JP3659564B2 - 半導体結晶の製造方法およびこれを利用する製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、SiCなどの半導体の単結晶膜を得る半導体結晶の製造方法およびこれを利用する製造装置に関する。更に詳述すると、本発明は単結晶基板の加熱手法を改良した半導体結晶の製造方法およびこれを利用する製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の単結晶成長装置100としては、例えば図13に示すいわゆる横型低温壁誘導加熱式結晶成長装置のように、半導体の単結晶から成る単結晶基板101と、この単結晶基板101を支持する基板支持台(以下、サセプタと呼ぶ)102と、単結晶基板101およびサセプタ102の周囲に反応ガス103を供給するための供給管104と、サセプタ102を誘導加熱する誘導コイル105とを備えたものがある。図中矢印は反応ガス103の流通方向を示す。
【0003】
この単結晶成長装置100では供給管104は水平で、その周囲に誘導コイル105が巻かれている。サセプタ102は板状で、上面102aを反応ガス103の上流側に僅かに傾けて設置されている。サセプタ102の上面102aには単結晶基板101が載置される。そして、サセプタ102を誘導加熱して単結晶基板101を1500℃程度に加熱すると共に反応ガス103を供給することにより、単結晶基板101の表面に反応ガス103の成分元素あるいは化合物を連続して析出成長させ単結晶薄膜を成膜するようにしている。
【0004】
また、図14に示す単結晶成長装置100は、いわゆる横型高温壁誘導加熱式結晶成長装置である。この単結晶成長装置100では、サセプタ102は筒状で反応ガス103の流れ方向に平行に設置される。サセプタ102の内周部の底面102b上には単結晶基板101が載置される。さらに、この単結晶成長装置100の供給管104を鉛直方向に配置したいわゆる縦型高温壁誘導加熱式結晶成長装置もある(図示せず)。
【0005】
そして、図15に示す単結晶成長装置100は、いわゆる縦型低温壁誘導加熱式結晶成長装置である。この単結晶成長装置100では、供給管104は鉛直方向に配置されており、反応ガス103が上方から下方に向けて流されている。誘導コイル105は、支持ブロック106に覆われて供給管104の内部に配置され、反応ガス103から遮蔽された状態でサセプタ102を誘導加熱するように設けられている。サセプタ102は板状で、反応ガス103の流れ方向に直交するように支持ブロック106上に載置されている。サセプタ102の上面102aには単結晶基板101が載置される。
【0006】
これらの単結晶成長装置100によっても、サセプタ102を誘導加熱して単結晶基板101を加熱すると共に反応ガス103を供給することにより、単結晶基板101の表面に単結晶薄膜を成膜することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した単結晶成長装置100では、サセプタ102に高周波誘導を与える構造が採られているため、サセプタ102が装置内で最も高温(例えば1500℃以上)に成ってしまう。このため、高温時にサセプタ102の表面が反応ガス103あるいはキャリヤガスによりエッチングされることがある。このサセプタ表面のエッチングは、サセプタ102からの不純物放出の要因となって形成された単結晶膜の純度を下げてしまうことがある。
【0008】
また、表面にコーティング膜を施したサセプタ102を使用する場合には、エッチング作用が生ずることによりコーティング膜の寿命を短縮させる要因になってしまう。このサセプタ102の表面のエッチング作用はサセプタ102の温度が高くなるにつれて顕著になるので、特に高温(1500℃以上)かつ長時間の反応が必要となる膜厚の厚いSiC単結晶膜の製造を阻害する。
【0009】
さらに、単結晶基板101は高温のサセプタ102からの伝熱により加熱されるので、温度上昇に伴って単結晶基板101とサセプタ102との温度差が大きくなる傾向がある。この単結晶基板101とサセプタ102との温度差は、サセプタ102のコーティング膜の寿命を短縮させる要因になることがある。すなわち、例えばグラファイト製の本体の表面に多結晶SiCをコーティングしたサセプタ102を使用する場合には、サセプタ102の表面の多結晶SiCが気相結晶成長(本明細書中では、エピタキシャル成長の場合を意味する)中に昇華して単結晶基板101の裏面に堆積することがある。これにより、単結晶基板101の背面部のサセプタ102のコーティングが剥離してグラファイト面が露出してしまう。しかも、気相結晶成長後に単結晶基板101の裏面をポリッシングしなければならず、作業工程が増えてしまう。
【0010】
これに加え、特に減圧下(例えば1.333×10 4 Pa以下)では伝熱量が低下するため、単結晶基板101とサセプタ102との温度差が大きくなる傾向が顕著になる。このため、減圧下での単結晶基板101の加熱が困難になってしまう。
【0011】
