JP3658306B2 - 被処理物の連続粒状固化システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、泥水や泥土等の高含水の被処理物を連続的に粒状固化するための連続粒状固化システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の工事に伴って生じた残土、例えばシールド工事や連続地中壁の構築に際して発生した掘削残土や、基礎工事時の含水残土、その他、ベントナイト等の廃泥水浚渫工事時の含水残土や、場所打ち杭の構築に際してのスライム処理残土などは、多量の水分を含む上に、特にベントナイトやセメント等の混入泥土では、高いアルカリ性を示すことから、これらの残土を産業廃棄物の中間処理場に搬入して、中和処理を施した上で、沈殿、濃縮、固化、乾燥の工程を経て粒状固化処理されている。
【0003】
具体的には、一般に被処理物に凝集材などを添加して、沈殿物と上澄み水とに分離し、沈殿物を天日乾燥によって固化処理していたのであるが、天日乾燥では2日〜4日の乾燥時間がかゝる上に、広大な処理場を要する点で問題があり、更に、上澄み水(処理汚濁水)を別途、廃棄処理する必要がある点でも問題があった。
【0004】
このことから、近年では、被処理物の性状と含水率とに応じた量の固化材と、被処理物とを、撹拌処理槽に投入にして、高含水の被処理物を固化処理するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の処理技術では、短時間でしかも狭いスペースで、被処理物を粒状固化できるものの、バッチ処理であることから、時間当たりの処理量を多くすることができず、処理効率が低い点で問題があった。
【0006】
また、被処理物の性状と含水率とを勘案して、固化材の投入量を決定することは非常に困難であって、最終の処理状況を確認してから更に固化材を追加し、処理を再開することは時間の無駄に繋がることから、往々にして固化材を必要以上に投入しているのが現状であり、経済的な無駄があった。
【0007】
本発明は、かゝる実情に鑑みて成されたものであって、その目的は、必要最小限の固化材を用いて、高含水の被処理物を直接的かつ連続的に、しかも、高効率で粒状固化できる経済性に優れたシステムを提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、泥水や泥土等の高含水の被処理物を連続的に粒状固化するための本発明による固化システムは、供給量の調整が可能な被処理物の供給手段と、搬送量の調整が可能で且つ被処理物を連続的に撹拌して搬送するための被処理物の第1および第2撹拌搬送手段と、被処理物を粒状固化するための固化材を第1攪拌搬送手段に投入する第1投入手段と、被処理物を粒状固化するための固化材を第2攪拌搬送手段に投入する第2投入手段とを備えて成り、前記各撹拌搬送手段が、被処理物の搬送始端側より搬送終端側が高くなるよう傾斜状態で設けられていると共に、第1攪拌搬送手段の搬送終端側に設けられた被処理物の排出口が第2攪拌搬送手段の搬送始端側に設けられた被処理物の受入れ口の上方に位置するように構成され、また、第1投入手段が、固化材の受入れホッパーと、この受入れホッパーからの固化材を第1攪拌搬送手段に投入するための搬送手段とを備え、第2投入手段が、固化材の受入れホッパーと、この受入れホッパーからの固化材を第2攪拌搬送手段に投入するための搬送手段とを備え、かつ、第1および第2投入手段による固化材の投入量を調整可能に構成して、固化材を第1および第2撹拌搬送手段における被処理物の搬送始端側に供給することを特徴としている(請求項1)。
【0009】
上記のシステムによれば、被処理物を撹拌搬送手段に定量的に供給して、撹拌搬送される被処理物に固化材を投入することで、被処理物が万遍なく粒状固化されるのであって、初期の固化処理土(処理物)の処理状況を観察して、これに基づいて後々の被処理物に対する固化材の投入量を増減することで、必要最小限の固化材量によって経済的に無駄なく、高含水の被処理物を直接的かつ連続的に高効率で、粒状化された固化処理土にすることができる。
【0010】
上記の固化材を、被処理物の搬送始端側に集中させて投入すると、被処理物の固化が一気に行われて、被処理物の撹拌搬送が困難になると懸念されるならば、固化材を被処理物の搬送経路途中にも供給することであって(請求項2)、このように、固化材を被処理物の搬送始端側と搬送経路途中とに分散させて供給する形態をとれば、被処理物の撹拌搬送が容易になって、被処理物が順次、万遍なく粒状固化されることになる。
