本発明にかかるグラフェンの製造装置及びその製造装置により製造されたグラフェンについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
<バイオマス材料>
実施例1から実施例6によりグラフェンを製造する植物性原料について説明する。本発明は、食物の残渣や廃棄される植物性原料を使用して最終生成物であるグラフェンを製造する。植物性原料は、植物や木材等を使用するが、特に植物を収穫した際の残渣等の廃棄される植物性原料をグラフェンを製造する原料として使用すれば安価に、原料を入手することが可能である。
表1は、植物性原料の成分表である。表1は、最も左に示す原料を構成する成分の割合を以下右に百分率で示している。例えば、稲わらは、炭素(C)が37.4%、窒素(N)が0.53%、リン(P)が0.06%、リン酸(P2O5)が0.14%、カリウム(K)が1.75%、カリ(K2O)が2.11%、カルシウム(Ca)が0.05%、マグネシウム(Mg)が0.19%及びナトリウム(Na)が0.11%となっている。
ここで、植物由来のケイ素含有の多孔質の植物性原料は、低温(300℃以上且つ1000℃以下)にて炭化しても実質的な変化がなく、ケイ素を除去することで細孔の配列を維持できる。植物性原料は、細胞が軸に沿って規則正しく配列し、細胞壁にケイ酸が沈積して肥厚している構造のものが多くある。そして、ケイ化細胞列の間には圧縮された狭い細胞列があり、炭素化後ケイ素等を除去することにより高い比表面積を有する炭素材料を得ることが可能である。上述したようにケイ酸が13%以上且つ35%以下と多くケイ酸が含まれるものが適している。ケイ酸が多すぎても得られるグラフェンが少なくなるため、20%程度の範囲の植物性原料が良い。
炭素が多く含まれる植物性原料の例として表1に示しているが、稲わらの他に、小麦わら、大麦わら、米ぬか、もみ殻、そばわら、大豆わら、サツマイモのつる、カブの葉、ニンジンの葉、トウモロコシの稈、サトウキビ梢頭部、ヤシ粕、ピーナッツ殻、みかんの皮、レッド杉のおがくず、カラ松の樹皮及び銀杏の落ち葉がある。その他、残渣ではなく植物そのものを使用しても良い。
例えば、竹は、繊維素がセルロース、ヘミセルロース、リグニンで構成され、ミネラルが鉄、マグネシウム、カルシウム、マンガン、銅、ニッケル等から構成されている。また、竹の葉には焼成すると、シラノール基(Si-OH)が抽出され、焼成の過程でSiO4となって抽出される。
表2、3は、本発明にて、上述した表1の植物性原料である炭素源9のうち、炭素材料を製造する方法で最も適している植物性原料のもみ殻の成分組成表である。表2は、原料を構成する成分の割合を百分率で示している。例えば、水分が8%~10%、灰分が10%~18%、脂質が0.1%~0.5%、リグニンが18%~25%、ヘミセルロースが16%~20%、セルロースが30%~35%及びその他が5%~10%である。このように、炭化物19となる主な成分は、リグニン、ヘミセルロース、セルロースである。
表3は、表2に示す植物性原料である炭素源9の無機質の化学成分である。表2に示す植物性原料である炭素源9は、セルロース等の有機質が80wt%であり、無機質は20wt%である。表3の無機質の化学成分は、SiO2が92.14wt%、Al2O3が0.04wt%、CaOが0.48wt%、Fe2O3が0.03wt%、K2Oが3.2wt%、MgOが0.16wt%、MnOが0.18wt%、Na2Oが0.09wt%となっている。表2に示す植物性原料である炭素源9は、無機質に酸化ケイ素(SiO2)が多く含まれている。
(グラフェン及び炭化物)
実施例1から実施例10により製造した炭化工程S2で得られた炭化物19及び賦活工程S3で得られた炭素素材であるグラフェン113を図16から図34に示す。図24は、賦活工程S3で得られた炭素素材であるグラフェン113の50,000倍の電子顕微鏡写真である。図26は、炭化工程S2で得られたケイ素(Si)24wt%を含む炭化物19の10,000倍の電子顕微鏡写真である。
図28は、炭化工程S2で得られたケイ素(Si)24wt%を含む炭素素材の30,000倍の電子顕微鏡写真である。図29は、炭化工程S2で得られた炭化物19の100,000倍の電子顕微鏡写真である。図35は、炭化工程S2で得られた炭化物19の2,200倍の電子顕微鏡写真である。
図30は、本発明の製造装置で得られた炭化物19の図29に示す走査透過電子顕微鏡で撮影し、透過した100,000倍の画像である。図31は、本発明の製造装置で得られた炭化物19の走査透過電子顕微鏡で撮影した80,000倍の画像である。図32は、本発明の製造装置で得られた炭化物19の図31に示す走査透過電子顕微鏡で撮影し、透過した80,000倍の画像である。
図33は、本発明の製造装置で得られたグラフェン113の走査透過電子顕微鏡で撮影した100,000倍の画像である。図34は、本発明の製造装置で得られたグラフェン113の図33に示す走査透過電子顕微鏡で撮影し、透過した100,000倍の画像である。
図36は、従来の方法により鉱物から生成したグラフェンCの10,000倍の電子顕微鏡写真である。図37は、従来の方法により鉱物から生成したグラフェンCの100,000倍の電子顕微鏡写真である。
後述する炭化工程S2で得られた炭化物19は、炭素を除いた灰分が、熱重量測定によると37.1wt%と多くなっており、その灰分のうちケイ素(Si)は炭化物19全体の24wt%から30wt%となっている。その他に、Kが0.51wt%から7wt%、Alが0.1wt%から1.6wt%、Caが0.17wt%から0.5wt%、Feが0.4wt%となっており、Cr、Ni、Mn、Mg、P、S、Naが0.1wt%以下となっている。
所謂賦活処理である賦活工程S3を行っていない炭化工程S2で得られた炭化物19は、ケイ素を多く含み、不活性ガス中で炭化される場合には、強還元されず、SiO2-xとなり、芳香族の-OH基などと-O-Si-O-Rの形で結合し、リグニン多糖複合体になり、C/SiOxの形になりやすいと考えられる。
また、後述する賦活工程S3で得られたグラフェン113は、炭素を除いた灰分が、熱重量測定によると26.7wt%と多くなっており、そのうちケイ素(Si)はグラフェン113全体の14wtから19wt%となっている。その他に、Kが4.3wt%、Alが1.5wt%、Caが1.3wt%、Feが0.4wt%となっており、P、Mn、Cl、S、Mgが0.1wt%以下となっている。
以上のように、グラフェン113及び炭化物19のケイ素は、14wt%から30wt%とケイ素の量が多くなっている。
そのため、炭化工程S2で得られた炭化物19は、電池材料の負極材に使用した場合には、サイクル容量が向上するという効果がある。
