JP3664008B2 - 挟み込み検出装置及び開閉装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、開口部と前記開口部を開閉する開閉部との間への物体の挟み込みを検出する挟み込み検出装置および開閉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の挟み込み検出装置は、例えば特開平9−102239号公報に開示されているものがある。図18にその構成を示す。図18は自動車のパワーウィンドウ付ドアの窓枠近傍の断面図である。1は窓枠、2はウエザストリップ、3はガラスシール、4はコードスイッチでウエザストリップ2の下端に配設されている。コードスイッチ4は壁部5の内面に導電ゴム6が配設され、空隙を隔てて導電ゴム7が配設され、導電ゴム6と導電ゴム7各々の一部にワイヤ8、ワイヤ9が埋め込まれた構成となっている。窓ガラス10が閉動作中に物体11が挟み込まれるとコードスイッチ4が押圧されて導電ゴム6と導電ゴム7が接触し、これによってコードスイッチ4が作動して挟み込みが検出されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の挟み込み検出装置は、環境温度が低下するとコードスイッチ4全体が硬化するので、挟み込み検出の際に物体11に印加される荷重が増大したり、導電ゴム6と導電ゴム7とが接触せず挟み込み検出できないといった課題があった。
【0004】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、環境温度が変化しても挟み込み検出時の荷重を増大することなく挟み込みを検出する挟み込み検出装置および開閉装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、検出した環境温度に基づき挟み込みの判定条件を変更して挟み込みを判定するものである。上記手段により環境温度が変化して挟み込み時の感圧手段の出力信号が変化しても、環境温度に応じて挟み込みの判定条件を変更して挟み込みを判定するので、環境温度が変化しても挟み込み検出時の荷重を増大することなく挟み込みを検出することができる。
【0006】
また本発明は、検出した環境温度に基づき感圧手段の出力信号の増幅率を変更して挟み込みを判定するものである。上記手段により環境温度が変化して挟み込み時の感圧手段の出力信号が変化しても、環境温度に応じて感圧手段の出力信号の増幅率を変更して挟み込みを判定するので、環境温度が変化しても挟み込み検出時の荷重を増大することなく挟み込みを検出することができる。
【0007】
また本発明は、検出した環境温度に基づき感圧手段の出力信号の濾波特性を変更して挟み込みを判定するものである。上記手段により環境温度により感圧手段の共振周波数が変化しても環境温度に応じて濾波手段の濾波特性を変更するので、環境温度が変化しても挟み込み検出時の荷重を増大することなく挟み込みを検出することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
上記の課題を解決するために請求項1の発明は、検出した環境温度に応じて挟み込み判定の判定閾値を演算し、環境温度が低下して挟み込み時の感圧手段の出力信号が低下しても、判定閾値が小さくなるよう演算されるので、環境温度が低下しても挟み込み検出時の荷重の増大を抑制し、検出ミスがない。
【0009】
また請求項2の発明は、検出した環境温度に応じて感圧手段の出力信号の増幅度を演算し、環境温度が低下して挟み込み時の感圧手段の出力信号が低下しても、増幅率が大きくなるよう演算され、挟み込み判定に用いられる信号の低下が抑制されるので、環境温度が低下しても挟み込み検出時の荷重の増大を抑制し、検出ミスがない。
【0010】
また請求項3の発明は、検出した環境温度に応じて濾波手段の濾波特性を演算し、環境温度が低下して感圧手段の共振周波数が高くなっても、濾波するの中心周波数も高くなるよう演算され、挟み込み判定に用いられる濾波手段の出力信号の低下が抑制されるので、環境温度が変化しても挟み込み検出時の荷重を増大することなく挟み込みを検出することができる。
