集塵器は約1[μm]以上の粒子径の煤塵でないと捕集ができず、これら従来の集塵器を備えても除塵効率がきわめて悪い。
【0008】
また除塵効率が悪くても少しでも煤塵排出量を減らすべく、仮に上記従来の集塵器を備えたとしても、排ガスに大きな流通(通過)抵抗が加わり圧力損失が大きくなってディーゼル機関の効率が低下したり(特にバグフィルタを用いた場合)、発電電力を除塵のために多く消費したり(特に電気集塵器の場合)するというデメリットがある。
【0009】
そこで本願発明者等は、粒子径の小さい煤塵も捕集でき、しかも、圧力損失や消費電力の少ない除塵装置を開発し特許出願した(特願平2−1473号:これを以下「先願」と呼ぶ)。
【0010】
ここで先願の除塵装置の概要を、図9を参照して説明する。同図に示すようにケーシング01内は仕切板02により仕切られて5つの流路03が形成されている。各流路03にはそれぞれ、入口側(入口ガスダクト04側)から出口側(出口ガスダクト05側)に向い、ダンパ06,ヒータ07及びフィルタ08が順に備えられている。
【0011】
前記ダンパ06は図示しないモータにより回転して、流路03を開閉する。前記ヒータ07は電流が流れて発熱してフィルタ08を再生する。つまりフィルタ08を加熱して、フィルタ08に捕集された煤塵(燃料未然分(スス)や潤滑油が飛散して生じたオイルミスト等)を燃焼させる。また前記フィルタ08はセラミック多孔体で形成されている。
【0012】
排ガスは入口ガスダクト04からケーシング01内に送られる。排ガス中の煤塵を捕集するには、ヒータ07に電流を流すことなくダンパ06を開状態にする。こうすると、排ガスはフィルタ08を通過し、フィルタ08に煤塵が捕集される。フィルタ08を通過した排ガスは出口ガスダクト05を介して煙突に送られる。
【0013】
フィルタ08の再生は、各流路03ごとに順に位相をずらして周期的に行う。この再生手法を、図9を参照して説明する。なお各流路03を区別するため、ここでは流路に符号03−1,03−2,03−3,03−4,03−5を付して説明する。
【0014】
図9に示すように期間T1 では、流路03−1で再生をし、流路03−2,03−3,03−4,03−5により煤塵の捕集をする。即ち、流路03−1では、ダンパ06を閉じヒータ07に電流を流してフィルタ08を加熱してフィルタの再生をし、他の流路03−2,03−3,03−4,03−5では、ダンパ06を開けヒータ07に電流を流すことなくフィルタ08により煤塵の捕集をする。
【0015】
期間T2 では流路03−2で再生をし、他の流路で煤塵捕集をし、期間T3 では流路03−3で再生をし他の流路で煤塵捕集をし、以降同様に、1つの流路で再生をしつつ他の流路で捕集をする。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く従来の除塵装置は、再生用の排気ガスの加熱のためのヒータ07をケーシング01内の各室にそれぞれ設けているため、除塵装置の構造の複雑化を招くという問題を有している。
【0017】
本発明は、上記従来技術に鑑み、除塵装置の構造を簡素化し得、この除塵装置を用いるシステム全体のコストの低減も図り得る除塵システムを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の構成は次の点を特徴とする。
【0019】
1) 入口側から出口側に向い排ガスを流通させる複数の室を有するケーシングと、各室に対応して設置されており開状態になることにより対応した室に排ガスを流通させる一方、閉状態になることにより対応した室に排ガスが流通することを阻止する複数のダンパと、各室にそれぞれ配置されたセラミック多孔体でなるフィルタとを有する除塵装置と、
排ガス源が排出する除塵用の排ガスを除塵装置に導く除塵用の排気管と、
除塵装置の各室のフィルタの上流側にそれぞれ直接連通する分岐管を有するとともに排ガス源が排出するフィルタの再生用の排ガスを各分岐管を介して除塵装置に導く再生用の排気管と、
再生用の排気管の途中に配設してこの排気管を流通する排ガスを加熱する加熱手段と、
再生用の排ガスの除塵装置の各室に対する流入を制御するよう各分岐管にそれぞれ配設した弁とを有して、
