JP4169453B2 - 貯湯式の給湯熱源装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、その加熱手段の運転を制御する運転制御手段とが設けられ、前記運転制御手段が、設定時刻に前記貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態となるように、前記設定時刻よりも以前の運転開始時刻になると、前記加熱手段の運転を開始させる予約運転を実行するように構成されている貯湯式の給湯熱源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような貯湯式の給湯熱源装置は、リモコンなどによって使用者が設定する設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態を必要熱量状態とするための運転開始時刻を求めて、その運転開始時刻に加熱手段の運転を開始させて、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態を必要熱量状態とするものであり、例えば、特開昭57−12252号公報に示されているように、加熱手段としてバーナーの燃焼により貯湯タンク内の湯水を加熱する補助加熱器が設けられ、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の温度を必要温度にするための補助加熱器の燃焼時間を求め、その燃焼時間だけ設定時刻よりも以前の時刻を補助加熱器の運転開始時刻として、その補助加熱器の運転開始時刻になると、補助加熱器の運転を開始するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のものでは、バーナの燃焼により貯湯タンク内の湯水を加熱する補助加熱器を加熱手段として用いているために、バーナに供給する燃料に対して得られる仕事量(加熱量)が低く、装置としての効率が低いものとなっていた。
【0004】
そこで、近年、装置の効率を向上すべく、外気から熱を吸収してその回収した熱を利用して加熱するヒートポンプ装置を加熱手段として用いることが考えられているが、このヒートポンプ装置の加熱能力は、外気温度や加熱する前の貯湯タンク内の湯水の温度などのヒートポンプ装置の運転条件の変動により変動するものとなっている。
したがって、ヒートポンプ装置を加熱手段として用いたときには、ヒートポンプ装置の運転条件から予測されるヒートポンプ装置の予測加熱能力にて加熱させる場合において、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態を必要熱量状態とするために設定時刻よりも以前にヒートポンプ装置の運転を開始させるためのヒートポンプ用運転開始時刻を求め、そのヒートポンプ用運転開始時刻になると、ヒートポンプ装置の運転を開始させることが考えられる。
すなわち、ヒートポンプ装置の運転条件から予測加熱能力を求め、その予測加熱能力にて加熱した場合に、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態となるように、設定時刻よりも以前のヒートポンプ用運転開始時刻になると、ヒートポンプ装置の運転を開始させることが考えられる。
【0005】
しかしながら、上述の場合は、あくまでヒートポンプ装置の運転条件から予測される予測加熱能力にて加熱した場合であって、必ずしもヒートポンプ装置を実際に運転させているときの実加熱能力に対応しているものではなく、例えば、ヒートポンプ装置を実際に運転させているときの実加熱能力が予測加熱能力よりも小さいときには、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態とならない虞があった。
【0006】
また、装置の効率を向上させるために、加熱手段として、上述のヒートポンプ装置の他に、ガスエンジンにて発電機を駆動させるコジェネレーションシステムにおける排熱や燃料電池における排熱を利用して貯湯タンク内の湯水を加熱するものが考えられる。
この場合には、排熱を利用することによりエネルギー効率を向上させて、装置の効率を向上させることが可能となるが、排熱を利用して貯湯タンク内の湯水を加熱するために、貯湯タンク内の湯水を十分に加熱できないことがあり、設定時刻よりも以前の運転開始時刻に貯湯タンク内の湯水の加熱を開始しても、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態とならない虞がある。
【0007】
以上のことをまとめると、従来の貯湯式の給湯熱源装置において、装置の効率を向上させるために、加熱手段として、ヒートポンプ装置や排熱を利用して加熱するものを用いるものが考えられるが、この場合には、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態とならない虞があるものとなっている。
【0008】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、装置の効率を向上しながら、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態となる貯湯式の給湯熱源装置を提供する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に記載の発明によれば、貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、その加熱手段の運転を制御する運転制御手段とが設けられ、前記運転制御手段が、設定時刻に前記貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態となるように、前記設定時刻よりも以前の運転開始時刻になると、前記加熱手段の運転を開始させる予約運転を実行するように構成されている貯湯式の給湯熱源装置において、
前記加熱手段が、運転させるときの運転条件の変動により加熱能力が変動する主加熱装置と、その主加熱装置の加熱能力よりも大きい補助加熱能力を要求に応じて出力する補助熱源装置とから構成され、
前記運転制御手段が、前記予約運転における前記運転開始時刻として、前記主加熱装置の運転条件から予測される前記主加熱装置の予測加熱能力にて加熱させる場合において、前記設定時刻に前記貯湯タンク内の湯水の熱量状態を必要熱量状態とするために前記設定時刻よりも以前に前記主加熱装置の運転を開始させるための主加熱用運転開始時刻と、
前記補助熱源装置の補助加熱能力にて加熱させる場合において、前記設定時刻に前記貯湯タンク内の湯水の熱量状態を必要熱量状態とするために前記設定時刻よりも以前に前記補助熱源装置の運転を開始させるための補助熱源用運転開始時刻とを求めて、
