JP3663942B2 - ヒートポンプ給湯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明に属する技術分野】
本発明はヒートポンプ給湯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種のヒートポンプ給湯装置は、図8に示すように圧縮機1、凝縮器2、減圧器3、蒸発器4が順次閉回路に接続された冷媒流路5からなるヒートポンプユニット6と、貯湯タンク7、循環ポンプ8、前記凝縮器2、ヒータ9が接続された水流路10からなる給湯ユニット11からなっていた。
【0003】
上記構成のヒートポンプ給湯装置では、圧縮機1より吐出された高温高圧の過熱ガス冷媒は凝縮器2に流入し、ここで循環ポンプ8から送られてきた水を凝縮熱で加熱し貯湯タンク7に貯えるもので、外気温度が低い場合はヒータ9を兼用して高温の沸き上げを行っていた。一方凝縮器2で凝縮液化した冷媒は減圧装置3で減圧され蒸発器4に流入し、ファン12で集められた大気熱を吸熱して蒸発ガス化し再び圧縮機1に戻るサイクルで運転されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のヒートポンプ給湯装置は、エネルギー効率という点では他の給湯装置に比べ優れているが、電気温水器と同様、風呂給湯やシャワー給湯に対応するため図8に示すように沸き上げたお湯をいったん貯湯する300リットルから460リットル程度の大きな貯湯タンク7を有しており、そのため設置スペースが他の給湯機よりその分大きくなり、設置できる場所が限定される。また湯切れ防止のために高出力のヒータ9を有しており、100V電源が使用できず特別に200Vの電源工事が必要となる。さらに外気温度が低い冬季等は大気からの吸熱効率が低下し、ヒートポンプ給湯機の特長である効率面での効果を十分に引き出せないという課題を有していた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器が閉回路で接続された冷媒流路に、凝縮器には冷媒流路と熱交換を行う水流路が設けられ、その水流路の入口側には給水管、出口側には給湯管が接続されたヒートポンプユニットと、給水管と出湯管が接続された熱交換部と、熱交換部を加熱する燃焼部と、燃焼後の排気を導出する排気部等を設けた燃焼ユニットと、給湯管と出湯管を一つの流路に接続混合する混合部と、ヒートポンプユニットと燃焼ユニットの運転制御を行う給湯制御部とを有し、前記給湯制御部は給湯開始時には前記ヒートポンプユニットと前記燃焼ユニットを同時運転し、その後ヒートポンプユニット単独で運転を行うものである。
【0006】
上記手段によれば、風呂給湯やシャワー給湯等の大流量を必要とする給湯用途に対しては、ヒートポンプユニット運転による給湯に加えて、不足分は同時に燃焼ユニット運転による給湯が行なわれるため、給湯管と出湯管を接続する混合部で所望のお湯を十分に供給することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器が接続され閉回路で構成された冷媒流路で凝縮器には冷媒流路と熱交換を行う水流路が設けられ、水流路に給水管と給湯管が接続されたヒートポンプユニットと、給水管と出湯管が接続された熱交換部と、熱交換部を加熱する燃焼部と、燃焼後の排気を導出する排気部等を設けた燃焼ユニットと、給湯管と出湯管を接続する混合部と、ヒートポンプユニットと燃焼ユニットの運転制御を行う給湯制御部とを有し、前記給湯制御部は給湯開始時には前記ヒートポンプユニットと前記燃焼ユニットを同時運転し、その後ヒートポンプユニット単独で運転を行うようにしたものである。
【0008】
そして、台所、風呂、シャワー等の給湯用途に対して使用するお湯の温度や流量が異なるが、ヒートポンプユニットの給湯管と燃焼ユニットの出湯管とが混合部で接続混合され、給湯制御部が給湯時は常にヒートポンプユニットを運転し、給湯能力に対する不足分は燃焼ユニットによる運転で行うようにしているため、例えば風呂給湯の場合は、ヒートポンプユニットの給湯運転に加えて不足分のお湯を燃焼ユニット運転を行うことによって、大流量出湯を行うことができる。従って、給湯エネルギーを例えばすべての給湯モードをガス給湯機単独で使用した場合と比較すると、ヒートポンプユニットのエネルギー効率が高い分省エネ効果を得ることができる。また貯湯タンクやヒータを必要としないため貯湯タンクがない分コンパクト化が図れ設置が簡単となり、工事性も大幅に向上することができる。
【0009】