表4及び図20に示すようにCO
2吸脱着測定の結果においてグラフェン113及び炭化物19は、細孔径が主に0.8nmから2nmの微細な細孔が形成されていることが確認できた。
そのため、金属イオン等を吸着しやすくと考えられる。また表4に示すようにガス吸着測定及び水蒸気吸着測定により測定されたメソ孔の容積は、グラフェン113が、0.487ml/gであり、炭化物19が、0.259ml/gであった。また、ミクロ孔容積は、グラフェン113が、0.46ml/gであり、炭化物19が、0.27ml/gであった。
グラフェン113又は炭化物19の粒子は、15μmから229μmの分布の径を示し、分布の積算値の中央値で示すメジアン径で約110μmである。
このように、0.2ml/gから0.6ml/gのメソ孔容積を形成している。特に後述する不純物を除去する賦活処理を行った後のグラフェン113の方が高い値を示しており、ケイ素の除去によりメソ孔やミクロ孔が成長していると考えられる。
また、表4に示すように水蒸気吸着測定法により測定され、BET式による比表面積は、グラフェン113が、1792m2/gを示し、この幅は890m2/g~2000m2/gの幅がある。炭化物19が、726.4m2/gを示し、この幅は890m2/g~1500m2/gの幅がある。何れも比表面積が大きくケイ素成分(Si)を取り除いた後のグラフェン113は、より比表面積が大きくなっている。そのため、グラフェン113は、吸着する作用が高くなっている。また、電池材料では電荷を多く貯めることが可能である。
また、図35に示すように炭化物19は、細孔97よりも1000倍から10000倍の大きな2μmから10μmの径の孔96も設けられている。このように、大きな孔だけではなく、細孔径が0.8から2nmの細孔97もあり多孔性の性質を備えている。また、図28から図32に示すように細孔97だけでなく表面に50nmから100nm前後の凹凸が形成されている。図28から図32に示すように、炭化物19は、二酸化ケイ素(SiO2)、過酸化カリウム(K2O2)、カリウム(K)等からなる球状に凝集した凝集体98により形成されている。
図27は、図26で撮像した炭化物19の元素分布を示し、C、O、Al、Si、Kの元素が確認できる。図26及び図27に示すように炭化物19は、炭素を含み表面に四角形状や略球状の二酸化ケイ素(SiO 2 )や酸化カリウム(K 2 O)等からなる500nmから1μmの凝集体98によって形成される凹凸が設けられている。図27に示すように炭化物19は、全体に微小な二酸化ケイ素や酸化カリウムが形成されている。炭素源9に含まれる酸化カリウム(K 2 O)は、390℃で過酸化カリウムとカリウムに分解されることから、炭化物19は過酸化カリウム(K 2 O 2 )、カリウム(K)からなる球状に凝集した凝集体98が形成される。0
図25は、図24で撮像したグラフェン113の元素分布を示し、C、O、Al、Si、Kの元素が確認できる。図25、図27、図33及び図34に示すように、グラフェン113及び炭化物19の縦方向や横方向に伸びている大小からなる多孔は、植物性原料の成長過程で形成された多孔及び凹凸があり、図24、図33及び図34に示すように、不純物の除去となる賦活工程S3によりケイ素(又は二酸化ケイ素)等を含む炭素以外の不純物の除去や有機物の炭化の際に形成される多孔もある。
図25及び図27に示すように、炭化物19及びグラフェン113は、二酸化ケイ素(SiO2)や酸化カリウム(K2O)等が炭化物が微小な状態で全体に付着している。そのため、これら不純物を除去することにより比表面積が増大する。
また、グラフェン113の表面に凹凸や細孔97が形成されている。特に、炭化物19は、元素成分のK(カリウム)が、K(カリウム)又は酸化カリウム(K2O)の状態で炭化物19の表面や内部に微小となって含有している状態と、K(カリウム)又は酸化カリウム(K2O)の状態で炭化物19の表面や内部に凝集して形成される状態とがある。
また、炭化物19は、同様に元素成分のSi(ケイ素)が、Si(シリコン)又は二酸化ケイ素(SiO2)の状態で炭化物19の表面や内部に微小となって含有している状態と、Si(シリコン)又は二酸化ケイ素(SiO2)の状態で炭化物19の表面や内部に凝集して形成される状態とがある。そして、炭化物19は、賦活処理を施すことによって、炭素の純度が上がっていくと同時に、比表面積が向上していく。
表4に示すように、ガス置換密度測定装置により測定した真密度は、グラフェン113が2.56g/cm3及び炭化物19が2.27g/cm3であった。また、グラフェン113の嵩密度は、0.21から0.29g/cm3であった。また、二重リング法及び四端子法による測定した粉体抵抗値は、炭化物19が4.83×10
2 ~ 5 Ω・cmとなり、ケイ素を除くことによりグラフェン113が、3.8×10-2Ω・cmとなり導電性が向上する。また、炭化物19は、ケイ素を多く残すことにより、ケイ素に吸着しやすい物質に溶け込みやすくなると、同時に絶縁性能が向上する。また、グラフェン113の電量滴定法により測定した含有水分量は、0.565%であった 。
図21は、本発明の製造装置で得られたグラフェン113のラマンスペクトルである。図22は、本発明の製造装置で得られた炭化物19のラマンスペクトルである。図23は、従来の鉱物から得られたグラフェンのラマンスペクトルである。これら図は、ラマン分光装置により解析し、得られたデータは、横軸を波長(波数(Raman shift(cm-1)))、縦軸を強度とするラマンスペクトルである。
また、表4に示すように、ラマンスペクトル法による波長のピークとなるGバンド(1590cm-1)のピーク値IG及びDバンド(1350cm-1)のピーク値IDである。
グラフェンCは、炭素原子がsp2混成軌道によるπ結合で、一平面上に六角形状に並ぶシート状の単原子膜である。図23、図36及び図37は、鉱物から生成されたグラフェンCは多層で結晶性が高いグラフェンである。それに対し、図21から図35に示す本発明で生成された炭化物19及びグラフェン113は、非結晶性であることが確認できる。
そして、表4に示すようにIGをIDで割った値は、グラフェン113が、1.68となり、炭化物19が、1.37であり、植物性原料の中でも結晶性が高いことを示している。特に炭化物19は、ケイ素が多く含んでおりグラフェン113よりも結晶性が高く、このケイ素を取り除いても、グラフェン113は、結晶性が高いままである。このように、ケイ素を除去する前の炭化物19が結晶性が高いため、グラフェン113はケイ素を除去しても高いままである。
炭化物19又はグラフェン113のIGをIDで割った値は、好ましいのは0.9以上であって0.9から2.0程度の値を示している。