前記予約運転において、前記主加熱用運転開始時刻になると、前記主加熱装置の運転を開始させるとともに、その運転の開始後において、前記主加熱装置を実際に運転させているときの実加熱能力を求めて、その実加熱能力から前記設定時刻に前記貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態を満たすか否かを判別し、その判別において必要熱量状態を満たすと判別されたときには、前記主加熱装置のみを継続して運転させ、かつ、その判別において必要熱量状態を満たさないと判別されたときには、前記補助熱源用運転開始時刻になると、前記補助熱源装置の運転を開始させるように構成されている。
【0010】
すなわち、予約運転において、主加熱装置の運転条件から予測される予測加熱能力にて加熱した場合に、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態となるように、主加熱用運転開始時刻になると、主加熱装置の運転を開始させるとともに、その主加熱装置を実際に運転させているときの実加熱能力にて設定時刻まで加熱したときに、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態となると判別されると、主加熱装置のみの運転を継続し、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態とならないと判別されると、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態となるように、補助熱源用運転開始時刻になると、補助熱源装置の運転を開始させるようにしているので、主加熱装置としてヒートポンプ装置や排熱を利用して加熱するものを用い、かつ、補助熱源装置としてバーナの燃焼により加熱する、いわゆる瞬間湯沸かし器などを用い、加熱手段として主加熱装置と補助熱源装置とを併用させて、予約運転を実行することが可能となる。
したがって、予約運転において、補助熱源装置よりも効率のよい主加熱装置を優先して運転させながら、実際に主加熱装置を運転させたときの実加熱能力にて加熱したときに設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態とならないときだけ、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態となるように補助熱源装置を運転させることが可能となって、装置の効率を向上しながら、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態となる貯湯式の給湯熱源装置を提供することが可能となった。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、前記貯湯タンク内に湯水が温度成層を形成して貯湯されるように、貯湯タンクの底部から取り出した湯水を前記主加熱装置および前記補助熱源装置のいずれかまたは両方にて加熱したのち、その湯水を前記貯湯タンクの上部に供給する形態で湯水を循環させる貯湯循環状態にて前記貯湯タンク内の湯水を加熱する湯水循環手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記予約運転において、前記主加熱装置のみを運転させているときには、前記貯湯タンクの上部に供給する湯水の温度を貯湯目標温度に維持すべく、湯水の循環量を増減制御して前記湯水循環手段を運転させ、
かつ、前記補助熱源装置を運転させているときには、前記貯湯タンクの上部に供給する湯水の温度を貯湯目標温度に維持すべく、前記補助加熱能力を出力するように前記補助熱源装置の運転を制御して前記湯水循環手段を運転させるように構成されている。
【0012】
すなわち、貯湯タンク内の湯水を加熱するときには、貯湯タンクの上部に供給する湯水の温度を貯湯目標温度に維持しながら、貯湯タンクの底部から取り出した湯水を主加熱装置および補助熱源装置のいずれかまたは両方にて加熱したのち、その湯水を前記貯湯タンクの上部に供給することが可能となって、貯湯タンク内に形成されている温度成層を乱すことなく貯湯タンク内に温度成層を形成しながら、貯湯タンク内の湯水を加熱することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記湯水循環手段が、前記貯湯タンクの底部から取り出した湯水を前記主加熱装置にて加熱したのち、その湯水を前記貯湯タンクの底部に戻す形態で湯水を循環させる初期貯湯循環状態と、前記貯湯循環状態とに切り換え自在に構成され、前記主加熱装置にて加熱された湯水の温度を検出する温度検出手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記予約運転において、前記補助熱源用開始時刻になるまでは、前記温度検出手段による検出温度が貯湯許容温度未満であると、前記湯水循環手段を前記初期貯湯循環状態にて運転させ、かつ、前記温度検出手段による検出温度が貯湯許容温度以上であると、前記貯湯タンクの上部に供給する湯水の温度を貯湯目標温度に維持するように湯水の循環量を増減制御して前記湯水循環手段を前記貯湯循環状態にて運転させるように構成されている。
【0014】
すなわち、主加熱装置の運転初期など、主加熱装置にて湯水を貯湯目標温度まで加熱できないときには、その主加熱装置にて加熱された湯水を貯湯タンクの上部に供給することなく、貯湯タンクの底部に戻し、その貯湯タンクの底部に戻された湯水を取り出して主加熱装置にて加熱することができることとなって、湯水を貯湯目標温度まで加熱できないときでも、貯湯タンク内に形成されている温度成層を乱すことなく、貯湯タンク内の湯水を主加熱装置にて繰り返し加熱することが可能となる。
さらに、貯湯タンク内の湯水を主加熱装置にて繰り返し加熱し、主加熱装置にて湯水を貯湯目標温度まで加熱できるようになると、湯水の循環量を増減制御して貯湯目標温度の湯水を貯湯タンクの上部に供給することができることとなって、貯湯タンク内に形成されている温度成層を乱すことなく貯湯タンク内に温度成層を形成しながら、貯湯タンク内の湯水を加熱することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる貯湯式の給湯熱源装置をエンジンヒートポンプ式冷暖房給湯システムに適応した例を図面に基づいて説明する。
このエンジンヒートポンプ式冷暖房給湯システムは、図1および2に示すように、貯湯タンク1内に温度成層を形成しながら貯湯したり、貯湯タンク1内に貯湯された湯水を給湯する貯湯ユニットAと、空調対象空間の空調運転と貯湯タンク1内の湯水を加熱するための加熱運転を実行可能な主加熱装置としてのエンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bとから構成されている。
【0016】
前記貯湯ユニットAは、この貯湯ユニットAの運転を制御する貯湯ユニット制御部C、貯湯タンク1、貯湯タンク1内の湯水を循環するための循環路3、循環路3を通流する湯水を加熱する加熱部4などから構成され、循環ポンプP1を作動させて貯湯タンク1内の湯水を循環路3にて循環しながら、加熱部4にて加熱するようにしている。
【0017】
