JPH10273539A - 高分子ゲル粒子およびその製造方法 - Google Patents

高分子ゲル粒子およびその製造方法

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JPH10273539A
JPH10273539A JP7874697A JP7874697A JPH10273539A JP H10273539 A JPH10273539 A JP H10273539A JP 7874697 A JP7874697 A JP 7874697A JP 7874697 A JP7874697 A JP 7874697A JP H10273539 A JPH10273539 A JP H10273539A
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polymer material
polymer
solvent
particles
solution
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JP7874697A
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Kazushirou Akashi
量磁郎 明石
Akimasa Komura
晃雅 小村
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粒子径の制御、形状制御および物性制御を同
時に達成することが可能であり、優れた物性をもつ高分
子ゲルの微粒子を容易に製造する方法を提供する。 【解決手段】高分子材料と溶媒(A)を含む溶液に架橋
剤を添加して架橋剤を所定割合反応させ、得られた部分
的に反応した高分子材料の溶液を、溶媒(A)と相溶可
能であり、かつ該高分子材料を溶解しない溶媒(B)と
混合し、分散させて架橋剤を含む高分子材料の粒子を形
成した後、該粒子の架橋反応を進行させて高分子ゲル粒
子を製造する。高分子材料として天然高分子またはその
誘導体が使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子ゲル粒子の
新規な製造方法およびそれによって作製された高分子ゲ
ル粒子に関する。本発明の高分子ゲル粒子は、塗料、イ
ンク等の原料や添加剤、ドラッグデリバリーシステム
(DDS)等の生医学用途に用いられる機能性粒子、吸
水性樹脂、衛生剤、土壌改良剤、人工雪、化粧品、生分
解性材料等に利用可能な有用なものである。
【0002】
【従来の技術】高分子ゲル粒子の製造方法としては、高
分子材料の粒子の製造方法に類似した公知の方法が適用
可能であるが、架橋によって溶媒に不溶化すること、前
駆体として高分子材料を用いると溶液の粘度が高く、粒
子化し難いこと等の理由から、様々な制約を受ける。こ
こで高分子ゲル粒子の製造方法について公知の幾つかの
製造方法を説明すると、前駆体であるモノマーを架橋剤
とともに液体溶媒中で分散重合、懸濁重合、逆相懸濁重
合(特公昭53−45357号公報、特開平5−222
107号公報等)または乳化重合により重合する方法、
高分子材料を造粒した後に架橋剤等の反応によってゲル
化する方法、あらかじめ高分子材料と架橋剤との架橋反
応で調製した高分子ゲル(架橋体)を乾式粉砕して粒子
を製造する方法等があげられる。これらの技術は「東レ
リサーチセンター編:微粒子ポリマーの新展開、199
4年」等の文献に記載されている。
【0003】特に、天然高分子のゲル粒子の作製方法と
しては、キトサンの塩酸水溶液を界面活性剤を含むトル
エン溶媒に添加、分散し、架橋剤としてグルタルアルデ
ヒドを添加して架橋させ、サブミクロンの粒径のキトサ
ンゲル微粒子を得る方法(化学と工業、Vol.46、
pp.798、1993年)、澱粉を加熱したポリエチ
レンオキシド水溶液中に分散し、コアセルベート(液
滴)を形成させて冷却することにより澱粉のゲル粒子を
製造する方法(日本化学会誌、Vol.1992、p
p.124、1992年)、海藻由来のアルギン酸やカ
ラギーナン等の天然高分子溶液を撹拌分散または膜乳化
法によって液媒中に粒子状に分散させた後、多価金属イ
オンと反応させてゲル化する方法(Appl. Mic
robiol. Biotechnol. Vol.4
3、No.4、pp.644,1995年、特開平4−
318029号公報)等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】モノマーを架橋剤とと
もに液体溶媒中で分散重合する方法によって高分子ゲル
粒子を製造する方法は、モノマーから作製する場合にお
いてのみ適用可能なものであり、高分子材料から高分子
ゲル粒子を製造することはできない。一方、上記したよ
うに、高分子材料を造粒した後に架橋する方法では、高