グラフェン113は、後述する賦活工程(S3)の調整により10wt%から30wt%とケイ素成分の量を残すことも可能である。
図18に示すように、X線電子分光法(XPS)により、X線源としてMgKa線を用い、炭化物19及びグラフェン113に含まれる元素の種類とピーク強度をワイドスペクトル測定を行った結果を示している。750eV附近にCa、PあるいはSのピークがあり530eV附近にOのピークがみられ、280eV附近にCのピークがみられ、160eV附近にSiのピークがみられる。
また、図19は、Cのピークを示すXPSスペクトルの図である。グラフェン113は、のピークは全体的にブロードとなる傾向が確認されており、後述する賦活工程S3により構造が乱れ、-OH、-CHO、-COOHなどの含酸素官能基が生成されていることが確認できた。電気二重層キャパシタ等においては官能基の付与量に対して静電容量が増加する傾向にあるため、賦活工程S3の工程によりグラフェン113は、含酸素官能基が増加するため、静電容量も炭化物19に比較し増加する傾向にある。
特に、透過法によるフーリエ変換赤外線分光分析を行った結果では、炭化物19及びグラフェン113は、3402から3424cm-1付近にピークを持ち及び1018から1094cm-1付近にピークを持つことが確認されている。
(実施例1)
本実施例のプラズマ装置10について図2を参照し説明する。図2は、本実施例のプラズマ装置10の構成を示す概要図である。プラズマ装置10は、主に、不活性ガス6、コントロール装置20、チャンバー1、真空ポンプ30から構成されている。
ガスボンベに収められる不活性ガス6は、主にアルゴンを使用したが、その他にヘリウム、ネオン、窒素等が挙げられる。不活性ガス6は、導入管7からガス量コントロール装置21を経由し、チャンバー1に充填が可能である。ガス量コントロール装置21は、不活性ガス6の流量を調整することが可能である。
チャンバー1は、制御弁22と接続され、真空ポンプ30によりチャンバー1内を真空状態に減圧が可能である。チャンバー1に接続され、チャンバー1内に不活性ガス6を導入している。制御弁22とチャンバー1との間には、チャンバー1内の真空状態を大気圧に開放するリーク弁23が設けられている。また、チャンバー1内の空気を導入する導出管8と真空ポンプ30との間にも制御弁14と、チャンバー1内の真空状態を大気圧に開放するリーク弁15とが設けられている。
また、温度制御装置24は、高周波電源4を制御し、チャンバー1内の温度保持や保持時間等を管理している。本実施例のプラズマ装置10は、真空状態に近い低圧下に、作動ガスとして、不活性ガス6であるアルゴンガスを流し、電極間であるカソード2及びアノード3間に高電流を流し、アーク放電により熱プラズマを得る方法である。このカソード2及びアノード3間には、カーボン製のるつぼ5が設置され、そのるつぼ5には後述する炭素源9が入っている。炭素源9は、アーク放電による熱プラズマにより300℃から1000℃の温度帯の加熱により、10~30分程度で炭化される。尚、上述したプラズマ装置の他にバリヤ放電、コロナ放電、パルス放電、直流放電型により熱プラズマを得る方法がある。
(実施例2)
実施例2のプラズマ装置100について図3を参照し説明する。プラズマ装置10と同じ構成を示す箇所には同じ符号を付し、同じ構成の箇所は説明を省略する。プラズマ装置100は、主に、不活性ガス6、コントロール装置20、チャンバー1、真空ポンプ30から構成されている。主にプラズマ装置10と異なる箇所は、高周波誘導加熱にて炭素素材を得る方法として、酸化させないように不活性ガス6を流し、3~4MHzの高周波磁場を高周波電源32から高周波コイル31に印加することにより、高周波の交流の誘導加熱による炭化を行っている点である。炭素源9は、誘導加熱により300℃から1000℃の温度帯の加熱により、10~30分程度で炭化される。
(実施例3)
実施例3のプラズマ装置100Aについて図12を参照し説明する。図12は、プラズマ装置10及びプラズマ装置100と同じ構成を示す箇所には同じ符号を付し、同じ構成の箇所は説明を省略する。
プラズマ装置100Aは、実施例2と同様な誘導結合型プラズマトーチによる熱プラズマである。プラズマ装置100Aは、高周波誘導加熱にて炭素素材を得る方法として、酸化させないように不活性ガス6を流し、3MHzの高周波磁場を高周波電源32から高周波コイル31に印加することにより、高周波の交流の誘導加熱による炭化を行っている点である。炭素源9は、誘導加熱により500℃から800℃の温度帯の加熱により、10~30分程度で炭化される。
移動ロッド125は、上下に移動が可能である。図12に示すように、アルゴンガスと水素ガスを混合した不活性ガス6又は窒素ガスを使用した不活性ガス6は、誘導加熱により、約1万℃まで昇温され、数10m/s以下の流速にて噴射し、導出管8からガスを導出している。また、導出管8の他に急冷するための急冷ガスを導出管8附近から噴出させてから導出管8から導出させても良い。
また、プラズマ装置100Aは、内部の温度が高いため、水冷装置として水冷2重管121が採用されている。プラズマ装置100Aは、冷たい不導体水を給水管123aから供給し、高温の不導体水を排水管123bにより回収して内部の温度上昇を抑えている。
主にプラズマ装置100と高周波誘導加熱にて炭素素材を得る方法は同じであるが、異なる箇所は、上昇ロッド125を備えている点が異なっている。図12に示すように、トーチは、炎型の温度分布(Ta、Tb、Tc)を示している。例えば、後述する炭化工程S2の500℃から800℃に必要な領域は、Tcを示し、移動ロッド125はPcの位置に到達すると、500℃から800℃の温度で炭化工程S2が可能である。
また、後述する賦活工程S3の800℃から1000℃に必要な領域は、Tbを示し、移動ロッド125はPbの位置に到達すると、800℃から1000℃の温度で賦活工程
S3が可能である。更に、1000℃以上の黒鉛化度を向上させる場合又は二酸化ケイ素の分解が必要な場合等の炭化工程S2又は賦活工程S3が必要な領域は、Tcを示し、移動ロッド125はPcの位置に到達すると、1000℃以上の温度で炭化工程S2又は賦活工程S3が可能である。このように、プラズマ装置100Aは、移動ロッド125の設置の位置により温度の調整が可能であるため、一台の装置で様々な製造工程に対応となる。
また、プラズマ装置10、100、100Aの装置における熱プラズマにより加熱された不活性ガス6、217が流れており、植物性原料や炭化する対象は瞬時に蒸発・ガス化される。炭素源9や炭化物19等の炭化する対象は、核生成及び凝縮が行われ、急激な急冷の工程によりナノ粒子における化学反応が行われる。そのため、ナノ粒子化や化学反応を短時間で行うことができるため量産化に優れている。
