JP3960912B2 - 貯湯式の給湯熱源装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、貯湯用熱交換器を凝縮器として機能させかつ空気熱交換器を蒸発器として機能させる加熱運転を実行するヒートポンプ装置と、貯湯タンクから取り出した湯水を前記貯湯用熱交換器を通過させて加熱し、その加熱された湯水を前記貯湯タンクに戻す加熱式循環手段と、前記ヒートポンプ装置を加熱運転させかつ前記加熱式循環手段を運転させる貯湯運転を制御する運転制御手段とが設けられている貯湯式の給湯熱源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような貯湯式の給湯熱源装置は、例えば、一般家庭用に用いられ、運転制御手段が、貯湯運転を行うことにより、ヒートポンプ装置の貯湯用熱交換器にて加熱された湯水を貯湯タンク内に貯湯して、その貯湯された湯水を給湯栓や浴槽などに給湯するものである。
【0003】
従来の貯湯式の給湯熱源装置では、加熱式循環手段が、貯湯タンクの底部から取り出した湯水を貯湯用熱交換器を通過させて加熱し、その加熱された湯水を貯湯タンクの底部に戻す温度上昇緩慢運転と、貯湯タンクの底部から取り出した湯水を貯湯用熱交換器を通過させて加熱し、その加熱された湯水を貯湯タンクの上部に戻す温度上昇急速運転とに切換自在に構成されている。
そして、運転制御手段が、温度上昇急速運転させたときに、貯湯用熱交換器を通過した湯水の温度を所望の温度(例えば、貯湯設定温度としての60℃)まで上昇できないような条件下であると、温度上昇緩慢運転させ、温度上昇急速運転させても、貯湯用熱交換器を通過した湯水の温度を所望の温度(例えば、貯湯設定温度としての60℃)まで上昇できるような条件下であると、温度上昇急速運転させるように、加熱式循環手段の運転を制御するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−296057号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の貯湯式の給湯熱源装置では、運転制御手段が、単純に、温度上昇急速運転させても、貯湯用熱交換器を通過した湯水の温度を所望の温度(例えば、貯湯設定温度としての60℃)まで上昇できるような条件下であると、加熱式循環手段を温度上昇急速運転させているので、貯湯運転中に、空気熱交換器に霜が付いてしまう虞がある。
【0006】
説明を加えると、貯湯タンク内に存在する湯水は、温度の高い湯水が上部側に存在し、温度の低い湯水が底部側に存在することになるので、温度上昇急速運転させると、温度の低い湯水を取り出して貯湯用熱交換器を通過させて加熱し、その加熱された湯水を温度の高い湯水が存在する上部に戻すことになる。
そして、温度上昇急速運転させると、貯湯用熱交換器を通過させる湯水の温度は、貯湯タンクの底部に存在する温度の低い湯水の全量が取り出されるまで低い状態が続くことになる。
したがって、冬季などのように、外気温度や貯湯タンク内の湯水の温度が低いような条件下では、温度上昇急速運転させると、温度の低い湯水とヒートポンプ装置の冷媒とが貯湯用熱交換器で熱交換される状態が続くことになるので、貯湯用熱交換器を通過したヒートポンプ装置の冷媒の温度が低くなり、その結果、空気熱交換器に霜が付いてしまう。
【0007】
そして、貯湯運転中に、空気熱交換器に霜が付いてしまうと、運転制御手段が、一旦貯湯運転を中断して、空気熱交換器に付着した霜を除去する除霜運転を行った後、貯湯運転を再開させることになるので、下記のような不具合を生じることになる。
【0008】
すなわち、貯湯タンク内に貯湯するときに、貯湯運転を中断すると、貯湯タンク内に所望の貯湯量を貯湯するために必要となる時間が長くなり、貯湯タンクへの貯湯を所望の時間で行うことができない虞がある。
その結果、予定した時刻に貯湯タンクへの貯湯が完了していないなどの不具合を生じることになる。
また、貯湯タンク内に貯湯するときに、除霜運転を行うことになると、除霜運転を行うためのエネルギーが消費されるとともに、貯湯運転を中断して除霜運転を行っている間に、貯湯運転によって貯湯タンク内に貯湯された湯水が放熱されることになる。
その結果、エネルギーロスを招くことになる。
【0009】
ちなみに、除霜運転としては、例えば、運転制御手段が、貯湯用熱交換器を蒸発器として機能させかつ空気熱交換器を凝縮器として機能させるようにヒートポンプ装置を運転させている。
【0010】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、貯湯タンクへの貯湯を所望の時間で行い、かつ、エネルギーロスを防止することが可能となる貯湯式の給湯熱源装置を提供する点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に記載の発明によれば、貯湯用熱交換器を凝縮器として機能させかつ空気熱交換器を蒸発器として機能させる加熱運転を実行するヒートポンプ装置と、貯湯タンクから取り出した湯水を前記貯湯用熱交換器を通過させて加熱し、その加熱された湯水を前記貯湯タンクに戻す加熱式循環手段と、前記ヒートポンプ装置を加熱運転させかつ前記加熱式循環手段を運転させる貯湯運転を制御する運転制御手段とが設けられている貯湯式の給湯熱源装置において、
前記加熱式循環手段は、
前記貯湯タンクの底部から取り出した湯水を前記貯湯用熱交換器を通過させて加熱し、その加熱された湯水を前記貯湯タンクの底部に戻す温度上昇緩慢運転と、
前記貯湯タンクの底部から取り出した湯水を前記貯湯用熱交換器を通過させて加熱し、その加熱された湯水を前記貯湯タンクの上部に戻す温度上昇急速運転とに切換自在に構成され、
前記運転制御手段は、前記温度上昇急速運転させることによって前記空気熱交換器に霜が付くような条件下では、前記温度上昇緩慢運転させ、前記温度上昇急速運転させても前記空気熱交換器に霜が付かないような条件下では、前記温度上昇急速運転させるように、前記加熱式循環手段の運転を制御するように構成されている。
【0012】
すなわち、運転制御手段は、貯湯運転を行う際に、加熱式循環手段を温度上昇急速運転させることによって空気熱交換器に霜が付くような条件下では、加熱式循環手段を温度上昇緩慢運転させ、加熱式循環手段を温度上昇急速運転させても空気熱交換器に霜が付かないような条件下では、加熱式循環手段を温度上昇急速運転させることにより、空気熱交換器に霜が付くことを防止しながら、貯湯タンク内への貯湯を行うことができることになる。
【0013】
説明を加えると、温度上昇緩慢運転では、貯湯タンクの底部から取り出した湯水を貯湯用熱交換器を通過させて加熱し、その加熱された湯水を貯湯タンクの底部に戻すので、貯湯タンクの底部に存在する温度の低い湯水は、戻された湯水により加熱され、その加熱された湯水が取り出されて貯湯用熱交換器を通過することになる。