分子溶液の粘度が高いため造粒することが難しく、ま
た、溶液の粘度を低下させるために高分子の濃度を下げ
ると、架橋反応が進まずに良好なゲルが形成されないと
いう問題がある。あらかじめ高分子材料と架橋剤との反
応で調製した高分子ゲル(架橋体)を乾式粉砕して製造
する方法では、目的とする粒子径の粒子が高収率で得ら
れ難く、かつ粒子の形状が不定形となりやすく、用途に
よっては必要な球形状のものなどが得られ難い等の問題
があった。以上のように、従来の技術においては、適用
範囲が広く、かつ良好な特性をもつ高分子ゲル粒子を製
造するための方法として好ましいものは知られていなか
った。特にセルロース系材料等の天然高分子材料のゲル
粒子を作製するための、粒子径制御、形状制御、ゲル物
性制御(強度、安定性、粘弾性、膨潤性等)を行うこと
が可能な最適な製造方法は知られていなかった。
【0005】本発明は従来の技術における上記課題を解
決することを目的としてなされたものである。すなわ
ち、本発明の目的は、粒子径の制御、形状制御および物
性制御を同時に達成することが可能であり、優れた物性
をもつ高分子ゲル粒子およびそれを容易に製造する方法
を提供することにある。
【0006】本発明者等の実験の結果、高分子材料を溶
解した高分子溶液に架橋剤を添加して架橋反応させ、高
分子ゲルを作製するプロセスでは、形成されるゲルの物
性(強度、安定性、粘弾性、膨潤性)は初期の高分子溶
液の濃度に依存することが判明し、そして従来の技術に
おける問題点である、濃度の低い高分子溶液を架橋して
も良好な物性の高分子ゲル粒子を得ることができず、一
方、ゲルを形成することができる濃度の高い高分子溶液
を用いると、溶液の粘度が高くなり、この溶液を一般的
な液媒に均一分散させて造粒することが困難であるとい
う問題を解決すべく、検討を進めた結果、高分子材料の
粒子化と、架橋反応を段階的に進行させることとを組み
合わせることによって、従来の技術における上記の問題
点が解決されることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の高分子ゲル粒子
の製造方法は、高分子材料と溶媒(A)を含む溶液に架
橋剤を添加して架橋剤を所定割合反応させ、得られた架
橋剤を含有する高分子材料の溶液を、溶媒(A)と相溶
可能であり、かつ該高分子材料を溶解しない溶媒(B)
と混合し、分散させて架橋剤を含む高分子材料の粒子を
形成し、次いでその粒子の架橋反応を進行させることを
特徴とする。
【0008】また、本発明の高分子ゲル粒子は、上記の
方法によって作製される。すなわち、高分子材料と溶媒
(A)を含む溶液に架橋剤を添加して高分子材料と架橋
剤を所定割合反応させ、得られた架橋剤を含有する高分
子材料の溶液を、溶媒(A)と相溶可能であり、かつ該
高分子材料を溶解しない溶媒(B)と混合し、分散させ
て架橋剤を含む高分子材料の粒子を形成し、次いでその
粒子の架橋反応を進行させることによって形成される。
【0009】本発明の高分子ゲル粒子の製造方法の好ま
しい態様は、高分子材料と溶媒(A)を含む溶液に複数
の官能基を有する架橋剤を添加し、該架橋剤の官能基の
一部を高分子材料と反応させ、得られた架橋剤が付加し
た高分子材料の溶液を、溶媒(A)と相溶可能であり、
かつ上記高分子材料を溶解しない溶媒(B)と混合し、
分散させて架橋剤が付加した高分子材料の粒子を形成し
た後、架橋剤の残りの官能基を架橋反応させることを特
徴とする。この場合、架橋剤分子が高分子材料にペンダ
ント状に付加した構造体が主に形成され、その状態で造
粒が行われた後、架橋反応を完結させて高分子ゲル粒子
が形成される。つまり溶媒に可溶な状態、かつ溶液粘度
が比較的低く、形状の加工が容易な状態で高分子材料の
造粒が行われ、その後、粒子の状態で架橋反応が進行し
て、高分子ゲル粒子が形成される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、高分子材料とし
ては、合成高分子および天然高分子およびその変性物等
の誘導体が使用されるが、特に天然高分子およびその誘
導体が好ましく使用される。その具体例としては、ポリ
ビニルアルコールおよびその部分エステル化物、ビニル
アルコール−(メタ)アクリル酸共重合体、ビニルアル
コール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ビニル
アルコール−澱粉共重合体、ビニルアルコール−置換セ
ルロース共重合体、ビニルアルコール−メチレンマロン
酸共重合体等の誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸および
その部分アルキルエステル化合物、ヘテロ原子を有する
ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコ
ールモノ(メタ)アクリル酸エステル等の誘導体、ポリ
