JP3663666B2 - 球状セルロース及びその製造法 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、均一な球状の形態を持った粒状セルロースおよび、その製造法に関するものであり、本発明により製造された球状セルロースは医療用の基剤や吸着剤あるいはクロマト用充填剤等に極めて好適に使用できる。
【0002】
【従来の技術】
セルロースを溶解−再生してゲルビーズとする方法で、酢酸エステルを経由する方法は、特公昭55−39565号公報、および特公昭55−40618号公報に記されており、チオシアン酸カルシウム塩を用いた溶液から造粒する方法は特公昭63−62252号公報に記載されており、パラホルムアルデヒド・ジメチルスルホキシド溶液から製造する方法は、特公平2−22093号公報に記載されている。
また、再生セルロースの製造法としては、特開昭59−38203号公報にアモルファスセルロースの製造法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、酢酸エステルを経由する方法は、粒子を形成するために溶解溶媒の蒸発やセルロースを凝固させる溶媒などを使い、更にケン化するなど2次的な工程が必要で、操作が繁雑であるという問題点があった。
チオシアン酸カルシウム塩を用いた溶液から造粒する方法は、セルロースを該溶液に溶解させる時、溶解温度が100〜150℃と高温でなければ溶解しないため、加温装置などの設備が必要であり、また、セルロースの重合度が減少するという問題があった。
上記の方法を含め従来の方法では、常温で工業的に簡単に球状セルロースを得る方法はなかった。
そのうえ、得られるセルロース粒子は結晶性部分があるため、セルロース誘導体や架橋体などを製造する時の反応性が低いという問題もあった。
【0004】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、セルロースを塩化リチウム含有のアミドに溶解させた後、この溶液をアルコール中に滴下するか又は、多価アルコール基を有する化合物を親水基とした界面活性剤を含み、前述のセルロース溶液と相溶性が低い分散媒と混合するだけで簡単にセルロースが球状に凝固することを見い出した。さらに、得られた球状セルロース粒子は結晶化度が低く、クロマト剤などに適用するときに、架橋や官能基の導入を行いやすいセルロース粒子であることを見い出し本発明に到達した。すなわち、本発明は結晶化度が低く、付加反応や架橋反応が行いやすい球状セルロースを提供すること、および上記球状セルロースの簡単な製造法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の構成を有する。
(1)X線回折法により求めた結晶化度が5%以下の再生セルロースよりなり、真球度が0.8〜1.0であり、平均粒径が20〜2000μmである事を特徴とする球状セルロース。
(2)ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンまたはその混合物から成る群から選ばれたアミドと、全量に対して5〜20重量%の塩化リチウムを共存させた系にセルロースを溶解し、得られた溶液を、突出孔を有する滴下装置から下方にあるアルコール中に滴下することによりセルロースを球状に凝固させることを特徴とする前記第(1)項記載の球状セルロースの製造法。
(3)上記アルコールがメタノール、エタノール、ブタノール、アミルアルコールから選ばれた1種または2種以上の混合物である前記第(2)項記載の球状セルロースの製造法。
(4)ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンまたはその混合物から成る群から選ばれたアミドと、全量に対して5〜20重量%の塩化リチウムを共存させた系にセルロースを溶解し、得られた溶液を、多価アルコール基を有する化合物を親水基とする界面活性剤を含み、該溶液と相溶性の低い分散媒と混合し、セルロースを分散凝固させることを特徴とする前記第(1)項記載の球状セルロースの製造法。
(5)上記多価アルコール基を有する化合物がグリセリン、ソルビタン、ショ糖のうち選ばれた1種または2種以上の混合物である前記第(4)項記載の球状セルロースの製造法。
(5)上記分散媒が塩素化炭化水素または液化炭化水素である前記第(4)項記載の球状セルロースの製造法。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の球状セルロースは例えば以下の方法で製造出来る。先ずセルロース溶液を作製する。本発明において用いられるセルロースとしては、結晶性セルロース粉末などセルロースを主成分とするもので、例えば、リンターや各種の木材パルプ、レーヨン製造用パルプ、製紙用パルプなどが挙げられる。