また、制御器の給湯制御部は、給湯開始時は燃焼ユニットを運転し、運転中の燃焼ユニットを流れる水量値から燃焼ユニットの運転選択を行うようにしたものである。
【0010】
そして、給湯用途が給湯開始時にどの程度要求されるか分からないため、給湯開始時には大流量出湯にただちに対応できる燃焼ユニットを運転し、運転中の燃焼ユニットを流れる水量値で予め設定した流量設定値と比較して、燃焼ユニットの継続又は停止するようにしたものである。従って、それぞれのユニットが単独運転が可能となるため、燃焼ユニット側の能力は広い範囲がいらなくなり、燃焼ユニットのための制御仕様が簡単で済み、能力切換や異常音の発生対策等それに伴う各種課題も減少して信頼性も向上できる。また水量値の判定から各ユニットを切り換えるだけの制御でよいため給湯制御部が簡単化できる。
【0011】
さらに燃焼ユニットから生じる廃熱をヒートポンプユニットの蒸発器で吸熱させて給湯を行うものである。
【0012】
そして、燃焼ユニットの燃焼効率は通常80%程度で、残り20%のエネルギーを排気部から大気へ放出しているのが現状で、この排気熱を吸熱させるために蒸発器を排気部近辺に設けることによって、大気熱以上の高温環境で常にヒートポンプユニットの運転が可能となり、季節に関係なく年間安定してヒートポンプ運転による省エネ効果を得ることができる。また、廃熱の有効利用による高効率化に加えて、燃焼ユニット側からみると、高温の排気ガスが蒸発器で吸熱されるため、低温化されて放出され安全面での向上が図れる。
【0013】
また燃焼ユニットの排気部に蒸発器を配設したものである。
【0014】
そして、蒸発器をさらに高温雰囲気中に設けたため、蒸発器がよりコンパクト化でき、一方、逆に蒸発器の大きさを変えない場合はヒートポンプユニットの能力を大きくすることができる。
【0015】
さらに燃焼ユニットの熱交換部を蒸発器と共用したするものである。
【0016】
そして、燃焼ユニットの熱交換部をヒートポンプユニットの蒸発器と共用したため、冷媒配管以外の蒸発器を構成するフィンの部品が不要となり、例えば燃焼ユニットとヒートポンプユニットを一つのケース内に収納するようなことも可能となり、より装置のコンパクト化が実現できる。
【0017】
また制御器の給湯制御部は、給湯開始時は燃焼ユニットを運転し、蒸発器出口の冷媒流路の温度で燃焼ユニットの加熱能力を可変するものである。
【0018】
そして、ヒートポンプユニット側の冷媒回路設計は、通常システムに組込む前に予め使用する圧縮機、凝縮器、蒸発器、減圧器のサイクルが環境条件に対して支障なく動作するように冷媒封入量の仕様が決められるが、燃焼廃熱環境による蒸発器の温度最適化を得るよう蒸発器出口の温度が常に設定値以下にする加熱能力制御を行うため、ヒートポンプユニットの高効率運転が可能になると共に、蒸発器を直接加熱してもヒートポンプユニットの異常運転が防止できる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0020】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1におけるヒートポンプ給湯装置の系統図である。図1においてヒートポンプユニット13は、圧縮機14、凝縮器15、減圧器16、蒸発器17と蒸発器17に大気を通過させて大気熱を集めるファン18から構成され、上記サイクルで予め所定の性能が得られるように決められた冷媒量が封入された冷媒流路19で接続される。凝縮器15には冷媒の流れと対向する水流路20が設けられており、入口側を給水管21、出口側を給湯管22に接続されている。また凝縮器15の入口側の給水管21には水量を検出する流量センサー23Aと閉止機能を有し水量を制御する水制御弁24Aが設けられ、給湯管22には給湯温度を検出する給湯サーミスタ25を有している。一方、燃焼ユニット26は燃焼部27、熱交換部28、排気部29で構成され、熱交換部28の入口側は上流で分岐された給水管21と、出口側は出湯管30と接続されている。燃焼ユニット26の給水管21には水量を検出する流量センサー23Bと水制御弁24Bと入水温を検出する入水サーミスタ31が取付けられ、出湯管30には出湯温度を検出する出湯サーミスタ32が設けられている。また燃焼部27には燃料をオン、オフする元電磁弁や供給量を比例制御する比例弁等を有したガスブロック33と燃焼空気を供給する燃焼ファン34が接続されている。そして燃焼ユニット26の出湯管30とヒートポンプユニット13の給湯管22は、混合部35で連通され給湯配管36により給湯栓37と接続されている。また各ユニットは商用電源38から電力を供給され、各種センサーの信号を取込み各種アクチュエータへの信号や操作出力を出力して燃焼ユニット26とヒートポンプユニット13の運転動作を制御する制御器39を有し、この制御器39にはユニットを流れる水量値から運転選択を行う給湯制御部40を有している。さらに端末側にはヒートポンプ給湯装置本体のリモコン41が設けられ、電源スイッチ42、表示部43、温度設定スイッチ44を有している。