以上のようなプラズマ装置10、100、100Aを使用することにより熱分解が困難なリグニン又はその他の不純物等であっても分解が可能である。
上述したプラズマ装置10、100、100Aは、高周波誘導結合型プラズマトーチであり、酸化雰囲気や還元雰囲気を自由に選択可能である。
上述したプラズマ装置10、100、100Aは、交流の高周波高電圧を印加すると、ケイ素等の絶縁体を通すことで電極間にフィラメント状のプラズマが時間的、空間的にランダムに発生する。また、コロナ放電により電極から放出される電子は、チャンバー1内や植物性原料の電子や分子に衝突することで、励起や解離やイオン化が起こる。
このような高エネルギーの空間では、気相反応が起こり、特に不活性ガス6、217に、若干量の反応性ガスを混ぜることにより、-OH(ヒドロキシル基)、-CHO、-C=O(カルボニル基)、-COOH(カルボキシル基)などの官能基が生成され、親水性が付与される。
(実施例4)
本実施例は、図7から図11を参照し、上述した炭化物19等を製造する高周波誘導加熱装置200について説明する。高周波誘導加熱装置200は、磁場を生成し交流の高周波の誘導加熱により、導体である被加熱対象を加熱する装置である。被加熱対象は、後述するカーボンで形成した収納箱205である。
高周波誘導加熱装置200は、主に量産が可能なように、透視可能な石英管203の内部に植物性原料である炭素源9を収容するカーボン又はカーボンの複合材料により形成した複数の収納箱205を設けている。この高周波誘導加熱装置200は、コイル243に交流の高周波電流を流すと、交番磁束が導体を貫通し、高密度の渦電流が流れ、そのジュール熱で導体が急速に加熱される。
そのため、炭素源9の中に二酸化ケイ素(SiO2)等の絶縁物があっても磁束が透過し炭素源9が導電し、炭素源9自体も加熱され、また加熱が加速し短時間で炭化することができる。また、二酸化ケイ素(SiO2)等の絶縁物自体は、交番磁束を貫通させるため二酸化ケイ素(SiO2)自体は、収納箱205からの加熱のみであり、また溶融する温度ではないため、そのまま残り、二酸化ケイ素(SiO2)等の多くの絶縁物が残る。
先ず、図7及び図8を参照し、高周波誘導加熱装置200について説明する。左フランジ231と右フランジ232の間に透明な円柱状の石英管203を設けている。左右のフランジ231、232により、石英管203の内部を真空状態や低圧状態に保つことが可能なように密封及び開放が可能である。
また、石英管203は、左右のフランジ231、232の開放された一方から脱着可能である。左右のフランジ231、232は、水冷式の冷却機能を備えている。
尚、石英管203は、左右のフランジ231、232の両側から挟み込むように脱着及び固定する方法であっても良い。
図8に示すように右フランジ232は、不活性ガス217や燃焼用ガス218の流量を制御する制御弁224と接続される配管と接続され、不活性ガス217又は燃焼用ガス218を石英管203の内部に満たすことが可能である。また、右フランジ232は、低真空圧力計219と接続し、左フランジ231は、フィルタ221を経由し、圧力制御バルブ222や制御弁224と接続している。
また、制御弁224は、工程に応じ温度条件や燃焼時間に応じて不活性ガス217又は燃焼用ガス218を切り替えて石英管203内に流入することが可能である。
制御装置210は、圧力制御バルブ222や制御弁224と接続したドライポンプ223により、石英管203の内部の圧力を制御している。
図8から図10に示すように、高周波誘導加熱装置200は、石英管203を通して様々な温度を作り上げることが可能であり、植物性原料である炭素源9から炭素だけでなくケイ素を含むシリカの抽出や上述した賦活工程でも使用できるように高周波コイル240及び電気炉250を備えている。
高周波コイル240は石英管203の周囲を取り囲むように形成され、コイル243が支持されるコイル支持具242が駆動装置1(214)に固定されている。その駆動装置1(214)は、レール236に沿って、X、-X方向へ移動を行う。駆動装置1(214)は、モータが使用されている。尚、モータの替わりにリニヤ駆動等であっても良い。
高周波コイル240は、X、-X方向への移動が可能である点が異なり、一度設置すれば炭素源9を収容する複数の収納箱205を順次炭化させることが可能であるため、一度に多くの炭素源9を炭化させることが可能である。主に、製造工程では後述する図1のS2の炭化工程で活用が可能である。
また、高周波コイル240は、コイル243の近傍にコイル243から発する電磁波の影響を少なくするため遮蔽板241を備えている。
高周波誘導加熱装置200は、不活性ガス217を流し、20KHzの高周波磁場を高周波電源212から高周波コイル240に印加することにより、図6に示すように高周波誘導加熱により、300℃以上且つ1000℃以下で比較的大きな収率が得られた。不活性ガス217は、炭化時に直物性原料から発生するガスが石英管203内に留まらないように不活性ガス217を流して、発生したガスを収集する役割と酸化させないようにする役割とを有している。
以上のような高周波誘導加熱装置200は、高周波コイル240と不活性ガス217を使用することにより熱分解が困難なリグニンであっても炭化時において導電性が付与されてきた場合に、自身も発熱するため速く分解が可能である。また、高周波誘導加熱装置200は、製造工程においてガス等の燃焼とは異なり、温度管理が簡単であると同時に、毒性のある物質等が発生しない点、また急速加熱(昇温速度10℃/分から100℃/分程度まで調整可能である)が可能である点、短時間で温度を上げて均一に炭化させることができる点等により、短時間で多量に量産化するには最適である。
高周波電源212は、コイル243や電源を冷却するための水冷の冷却装置213が設けられている。また、石英管203内にて燃焼時に発生するタール成分等がドライポンプ223に影響を及ぼさないために、不織布、綿、紙等で形成したフィルタ221を設けている。
また、図7に示す温度制御装置211は、図8に示すように熱電対235が各々の収納箱205に近接して設けられている。従って、これら温度制御装置211から得られた情報により制御装置210は、所望する温度により炭化させることが可能である。特に温度により収率が異なるために温度管理が重要である。高周波誘導加熱装置200は、温度を制御することにより植物性原料から炭化物19の抽出だけでなく、ケイ素を含むシリカ等を抽出することも可能である。
電気炉250は、石英管203の周囲を取り囲むように形成され、駆動装置2(216)に固定されている。その駆動装置2(216)は、レール236に沿って、X、-X方向へ移動を行う。駆動装置2(216)は、モータが使用されている。尚、モータの替わりにリニヤ駆動等であっても良い。
