JP3660078B2 - ポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品 - Google Patents

ポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品に関する。さら詳しくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下「PBT樹脂」と略記することがある)の組成物よりなり、少なくとも1個のヒンジ構造部を有するポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
PBT樹脂よりなる成形品は、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性などに優れているため種々の用途に使用されるが、それが電気部品のコネクター類、自動車用のワイヤーハーネスコネクター類、ファスナー類などに使用される時は、各種の結合、組合せ、固定のため機能を必要とするため、ヒンジ構造部を有する成形品として使用される例が増加している。近年、自動車の安全性、快適性、走行性能の向上のための機能の付加と、エレクトロニクス化の進行により自動車1台に搭載される電気部品類、ワイヤーハーネスコネクターなどのコネクター類の数が増加している。
【0003】
一方、自動車の燃費の向上のためには、自動車に搭載される電気部品類、コネクター類の軽量化が重要な課題となっており、電気部品類やコネクター類の小型化や高性能化が求められている。電気部品類やコネクター類は、剛直性、弾性(硬さ)などの物理的強度が要求されるが、一方、柔軟性を必要とするヒンジ部を有する成形品は、ヒンジ部が肉薄であるので成形時の流動性を発揮するPBT樹脂組成物が求められている。この良流動化を達成するために、従来は、PBT樹脂組成物の基体樹脂となるPBT樹脂を低粘度化することが行われていた。しかし、低粘度化したPBT樹脂からなる部品類やコネクター類は、より高粘度のPBT樹脂よりなる部品類やコネクター類に比べて脆く、薄肉部やヒンジ部に割れや欠けを発生し易く、低温条件下での使用で破損し易いという欠点がある。
【0004】
PBT樹脂製の電気部品類やコネクター類の使用比率の増加に伴い、部品類やコネクター類の組立てや運搬、または自動車への取り付け工程における部品類やコネクター類の薄肉部やヒンジ構造部の割れや欠けが大きな問題となっている。特に冬季の低温時における作業の場合や、部品類やコネクター類に大きな衝撃が加わった場合には、部品類の薄肉部やヒンジ構造部に割れや欠けが発生し、生産性を著しく低下させるという欠点があった。このため、使用樹脂のPBT樹脂の低粘度化には限界があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、電気部品類やコネクター類などの薄肉部やヒンジ構造部の割れや欠けを改善するために、PBT樹脂に各種のエラストマー成分を添加する方法が提案されている。この方法では、エラストマー成分をPBT樹脂中に小粒子状に分散させることにより、衝撃により生成したクラックの拡大を阻止し、耐衝撃性を向上させているため、エラストマー成分をPBT樹脂中に微細に分散させることが必須である。低粘度のPBT樹脂にエラストマーを添加した場合には、エラストマー成分の分散が困難で、充分な衝撃性改良の効果が得られないか、または、得られるPBT組成物の溶融粘度が上昇し、金型構造によっては、成形時にウェルドラインが薄肉部やヒンジ構造部に集中して発生し、これらウェルドラインが発生した部分の強度が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解消し、薄肉部やヒンジ構造部を有する成形品であるにもにも拘らず、製造時にこれら薄肉部やヒンジ構造部に充填不足(ショートショット)発生し難く、高温化で長時間曝しても着色したり、熱劣化が起こり難く、耐衝撃性が良好で、使用時に低温下で長時間曝しても、薄肉部やヒンジ構造部に割れや欠けが発生し難い、ヒンジ付き成形品を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を達成するための手段】
本発明者らは、かかる状況に鑑み、鋭意検討の結果、PBT樹脂に較べて弾性率が低下するため、電気部品類やコネクター類などの薄肉部やヒンジ構造部を有する成形品の材料としては、実用に耐えないと従来考えられていたポリテトラメチレングリコール(以下、PTMGと略記する)を共重合体成分として含むPBT樹脂(以下、共重合PBTと略記すことがある)に、特定の安定剤を組合わせることにより、上記の欠点を一挙に解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、上記課題を解決するため、本発明では、少なくとも1個のヒンジ構造部を有するポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品において、分子量500〜3500のポリテトラメチレングリコール共重合成分として3〜7重量%含むポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100重量部に、ヒンダードフェノール系化合物(B)0.05〜1.0重量部、および、チオエーテル系化合物(C)0.05〜1.0重量部を添加して得られる組成物りなることを特徴とする、ポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において「ヒンジ付き成形品」とは、1個の成形品の中に機能の異なる部分を有し、これら機能の異なる部分を連結する薄肉の連結部分を少なくとも1個有し、この連結部分が曲げ変形を受けることによって、機能を発揮する構造部を有する成形品を言う。上記機能を発揮する構造部としては、薄板状、フィルム状、紐状および糸状の構造などが挙げられる。