【0011】
また請求項4の発明は、感圧手段の感圧材又は電極の温度特性に基づいて環境温度を検出するので、新たに温度センサを設ける必要が無く装置の合理化ができる。
【0012】
また請求項5の発明は、感圧手段が非晶質塩素化ポリエチレンと結晶性塩素化ポリエチレンと圧電セラミック粉体とを含む混合組成物からなる複合圧電体層を有した圧電センサからなり、非晶質塩素化ポリエチレンの有する可撓性と結晶性塩素化ポリエチレンの有する高温耐久性とを併せ持つので、圧電体としてポリフッ化ビニリデンを用いた従来の圧電センサのような高温での感度低下がなく、高温耐久性がよい。
【0013】
また請求項6の発明は、開口部と開閉部との間に物体が挟み込まれる際に弾性体により感圧手段の変形量が増大して感圧手段の出力信号が大きくなるので、挟み込みの際、環境温度が低下しても感圧手段の出力信号の低下が抑制される。
【0014】
また請求項7の発明は、弾性体が備えた中空部により挟み込みの際の感圧手段の変形量が増大して感圧手段の出力信号がさらに大きくなるので、挟み込みの際、環境温度が低下しても感圧手段の出力信号の低下がさらに抑制される。
【0015】
また請求項8の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項記載の挟み込み検出装置を備え、判定手段の出力信号に基づき挟み込み判定時には挟み込みを解除するよう開閉部の開閉動作を制御する制御手段を有したもので、環境温度が変化しても挟み込み検出時の荷重を増大することなく挟み込みを検出することができ、かつ、挟み込み時には挟み込みを解除するので不要な挟み込みを防止することができる。
【0016】
また請求項9の発明は、開閉部が自動車のパワーウィンドウ、電動サンルーフ、電動ドアの少なくとも1つであるもので、パワーウィンドウ、電動サンルーフ、電動ドアでの不要な挟み込みを防止することができる。
【0017】
また請求項10の発明は、開閉部が列車、飛行機、建物の自動ドアであるもので、自動ドアでの不要な挟み込みを防止することができる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図1から図17を参照して説明する。
【0019】
(実施例1)
実施例1の発明を図1から図9を参照して説明する。
【0020】
図1は実施例1の発明の挟み込み検出装置及び開閉装置の外観図で、自動車のパワーウインドウに適用した場合を示している。図2は図1のA−A′位置における断面構成図である。図2では図面右側が車室内側、左側が車外側である。
【0021】
先ず、本発明の実施例1の挟み込み検出装置の構成は以下の通りである。図1より、12は開口部としての窓枠、13は開閉部としての窓ガラスである。窓枠12の周縁部には感圧手段としてのケーブル状の圧電センサ14が配設されている。15は感圧手段14の出力信号に基づき窓枠12と窓ガラス13の間への物体の挟み込みを判定する判定手段である。
【0022】
また、本発明の実施例1の開閉装置は上記の挟み込み検出装置と窓ガラス13を開閉させるパワーウインドウ駆動装置16、パワーウインドウ駆動装置16を制御する制御手段21から成る。ここで、パワーウインドウ駆動装置16はモータ17、ワイヤ18、窓ガラス13の支持具19、ガイド20等から成る。モータ17によりワイヤ18を動かし、ワイヤ18と連結された支持具19をガイド20に沿って上下させることにより窓ガラス13を開閉する構造となっている。尚、パワーウインドウ駆動装置16は上記のようなワイヤを用いた方式に限定するものではなく、他の方式でもよい。制御手段21はモータ17と一体化してもよい。
【0023】