これに対し、サセプタ102が装置内で最も高温になることを防止するために、図16に示すいわゆる縦型低温壁輻射加熱式結晶成長装置のように、供給管104の外部に設けた赤外線ランプ107の輻射加熱により単結晶基板101を加熱することが考えられる。しかし、単結晶基板101をSiC結晶成長に必要な高温(1500℃)に保持するためには非常に大出力の赤外線ランプを開発しなければならない。このため、このような大出力の赤外線ランプを得ることが困難であるので、SiCの単結晶成長には通常使用されない。
【0012】
一方、現在市販されている板状のSiC単結晶は、結晶中の結晶欠陥や残留応力に起因した結晶湾曲を含んでいる。市販のSiC単結晶を単結晶基板101として単結晶成長装置100により結晶成長を行うときには、SiC単結晶の結晶湾曲は結晶成長時の結晶欠陥の発生要因の一つとなってしまう。
【0013】
そこで、本発明は、サセプタ表面のエッチング作用による不純物放出やコーティング膜の劣化を防止すると共に単結晶基板の結晶湾曲を改善する半導体結晶の製造方法およびこれを利用する製造装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の半導体結晶の製造方法は、誘導加熱手段により固体輻射部材のみを誘導加熱して、前記固体輻射部材に対し間隔をあけて設置される単結晶基板及び該単結晶基板を支持する基板支持手段を前記固体輻射部材からの固体輻射熱のみで加熱することによって、前記固体輻射部材の温度よりも前記単結晶基板並びに前記基板支持手段の温度が低くかつ単結晶基板の温度が単結晶基板の背面の基板支持手段の表面の温度よりも高くなる温度勾配を設定し、前記単結晶基板の表面に反応ガスを供給し、前記単結晶基板の表面並びに基板支持手段の表面で前記反応ガスの成分元素あるいは化合物を連続的に析出させ単結晶膜を製造するようにしている。また、請求項3記載の発明は、反応ガスを流す供給管の外に配置されている誘導加熱手段と、前記供給管内に配置され前記誘導加熱手段により誘導加熱される固体輻射部材と、該固体輻射部材の内側に前記固体輻射部材に対し間隔をあけて配置されその表面に前記固体輻射部材に対し間隔をあけて単結晶基板を支持する基板支持手段を備え、前記誘導加熱手段により前記固体輻射部材のみを誘導加熱して、前記固体輻射部材からの固体輻射熱のみで前記基板支持手段及びこれに支持される前記単結晶基板を加熱することによって、前記固体輻射部材の温度よりも前記単結晶基板並びに前記基板支持手段の温度が低くかつ単結晶基板の温度が単結晶基板の背面の基板支持手段の表面の温度よりも高くなる温度勾配を設定し、前記単結晶基板の表面並びに前記基板支持手段の表面で前記反応ガスの成分元素あるいは化合物を連続的に析出させ単結晶膜を製造するものである。
【0015】
したがって、固体輻射部材が誘導加熱されることによって単結晶基板および基板支持手段が固体輻射部材に非接触で固体輻射加熱されると共に、単結晶基板と基板支持手段の温度を固体輻射部材の温度よりも低い状態にすることができる。この状態で、反応ガスを装置内に導入すると、単結晶基板と基板支持手段の温度が固体輻射部材の温度よりも低いために単結晶基板の表面ならびにサセプタの表面で反応ガスの成分元素あるいは化合物が連続的に析出する。このため、単結晶基板に用いた結晶が気相結晶成長するとともに、基板支持手段の表面に新たな多結晶膜が形成されることになる。よって、結晶成長時に基板支持手段の表面はエッチングされなくなり、当該表面のエッチング作用に起因する基板支持手段からの不純物放出や基板支持手段の表面のコーティング膜の寿命低下が防止され、長時間の高品質結晶成長が実現される。
【0016】
また、単結晶基板は固体輻射部材からの輻射によって加熱されるため、固体輻射部材とは非接触な状態で単結晶基板の高温均一加熱が実現される。輻射加熱であることから、減圧下(1.333×10 4 Pa以下)においても1500℃以上の単結晶基板の加熱が容易であるとともに、単結晶基板と基板支持手段の間も密着する必要がないため単結晶基板と基板支持手段の接触面積を低減することができる。これにより、固体輻射部材と非接触な状態での単結晶基板の均一加熱ならびに結晶成長時の単結晶基板と基板支持手段との接触面積の低減の両者が実現される。さらに、この配置においては単結晶基板の温度を基板支持手段の温度よりも高くすることが可能となり、結晶成長中に単結晶基板の基板支持手段側表面に不要な堆積が発生しない。この状態で、単結晶基板を高温加熱および結晶成長することで、単結晶基板の残留応力を小さくして結晶湾曲の改善が可能となり、結晶性の高い高品質なSiC単結晶を提供できるようになる。
【0017】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の半導体結晶の製造方法において、単結晶基板は基板支持手段によって鉛直に支持されているようにしている。さらに、請求項4記載の発明は、請求項3記載の半導体結晶の製造装置において、単結晶基板は基板支持手段によって鉛直に支持されているようにしている。
【0018】