【0010】
本発明では、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)を共重合成分として3〜7重量%含むポリブチレンテレフタレート樹脂(A){以下、成分(A)と略記することがある}を基体樹脂とする。成分(A)としては、PTMGを共重合成分として7重量%よりも多く含む共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(共重合PBT)に、PBTホモポリマーを配合することにより、PTMG成分の含有量が3〜7重量%の範囲になるように調整したブレンド組成物であってもよい。
【0011】
PBTホモポリマー製の電気部品類やコネクター類などの薄肉部やヒンジ部を有する成形品では、低温で長時間使用した場合に薄肉部やヒンジ部の一部が欠損するのに対し、PTMGを共重合体成分として含む共重合PBTを基体樹脂とした場合には、従来のエラストマーの添加の場合と異なり、材料の流動性を損なわずに、成形品の薄肉部やヒンジ部に割れや欠けが発生するのを防止することができ、特に、従来のPBTホモポリマー製の電気部品類やコネクター類の問題とされていた、低温下での使用時の薄肉部やヒンジ部の割れや欠けを大幅に改良することができる。
【0012】
成分(A)のPTMGの共重合成分の含有量が3重量%未満の場合は割れ、割れや欠けの改良効果が不充分であり、また、PTMGの共重合成分の含有量が7重量%を越える場合には、成分(A)の弾性率低下に伴い成形品の薄肉部やヒンジ構造部の強度が低下し、小さな応力で壁面の変形が生じたり、ロック強度が低下するため実用上不適当である。成分(A)のPTMGの共重合成分を、成分(A)の3〜7重量%とした場合には、成形品の薄肉部やヒンジ部の強度が低下することがほとんどなく、電気部品類やコネクター類などのヒンジ付き成形品としての実用強度も十分である。
【0013】
成分(A)の中のPTMG共重合成分は、その分子量を500〜3500の範囲で選ぶものとする。分子量がこの範囲外であると、これを含む共重合PBT製の電気部品類やコネクター類などの成形品が、薄肉部やヒンジ部で割れや欠けが発生し、これらの発生を防止するという本発明の目的が達成できず、好ましくない。PTMG共重合成分の分子量の特に好ましい範囲は、650〜2000の範囲である。
【0014】
成分(A)は、フェノールと1,1,2,2ーテトラクロロエタンとを重量比で1対1に混合した混合溶液に1g/dlの濃度として溶解し、30℃の温度で測定した固有粘度が、0.6〜1.4g/dlの範囲のものが好ましい。固有粘度が0.6g/dl未満であると、成形品に割れや欠けが生じ易く実用的使用に耐えず、また、固有粘度が1.4g/dlを越えると、本発明の目的とする薄肉部やヒンジ部を有する成形品を製造することが困難となる。成分(A)の固有粘度の特に好ましい範囲は、0.7〜1.15g/dlのものである。
【0015】
従来、共重合PBTはPBTホモポリマーに比べて熱安定性が悪く、成形中に熱劣化、および、高温下での使用中に熱劣化が起こりやすいため、成形品の強度が低下し易く、割れや欠けの少ないヒンジ部を有する成形品を得るのは困難であった。この問題は、共重合PBTの分子量を下げて流動性の向上を試みた場合や、成形温度を上げて共重合PBTの流動性を高めた場合に顕著であった。本発明では、ヒンダードフェノール系化合物(B){成分(B)とも言う}、および、チオエーテル系化合物(C){成分(C)とも言う}を配合することによりこの問題を解決し、ヒンジやその他薄肉部位を有しながら、これらに割れ欠けのない電気部品類やコネクター類などの成形品が得られるようになった。
【0016】
ヒンダードフェノール系化合物(B){成分(B)}としては、トリエチレングリコール[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオールービス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチルーテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピル]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
【0017】
これらは単独でも、2種類以上の混合物であってもよい。中でも好適なものは、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンおよびペンタエリスリチルーテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である。
【0018】
ヒンダードフェノール系化合物(B)の添加量は、成分(A)に対し0.01〜1.0重量%の範囲で選ぶものとする。添加量が0.01重量%より少ないと所期の熱安定性が得られず、また、1.0重量%より多く添加しても添加量に比例して熱安定性は向上しない。成分(B)の特に好ましい添加量は、0.1〜0.5重量%である。
【0019】