また、貯湯タンクの底部に戻される湯水は、その底部に存在する湯水の温度よりも高く、貯湯タンクの上部側に上昇していくことになるので、その過程で熱伝達されて貯湯タンク内の湯水が全体的に加熱されることになって、貯湯タンク内の湯水が全体的に徐々に上昇することになる。
【0014】
したがって、運転制御手段が加熱式循環手段を温度上昇緩慢運転させることにより、貯湯用熱交換器を通過させる湯水の温度が徐々に上昇していくことになるので、外気温度や貯湯タンク内の湯水の温度が低いような条件下などのように、加熱式循環手段を温度上昇急速運転させることによって空気熱交換器に霜が付くような条件下であっても、温度の低い湯水とヒートポンプ装置の冷媒とが貯湯用熱交換器で熱交換される状態が続くことを防止できることになる。
その結果、貯湯用熱交換器を通過したヒートポンプ装置の冷媒の温度が低くなるのを抑制できて、空気熱交換器に霜が付くことを防止できることになる。
【0015】
また、温度上昇急速運転させても空気熱交換器に霜が付かないような条件下では、そのような条件下であるので、温度上昇急速運転させても、空気熱交換器に霜が付くことを防止できることになる。
【0016】
以上の如く、運転制御手段は、空気熱交換器に霜が付くことを防止しながら、貯湯タンクへの貯湯を行うことができることになるので、貯湯運転中に、貯湯運転を中断して、空気熱交換器に付着した霜を除去する除霜運転を行うような事態に陥ることを回避できることになる。
したがって、貯湯タンク内に貯湯するときに、除霜運転を行うために、貯湯運転が中断されることを防止できるので、所望の時間にて貯湯タンク内に所望の貯湯量を貯湯することができることになる。
また、貯湯タンク内に貯湯するときに、除霜運転が行われることを防止できるので、除霜運転を行うためにエネルギーが消費されることも防止でき、貯湯運転を中断して除霜運転を行っている間に、貯湯運転によって貯湯タンク内に貯湯された湯水が放熱されることも防止できることになる。
【0017】
以上のことをまとめると、請求項1に記載の発明によれば、運転制御手段は、除霜運転を行うために、貯湯運転を中断させることなく、貯湯タンク内に貯湯することができることとなって、貯湯タンクへの貯湯を所望の時間で行い、かつ、エネルギーロスを防止することが可能となる貯湯式の給湯熱源装置を提供できるに至った。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、前記運転制御手段は、前記温度上昇急速運転させても前記空気熱交換器に霜が付かないような条件下であっても、前記温度上昇急速運転によって設定時刻に前記貯湯タンク内に目標貯湯量貯湯するための目標貯湯タイミングよりも以前には、前記温度上昇緩慢運転させ、前記目標貯湯タイミングの以後には、前記温度上昇急速運転させるように、前記加熱式循環手段の運転を制御するように構成されている。
【0019】
すなわち、加熱式循環手段の運転について、温度上昇緩慢運転させる方が、温度上昇急速運転させるよりも、装置全体として投入エネルギーに対して得られる熱出力が大きくなるので、投入エネルギーに対する熱出力を示すCOPは、温度上昇急速運転させるよりも、温度上昇緩慢運転させる方が高くなり、温度上昇緩慢運転の運転時間をできるだけ長くすることにより、COP上優れた貯湯運転を行うことができることになる。
ちなみに、温度上昇緩慢運転では、貯湯用熱交換器を通過させる湯水の温度が徐々に上昇しているのに対して、温度上昇急速運転では、貯湯用熱交換器を通過させる湯水の温度が低い状態が続くので、その湯水を加熱するための投入エネルギーが増大するが、その投入エネルギーの増大量分ほど熱出力が得られないので、温度上昇緩慢運転させる方が、温度上昇急速運転させるよりも、装置全体として投入エネルギーに対して得られる熱出力が大きくなる。
【0020】
そして、運転制御手段は、単純に、加熱式循環手段を温度上昇急速運転させても空気熱交換器に霜が付かないような条件下であることによって、加熱式循環手段を温度上昇急速運転させるのではなく、加熱式循環手段を温度上昇急速運転させても空気熱交換器に霜が付かないような条件下であることに加えて、目標貯湯タイミングの以後であるという条件を満たすことによって、加熱式循環手段を温度上昇急速運転させることができることになる。
したがって、運転制御手段は、温度上昇緩慢運転の運転時間を極力長くなるようにしながら、設定時刻に貯湯タンク内に目標貯湯量貯湯することができることになって、COP上優れた貯湯運転を行って、効率の向上を図りながら、設定時刻に貯湯タンク内に目標貯湯量貯湯することができることになる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、前記運転制御手段は、前記貯湯用熱交換器を通過させる湯水の温度または前記貯湯タンク内の湯水の温度が霜付限界温度以下のときには、前記加熱式循環手段を前記温度上昇急速運転させることによって前記空気熱交換器に霜が付くような条件下であると判別し、前記貯湯タンク内の湯水の温度が霜付限界温度よりも高いときには、前記加熱式循環手段を前記温度上昇急速運転させても前記空気熱交換器に霜が付かないような条件下であると判別するように構成されている。
【0022】
すなわち、運転制御手段は、貯湯用熱交換器を通過させる湯水の温度および貯湯タンク内の湯水の温度と霜付限界温度とを比較するだけで、温度上昇急速運転させることによって空気熱交換器に霜が付くような条件下であるか、または、温度上昇急速運転させても空気熱交換器に霜が付かないような条件下であるかを判別することができることになる。
ちなみに、霜付限界温度は、貯湯用熱交換器を通過させる湯水の温度が霜付限界温度以下となると、温度上昇急速運転させることによって空気熱交換器に霜が付いてしまう状態になるとして、ヒートポンプ装置の能力などに基づいて予め定められる温度である。
【0023】
したがって、貯湯タンク内の湯水の温度については、予め備えられているセンサを利用して、貯湯用熱交換器を通過させる湯水の温度を検出する構成を追加するだけで、加熱式循環手段を温度上昇急速運転させることによって空気熱交換器に霜が付くような条件下であるかどうかを判別することができることとなって、加熱式循環手段を温度上昇急速運転させることによって空気熱交換器に霜が付くような条件下であるかどうかを判別するための構成の簡素化を図ることができることになる。
【0024】
しかも、運転制御手段は、貯湯タンク内の湯水の温度が霜付限界温度よりも高いときには、加熱式循環手段を温度上昇急速運転させても空気熱交換器に霜が付かないような条件下であると判別するので、貯湯タンク内に存在する湯水の温度分布にばらつきがあり、貯湯用熱交換器を通過させる湯水の温度が変化するときでも、貯湯タンク内の湯水の温度と霜付限界温度とを比較することにより、貯湯用熱交換器を通過させる湯水の温度が霜付限界温度よりも高い状態が継続されるか否かを的確に判別することができることになる。