したがって、単結晶基板をフリースタンディングに近い状態で立たせることができるので、従来の横型結晶成長装置のように基板支持手段の上に単結晶基板を置く場合に比べて単結晶基板と基板支持手段の接触面積を低減することができる。しかも、水平な単結晶基板の端部のみを保持して基板支持手段から離して支持する場合に比べると、単結晶基板の自重による撓みを抑制することができる。これにより、単結晶基板の残留応力を小さくして結晶湾曲の改善が可能となり、結晶性の高い高品質なSiC単結晶を提供できるようになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。本実施形態では、半導体結晶の製造装置をSiCの単結晶を製造するものとしている。
【0020】
本発明の半導体結晶の製造装置1は、図1に示すように、誘導加熱手段2と、該誘導加熱手段2により誘導加熱される固体輻射部材3と、該固体輻射部材3により加熱される単結晶基板4とを備えている。そして、単結晶基板4を加熱してその表面5に反応ガス6を供給することによって、表面5に反応ガス6の成分元素あるいは化合物を連続して析出成長させ単結晶膜を製造する。
【0021】
そして、この製造装置1は、固体輻射部材3に対し間隔をあけて設置される基板支持手段(以下、サセプタという)7を備えている。サセプタ7及びこれに支持される単結晶基板4は、固体輻射部材3に対し間隔をあけて配置されている。このため、サセプタ7及び単結晶基板4は、固体輻射部材3からの固体輻射熱によって加熱される。ここで、誘導加熱手段2によって与えられる高周波誘導によっては固体輻射部材3のみが誘導加熱されるので、固体輻射部材3が装置1内で最も高温になりサセプタ7は固体輻射部材3よりも低温になる。これにより、サセプタ7の表面8でのエッチング作用を抑えてサセプタ7からの不純物放出やサセプタ7のコーティング膜の劣化を防止することができるので、高温かつ長時間の結晶成長を図ることができ高品質の結晶を得ることができる。
【0022】
製造装置1は、反応ガス6を流通させる供給管9を備えている。供給管9の内側にはサセプタ7および固体輻射部材3が収容されて、いずれも互いに非接触にして治具(図示せず)等で支持されている。
【0023】
供給管9としては、誘導加熱手段2により誘導加熱されないように例えば石英製の縦型水冷2重管を採用している。キャリヤガス10ならびに反応ガス6は、図中矢印で示すように供給管9の下部より導入して上部より排出するようにしている。このため、高温時に単結晶基板4およびサセプタ7付近でガス6,10が熱せられて上昇方向に向かう自然対流が発生しても、ガス6,10の流れと自然対流の主方向とが一致するので、円滑なガス流を維持することができる。供給管9に流通するガス系は、キャリヤガス10として水素(および必要に応じてヘリウム)、反応ガス6としてモノシランおよびプロパンを使用している。
【0024】
また、供給管9の周囲には誘導加熱手段2が設けられている。本実施形態では誘導加熱手段2は供給管9の周囲に巻かれた誘導コイルとしている。この誘導加熱手段2に例えば発振周波数30kHz、最大出力50kWの高周波発振を与えて固体輻射部材3を誘導加熱する。
【0025】
固体輻射部材3はコーティングの無いグラファイト製で、供給管9に平行に配置された例えば円筒形状としている。この固体輻射部材3の内側にサセプタ7が治具によって非接触に設置されている。固体輻射部材3の周囲にはカーボン断熱材が設置されている。これにより、固体輻射部材3を約1800℃以上に加熱することができる。ところで、固体輻射部材3の表面は高温加熱時に昇華またはエッチングされる。そして、固体輻射部材3にはコーティングを施していないことから不純物種の拡散が考えられる。しかし、この製造装置1では、固体輻射部材3から単結晶基板4に向けて拡散する不純物種に対し、ガス流が垂直に作用して不純物種を押し流してしまうので、不純物種の単結晶基板4への付着を抑制することができる。
【0026】
本実施形態では固体輻射部材3にはコーティングを施していないが、これには限られずグラファイト製の固体輻射部材3にSiCコーティングを施すようにしても良い。この場合、SiCのコーティングによりグラファイト材からの不純物放出を防止することができるので、不純物種の単結晶基板4への悪影響をさらに抑制することができるようになる。また、固体輻射部材3にコーティングを施したとしても、固体輻射部材3とサセプタ7および単結晶基板4が分離しており互いに接触しない構造であるため、固体輻射部材3へのサセプタ7や単結晶基板4の接触によるSiCコート膜の損傷を防止できる。
【0027】
サセプタ7は従来のように誘導加熱されるものではないので、形状の自由度を大きくすることができる。本実施形態では、サセプタ7は楔形に形成されており、尖端をガス流の上流側に向けて配置されている。サセプタ7の2つの傾斜した表面8にそれぞれ単結晶基板4を設置する。このため、単結晶基板4は成長面をガス流の上流側に斜めに向けてサセプタ7に支持される。これにより、反応ガス6の成分が単結晶基板4の成長面に吹き付けられるので、結晶成長を促進することができる。
【0028】