チオエーテル系化合物(C){成分(C)}としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールーテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールーテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールーテトラキス(3−オクタデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールーテトラキス(3−ミリスチルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールーテトラキス(3−ステアリルチオプロピオネート)などが挙げられる。
【0020】
これらは単独でも、2種類以上の混合物であってもよい。中でも好適なものは、ペンタエリスリトールーテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールーテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールーテトラキス(3−オクタデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールーテトラキス(3−ミリスチルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールーテトラキス(3−ステアリルチオプロピオネート)などの分子量1000以上のチオエーテル化合物である。
【0021】
チオエーテル系化合物(C)の添加量は、成分(A)に対し0.01〜1.0重量%の範囲で選ぶものとする。添加量が0.01重量%より少ないと所期の熱安定性が得られず、また、1.0重量%より多く添加しても添加量に比例して熱安定性のは向上しない。成分(C)の特に好ましい添加量は、0.1〜0.5重量%である。
【0022】
成分(A)の溶融熱安定性を向上させるには、ヒンダードフェノール系化合物(B){成分(B)}の添加のみで可能である。しかし、成分(A)は酸化雰囲気下で加熱された場合には、淡赤色〜褐色に着色する場合がある。チオエーテル系化合物{成分(C)}を併用することにより成分(A)のこの様な着色を防止するとともに、成分(A)の熱安定性をさらに向上させることができる。
【0023】
成分(A)に、成分(B)および成分(C)を添加するには、(1)成分(A)の重縮合中に添加する方法、(2)成分(A)の重縮合完了後の溶融状態にある間に添加する方法、(3)ペレット状の成分(A)に、添加し溶融混練する方法などが挙げられ、これらのいずれの方法によって添加してもよい。
【0024】
成分(A)の製造工程中の少なくとも重縮合が終了する前に、次亜燐酸アルカリ金属塩を添加することにより、成分(A)の熱安定性と耐湿熱性とを改善することができる。これにより、成形品のヒンジ部の割れや欠けを低減できるとともに、高温高湿下での耐久性を改善できる。次亜燐酸アルカリ金属塩としては、次亜燐酸ナトリウム、次亜燐酸カリウム、次亜燐酸リチウムなどが挙げられ、特に次亜燐酸ナトリウムが望ましい。
【0025】
成分(A)に対する次亜燐酸アルカリ金属塩の添加量は、1〜1000ppmの範囲とするのが好ましい。添加量が1ppm未満では、添加の効果が充分得られず、また、1000ppmより多く添加しても、効果が変わらずかえって重縮合反応を阻害するので好ましくない。次亜燐酸アルカリ金属塩の好ましい添加量は、3〜200ppmであり、特に好ましいの5〜80ppmである。
【0026】
本発明に係るヒンジ付き成形品製造用の樹脂は、上記した通りであるが、この原料樹脂には、ヒンジ付き成形品の特性を失わない種類の各種樹脂添加剤を、特性を失わない範囲で配合することができる。配合することができる樹脂添加剤としては、着色剤、帯電防止剤、結晶核剤、可塑剤、滑剤、離型剤、充填剤、繊維状補強剤、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤などが挙げられる。
【0027】
上記ヒンジ付き成形品製造用の樹脂組成物から、目的のヒンジ付き成形品を製造するには、射出成形法によるのが一般的である。射出成形法によるときは、寸法の安定した同一形状の製品を多量に製造することができて、工業的に有利である。ヒンジ付き成形品としては、電気部品のコネクター類、自動車用のワイヤーハーネスコネクター類、ファスナー類などが挙げられる。中でも、自動車用のワイヤーハーネスコネクター類が好適である。
【0028】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、本発明は以下の記載例に限定されるものではない。
なお、以下の記載例において、基体樹脂の固有粘度、樹脂組成物によるヒンジ付き試験片の成形性、試験片についてのヒンジ特性試験は、以下に記載の方法で測定したものである。
【0029】
(1)固有粘度:フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとを重量比1対1の割合で混合した混合溶液に、1g/dlの濃度に溶解しウベローデ粘度計を使用して、30℃の温度で測定した。
【0030】
(2)ヒンジ付き試験片の作成および成形性の評価:
実施例および比較例において、図1に平面図、図2に側面図、図3に図2のヒンジ部Aの拡大側面図として示した通りの大きさ、形状のヒンジ付き試験片を、FUNAC50B型射出成形機に装着した金型を用いて成形した。図1ないし図3において、1および2は成形品本体部、3はヒンジ部、Gはゲートである。成形条件は、シリンダー温度…225℃、金型温度…50℃、射出圧力…850kg/cm2、射出速度…120mm/秒、射出時間…6秒、冷却時間…7秒、とした。