電気炉250は、ジュール熱を利用するような、備えられる発熱体からの熱により1000℃近くまで温度を上げることが可能であり、燃焼用ガス218を供給しながら石英管203内を清掃することが可能である。また、電気炉250は、炭化物19を賦活させる際に燃焼させることが可能である。
また、燃焼用ガス218は燃焼の支援用として用いられ、燃焼用ガス218は酸素等が考えられる。主に図22に示す賦活工程S3での工程で使用され、1000℃近くでの燃焼時に使用される。
尚、電気炉250は、電磁誘導電流を利用する低周波誘導炉、渦電流を利用する高周波誘導炉、孤高の高熱を利用するアーク炉等でも良い。また、電気炉250は、燃焼用ガス218である酸素を供給し、燃焼することによりCO2として除去し、本来透明である石英管203に付いた炭化物を除去し清掃することが可能である。そうすることにより、高周波コイル240による、石英管203の内部の表面に付いた炭化した燃えカスを除き、磁場が透過しやすくすることが可能である。
次に、図9から図11を参照し、石英管203及び収納箱205について説明する。図10及び図11に示すように、収納箱205は、炭素源9や炭化物19を収納するように上端が開放した箱状に炭素材料により形成されている。特に、高周波誘導加熱装置200は、上述したプラズマ装置10、100に比較して多くの量を炭化できるように収納箱205を複数個設けている。
また、図11(B)、(C)に示すように、収納箱205は筐体257と同じカーボン製の蓋255が設けられている。蓋255は、炭化時に炭素源9の有機物から発生するガスや水蒸気による突沸等による炭素源9の飛散を防ぐためである。蓋255は、ガスや水蒸気等を逃がすためにガス抜き孔256が4隅に設けられている。
収納箱205は、蓋255の下方に、ステンレス製の網258を更に設けても良い。網258は、炭素源9の周囲を覆うように設けても良く、また炭素源9の上方だけ覆うよういにしても良い。網258は、飛散を抑え、更にガスが通過すると共に誘導加熱による熱を上方から伝えやすくする効果もある。
図11(A)に示すように、収納箱205は、近傍に複数設けることにより不活性ガス217が流れる方向から順番に加熱すると、加熱された不活性ガス217が隣の収納箱205に収められた炭素源9を温め、炭素源9が予め乾燥される。そのため、収納箱205の2個目以降は炭化時間が1個目よりも短くすることができる。また、炭素源9から発生するガスによって突沸するようなことはない。
表面に4隅に棒状の片が突出した上端片部208と、裏面に両端の上方に突出した片状の下端片部207を複数設けた載置台206に、収納箱205は固定される。収納箱205は、下方の上端片部208と同じ位置に、上端片部208の片が挿入することが可能な穴が設けられ、その穴に上端片部208が嵌合し、収納箱205は載置台206に固定される。
収納箱205を固定した載置台206は、土台202に設けられた溝である土台溝204に沿って下端片部207を嵌合させ土台202に載置される。土台溝204は、収納箱205をずらして設置できるように、幅方向にY1分ずらして複数本設けられている。また、収納箱205は、幅方向だけでなく、図8に示すようにX方向に所定間隔X1離間させて設けられている。
図9及び図10に示すようにY1方向又はX方向に収納箱205を離間させることにより、加熱による炭化の際に、炭化する目標以外の収納箱205が影響を受けることを極力防ぐようにしている。また、土台202は、温度制御を可能にするため、土台溝204の近傍に熱電対が固定できる空間となる熱電対収納スペース209を確保している。
図10に示すように、石英管203は、透明な石英で形成した外径が125mm程度の円形の筒状に設けている。また、載置台206は、石英管203の内部の中心より下方に収納箱205を設置できる幅に形成されている。
高周波誘導加熱装置200は、炭素を得るように構成されているが、温度条件によりバイオマス材料からケイ素を含むシリカの抽出を行うことも可能であり、特に非結晶シリカを製造することも可能である。また、上述した炭化工程S2だけでなく賦活工程S3も電気炉250により可能である。そのため、同一の装置で様々な工程を温度管理しながら行うことが可能である。高周波誘導加熱装置200は、温度速度勾配や温度を高周波の出力を変えることにより自由に可変することが可能であるため、様々な原料に対応可能である。
以上の高周波誘導加熱装置200は、熱を与える部分である高周波コイル240又は電気炉250が移動し、収納箱205に収められる炭素源9に熱を与えるため、原料が移動するコンベア式と比較し、圧力制御が可能な空間内を容易に作り上げることができる。また、コンベア式は、コンベア等に必要な油分との化学反応が懸念され、不純物が混ざる要因ともなる。また、コンベア式と比較し、高周波誘導加熱装置200は、不活性ガスの混入等の装置が複雑になる等のコストが掛かる心配もない。高周波誘導加熱装置200は、石英管203の外部に設けられているため、外からの点検、整備作業も容易である。
また、1つの装置で、後述する炭化工程S2又は賦活工程S3の工程に使用することも可能である。更に、高周波誘導加熱装置200は、温度条件を変えれば、他の物質も製造することも可能である。以上のように高周波誘導加熱装置200は、多機能な装置であるために生産効率だけでなく多用途にも応用が可能である。
尚、高周波誘導加熱装置200は、載置台206を一台にし、石英管203の長さも一台にしたコンパクトな高周波誘導加熱装置200であっても良い。これにより一台10分で炭化工程S2は完了するので、台数を多くすることにより大量生産が可能である。
(実施例5)
実施例5の高周波誘導加熱装置200Aについて図13を参照し説明する。図13は、実施例4の高周波誘導加熱装置200と同じ構成を示す箇所には同じ符号を付し、同じ構成の箇所は説明を省略する。
高周波誘導加熱装置200Aは、3000℃以上の加熱が可能なように、水冷装置として水冷2重管263が採用されている。高周波誘導加熱装置200Aは、冷たい不導体水を給水管262aから供給し、高温になった不導体水を排水管262bにより回収して内部の温度上昇を抑えている。また不活性ガス217aは、カーボン製の収納るつぼ265に載置された炭素源9の上方に孔の空いた蓋267から排出される有機物の炭化の際に発生するガスを含んだ排気ガス217b等を回収する排出管が設けられている。
(実施例6)