前記貯湯タンク1内には、その貯湯量が最低確保量以上であるかを、その湯温を検出することにより検出する最上部サーミスタS1、その貯湯量が少以上であるかを、その湯温を検出することにより検出する上部サーミスタS2、その貯湯量が中以上であるかを、その湯温を検出することにより検出する中部サーミスタS3、その貯湯量が満以上であるかを、その湯温を検出することにより検出する底部サーミスタS4が設けられている。
また、貯湯タンク1内には、貯湯タンク1の底部から取り出して加熱部4に供給する湯水の温度を検出する加熱供給サーミスタS5が設けられている。
複数のサーミスタの設置位置は、貯湯タンク1の上位から、最上部サーミスタS1、上部サーミスタS2、中部サーミスタS3、底部サーミスタS4、加熱供給サーミスタS5の順になっている。
そして、使用者の必要に応じて貯湯リモコンR2などにより、貯湯タンク1内の目標貯湯量を、「少」、「中」、「満」の3つの貯湯量からひとつを選択できるようにしている。
【0018】
前記貯湯タンク1には、その底部から貯湯タンク1に水道水圧を用いて給水する給水路5が接続され、その上部から風呂場や台所などに給湯するための給湯路6が接続され、風呂場や台所などで使用された量だけの水を給水路5から貯湯タンク1に給水するように構成されている。
前記給湯路6には、給水路5から分岐された混合用給水路7が接続され、その接続箇所に給湯路6からの湯水と混合用給水路7からの水との混合比を調整自在なミキシングバルブ8が設けられている。
前記給水路5と混合用給水路7との分岐箇所には、給水温度を検出する給水サーミスタ9が設けられ、給水路5および混合用給水路7の夫々には、逆止弁10が設けられている。
ちなみに、給湯路6には、オーバーフロー路11が接続され、そのオーバーフロー路11にエアー抜き弁12が設けられている。
【0019】
また、給湯路6におけるミキシングバルブ8よりも上流側には、貯湯タンク1の上部から給湯路6に給湯された湯水の温度を検出する貯湯出口サーミスタ13が設けられ、給湯路6におけるミキシングバルブ8よりも下流側には、ミキシングバルブ8にて混合された湯水の温度を検出するミキシングサーミスタ14、給湯路6の湯水の流量を調整する給湯用水比例バルブ15、給湯路6を通流する湯水の流量を検出する給湯流量センサ20が設けられている。
【0020】
前記給湯路6を通して風呂場や台所に給湯するときには、給湯設定温度、貯湯出口サーミスタ13および給水サーミスタ9の検出情報に基づいて、給湯する湯水の温度が給湯設定温度になるようにミキシングバルブ8の開度を調整するとともに、ミキシングサーミスタ14の検出情報に基づいて、その検出温度と給湯設定温度との偏差に基づいてミキシングバルブ8の開度を微調整することにより、給湯設定温度の湯水を給湯するように構成されている。
【0021】
前記循環路3と貯湯タンク1とが、循環路3を通流する湯水を貯湯タンク1内に戻す、または、貯湯タンク1内の湯水を循環路3に取り出すために、貯湯タンク1の上部1箇所と底部2箇所の合計3箇所で連通接続されている。
具体的に説明すると、貯湯タンク1の上部には、循環路3と貯湯タンク1とを接続する上部接続路25が連通接続され、貯湯タンク1の底部には、循環路3を通流する湯水を給水路5の下流側を介して貯湯タンク1内の底部に戻す戻し路26と、貯湯タンク1内の底部の湯水を循環路3に取り出す取り出し路27とが連通接続されている。
【0022】
そして、上部接続路25には、上部開閉弁28が設けられ、戻し路26には、戻し開閉弁29が設けられ、上部開閉弁28を開弁させることによって、循環路3を通流する湯水を貯湯タンク1内の上部に供給したり、貯湯タンク1内の上部の湯水を循環路3に取り出したりするようにし、戻し開閉弁29を開弁させることによって、循環路3を通流する湯水を貯湯タンク1内の底部に戻すことができるようにしている。
ちなみに、取り出し路27には、貯湯タンク1内の湯水を排水するための排水路30が接続され、その排水路30の途中部には、安全弁31と手動バルブ32とが並列に接続されている。
【0023】
前記加熱部4は、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bによる冷媒を供給して湯水を加熱するヒートポンプ式加熱部33と、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bのエンジン排熱を回収した冷却水を供給して湯水を加熱するエンジン排熱利用式加熱部34と、バーナ36の燃焼により湯水を加熱する補助熱源装置としての補助加熱部35とから構成されている。
そして、循環路3の湯水の循環方向において上流側から、ヒートポンプ式加熱部33、エンジン排熱利用式加熱部34、補助加熱部35の順に設けられている。
【0024】
そして、ヒートポンプ式加熱部33にて加熱するときには、外気温度、ヒートポンプ式加熱部33に供給される湯水の温度、貯湯リモコンR2による貯湯設定温度などの運転条件の変動により、ヒートポンプ式加熱部33における加熱能力が変動するようになっている。
また、補助加熱部35は、ヒートポンプ式加熱部33における加熱能力よりも大きい補助加熱能力を要求に応じて出力するようになっている。
【0025】
前記補助加熱部35は、ガス燃焼式のバーナ36およびこのバーナ36に燃焼用空気を供給するファン37などが設けられ、バーナ36の燃焼により循環路3を通流する湯水を加熱するように構成されている。
前記バーナ36に燃料ガスを供給する燃料供給路38には、上流側から、ガスセフティ弁39、ガス比例弁40、ガスメイン弁41の順に設けられ、また、補助加熱部35には、補助加熱部35に通流する湯水の流量を検出する水量センサ64が設けられている。
そして、補助加熱部35は、水量センサ64にて設定量以上の水量が検出されると、バーナ36の燃焼を開始し、入り温度サーミスタ61および水量センサ64の検出情報に基づいて、ファン37の回転速度およびガス比例弁40の開度を調整して、補助加熱部35にて加熱した湯水の温度を調整するように構成されている。
【0026】
前記循環路3には、エンジン排熱利用式加熱部34と補助加熱部35との間に、補助加熱部35に通流する湯水の温度を検出する入り温度サーミスタ61、循環路3を通流する湯水の循環流量を検出する循環流量センサ62、循環ポンプP1、補助加熱部35への湯水の通流を断続する補助用断続開閉弁63が設けられている。
また、循環路3における補助加熱部35と上部接続路25との接続箇所との間には、循環路3を通流する湯水の循環流量を調整する循環用水比例バルブ65、加熱部4にて加熱された後の循環路3の湯水の温度を検出する温度検出手段としての貯湯サーミスタ66が設けられている。
【0027】
そして、循環流量センサ62の検出情報に基づいて、循環用水比例バルブ65の開度を調整することにより循環路3における循環流量を調整するように構成され、貯湯サーミスタ66の検出情報に基づいて、循環路3における循環流量や補助加熱部35における加熱量などを調整することにより加熱部4にて加熱された後の循環路3を通流する湯水の温度を調整自在に構成され、循環調整手段Fが、循環流量センサ62、循環用水比例バルブ65、貯湯サーミスタ66などにより構成されている。