得られた試験片につき、充填不足(ショートショット)およびバリの有無目視観察し、下記のように判定した。充填不足は、主に試験片のヒンジ構造部で起こった。
○:良品、△:一部に充填不足有り、×:充填不足が著しい
【0031】
(3)ヒンジ特性試験
上記の方法で得られたヒンジ付き試験片を、図4に拡大側面図として示したように、ヒンジ部で180度折り曲げ、折り曲げた後のヒンジ部の外観を矢印の方向から目視観察し、表−1に示したように5段階で評価判定した。なお、表−1において、「めくれ」とは試験片の折り曲げた後のヒンジ部の目視観察した部分に、部分的な亀裂や剥離が生じて表面が平滑でなくなったことを意味する。ヒンジ特性試験は、各測定温度(23℃、10℃、0℃、−10℃、−20℃、−30℃)で5個の試験片について同様の試験を行い、外観評価結果を5段階で得点を付与し、5個の試験片の得点の合計を総合評価点とした。総合評価点の高いものほどヒンジ特性は良好であり、15点以上であれば、その測定温度で使用可能であると判断される。
【0032】
【表1】
Figure 0003660078
【0033】
[実施例1]
分子量1000のPTMGを10重量%を共重合成分として含有し、固有粘度1.15dl/gの共重合PBTを50重量%、固有粘度0.95dl/gのPBTホモポリマー49.2重量%、ペンタエリスルチルーテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.3重量%、ペンタエリスルトールーテトラキス−(3−ラウリルチオプロピオネート)0.3重量%、パラフィンワックス0.3重量%をそれぞれ秤量し、ブレンダーで均一に混合して混合物とした。得られた混合物を、2軸混練押出機によって混練してペレット化した。
【0034】
得られたペレットを使用して、上記(1)に記載したように、図1に示したヒンジ付き試験片を成形し、同時に成形性を評価し、得られた試験片につき上記(3)に記載した手順で、各温度(23℃、10℃、0℃、−10℃、−20℃、−30℃)でヒンジ特性試験を行った。その結果を、総合評価点として表−2に示す。
【0035】
[実施例2]
実施例1に記載の例において、PBTホモポリマーを次の方法で製造した代えた外は、同例におけると同様の手順でペレットを得た。この例におけるPBTホモポリマーは、PBTホモポリマー製造工程において減圧下で重縮合する前のオリゴマーに、次亜リン酸ナトリウム・1水塩を生成するポリマーに対して50ppm添加した後、所定の固有粘度に達するまで重縮合反応させたものである。
得られたペレットにつき、実施例1におけると同様の評価試験を行った。その結果を、表−2に示す。
【0036】
[実施例3]
実施例2に記載の例において、樹脂の種類を、分子量1000のPTMGを共重合成分として10重量%含有した共重合PBT、固有粘度1.15dl/gのPBTホモポリマー70重量%、および、固有粘度1.14dl/gのPBTホモポリマー29.2重量%よりなる混合物に代えた以外は、同例におけると同様の手順でペレットを得た。
得られたペレットにつき、実施例1におけると同様の評価試験を行った。その結果を、表−2に示す。
【0037】
[実施例4]
分子量1000のPTMGを10重量%共重合成分として含有し、固有粘度1.15dl/gの共重合PBT30重量%、固有粘度0.95dl/gのPBTホモポリマー69.2重量%、ペンタエリスルチルーテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.3重量%,ペンタエリスルトールーテトラキス−(3−ラウリルチオプロピオネート)0.3重量%、パラフィンワックス0.3重量%をそれぞれ秤量し、ブレンダーで均一に混合した混合物とした。得られた混合物を、2軸混練押出機によって混練してペレット化した。
得られたペレットにつき、実施例1におけると同様の評価試験を行った。その結果を、表−2に示す。
【0038】
[比較例1]
固有粘度1.06dl/gのPBTホモポリマー99.4重量%と、ペンタエリスルチルーテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.3重量%、ペンタエリスルトールーテトラキス−(3−ラウリルチオプロピオネート)0.2重量%、パラフィンワックス0.3重量%をそれぞれ秤量し、ブレンダーで均一に混合した混合物とした。得られた混合物を、2軸混練押出機によって混練してペレット化した。
得られたペレットにつき、実施例1におけると同様の評価試験を行った。その結果を、表−2に示す。
【0039】
[比較例2]
固有粘度1.13dl/gのPBTホモポリマー96.4重量%と、コアシェル型アクリルゴム3重量%、ペンタエリスルチルーテトラキス[3−(3,5ージ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.3重量%、ペンタエリスルトールーテトラキス−(3−ラウリルチオプロピオネート)0.2重量%、パラフィンワックス0.3重量%をそれぞれ秤量し、ブレンダーで均一に混合した混合物とした。得られた混合物を、2軸混練押出機によって混練してペレット化した。
得られたペレットにつき、前記(2)に記載の方法でヒンジ試験片を作成したが、この例の基体樹脂を使用した場合は、ヒンジ部分を有する試験片の一部に充填不足が生じたので、ヒンジ特性試験は行わなかった。
【0041】
【表2】
Figure 0003660078
【0042】
表―1および表―2から、次のことが明らかである。