実施例6のマイクロ波誘導加熱装置200Bについて図14を参照し説明する。マイクロ波誘導加熱装置200Bは、300MHz~300GHzの周波数の電磁波273を照射するマイクロ波発生装置272を設け、マイクロ波を遮蔽する筐体内に、セラミック収納箱274に炭素源9を収納する。マイクロ波誘導加熱装置200Bは、炭素源9に含まれる水分及び誘導体をマイクロ波によって振動させる誘導加熱により加熱する。
特に、図15(A)~(D)に示すように、マイクロ波誘導加熱装置200Bは、H2O等の水分26を含んだ炭素源9が炭化物19となる場合に、自己が発熱するために、熱効率が良く、水分を含んだ有機物は徐々に小さくなり炭化させる。また、直物性原料は、空気孔や水分を運ぶ基幹あるため、特に水を多く含んだ炭素源9は、マイクロ波誘導加熱装置200Bによる加熱・分解に最適である。
高周波誘導加熱装置200、200A、200Bによる効果は、自己又は誘導体や導体が発熱するため、熱効率が良く、昇温速度が速い点が挙げられる。また、高周波誘導加熱装置200、200A200Bは温度管理が容易である。また、絶縁物のケイ素又は二酸化ケイ素等の不純物を取り除くことにより、炭化物19やグラフェン113の表面に凹凸を形成することや、図15(D)に示すように細孔97を形成することが可能である。
(実施例7)
<賦活装置>
図4は、上述したプラズマ装置10、100により炭素源9を炭化した炭化物19から酸化ケイ素(ケイ素)等の不純物を除去する賦活装置40の例である。
加熱炉41は、炉42を2000℃近くまで加熱することが可能である。大型るつぼ50には、蓋51が付いており、壺52の内部に小型るつぼ60と活性炭53が入っている。小型るつぼ60は、壺62中に炭化物19の上方に水酸化カリウム(KOH)18が混入させ、蓋61が設けてある。小型るつぼ60及び大型るつぼ50は、安定したファインセラミック材料等が考えられ、酸化アルミニウムAl2O3等が使用される。
(実施例8)
実施例1と同じ構成については同様の符号を付して説明を省略する。図5に実施例1で説明したとおり前処理工程S1にて植物性原料から生成した炭素源9及び酸化抑制物質70を釜83に入れる。ここで、炭素源9は釜83の容量の1/10~2/3程度の容量を入れるのが好ましい。前処理工程S1は、造粒剤を使用せず、ミル等で粉砕するだけでも良い。
(実施例8)
ここで、酸化抑制物質70は、燃焼時に酸化を防ぐため酸素濃度を抑えながら燃焼させる物質であればても良く、ハロゲン化物(ハロン2402、ハロン1211、ハロン1301)のガスや液体を混入させ燃焼させても良い。
その後、燃焼炉80の炉81内の雰囲気を800℃以上にし、炭素源9を20気圧及び400℃以上及び900℃以下の条件で3時間燃焼させる。
(実施例9)
<プロセスフロー1>
図1を参照し、上述した実施例2を中心にグラフェンを製造する方法について製造工程を説明する。図1は、実施形態の製造工程を示すプロセスフローを示す図である。
先ず、前処理工程S1は、上述のように植物性原料を乾燥した後、植物性原料を粉砕し、その粉砕した植物性原料とPVA等の造粒剤を10対1の割合に、水を混ぜ合わせて植物性原料を適度な大きさにして練り合わせ、ホットプレート等の乾燥装置の上で100℃近くに加熱し水分を蒸発させて炭素源9を生成する。ここで、粉砕方法は、ミル、ミキサー、グラインダー等が挙げられる。特に、造粒剤は、誘導加熱の際に、炭素源9の蒸気による突沸を防ぐことができる。
次に、炭化工程S2を説明する。前処理工程S1で炭素源9を0.8g程度、るつぼ5に入れて金属の網等で覆う。上述したプラズマ装置10、100、100Aの所定の加熱する位置にるつぼ5を配置する。チャンバー1内の圧を真空ポンプ30により80Paまで減圧を行い、不活性ガス6をチャンバー1内に8から10ml/分の流量により注入し、チャンバー1内は、1300から1500Paの圧力に保たれている。尚、炭化工程S2は、実施例1及び実施例3を使用しても同様のグラフェンが製造可能である。
出願人は、図6に示すように、熱プラズマにより200℃から1100℃の温度の間を100℃刻みにより炭化工程S2を行い、炭素源9を炭化する際の温度と収率を求めた。0.8gの炭素源9から得られた最終生成物であるグラフェン113の重量を割り得られた値を図6に示している。
500℃から800℃にて36%と最も大きな収率が測定され、300℃以上且つ1000℃以下で比較的大きな収率が得られた。本測定では、稲わら、ぬか、ヤシ殻、もみ殻及びピーナッツ殻等を行ったが、同様の結果が得られた。炭化工程S2において、炭素源9は、不活性ガス6を流入しながらアーク放電による熱プラズマにより300℃から1000℃の温度帯の加熱により、10~30分程度で炭化される。
次に、賦活工程S3を説明する。上記で得られた炭化物19を1に対し、水酸化カリウム(KOH)18を5の比率の重量で混合し、図4に示す小型るつぼ60の壺62中に入れて蓋61をする。また小型るつぼ60は、大型るつぼ50の中に収容し、周りに活性炭53を埋設する。小型るつぼ60内への酸素の侵入を防ぐために活性炭53が埋設されている。加熱炉41は、炉42を950℃近くまでの温度にし、2~3時間程度焼成を行った。
ここで水酸化カリウム18は、ケイ素の除去を促進させるため、最終生成物であるグラフェン113の収率向上を挙げる観点から使用される。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、酸化ナトリウム、酸化カリウム等のアルカリ金属酸化物、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属酸化物、硫化ナトリウム、硫化カリウムなどのアルカリ金属硫化物、硫化マグネシウム、硫化カルシウム等のアルカリ土類金属硫化物などが挙げられる。その他に、炭化しきれなかったリグニンは酸により塩酸、硫酸、PTSA、及び塩化アルミニウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の酸により除去することも考えられる。
水酸化カリウムと反応させた炭化物19のうち、ケイ酸は水酸化カリウム18と反応し、ケイ酸カリウムとなり、水溶性である残った水酸化カリウム(KOH)18(図4)やケイ酸カリウムを水に溶かし、この混合液を濾紙セットし、真空や減圧した濾過器に通すことにより酸化ケイ素(ケイ素)を除去する。そして、乾燥させた賦活工程S3では、最初の植物性原料を造粒したときと比較して約1/8~1/10の重量の最終生成物となるグラフェン113の生成が可能であった。
(実施例10)
<プロセスフロー2>
図1を参照し、実施例5の高周波誘導加熱装置200、200A、200Bを使用してグラフェンを製造する方法について製造工程を説明する。尚、上述した実施例4のプロセスフロー1内、前処理工程S1は、同じであるため省略する。