したがって、加熱式循環手段を温度上昇急速運転させても空気熱交換器に霜が付かないような条件下であることを的確に判別することができることになる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、前記加熱式循環手段は、前記温度上昇急速運転において、前記貯湯用熱交換器を通過した湯水の温度が貯湯目標温度になるように前記貯湯用熱交換器を通過させる湯水の流量を調整するように構成されている。
【0026】
すなわち、運転制御手段は、加熱式循環手段を温度上昇急速運転させることにより、貯湯タンクの底部から取り出した湯水を貯湯目標温度に加熱し、その貯湯目標温度の湯水を貯湯タンクの上部に戻すことができることになるので、貯湯目標温度の湯水を貯湯タンクの上部から貯湯していくことができることになる。
したがって、貯湯タンクの上部に温度の高い湯水が存在し、貯湯タンクの底部に温度の低い湯水が存在する状態、すなわち温度成層を形成する状態で貯湯タンクに貯湯していくことができることとなって、貯湯タンク内に貯湯目標温度の湯水を所望の量だけ貯湯するように使用することもできて、使用者の使い勝手もよくなる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、前記加熱式循環手段は、前記温度上昇緩慢運転において、前記貯湯用熱交換器を通過させる湯水の流量を温度上昇緩慢運転用の流量に調整するように構成されている。
【0028】
すなわち、温度上昇緩慢運転用の流量として少量の流量を設定することにより、運転制御手段は、加熱式循環手段を温度上昇緩慢運転させることによって、貯湯用熱交換器を通過させる湯水の流量を少量の流量に調整させることができるので、貯湯用熱交換器において放熱対象となる湯水の流量を少量とすることにより、貯湯用熱交換器におけるヒートポンプ装置の冷媒の放熱量を抑えることができることになる。
したがって、貯湯用熱交換器を通過したヒートポンプ装置の冷媒の温度低下を的確に抑制することができることとなって、貯湯運転中に、空気熱交換器に霜が付くことを的確に防止できることになる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる貯湯式の給湯熱源装置をエンジンヒートポンプ式冷暖房給湯システムに適応した例を図面に基づいて説明する。
このエンジンヒートポンプ式冷暖房給湯システムは、図1および図2に示すように、貯湯タンク1内に温度成層を形成しながら貯湯したり、貯湯タンク1内に貯湯された湯水を給湯したり、貯湯タンク1内の湯水を加熱して外部放熱部2にて放熱する貯湯ユニットAと、空調対象空間の空調運転と貯湯タンク1内の湯水を加熱するための加熱運転としての貯湯運転を実行可能なヒートポンプ装置としてのエンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bとから構成されている。
【0030】
前記貯湯ユニットAは、この貯湯ユニットAの運転を制御する貯湯ユニット制御部C、貯湯タンク1、貯湯タンク1内の湯水を循環するための循環路3、循環路3を通流する湯水を加熱する加熱部4、循環路3を通流する湯水と熱交換して放熱する外部放熱部2などから構成され、循環ポンプP1を作動させて貯湯タンク1内の湯水を循環路3にて循環しながら、加熱部4にて加熱したり、外部放熱部2にて放熱するようにしている。
【0031】
前記貯湯タンク1内には、その貯湯量が最低確保量以上であるかを、その湯温を検出することにより検出する最上部サーミスタS1、その貯湯量が「少」以上であるかを、その湯温を検出することにより検出する上部サーミスタS2、その貯湯量が「中」以上であるかを、その湯温を検出することにより検出する中部サーミスタS3、その貯湯量が「満」以上であるかを、その湯温を検出することにより検出する底部サーミスタS4が設けられている。
【0032】
前記貯湯タンク1には、その底部から貯湯タンク1に水道水圧を用いて給水する給水路5が接続され、その上部から風呂場や台所などに給湯するための給湯路6が接続され、風呂場や台所などで使用された量だけの水を給水路5から貯湯タンク1に給水するように構成されている。
前記給湯路6には、給水路5から分岐された混合用給水路7が接続され、その接続箇所に給湯路6からの湯水と混合用給水路7からの水との混合比を調整自在なミキシングバルブ8が設けられている。
前記給水路5における混合用給水路7の分岐箇所よりも上流側には、給水温度を検出する給水サーミスタ9が設けられ、給水路5および混合用給水路7の夫々には、逆止弁10が設けられている。
ちなみに、給湯路6には、オーバーフロー路11が接続され、そのオーバーフロー路11にエアー抜き弁12が設けられている。
【0033】
また、給湯路6におけるミキシングバルブ8よりも上流側には、貯湯タンク1の上部から給湯路6に給湯された湯水の温度を検出する貯湯出口サーミスタ13が設けられ、給湯路6におけるミキシングバルブ8よりも下流側には、給湯路6の湯水の流量を調整する給湯用水比例バルブ15、ミキシングバルブ8にて混合された湯水の温度を検出するミキシングサーミスタ14が設けられている。
【0034】
前記ミキシングサーミスタ14よりも下流側の給湯路6が、台所や洗面所などの図外の給湯栓に給湯する一般給湯路16と、図外の浴槽に湯水を供給するための湯張り路17とに分岐され、湯張り路17が浴槽からの風呂戻り路18に接続され、風呂戻り路18および風呂往き路19の両路を通して浴槽に湯水を供給するようにしている。
前記一般給湯路16には、一般給湯路16を通流する湯水の流量を検出する給湯流量センサ20が設けられ、湯張り路17には、湯張り路17を通流する湯水の流量を検出する湯張り流量センサ21、湯張り電磁弁22、バキュームブレーカ23、湯張り逆止弁24が上流側から順に設けられている。
【0035】
給湯操作手段Gが、貯湯出口サーミスタ13、給水サーミスタ9、ミキシングバルブ8、ミキシングサーミスタ14、給湯用水比例バルブ15、給湯流量センサ20、および、湯張り電磁弁22などにより構成されている。
そして、一般給湯路16に給湯したり、浴槽に湯張りするときには、貯湯出口サーミスタ13、給水サーミスタ9、および、ミキシングサーミスタ14の検出情報に基づいて、ミキシングバルブ8の開度を調整することにより、所望の温度の湯水を供給するようにしている。
【0036】
前記循環路3と貯湯タンク1とが、循環路3を通流する湯水を貯湯タンク1内に戻す、または、貯湯タンク1内の湯水を循環路3に取り出すために、貯湯タンク1の上部1箇所と底部2箇所の合計3箇所で連通接続されている。
具体的に説明すると、貯湯タンク1の上部には、循環路3と貯湯タンク1とを接続する上部接続路25が給湯路6の上流側を介して連通接続され、貯湯タンク1の底部には、循環路3を通流する湯水を給水路5の下流側を介して貯湯タンク1内の底部に戻す戻し路26と、貯湯タンク1内の底部の湯水を循環路3に取り出す取り出し路27とが連通接続されている。
