JP3661451B2 - ブラシレス回転電機の回転整流装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、整流素子の正負の各出力端子をそれぞれ接続するための端子接続用導電部材の構成に特徴を有するブラシレス回転電機の回転整流装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1は、ブラシレス発電機の回路図である。励磁用発電機G2 は、回転電機子型のものであって、回転電機子1と、固定磁極用コイル2とから成り、原動機により軸が回転されることにより、前記回転電機子1には、3相交流電流が発生(出力)する。この3相交流電流は、回転整流装置R’によって直流電流に整流され、この直流電流は、主発電機G1 の回転界磁コイル3に供給されて、該回転界磁コイル3により生成される回転磁界を励磁し得る。これにより、主発電機G1 の電機子コイル4に3相交流電流が発生する。
【0003】
前記回転整流装置R’は、6個のダイオードD1 〜D6 で構成されて、D1 〜D3 は、順極ダイオードであり、D4 〜D6 は、逆極ダイオードである。ダイオードD1 と同D4 、同D2 と同D5 及び同D3 と同D6 とがそれぞれ直列に接続され、それぞれ直列に接続された3組のダイオードが並列に接続され、順極ダイオードD1 〜D3 の正の出力端子5aと、逆極ダイオードD4 〜D6 の負の出力端子5bとは、異なる端子接続用導電部材(後述する短絡板41a,41b)にそれぞれ接続される。各導電部材は、主発電機G1 の回転界磁コイル3のJ,Kの各相に接続されている。このため、図1において、発電機における2点鎖線で囲まれる各部材が回転することになる。なお、図1において、40は、回転整流装置R’のサージ(瞬時的電圧変動)を吸収して、主発電機G1 の出力の安定を図るためのバリスタ(サージアブソーバ)であって、直列に接続された2個のダイオードに対して並列に接続されている。
【0004】
次に、図6を参照にして、ブラシレス発電機の従来の回転整流装置R’の機械的組付構造と電気的接続構造とについて簡単に説明する。ダイオードD1 〜D6 の各出力端子5a,5bを接続するための端子接続用導電部材は、半リング状をした一対の短絡板41a,41bで構成され、該一対の短絡板41a,41bは、円板状をした絶縁板42に対して複数本の固定ボルト43を介して部分的に重なり合った状態で一体に取付けられている。この回転整流装置R’は、その絶縁板42の部分において、発電機の軸に一体に取付けられる。順極ダイオードD1 〜D3 の正の出力端子5aは、短絡板41aに接続され、逆極ダイオードD4 〜D6 の負の出力端子5bは、別の短絡板41bに接続される。また、サージアブソーバであるバリスタ40は、半リング状をした各短絡板41a,41bの周方向に沿った両端部にそれぞれ接続されて、別の短絡板41a,41bに接続されて、しかも隙間44を介して相対向しているバリスタ40どうしは、リード線45を介して接続されている。
【0005】
また、絶縁板42における各ダイオードD1 〜D6 と相対向する周縁部には、各短絡板41a,41bに接続されたダイオードD1 〜D6 と同数の接続用のスタッドボルト46が取付けられていて、各スタッドボルト46と、これと対応する各ダイオードD1 〜D6 とは、リード線47を介してそれぞれ接続されている。また、図示されてはいないが、6本のスタッドボルト46は、その2本ずつが一組を構成していて(例えば、ダイオードD1 と同D4 に接続されている2本のスタッドボルト46が一組を構成している)、各組の対応するスタッドボルト46は、別のリード線(図示せず)によりそれぞれ接続されると共に、励磁用発電機G2 の回転電機子1のU,V,Wの各相の3本のコイル線(図示せず)と、前記した3組のスタッドボルト46とは、更に別のリード線によりそれぞれ接続され、主発電機G1 の回転界磁コイル3のJ,Kの各相のコイル線(図示せず)と、前記した各短絡板41a,41bとは、リード線に接続されている。なお、図6において、48は、回転軸を通す開口を示し、49は、回転整流装置R’を発電機の軸に取付ける際に使用されるボルト挿通穴を示す。
【0006】