【0028】
また、補助加熱部35を迂回させて湯水を循環させるための補助用バイパス路68が、循環路3において、循環ポンプP1と補助用断続開閉弁63との間と補助加熱部35と循環用水比例バルブ65との間をバイパスするように接続され、この補助用バイパス路68には、補助バイパス開閉弁70が設けられている。
【0029】
このようにして、上部開閉弁28、戻し開閉弁29、補助用断続開閉弁63、補助バイパス開閉弁70などの夫々の開閉弁を開閉制御することにより、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水をヒートポンプ式加熱部33にて加熱したのち、その温水を貯湯タンク1の上部に戻したり、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水を補助加熱部35にて加熱したのち、その温水を貯湯タンク1の上部に戻すように構成されている。
湯水循環手段Eが、循環路3、循環ポンプP1、および、上部開閉弁28、戻し開閉弁29などの複数の開閉弁により構成されている。
【0030】
前記エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bは、図2に示すように、複数の室内機71、室外機72、室内機71および室外機72の運転を制御するヒートポンプ運転制御部Dとから構成され、複数の空調対象空間(例えば、各部屋)を空調することができるように構成されている。
また、室内機71と室外機72と貯湯ユニットAにおけるヒートポンプ式加熱部33とは、冷媒配管73で接続され、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bにおける冷媒をヒートポンプ式加熱部33に供給できるように構成されている。
【0031】
前記複数の室内機71の夫々には、電子膨張弁74、室内熱交換器75、その室内熱交換器75で温調した空気を空調対象空間へ送出する室内空調用送風機76が備えられ、室内熱交換器75にて凝縮された冷媒の温度を検出する冷媒サーミスタ89の検出情報に基づいて、電子膨張弁74の開度を調整するようにしている。
前記室外機72には、ガスエンジン77、圧縮機78、アキュムレータ79、四方弁80、室外熱交換器81、その室外熱交換器に対し外気を通風する室外空調用送風機82が備えられ、ガスエンジン77の排熱を外部に放熱するためのラジエーター83、および、ラジエーター用送風機84も備えられている。
ヒートポンプ運転手段Kが、電子膨張弁74、室内空調用送風機76、ガスエンジン77、圧縮機78、四方弁80、室外空調用送風機82などにより構成されている。
【0032】
また、ガスエンジン77の冷却用の冷却水をラジエーター83との間で循環させる冷却水路85が設けられ、この冷却水路85にラジエーター用ポンプP4が設けられ、ガスエンジン排熱を回収した冷却水を、加熱供給路90を通してエンジン排熱利用式加熱部34に供給する加熱状態とラジエーター83に供給して排熱される排熱状態とに切り換え自在な排熱切換機構86が設けられている。
冷却水循環手段Lが、ラジエーター用ポンプP4、排熱切換機構86、ラジエーター用送風機84などにより構成されている。
【0033】
そして、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bは、空調リモコンR1の指令に基づいてヒートポンプ運転制御部Dにて運転が制御され、ガスエンジン77により圧縮機78を作動させて、四方弁80の切換え操作により空調冷房運転と空調暖房運転とを選択切換え自在に構成され、室内機71の電子膨張弁74の開閉制御により、空調要求のある部屋の空調を行うように構成されている。
また、ヒートポンプ式加熱部33にて循環路3の湯水を加熱するときには、空調暖房運転させるとともに、加熱用電子膨張弁74aを制御して、ヒートポンプ式加熱部33に冷媒を供給するように構成されている。
【0034】
前記空調冷房運転においては、室内熱交換器75を蒸発器として機能させて、空調対象空間への供給空気を冷却温調し、室外熱交換器81を凝縮器として機能させて外気に対して放熱するようにしている。
この空調冷房運転では、低圧側の冷媒の圧力を検出する低圧検出手段87の検出情報に基づいて、その検出圧力が冷房用の目標圧力になるようにガスエンジン77の回転速度を検出する回転速度センサ77aの検出情報に基づいてガスエンジン77の回転速度を制御するようにしている。
また、空調冷房運転において、排熱切換機構86を加熱状態に切り換えることによって、エンジン排熱利用式加熱部34にて循環路3を通流する湯水を加熱するようにしている。
【0035】
前記空調冷房運転における冷媒の流れについて説明を加えると、図2の実線矢印に示すように、圧縮機78から吐出される高圧乾き蒸気冷媒を、四方弁80を介して室外熱交換器81に供給し、この室外熱交換器81において外気との熱交換により凝縮される。
そして、室外熱交換器81から送出される凝縮工程通過冷媒を、電子膨張弁74を介して室内熱交換器75に供給し、この室内熱交換器75において冷却対象空気との熱交換により蒸発される。
その後、室内熱交換器75から送出される低圧乾き蒸気冷媒を、四方弁80およびアキュムレータ79を介して圧縮機78の吸入口に戻す。
【0036】
前記空調暖房運転においては、室内熱交換器75を凝縮器として機能させて、空調対象空間への供給空気を加熱温調し、室外熱交換器81を蒸発器として機能させて外気から吸熱するようにしている。
この空調暖房運転では、高圧側の冷媒の圧力を検出する高圧検出手段88の検出情報に基づいて、その検出圧力が暖房用の目標圧力になるように回転速度センサ77aの検出情報に基づいてガスエンジン77の回転速度を制御するようにしている。
また、この空調暖房運転において、加熱用電子膨張弁74aを制御して、冷媒配管73を通してヒートポンプ式加熱部33に高圧冷媒を供給することにより循環路3を通流する湯水を加熱するようにしている。
【0037】
前記空調暖房運転における冷媒の流れについて説明を加えると、図2の点線矢印に示すように、圧縮機78から吐出される高圧乾き蒸気冷媒を、四方弁80を介して室内熱交換器75およびヒートポンプ式加熱部33に供給し、室内熱交換器75においては加熱対象空気との熱交換により凝縮され、ヒートポンプ式加熱部33においては循環路3の湯水との熱交換により凝縮される。
そして、室内熱交換器75およびヒートポンプ式加熱部33から送出される凝縮工程通過冷媒を、電子膨張弁74を介して室外熱交換器81に供給し、この室外熱交換器81において外気との熱交換により蒸発される。
その後、室外熱交換器81から送出される低圧乾き蒸気冷媒を四方弁80およびアキュムレータ79を介して圧縮機78の吸入口に戻す。
【0038】