具体的には図2に示すように、サセプタ7の傾斜面8には縦方向に沿った保持溝23が形成されている。この保持溝23の両側部には、保持溝23の中心側に突出したフランジ部24が形成されている。さらに、保持溝23の下端部には単結晶基板4を下方から支持する支持部25が形成されている。そして、単結晶基板4は保持溝23に上側から挿入されると単結晶基板4の両側部がフランジ部24に引っ掛かって支持されると共に単結晶基板4の下端部が支持部25により支持されてサセプタ7に保持される。ここで、保持溝23の深さおよびフランジ部24の厚さは、保持溝23に支持された単結晶基板4の裏面がサセプタ7から離れているようにする。これにより、単結晶基板4のサセプタ7への接触部位を両側部と下端部とに抑えて接触面積の低減を図ることができる。本実施形態ではサセプタ7の表面8に保持溝23を形成してその両端部のフランジ部24により単結晶基板4の両側部を支持しているが、これには限られず図3に示すようにサセプタ7の表面8に単結晶基板4の両側部を支持する爪部26を形成するようにしても良い。この場合も、単結晶基板4のサセプタ7への接触部位を両側部と下端部とに抑えて接触面積の低減を図ることができる。
【0029】
サセプタ7に支持可能な単結晶基板4の大きさは、例えば直径2インチにしている。本実施形態ではサセプタ7を楔形に形成しているが、これには限られず板状や直方体状などの他の形状であっても良い。
【0030】
ここで、サセプタ7は、単結晶基板4の表面5が斜め下方を向くように単結晶基板4の両端を保持している。このため、加熱中に単結晶基板4は鉛直なフリースタンディングに近い状態になるので、従来の横型結晶成長装置のように水平なサセプタの上に単結晶基板4を置く場合に比べて単結晶基板4とサセプタ7の接触面積を低減することができる。しかも、単結晶基板4が比較的大きなものであるときは、水平な単結晶基板4の両端部のみを保持してサセプタ7から離して両持ち支持する場合に比べて、単結晶基板4の自重による撓みを抑制することができる。これにより、単結晶基板4の残留応力を小さくして結晶湾曲の改善が可能となり、結晶性の高い高品質なSiC単結晶を提供できるようになる。
【0031】
また、サセプタ7はSiCコートされたグラファイト製としている。SiCのコーティングによりグラファイト材からの不純物放出を防止することができるので、高純度の結晶膜を得ることができる。この製造装置1では、固体輻射部材3内に配置されるサセプタ7の温度は、固体輻射部材3よりも低い温度となるため、結晶成長中にサセプタ7の表面8に多結晶SiCが析出される。このため、結晶成長時にサセプタ7の表面8がエッチングされなくなるので、従来の結晶成長装置で高温かつ長時間の結晶成長を行ったときにサセプタ7の表面8でエッチング作用が生ずる問題を解消することができる。さらに、単結晶基板4の温度はその背面のサセプタ7の表面8より高い温度となるため、気相結晶成長中に単結晶基板4の裏面にサセプタ7上の多結晶SiCが付着されなくなるという利点を有している。
【0032】
単結晶基板4としては、市販のSiC単結晶を使用している。市販のSiC単結晶は結晶中の結晶欠陥や残留応力に起因した結晶湾曲を含んでいるのが通常であるが、本製造装置1では単結晶基板4が固体輻射部材3に接触していないので、単結晶基板4とサセプタ7との接触面積を減少することができる。このため、加熱時および結晶成長時での単結晶基板4の残留応力を小さくすることができるので、単結晶の結晶湾曲を抑えて結晶性の高い単結晶を得ることができる。
【0033】
上述した製造装置1を用いてSiCの単結晶を製造する方法を以下に説明する。
【0034】
供給管9の内部を減圧すると共にキャリヤガス10および反応ガス6を流通させる。そして、誘導加熱手段2により高周波発振を行って、固体輻射部材3を誘導加熱する。固体輻射部材3は輻射して単結晶基板4を加熱する。これにより、単結晶基板4とサセプタ7の温度が固体輻射部材3の温度よりも低いために単結晶基板4の表面5ならびにサセプタ7の表面8で反応ガス6の成分元素あるいは化合物が連続的に析出する。このため、単結晶基板4に用いたSiC結晶が成長するとともに、サセプタ7の表面8に新たな多結晶SiC膜が形成されることになる。
【0035】
そして、単結晶基板4は固体輻射部材3からの輻射によって加熱されるため、固体輻射部材3とは非接触な状態で単結晶基板4の高温均一加熱が実現される。輻射加熱であることから、減圧下(1.333×10 4 Pa以下)においても1500℃以上の単結晶基板4の加熱が容易であるとともに、単結晶基板4とサセプタ7の間も密着する必要がないため単結晶基板4とサセプタ7の接触面積を低減することができる。これにより、固体輻射部材3と非接触な状態での単結晶基板4の均一加熱ならびに結晶成長時の単結晶基板4とサセプタ7との接触面積の低減の両者が実現される。さらに、この配置においては単結晶基板4の温度をサセプタ7の温度よりも高くすることが可能となり、結晶成長中に単結晶基板4のサセプタ7側の面(即ち裏面)に不要な堆積が発生しない。この状態で、単結晶基板4を高温加熱および結晶成長することで、単結晶基板4の結晶湾曲の改善が可能となり、結晶性の高い高品質なSiC単結晶が提供できるようになる。
【0036】
さらに、このようにして得られたSiC結晶膜は、例えば高電圧SiC半導体素子として利用することができる。
【0037】
次に、上述した製造装置1を利用する気相結晶成長装置11の一例を図4に示す。この気相結晶成長装置11は、製造装置1と、供給管9にガス6,10を供給するガス供給部12と、供給管9の内部を減圧する減圧部13と、サセプタ7上の単結晶基板4を交換する交換部14とを備えている。
