JP3663586B2 - 越流堰清掃装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、越流堰清掃装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、矩形の沈澱池においては、沈澱池の幅方向に長手方向を向けて横断するように越流堰が配列されたり、あるいは、幅方向に直交する方向に長手方向を向けて越流堰が配列されている。前者の場合、越流堰の端から池側内縁に添って設けられた溝を通って排水がなされ、また一方、後者の場合、複数の越流堰の端部から直交して配した共通の集水溝に排水がなされる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この越流堰には、Vノッチが付されているが、その溝内面や上面さらにはVノッチ面等に多量の藻が付着する。これまでは、これらの藻を人手により定期的に清掃していたため、大変な作業を要求されていたし、沈澱池に落ちたりするおそれもあった。
この発明は前記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、機械的な装置でこれらの藻類を簡単かつ確実に除去することのできる越流堰清掃装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、一方向に連続して循環駆動されるチェーンの外周に複数のフライトを配備して同フライトが池底上にくるとき池底の汚泥を掻き寄せる一方水面にくるときにスカムを汚泥とは逆向きに掻き寄せるように汚泥・スカム掻寄装置を構成するとともに同汚泥・スカム掻寄装置より下流側に池長手方向にその長手方向を向けて越流堰を配備した矩形沈澱池において、同越流堰の長手方向両端にスプロケットを備えて両スプロケット間に循環運動自在に掛けられたチェーンにより堰長手方向に往復駆動自在なキャリアを装備するとともに、同キャリアに備えた除去具により越流堰の表面に付着する藻類を除去するように構成し、かつ、前記チェーンは、前記汚泥・スカム掻寄装置の回転軸回りのスプロケット側と前記越流堰のスプロケットとの間に掛けられたチェーンにより一方向に連続駆動されるように連動自在とされた越流堰清掃装置であって、前記越流堰のチェーンには、1本のピンが突設される一方、キャリア側には、下回りにくるピンと上回りにくるピンにそれぞれ係合可能で一定の負荷により弾性変形してピンとの係合を解除するリミッタが設けられていて、キャリアを往復運動可能に構成したことを特徴とする。
【0005】
【実施例】
以下、図示した実施例を参照してこの発明を詳細に説明する。
図1ないし図5は、この発明の一実施例を示している。この実施例において1は越流堰で、同越流堰1は、矩形沈澱池の幅方向に直交する方向に長手方向を向けて平行に配列されたものの1つである。この場合、複数の越流堰1の端部には図4および図5に示すように、直交して配した共通の集水溝2を通じて排水がなされる。
【0006】
越流堰1の左右外側には、パッキン3を介してVノッチ4が配され、押さえ板5により固定されている。この固定は、アンカー6にナット7をねじ込んでなされるが、ここでは、底付の孔8を押さえ板5に配列しておき、その中にナット7が収まるように工夫することで、清掃装置の除去具が移動しても引っ掛からないものである。
【0007】
ところで、越流堰1は、内底面a、内側面b、上面c、外側面dを備える。これらの面を次の装置で効果的に清掃する。
清掃装置は、キャリア10を備え、同キャリア10は、前後に向く2本の上側部材11を備え、同上側部材11の前後両端にL形の端部材12を備える。そして、端部材12の各端部には、下向きに伸びた脚部13が取り付けられ、同脚部13の各外側下部に走行ローラ14が取り付けられている。走行ローラ14は、越流堰1の上面cを転動するもので、同上面cから外れないように内端にフランジ15を備える。
【0008】
越流堰1の端部には、図4および図5に示すように、対向状にシーブ17が配され、各対のシーブ17間に駆動条材(ワイヤーロープ)18が掛けられている。そして、この駆動条材18の中途は、上側部材11の底面に固定したブラケット19に取り付けられている。20は駆動源で、共通軸21を介してシーブ17が同時駆動されることで、キャリア10は往復駆動される。
【0009】
上側部材11の4点には、縦孔が形成され、これらの孔を介して下端がL形をした取付板23…が取り付けられている。各取付板23は、上端の支持軸24とナット25により縦軸回りに適宜な角度で固定される構造になっている。そして、各取付板23にはゴム板でなる第1除去具26が張り付けられている。
【0010】