前記貯湯ユニット制御部Cとヒートポンプ運転制御部Dとは、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bが空調運転中であることや、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bへの駆動要求などの制御信号を送受信可能に構成にされ、貯湯ユニット制御部Cとヒートポンプ運転制御部Dとにより運転制御手段Uが構成されている。
そして、貯湯ユニット制御部Cとヒートポンプ運転制御部Dは、図3に示すように、空調対象空間としての各部屋に設置されている空調リモコンR1や貯湯リモコンR2の指令に基づいて、空調対象空間への空調冷房運転や空調暖房運転などの空調運転、設定時刻に貯湯タンク1内に貯湯リモコンR2にて設定されている貯湯目標温度としての貯湯設定温度の湯水を目標貯湯量となるように貯湯タンク1に貯湯する予約運転、貯湯タンク1内の貯湯量が最低確保量未満のときに給湯する給湯優先運転などの夫々の運転を実行するように構成されている。
【0039】
前記エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bの運転について説明すると、空調リモコンR1から空調冷房要求や空調暖房要求などの空調要求があると、ヒートポンプ運転制御部Dがヒートポンプ運転手段Kおよび冷却水循環手段Lの運転を制御し、空調リモコンR1による空調要求に基づいて、ガスエンジン77により圧縮機78を作動させて、四方弁80の切換え操作により空調冷房運転と空調暖房運転とを選択切換え、室内機71の電子膨張弁74の開閉制御により、各空調対象空間への空調を切り換えて、ヒートポンプ運転手段Kを制御するように構成されている。
すなわち、ヒートポンプ運転制御部Dは、空調リモコンR1から空調冷房要求があると、空調冷房要求がある部屋に相当する電子膨張弁74を開状態にして、室内熱交換器75を蒸発器として機能させて、空調対象空間への供給空気を冷却温調し、室外熱交換器81を凝縮器として機能させて外気に対して放熱させるように、ヒートポンプ運転手段Kを制御して空調冷房運転を実行する。
また、ヒートポンプ運転制御部Dは、空調リモコンR1から空調暖房要求があると、空調暖房要求がある部屋に相当する電子膨張弁74を開状態にして、室内熱交換器75を凝縮器として機能させて、空調対象空間への供給空気を加熱温調し、室外熱交換器81を蒸発器として機能させて外気から吸熱させるように、ヒートポンプ運転手段Kを制御して空調暖房運転を実行する。
【0040】
そして、冷却水循環手段Lは、空調冷房運転において、ラジエーター用ポンプP4を作動させ、ラジエーター用送風機84を作動させラジエーター83にて放熱させるようにし、予約運転中や給湯優先運転中にエンジン排熱利用式加熱部34にて加熱するときには、冷却水路85を通流する冷却水が加熱用設定温度以上になると、排熱切換機構86を加熱状態に切り換えて、冷却水をエンジン排熱利用式加熱部34に供給するようにしている。
また、空調暖房運転において、ラジエーター用ポンプP4を作動させ、ラジエーター用送風機84を作動させラジエーター83にて放熱させるようにし、予約運転中や給湯優先運転中にエンジン排熱利用式加熱部34にて加熱するときには、暖房負荷が小さくかつ冷却水路85を通流する冷却水が加熱用設定温度以上になると、排熱切換機構86を加熱状態に切り換えて、冷却水をエンジン排熱利用式加熱部34に供給するようにしている。
【0041】
前記貯湯ユニットAの運転について説明すると、貯湯リモコンR2の要求指令などに基づいて、貯湯ユニット制御部Cが、湯水循環手段E、循環調整手段F、給湯操作手段G、補助熱交換部35の夫々の運転を制御して、予約運転、給湯優先運転を実行するように構成されている。
【0042】
以下、予約運転、給湯優先運転について説明するが、湯水循環手段Eにおける、上部開閉弁28、戻し開閉弁29、補助用断続開閉弁63、および、補助バイパス開閉弁70の開閉状態について、開弁させる開閉弁のみを記載し、記載していない開閉弁については閉弁させるものとする。
【0043】
前記予約運転は、貯湯リモコンR2により設定時刻と、その設定時刻に必要な熱量状態として貯湯タンク1の目標貯湯量および貯湯設定温度とが設定されると、設定時刻に貯湯タンク1内の湯水の熱量状態が必要熱量状態となるように、設定時刻よりも以前の運転開始時刻になると、加熱部4および湯水循環手段Eの運転を開始するように構成されている。
【0044】
具体的に説明すると、まず、予約運転における運転開始時刻として、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bの運転条件から予測されるエンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bの予測加熱能力としてのヒートポンプ式加熱部33における予測加熱能力にて加熱させる場合に、設定時刻に貯湯タンク1内の湯水の熱量状態を必要熱量状態とするための主加熱用運転開始時刻としてのヒートポンプ用運転開始時刻と、補助加熱部35が出力する補助加熱能力にて加熱させる場合に、設定時刻に貯湯タンク1内の湯水の熱量状態を必要熱量状態とするための補助熱源用運転開始時刻とを求める。
ちなみに、加熱能力は、単位時間当たりに得られる熱量を示している。
【0045】
そして、ヒートポンプ用運転開始時刻になると、加熱用電子膨張弁74aを開状態にしてエンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bの運転を開始させて、ヒートポンプ式加熱部33のみにて加熱しながら貯湯タンク1に貯湯するHP貯湯運転を開始させるとともに、そのHP貯湯運転の開始後において、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bを実際に運転させているときのエンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bの実加熱能力としてのヒートポンプ式加熱部33における実加熱能力を求めて、その実加熱能力から設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態を満たすか否かを判別する。
上述の必要熱量状態を満たすか否かの判別において、必要熱量状態を満たすと判別されたときには、HP貯湯運転を継続して運転させ、かつ、必要熱量状態を満たさないと判別されたときには、補助熱源用運転開始時刻になると、補助加熱部35の運転を開始させて補助熱源貯湯運転を実行するようにしている。
【0046】
このようにして、予約運転において、補助加熱部35よりも効率のよいヒートポンプ式加熱部33における加熱を優先させながら、実際にヒートポンプ式加熱部33にて加熱させたときの実加熱能力にて加熱したときに設定時刻に貯湯タンク1内の湯水の熱量状態が必要熱量状態とならないときだけ、設定時刻に貯湯タンク1内の湯水の熱量状態が必要熱量状態となるように補助加熱部35にて加熱させることができるので、装置の効率を向上しながら、設定時刻に貯湯タンク1内の湯水の熱量状態を必要熱量状態とすることができることとなる。
【0047】