図2に示すように、窓枠12はガラスシール22を有している。圧電センサ14はゴムや発泡樹脂部材等の弾性体23中に挿入されていて、弾性体23を介して窓枠12に配設されている。弾性体23は中空部24を有している。図3は圧電センサ14と弾性体23の斜視図である。弾性体23は両面テープや接着剤により窓枠12に固定される。他の固定方法としてくさび型のクリップにより弾性体23を窓枠12に固定したり、窓枠12に溝部を設けて溝部に弾性体23をはめ込んで固定してもよい。また、弾性体23の形状と弾性体23中の圧電センサ14の配設位置は、対象車種の窓枠12の形状に応じて最適化すればよい。
【0024】
尚、米国の法規制FMVSS118では、直径が最低4mmの堅牢な棒を使用して挟み込みの評価を行うことになっており、直径4mmの棒がどのような方向から挟み込まれても圧電センサ14により挟み込みを検出することが望ましい。従って、窓ガラス13が弾性体23に接触しない範囲で窓ガラス13と弾性体23との距離(図2中のx)をなるべく短くできるように弾性体23を窓枠12に配設する必要がある。窓ガラス13の装着ばらつきや振動によるぶれを考慮すれば、xが3〜5mmになるよう弾性体23を窓枠12に配設することが好ましい。
【0025】
図4は圧電センサ14の断面構成図である。圧電センサ14は感圧材としての複合圧電体層25と、複合圧電体層25を挟む複数の電極としての中心電極26及び外側電極27と、保護用の被覆層28とを同心円状に積層して成形したケーブル状の圧電センサである。このケーブル状圧電センサは以下の工程により製造される。最初に、塩素化ポリエチレンシートと40〜70vol%の圧電セラミック(ここでは、チタン酸ジルコン酸鉛)粉末がロール法によりシート状に均一に混合される。このシートを細かくペレット状に切断した後、これらのペレットは中心電極26と共に連続的に押し出されて複合圧電層25を形成する。それから、外側電極27が複合圧電体層25の周囲に巻きつけられる。外側電極27を取り巻いて被覆層28も連続的に押し出される。最後に、複合圧電層25を分極するために、中心電極26と外側電極27の間に5〜10kV/mmの直流高電圧が印加される。
【0026】
塩素化ポリエチレンシートは非晶質塩素化ポリエチレンと結晶性塩素化ポリエチレンの混合物であることが好ましい。この場合、押し出しの加工性、可撓性、圧電特性等を考慮して、分子量6万〜15万の非晶質塩素化ポリエチレンを75wt%、結晶化度15〜25%で分子量20万〜40万の結晶性塩素化ポリエチレンを25wt%混合した塩素化ポリエチレンが好ましいことが実験的に見出された。この塩素化ポリエチレンは圧電セラミック粉末を約70vol%まで含むことができる。
【0027】
中心電極26は通常の金属単線導線を用いてもよいが、ここでは絶縁性高分子繊維の周囲に金属コイルを巻いた電極を用いている。絶縁性高分子繊維と金属コイルとしては、電気毛布において商業的に用いられているポリエステル繊維と銀を5wt%含む銅合金がそれぞれ好ましい。
【0028】
外側電極27は高分子層の上に金属膜の接着された帯状電極を用い、これを複合圧電体層25の周囲に巻きつける。そして、高分子層としてはポリエチレン・テレフタレート(PET)を用い、この上にアルミニウム膜を接着した電極は、120℃で高い熱的安定性を有するとともに商業的にも量産されているので、外側電極27として好ましい。この電極を判定手段15に接続する際にはアルミニウム膜を半田付けすることが困難なため、カシメやハトメにより接続したり、アルミニウム膜の回りに金属単線コイルや金属編線を巻き付けてアルミニウム膜と導通をとり、金属単線コイルや金属編線を判定手段15に半田付けする構成としてもよい。また、圧電センサ14を外部環境の電気的雑音からシールドするために、外側電極27は部分的に重なるようにして複合圧電体層25の周囲に巻きつけることが好ましい。
【0029】
被覆層28としては、ウレタン、ポリエチレン、塩化ビニールなどの適切な弾性の高分子材料が用いられる。
【0030】