【0011】
固化材として、被処理物が性状的に酸性を示すものの場合は、セメント系や石灰系のものを用いることで、中性化を図ることができる。
【0012】
一方、セメント系や石灰系の固化材では、被処理物が中性域にあるものの場合、被処理物をアルカリ性に変質させたり、被処理物が高アルカリ性のベントナイトやセメント等の混入泥土では、中性化を図ることができないことから、処理土の再利用に制限を受けることになるが、この際は、固化材として、被処理物を中性化させる中性固化材を用いることが好適である(請求項3)。
【0013】
これによって、被処理物の性状に合わせて固化材の投入量を調整することで、被処理物を短時間で中性固化できることから、被処理物の有効利用範囲を大幅に拡大することができる。
【0014】
上記のシステム全体を、工場や処理現場に据え置きにしてもよいのであるが、例えば処理現場が僅かずつ移動する際や、処理現場の変更などに応じて機動性を高める上で、前記被処理物の供給手段と前記第1および第2撹拌搬送手段とを自走式の走行車体に搭載することが望ましい(請求項4)。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は被処理物の連続粒状固化システムを自走式の走行車体に搭載した形態の平面図を示し、図2及び図3はシステムの縦断側面図と横断端面図を示している。
【0016】
これらの図において、図中の1は泥水や泥土等の高含水の被処理物aの供給手段で、例えばホース2を通して圧送供給される被処理物aの貯留ホッパー3と、このホッパー3から流下供給される被処理物aの連続供給機4とからなり、ホッパー3には撹拌装置5が備えられている。
【0017】
連続供給機4は、被処理物aの搬送スクリュー6をドラム7に内蔵してなるもので、被処理物aの搬送量(処理量)に応じて、搬送スクリュー6の径およびピッチが異なるものが選択されて設置される。
【0018】
搬送スクリュー6は、例えばインバーターモータによる駆動回転手段8によって駆動されるもので、搬送スクリュー6の回転数は、被処理物aの搬送量に応じて適宜に調整されるのであり、かつ、図示を省略するが、被処理物aの供給手段1には、被処理物aの搬送量を測定するための流量計が装備されている。
【0019】
9,10は被処理物aを連続的に撹拌して搬送するために直列に配置された第1及び第2の撹拌搬送手段で、被処理物aの練り混ぜ用パドル11と搬送用ブレード12との組み合わせ構造から成る撹拌搬送装置13を、ドラム14に内蔵してなる。
【0020】
そして、前段の第1撹拌搬送手段9は、連続供給機4から定量的に流下供給される被処理物aの受入れ口15と、第2撹拌搬送手段10への被処理物aの排出口16とを備えており、後段の第2撹拌搬送手段10についても、第1撹拌搬送手段9から定量的に流下供給される被処理物aの受入れ口17と、排出コンベア18への被処理物aの排出口19とを備えている。
【0021】
20は第1撹拌搬送手段9の搬送始端側への固化材Aの投入手段(第1投入手段)、21は第2撹拌搬送手段10の搬送始端側への固化材Bの投入手段(第2投入手段)で、それぞれ固化材A,Bの受入れホッパー22に、例えばスクリューフィダーなどの搬送手段23を連設し、かつ、搬送手段23に固化材投入口23aを連設して成る。
【0022】
これらの第1,第2投入手段20,21には、固化材ビン内にセットされている満空レベラーによって、かつ、ビン底部のスクリューフィダーによる連続計量の計量方法に基づいて、固化材A,Bが自動補給されるようになっており、第1及び第2の撹拌搬送手段9,10への固化材A,Bの投入量は、インバーター制御によって調整可能であって、その投入量はキャリブレーションによって確認されるようになっている。
【0023】
被処理物aが性状的に酸性を示すものの場合は、固化材A,Bとしてセメント系や石灰系のものを用いて、中性化を図るのであるが、被処理物aが中性域の性状を示すものや、ベントナイトやセメント等の混入泥土などのように高アルカリの性状を示すものの場合は、これの中性化を図って、固化処理土(処理物)の例えば埋め戻しに際して、公害問題を惹起しないように、固化材Aとして中性のもの(例えばタイガーハード;株式会社日本資源リサイクルの商品名)を用いるものとし、固化材Bとしては、高分子系のもの(例えばスミロック#400;住友精化株式会社の商品名)を用いるものとする。