前記ヒートポンプ用運転開始時刻の演算について説明すると、まず、外気温度、ヒートポンプ式加熱部33に供給される湯水の温度、貯湯リモコンR2にて設定されている貯湯設定温度などの運転条件から予測されるヒートポンプ式加熱部33における予測加熱能力Psを求める。
そして、予測加熱能力Ps、目標貯湯量Q1、貯湯設定温度T1、既に貯湯タンク1に貯湯されている貯湯量Q2、および、ヒートポンプ式加熱部33に供給される湯水の温度T2から、下記〔数1〕を用いて、予測加熱能力Psにて加熱した場合に、設定時刻に貯湯設定温度の湯水を目標貯湯量得るために必要なヒートポンプ加熱必要時間t1を求め、設定時刻tsよりもヒートポンプ加熱必要時間t1だけ以前の時刻をヒートポンプ用運転開始時刻として求めるようにしている。
【0048】
ちなみに、外気温度は、図示はしないものの、貯湯ユニットAなどに設けられたサーミスタの検出温度より検出し、ヒートポンプ式加熱部33に供給される湯水の温度は、貯湯タンク1内に設けられている加熱供給サーミスタS5の検出温度より検出し、既に貯湯タンク1に貯湯されている貯湯量は、最上部サーミスタS1、上部サーミスタS2、中部サーミスタS3、および、底部サーミスタS4の複数のサーミスタの検出情報から求めるようにしている。
【0049】
【数1】
t1=K×(Q1−Q2)×(T1−T2)/Ps
なお、t1は、ヒートポンプ加熱必要時間
Q1は、目標貯湯量
Q2は、既に貯湯タンク1に貯湯されている貯湯量
T1は、貯湯設定温度
T2は、ヒートポンプ式加熱部33に供給される湯水の温度
Psは、ヒートポンプ式加熱部33における予測加熱能力Ps
Kは、定数
【0050】
前記補助熱源用運転開始時刻の演算について説明すると、目標貯湯量Q1、既に貯湯タンク1に貯湯されている貯湯量Q2、貯湯設定温度T1、補助加熱部35に供給される湯水の温度T3、補助加熱能力Phから、下記〔数2〕を用いて、補助加熱能力Phにて加熱した場合に、設定時刻に貯湯設定温度の湯水を目標貯湯量得るために必要な補助熱源加熱必要時間t2を求める。
そして、設定時刻tsよりも補助熱源加熱必要時間t2だけ以前の時刻を補助熱源用運転開始時刻として求めるようにしている。
【0051】
ちなみに、補助加熱部35に供給される湯水の温度T3は、貯湯タンク1内に設けられている加熱供給サーミスタS5の検出温度より検出し、既に貯湯タンク1に貯湯されている貯湯量は、最上部サーミスタS1、上部サーミスタS2、中部サーミスタS3、および、底部サーミスタS4の複数のサーミスタの検出情報から求めるようにしている。
【0052】
【数2】
t2=K×(Q1−Q2)×(T1−T3)/Ph
なお、t2は、補助熱源加熱必要時間
Q1は、目標貯湯量
Q2は、既に貯湯タンク1に貯湯されている貯湯量
T1は、貯湯設定温度
T3は、補助加熱部35に供給される湯水の温度
Phは、補助加熱能力
Kは、定数
【0053】
前記ヒートポンプ式加熱部33における実加熱能力は、実際にヒートポンプ式加熱部33のみにて加熱させて貯湯タンク1に貯湯させているときの貯湯タンク1の貯湯量を、最上部サーミスタS1、上部サーミスタS2、中部サーミスタS3、および、底部サーミスタS4の複数のサーミスタの検出情報から検出し、その実際に貯湯しているときの貯湯タンク1の貯湯量と貯湯設定温度とから求めるようにしている。
ちなみに、ヒートポンプ式加熱部33における実加熱能力は、加熱供給サーミスタS5により検出されるヒートポンプ式加熱部33にて加熱される前の湯水の温度、入り温度サーミスタ61により検出されるヒートポンプ式加熱部33にて加熱された湯水の温度、および、循環流量センサ62により検出されるヒートポンプ式加熱部33にて加熱された湯水の量から求めるようにしてもよい。
【0054】
そして、ヒートポンプ式加熱部33における実加熱能力から設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態を満たすか否かの判別は、補助熱源用運転開始時刻になると実行され、ヒートポンプ用運転開始時刻から補助熱源用運転開始時刻までに貯湯タンク1に設定量貯湯されているか否かにより行うようにしている。
すなわち、補助熱源用運転開始時刻における貯湯タンク1の貯湯量と目標貯湯量との差が判別用設定量以内かどうか判別し、その差が判別用設定量以内であると、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態を満たすと判別し、また、その差が判別用設定量よりも大きいと、設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態を満たさないと判別するようにしている。
ちなみに、判別用設定量は、予め設定された固定の量、または、ヒートポンプ用運転開始時刻から補助熱源用運転開始時刻までに実際にヒートポンプ式加熱部33にて得られた熱量の時間平均として与えられる加熱能力にて、補助熱源用運転開始時刻から設定時刻まで加熱させた場合に貯湯タンク1に貯湯できる貯湯量となっている。
【0055】
前記予約運転におけるHP貯湯運転について説明すると、図1に示すように、加熱用電子膨張弁74aを開状態に制御してエンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bを空調暖房運転させて、ヒートポンプ式加熱部33に冷媒を供給させるとともに、貯湯サーミスタ66による検出温度が貯湯許容温度未満であると、図中の点線矢印に示すように、湯水循環手段Eを初期貯湯循環状態にて運転させ、かつ、貯湯サーミスタ66による検出温度が貯湯許容温度以上であると、図中の実線矢印に示すように、貯湯タンク1の上部に供給する加熱温水の温度を貯湯設定温度に維持するように湯水の循環量を増減制御して湯水循環手段Eを貯湯循環状態にて運転させるように構成されている。
ちなみに、貯湯許容温度は、例えば、貯湯設定温度よりも20℃低い温度として設定され、循環流量を調整することによりヒートポンプ式加熱部33にて加熱された湯水の温度を貯湯設定温度にすることができるような温度が設定されている。
【0056】
すなわち、貯湯サーミスタ66による検出温度が貯湯許容温度未満であると、補助バイパス開閉弁70および戻し開閉弁29を開弁させて、循環ポンプP1を作動させ、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水をヒートポンプ式加熱部33にて加熱したのち、その湯水を貯湯タンク1の底部に戻す形態で貯湯タンク1内の湯水を加熱するようにしている。
また、貯湯サーミスタ66による検出温度が貯湯許容温度以上であると、補助バイパス開閉弁70および上部開閉弁28を開弁させて、循環ポンプP1を作動させ、貯湯タンク1内に湯水が温度成層を形成して貯湯されるように、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水をヒートポンプ式加熱部33にて加熱したのち、その湯水を貯湯タンク1の上部に戻す形態で貯湯タンク1内の湯水を加熱するとともに、貯湯サーミスタ66による検出温度に基づいて、貯湯タンク1の上部に供給される湯水の温度が貯湯設定温度になるように循環用水比例バルブ65の開度を調整するようにしている。