【0037】
そして、上部接続路25には、上部開閉弁28が設けられ、戻し路26には、戻し開閉弁29が設けられ、取り出し路27には、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水の温度を検出する取り出しサーミスタ30が設けられている。
【0038】
前記加熱部4は、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bによる冷媒を供給して湯水を加熱するヒートポンプ式加熱部33と、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bのエンジン排熱を回収した冷却水を供給して湯水を加熱するエンジン排熱利用式加熱部34と、バーナの燃焼により湯水を加熱する補助加熱部35とから構成されている。
そして、循環路3の湯水の循環方向において上流側から、ヒートポンプ式加熱部33、エンジン排熱利用式加熱部34、補助加熱部35の順に設けられている。
【0039】
前記補助加熱部35は、図示はしないが、ガス燃焼式のバーナおよびこのバーナに燃焼用空気を供給するファンなどが設けられ、バーナの燃焼により循環路3を通流する湯水を加熱し、ファンの回転速度およびバーナへの燃料ガス供給量を調整して、補助加熱部35にて加熱後の湯水の温度を調整するように構成されている。
【0040】
前記外部放熱部2は、循環路3を通流する湯水と暖房用の熱媒としての温水とを熱交換する暖房用放熱部42と、循環路3を通流する湯水と浴槽内の湯水とを熱交換して追焚きする風呂用放熱部43とから構成されている。
そして、循環路3が、暖房用放熱部42を備えた暖房用循環路3aと、風呂用放熱部43を備えた風呂用循環路3bとに分岐され、暖房用放熱部42と風呂用放熱部43とが並列に接続されている。
【0041】
また、暖房用循環路3aには、暖房用放熱部42よりも湯水の循環方向の下流側に暖房用開閉弁44が設けられ、風呂用循環路3bには、風呂用放熱部43よりも湯水の循環方向の下流側に風呂用開閉弁45が設けられている。
そして、暖房用循環路3aの暖房用開閉弁44よりも湯水循環方向の下流側と風呂用循環路3bの風呂用開閉弁45よりも下流側とがひとつの流路に合流され、その合流された流路に放熱戻りサーミスタ60が設けられている。
【0042】
前記暖房用放熱部42では、暖房ポンプP2を作動させることにより、暖房戻り路46および暖房往き路47を通して循環する熱媒と循環路3を通流する湯水とを対流させて熱交換させるように構成されている。
そして、暖房戻り路46には、熱媒の循環方向の上流側から順に、暖房戻り路46の熱媒の温度を検出する暖房戻りサーミスタ48、補給水タンク49、暖房ポンプP2が設けられ、暖房往き路47には、暖房往き路47の熱媒の温度を検出する暖房往きサーミスタ50が設けられている。
暖房操作手段Jが、暖房戻りサーミスタ48、暖房往きサーミスタ50、および、暖房ポンプP2などにより構成されている。
【0043】
前記補給水タンク49には、水位の上限を検出する上限センサ51と下限を検出する下限センサ52とが設けられ、給水路5から分岐されたタンク給水路53が接続され、そのタンク給水路53には、補給水電磁弁54が設けられている。また、暖房戻り路46と暖房往き路47とを接続する暖房バイパス路55が設けられている。
【0044】
前記風呂用放熱部43では、風呂ポンプP3を作動させることにより、風呂戻り路18および風呂往き路19を通して循環する浴槽内の湯水と循環路3を通流する湯水とを対流させて熱交換させるように構成されている。
前記風呂戻り路18には、浴槽内の湯水の循環方向の上流側から順に、浴槽内の湯水の水位を検出する水位センサ56、風呂戻り路18の湯水の温度を検出する風呂戻りサーミスタ57、二方弁58、風呂ポンプP3、風呂水流スイッチ59が設けられている。
風呂操作手段Hが、水位センサ56、風呂戻りサーミスタ57、二方弁58、風呂水流スイッチ59、および、風呂ポンプP3などにより構成されている。
【0045】
前記循環路3には、取り出し路27との接続箇所から湯水循環方向に、循環ポンプP1、ヒートポンプ式加熱部用入口サーミスタ61、ヒートポンプ式加熱部用開閉弁62、ヒートポンプ式加熱部33、エンジン排熱利用式加熱部34、排熱利用式加熱部出口サーミスタ63、循環流量センサ64、循環流量調整弁65、補助加熱部35、貯湯サーミスタ66が設けられている。
また、循環路3には、ヒートポンプ式加熱部33をバイパスさせるヒートポンプ式加熱部用バイパス路67が接続され、そのヒートポンプ式加熱部用バイパス路67には、バイパス用開閉弁68が設けられている。
【0046】
循環調整手段Fが、排熱利用式加熱部出口サーミスタ63、循環流量センサ64、循環流量調整弁65、貯湯サーミスタ66などにより構成され、循環流量調整弁65の開度を調整して、加熱部4にて加熱された湯水の温度を調整自在に構成されている。
【0047】
湯水循環手段Eが、循環路3、循環ポンプP1、および、ヒートポンプ式加熱部用開閉弁62、バイパス用開閉弁68、上部開閉弁28、戻し開閉弁29などの複数の開閉弁により構成されている。
そして、湯水循環手段Eは、図1の太線で示すように、貯湯タンク1の底部から循環路3に取り出した湯水をヒートポンプ式加熱部33を通過させて加熱し、その加熱された湯水を貯湯タンク1の上部に戻す温度上昇急速運転と、図4の太線で示すように、貯湯タンク1の底部から循環路3に取り出した湯水をヒートポンプ式加熱部33を通過させて加熱し、その加熱された湯水を貯湯タンク1の底部に戻す温度上昇緩慢運転とに切換自在に構成されている。
【0048】
ちなみに、温度上昇急速運転および温度上昇緩慢運転においては、図1および図4に示すように、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水が補助加熱部35を通過することになるが、温度上昇急速運転および温度上昇緩慢運転においては、補助加熱部35が作動しないようにして、補助加熱部35にて湯水が加熱されることはない。
【0049】
前記エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bは、複数の室内機71、室外機72、室内機71および室外機72の運転を制御するヒートポンプ運転制御部Dとから構成され、複数の空調対象空間(例えば、各部屋)を空調することができるように構成されている。
また、室内機71と室外機72と貯湯ユニットAにおけるヒートポンプ式加熱部33とは、冷媒配管73で接続され、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bにおける冷媒をヒートポンプ式加熱部33に供給できるように構成されている。
【0050】