マレイン酸およびそのアルキルセミエステル等の誘導
体、およびポリアリルアミン等の合成高分子、セルロー
スおよび例えばメチルセルロース、エチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、スルホン化メチ
ルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉および例え
ば、メチル澱粉、エチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、
ヒドロキシプロピル澱粉およびカルボキシメチル澱粉等
の澱粉誘導体、海藻由来のアガロース、カラギーナンお
よびアルギン酸、甲殻類由来のキチンおよびキトサンお
よびその誘導体、植物由来のペクチンおよびコンニャク
マンナン、微生物由来のジュランガム、キサンタンガ
ム、カードランおよびヒアルロン酸等の天然多糖類、天
然タンパク質、ポリ(γ−グルタミン酸)およびポリ
(ε−リジン)等のポリペプチド化合物等があげられ
る。
【0011】上記高分子材料には、種々の架橋剤を添加
して架橋反応させることにより、高分子ゲルを作製する
ことができる。架橋剤による架橋反応の技術は、荻野一
善等著「ゲル」産業図書などに記載されている。本発明
において、架橋剤としては、カルシウム、マグネシウ
ム、鉄、銅、バリウム、ニッケル、コバルト、ルテニウ
ム等の多価金属イオンを生じる化合物、具体的には、Z
nCl2 、MgCl2 、MgCO3 、CaCO3 、Ca
(OH)2 が使用可能である。また、複数の官能基を有
する有機架橋剤が好ましく使用できる。具体的には、例
えば、モノクロロ酢酸等のカルボン酸、シュウ酸、マロ
ン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸等の多官能カ
ルボン酸、例えばエピクロルヒドリン等のエポキシ化合
物、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の多官
能エポキシ化合物、例えば、グルタルアルデヒド、マロ
ンアルデヒド、スクシンアルデヒド等の多官能アルデヒ
ド化合物、例えばトルイレンジイソシアナート、ヘキサ
メチレンジイソシアナート等の多官能イソシアナート化
合物、例えばメラミン、トリメチロールメラミン等のメ
ラミン化合物、例えばエチレンジブロマイド、プロピレ
ンジブロマイド等の多官能ハロゲン化合物、例えば、ト
リス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1,3,5
−トリアジン等の多官能アジリジン化合物、例えば、エ
チレングリコール、プロピレングリコール等の多官能ア
ルコール化合物、例えば2−ブロモ−1−エタノール等
のハロゲン化アルコール化合物をあげることができる。
【0012】また架橋反応の触媒として、例えば、アル
ミニウム化合物、ニッケル化合物、鉄化合物、PbO、
SnCl2 等の各種金属化合物、および水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属
化合物等を用いることも可能である。
【0013】次に本発明の高分子ゲル粒子の製造方法に
ついて詳記する。図1は、本発明の高分子ゲル粒子の製
造工程の工程図である。まず、第1の工程として、高分
子材料をそれを溶解する溶媒(A)に所定量溶解して高
分子材料の溶液を作製する。その溶液に架橋剤、必要に
応じて触媒を添加して架橋剤を所定割合反応させる。
(図1(a)) 次に第2の工程として、得られた架橋剤を含む高分子材
料の溶液を、溶媒(A)と相溶可能であり、かつ上記高
分子材料を溶解しない溶媒(B)と混合し、分散させて
架橋剤を含む高分子材料の粒子を形成させる(図1
(b))。なお、この工程において、形成される粒子か
ら溶媒(A)を溶媒(B)中に移動させて、粒子中の溶
媒濃度を低下させることができる。(図1(c)) さらに第3の工程として、加熱等によって粒子の架橋反
応を進行させ、高分子ゲル粒子を形成させる。(図1
(d))
【0014】まず、第1の工程において、高分子材料を
溶媒(A)と混合するが、溶媒(A)としては、高分子
材料を溶解するものが用いられ、例えば、水、水混合
物、アルコール類、ケトン類、エステル類、芳香族炭化
水素類等が使用される。より具体的には、水、メタノー
ル、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テト
ラヒドロフラン、メチルピロリドン、酢酸エチル、トル
エンおよびそれらの混合物等を例示することができる。
高分子材料の溶媒(A)中の濃度は、1重量%〜50重
量%の範囲が好ましく、より好ましくは1重量%〜20
重量%の範囲である。
【0015】また、高分子材料と溶媒(A)を含む溶液
中に添加される架橋剤の量は、高分子材料に対して0.