図5は圧電センサ14、弾性体23、及び判定手段15の位置関係を示す構成図である。図5に示すように、圧電センサ14は判定手段15に直接接続していて、圧電センサ14と判定手段15とは一体化されている。これにより、圧電センサ14と判定手段15とを接続するケーブル等が不要となる。また、圧電センサ14の窓枠12以外の場所での引き回しが短くなるので、圧電センサ14が挟み込み以外の不要な振動の影響を受けることがない。判定手段15はドアの内張り部29の内側に配設されている。圧電センサ14と弾性体23が内張り部29と接する部分には、内張り部29のびびりや車体から内張り部29を介して圧電センサ14に不要な振動が伝達しないよう振動吸収部材を配設してもよい。
【0031】
図6は判定手段15のブロック図である。図6より、圧電センサ14は判定手段15に直接接続され、圧電センサ14の中心電極26は検出信号端子30に接続され、圧電センサ14の外側電極27は基準電位端子31に接続されている。32は入力抵抗、33はインピーダンス変換用のFETである。34は窓枠12や窓ガラス13が配設された環境温度を検出する温度検出手段で、ここでは判定手段15に内蔵されている。35はFET32の出力信号Vに基づき挟み込みを判定する判定部である。FETの代わりにチャージアンプ回路を用いてもよい。外来の電気的ノイズを除去するため判定手段15はシールド部材で全体を覆って電気的にシールドしてある。尚、判定手段15の入出力部に貫通コンデンサやEMIフィルタ等を付加して強電界対策を行ってもよい。また弾性体23を導電ゴム等の可撓性シールド部材で構成し圧電センサ14のシールドを行ってもよい。
【0032】
次に作用について説明する。図7に示すように窓枠12と窓ガラス13の間に物体11が挟み込まれると弾性体23が物体11と接触して弾性体23が圧縮され、中空部24が押しつぶされる。これにより圧電センサ14は大きく変形する。
【0033】
図8はこの際のFET33の出力信号V、判定手段15の判定出力J、モータ21への印加電圧Vmを示す特性図である。図8において、縦軸は上から順に、V、J、Vm、横軸は時刻tである。時刻t1でモータ21に+Vdの電圧を印加して窓ガラス13を上昇させる。上記のように挟み込みが起こると圧電センサ14からは圧電効果により圧電センサ14の変形の加速度に応じた信号(図8の基準電位V0より大きな信号成分)が出力される。この際、単に圧電センサ14を窓枠12に配設した構成であれば、窓枠12が剛体であるので挟み込みの際の圧電センサ14の変形はわずかであるが、本実施例の場合は図2のように圧電センサ14が弾性体23を介して窓枠12に配設されているので、挟み込みの際に圧電センサ14の変形量が増大する。また、弾性体23は中空部24を有しているので、挟み込みの際に中空部24も圧縮されて圧電センサ14の変形量がさらに増大し、圧電センサ14の変形量がさらに増大する。特に、環境温度が低下して圧電センサ14や弾性体23が硬化しても、中空部24があるので挟み込みの際に圧電センサ14が変形しやすくなる。このように圧電センサ14は大きな変形量が得られ、変形量の2次微分値である加速度も大きくなり、結果として圧電センサ14の出力信号も大きくなる。これにより、本来の挟み込み時の信号成分と外来振動や電気的ノイズによる信号成分との判別がつき易くなる上、環境温度が低下しても圧電センサ14の出力信号の低下が抑制される。
【0034】
判定部35は温度検出手段34が検出した環境温度に基づき挟み込みの判定条件を変更して挟み込みを判定する。すなわち、温度検出手段34によって検出された環境温度Tを用いて予め定められた閾値関数に基づき挟み込みの判定条件としての判定閾値D0を演算する。図9は前記閾値関数により演算されるD0とTとの関係を示す特性図である。図9において、縦軸はD0、横軸はTである。図9に示すように、前記閾値関数はTとD0とが正の相関を有するように設定されていて、Tが低下して挟み込み時のVが低下しても、D0が共に小さくなるよう演算される。判定部35は図8に示すように、VのV0からの振幅|V−V0|が判定閾値D0以上ならば挟み込みが生じたと判定し、時刻t2で判定出力としてLo→Hi→Loのバルス信号を出力する。制御手段21ではこのパルス信号があるとモータ21への+Vdの電圧印加を停止し、−Vdの電圧を一定時間印加して窓ガラス13を一定量下降させ、挟み込みを解除する。尚、挟み込みを解除する際、圧電センサ14からは変形が復元する加速度に応じた信号(図8の基準電位V0より小さな信号成分)が出力される。