セルロースの溶解には活性化セルロースを用いる。セルロースを活性化する方法としては、セルロースを水中で膨潤させた後、メタノールで置換、ついでアミドで置換して水を除去する方法、或いはジメチルアセトアミドまたはN−メチルピロリドン及びその混合物により沸騰還流させる方法などが挙げられる。溶剤に塩化リチウムを5〜20重量%添加した溶液に、活性化セルロースを添加し1夜攪拌することにより溶解させ、セルロース溶液を得る。
【0007】
活性化セルロースの溶解には、ジメチルアセトアミドあるいはN−メチルピロリドンなどの、常温でセルロースを分子分散させた状態で溶解させることができる溶剤を用いる。
セルロース溶液の粘度は、セルロースと溶剤との割合を変えることにより容易に調整できるが、以下に示す滴下法、または分散凝固法による球状セルロースの作製が容易となる、10000センチポイズ(cps)以下となるように調製することが好ましい。
【0008】
このようにして得られたセルロース溶液を滴下法または分散凝固法により球状に成型する。
滴下法により球状セルロースを製造する方法としては、たとえば次の方法がある。
前述のようにして得られたセルロース溶液をノズル等の吐出孔より空気中に垂直下方に吐出させると、吐出されたセルロース溶液は当初は線状をなしているが、セルロース溶液の粘度、吐出孔径および吐出速度に対応してある距離流下したのち、液滴状を形成する。この液滴状のセルロース溶液をアルコール中に滴下すると球状に凝固し、アルコール、水洗浄の後、球状セルロースが得られる。
【0009】
この時用いられる吐出孔の径は小さいほど、形成される液滴は小さくなるが、好ましくは0.1〜0.5mmである。滴下速度は速すぎると溶液が線状になり、球状に液滴が形成しにくいので1〜10ml/分が好ましい。この時の滴下距離は短いと球状に液滴が形成する前にアルコール中に入り、球状にならない。また、滴下距離が長すぎるとアルコール液面との衝突により変形する。滴下距離は10〜50cmが好ましい。
【0010】
上記アルコールは、セルロース溶液の溶媒と相溶性があれば良いが、好ましくはメタノール、エタノール、ブタノール、アミルアルコールから選ばれた1種類または、その混合物である。
【0011】
分散凝固により球状セルロースを製造する方法としては、たとえば次の方法がある。
前述のようにして得られたセルロース溶液を、界面活性剤を含むセルロース溶液の溶剤と相溶性の低い分散媒に加え、攪拌などの操作により乳化分散凝固を行なう。
【0012】
上記界面活性剤としては、多価アルコール基を有する化合物を親水基とする界面活性剤、すなわち親水基にジオール型の水酸基を少なくとも2個以上もつものであれば良いが、好ましくは親水基がソルビタン、ショ糖、などのポリオール系化合物が良い。例えば、ソルビタンオレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、グリセリンステアレート、ショ糖パルミテート等が挙げられる。
【0013】
これらの界面活性剤をセルロース溶液と混合すると、溶液中のセルロースが析出し凝固する。この現象は本発明に用いられる界面活性剤に特徴的なもので、他の界面活性剤、例えば、イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類など、水酸基を持たない界面活性剤では見られない。また、モノアルコール類は界面活性効果が低く、セルロース溶液の凝固が瞬時に起こり、球状が形成出来ない。
【0014】
また、界面活性剤の性質としては、セルロース溶液を内油層O1とし、この界面活性剤を含むセルロース溶液の分散媒を外油層O2とするO1/O2型乳化物をつくるのに適する親水基、疎水基の割合を持った界面活性剤が好ましい。
これまで、界面活性剤は球状の乳化物の形成を助長することは知られているが、本発明のように特定の界面活性剤がセルロースを球状に凝固することは知られていなかった。
【0015】
上記分散媒としては、セルロース溶液と任意の割合で混合し乳化操作を行なった際、セルロース溶液を内油層O1とし、分散媒をO2とするO1/O2型乳化物を形成するものであれば特に限定されないが、好ましくは、液化炭化水素および塩素化炭化水素等が挙げられる。液化炭化水素としては例えば、ケロシン、流動パラフィン、スクアラン等があげられ、塩素化炭化水素としては例えば、ジクロロエタン、クロロベンゼン等があげられる。また、内油層O1と外油層O2の体積比(O1/O2)は、乳化操作を行なった際にセルロース溶液を内油層O1とするO1/O2型乳化物を形成する値であれば特に限定されないが、好ましくは3以下である。