従来の回転整流装置R’の機械的組付構造と電気的接続構造とは、上記のようであって、機械的な構成部材として、一対の短絡板41a,41bと、これに一体に取付けられる絶縁板42との少なくとも3つの部材を必要とし、これに加えて、電気的接続のために多数のリード線を要しているので、以下のような不具合がある。(1)機械的な構成部材として、少なくとも3つの部材を必要として、しかもこれらの各部材は、部分的に重なり合った状態で、組み付けられるので、発電機の軸に組み込む際の厚さが増して、発電機の寸法面での大型化を余儀なくさせる。(2)同様の理由により、各部材の組付けを必要とし、しかも、結線接続用のリード線の長さも長くなって、リード線の結線作業が複雑化する等して、製作のための工数が多くなる。(3)同様の理由により、回転整流装置としての重量が増して、発電機の重量の増加を余儀なくさせる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、正負の各端子接続用導電部材を絶縁基板の同一面にパターン化して形成したブラシレス回転電機の回転整流装置において、初期のサージ吸収作用が阻害されないようにすると共に、回転整流装置としての放熱性を高めることを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するための請求項1の発明は、整流回路を構成する整流素子の正負の各出力端子がそれぞれ接続される正負の各端子接続用導電部材を、絶縁基板の同一面にパターン化して形成したブラシレス回転電機の回転整流装置であって、前記絶縁基板の一方の面には、正負の各端子接続用導電部材がパターン化して形成され、その他方の面には、中央部において巻回方向が逆となるような渦巻状に抵抗線を巻回したサージ防止用抵抗を形成したことを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、絶縁基板の一方の面に、正負の各端子接続用導電部材をパターン化して形成し、その他方の面に、中央部において巻回方向が逆となるような渦巻状に抵抗線を巻回したサージ防止用抵抗を形成しているので、専用電気部品としての抵抗を絶縁基板に取付ける必要がなくなって、組付けが容易になると共に、放熱性が高まり、しかも抵抗の途中において電流の向きが逆となるために、発生磁束が相殺されて、無誘導性が確保でき、インダクタンス分の増加を伴わないため、初期のサージ吸収作用を阻害される恐れがない。
【0010】
【0011】
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、「従来の技術」の項目で説明した部分と同一部分には同一符号を付し、重複説明を避けて、本発明の特徴を構成する部分についてのみ説明する。図2は、本発明に係る回転整流装置Rの全体斜視図であり、図3は、同じく平面図であり、図4は、同じく背面図であり、図5は、発電機の軸31に回転整流装置Rが取付けられた状態を示す図である。図1ないし図4において、円板状の絶縁基板11の中心部には、発電機の軸31に嵌め込むための円形穴12が設けられ、該絶縁基板11の表面には、正負の各端子接続用導電部材13,14がプリント配線技術等によってパターン化して形成されている。プリント配線技術の場合には、各端子接続用導電部材13,14は、銅箔等で形成されるが、銅の薄板を一体に貼り付けて形成することも可能である。正側の端子接続用導電部材13は、絶縁基板11の前記円形穴12に臨む部分に環状に形成され、負側の端子接続用導電部材14は、絶縁基板11の外周縁部に環状に形成されている。
【0013】
また、正側の端子接続用導電部材13には、3個の突出部13aが周方向に沿って同一間隔をおいて外方に向けて半径方向に突出して形成されていると共に、負側の端子接続用導電部材14には、同じく3個の突出部14aが周方向に沿って同一間隔をおいて内方に向けて半径方向に突出して形成され、しかも、各導電部材13,14の突出部13a,14aは、周方向に沿って位相が60°だけずれた状態で形成されていて、各突出部13a,14aについて見ると、周方向に沿って交互に配置されている。なお、負側の端子接続用導電部材14の3個の突出部14aのうちの特定の1個は、他の2個よりも、その長さが長くなっていて、正側の端子接続用導電部材13に近接している。
【0014】
絶縁基板11における正側の端子接続用導電部材13の各突出部13aの先端部には、順極ダイオードD1 〜D3 がそれぞれ取付けられていると共に、絶縁基板11における負側の端子接続用導電部材14の各突出部14aの先端部には、逆極ダイオードD4 〜D6 がそれぞれ取付けられている。また、絶縁基板11における正負の各端子接続用導電部材13,14の各突出部13a,14aの間には、励磁用発電機G2 の回転電機子1のU,V,Wの各相のコイル線15u,15v,15wと接続するための3本の接続用のスタッドボルト16u,16v,16wがそれぞれ取付けられて、各スタッドボルト16u,16v,16wと、その両側に配置された順極ダイオードD1(D2,D3)及び逆極ダイオードD4(D5,D6)とは、それぞれリード線17を介して接続されている。
【0015】