【0035】
挟み込みの際、VがV0より大となるか小となるかは、圧電センサ14の屈曲方向や分極方向、電極の割付け(どちらを基準電位とするか)、圧電センサ14の支持方向により変わるが、判定手段15ではVのV0からの振幅に基づき挟み込みを判定しているので、VのV0に対する大小によらず挟み込みを判定することができる。
【0036】
また、圧電センサ14は非晶質塩素化ポリエチレンと結晶性塩素化ポリエチレンと圧電セラミック粉体とを含む混合組成物からなる複合圧電体層26を有し、複合圧電体層26は非晶質塩素化ポリエチレンの有する可撓性と結晶性塩素化ポリエチレンの有する高温耐久性とを併せ持ち、120℃で1000時間以上動作できる。また、複合圧電体層26は一般の合成ゴムの製造に必要な加硫工程は不要である。
【0037】
上記作用により、本実施例は検出した環境温度に基づき挟み込みの判定条件を変更して挟み込みを判定するもので、環境温度が変化して挟み込み時の感圧手段の出力信号が変化しても、環境温度に応じて挟み込みの判定条件を変更して挟み込みを判定するので、環境温度が変化しても挟み込み検出時の荷重を増大することなく挟み込みを検出することができる。
【0038】
また、検出した環境温度に応じて挟み込み判定の判定閾値を演算し、環境温度が低下して挟み込み時の感圧手段の出力信号が低下しても、判定閾値が小さくなるよう演算されるので、環境温度が低下しても挟み込み検出時の荷重の増大を抑制し、検出ミスがない。
【0039】
また、感圧手段が非晶質塩素化ポリエチレンと結晶性塩素化ポリエチレンと圧電セラミック粉体とを含む混合組成物からなる複合圧電体層を有した圧電センサからなり、非晶質塩素化ポリエチレンの有する可撓性と結晶性塩素化ポリエチレンの有する高温耐久性とを併せ持つので、圧電体としてポリフッ化ビニリデンを用いた従来の圧電センサのような高温での感度低下がなく、高温耐久性がよい。
【0040】
また、開口部と開閉部との間に物体が挟み込まれる際に弾性体により感圧手段の変形量が増大して感圧手段の出力信号が大きくなるので、挟み込みの際、環境温度が低下しても感圧手段の出力信号の低下が抑制される。
【0041】
また、弾性体が備えた中空部により挟み込みの際の感圧手段の変形量が増大して感圧手段の出力信号がさらに大きくなるので、挟み込みの際、環境温度が低下しても感圧手段の出力信号の低下がさらに抑制される。
【0042】
また、判定手段の出力信号に基づき挟み込み判定時には挟み込みを解除するよう開閉部の開閉動作を制御する制御手段を有し、環境温度が変化しても挟み込み検出時の荷重を増大することなく挟み込みを検出することができ、かつ、挟み込み時には挟み込みを解除するので不要な挟み込みを防止することができる。
【0043】
また、パワーウィンドウでの不要な挟み込みを防止することができる。
【0044】
(実施例2)
実施例2の発明を図10及び図11を参照して説明する。図10は実施例2の発明の挟み込み検出装置及び開閉装置の外観図である。本実施例が実施例1と相違する点は、圧電センサ14を窓枠12に沿って一周させ、圧電センサ14の両端を判定手段15に接続して配設し、温度検出手段34が圧電センサ(感圧手段)14の複合圧電体層(感圧材)25、中心電極26、外側電極27の少なくとも1つの温度特性に基づいて環境温度Tを検出する点にある。
【0045】
上記構成により、例えば、中心電極26として実施例1で述べたような絶縁性高分子繊維の周囲に金属コイルを巻いた電極を用いた場合、一般に金属は温度に応じて抵抗値が変化するので、金属コイルの抵抗値Rを圧電センサ14の両端で検出すれば、Rの値により圧電センサ14の温度、すなわち窓枠12や窓ガラス13が配設された環境温度を演算することができる。図11は上記の演算を行う際に用いるRとTの関係を示す特性図である。図11において縦軸がR、横軸がTである。図11より金属コイルのRはTと正の相関を有している。
【0046】