【0016】
乳化操作としては公知の分散法、例えば、プロペラ型攪拌機あるいはタービン型攪拌機などのミキサーによる方法、コロイドミル法、ホノジナイザー法、超音波照射法などが用いられる。この乳化操作により球状セルロースの粒子径を制御することができる。すなわち乳化操作において攪拌数が大きいほど作製される乳化物の径が小さくなる。
【0017】
得られた乳化物中のセルロースは、混合中にセルロース溶液層表面に吸着した多価アルコール基を親水基に持つ界面活性剤により球状に凝固する。この時の界面活性剤の濃度は、セルロース溶液と混合したとき凝固することができる量であればよいが、好ましくはセルロース溶液に対し1〜50重量%、分散媒に対し0.1〜20重量%である。界面活性剤は多すぎればセルロース溶液と混合後すぐ凝固し球状の形成が阻害されるし、逆に少なすぎると凝固しない。反応温度はセルロースの分解が生じない温度であればよいが、好ましくは室温〜50℃である。
反応時間を調節し、得られたゲルを濾過分別し、ゲルを内油層及び外油層に相溶性の溶媒、例えばブタノール、アミルアルコールなどで洗浄し、次いで水洗浄を行い球状セルロースを得る。洗浄溶媒は使用上の用途により選択できる。
【0018】
本発明の球状セルロースの結晶化度は5%以下である。結晶化度が5%より高いと、付加反応や架橋反応等の反応性が低くなる。
本発明でいう真球度とは、粒子の短径/長径を意味する。本発明の球状セルロースの真球度は0.8〜1.0である。真球度が0.8より低いとクロマト剤として用いた時、均一に充填することが出来ず、再現性が低く、担体としての性能が悪くなる。
球状セルロースの平均粒径は、20〜2000μmである。平均粒径が20μm以下だと、クロマト剤として用いた時、圧がかかり担体が変形するおそれがある。また、平均粒径が2000μm以上だと、クロマト剤として充填したとき、孔隙率が高くなり、一定の分離性能を得ることが困難となる。
【0019】
本発明の球状セルロースは結晶性が低く、付加反応や架橋反応が行いやすい。また、真球度が0.8〜1.0と非常に真球状に近いため例えばクロマト剤にする時に均一な充填が容易で再現性のよい高性能担体として利用できる。
【0020】
【実施例】
次に、本発明を以下の実施例及び比較例により更に詳細に説明する。なお再生した球状セルロースの(1)結晶化度、(2)真球度および球径の測定方法は次の通りである。
(1)結晶化度の測定法
微粉砕したセルロースまたは再生セルロース0.2gをアルミホルダーに押しつけ、X線回折の回折角度を5〜30°まで操作して測定する。図1に示すように結晶性セルロースにはA1、A2の結晶性散乱ピークがある。これに対し非結晶部分はバックグラウンド散乱となりBの部分となる。
従って結晶化度は次式
(A1+A2)×100/(A1+A2+B) (%)
で表される。
A1、A2、Bの面積は5°および30°の点1と2を直線で結び更に18.5°での散乱点3と1−3、2−3のように結んで求める。
【0021】
(2)真球度および球径の測定法
本発明により得られた球状セルロースを顕微鏡観察し、図2に示すように、各粒子の長径(R1)及び短径(R2)を測定する。
真球度および球径を下式により求める。
真球度=R2/R1
球径 =(R1+R2)/2
粒子100個について真球度および球径を求めその平均を平均真球度、平均球径とした。
【0022】
実施例1
セルロース粉末(Whatman社製CF−1タイプ)6gを100mlの水に浸漬し30分攪拌した。懸濁液を濾過し、次にメタノール100mlに懸濁し30分間攪拌した。このメタノールによる置換を2回行い、更にジメチルアセトアミド100mlによる置換を同様に2回行い、活性化セルロース粉末を得た。この活性化セルロースを10重量%塩化リチウムを含むジメチルアセトアミド100mlに加え10時間室温で攪拌溶解した。
溶解したセルロース溶液100mlを孔径0.5mm、孔数10個の吐出口より10ml/分の速度で吐出孔の下方30cmの距離に浴面のあるメタノール溶液中に垂直に滴下した。その後濾過水洗し、セルロース粒子を得た。得られた粒子の平均真球度は0.98で、平均球径は1800μmであった。
【0023】
実施例2〜6、比較例1〜3
セルロース粉末(Whatman社製CF−1タイプ)6gを100mlの水に浸漬し30分攪拌した。懸濁液を濾過し、次にメタノール100mlに懸濁し30分間攪拌した。このメタノールによる置換を2回行い、更にジメチルアセトアミド100mlによる置換を同様に2回行い、活性化セルロース粉末を得た。この活性化セルロースを10重量%塩化リチウムを含むジメチルアセトアミド100mlに加え10時間室温で攪拌溶解した。