01重量%ないし60重量%の範囲が好ましく、より好
ましくは0.1重量%ないし30重量%の範囲である。
【0016】第1の工程において、溶媒(A)に溶解し
た高分子材料と架橋剤を所定割合反応させるためには、
具体的には、溶液を温度0〜100℃においてスクリュ
ー型混合機、ニーダー等の攪拌機によって撹拌する方法
を採用すればよい。溶媒(A)に溶解した高分子材料と
架橋剤との反応割合は、高分子材料中の反応性基に対し
て架橋剤の官能基の量が化学量論上で当量以下の場合、
添加した架橋剤に存在する官能基(反応性基)の20%
〜80%、好ましくは30〜60%の範囲が望ましい。
この範囲よりも小さいと架橋剤が遊離し、架橋密度が低
下する恐れがあり、この範囲よりも大きいと溶媒(A)
への溶解性が低くなり、または溶液の粘度が上昇して次
の工程での造粒が困難となる。また、高分子材料中の反
応性基に対して架橋剤の官能基の量が化学量論上で当量
よりも多い場合は、高分子材料中の官能基(反応性基)
の20〜80%、好ましくは30〜60%の範囲が望ま
しい。
【0017】架橋剤の反応性に関して、分子内に複数存
在する官能基の反応性には差があり、1段階目の反応が
起こると、その後の反応性は一般に低下することが知ら
れている。例えば2官能性の架橋剤の反応の場合、一つ
の官能基が反応した後、他の官能基が反応する速度は低
下する場合が多い。したがって、このような性質から、
高分子材料と架橋剤とを反応させると、初期段階におい
て架橋剤の一つの官能基が反応し、架橋剤分子が高分子
材料にペンダント状に付加した構造体のものが多く形成
されると考えられる。次いで、架橋剤分子がペンダント
状に付加した高分子材料は、以下に述べる第3の工程
で、架橋剤に残存する他の官能基が反応して架橋構造が
形成されると考えられる。
【0018】第2の工程では、上記のようにして部分的
に反応した架橋剤を含有する高分子材料の溶液を、溶媒
(B)(分散媒)と混合し、分散させて造粒するが、架
橋剤を含有する高分子材料の溶液とそれを分散させる溶
媒(B)との混合比は、1:100〜2:1の範囲から
好ましく選択される。使用する溶媒(B)(分散媒)と
しては、溶媒(A)と相溶し、かつ架橋剤を含有する高
分子材料、或いはその部分反応物を溶解しないものが使
用され、具体的には、上記溶媒(A)に例示したものと
同様の溶媒の他、シリコーンオイル、パラフィンオイル
等が使用可能であり、これらは、溶媒(A)と高分子材
料および架橋剤との関係で、適宜組み合わせて選択され
る。
【0019】高分子材料と溶媒(A)および溶媒(B)
の好ましい組み合わせの例としては、エピクロルロヒド
リンで架橋するカルボキシメチルセルロースに対して
は、溶媒(A)が水、水とメタノールまたはエタノール
との混合物、および溶媒(B)がアセトン、メチルエチ
ルケトンまたはテトラヒドロフランの組み合わせがあげ
られ、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエ
ポキシ化合物で架橋するポリ(メタ)アクリル酸、(メ
タ)アクリル酸共重合体に対しては、溶媒(A)が、
水、メタノール、エタノール、水とメタノールまたはエ
タノールとの混合物、および溶媒(B)がアセトン、メ
チルエチルケトンまたはテトラヒドロフランの組み合わ
せ等があげられる。
【0020】第2の工程では、溶媒(B)を撹拌しなが
ら、これに架橋剤を含有する高分子材料の溶液を液滴状
で、または少量ずつ添加混合する方法、および架橋剤を
含有する高分子材料の溶液を撹拌しながら、これに溶媒
(B)を少量ずつ添加混合した後、各種撹拌装置を用い
た高速撹拌、超音波分散等の分散方法を利用して撹拌す
る方法が好ましい。また、架橋剤を含有する高分子材料
の溶液を膜乳化プロセスを利用して溶媒(B)中に押出
し、分散粒子を形成する方法も適用可能である。
【0021】分散粒子の粒子径の制御は、撹拌羽根の形
状、撹拌速度、膜乳化法における膜の孔サイズ、分散媒
の粘度、高分子材料と溶媒の比、さらにはポリエチレン
グリコール誘導体、ソルビトールモノステアレート等の
ソルビトール誘導体等の界面活性剤等の分散安定剤の添
加など、従来公知の技術を用いて行なうことが可能であ
る。特に分散安定剤の添加は、球形の形状の粒子を作製
する上で好ましい。
【0022】本発明の製造方法では上記工程における粒
子化または第3工程の架橋反応の過程で、溶媒(A)を
溶媒(B)に移動させることによって粒子中の濃度を変
化させることが可能であり、例えば高分子の濃度を高め
ることが可能であり、それにより初期の高分子溶液の濃
度を下げ、粘度の低い溶液を使用することができ、微粒
子化が可能であり、さらに良好な物性の高分子ゲル粒子
を製造することができる。溶媒(A)を溶媒(B)に移
動させるためには、例えば、加熱、攪拌等の手段によっ
て実施することができる。
【0023】第3の工程において、溶媒(B)中に粒子
状に分散された部分的に反応した高分子材料は、分散粒
子の状態で、室温において、または加熱等によって架橋
反応を進めてもよく、また粒子から溶媒を除いた状態
で、同様にして架橋反応を進めてもよい。これにより、
高分子ゲル粒子を得ることができる。
【0024】高分子ゲル粒子の粒子径は、用途によって
種々選択可能であるが、一般に平均粒子径で0.001
μm〜5mmの範囲、好ましくは0.01μm〜1mm
の範囲に設定される。
【0025】本発明の高分子ゲル粒子には、用途によっ
て種々の化合物等を含有させることが可能である。含有
可能なものとしては、無機顔料、有機顔料、染料等の色
材、酸化防止剤等の安定剤、可塑剤、医療目的の薬品、
栄養物質、農薬、肥料等があげられる。これらのもの
は、上記第1工程において添加することによって含有さ
せることができる。
【0026】
【実施例】
実施例1 高分子材料として、カルボキシルメチルセルロース(第
一工業製薬社製:製品名BS−H;置換度=0.8)
2.0gを水98mlに溶解して溶液(濃度2%)を調
製し、この溶液に架橋触媒として水酸化ナトリウム0.