上記作用により、感圧手段の感圧材又は電極の温度特性に基づいて環境温度を検出するので、新たに温度センサを設ける必要が無く装置の合理化ができる。
【0047】
尚、図10の領域Sに示したように、車種により窓ガラス13が閉じる際に窓枠12の側壁側と窓ガラス13の間に隙間が生じながら全閉してゆくドアがあるが、本実施例によれば領域Sで物体の挟み込みがあっても挟み込みを検出することができ、圧電センサ14が配設されている窓枠12の全周にわたって挟み込みを検出できる。
【0048】
(実施例3)
実施例3の発明を図12及び図13を参照して説明する。図12は実施例3の発明の挟み込み検出装置及び開閉装置の判定手段のブロック図である。実施例3が実施例1と相違する点は、図12に示すように、判定手段15はFET33の出力信号V1を増幅する増幅手段36と、増幅手段36の出力信号に基づき挟み込みを判定する判定部35とを有し、増幅手段36は温度検出手段34の出力信号に基づきV1の増幅率Qを変更する点にある。
【0049】
上記構成により、増幅手段36では温度検出手段34が検出した環境温度Tに基づきQを変更する。すなわち、温度検出手段34によって検出された環境温度Tを用いて予め定められた増幅率関数に基づきQを演算する。図13は前記増幅率関数により演算されるQとTとの関係を示す特性図である。図13において、縦軸はQ、横軸はTである。図13に示すように、前記増幅率関数はTとQとが負の相関を有するように設定されていて、Tが低下して圧電センサ(感圧手段)14が硬化し、挟み込み時のV1が低下しても、Qが大きくなるよう演算され、挟み込み判定に用いられる増幅手段の出力信号Vの低下が抑制される。尚、判定部35による挟み込み判定は、増幅手段36の出力信号Vに基づき実施例1と同様な手順で行えばよい。
【0050】
上記作用により、本実施例は検出した環境温度に基づき感圧手段の出力信号の増幅率を変更して挟み込みを判定するもので、環境温度が変化して挟み込み時の感圧手段の出力信号が変化しても、環境温度に応じて感圧手段の出力信号の増幅率を変更して挟み込みを判定するので、環境温度が変化しても挟み込み検出時の荷重を増大することなく挟み込みを検出することができる。
【0051】
また、検出した環境温度に応じて感圧手段の出力信号の増幅度を演算し、環境温度が低下して挟み込み時の感圧手段の出力信号が低下しても、増幅率が大きくなるよう演算され、挟み込み判定に用いられる信号の低下が抑制されるので、環境温度が低下しても挟み込み検出時の荷重の増大を抑制し、検出ミスがない。
【0052】
(実施例4)
実施例4の発明を図14及び図15を参照して説明する。図14は実施例4の発明の挟み込み検出装置及び開閉装置の判定手段のブロック図である。実施例4が実施例1と相違する点は、図14に示すように、判定手段15はFET33の出力信号V1を濾波する濾波手段37と、濾波手段37の出力信号に基づき挟み込みを判定する判定部35とを有し、濾波手段37は温度検出手段34の出力信号に基づき濾波特性を変更する点にある。
【0053】
上記構成により、濾波手段37では温度検出手段34が検出した環境温度Tに基づき濾波する中心周波数Fcを変更する。すなわち、温度検出手段34によって検出された環境温度Tを用いて予め定められた炉は特性関数に基づきFcを演算する。図15は前記濾波特性関数により演算されるFcとTとの関係を示す特性図である。図15において、縦軸はFc、横軸はTである。図15に示すように、前記濾波特性関数はTとFcとが負の相関を有するように設定されていて、Tが低下して圧電センサ(感圧手段)14が硬化し、圧電センサ14や弾性体23の共振周波数が高くなり、挟み込み時のV1が低下しても、Fcが高くなるよう演算され、挟み込み判定に用いられる濾波手段37の出力信号Vの低下が抑制される。尚、判定部35による挟み込み判定は、濾波手段37の出力信号Vに基づき実施例1と同様な手順で行えばよい。
【0054】