少なくとも何れか一つの前記室に対応する弁を開状態、ダンパを閉状態として当該室のフィルタの再生を行うとともに、残りの室に対応する弁を閉状態、ダンパを開状態として当該室のフィルタで前記排ガスの除塵を行う一方、かかる再生モード乃至除塵モードが各室において順次切り替わるように前記弁及びダンパの動作を制御するように構成したこと。
2) 上記1)において、
排ガス源は過給機を有する内燃機関で構成する一方、再生用の排気管は過給機の下流側で除塵用の排気管に連通させるとともに、再生用の排気管の途中にファンを介在させたこと。
3) 上記1)において、
排ガス源は過給機を有する内燃機関で構成する一方、再生用の排気管は過給機の上流側で除塵用の排気管に連通させたこと。
4) 上記1)において、
排ガス源はボイラで構成する一方、再生用の排気管の途中にファンを介在させたことム。
5) 上記1)〜4)の何れかにおいて、
加熱手段は電気ヒータで構成したこと。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0025】
図1は第1の形態を示すブロック図である。同図に示すように、本形態における排ガス源は過給機101を有する内燃機関であるディーゼル機関102である。除塵用の排気管103は、過給機101及び除塵装置Iの入側ダンパ8a,8b,8c,8d,8eを介して除塵すべき排ガスを除塵装置Iの各室3a,3b,3c,3d,3eに導くように構成してある。除塵後の排ガスは出側ダンパ11a,11b,11c,11d,11eを介して外部に排出する。
【0026】
フィルタ5の再生用の排ガスを流通させる再生用の排気管104は、その最上流側を、過給機101の下流側で除塵用の排気管103に連結するとともに、その最下流側に分岐管104a,104b,104c,104d,104eを設けてある。各分岐管104a〜104eは、それぞれ弁105a,105b,105c,105d,105eを有するとともに、除塵装置Iの各室3a〜3eにフィルタ5の上流側で連通させてある。
【0027】
ファン106及び加熱装置107は上流側から順に排気管104の途中に介在させてある。ここでファン106は再生に必要な排ガス流量を確保すべく排ガスを圧縮する一方、過熱装置107は再生に必要な排ガス温度を確保すべく排ガスをヒートアップするように構成してある。
【0028】
上述の如き形態においては、フィルタ5の再生を行なう再生モードの室3a〜3eには、ファン106で圧縮するとともに加熱装置107でヒートアップした排ガスを排気管104の分岐管104a〜104eを介して導入する。例えば室3aを再生モードにする場合には、高温ガス弁105aを開状態にするとともに入側ダンパ8aを閉じる。
【0029】
一方、他の室3b〜3eに関しては、各室3b〜3eに対応する弁105b〜105eを閉状態にするとともに、入側ダンパ8b〜8eを開状態としておく。
【0030】
かくして、室3aにはそのフィルタ5の上流側に分岐管104aを介して高温,高圧の排ガスを導入するとともに、この排ガスによりフィルタ5の再生を行なう一方、他の室3b〜3eには排気管103を流通する除塵用の排ガスを導入した通常の除塵を行なう。室3aに関する再生が終了した後には、例えば室3bというように再生モードとする室を順次切換える。
【0031】
図2は第2の形態を示すブロック図である。同図に示すように、本形態は、前記第1の形態に対し、分岐管204a,204b,204c,204d,204eを有する排気管204を過給機101の入力側で排気管103に連結してある点が異なる。そこで、図1と同一部分には同一番号を付し重複する説明は省略する。
【0032】
過給機101の入口側の排ガスは出口側に較べ高温,高圧である。特に、温度は50°〜150℃高温である。したがって、入口側の排ガスを利用すれば加熱装置107によるヒートアップの割合を小さくできることは明らかである。また、入口側の排ガスを利用すればそれ自体が高圧であるため、ファン106も不要になる。
【0033】
一方、過給機101を流通する排ガス量は減少するので、その分過給効率は低減する。
【0034】
したがって、本形態による技術的効果は、その長所及び欠点の兼合いで決定される。しかし、再生用の排気管204に流す排ガスは排気管103に流す排ガスの数パーセントで良いため、過給効率の低減は実用上問題はない。
【0035】