4gを添加、混合した。さらに架橋剤としてエピクロル
ヒドリン0.4gを添加し、得られた混合物を60℃の
温度で、10分間反応させた。この条件下におけるエピ
クロルヒドリンの反応割合について、別途エポキシ基を
NMR法で定量したところ、加えたエピクロルヒドリン
の官能基の約55%が反応していることが分かった。
【0027】上記の割合で反応した架橋剤を含む高分子
材料の溶液を、ホモジナイザーで高速撹拌したアセトン
300ml中に徐々に添加して分散させた。添加終了
後、約30分間連続撹拌して上記高分子材料の粒子を生
成させた。さらにこの粒子を含む分散液を圧力容器に入
れ、30℃で5時間反応させた。分散液を濾過して粒子
を取り出し、60℃で1時間反応させて架橋反応を終了
させた。得られた高分子ゲル粒子は収量が約2.0gで
あり、その平均粒子径は約20μmであり、100μm
以上の粗大粒子は含まれず、粒子径分布が比較的狭いも
のであった。また、高分子ゲル粒子の形状を観察したと
ころ、不定形であることが確認された。この高分子ゲル
粒子の吸水性を純水で測定したところ、約700g/g
の高い値を示した。
【0028】実施例2 実施例1と同様に処理を行い、架橋剤を反応させて部分
的に反応した高分子材料の溶液を調製した。ソルビトー
ル系界面活性剤(第一工業製薬社製:ソルゲン40)
0.12gをアセトン300mlに溶解して得た溶液を
調製し、この溶液を、上記の溶液中に高速撹拌の下で徐
々に添加し、分散して高分子粒子を生成させ、その後、
実施例1と同様にして架橋反応を行った。得られた高分
子ゲル粒子は、収量約2.0gであり、その平均粒子径
は約3μmであり、20μm以上の粗大粒子は含まれて
いなく、粒子径分布も狭いものであった。また、高分子
ゲル粒子の形状を観察したところ、ほぼ球状であること
が確認された。さらに、この高分子ゲル粒子の吸水性を
純水で測定したところ、約800g/gの高い値を示し
た。
【0029】比較例1 実施例1と同様にしてカルボキシルメチルセルロース
(第一工業製薬社製:製品名BS−H;置換度=0.
8)2.0gを水20mlに溶解して溶液(濃度約9
%)を調製した。得られた高分子溶液に、架橋触媒とし
て水酸化ナトリウム0.4gを添加し、混合した。この
高分子溶液の性状はグリース状で高粘度であった。この
高分子溶液に架橋剤としてエピクロルヒドリン0.4g
を添加、混合し、得られた混合物を、ソルビトール系界
面活性剤(第一工業製薬社製:ソルゲン40)0.12
gをトルエン300mlに溶解して得た溶液に添加し、
混合した。得られた高分子水性組成物をホモジナイザー
で高速撹拌し、高分子水性組成物をトルエン中に粒子状
に分散させようとしたところ、高分子水性組成物とトル
エンが2層に分離して粒子状に分散させることができ
ず、したがって高分子ゲル粒子を得ることはできなかっ
た。この結果から、粘度の高い高分子溶液を用いた場合
には、高分子溶液を粒子状に分散させることができず、
高分子ゲル粒子を形成することができないことが分かっ
た。
【0030】比較例2 高分子材料としてカルボキシルメチルセルロース(第一
工業製薬社製:製品名BS−H;置換度=0.8)2.
0gを水98mlに溶解して低濃度溶液(濃度2%)を
調製し、これに架橋触媒として水酸化ナトリウム0.4
gを添加し、混合した。さらに架橋剤としてエピクロル
ヒドリン0.4gを添加した。得られた高分子水性組成
物を、ソルビトール系界面活性剤(第一工業製薬社製:
ソルゲン40)0.12gをトルエン300mlに溶解
した溶液に混合し、ホモジナイザーで高速撹拌し、高分
子水性組成物をトルエン中に分散した。高分子水性組成
物はトルエン中に粒子状に分散させることが可能であ
り、これを撹拌しながら60℃の温度で、6時間架橋反
応を進行させた。しかしながら、加熱によって架橋反応
は進行せず、ゲル粒子を得ることができなかった。この
結果から、2%濃度の低濃度の高分子溶液を用いた場合
には、その溶液を粒子状に分散することは可能である
が、架橋反応は進行せず、高分子ゲル粒子が生成しない
ことが分かった。
【0031】比較例3 比較例2と同様にしてカルボキシルメチルセルロース
(第一工業製薬社製:製品名BS−H;置換度=0.