これらの第1除去具26…は、上からみて斜め方向に向けられ、一側の1対と他側の1対は、往復移動の一方において前後の一方が積極的に擦り上げながら進行し他方が消極的に擦りながら進行する。すなわち、上からみてハの字あるいはVの字になっている。
【0011】
第1除去具26は、図3に示すように、内底面aと内側面bの両面を1つの具で同時に擦るが、第1除去具26は、左右だけでなく前後にも離れて配置されているので、これらの間を越流水が自由に流れ得るようになっている。第1除去具26の枚数は同実施例に限定されず、左右1枚ずつで合計2枚で構成してもよい。
【0012】
28は第2除去具であり、同除去具28は、上面cを擦りながら進行する。第2除去具28は、端部材12の左右2点に設けられたブラケット29を介して取り付けられ、藻を溝内に持ち込むように、上からみて斜め面になるように固定され、その下端で擦りながら進行するようになっている。同第2除去具28は、側面からみて斜めに向けてもよい。
【0013】
31は第3除去具を示す、同除去具31は、ブラケット19の両端部から下向きに伸びた取付板32を介してVノッチ4を含む外側面dを擦りながら進行するように取り付けられている。この第3除去具31も側面からみて斜めに設けられてもよい。
【0014】
図1の実線矢印のように駆動条材18が駆動されると、ブラケット19を介してキャリア10が図の右方向に進行し、逆に破線矢印のように駆動条材18を駆動すると、キャリア10は図の左方向に進行する。その結果、キャリア10は往復駆動される。これに伴って、越流堰1は、第1〜第3除去具26,28,31が同時に擦りながら進行することで藻が除去される。尚、除去具はゴム板であったが、そのうち一部あるいは全部をブラシとすることがある。
【0015】
尚、図5のキャリア10の部分に仮想線で示すものは、第1除去具26の配列のし方で、上段のものは、進行方向に直交した面になるように配したもの、中段のものは、進行方向に斜めで全て平行に配列されたもの、下段のものは、ハの字に配した一側と平行に配した他側のものとを組み合わせたものを示している。また、図6に示すように、第1除去具26は上からみて半円筒状のものにしてもよい。
【0016】
図6は他の駆動方式を示す平面図である。すなわち、複数連の各越流堰1の長手方向両端部付近にそれぞれ縦軸状にシーブ35…を配し、これらのシーブ35…を蛇行状に巡回するように無端式の駆動条材36が掛けられている。この駆動条材36は、それぞれのキャリア10に取り付けられている。隣合うキャリア10は、互いに逆向きに進行するのであり、すなわち、シーブ35…のうち1つを往復駆動することで、キャリア10…は駆動される。
【0017】
尚、越流堰1の端部より乗り上げレール37を付加すれば、キャリア10がこれに乗り上がって越流堰1より外部に回避させることもできる。この場合、シーブ35の位置を仮想線のようにずらせる。
【0018】
尚、図7に示すように、第3除去具31(他の除去具も同様)をブラケット19にピン38で回転自在に止め付け、これにバネ39で付勢して、第3除去具31を外側面dに押し付けるように構成してもよい。また、同図に示すように、Vノッチ4は、越流堰1に埋め込んだメス孔40a付のアンカー40に丸頭41aのボルト41で締め付け固定するようにしてもよい。
【0019】
図8は他の実施例を示す。同実施例は、キャリア10に横軸43を設け、この軸43まわりに駆動条材18で前後揺動されるレバー44を取り付け、同レバー44を前後に90°の範囲で停止するようにストッパ45,45を1対配してある。そして、横軸43まわりには、L形をした取付板46を90°ずらせて取り付け、各取付板46に第1除去具26を取り付けてある。第1除去具26の一方のものは、内底面aの一側および一方の内側面bを、また、他方の第1除去具26は、内底面aの他側および他方の内側面bをそれぞれ擦りながら進行する。これが、レバー44を90°切り換え駆動することで交互になされる。
【0020】
すなわち、実線矢印の方向に駆動条材18が引かれることで、レバー44も同じ方向に倒れ、これにより一方の第1除去具26が除去作用をする。他方の第1除去具26は図示のように後方上にある。一方、図示破線矢印のように駆動条材18が引かれることで、他方の第1除去具26が溝内に回転してゆき擦りながら進行する。このように1対の第1除去具26,26が往復運動の度に交互に作用するのである。
【0021】
図9は他の実施例を示す。同実施例は、Vノッチ板50が2枚折り曲げにより形成されたもので、その内板50aが越流堰1にアンカー51およびナット52で取り付けられ、外板50bは、第3除去具31が当たらないように締め付け用の孔50cのみを形成したものになっている。
尚、この発明の越流堰清掃装置は、円形沈澱池その他の沈澱池の越流堰に適用がある。
【0022】