【0057】
前記予約運転における補助熱源貯湯運転について説明すると、図4に示すように、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水を補助加熱部35にて加熱された湯水が貯湯設定温度になるように補助加熱能力を出力するように補助加熱部35の運転を制御するとともに、貯湯サーミスタ66による検出温度が貯湯許容温度未満であると、図中の点線矢印に示すように、湯水循環手段Eを初期貯湯循環状態にて運転させ、かつ、貯湯サーミスタ66による検出温度が貯湯許容温度以上であると、図中の実線矢印に示すように、貯湯タンク1の上部に供給する加熱温水の温度を貯湯設定温度に維持すべく、補助加熱能力を出力するように補助加熱部35の運転を制御するように構成されている。
【0058】
すなわち、貯湯サーミスタ66による検出温度が貯湯許容温度未満であると、補助用断続開閉弁63および戻し開閉弁29を開弁させて、循環ポンプP1を作動させ、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水を補助加熱部35にて加熱したのち、その湯水を貯湯タンク1の底部に戻す形態で貯湯タンク1内の湯水を加熱するようにしている。
また、貯湯サーミスタ66による検出温度が貯湯許容温度以上であると、補助用断続開閉弁63および上部開閉弁28を開弁させて、循環ポンプP1を作動させ、貯湯タンク1内に湯水が温度成層を形成して貯湯されるように、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水を補助加熱部35にて加熱したのち、その湯水を貯湯タンク1の上部に戻す形態で貯湯タンク1内の湯水を加熱するとともに、貯湯タンク1の上部に貯湯される湯水の温度が貯湯設定温度になるように、補助加熱部35におけるファン37の回転速度およびガス比例弁40の開度を調整するようにしている。
【0059】
そして、上述の補助熱源貯湯運転において、外気温度が4℃以上、ヒートポンプ式加熱部33を通流する湯水の温度が35℃以下、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bが空調運転していないなどという条件が満たされて、ヒートポンプ式加熱部33における加熱が可能なときには、加熱用電子膨張弁74aを開状態にしてエンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bを空調暖房運転させて、補助加熱部35に加えて、ヒートポンプ式加熱部33においても循環路3を通流する湯水を加熱するように構成されている。
【0060】
前記給湯優先運転は、貯湯タンク1内の貯湯量が最低確保量未満のときに、図外の給湯栓などが開操作されて給湯するときに実行され、図5に示すように、補助用断続開閉弁63および上部開閉弁28を開弁させて循環ポンプP1を作動させて、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水を補助加熱部35にて加熱したのち、その湯水を上部接続路25から貯湯タンク1に貯湯するようにしている。
そして、給湯設定温度、貯湯出口サーミスタ13および給水サーミスタ9の検出情報に基づいて、給湯する湯水の温度が給湯設定温度になるようにミキシングバルブ8の開度を調整するとともに、ミキシングサーミスタ14の検出情報に基づいて、その検出温度と給湯設定温度との偏差に基づいてミキシングバルブ8の開度を微調整することにより、給湯設定温度の湯水を給湯するようにしている。
【0061】
前記予約運転における制御動作について、図6のフローチャートに基づいて説明を加えると、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bの運転条件から予測されるヒートポンプ式加熱部33における予測加熱能力にて加熱させる場合に、設定時刻に貯湯タンク1内の湯水の熱量状態を必要熱量状態とするためのヒートポンプ用運転開始時刻と、補助加熱能力にて加熱させる場合に、設定時刻に貯湯タンク1内の湯水の熱量状態を必要熱量状態とするための補助熱源用運転開始時刻とを求める(ステップ1,2)。
【0062】
そして、ヒートポンプ用運転開始時刻になると、HP貯湯運転を開始させ、そのHP貯湯運転の開始後において、補助熱源用運転開始時刻になると、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bを実際に運転させているときのヒートポンプ式加熱部33における実加熱能力を求めて、その実加熱能力から設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態を満たすか否かを判別し、必要熱量状態を満たすと判別されたときには、HP貯湯運転を継続して運転させる(ステップ3〜6)。
【0063】
このようにして、HP貯湯運転を継続して運転させて、貯湯タンク1内の貯湯量が目標貯湯量となると、設定時間貯湯タンク1への貯湯を継続したのち、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bの運転を停止させるとともに、循環ポンプP1の作動を停止させかつ開弁している開閉弁を閉弁させて湯水循環手段Eの運転を停止させる停止処理を実行する(ステップ7,10)。
ちなみに、目標貯湯量は、「少」、「中」、「満」のうちのひとつが選択でき、例えば、目標貯湯量として「中」が選択されているときには、中部サーミスタP3が貯湯設定温度よりも設定温度だけ低い温度を検出すると、貯湯タンク1の貯湯量が目標貯湯量になっていると検出するようにしている。
【0064】
また、ヒートポンプ式加熱部33における実加熱能力から設定時刻に貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態を満たすか否かの判別において、必要熱量状態を満たさないと判別されたときには、補助加熱部35の運転を開始させて補助熱源貯湯運転を実行するようにしている(ステップ6,8)。
このようにして、補助熱源貯湯運転を実行させて、貯湯タンク1内の貯湯量が目標貯湯量となると、設定時間貯湯タンク1への貯湯を継続したのち、循環ポンプP1の作動を停止させかつ開弁している開閉弁を閉弁させて湯水循環手段Eおよび補助加熱部35の運転を停止させる停止処理を実行する(ステップ9,10)。
【0065】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、設定時刻、その設定時刻に必要な必要熱量状態としての貯湯設定温度および目標貯湯量を貯湯リモコンR2にて使用者が設定するようにしているが、これに代えて、例えば、1週間や1ヶ月などの設定期間中の使用状況からある時刻に必要な必要熱量を求め、そのある時刻を設定時刻とし、その設定時刻に必要な必要熱量を必要熱量状態として、設定時刻およびその設定時刻に必要な必要熱量状態を実際の使用状況に基づいて自動的に設定する学習機能を備えて実施することも可能である。