本実施例の図7から図11に示す高周波誘導加熱装置200を使用した場合の炭化工程S2を説明する。前処理工程S1で炭素源9を収納箱205内に敷き詰め、ステンレス等の金属の網等で覆う。上述した高周波誘導加熱装置200の所定の加熱する位置に複数の収納箱205をずらして配置する。石英管203内の圧をドライポンプ223により80Paまで減圧を行い、不活性ガス217を石英管203内に8から10ml/分の流量により注入し、石英管203内は、1300から1500Paの圧力に保たれている。
出願人は、図6に示すように、加熱により200℃ から1100℃の温度の間を100℃ 刻みにより炭化工程S2を行い、炭素源9を炭化する際の温度と収率を求めた。0.8gの炭素源9から得られた最終生成物であるグラフェン113の重量を割り得られた値を図6に示している。500℃ から800℃ にて36%と最も大きな収率が測定され、300℃以上且つ1000℃以下で比較的大きな収率が得られた。
本測定では、稲わら、ぬか、ヤシ殻、もみ殻及びピーナッツ殻等を行ったが、同様の結果が得られた。炭化工程S2において、炭素源9は、不活性ガス217を流入しながら高周波誘導加熱により、300℃から1000℃の温度帯で、10~30分程度で炭化される。
次に、賦活工程S3を説明する。上記で得られた炭化物19を1に対し、水酸化カリウム(KOH)18を5の比率の重量で混合し、図4に示す小型るつぼ60の壺62中に入れて蓋61をする。また小型るつぼ60は、図11に示す収納箱205の中に収容し、周りに活性炭53を埋設する。小型るつぼ60内への酸素の侵入を防ぐために活性炭53が埋設されている。電気炉250は、石英管203内を950℃近くまで高温にし、2~3時間程度焼成を行った。
ここで水酸化カリウム18は、ケイ素の除去を促進させるため、グラフェン113の収率向上を挙げる観点から使用される。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、酸化ナトリウム、酸化カリウム等のアルカリ金属酸化物、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属酸化物、硫化ナトリウム、硫化カリウムなどのアルカリ金属硫化物、硫化マグネシウム、硫化カルシウム等のアルカリ土類金属硫化物などが挙げられる。その他に、炭化しきれなかったリグニンは酸により塩酸、硫酸、PTSA、及び塩化アルミニウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の酸により除去することも考えられる。
水酸化カリウムと反応させた炭化物19のうち、ケイ酸は水酸化カリウム18と反応し、ケイ酸カリウムとなり、水溶性である残った水酸化カリウム(KOH)18(図4)やケイ酸カリウムを水に溶かし、この混合液を濾紙セットし、真空や減圧した濾過器に通すことにより酸化ケイ素(ケイ素)を除去する。そして、乾燥させた賦活工程S3では、最初の植物性原料を造粒したときと比較して約1/8~1/10の重量の最終生成物となるグラフェン113の生成が可能であった。
(実施例11)
上述した実施形態の前処理工程(S1)について、更に以下に示す処理を行うことにより、ケイ素の除去の作業工程を削減しやすくなり、炭素の純度の高い最終生成物であるグラフェン113を製造することができる。ケイ素を予め除去することにより、ケイ素の燃焼により炉やチャンバー内を汚すことが少なくなる。
前処理工程(S1)として、植物性原料である炭素原9を粉砕するか若しくは粉砕する前に無機酸を使用し、炭素原9のケイ素を減らすか若しくは除去をすることが可能である。 このような前処理工程(S1)を行うことにより賦活工程(S3)を省くことが可能であり、特に実施例7のように黒鉛化度を上げるための3000℃前後の炭化工程(S2)を行うことにより炭素が98%以上であって不純物に金属の含まない高純度の結晶性の高いグラフェン113の製造可能である。
無機酸には、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸及びフッ化水素酸があり、これらのうち二酸化ケイ素(SiO2)とフッ化水素酸(6HF)による反応により、水(H2O)と四フッ化ケイ素(SiF4)を生成し、ケイ素を除くことが可能である。
(実施例12)
上述した炭化装置(10、100、100A、200、200A、200B)を使用し、1000℃以上に温度条件を変化させることにより、良質のグラフェン113を作成することが可能である。また、図38のAの300℃から900℃附近までは低温領域71にて、前処理工程(S1)を行わず、ケイ素(Si)を多く含む炭化物19を製造した後(炭化工程S2)、アルゴンガス等の不活性ガス6、217の雰囲気において図38のBの1700℃から2500℃附近の温度で加熱すると炭化ケイ素(SiC)が形成される。
(実施例13)
他の実施形態のグラフェンPの製造方法を、図1及び図38を参照し説明する。この製造方法は、上述した製造装置(10、100、200)を使用し、温度条件を変えることにより黒鉛化度が向上しているグラフェンPの製造も可能である。特に、実施例5の高周波誘導加熱装置200Aは3000℃以上の高温に炭化できる装置であるため、実施例5を例に説明する。
グラフェンPは、製造する方法のルートが2つあり、先ず図1を参照し、ルート1について説明する。ルート1は、上述した前処理工程S1を行い、上述の温度71の300℃から900℃の温度帯Aにより炭化工程S2を行う。次に、上述した賦活工程S3を行いグラフェン113を作成する。次に、グラフェン113を温度74の900℃から1300℃の温度帯Dにより二回目の炭化工程S4を行いグラフェン114を作成する。
次に、グラフェン114を上述したHF処理(S5)を行い、温度73の2500℃から3200℃の温度帯Cにより三回目の炭化工程S6を行うことにより、黒鉛化度が上昇し、鉱物と比較して金属性の不純物が少ない純度の高いグラフェンPが生成される。
また、この工程だけでなく、ルート2の工程により純度の高いグラフェンPの製造が可能である。ルート2は、グラフェン113を生成した後、HF処理(S5)を行い、温度73の2500℃から3200℃の温度帯Cにより三回目の炭化工程S6を行うことにより、黒鉛化度が上昇し、鉱物と比較して金属性の不純物が少ない純度の高いグラフェンPが生成される。
さらに、Cの2500℃から3500℃附近までは高温73は、黒鉛化を行う場合の温度管理であり、黒鉛化度がすぐれ、さらに電気伝導度が優れたグラフェンPが形成される。特に、2800℃から3000℃附近が最も良い。