図10および図11は他の実施例を示す。この実施例は、汚泥・スカム掻寄装置Sの動力をそのまま利用して前記キャリア10を往復駆動させるものである。すなわち、汚泥・スカム掻寄装置Sは、回転軸60とスプロケット61とチェーン62とを備え、一方向(図10の右回り)に循環駆動されるチェーン62の外周にフライト63…を備えるが、水面近くの前後2本の回転軸60のうち越流堰64に近い側の回転軸60の外周に、前記スプロケット61とは別に動力取出のためのスプロケット65を取り付けてあり、このスプロケット65にチェーン66を介して他のスプロケット67を一方向に連続循環駆動するようにし、また、このスプロケット67と越流堰64側のスプロケット68間にチェーン69を掛けてある。越流堰64は、矩形沈澱池の長手方向(図10の左右方向)にその長手方向を向けて下流側の水面に配備されており、その前後両端にキャリア10駆動用のスプロケット70を配してある。尚、スプロケット68とスプロケット70とは同一軸芯上にある。
【0023】
図10において、フライト63は右まわりに駆動される。スプロケット61は右回転し、スプロケット65も右まわりに回転する。そして、チェーン66を介してスプロケット67も右回転し、さらにチェーン69を介してスプロケット68およびスプロケット70も全て右回転する。これは連続した回転で可逆回転ではない。これにより、チェーン71も右まわりに循環式に回転するが、図11のように、チェーン71にはその1個所にだけピン72が側方に突設されている。キャリア10の前端あるいは前および後端もしくは前後間には、板バネあるいは合成ゴム等でなるリミッタ73を上下に備える板材74が突設されている。
【0024】
スプロケット70のブラケットにはキャリア10が当たるストッパ75が突設されている。チェーン71は図示矢印方向に連続駆動され、ピン72がリミッタ73に係合しながらキャリア10を同行させる。例えば、図11は、ピン72が下まわりを左方向に移動して下側のリミッタ73に係合してキャリア10を左方向に同行させる様子を示している。ピン72がさらに左方向に移動してキャリア10の前側に突設したリミッタ取付材74が実線の位置から仮想線の位置に同行により進むと、ストッパ75に当り、リミッタ取付材74にはストッパ75からの負荷が掛かるようになり、そのとき、ピン72はそのまま左方向に強制駆動されるので、そのピン72はリミッタ73を弾性変形させて乗り越えるようになり、前記係合を解除することになる。
【0025】
これで一方向の清掃は終了したのであり、逆方向への清掃は、ピン72がスプロケット70を周回して上のリミッタ73に当たってキァリア10を同行することでなされる。この逆方向の清掃も上のリミッタ73をピン72が越えることで終了し、同ピン72が下まわりにきて下のリミッタ73に当たってキァリア10を同行することで反対方向への清掃駆動が始まる。
【0026】
尚、チェーン71の上および下まわりはキァリア10の重心より下方に位置させることもある。スプロケット70は縦軸まわりに回転することもある。チェーン71に代え、ワイヤーロープを使用してもよい。
【0027】
この実施例によれば、越流堰64側でリミッタ73を構成したので、チェーンの駆動方向を切り換えたりする複雑な機構が不要である。
尚、下まわりの回転軸60のスプロケット61に隣接してスプロケット65を配し、同スプロケット65にチェーン66を掛けてスプロケット67を駆動するようにし、チェーン69を駆動するようにしてもよい。
【0028】
また、同図に仮想線で示すように、回転支持軸100まわりにレバー101を支持し、同レバー101に係合爪102を備えるとともにバネ103で戻るようにし、係合爪102により常に同一方向に回転するようにラチェット歯104を設けるとともに、同歯104と同軸に配したスプロケット105でチェーン69を間欠的に同一方向に駆動するようにしてもよい。
【0029】
レバー101がフライト63により蹴られると、係合爪102がラチェット歯104に係合したまま左まわりに回転させるとともに、スプロケット105を同時に回転させてチェーン69を間欠駆動させる。これにより、前記実施例と同様にキァリア10を左方向に駆動させ、同キァリア10が端にくると、リミッタ73をピン72が越えて再び上方のリミッタ73にピン72が係合する。これで、キァリア10を往復駆動させ得る。また、フライト63上に、掛止爪111つきコンベア110を配して、フライト63で連動可能としてもよい。
【0030】
図12および図13は他の実施例を示す。同実施例は、越流堰80のをキァリア10で清掃するものにおいて、シーブ付モーター81と複数個のシーブ82…でワイヤーロープ83を平面矩形状に掛け渡し、モーター81を可逆回転駆動するものである。これにより、越流堰80の清掃と同時にスカムの掻き寄せも行うようにした。