【0024】
尤も、これは一例であって、上記とは逆に、固化材Bを第1撹拌搬送手段9の搬送始端側に、かつ、固化材Aを第2撹拌搬送手段10の搬送始端側に、投入してもよく、第1及び第2の撹拌搬送手段10の搬送始端側に、同じ性状の固化材A(またはB)を投入するようにしてもよいのである。
【0025】
ところで、固化材A,Bの投入に伴って被処理物aの硬化が始まり、かつ、被処理物aが短時間で粒状固化されて、その搬送抵抗が大きくなることから、本発明では、第1及び第2の撹拌搬送手段9,10に内蔵の撹拌搬送装置13を、トルクの大きな油圧の駆動手段39によって駆動させるようにして、被処理物aの搬送量を調整可能な状態で、この被処理物aを定量かつ連続的に撹拌搬送できるようにしている。
【0026】
24は自走式の走行車体で、上記の各種手段すなわち被処理物aの供給手段1と、第1及び第2の撹拌搬送手段9,10と、固化材A,Bの投入手段20,21、更に、コンベア18を搭載して、例えば処理現場が僅かずつ移動する際や、処理現場の変更などに応じて機動性を高めるようにしているが、システム全体を工場や処理現場に据え置きにして稼働するようにしてもよい。
【0027】
上記のシステムにおいて、被処理物aがベントナイトやセメント等の混入泥土などのように高アルカリの性状を示すものとして説明すると、この際は、必要に応じて被処理物aを5.6〜8.6程度の中性域にpH調整して、この被処理物aを第1の撹拌搬送手段9に定量的に供給すると共に、この撹拌搬送手段9による被処理物aの搬送始端側に中性の固化材Aを供給するのである。
【0028】
このようにして供給された被処理物aと固化材Aとを、撹拌搬送手段9によって撹拌しつつ搬送して、その混合物を排出口16を通して第2の撹拌搬送手段10に供給するのであり、かつ、第2の撹拌搬送手段10の搬送始端側に中性の固化材Bを供給して、この撹拌搬送手段10によって、被処理物aと固化材Aとの混合物と固化材Bとを撹拌しつつ搬送して、中性化処理された固化処理土(処理物)bとして、排出口19からコンベア18に連続的に取り出すのである。
【0029】
ここで、撹拌搬送手段9への被処理物aの供給量と、撹拌搬送手段9,10による被処理物aの搬送量、及び、固化材A,Bの投入量が、それぞれ調整可能であることから、第2の撹拌搬送手段10の排出口19から取り出された初期の固化処理土(処理物)bの処理状況を観察して、これに基づいて後々の被処理物aに対する固化材A,Bの投入量を増減することで、アルカリ性を示す高含水の被処理物aを、必要最小限の固化材A,Bによって経済的に無駄なく、直接的かつ連続的に高効率で中性化ならびに粒状固化させることができるのである。
【0030】
この処理過程において、他の廃棄物(処理汚濁水など)の発生がないことは勿論、このようにして粒状固化された処理物(固化処理土)bは、雨水を被っても再泥化せず、更には、コーン指数400以上の強度を発揮することが確認されたのであって、処理物の有効利用範囲が大幅に拡大することになる。
【0031】
尚、図1に仮想線で示すように、固化材Aを被処理物aの供給手段1の貯留ホッパー3に供給して、この貯留ホッパー3を通して第1撹拌搬送手段9の搬送始端側に固化材Aを供給するようにしてもよい。
【0032】
また、図4に示すように、第1,第2投入手段20,21による固化材A,Bの投入口23aを、第1及び第2の撹拌搬送手段9,10の搬送始端側と搬送経路途中とに備えて、固化材A,Bを分散投入させるようにしてもよく、この場合、固化材A,Bの供給による被処理物aの粒状固化が順次的に行われることで、搬送抵抗が一挙に大きくならず、従って、第1及び第2の撹拌搬送手段9,10に対する駆動負荷が軽減される利点があるが、この際、第1,第2投入手段20,21の何れか一方の投入箇所のみを分散させるようにしてもよいのである。
【0033】
更に、図1及び図4に示すシステムにおいて、第2の撹拌搬送手段10の配置を省略して、即ち、1台の撹拌搬送手段9のみによって被処理物aの連続粒状固化を図るように構成してもよいのであり、更には、第2の撹拌搬送手段10の後段にも撹拌搬送手段を直列に配置(合計で3台や4台など)して、撹拌搬送の処理能力を高めるようにしてもよいのであり、この際、前段の撹拌搬送手段の搬送終端側に固化材の投入手段を備えて、撹拌搬送手段の排出口を通して、固化材を撹拌搬送手段の搬送始端側に供給するようにしてもよいのである。