正負の各端子接続用導電部材13,14の特定の1つの各突出部13a,14aには、主発電機G1 の回転界磁コイル3のJ,Kの各相のコイル線18j,18kを接続するための2本のスタッドボルト19j,19kが、絶縁基板11の中心に対して対称の位置にそれぞれ取付けられている。また、絶縁基板11の背面には、図4に示されるように、中央部において巻回方向が逆となるような渦巻状に抵抗線を巻回したサージ防止用の抵抗6が取付けられていて、その両端部は、主発電機G1 の回転界磁コイル3のJ,Kの各相のコイル線に接続される。また、図3及び図4において、22は、上記回転整流装置Rを発電機の軸31に取付けるボルト23を挿通するためのボルト挿通穴を示す。なお、図4においては、抵抗線の巻回方向の原理のみを図示してあり、絶縁基板11に設けられた円形穴12、各スタッドボルト16u,16v,16w及び同19j,19kとの干渉の問題は、考慮されていない。
【0016】
上記した結線接続によって、ダイオードD1 と同D4 、同D2 と同D5 及び同D3 と同D6 とがそれぞれリード線17を介して直列に接続されて、それぞれ直列に接続された3組のダイオードが並列に接続され、順極ダイオードD1 〜D3 の正の出力端子5aと、逆極ダイオードD4 〜D6 の負の出力端子5bとは、絶縁基板11にパターン化して形成された各端子接続用導電部材13,14にそれぞれ接続されて、図1に示されるブラシレス発電機の回路図と同一の電気回路が実現できる。
【0017】
そして、図5に示されるように、発電機の軸31に絶縁基板11を嵌め込んで、発電機の回転部のヨーク24に複数本のボルト23を介して該絶縁基板11を取付けると、回転整流装置Rは、発電機の軸31と一体となって回転する構成となる。また、絶縁基板11に取付けられるダイオードD1 〜D6 、スタッドボルト15u,15v,15w及び同19j,19kは、いずれも発電機の軸31に対して対称位置に取付けられているため、回転バランスも同時に図られる。
【0018】
上記実施例の回転整流装置Rは、機械的な構成部材としては、単に一枚の絶縁基板11のみで済むために、回転整流装置の薄型化と軽量化との双方が同時に達成できる。特に、絶縁基板11の背面側にサージ防止用の抵抗6を上記のように巻回して取付けると、抵抗6の途中において電流の向きが逆となって、発生磁束が相殺されて、無誘導性が確保できる。この結果、インダクタンス分の増加を伴わないため、抵抗6の有する初期のサージ吸収作用が阻害されなくなる。また、抵抗6の露出部分が大きくなって、その冷却効果も高くなるという独自の利点がある。
【0019】
【0020】
更に、上記したパターンは、単なる一例であって、絶縁基板11の回転バランス、結線接続等との関係において、種々設計し得る。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、絶縁基板の一方の面に、正負の各端子接続用導電部材をパターン化して形成し、その他方の面に、中央部において巻回方向が逆となるような渦巻状に抵抗線を巻回したサージ防止用抵抗を形成しているので、専用電気部品としての抵抗を絶縁基板に取付ける必要がなくなって、組付けが容易になると共に、放熱性が高まり、しかも抵抗の途中において電流の向きが逆となるために、発生磁束が相殺されて、無誘導性が確保でき、インダクタンス分の増加を伴わないため、初期のサージ吸収作用を阻害される恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ブラシレス発電機の回路図である。
【図2】 本発明に係る回転整流装置Rの全体斜視図である。
【図3】 同じく平面図である。
【図4】 同じく背面図である。
【図5】 発電機の軸31に回転整流装置Rが取付けられた状態を示す図である。
【図6】 従来の回転整流装置R’の斜視図である。
【符号の説明】
D1 〜D3 :順極ダイオード(整流素子)
D4 〜D6 :逆極ダイオード(整流素子)
6:サージ防止用の抵抗
G1 :主発電機
G2 :励磁用発電機
R:回転整流装置
11:絶縁基板
13:正側の端子接続用導電部材
14:負側の端子接続用導電部材
Claims (1)
- 整流回路を構成する整流素子の正負の各出力端子がそれぞれ接続される正負の各端子接続用導電部材を、絶縁基板の同一面にパターン化して形成したブラシレス回転電機の回転整流装置であって、
前記絶縁基板の一方の面には、正負の各端子接続用導電部材がパターン化して形成され、その他方の面には、中央部において巻回方向が逆となるような渦巻状に抵抗線を巻回したサージ防止用抵抗が形成されていることを特徴とするブラシレス回転電機の回転整流装置。
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JP31992498A JP3661451B2 (ja) | 1998-10-22 | 1998-10-22 | ブラシレス回転電機の回転整流装置 |
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JP3661451B2 true JP3661451B2 (ja) | 2005-06-15 |
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