前記複数の室内機71の夫々には、電子膨張弁74、室内熱交換器75、その室内熱交換器75で温調した空気を空調対象空間へ送出する室内空調用送風機76が備えられ、室内熱交換器75にて凝縮された冷媒の温度を検出する冷媒サーミスタ89の検出情報に基づいて、電子膨張弁74の開度を調整するようにしている。
前記室外機72には、ガスエンジン77、圧縮機78、アキュムレータ79、四方弁80、室外熱交換器81、その室外熱交換器に対し外気を通風する室外空調用送風機82が備えられ、ガスエンジン77の排熱を外部に放熱するためのラジエーター83、および、ラジエーター用送風機84も備えられている。
ヒートポンプ運転手段Kが、電子膨張弁74、HP加熱用電子膨張弁74a、室内空調用送風機76、ガスエンジン77、回転速度センサ77a、圧縮機78、四方弁80、室外空調用送風機82、低圧検出手段87、および、高圧検出手段88などにより構成されている。
【0051】
また、ガスエンジン77の冷却用の冷却水をラジエーター83との間で循環させる冷却水路85が設けられ、この冷却水路85にラジエーター用ポンプP4が設けられ、ガスエンジン排熱を回収した冷却水を、加熱供給路90を通してエンジン排熱利用式加熱部34に供給する加熱状態とラジエーター83に供給して排熱される排熱状態とに切り換え自在な排熱切換機構86が設けられている。
冷却水循環手段Lが、ラジエーター用ポンプP4、排熱切換機構86、ラジエーター用送風機84などにより構成されている。
【0052】
そして、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bは、空調リモコンR1からの暖房要求または冷房要求によりヒートポンプ運転制御部Dにて運転が制御され、ガスエンジン77により圧縮機78を作動させて、四方弁80の切換え操作により冷房運転と暖房運転とを選択自在に構成され、室内機71の電子膨張弁74の開閉制御により、暖房要求または冷房要求のある部屋の空調を行うように構成されている。
また、ヒートポンプ式加熱部33にて循環路3の湯水を加熱するときには、暖房運転させるとともに、HP加熱用電子膨張弁74aを制御して、ヒートポンプ式加熱部33に冷媒を供給するように構成されている。
【0053】
前記冷房運転においては、図2の実線で示すように、冷媒を流動させて、室内熱交換器75を蒸発器として機能させて、空調対象空間への供給空気を冷却温調し、室外熱交換器81を凝縮器として機能させて外気に対して放熱するようにしている。
この冷房運転では、低圧側の冷媒の圧力を検出する低圧検出手段87の検出情報に基づいて、その検出圧力が冷房用の目標圧力になるようにガスエンジン77の回転速度を検出する回転速度センサ77aの検出情報に基づいてガスエンジン77の回転速度を制御するようにしている。
【0054】
前記暖房運転においては、図2の点線で示すように、冷媒を流動させて、室内熱交換器75を凝縮器として機能させて、空調対象空間への供給空気を加熱温調し、室外熱交換器81を蒸発器として機能させて外気から吸熱するようにしている。
この暖房運転では、高圧側の冷媒の圧力を検出する高圧検出手段88の検出情報に基づいて、その検出圧力が暖房用の目標圧力になるように回転速度センサ77aの検出情報に基づいてガスエンジン77の回転速度を制御するようにしている。
そして、この暖房運転において、HP加熱用電子膨張弁74aを開弁状態にして、冷媒配管73を通してヒートポンプ式加熱部33に高圧冷媒を供給することにより循環路3を通流する湯水を加熱するようにしている。
【0055】
また、冷房運転および暖房運転において、排熱切換機構86を加熱状態に切り換えることによって、エンジン排熱利用式加熱部34に冷却水を供給することにより循環路3を通流する湯水を加熱するようにしている。
【0056】
前記貯湯ユニット制御部Cとヒートポンプ運転制御部Dとは、図3に示すように、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bが空調運転中であることや、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bへの駆動要求などの制御信号を送受信可能に構成にされ、貯湯ユニット制御部Cとヒートポンプ運転制御部Dとにより運転制御手段Uが構成されている。
【0057】
前記ヒートポンプ運転制御部Dは、空調対象空間としての各部屋に設置されている空調リモコンR1からの暖房要求または冷房要求および貯湯ユニット制御部Dからの制御信号に基づいて、ヒートポンプ運転手段Kおよび冷却水循環手段Lの夫々の運転を制御して、空調対象空間への冷房運転や暖房運転などの空調運転を実行するように構成されている。
前記貯湯ユニット制御部Cは、貯湯リモコンR2の指令およびヒートポンプ運転制御部Dからの制御信号に基づいて、湯水循環手段E、循環調整手段F、給湯操作手段G、風呂操作手段H、暖房操作手段J、補助加熱部35の夫々の運転を制御して、貯湯タンク1内の湯水を加熱する加熱運転としての貯湯運転、外部放熱部2にて放熱する放熱運転などの夫々の運転を実行するように構成されている。
【0058】
ちなみに、貯湯ユニット制御部Cは、貯湯タンク1内の湯水を給湯するときには、貯湯タンク1の貯湯量が最低確保量以上であるときに、貯湯タンク1内の湯水を給湯路6に給湯して、所望の温度になるように給湯操作手段Gを制御し、貯湯タンク1の貯湯量が最低確保量未満であるときに、貯湯タンク1の低部から取り出した湯水を補助加熱部35にて加熱し、その加熱された湯水を上部接続路25から給湯路6に給湯して、所望の温度になるように給湯操作手段Gを制御するようにしている。
【0059】
以下、各運転について説明を加える。
前記冷房運転について説明すると、ヒートポンプ運転制御部Dは、空調リモコンR1から冷房要求があると冷房運転を行い、冷房要求がある部屋に相当する電子膨張弁74を開状態にして、室内熱交換器75を蒸発器として機能させて、空調対象空間への供給空気を冷却温調し、室外熱交換器81を凝縮器として機能させて外気に対して放熱させるように、ヒートポンプ運転手段Kを制御するようにしている。
そして、ヒートポンプ運転制御部Dは、ラジエーター用ポンプP4を作動させ、ラジエーター用送風機84を作動させラジエーター83にて放熱させ、冷却水路85を通流する冷却水が加熱用設定温度以上になると、排熱切換機構86を加熱状態に切り換えて、冷却水をエンジン排熱利用式加熱部34に供給するように、冷却水循環手段Lの運転を制御するようにしている。
【0060】
前記暖房運転について説明をすると、ヒートポンプ運転制御部Dは、空調リモコンR1から暖房要求があると暖房運転を行い、暖房要求がある部屋に相当する電子膨張弁74を開状態にして、室内熱交換器75を凝縮器として機能させて、空調対象空間への供給空気を加熱温調し、室外熱交換器81を蒸発器として機能させて外気から吸熱させるように、ヒートポンプ運転手段Kを制御するようにしている。