【0038】
ガス供給部12は、流通させるガス6,10の流量を設定するマスフローメータ15と、キャリヤガス10の水素ガスを精製するパラジウム透過器16とを備えている。
【0039】
減圧部13は、ドライポンプ17とターボ分子ポンプ18とを備えたオイルフリーシステムとされている。この減圧部13の作動により、キャリヤガス10の導入前の供給管9内の気圧を6.666×10 −6 Pa以下にすることができる。また、キャリヤガス10の導入時における供給管9内の気圧は、バラトロンとバタフライバルブおよび差動バルブの組み合わせにより、水素流量10リットル/minにおいて3.333×10 3 〜1.013×10 5 Paの範囲で自動調整可能にできる。ここで、従来の結晶成長装置では、特に減圧下で単結晶基板4とサセプタ7間の伝熱量が低下し、単結晶基板4とサセプタ7との温度差が大きくなって単結晶基板の加熱が困難になってしまう。しかし、本実施形態の気相結晶成長装置11によれば、サセプタ7及び単結晶基板4が輻射加熱されることから、減圧下でも単結晶基板4を容易に高温化を容することができる。
【0040】
交換部14は、供給管9の上部に配置された交換チャンバ19と、交換チャンバ19に連結されたロードロック室20と、ロードロック室20に連結されたグローブボックス21とを備えている。グローブボックス21は、アルゴンガスによりパージしておく。そして、単結晶基板4を設置したサセプタ7は、固体輻射部材3と交換チャンバ19とロードロック室20との内部を移動可能とされる。さらに、グローブボックス21の内部でサセプタ7上の単結晶基板4を外部から交換することができる。
【0041】
上述した気相結晶成長装置11によりSiC単結晶を製造するときは、グローブボックス21でサセプタ7に単結晶基板4を設置して、サセプタ7および単結晶基板4をロードロック室20と交換チャンバ19を通過させて固体輻射部材3内に設置する。そして、減圧部13を作動させて供給管9の内部を減圧する。また、ガス供給部12を作動させて供給管9内に反応ガス6およびキャリヤガス10を流通させる。さらに、誘導加熱手段2に高周波発振を与えて固体輻射部材3を1500℃程度に誘導加熱する。これにより、固体輻射部材3が単結晶基板4を輻射加熱して、単結晶基板4の表面5にSiC単結晶が製造される。
【0042】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、円筒形状の固体輻射部材3の内部にサセプタ7および単結晶基板4を設置しているが、これには限られず各筒状や板状や直方体状の固体輻射部材3の近傍にサセプタ7および単結晶基板4を設置するようにしても良い。この場合も固体輻射部材3が単結晶基板4を輻射加熱することができるので、サセプタ7にエッチング作用を起こさせることを防止して高温かつ長時間の結晶成長を図ることができ高品質の結晶を得ることができる。
【0043】
また、本実施形態ではガス6,10を下方から上方に向けて流しているが、これには限られず上方から下方に向けて流しても良い。このときは、単結晶基板4を上向きに支持するようにして成長面がガス流の上流側を向くようにすることが好ましい。この場合も、固体輻射部材3が単結晶基板4を輻射加熱することができるので、サセプタ7にエッチング作用を起こさせることを防止できる。
【0044】
さらに、本実施形態では製造装置1を供給管9を鉛直方向に配置した縦型にしているが、これには限られず供給管9を水平に配置した横型にしても良い。このとき、例えば楔形のサセプタ7の2つの斜面8を鉛直にして尖端をガス流の上流側に向けることにより(この状態を平面図で表すと図1と同様に成る)、単結晶基板4の成長面をガス流に当てることができる。
【0045】
そして、本実施形態では単結晶基板4を鉛直に配置しているが、これには限られずサセプタ7上に水平に若しくは傾斜させて置くようにしても良い。これは、単結晶基板4の成長面をガス流に向ける観点から、鉛直方向に配置された供給管9の上方からガス6,10を流すときや、水平に配置された供給管9を利用するときに有効である。
【0046】
また、本実施形態では半導体結晶としてSiCを製造しているが、これには限られずSiなどの他の半導体結晶を製造するようにしても良い。この場合も結晶成長時にサセプタ7がエッチング作用を起こすことを防止できる。
【0047】
【実施例】
図4に示す気相結晶成長装置11を使用してSiC単結晶を製造した。本実施例においては、固体輻射部材3にはSiCコーティングされていないグラファイト材を使用した。サセプタ7ならびに固体輻射部材3内でサセプタ7を支えるための治具にもグラファイト材を用い、予備成長実験によりそれらの表面の大部分に多結晶SiC膜を形成した。
【0048】
結晶成長は、1500〜1600℃の条件範囲で行った。単結晶基板4としては、市販の直径35mmの8°off4H−SiC(0001)基板を1/4にカットしたものを使用した。サセプタ7の上面22の温度を供給管9の上部に設置した石英窓を通じてパイロメータにより測定した。このパイロメータにより測定された温度を成長温度として設定した。よって、以下に示す成長温度は全てサセプタ7の上面22の測定温度である。