【0034】
上記の実施の形態によるシステムは、車体搭載タイプのものであるが、システムを据え置きタイプに構成しての実施も可能であり、その一例として、縦型配置の形態とした被処理物の連続粒状固化システムを図5及び図6に示している。
【0035】
この実施の形態によるシステムにおいては、フレーム架台38の上部側に、固化材A〜Cのサイロ25〜27を配置すると共に、このサイロ25〜27の側部上方に被処理物aの供給手段28を設け、この供給手段1の下部側に、被処理物aの受け継ぎを可能にする状態で、複数台(2台を図示している。)の撹拌搬送手段29,30を直列に配置し、更に、固化処理土(処理物)の排出コンベア31を備えている。
【0036】
そして、固化材Aを撹拌搬送手段29,30の搬送経路途中に投入するための手段32,33と、供給手段28の排出口34を通して間接的に、固化材Bを撹拌搬送手段29の搬送始端側に投入するための手段35と、撹拌搬送手段29の排出口36を通して間接的に、固化材Cを撹拌搬送手段30の搬送始端側に投入するための手段37を備えている。
【0037】
上記の縦型配置の形態によるシステムを、車体搭載タイプに構成可能であることは言うまでもなく、かつ、固化材Aを撹拌搬送手段29,30の搬送経路途中に投入するための手段32,33のうち、少なくとも一方を省略して実施可能であることは勿論であり、更に、後段の撹拌搬送手段30を省略省略しての実施も可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、必要最小限の固化材を用いて、高含水の被処理物を直接的かつ連続的に、しかも、高効率で粒状固化できる経済性に優れた被処理物の連続粒状固化システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自走式の走行車体に搭載した被処理物の連続粒状固化システムを示す平面図である。
【図2】 自走式の走行車体を省略して示す連続粒状固化システムの概略縦断側面図である。
【図3】 被処理物の供給手段を示す断面図である。
【図4】 別の実施の形態によるシステムの概略構成図である。
【図5】 縦型配置の形態とした据え置きタイプのシステム構成図である。
【図6】 図5に示したシステムの平面図である。
【符号の説明】
1…被処理物の供給手段、9,10…被処理物の撹拌搬送手段、20,21…固化材の投入手段、24…自走式の走行車体、a…被処理物、A,B,C…固化材。

Claims (4)

  1. 泥水や泥土等の高含水の被処理物を連続的に粒状固化するための固化システムであって、供給量の調整が可能な被処理物の供給手段と、搬送量の調整が可能で且つ被処理物を連続的に撹拌して搬送するための被処理物の第1および第2撹拌搬送手段と、被処理物を粒状固化するための固化材を第1攪拌搬送手段に投入する第1投入手段と、被処理物を粒状固化するための固化材を第2攪拌搬送手段に投入する第2投入手段とを備えて成り、前記各撹拌搬送手段が、被処理物の搬送始端側より搬送終端側が高くなるよう傾斜状態で設けられていると共に、第1攪拌搬送手段の搬送終端側に設けられた被処理物の排出口が第2攪拌搬送手段の搬送始端側に設けられた被処理物の受入れ口の上方に位置するように構成され、また、第1投入手段が、固化材の受入れホッパーと、この受入れホッパーからの固化材を第1攪拌搬送手段に投入するための搬送手段とを備え、第2投入手段が、固化材の受入れホッパーと、この受入れホッパーからの固化材を第2攪拌搬送手段に投入するための搬送手段とを備え、かつ、第1および第2投入手段による固化材の投入量を調整可能に構成して、固化材を第1および第2撹拌搬送手段における被処理物の搬送始端側に供給することを特徴とする被処理物の連続粒状固化システム。
  2. 固化材を第1および/または第2撹拌搬送手段による被処理物の搬送経路途中にも供給することを特徴とする請求項1に記載された被処理物の連続粒状固化システム。
  3. 固化材として、被処理物を中性化させる中性固化材を用いる請求項1または2に記載された被処理物の連続粒状固化システム。
  4. 前記被処理物の供給手段と前記第1および第2撹拌搬送手段とを、自走式の走行車体に搭載して成る請求項1〜3のいずれかに記載された被処理物の連続粒状固化システム。
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