【0031】
すなわち、ワイヤーロープ83を可逆回転させることで2列の越流堰80内をキァリア10を互いに逆方向に駆動されて清掃が可能であることは図示から明白である。池の中央には、トラフ85が横架され、その前側に回転軸86で上下揺動可能に支持された堰87が取り付けられている。この堰87は、水面以下にくることで、水面上のスカムをトラフ85内に誘引して流出させる。
【0032】
同スカム除去装置の前方には、ワイヤーロープ83の平行な部分にヒンジ88が設けられ、同ヒンジ88により開閉運動するように掻寄板89が取り付けられている。この掻寄板89は、水面以下からワイヤーロープ83以上の高さまでに設けられている。また、同掻寄板89の先端にはフロート90が取り付けられている。
【0033】
91は開放姿勢受体、92は閉止姿勢受体で、共にワイヤーロープ83に一定の前後間隔を置いて取り付けられている。前者91は、図12に示すように、2枚の掻寄板89が進行に伴って開いた時にその背部を受けて開いた形に保持しながら後から押し付けるものである。また後者92は、掻寄板89が左方向に戻る際に閉止状熊になるのを保持するとともに左方向に同行移動させるためのものである。
【0034】
すなわち、堰87の方向にワイヤーロープ83が引かれる場合、その抵抗で掻寄板89は自然に開き、その開き姿勢を開放姿勢受体91により保持する。そして、そのスカムをトラフ85内に誘引する。一方、ワイヤーロープ83が反トラフ方向に引かれる時、抵抗により掻寄板89は閉じ、それを閉止姿勢受体92で受けて保持しながらスカムを戻さないようにしながら復帰する。この往復運動をしてスカムをトラフ方向に押しやるのである。尚、掻寄板89がトラフ85側に接近した時に堰87を押し下げるようにしてもよい。
【0035】
尚、図13に仮想線で示すように、ワイヤーロープ83に下向きのカム93を備えておいて、堰87の方向に引かれる際に同堰87を押さえ込むようにしてスカムを誘引するように連動させてもよい。カム93が通過あるいは戻ることで、中空状の堰87は自力で浮上する。この場合、シーブ82は板想線82′のように横軸まわりに回転するようにしてカム93で押さえ込む際にワイヤーロープ83が抜けないようにしてもよい。このカム93は、掻寄板89の前に備え付けることもできる。また、同掻寄板89より図13の左側一部はワイヤーロープでなくロッド状にしてもよい。
【0036】
【発明の効果】
この発明は以上のような越流堰清掃装置であるので、機械的な装置でこれらの藻類を簡単かつ確実に除去することのできる越流堰清掃装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す越流堰清掃装置の側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】駆動装置の部分を示す断面図である。
【図5】清掃装置の全体平面図である。
【図6】他の駆動装置を示す平面図である。
【図7】他の実施例を示す断面図である。
【図8】他の実施例を示す斜視図である。
【図9】他の実施例を示す斜視図である。
【図10】他の実施例を示す側面図である。
【図11】同拡大図である。
【図12】他の実施例を示す平面図である。
【図13】同実施例の側面図である。
【符号の説明】
1,64,80…越流堰、4,50…Vノッチ、10…キャリア、17,35,81,82…シーブ、18,36…駆動条材。
Claims (1)
- 一方向に連続して循環駆動されるチェーンの外周に複数のフライトを配備して同フライトが池底上にくるとき池底の汚泥を掻き寄せる一方水面にくるときにスカムを汚泥とは逆向きに掻き寄せるように汚泥・スカム掻寄装置を構成するとともに同汚泥・スカム掻寄装置より下流側に池長手方向にその長手方向を向けて越流堰を配備した矩形沈澱池において、同越流堰の長手方向両端にスプロケットを備えて両スプロケット間に循環運動自在に掛けられたチェーンにより堰長手方向に往復駆動自在なキャリアを装備するとともに、同キャリアに備えた除去具により越流堰の表面に付着する藻類を除去するように構成し、かつ、前記チェーンは、前記汚泥・スカム掻寄装置の回転軸回りのスプロケット側と前記越流堰のスプロケットとの間に掛けられたチェーンにより一方向に連続駆動されるように連動自在とされた越流堰清掃装置であって、前記越流堰のチェーンには、1本のピンが突設される一方、キャリア側には、下回りにくるピンと上回りにくるピンにそれぞれ係合可能で一定の負荷により弾性変形してピンとの係合を解除するリミッタが設けられていて、キャリアを往復運動可能に構成したことを特徴とする越流堰清掃装置。
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