【0049】
キャリヤガス10の流量は10リットル/minとし、成長時の製造装置1の内圧は3.999×10 3 〜1.013×10 5 Paの範囲で調節した。キャリヤガス10には水素を使用した。気相結晶成長前の単結晶基板4前処理として、水素エッチングを成長温度にて30〜60分間行った。
【0050】
なお、気相結晶成長層の膜厚の評価は、単結晶基板4を角度研磨し、その後にKOH処理を施すことで気相結晶成長層と単結晶基板4の界面部分を光学顕微鏡によって観察すること、あるいはSEM観察により行った。
【0051】
(1)温度測定
固体輻射部材3とサセプタ7との温度測定の結果、固体輻射部材3の温度はサセプタ7の温度より高く、固体輻射部材3とサセプタ7間の温度差は減圧になるほど小さくなった。このため、サセプタ7の加熱が主に輻射によって行われていることが確認された。よって、サセプタ7が固体輻射部材3よりも低温になることから、サセプタ7の表面でのエッチング作用を抑えることができるので、サセプタ7からの不純物放出やコーティング膜の劣化を防止することができる。
【0052】
(2)ガス流測定
減圧下において、供給管9の下から上へ向かう時間的に定常なガス流が実現され、安定な結晶成長が確認された。このガス流は、モノシラン流量を高く設定した場合に供給管9の上部に設置された石英窓から目視されるIrradiant layer(Siクラスタに起因すると考えられる縦方向に流れる白色の煙状の層)により確認した。よって、定常なガス流の実現により高品質の結晶膜を得ることができる。
【0053】
(3)成膜速度測定
成長温度を1500℃、プロパン流量を5〜10cc/minとし、3.999×10 3 Paならびに9.999×10 3 Paの減圧下におけるモノシラン流量と成膜速度の関係を求めた。その結果を図5に示す。同図に示すように、いずれの圧力下でも5〜9μm/hの成膜速度が得られた。
【0054】
図5に示すモノシラン流量範囲(15〜30cc/min)では成膜速度は飽和していないにも拘わらず、典型的な常圧気相成長法における成膜速度(3〜5μm/h)よりも約2倍程大きい成膜速度が得られた。すなわち、本製造方法によれば、結晶成長速度を速くできることが確認された。
【0055】
成膜速度を増加できた理由としては、本実施例でのモノシラン分圧(モノシラン30cc/minかつ3.999×10 3 Paの条件下で1.199×10 2 Pa)が減圧下にも拘わらず従来の常圧成長装置での一般的なモノシラン分圧(モノシラン0.5cc/minかつ1.013×10 5 Paの条件下で5.066×10 0 Pa)よりも高く設定されていることと、減圧下における拡散定数の増加の両方が考えられる。また、一般に減圧下においては拡散速度が増加し停滞層の効果が小さくなるので、3.999×10 3 Pa〜9.999×10 3 Paでの減圧雰囲気における拡散速度の増加が本実施例での成膜速度の増加の一因であると考えられる。
【0056】
(4)X線回折波形測定
4H−SiCの気相結晶成長膜を1500℃において成長させた。成膜速度は8.7μm/hであった。このときの(0004)回折に対するX線ω/2θロッキングカーブを図6に示す。同図に示すようにω−2θスキャンにおけるX線回折波形は単一ピークとなっており、3C−SiCが膜中に含まれていないことが確認された。よって、単一結晶形のSiC結晶膜を製造することができる。
【0057】
(5)残留キャリヤ濃度測定
ノンドープにおける気相結晶成長膜中の残留キャリヤ濃度をC−V測定により求めた。その結果を図7に示す。同図中、異なるサンプル毎に別個の記号○、□、●、×を付した。成長膜は残留キャリヤ濃度1×1015cm−3前後のp型を示した。一方、耐電圧数kV以上のSiC素子には残留キャリヤ濃度として1×1015cm−3前後が要求されており、本実施例での成長膜がこれに相当する。なお、各サンプル毎に結果が若干異なったのは、各サンプルごとの誤差であると考えられる。よって、本発明の製造装置1によれば、グラファイト部材を高温部に使用しているにも拘わらず比較的低い残留キャリヤ濃度の成長膜を得て実用的な耐電圧のSiC素子を製造可能である。
【0058】
(6)結晶性評価(通常分解能)
気相結晶成長前後におけるX線ロッキングカーブ(ωスキャン、(0004)回折)の多点測定を行った。試料面におけるX線のビームサイズは約1×2.5mmとした。また、気相結晶成長膜の成長後の膜厚は約25μmであった。気相結晶成長前における測定結果を図8(A)に、気相結晶成長後における測定結果を図8(B)に示す。
【0059】
同図から明らかなように、気相結晶成長後には各測定点でのロッキングカーブ半値幅が縮小され回折強度が増大したと共に、測定点の移動に伴うピーク位置のシフト(結晶の湾曲度)が改善された。図8の測定結果より結晶湾曲の曲率半径を算出すると、気相結晶成長前の基板の[1−100]方向の湾曲度は18mであったのに対して、気相結晶成長後には[1−100]方向の曲率半径は621m、[11−20]方向の曲率半径は304mと大きく改善された。
【0060】