【0021】
次に動作について説明する。電源スイッチ42を入れると、オフ時に給水管21を閉止している水制御弁24A、24Bが全開開度状態になる。次に給湯栓37が開栓されると市水が給水管21よりそれぞれのユニットへ供給される。それぞれ個々の動作について説明する。先ずヒートポンプユニット13による運転は、流量センサー23Aで予め設定されている最低動作流量以上の水量値が検出されると、先ずファン18が駆動し次に圧縮機14が起動され、温度設定スイッチ44の温度になるよう給湯サーミスタ25の検出値と比較して凝縮器15に流す水量を水制御弁24Aで制御し、給湯管22より混合部35へ送る。インバータ駆動の場合は圧縮機14の回転数が可変できるため、それに伴い冷媒循環量が可変しそれに対応して減圧器16も自動制御されるが通常電源の場合は、予め冷凍サイクルの各値は決められているので減圧器16はキャピラリーチューブで固定されるか、蒸発器17出口温度に対応して機械的に動作する温度式膨張弁が使用される。
【0022】
次に燃焼ユニット26の運転をガス給湯機の例で示す。流量センサー23Bで最低動作流量の水量値が検出されると、燃焼ファン34が始動し、点火状態に入りガスブロック33の元電磁弁、比例弁が開かれ燃焼部27で着火し燃焼を開始する。そして熱交換部28で給水管21から供給される水を多数のフィンを有したパイプ内に通して熱交換を行い、設定温度のお湯を出湯管30より混合部35へ送る。その結果同時運転の場合は、両ユニットからお湯が作られ給湯管22と出湯管30を通して混合部35で混合され、一つに連通されて給湯配管36を通り給湯栓37より供給される。その時、温度設定に対する制御器39の制御は、温度設定スイッチ44の温度が最終の給湯栓37で得られるよう、温度設定値と出湯サーミスタ32の検出値を比較して入水サーミスタ31との温度差と水量値から所定の燃焼量になるようにガスブロック33を制御し、それに伴い燃焼状態を維持するために燃焼ファン34の回転数が制御される。また燃焼後の高温の排気ガスは排気部29よりユニット外へ放出される。一方、両ユニット運転に対する制御は、図2の運転動作状態の関係で示されるように、給湯開始時には前記ヒートポンプユニットと前記燃焼ユニットを同時運転し、その後ヒートポンプユニット単独で運転を行う制御が示されており、ヒートポンプユニット運転を優先して常に給湯運転するようにしている。通常ヒートポンプユニット13の運転から得られる湯量は少なく、大流量を要求された場合は燃焼ユニット26からの供給が中心となるが、逆に小流量の場合はヒートポンプユニット13単独で給湯する方が効率的である。これらの単独または同時運転の制御は給湯制御部40で予め設定した流量設定値と各流量センサー23A、23Bの検知水量の合計値との比較を行うことにより判定する。
【0023】
(実施例2)
図3は本発明の実施例2のヒートポンプ給湯装置の制御フローチャートである。
【0024】
実施例1と異なる点は、制御器39の給湯制御部40が給湯開始時は燃焼ユニット26を運転し、燃焼ユニット26の流量センサー23Bの水量値を取込んで流量設定値と比較し、設定値以上であれば引続き燃焼ユニット13運転を継続し、設定値以下の時は水制御弁24Bを閉止し、燃焼ユニット13の運転を停止動作になるよう制御し、ヒートポンプユニット26の運転に切替えていくもので、運転中の燃焼ユニットを流れる水量値から燃焼ユニットの運転選択を行うようにしたものである。
【0025】
(実施例3)
図4は本発明の実施例3のヒートポンプ給湯装置の系統図である。なお実施例1と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0026】
実施例1と異なる点は、蒸発器45を燃焼ユニット26の廃熱が吸熱できるように配設したことである。図4は実施例1の蒸発器17と並列にもう一つの蒸発器45を設けた場合を示すが、大気熱を吸熱する蒸発器17はなくてもよい。図4では凝縮器15下流側で電磁弁46、47を介して冷媒流路19を分岐し、新しく設けた冷媒流路48に減圧器49と蒸発器45を設け、その出口側に蒸発サーミスタ50を取り付けている。この蒸発サーミスタ50は廃熱を吸熱する蒸発器45内の冷媒ガスの過熱度を最適化するために設けられている。さらに圧縮機14入口側のそれぞれの冷媒流路19、48に逆止弁51、52を設けている。