また、上述の学習機能に加えて、使用者が貯湯リモコンR2により設定時刻などを設定するようにして実施することも可能であり、この場合には、使用者により設定された設定時刻などが学習機能により設定されたものよりも優先するようにしている。
【0066】
(2)上記実施形態では、貯湯タンク1内の底部から循環路3に取り出した湯水を加熱部4にて加熱したのち、貯湯タンク1に戻して貯湯タンク1内の湯水を循環させる形態にて貯湯タンク1内の湯水を加熱するようにしているが、貯湯タンク1内の湯水の加熱の方法については各種の方法が可能で、適宜変更することが可能である。
【0067】
(3)上記実施形態では、貯湯ユニットAが予約運転および給湯優先運転を実行するようにしているが、これらの予約運転および給湯優先運転に加えて、HP貯湯運転または補助熱源貯湯運転を使用者の必要に応じて運転させる貯湯運転を実行するようにしてもよく、また、予約運転のみを実行するようにしてもよく、運転の形態については適宜変更が可能である。
【0068】
(4)上記実施形態では、予約運転における補助熱源貯湯運転において、ヒートポンプ式加熱部33における加熱が可能であるときには、補助加熱部35に加えて、ヒートポンプ式加熱部33においても循環路3を通流する湯水を加熱するようにしているが、補助熱源貯湯運転は、ヒートポンプ式加熱部33における加熱が可能であっても、補助加熱部35のみにて循環路3を通流する湯水を加熱するようにしてもよい。
【0069】
(5)上記実施形態では、主加熱装置としてヒートポンプ装置を適応した例を示しているが、これに代えて、例えば、ガスエンジンにて発電機を駆動させるコジェネレーションシステムにおける排熱を利用して加熱するものや、燃料電池における排熱を利用して加熱するものを主加熱装置として適応して実施することも可能である。
【0070】
(6)上記実施形態では、本発明にかかる貯湯式の給湯熱源装置をエンジンヒートポンプ式冷暖房給湯システムに適応した例を示したが、ヒートポンプ装置および補助熱源装置を備えたものであればよく、その他の貯湯式の給湯熱源装置にも適応することができる。
また、ヒートポンプ装置についても電気式のものでもよく、各種のヒートポンプ装置が適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】HP貯湯運転における貯湯ユニットの概略構成図
【図2】エンジンヒートポンプ式冷暖房装置の概略構成図
【図3】エンジンヒートポンプ式冷暖房給湯システムの制御ブロック図
【図4】補助熱源貯湯運転における貯湯ユニットの概略構成図
【図5】給湯優先運転における貯湯ユニットの概略構成図
【図6】予約運転における制御動作を示すフローチャート
【符号の説明】
1 貯湯タンク
35 加熱手段としての補助熱源装置
66 温度検出手段
B 加熱手段としての主加熱装置
E 湯水循環手段
U 運転制御手段
Claims (3)
- 貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、その加熱手段の運転を制御する運転制御手段とが設けられ、
前記運転制御手段が、設定時刻に前記貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態となるように、前記設定時刻よりも以前の運転開始時刻になると、前記加熱手段の運転を開始させる予約運転を実行するように構成されている貯湯式の給湯熱源装置であって、
前記加熱手段が、運転させるときの運転条件の変動により加熱能力が変動する主加熱装置と、その主加熱装置の加熱能力よりも大きい補助加熱能力を要求に応じて出力する補助熱源装置とから構成され、
前記運転制御手段が、前記予約運転における前記運転開始時刻として、前記主加熱装置の運転条件から予測される前記主加熱装置の予測加熱能力にて加熱させる場合において、前記設定時刻に前記貯湯タンク内の湯水の熱量状態を必要熱量状態とするために前記設定時刻よりも以前に前記主加熱装置の運転を開始させるための主加熱用運転開始時刻と、
前記補助熱源装置の補助加熱能力にて加熱させる場合において、前記設定時刻に前記貯湯タンク内の湯水の熱量状態を必要熱量状態とするために前記設定時刻よりも以前に前記補助熱源装置の運転を開始させるための補助熱源用運転開始時刻とを求めて、
前記予約運転において、前記主加熱用運転開始時刻になると、前記主加熱装置の運転を開始させるとともに、その運転の開始後において、前記主加熱装置を実際に運転させているときの実加熱能力を求めて、その実加熱能力から前記設定時刻に前記貯湯タンク内の湯水の熱量状態が必要熱量状態を満たすか否かを判別し、その判別において必要熱量状態を満たすと判別されたときには、前記主加熱装置のみを継続して運転させ、かつ、その判別において必要熱量状態を満たさないと判別されたときには、前記補助熱源用運転開始時刻になると、前記補助熱源装置の運転を開始させるように構成されている貯湯式の給湯熱源装置。 - 前記貯湯タンク内に湯水が温度成層を形成して貯湯されるように、貯湯タンクの底部から取り出した湯水を前記主加熱装置および前記補助熱源装置のいずれかまたは両方にて加熱したのち、その湯水を前記貯湯タンクの上部に供給する形態で湯水を循環させる貯湯循環状態にて前記貯湯タンク内の湯水を加熱する湯水循環手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記予約運転において、前記主加熱装置のみを運転させているときには、前記貯湯タンクの上部に供給する湯水の温度を貯湯目標温度に維持すべく、湯水の循環量を増減制御して前記湯水循環手段を運転させ、
かつ、前記補助熱源装置を運転させているときには、前記貯湯タンクの上部に供給する湯水の温度を貯湯目標温度に維持すべく、前記補助加熱能力を出力するように前記補助熱源装置の運転を制御して前記湯水循環手段を運転させるように構成されている請求項1に記載の貯湯式の給湯熱源装置。 - 前記湯水循環手段が、前記貯湯タンクの底部から取り出した湯水を前記主加熱装置にて加熱したのち、その湯水を前記貯湯タンクの底部に戻す形態で湯水を循環させる初期貯湯循環状態と、前記貯湯循環状態とに切り換え自在に構成され、
前記主加熱装置にて加熱された湯水の温度を検出する温度検出手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記予約運転において、前記補助熱源用開始時刻になるまでは、前記温度検出手段による検出温度が貯湯許容温度未満であると、前記湯水循環手段を前記初期貯湯循環状態にて運転させ、かつ、前記温度検出手段による検出温度が貯湯許容温度以上であると、前記貯湯タンクの上部に供給する湯水の温度を貯湯目標温度に維持するように湯水の循環量を増減制御して前記湯水循環手段を前記貯湯循環状態にて運転させるように構成されている請求項2に記載の貯湯式の給湯熱源装置。
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