溶解したセルロース溶液100mlに対し下記界面活性剤5重量%を含む流動パラフィン500mlを加え、30分間室温でタービン型攪拌機を用い500rpmで攪拌した。その後濾過を行い、得られた粉体を顕微鏡で観察した。結果を表1に示す。この結果、本発明で用いられる界面活性剤を使用した場合球状のセルロースが得られた。
ここでは下記の界面活性剤を使用した。
ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、ショ糖モノパルミテート、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム
【0024】
【表1】
Figure 0003663666
【0025】
実施例7〜11、比較例4〜6
活性化セルロースの溶解に用いるアミドをN−メチルピロリドンにし、実施例2に準拠してセルロース粉体を得た。得られた粉体を顕微鏡で観察した。結果を表2に示す。この結果、N−メチルピロリドンでも本発明に係わる界面活性剤を用いると、実施例2〜6と同様に球状セルロースが得られた。
【0026】
【表2】
Figure 0003663666
【0027】
実施例12
セルロース粉末(Whatman社製CF−1タイプ)6gを100mlの水に浸漬し30分攪拌した。懸濁液を濾過し、次にメタノール100mlに懸濁し30分間攪拌した。このメタノールによる置換を2回行い、更にジメチルアセトアミド100mlによる置換を同様に2回行い、活性化セルロース粉末を得た。この活性化セルロースを10重量%塩化リチウムを含むジメチルアセトアミド100mlに加え10時間室温で攪拌溶解した。
溶解したセルロース溶液100mlに対しソルビタンモノオレエート5重量%を含む流動パラフィン500mlを加え30分間室温で次の条件で攪拌を行った。
(1)タービン型攪拌機を用い150rpmで攪拌。
(2)タービン型攪拌機を用い500rpmで攪拌。
(3)ホモジナイザーを用い8000rpmで攪拌。
その後濾過を行い、得られた粉体を測定した結果、攪拌条件により、各種の平均粒径の球状セルロースが得られた。
【0028】
【表3】
Figure 0003663666
【0029】
実施例13
セルロース粉末(Whatman社製CF−1タイプ)6gを100mlの水に浸漬し30分攪拌した。懸濁液を濾過し、次にメタノール100mlに懸濁し30分間攪拌した。このメタノールによる置換を2回行い、更にジメチルアセトアミド100mlによる置換を同様に2回行い、活性化セルロース粉末を得た。この活性化セルロースを10重量%塩化リチウムを含むジメチルアセトアミド100mlに加え10時間室温で攪拌溶解した。
溶解したセルロース溶液100mlに対しソルビタンモノオレエート5重量%を含む流動パラフィン500mlを加え30分間室温でタービン型攪拌機を用い500rpmで攪拌した。その後濾過を行い、ブタノール100mlで5回洗浄し、次いで水100mlで5回洗浄し球状セルロースを得た。この球状セルロース50g(乾燥重量5g)を2重量%水酸化ナトリウム水溶液150gに加え、更にエピクロルヒドリン25gを入れ30℃で3時間攪拌し反応させた。反応後ゲルを水洗し、エポキシ化セルロースを得た。エポキシ導入量をチオ硫酸ナトリウム滴定法により測定した。このエポキシ化セルロースを25重量%アンモニア水100gに加え30℃1時間攪拌し、濾過水洗を行いアミノ化セルロースを得た。
得られたアミノ化セルロースの窒素量をケルダール法により測定し、ゲル乾燥重量当たりの結合アミノ基量を算出した。
【0030】
比較例7
特公昭63−62252号公報記載の方法に従って球状セルロースを作製した。すなわち、チオシアン酸カルシウム(無水物として)60重量%を含む水溶液100gにセルロース粉末(Whatman社製CF−1タイプ)6gを加え、120℃に加熱し溶解した。得られた液をm−キシレン200gに分散させ130℃〜140℃に加熱し、次いで分散液を冷メタノール500ml中に注ぎ、粒子を得た。500mlのメタノールを数回に分けて、このセルロース粒子に注いで洗浄した後、大量の水で洗浄し、球状セルロース50g(乾燥重量5g)を得た。
2重量%水酸化ナトリウム水溶液150gに得られた球状セルロースを加え、更にエピクロルヒドリン25gを入れ30℃で3時間攪拌反応し、ゲルを得た。このゲルを水洗し、エポキシ化セルロースを得た。このエポキシ化セルロースへのエポキシ導入量をチオ硫酸ナトリウム滴定法により測定した。このエポキシ化セルロースを25重量%アンモニア水100gに加え30℃1時間攪拌し、濾過水洗を行いアミノ化セルロースを得た。