【0027】
次に動作を説明する。図4のように二つの蒸発器17、45を有する場合の冷媒流路19、48の選択は、例えば図示していないが二つの蒸発器17、45の雰囲気温度や出口温度の比較で行うことができ、より多く吸熱できる流路が選択される。通常、燃焼ユニット26が運転されている場合や停止後は、電磁弁46は閉止され電磁弁47が開けられ蒸発器45側の冷媒流路48が使用され、この蒸発器45で燃焼ユニット26の燃焼量の約20%弱が吸熱され利用される。
【0028】
(実施例4)
図5は本発明の実施例4のヒートポンプ給湯装置の系統図である。
【0029】
実施例3と異なる点は、蒸発器45を燃焼ユニット26の排気部29に設けたところである。設置場所は排気部29壁面、内部いずれでもよい。これにより廃熱が蒸発器45とより安定して熱交換される。
【0030】
(実施例5)
図6は本発明の実施例5のヒートポンプ給湯装置の系統図である。
【0031】
実施例3と異なる点は、蒸発器45を燃焼ユニット26の熱交換部28に設けたところである。熱交換部28の伝熱面積を増やしたフィンを共用し、その一部の銅管パイプを冷媒流路48と接続して蒸発器45として使用している。
【0032】
(実施例6)
図7は本発明の実施例6のヒートポンプ給湯装置の制御フローチャートである。
【0033】
実施例1と異なる点は、蒸発器45出口温度を蒸発サーミスタ50で検出して、その値が設定上限値以下となるようにガスブロック33を構成する比例弁等や燃焼ファン34を制御して燃焼ユニット26の過熱能力を可変するところである。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ハード面では設置条件を決定していた貯湯タンクが不要となり、大幅なコンパクト化が図れ従来設置できなかった住宅でもヒートポンプ給湯機が利用可能になる。また200V電源工事が必要なヒータ設置も必要としないため、電源工事やタンク設置における工事性も大幅に簡略化することができる。一方、ソフト面では大流量から小流量まで問題なく給湯できるとともに、エネルギー効率が高いヒートポンプユニットを優先して作動させるため大きな省エネ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1のヒートポンプ給湯装置の系統図
【図2】 同ヒートポンプ給湯装置の運転動作状態図
【図3】 本発明の実施例2のヒートポンプ給湯装置の制御フローチャート
【図4】 本発明の実施例3のヒートポンプ給湯装置の系統図
【図5】 本発明の実施例4のヒートポンプ給湯装置の系統図
【図6】 本発明の実施例5のヒートポンプ給湯装置の系統図
【図7】 本発明の実施例6のヒートポンプ給湯装置の制御フローチャート
【図8】 従来のヒートポンプ給湯装置の構成図
【符号の説明】
13 ヒートポンプユニット
14 圧縮機
15 凝縮器
16 減圧器
17、45 蒸発器
19 冷媒流路
20 水流路
21 給水管
22 給湯管
26 燃焼ユニット
27 燃焼部
28 熱交換部
29 排気部
30 出湯管
35 混合部
40 給湯制御部

Claims (4)

  1. 圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器が閉回路で接続された冷媒流路に、前記凝縮器には前記冷媒流路と熱交換を行う水流路が設けられ、前記水流路の入口側には給水管、出口側には給湯管が接続されたヒートポンプユニットと、給水管と出湯管が接続された熱交換部と、前記熱交換部を加熱する燃焼部と、燃焼後の排気を導出する排気部を設けた燃焼ユニットと、給湯管と出湯管を一つの流路に接続混合する混合部と、ヒートポンプユニットと燃焼ユニットの運転制御を行う給湯制御部とを有し、前記給湯制御部は給湯開始時には前記ヒートポンプユニットと前記燃焼ユニットを同時運転し、その後ヒートポンプユニット単独で運転を行うヒートポンプ給湯装置。
  2. 燃焼ユニットから生じる廃熱をヒートポンプユニットの蒸発器で吸熱して給湯を行う請求項1記載のヒートポンプ給湯装置。
  3. 燃焼ユニットの排気部に蒸発器を配設した請求項記載のヒートポンプ給湯装置。
  4. 燃焼ユニットの熱交換部を蒸発器と共用した請求項記載のヒートポンプ給湯装置。
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