8)2.0gを水20mlに溶解して溶液(濃度約9
%)を調製し、これに、架橋触媒として水酸化ナトリウ
ム0.4gを添加し、混合した。得られた溶液の性状は
グリース状で高粘度のものであった。この溶液に架橋剤
としてエピクロルヒドリン0.4gを添加、混合し、こ
れを60℃の温度で、6時間反応させた。この反応によ
って高分子ゲルが生成した。得られた高分子ゲルの塊を
砕き、水およびメタノールを用いて未反応物等を抽出し
て精製した後、加熱乾燥した。得られた高分子ゲルの解
砕物を粉砕機およびミルを用いて乾式粉砕し、高分子ゲ
ル粒子を得た。得られた高分子ゲル粒子の平均粒子径
は、約120μmであり、上記実施例の場合に比べて大
きな粒子径のものであった。また、500μm以上の粗
大粒子を多量に含み、広い粒子径分布をもっていた。ま
た、形状は不定形であった。この高分子ゲル粒子の吸水
性を純水で測定したところ、約400g/g程度の値を
示した。
【0032】
【発明の効果】本発明の高分子ゲル粒子の製造方法によ
れば、高分子材料から幅広い範囲で粒子径の制御や形状
制御が可能であり、かつ優れた物性(強度、安定性、粘
弾性、吸水性、膨潤性等)をもつ高分子ゲル粒子を容易
に作製することが可能である。すなわち、本発明の高分
子ゲル粒子の製造方法においては、高分子材料を溶媒
(A)に溶解した溶液に架橋剤を加え、架橋剤の反応を
所定割合まで進行させた上で、この溶液を溶媒(B)と
混合し、分散させるから、高分子溶液の溶液粘度が比較
的低く、形状の加工が容易な状態で、撹拌等によって高
分子材料を造粒することができる。また、粒子化または
架橋反応の過程において高分子溶液中の溶媒(A)を溶
媒(B)中に移動させることにより、形成される高分子
材料の粒子中に存在する溶媒の濃度を低下させることが
できる。すなわち、初期の高分子溶液の濃度が低く粘度
の低い溶液を用いても、微粒子化が可能である。したが
って、本発明の高分子ゲル粒子の製造方法によれば、粒
子径の制御、形状制御および物性制御を同時に達成する
ことが可能となり、優れた物性(強度、安定性、粘弾
性、膨潤性など)をもつ高分子ゲルの微粒子を容易に製
造することができる。
【0033】また、本発明の高分子ゲル粒子には、無機
顔料、有機顔料、染料等の色材、酸化防止剤等の安定
剤、可塑剤、医療目的の薬品、栄養物質、農薬、肥料
等、用途に応じて種々の物質を含有させることが可能で
あり、したがって、種々の塗料、インク等の原料や添加
剤、ドラッグデリバリーシステム(DDS)等の生医学
用途に用いられる機能性粒子、吸水性樹脂、衛生剤、土
壌改良剤、人工雪、化粧品、生分解性材料等に利用可能
な有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高分子ゲル粒子の製造方法の工程図
である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子材料と溶媒(A)を含む溶液に架
    橋剤を添加して高分子材料と架橋剤を所定割合反応さ
    せ、得られた架橋剤を含有する高分子材料の溶液を、溶
    媒(A)と相溶可能であり、かつ該高分子材料を溶解し
    ない溶媒(B)と混合し、分散させて架橋剤を含む高分
    子材料の粒子を形成した後、該粒子の架橋反応を進行さ
    せることによって形成した高分子ゲル粒子。
  2. 【請求項2】 高分子材料が天然高分子またはその誘導
    体であることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル
    粒子。
  3. 【請求項3】 高分子材料と溶媒(A)を含む溶液に架
    橋剤を添加して高分子材料と架橋剤を所定割合反応さ
    せ、得られた架橋剤を含有する高分子材料の溶液を、溶
    媒(A)と相溶可能であり、かつ該高分子材料を溶解し
    ない溶媒(B)と混合し、分散させて架橋剤を含む高分
    子材料の粒子を形成し、次いで該粒子の架橋反応を進行
    させることを特徴とする高分子ゲル粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 高分子材料と溶媒(A)を含む溶液に複
    数の官能基を有する架橋剤を添加し、該架橋剤の官能基
    の一部を高分子材料と反応させ、得られた架橋剤が付加
    した高分子材料の溶液を、溶媒(A)と相溶可能であ
    り、かつ該高分子材料を溶解しない溶媒(B)と混合
    し、分散させて架橋剤が付加した高分子材料の粒子を形
    成し、次いで該架橋剤の残りの官能基を架橋反応させる
    ことを特徴とする高分子ゲル粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】 高分子材料が天然高分子またはその誘導
    体であることを特徴とする請求項3または4に記載の高
    分子ゲル粒子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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