そして、ヒートポンプ運転制御部Dは、ラジエーター用ポンプP4を作動させ、ラジエーター用送風機84を作動させラジエーター83にて放熱させ、冷却水路85を通流する冷却水が加熱用設定温度以上になると、排熱切換機構86を加熱状態に切り換えて、冷却水をエンジン排熱利用式加熱部34に供給するように、冷却水循環手段Lの運転を制御するようにしている。
【0061】
前記貯湯運転について説明すると、貯湯ユニット制御部Cは、貯湯リモコンR2などにより貯湯要求があるときや、設定時刻に貯湯タンク1内の貯湯量を目標貯湯量にするための貯湯運転開始時刻になるなど、貯湯運転開始タイミングになると、ヒートポンプ運転制御部Dに貯湯運転用の制御信号を送信するとともに、加熱式循環手段としての湯水循環手段Eおよび循環調整手段Fを運転させる貯湯運転を行うようにしている。
【0062】
以下、貯湯運転における動作について説明を加えるが、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置B側の動作と貯湯ユニットA側の動作とがあるので、まず、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置B側の動作について説明する。
前記ヒートポンプ運転制御部Dは、貯湯運転用の制御信号を受信すると、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bを加熱運転としての暖房運転を行い、HP加熱用電子膨張弁74aを開弁状態にして、冷媒配管73を通してヒートポンプ式加熱部33に高圧冷媒を供給させて、貯湯用熱交換器としてのヒートポンプ式加熱部33を凝縮器として機能させかつ空気熱交換器としての室外熱交換器81を蒸発器として機能させるようにしている。
また、ヒートポンプ運転制御部Dは、冷却水路85を通流する冷却水が加熱用設定温度以上になると、排熱切換機構86を加熱状態に切り換えて、冷却水をエンジン排熱利用式加熱部34に供給するように、冷却水循環手段Lの運転を制御するようにしている。
【0063】
次に、貯湯ユニットA側の動作について説明すると、貯湯ユニット制御部Cは、循環ポンプP1を作動させた状態で、加熱式循環手段としての湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させることによって室外熱交換器81に霜が付くような条件下であるか、または、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させても室外熱交換器81に霜が付かないような条件下であるかを判別する条件下判別処理を実行する。
【0064】
そして、貯湯ユニット制御部Cは、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させることによって室外熱交換器81に霜が付くような条件下では、図4に示すように、温度上昇緩慢運転させ、温度上昇急速運転させても室外熱交換器81に霜が付かないような条件下では、図1に示すように、温度上昇急速運転させるように、湯水循環手段Eの運転を制御するように構成されている。
【0065】
また、貯湯ユニット制御部Cは、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させても室外熱交換器81に霜が付かないような条件下では、単純に、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させるのではなく、まず、温度上昇急速運転によって設定時刻に貯湯タンク1内に目標貯湯量貯湯するための目標貯湯タイミングを求める目標貯湯タイミング演算処理を行うようにしている。
そして、貯湯ユニット制御部Cは、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させても室外熱交換器81に霜が付かないような条件下であっても、目標貯湯タイミングよりも以前には、温度上昇緩慢運転させ、目標貯湯タイミングの以後には、温度上昇急速運転させるように、湯水循環手段Eの運転を制御するように構成されている。
【0066】
このようにして、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させることによって室外熱交換器81に霜が付くような条件下では、湯水循環手段Eを温度上昇緩慢運転させ、温度上昇急速運転させても室外熱交換器81に霜が付かないような条件下では、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させて、室外熱交換器81に霜が付くことを防止しながら、貯湯タンク1への貯湯を行うようにしている。
しかも、温度上昇急速運転させても室外熱交換器81に霜が付かないような条件下であっても、単純に、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させるのではなく、貯湯運転タイミングの以前には、湯水循環手段Eを温度上昇緩慢運転させ、貯湯運転タイミングの以後には、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させて、温度上昇緩慢運転の運転時間を極力長くして、投入エネルギーに対する熱出力を示すCOP上優れた貯湯運転を行って、効率の向上を図りながら、設定時刻に貯湯タンク1内に目標貯湯量貯湯するようにしている。
【0067】
以下、貯湯ユニットA側の動作について具体的に説明を加える。
前記条件下判別処理について説明を加えると、貯湯ユニット制御部Cは、最上部サーミスタS1、上部サーミスタS2、中部サーミスタS3、底部サーミスタS4の検出情報に基づいて、貯湯タンク1内の湯水の温度が霜付限界温度(例えば、7℃)以下であると、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させることによって室外熱交換器81に霜が付くような条件下であると判別し、貯湯タンク1内の湯水の温度が霜付限界温度よりも高いと、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させても室外熱交換器81に霜が付かないような条件下であると判別するように構成されている。
【0068】
ちなみに、霜付限界温度は、ヒートポンプ式加熱部33を通過させる湯水の温度が霜付限界温度以下となると、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させることによって室外熱交換器81に霜が付く状態になるとして、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bなどに基づいて予め定められている。
【0069】