得られたアミノ化セルロースの窒素量をケルダール法により測定し、ゲル乾燥重量当たりの結合アミノ基量を算出した。
【0031】
比較例8
特公昭55−39565号公報記載の方法に従って球状セルロースを作製した。すなわち、塩化メチレン250mlに三酢酸セルロース50gを溶解し、5重量%ゼラチン水溶液中に20℃で攪拌しながら滴下し、しばらく攪拌後、温度を45℃に上げ、90分間攪拌を行い、三酢酸セルロース球状粒子を得た。これを濾過分離し、その100gを硫酸ナトリウム11.5gを溶解した5モル水酸化ナトリウム溶液250mlに加え、60℃で1時間処理したのちメチルアルコールを50ml、25ml、15mlの順で30分置きに加え更に8時間放置し、濾過後メタノール500mlで数回に分け洗浄し、次いで水洗浄を行い球状セルロース50g(乾燥重量25g)を得た。
2重量%水酸化ナトリウム水溶液150gに得られた球状セルロースを加え、更にエピクロルヒドリン25gを入れ30℃で3時間攪拌反応した。反応後ゲルを水洗し、エポキシ化セルロースを得た。エポキシ導入量をチオ硫酸ナトリウム滴定法により測定した。このエポキシ化セルロースを25重量%アンモニア水100gに加え30℃1時間攪拌し、濾過水洗を行いアミノ化セルロースを得た。得られたアミノ化セルロースの窒素量をケルダール法により測定し、ゲル乾燥重量当たりの結合アミノ基量を算出した。
【0032】
実施例11、比較例7及び比較例8の結果を表3に示す。
この結果、本発明球状セルロースはエポキシ化及びアミノ基の導入における反応率が、従来の球状セルロースの約4倍高かった。
【0033】
【表4】
Figure 0003663666
【0034】
実施例14
この実験では本発明の球状セルロースと他の球状セルロースの結晶性を比較した。
原料セルロース、本発明球状セルロース、比較例7及び比較例8で使用した反応前球状セルロースのX線回折を測定した。図3にその結果を示す。
図中1は本発明品、2は比較例8で使用した球状セルロース、3は比較例7で使用した球状セルロース、4は原料セルロースである。結晶化度は1が0%、2が6%、3が8%、4が67%であった。本発明品は結晶化度が非常に低かった。
【0035】
【発明の効果】
本発明の製造法により真球度が高く、反応性の高い球状セルロースが得られ、医薬品基材やクロマト剤に応用する場合、結合リガンド量を多くでき高性能、高付加量の担体となる。
また、本発明品の製造は常温での操作のため高温雰囲気を作り出す装置がいらず容易に球状セルロースが作製できるため、セルロースの分解変性が起こらず安定な品質が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セルロースのX線回折図
【図2】真球度および球径の測定の模式図
【図3】原料セルロース、本発明球状セルロース、比較例7及び比較例8で使用した反応前球状セルロースの、X線回折図。

Claims (6)

  1. X線回折法により求めた結晶化度が5%以下の再生セルロースよりなり、真球度が0.8〜1.0であり、平均粒径が20〜2000μmである事を特徴とする球状セルロース。
  2. ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンまたはその混合物から成る群から選ばれたアミドと、全量に対して5〜20重量%の塩化リチウムを共存させた系にセルロースを溶解し、得られた溶液を、突出孔を有する滴下装置から下方にあるアルコール中に滴下することにより、セルロースを球状に凝固させることを特徴とする請求項1記載の球状セルロースの製造法。
  3. 上記アルコールがメタノール、エタノール、ブタノール、アミルアルコールから選ばれた1種または2種以上の混合物である請求項2記載の球状セルロースの製造法。
  4. ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンまたはその混合物から成る群から選ばれたアミドと、全量に対して5〜20重量%の塩化リチウムを共存させた系にセルロースを溶解し得られた溶液を、多価アルコール基を有する化合物を親水基とする界面活性剤を含み、該溶液と相溶性の低い分散媒と混合し、セルロースを分散凝固させることを特徴とする請求項1記載の球状セルロースの製造法。
  5. 上記多価アルコール基を有する化合物がグリセリン、ソルビタン、ショ糖のうちから選ばれた1種または2種以上の混合物である請求項4記載の球状セルロースの製造法。
  6. 上記分散媒が塩素化炭化水素または液化炭化水素である請求項4記載の球状セルロースの製造法。
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