上記作用により、本実施例は検出した環境温度に基づき感圧手段の出力信号の濾波特性を変更して挟み込みを判定するもので、環境温度により感圧手段の共振周波数が変化しても、環境温度に応じて濾波手段の濾波特性を変更するので、環境温度が変化しても挟み込み検出時の荷重を増大することなく挟み込みを検出することができる。
【0055】
また、検出した環境温度に応じて濾波手段の濾波特性を演算し、環境温度が低下して感圧手段の共振周波数が高くなっても、濾波するの中心周波数も高くなるよう演算され、挟み込み判定に用いられる濾波手段の出力信号の低下が抑制されるので、環境温度が変化しても挟み込み検出時の荷重を増大することなく挟み込みを検出することができる。
【0056】
(実施例5)
実施例5の発明を図16を参照して説明する。図16は実施例5の発明の挟み込み検出装置及び開閉装置の外観図である。図16に示したように、開閉部が自動車の電動サンルーフ13aで、電動サンルーフ13aの枠部12aに実施例1の圧電センサ14aを配設した構成としてもよく、電動サンルーフ13aと枠部14aとの間への物体の挟み込みを圧電センサ14aにより検出することができる。
【0057】
また、図16に示したように、開閉部が自動車の電動ドア13bで、電動ドア13bの枠部12bに実施例1〜5の圧電センサ14bを配設した構成としてもよく、電動ドア13bと枠部14bとの間への物体の挟み込みを圧電センサ14bにより検出することができる。
【0058】
(実施例6)
実施例6の発明を図17を参照して説明する。図17は実施例6の発明の挟み込み検出装置及び開閉装置の外観図である。図17に示したように、開閉部が電車の自動ドア13で、自動ドア13の枠部12に実施例1〜5の圧電センサ14を配設した構成としてもよく、自動ドア13と枠部14との間への物体の挟み込みを圧電センサ14により検出することができる。
【0059】
尚、同様な構成を飛行機や建物の自動ドアに適用したり、ガレージや店舗等の電動シャッターに適用してもよい。この場合、感圧手段は開口部と開閉部の少なくとも一方に配設すればよい。
【0060】
また、上記実施例1〜6では感圧手段として圧電センサを用いたが、感圧手段は圧電センサに限定するものではなく、例えば静電容量型や感圧抵抗型、光透過量検出型等、変形に応じた出力信号を発生する他のセンサを用いてもよい。センサ形状もケーブル状に限定するものではなく、例えば帯状のものでもよい。
【0061】
また、上記実施例1〜6では感圧手段を開口部に配設したが、開閉部側に感圧手段を配設して開閉部の閉止動作中の物体の挟み込みや接触を検出し、物体の挟み込みや接触が検出されると開閉部を反転させて挟み込みを防止する構成としてもよい。
【0062】
【発明の効果】
上記実施例から明らかなように、本発明によれば、環境温度が変化して挟み込み時の感圧手段の出力信号が変化しても、環境温度に応じて挟み込みの判定条件を変更して挟み込みを判定するので、環境温度が変化しても挟み込み検出時の荷重を増大することなく挟み込みを検出することができるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の発明の挟み込み検出装置及び開閉装置の外観図
【図2】 図1のA−A′位置における断面構成図
【図3】 同装置の圧電センサと弾性体の斜視図
【図4】 同装置の圧電センサの断面構成図
【図5】 同装置の圧電センサ、弾性体、及び判定手段の位置関係を示す構成図
【図6】 同装置の判定手段のブロック図
【図7】 物体が挟み込まれた際の図1のA−A′位置における断面構成図
【図8】 同装置の感圧部からの出力信号V、判定手段の判定出力J、モータへの印加電圧Vmを示す特性図
【図9】 同装置の判定手段の判定閾値D0と環境温度Tとの関係を示す特性図
【図10】 実施例2の発明の挟み込み検出装置及び開閉装置の外観図
【図11】 同装置の圧電センサの中心電極に使用される金属コイルの抵抗値Rと環境温度Tとの関係を示す特性図
【図12】 実施例3の発明の挟み込み検出装置及び開閉装置の判定手段のブロック図
【図13】 同装置の増幅手段の増幅率Qと環境温度Tとの関係を示す特性図
【図14】 実施例4の発明の挟み込み検出装置及び開閉装置の判定手段のブロック図