また、単結晶基板4の裏面で測定された湾曲度は、気相結晶成長面で測定された湾曲度とほぼ一致した。このため、気相結晶成長に付随して単結晶基板4全体の湾曲が改善されることが判った。よって、結晶性の高い高品質の結晶膜を得ることができる。
【0061】
これらの気相結晶成長に伴う湾曲度の減少は、従来の横型結晶成長装置においては確認されないことから、本発明の製造装置1に特有な効果と考えられる。本発明の製造装置1においては、従来の横型結晶成長装置のようにサセプタ7の上に単結晶基板4を置くのではなく、サセプタ7のフランジ部24に単結晶基板4を立てかける方式になっており、加熱中に単結晶基板4はフリースタンディングに近い状態にされている。また、前述のように、単結晶基板4の方がサセプタ7よりも高い温度となっており、気相結晶成長中における単結晶基板4裏面への多結晶SiCの堆積の問題がない。このような、加熱中における単結晶基板4の設置方法や周辺温度分布の違いが湾曲度の改善の一因となっていると考えられる。
【0062】
(7)結晶性評価(高分解能)
(6)と同一試料について、気相結晶成長後(膜厚25μm)のロッキングカーブ(ωスキャン、(0004)回折)の高分解能測定を行った。その結果を図9に示す。
【0063】
結晶成長前の単結晶基板4がシングルピークを示した部位において、気相結晶成長後に極めて細いロッキングカーブ半値幅が得られた。同試料において得られた成長後のロッキングカーブ半値幅の最小値は[1−100]方向で5.2arcsec、[11−20]方向で8.5arcsecである。[1−100]方向のロッキングカーブ半値幅が[11−20]方向の値よりも小さくなっていることは、前述のように[1−100]方向の結晶湾曲度が[11−20]方向の結晶湾曲度よりも良好に改善されたことに対応している。これまでに報告された最小のロッキングカーブ半値幅(ωスキャン)は6H−SiCレーリー結晶で7.0arcsec、6H−SiC気相結晶成長膜で8.7arcsecであり、気相結晶成長後の4H−SiCに対して得られた半値幅は極めて良好な値であるといえる。このことから、本発明の製造装置1により、結晶性の高いSiC単結晶が得られたことがわかる。結晶成長に伴う単結晶基板4の湾曲度の改善が、成長後の気相結晶成長膜において極めて良好なロッキングカーブ半値幅(ωスキャン)が得られた大きな要因となっていると考えられる。
【0064】
(8)表面評価
6.6μm/hの成膜速度にて膜厚73μmの4H−SiC気相結晶成長膜を成長させた。この成長膜のノマルスキー顕微鏡像を図10に示す。同図に示すように、気相結晶成長膜表面にはステップハンチングやサブミクロン径の点状の表面欠陥(数10個cm−2)が見られるものの従来のような三角形状の表面欠陥は全く観察されず、比較的速い成膜速度にて厚い膜を成長したにも拘わらず良好な表面モフォロジーを得ることができた。
【0065】
このため、高電圧SiC素子には膜厚が数10μm以上の厚い単結晶膜が必要となり速い成膜速度で均一な膜厚分布や良好な表面モフォロジーが要求されるが、本発明の製造装置1によればこれを実現することができることが判る。
【0066】
(9)膜厚の評価
気相結晶成長膜の単結晶基板4内の膜厚分布を測定した。ガス流と直交する方向の測定結果を図11(A)に、ガス流と平行な方向の測定結果を図11(B)に示す。いずれの場合も単結晶基板4の端部で膜厚が低下しているものの、中央付近ではフラットな膜厚分布が得られていることが確認された。また、成膜速度が6.6μm/hで膜厚が73μmまで成長したときでも膜厚が低下する部位は端部より数mmの範囲内に抑えられているので、大口径基板に対しては相対的に影響が小さくなると考えられる。よって、単結晶基板4の広い範囲で均一な膜厚の単結晶膜を得ることができる。
【0067】
(10)ダイオード特性評価
p型の4H−SiC基板上に73μmの気相結晶成長膜(ノンドープp型)を成長させてショットキーダイオードを形成した。成長速度は6.6μm/hであった。ショットキー電極材料にはNiを用いメタルマスクを用いて蒸着を行った。電極径は0.5mmにした。このショットキーダイオードの逆方向特性を測定した。測定時には試料をフロリナート液に浸した。測定結果を図12に示す。
【0068】
耐圧構造を全く採っていないにも拘わらず、耐電圧は2000Vを超えた。測定器の測定限界により、2000V以上の電圧印加は行っておらず、ブレークダウン電圧は確認されなかった。2000V印加時の逆方向漏れ電流は約2.5μA(1.3mA/cm2)に抑制された。このことから、本製造装置1により得られた気相結晶成長膜は、比較的速い成膜速度で得られたにも拘わらず、耐電圧や漏れ電流に致命的な影響を及ぼすような結晶欠陥や不純物の含有が抑制された良好な単結晶であるといえる。
【0069】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載の半導体結晶の製造方法および請求項3記載の半導体結晶の製造装置によれば、基板支持手段及び単結晶基板が固体輻射部材に非接触で輻射加熱されると共に、固体輻射部材のみが誘導加熱されるので、結晶成長時における基板支持手段の表面のエッチングを防止して、当該表面のエッチング作用に起因する基板支持手段からの不純物放出や基板支持手段表面のコーティング膜の寿命低下を防止することができる。これにより、長時間の高品質結晶成長が実現されるので、膜厚の厚い高純度な高品質の単結晶を得ることができる。この単結晶を利用することにより、高電圧半導体素子を製作することができるようになる。