したがって、本形態によれば加熱装置207の容量を第1の形態における加熱装置107に較べ、格段に小さくすることかができ、また前述の如くファン106も不要になる。すなわち、過給機101の入口側の高温,高圧の排ガスを有効に利用し得るものとなる。
【0036】
本形態においても、再生及び除塵時の態様は第1の形態と同様である。
【0037】
上述の如き第1及び第2の態様では、ディーゼル機関102の排ガスを再生用と除塵用とに分けているが、両者の分配比は、▲1▼ 排気管103,104若しくは103,204の管径を選択する、▲2▼ 弁105a〜105eに絞り機能を兼備させる等の手段を講じることにより容易に選定し得る。
【0038】
また、両態様では、ディーゼル機関102を排ガス源としたが、過給機101を有するもので他の内燃機関でも良い。
【0039】
図3は第3の態様を示すブロック図である。同図に示すように、排ガス源は、図1のディーゼル機関102の代わりにボイラ301であっても良い。すなわち、本態様は排ガス源がボイラ301である点を除き、図1と全く同構成であり、同様の態様で再生及び除塵作業を行なう。そこで、図3中、図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
上記第1〜第3の態様における過熱装置107,207は電気ヒータが最も一般的ではあるが、これに限るものでは勿論ない。他に適切な熱源があれば、この熱源から導く熱と熱交換するように構成することによっても所期の目的は達成し得る。
【0041】
【実施例】
ここで、上述の如き除塵システムにおける除塵装置として有用な、特にディーゼル機関102の除塵装置として有用な実施例を説明しておく。
【0042】
図4は本実施例に得る除塵装置を、一部破断して示す斜視図である。この除塵装置では、ケーシング1内に垂直方向に4枚の仕切板2を備え、ケーシング1内に5つの室3a〜3eを形成している。各室3a〜3eは垂直方向に延びておりその中にはそれぞれフィルタ5(詳細後述)を備えている。
【0043】
各室3a〜3eの下部の前方側にはそれぞれ入口ガスダクト6a〜6eが連通しており、各入口ガスダクト6a〜6e内には、モータ7a〜7eの駆動により開閉する入側ダンパ8a〜8eが備えられている。
【0044】
また各室3a〜3eの上部の後方側にはそれぞれ出口ガスダクト9a〜9eが連通しており、各出口ガスダクト9a〜9e内には、モータ10a〜10eの駆動により開閉する出側ダンパ11a〜11e(なお図では11b〜11eは見えていない)が備えられている。
【0045】
そしてディーゼル機関などから出た排ガスは、入口ガスダクト6a〜6eを介して各室3a〜3eに導びかれ、各室3a〜3eを下方から上方に向い通過した後、出口ガスダクト9a〜9eを介して排出され、煙突に送られる。
【0046】
一方、各室3a〜3eには、入口ガスダクト6a〜6eを介することなく直接各室3a〜3eに連通する分岐管104a〜104eが連結してあり、各分岐管104a〜104eが弁102a〜102e(図1〜図3参照)を介して排気管103,104(図1〜図3参照)に連通している。かくして、加熱装置107,207(図1〜図3参照)でヒートアップした再生用の高温の排ガスが排気管101及び弁105a〜105eを介して各室3a〜3eに直接流入するように構成してある。
【0047】
前記フィルタ5は、図5に示すように、2枚のフィルタ部材5−1,5−2を合掌配置した構造、即ち上辺が連結されると共に下辺に向うに従い両者間の隙間が漸増するように開いた構造となっている。そして各フィルタ部材5−1,5−2は、枠材5aにセラミック多孔体5bを組み込んだ構成となっている。このセラミック多孔体5bは、コージェライト(2MgO・Al2 O3 ・5SiO2 )とアルミナ(Al2 O3 )の混合物であり、1インチ当りに10〜15個の孔を有し、空孔率が高い(空孔率は80〜90%)。またセラミック多孔体5bの厚さ(排ガスが通過していく方向の長さ)は40〜60[mm]としている。
【0048】