【図15】 同装置の濾波手段の中心周波数Fcと環境温度Tとの関係を示す特性図
【図16】 実施例5の発明の挟み込み検出装置及び開閉装置の外観図
【図17】 実施例6の発明の挟み込み検出装置及び開閉装置の外観図
【図18】 従来の挟み込み検出装置の外観図
【符号の説明】
12 窓枠(開口部)
13 窓ガラス(開閉部)
14 圧電センサ(感圧手段)
15 判定手段
21 制御手段
23 弾性体
24 中空部
25 複合圧電体層(感圧材)
26 中心電極(電極)
27 外側電極(電極)
34 温度検出手段
36 増幅手段
37 濾波手段
Claims (10)
- 開口部と、前記開口部を開閉する開閉部と、前記開閉部と前記開口部の少なくとも一方に弾性体を介して配設された感圧手段と、前記開口部又は前記開閉部が配設された環境温度を検出する温度検出手段と、
前記感圧手段の出力信号に基づき前記開口部と前記開閉部との間への物体の挟み込みを判定する判定手段とを備え、
前記判定手段は、
閾値関数が前記環境温度と挟み込みの判定条件である判定閾値とで正の相関を有するよう設定され、
前記閾値関数により前記判定閾値を演算することで、
前記温度検出手段の出力信号に基づき挟み込みの判定条件を変更する
挟み込み検出装置。 - 開口部と、前記開口部を開閉する開閉部と、前記開閉部と前記開口部の少なくとも一方に弾性体を介して配設された感圧手段と、前記感圧手段の出力信号を増幅する増幅手段と、前記開口部又は前記開閉部が配設された環境の温度を検出する温度検出手段と、前記増幅手段の出力信号に基づき前記開口部と前記開閉部との間への物体の挟み込みを判定する判定手段とを備え、
前記増幅手段は、
増幅率関数が前記環境温度と前記感圧手段の出力信号の増幅率とで負の相関を有するよう予め設定され、
前記増幅率関数により前記増幅率を演算することで、
前記温度検出手段の出力信号に基づき前記増幅率を変更する挟み込み検出装置。 - 開口部と、前記開口部を開閉する開閉部と、前記開閉部と前記開口部の少なくとも一方に弾性体を介して配設された感圧手段と、前記感圧手段の出力信号を濾波する濾波手段と、前記開口部又は前記開閉部が配設された環境の温度を検出する温度検出手段と、前記濾波手段の出力信号に基づき前記開口部と前記開閉部との間への物体の挟み込みを判定する判定手段とを備え、
前記濾波手段は、
濾波特性関数が前記環境温度と前記感圧手段の出力信号を濾波する中心周波数とで負の相関を有するように設定され、
前記濾波特性関数に基づき濾波する中心周波数を演算することで、
前記温度検出手段の出力信号に基づき前記濾波特性を変更する挟み込み検出装置。 - 感圧手段は感圧材と少なくとも1対の電極とを有し、温度検出手段は前記感圧材又は前記電極の温度特性に基づいて環境温度を検出する請求項1乃至3のいずれか1項記載の挟み込み検出装置。
- 感圧手段は、非晶質塩素化ポリエチレンと結晶性塩素化ポリエチレンと圧電セラミック粉体とを含む混合組成物からなる複合圧電体層を感圧材として有し、前記複合圧電体層を挟む複数の電極とを備えた圧電センサからなる請求項1乃至3のいずれか1項記載の挟み込み検出装置。
- 感圧手段は弾性体を介して開口部に配設され、前記弾性体は開口部と開閉部との間に物体が挟み込まれる際に前記感圧手段の変形量を増大することが可能な請求項1乃至3のいずれか1項記載の挟み込み検出装置。
- 弾性体は開口部と開閉部との間に物体が挟み込まれる際に前記感圧手段の変形量を増大することが可能な中空部を備えた請求項6記載の挟み込み検出装置。
- 請求項1乃至7のいずれか1項記載の挟み込み検出装置を備え、判定手段の出力信号に基づき挟み込み判定時には挟み込みを解除するよう開閉部の開閉動作を制御する制御手段を有した開閉装置。
- 開閉部が自動車のパワーウィンドウ、電動サンルーフ、電動ドアの少なくとも1つである請求項8記載の開閉装置。
- 開閉部が列車、飛行機、建物の自動ドアである請求項8記載の開閉装置。
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