(1)本発明に係るポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品製造用の樹脂組成物は、成形性に優れている(実施例1〜実施例4参照)。
(2)本発明に係るポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品は、常温から―30℃の低温に曝しても優れたヒンジ特性を発揮する(実施例1〜実施例4参照)。
(3)これに対して、比較例1の成形品製造用の樹脂組成物は、成形性は優れているがヒンジ特性において実施例のものより劣る。また、比較例2のものは、成形性が劣り目的とするヒンジ付き成形品を製造することができない。
【0043】
[実施例5]
実施例1に記載の樹脂を使用して、FUNAC50B型射出成形機で、図5に斜視図を示した自動車用ワイヤーハーネスコネクターを製造した。図5において、51は係止板、52はロック部、53は薄肉部、54はコネクターの外壁、55はコネクター中間壁、56、57はヒンジ部である。
この際の成形条件は、シリンダー温度・・225℃、金型温度・・50℃、射出圧力・・850/cm、射出速度・・120mm/秒、射出時間・・6秒、冷却時間・・7秒とした。得られた自動車用ワイヤーハーネスコネクターにつき、常温で、そのヒンジ部を矢印の方向に90度折曲げる試験を30回繰り返して行っても、ヒンジ部56、57に剥離・めくれ、割れなどは発生しなかった。
【0044】
比較例1に記載の樹脂を使用して、実施例5に記載の例と同様にして図4に示した自動車用ワイヤーハーネスコネクターを製造した。得られた自動車用ワイヤーハーネスコネクターにつき、常温で、ヒンジ部で90度折曲げる試験を30回繰り返して行うと、ヒンジ部56、57に剥離・めくれが発生した。
【0045】
本発明に係るポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品は、次の様な特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係るポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品製造用の樹脂組成物は、基体のポリエステル樹脂の分子量を特定の範囲としているので、成形性に優れており、薄いヒンジ部を有する成形品であっても充填不足(ショートショット)を生じることなく製造することができる。
2.本発明に係るポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品製造用の樹脂組成物は、成分(B)および成分(C)が特定量配合されているので、高温下で長時間曝されても着色したり、熱劣化を起したりし難い。
【0046】
3.本発明に係るポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品は、常温から―30℃の低温に曝しても、ヒンジ部に割れや欠けが生じることがなく、優れたヒンジ特性を発揮する。
4.本発明に係るポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品が自動車用ワイヤーハーネスコネクターである場合には、常温から―30℃の低温でも割れや欠けが生じ難いので、低温下でコネクターに衝撃が加わっても、割れや欠けが生じ難いので、冬季における低温時での生産性を向上させることができ、冬季における低温時での長期間の使用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒンジ特性試験用のヒンジ付き試験片の平面図である。
【図2】 ヒンジ特性試験用のヒンジ付き試験片の側面図である。
【図3】 ヒンジ付き試験片のヒンジ部の拡大側面図である。
【図4】 ヒンジ特性試験の状態を示す概念図である。
【図5】 自動車用ワイヤーハーネスコネクターの一例の斜視図である。
【符号の説明】
1、2:成形品本体部
3:ヒンジ部
G:ゲート
51:係止板
52:ロック部
53:薄肉部分
54:コネクターの外壁
55:コネクターの中間壁
56、57:ヒンジ部

Claims (3)

  1. 少なくとも1個のヒンジ構造部を有するポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品において、分子量500〜3500のポリテトラメチレングリコールを共重合成分として3〜7重量%含むポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100重量部に、ヒンダードフェノール系化合物(B)0.05〜1.0重量部、および、チオエーテル系化合物(C)0.05〜1.0重量部を添加して得られる組成物りなることを特徴とする、ポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品。
  2. 成分(A)が、これを製造する工程中の少なくとも重縮合が終了する前に1〜1000ppmの次亜燐酸アルカリ金属塩を添加して製造されたポリテトラメチレングリコール共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂である、請求項1記載のポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品。
  3. 成形品が、自動車用ワイヤーハーネスコネクターである請求項1または請求項2に記載のポリエステル樹脂製のヒンジ付き成形品。
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