尚、図38に示すように、窒素やアルゴン等の不活性ガスを充填した雰囲気において、温度74に示す温度帯Dの900℃から1450℃以下の温度帯では、二酸化ケイ素が溶融しないが、酸処理やアルカリ処理により炭素の純度を高めるためにも良い温度帯である。また、温度帯B又は温度帯Cは、1650℃以上で二酸化ケイ素は溶融するため、二酸化ケイ素を除くことにより比表面積の数値を上げることができる温度帯である。
(グラフェン2)
図39から図50に示すように、本実施形態により生成された黒鉛化度が向上したグラフェンPについて説明する。図39は、本発明の製造装置で得られたグラフェン114のラマンスペクトルである。図40は、本発明の製造装置で得られたグラフェンPのラマンスペクトルである。
図41は、本発明の製造装置で得られたグラフェン114の15,000倍の電子顕微鏡写真である。図42は、本発明の製造装置で得られたグラフェン114の図41に示す走査透過電子顕微鏡で撮影し、透過した15,000倍の画像である。
図43は、本発明の製造装置で得られたグラフェン114の200,000倍の電子顕微鏡写真である。図44は、本発明の製造装置で得られたグラフェン114の図43に示す走査透過電子顕微鏡で撮影し、透過した200,000倍の画像である。
図45は、本発明の製造装置で得られたグラフェンPの1,000倍の電子顕微鏡写真である。図46は、本発明の製造装置で得られたグラフェンPの5,000倍の電子顕微鏡写真である。図47は、本発明の製造装置で得られたグラフェンPの10,000倍の電子顕微鏡写真である。図48は、本発明の製造装置で得られたグラフェンPの100,000倍の電子顕微鏡写真である。図49は、本発明の製造装置で得られたグラフェンPの40,000倍の電子顕微鏡写真である。図50は、本発明の製造装置で得られたグラフェンPの図49に示す走査透過電子顕微鏡で撮影し、透過した40,000倍の画像である。
グラフェンPは、図45から図50に示すように、細孔97よりも1000倍から10000倍の大きな2μmから10μmの径の孔96も設けられている。このように、大きな孔だけではなく、細孔径が0.8から2nmの細孔97もあり多孔性の性質を備えている。図16及び図17に示すように、これらの縦方向や横方向に伸びている大小からなる多孔は、植物性原料の成長過程で形成された多孔があり、細胞壁の近傍にあるケイ素91の除去や有機物の炭化の際に形成される多孔もある。図42及び図44は、ケイ素成分を含む15nmから50nm前後の球状の二酸化ケイ素91が、微小の凹凸となって形成されている。
グラフェンPの元素数濃度は、不純物に金属成分は少なくAlが僅かばかり含み0.12wt%となっており、その他酸素(O)が0.9wt%~1.24wt%と、炭素が98.6wt%となっており、炭素が約98%の純度となっている。このように金属成分が1wt%未満であるために、炭素の純度が高いものとなっている。
図40は、レーザーラマン分光光度計を用いて測定されたグラフェンPのラマンスペクトル法による波長のピークを示しており、結晶性が高いことを示している。ラマンスペクトル法による波長のピークとなるGバンド(1590cm-1)のピーク値IG及びDバンド(1350cm-1)のピーク値IDである。
そして、表5及び図40に示すようにIGをID割った値は、約8.67となり、グラフェンPにおいては非常に高い値を示し、結晶性が高いことを示している
図39は、レーザーラマン分光光度計を用いて測定されたグラフェン114のラマンスペクトル法による波長のピークを示している。グラフェン114は、図39及び表5に示すようにIGをIDで割った値が1.68であり、炭素(C)が79.82wt%、ケイ素(Si)が、15.5wt%、カリウム(K)が2.13wt%と構成されている。これにより、優れた炭素材料が形成される。
また、水蒸気吸着測定法により測定され、BET式による比表面積は、グラフェン114が、1780m2/gを示している。また、グラフェンPの電量滴定法により測定した含有水分量は、0.01%であり、1%未満が最適である。
また、上述した測定方法により測定された粉体抵抗値は、グラフェン114が3.8×10-3Ω・cmとなり、ケイ素を除くことによりグラフェンPが、1.6×10-3Ω・cmとなり導電性が向上する。
(炭化温度と時間の関係)
上述したグラフェン製造装置(10、100、100A、200、200A、200B)を使用し、図1に示す炭化工程(S2)際の時間との関係を表5及び図38に示す。図38は、炭化する際の加熱温度と時間の関係を示した図である。
高周波誘導加熱装置200により500℃の温度で炭素源9を炭化する際を例にして説明する。表5に示す加熱表面積Sは収納箱205の蓋255を含めた内側の表面積(cm2)を示している。そして、加熱体積V(cm3)は、収納箱205に収められる炭素源9の体積を示している。そして、炭素源9の1cm3当たりの加熱する面積を表しており、加熱面積Hの値が大きければ、加熱される面積は大きくなり、熱量が多くなると考えられる。
図38は、熱量面積htは、室温から昇温速度を100℃/分で温度を上げていき、500℃で25分保持し炭素源9を炭化させた場合の時間h(h)と加熱温度の関係を斜線で示した面積で現した値である。加熱係数Kは、加熱面積Hと熱量面積htの積で現した数値である。加熱係数Kは、130~280の範囲がよく、特に、収率を考慮すると保持温度が500℃以上であって、加熱係数Kは、150~260が最も良い。
尚、高周波誘導加熱装置200を例に示したが、グラフェン製造装置(10、100、100A、200A、200B)を使用してもよい。また、加熱を止めて(D点)から冷却までの時間(D-E間の時間)も熱量面積htに加えて計算しても良い。また、加熱係数Kは、130~300の範囲がよく、特に、収率を考慮すると保持温度が500℃以上であって、加熱係数Kは、150~280が最も良い。
上記実施形態から考えられる他の技術的特徴は、炭素素材(炭化物19)を製造する製造方法であって、収納部により加熱する際の面積を示す加熱表面積(S)を炭素源(9)を加熱する際の体積を表した体積を示す加熱体積(V)で割った値を加熱面積(H)とし、前記炭化源を加熱する時間(h)と前記炭化源を加熱する温度の関係を面積で現した値を熱量面積(ht)とし、前記加熱面積(H)と前記熱量面積(ht)の積を加熱係数(K)として表し、前記加熱係数(K)の値が130から280の値を示す範囲で、前記炭素源を加熱して前記、炭素素材を生成することを特徴とする炭素材料の製造方法。
上記の方法によれば、短時間で収率もよく炭素素材を製造することが可能であるとともにグラフェンを製造する際の前筺体として比表面積が大きく、金属残留物の少ないグラフェンが製造することが可能である。特に、高周波誘導加熱によるプラズマ装置や炭化装置等の装置では、加熱係数(K)の値が130から280の値を示す範囲であれば短時間に多くの量の炭素素材を製造することが可能である。