前記条件下判別処理において、貯湯タンク1内の湯水の温度と霜付限界温度との比較について説明を加えると、最上部サーミスタS1、上部サーミスタS2、中部サーミスタS3、底部サーミスタS4のすべての検出温度が霜付限界温度よりも高いときに、貯湯タンク1内の湯水の温度が霜付限界温度よりも高いと判別し、最上部サーミスタS1、上部サーミスタS2、中部サーミスタS3、底部サーミスタS4のいずれかの検出温度が霜付限界温度以下であるときに、貯湯タンク1内の湯水の温度が霜付限界温度以下であると判別する。
【0070】
前記目標貯湯タイミング演算処理について説明すると、貯湯ユニット制御部Cは、温度上昇急速運転させたときに、単位時間あたりに貯湯タンク1に貯湯設定温度の湯水を貯湯できる温度上昇急速運転用の単位時間貯湯量を、ヒートポンプ式加熱部33を通過させる湯水の温度と外気温度との関係から決まるテーブルを記憶している。
そして、貯湯タンク1内の湯水の温度またはヒートポンプ式加熱部用入口サーミスタ61、および、図外の外気温度センサの検出情報に基づいて、記憶しているテーブルから現在の状況下での温度上昇急速運転用の単位時間貯湯量を選択し、その選択された温度上昇急速運転用の単位時間貯湯量と必要貯湯量とから必要運転時間を求め、設定時刻よりも必要運転時間だけ早いタイミングを目標貯湯タイミングとして求める。
【0071】
ちなみに、必要貯湯量は、目標貯湯量から現時点での貯湯タンク1内の貯湯量を引いた量であり、目標貯湯量は、貯湯リモコンR2により人為的に設定した量や、貯湯タンク1内の湯水を実際に給湯した実給湯量に基づいて、貯湯タンク1内の湯水が給湯に使用されると予測される量である。
また、現時点での貯湯タンク1内の貯湯量は、最上部サーミスタS1、上部サーミスタS2、中部サーミスタS3、底部サーミスタS4などの検出情報に基づいて求められる量である。
そして、設定時刻は、貯湯リモコンR2により人為的に設定した時刻や、貯湯タンク1内の湯水を実際に給湯した実給湯状況に基づいて、貯湯タンク1内の湯水を給湯に使用すると予測される時刻である。
【0072】
前記温度上昇急速運転について説明を加えると、加熱式循環手段としての循環調整手段Fは、温度上昇急速運転においては、ヒートポンプ式加熱部33を通過した湯水の温度が貯湯目標温度(例えば、80℃)になるようにヒートポンプ式加熱部33を通過させる湯水の流量を調整するように構成されている。
具体的には、貯湯ユニット制御部Cは、温度上昇急速運転において、貯湯サーミスタ66の検出温度が貯湯目標温度になるように、循環流量調整弁65の開度および循環ポンプP1の回転速度を調整するようにしている。
【0073】
また、温度上昇急速運転について説明を加えると、加熱式循環手段としての循環調整手段Fは、温度上昇緩慢運転においては、ヒートポンプ式加熱部33を通過させる湯水の流量を温度上昇緩慢運転用の流量に調整するように構成されている。
具体的には、温度上昇緩慢運転用の流量として、温度上昇急速運転のときよりも少量となるような流量が設定され、貯湯ユニット制御部Cは、温度上昇緩慢運転において、循環流量センサ64の検出流量が設定された温度上昇緩慢運転用の流量となるように、循環流量調整弁65の開度および循環ポンプP1の回転速度を調整するようにしている。
【0074】
前記放熱運転について説明を加えると、湯水循環手段Eを運転させて、循環路3を通流する湯水を補助加熱部35にて加熱するとともに、追焚きの要求があると、風呂操作手段Hを運転させ、暖房の要求があると、暖房操作手段Jを運転させて、風呂用放熱部43および暖房用放熱部42において、補助加熱部35にて加熱した湯水にて浴槽の湯水および暖房端末(例えば、床暖房装置や浴室暖房装置)からの熱媒を加熱することにより、浴槽の湯水の追焚きおよび暖房端末への熱媒の循環供給を行うようにしている。
【0075】
前記貯湯運転における貯湯ユニット制御部Cの制御動作を、図5のフローチャートに基づいて説明する。
まず、循環ポンプP1を作動させて、条件下判別処理を実行し、ヒートポンプ式加熱部33を通過させる湯水の温度T1と霜付限界温度T2とを比較して、温度上昇急速運転させることによって室外熱交換器81に霜が付くような条件下であるか、温度上昇急速運転させても室外熱交換器81に霜が付かないような条件下であるかを判別する(ステップ1,2)。
そして、貯湯タンク1内の湯水の温度T1が霜付限界温度T2以下であると、温度上昇急速運転させることによって室外熱交換器81に霜が付くような条件下であると判別し、湯水循環手段Eを温度上昇緩慢運転させる(ステップ3,4)。
【0076】
また、貯湯タンク1内の湯水の温度T1が霜付限界温度T2よりも高いと、温度上昇急速運転させても室外熱交換器81に霜が付かないような条件下であると判別し、目標貯湯タイミング演算処理を実行する(ステップ3,5)。
そして、現時点が目標貯湯タイミングの以前であると、湯水循環手段Eを温度上昇緩慢運転させ(ステップ6,4)、現時点が目標貯湯タイミングの以後になると、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させる(ステップ6,7)。
【0077】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、貯湯ユニット制御部Cは、条件下判別処理において、最上部サーミスタS1、上部サーミスタS2、中部サーミスタS3、底部サーミスタS4の検出情報に基づいて、貯湯タンク1内の湯水の温度が霜付限界温度以下であると、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させることによって室外熱交換器81に霜が付くような条件下であると判別するように構成しているが、この構成に代えて、貯湯ユニット制御部Cは、条件下判別処理において、ヒートポンプ式加熱部用入口サーミスタ61の検出情報に基づいて、ヒートポンプ式加熱部33を通過させる湯水の温度が霜付限界温度以下であると、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させることによって室外熱交換器81に霜が付くような条件下であると判別するように構成してもよい。
【0078】
また、貯湯ユニット制御部Cは、貯湯タンク1内の湯水の温度が霜付限界温度よりも高いと、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させても室外熱交換器81に霜が付かないような条件下であると判別する構成についても、ヒートポンプ式加熱部用入口サーミスタ61の検出情報に基づいて、ヒートポンプ式加熱部33を通過させる湯水の温度が霜付限界温度よりも高いと、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させても室外熱交換器81に霜が付かないような条件下であると判別する構成に代えて実施することも可能である。
【0079】