室3a〜3e内を流通する排ガス(ディーゼル機関から出た排ガス)の流速は0.5〜2[m/秒]と速いが、セラミック多孔体5bは三次元骨格構造となってその空孔率が大きいので圧力損失は少ない。またセラミック多孔体5bの孔の径は数[mm]と大きいがセラミック多孔体5bの厚さが40〜60[mm]あり且つ連続する気孔による流通経路が複数なので、ミクロンオーダの煤塵を捕集することができる。結局、一方を良好にすると他方が悪化する関係にある圧力損失と捕集効率とを勘案して、両特性が良好になるようにセラミック多孔体5bの空孔率と厚さを決定した。
【0049】
なおここで付言すると、バグフィルタでの排ガスの流速は、1〜2[m/分]程度と、きわめて遅い。
【0050】
また図6に示すように、フィルタ部材5−1,5−2がなす角度θを、10〜30°にした。このようにすることにより、フィルタ5の総面積が、室の横断面積に対して広くなり、圧力損失の軽減に寄与する。
【0051】
【発明の効果】
以上実施例とともに具体的に説明したように、本発明によれば再生用の排ガスのヒートアップ用の加熱手段を除塵装置の外部に配設したので、除塵装置が加熱手段を備える必要はなく、その分構成が簡単となり、システム全体としてのコストの低減化を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の態様を示すブロック図。
【図2】本発明の第2の実施の態様を示すブロック図。
【図3】本発明の第3の実施の態様を示すブロック図。
【図4】本発明の実施例に係る除塵装置を一部破断して示す斜視図。
【図5】フィルタを示す斜視図。
【図6】フィルタを示す正面図。
【図7】ディーゼル排ガス中の煤塵径とその割合を示す特性図。
【図8】従来の除塵装置を一部破断して示す斜視図。
【図9】従来の除塵装置の運転方法を示すタイムシーケンス図。
【符号の説明】
I 除塵装置
1 ケーシング
2 仕切板
3a〜3e 室
5 フィルタ
5−1,5−2 フィルタ部材
5a 枠材
5b セラミック多孔体
6a〜6e 入口ガスダクト
7a〜7e モータ
8a〜8e 入側ダンパ
9a〜9e 出口ガスダクト
10a〜10e モータ
11a〜11e 出側ダンパ
101 過給機
102 ディーゼル機関
013,104,204 排気管
104a〜104e,204a〜204e 分岐管
105a〜105e 弁
106 ファン
107,207 加熱装置
301 ボイラ
Claims (5)
- 入口側から出口側に向い排ガスを流通させる複数の室を有するケーシングと、各室に対応して設置されており開状態になることにより対応した室に排ガスを流通させる一方、閉状態になることにより対応した室に排ガスが流通することを阻止する複数のダンパと、各室にそれぞれ配置されたセラミック多孔体でなるフィルタとを有する除塵装置と、
排ガス源が排出する除塵用の排ガスを除塵装置に導く除塵用の排気管と、
除塵装置の各室のフィルタの上流側にそれぞれ直接連通する分岐管を有するとともに排ガス源が排出するフィルタの再生用の排ガスを各分岐管を介して除塵装置に導く再生用の排気管と、
再生用の排気管の途中に配設してこの排気管を流通する排ガスを加熱する加熱手段と、
再生用の排ガスの除塵装置の各室に対する流入を制御するよう各分岐管にそれぞれ配設した弁とを有して、
少なくとも何れか一つの前記室に対応する弁を開状態、ダンパを閉状態として当該室のフィルタの再生を行うとともに、残りの室に対応する弁を閉状態、ダンパを開状態として当該室のフィルタで前記排ガスの除塵を行う一方、かかる再生モード乃至除塵モードが各室において順次切り替わるように前記弁及びダンパの動作を制御するように構成したことを特徴とする除塵システム。 - 排ガス源は過給機を有する内燃機関で構成する一方、再生用の排気管は過給機の下流側で除塵用の排気管に連通させるとともに、再生用の排気管の途中にファンを介在させたことを特徴とする[請求項1]に記載する除塵システム。
- 排ガス源は過給機を有する内燃機関で構成する一方、再生用の排気管は過給機の上流側で除塵用の排気管に連通させたことを特徴とする[請求項1]に記載する除塵システム。
- 排ガス源はボイラで構成する一方、再生用の排気管の途中にファンを介在させたことを特徴とする[請求項1]に記載する除塵システム。
- 加熱手段は電気ヒータで構成したことを特徴とする[請求項1]〜[請求項4]の何れかに記載する除塵システム。
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