【0070】
また、固体輻射部材と非接触な状態での単結晶基板の均一加熱と、結晶成長時の単結晶基板および基板支持手段の接触面積の低減と、単結晶基板の基板支持手段側表面に不要な堆積が発生しないこととにより、単結晶基板の残留応力を小さくして結晶湾曲の改善が可能となる。このため、結晶湾曲度が非常に小さく結晶性の高い高品質な単結晶を得ることができる。
【0071】
さらに、単結晶基板を輻射加熱することから、減圧下においても1500℃以上に容易に加熱することができる。
【0072】
また、請求項2記載の半導体結晶の製造方法および請求項4記載の半導体結晶の製造装置によれば、単結晶基板をフリースタンディングに近い状態で立たせることができるので、単結晶基板と基板支持手段の接触面積を低減することができると共に、水平な単結晶基板の端部のみを保持して基板支持手段から離して支持する場合に比べて単結晶基板の自重による撓みを抑制することができる。これにより、単結晶基板の残留応力を小さくして結晶湾曲の改善が可能となり、結晶性の高い高品質なSiC単結晶を提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体結晶の製造装置を示す中央縦断面側面図である。
【図2】サセプタを示す斜視図である。
【図3】サセプタの他の実施形態を示す平面図である。
【図4】半導体結晶の製造装置を搭載した気相結晶成長装置を示す概略の側面図である。
【図5】成長温度1500℃におけるモノシラン流量に対する成膜速度の関係を示す図である。
【図6】4H−SiC気相結晶成長膜の(0004)回折に対するX線ω/2θスキャン測定結果を示す図である。
【図7】C−V測定より求めた残留キャリヤ濃度を示す図である。
【図8】X線ロッキングカーブの多点測定結果を示す図であり、(A)は気相結晶成長前、(B)は気相結晶成長後である。
【図9】4H−SiC気相結晶成長膜の高分解能X線ロッキングカーブを示す図である。
【図10】4H−SiC気相結晶成長膜のノマルスキー顕微鏡像を示す顕微鏡写真である。
【図11】4H−SiC気相結晶成長膜の膜厚分布を示す図であり、(A)はガス流と直交する方向、(B)はガス流と平行な方向の分布である。
【図12】気相結晶成長膜を用いたショットキーダイオードのI−V特性を示す図であり、(A)は逆方向特性、(B)は順方向特性である。
【図13】従来の横型低温壁誘導加熱式結晶成長装置の主要部を示す中央縦断面側面図である。
【図14】従来の横型高温壁誘導加熱式結晶成長装置の主要部を示す中央縦断面側面図である。
【図15】従来の縦型低温壁誘導加熱式結晶成長装置の主要部を示す中央縦断面側面図である。
【図16】従来の縦型低温壁輻射加熱式結晶成長装置の主要部を示す中央縦断面側面図である。
【符号の説明】
1 半導体結晶の製造装置
2 誘導加熱手段
3 固体輻射部材
4 単結晶基板
5 単結晶基板の表面
6 反応ガス
7 サセプタ(基板支持手段)
Claims (4)
- 誘導加熱手段により固体輻射部材のみを誘導加熱して、前記固体輻射部材に対し間隔をあけて設置される単結晶基板及び該単結晶基板を支持する基板支持手段を前記固体輻射部材からの固体輻射熱のみで加熱することによって、前記固体輻射部材の温度よりも前記単結晶基板並びに前記基板支持手段の温度が低くかつ単結晶基板の温度が単結晶基板の背面の基板支持手段の表面の温度よりも高くなる温度勾配を設定し、前記単結晶基板の表面に反応ガスを供給し、前記単結晶基板の表面並びに基板支持手段の表面で前記反応ガスの成分元素あるいは化合物を連続的に析出させ単結晶膜を製造することを特徴とする半導体結晶の製造方法。
- 前記単結晶基板は、前記基板支持手段によって鉛直に支持されていることを特徴とする請求項1記載の半導体結晶の製造方法。
- 反応ガスを流す供給管の外に配置されている誘導加熱手段と、前記供給管内に配置され前記誘導加熱手段により誘導加熱される固体輻射部材と、該固体輻射部材の内側に前記固体輻射部材に対し間隔をあけて配置されその表面に前記固体輻射部材に対し間隔をあけて単結晶基板を支持する基板支持手段を備え、前記誘導加熱手段により前記固体輻射部材のみを誘導加熱して、前記固体輻射部材からの固体輻射熱のみで前記基板支持手段及びこれに支持される前記単結晶基板を加熱することによって、前記固体輻射部材の温度よりも前記単結晶基板並びに前記基板支持手段の温度が低くかつ単結晶基板の温度が単結晶基板の背面の基板支持手段の表面の温度よりも高くなる温度勾配を設定し、前記単結晶基板の表面並びに前記基板支持手段の表面で前記反応ガスの成分元素あるいは化合物を連続的に析出させ単結晶膜を製造するものである半導体結晶の製造装置。
- 前記単結晶基板は、前記基板支持手段によって鉛直に支持されていることを特徴とする請求項3記載の半導体結晶の製造装置。
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