(2)上記実施形態では、貯湯ユニット制御部Cが、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させても室外熱交換器81に霜が付かないような条件下であっても、目標貯湯タイミングよりも以前には、湯水循環手段Eを温度上昇緩慢運転させ、目標貯湯タイミングの以後には、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させるようにしているが、貯湯ユニット制御部Cは、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させても室外熱交換器81に霜が付かないような条件下では、常時、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させるように構成して実施することも可能である。
【0080】
(3)上記実施形態では、貯湯ユニット制御部Cが、ヒートポンプ式加熱部33を通過させる湯水の温度と霜付限界温度とを比較することにより、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させることによって室外熱交換器81に霜が付くような条件下であるか、または、湯水循環手段Eを温度上昇急速運転させても室外熱交換器81に霜が付かないような条件下であるかを判別するようにしているが、例えば、ヒートポンプ式加熱部33を通過させる湯水の温度と霜付限界温度との比較に加えて、外気温度の情報に基づいて、上述の判別を行うように構成して実施することも可能であり、上述の判別を行うための構成については適宜変更が可能である。
【0081】
(4)上記実施形態では、循環調整手段Fが、温度上昇急速運転において、ヒートポンプ式加熱部33を通過した湯水の温度が貯湯目標温度になるようにヒートポンプ式加熱部33を通過させる湯水の流量を調整しているが、このような湯水の流量の調整は行わなくてもよい。
【0082】
(5)上記実施形態では、循環調整手段Fが、温度上昇緩慢運転において、ヒートポンプ式加熱部33を通過させる湯水の流量を温度上昇緩慢運転用の流量に調整しているが、このような湯水の流量の調整は行わなくてもよい。
【0083】
(6)上記実施形態では、貯湯ユニットAは、外部放熱部2を設けて、貯湯運転に加えて、放熱運転を実行するようにしているが、外部放熱部2を設けずに、貯湯運転のみを実行するようにして実施することも可能である。
【0084】
(7)上記実施形態では、加熱部4を、ヒートポンプ式加熱部33、エンジン排熱利用式加熱部34、補助加熱部35とから構成しているが、例えば、加熱部4を、ヒートポンプ式加熱部33と補助加熱部35とから構成することも可能であり、加熱部4の構成については、適宜変更が可能である。
【0085】
(8)上記実施形態では、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bが、室内機71を設けて、加熱運転に加えて、暖房運転や冷房運転の空調運転を行うようにしているが、室内機71を設けずに、加熱運転のみを行うようにして実施することも可能である。
【0086】
(9)上記実施形態では、本発明にかかる貯湯式の給湯熱源装置をエンジンヒートポンプ式冷暖房給湯システムに適応した例を示したが、貯湯タンクやヒートポンプ装置を備えたシステムであれば適応することが可能であり、適応するシステムについては適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】温度上昇急速運転における貯湯ユニットの概略構成図
【図2】エンジンヒートポンプ式冷暖房装置の概略構成図
【図3】エンジンヒートポンプ式冷暖房装置システムの制御ブロック図
【図4】温度上昇緩慢運転における貯湯ユニットの概略構成図
【図5】貯湯ユニット制御部の制御動作を示すフローチャート
【符号の説明】
1 貯湯タンク
33 貯湯用熱交換器
81 空気熱交換器
B ヒートポンプ装置
E,F 加熱式循環手段
U 運転制御手段
Claims (5)
- 貯湯用熱交換器を凝縮器として機能させかつ空気熱交換器を蒸発器として機能させる加熱運転を実行するヒートポンプ装置と、
貯湯タンクから取り出した湯水を前記貯湯用熱交換器を通過させて加熱し、その加熱された湯水を前記貯湯タンクに戻す加熱式循環手段と、
前記ヒートポンプ装置を加熱運転させかつ前記加熱式循環手段を運転させる貯湯運転を制御する運転制御手段とが設けられている貯湯式の給湯熱源装置であって、
前記加熱式循環手段は、
前記貯湯タンクの底部から取り出した湯水を前記貯湯用熱交換器を通過させて加熱し、その加熱された湯水を前記貯湯タンクの底部に戻す温度上昇緩慢運転と、
前記貯湯タンクの底部から取り出した湯水を前記貯湯用熱交換器を通過させて加熱し、その加熱された湯水を前記貯湯タンクの上部に戻す温度上昇急速運転とに切換自在に構成され、
前記運転制御手段は、前記温度上昇急速運転させることによって前記空気熱交換器に霜が付くような条件下では、前記温度上昇緩慢運転させ、前記温度上昇急速運転させても前記空気熱交換器に霜が付かないような条件下では、前記温度上昇急速運転させるように、前記加熱式循環手段の運転を制御するように構成されている貯湯式の給湯熱源装置。 - 前記運転制御手段は、前記温度上昇急速運転させても前記空気熱交換器に霜が付かないような条件下であっても、前記温度上昇急速運転によって設定時刻に前記貯湯タンク内に目標貯湯量貯湯するための目標貯湯タイミングよりも以前には、前記温度上昇緩慢運転させ、前記目標貯湯タイミングの以後には、前記温度上昇急速運転させるように、前記加熱式循環手段の運転を制御するように構成されている請求項1に記載の貯湯式の給湯熱源装置。
- 前記運転制御手段は、前記貯湯用熱交換器を通過させる湯水の温度または前記貯湯タンク内の湯水の温度が霜付限界温度以下のときには、前記加熱式循環手段を前記温度上昇急速運転させることによって前記空気熱交換器に霜が付くような条件下であると判別し、前記貯湯タンク内の湯水の温度が霜付限界温度よりも高いときには、前記加熱式循環手段を前記温度上昇急速運転させても前記空気熱交換器に霜が付かないような条件下であると判別するように構成されている請求項1または2に記載の貯湯式の給湯熱源装置。
- 前記加熱式循環手段は、前記温度上昇急速運転において、前記貯湯用熱交換器を通過した湯水の温度が貯湯目標温度になるように前記貯湯用熱交換器を通過させる湯水の流量を調整するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の貯湯式の給湯熱源装置。
- 前記加熱式循環手段は、前記温度上昇緩慢運転において、前記貯湯用熱交換器を通過させる湯水の流量を温度上昇緩慢運転用の流量に調整するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の貯湯式の給湯熱源装置。
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