JP3930348B2 - 土質改良方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚染土砂や汚泥から改良土製品を生産する土質改良方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
環境保全の機運の高まりの下、例えば工場跡地を転売する場合、その持主が工場跡地の汚染の有無を調整すると共に、汚染判明時には不溶化(浄化)を義務付ける条例が制定されつつある。例えば、建物を建設する場合、跡地購入後に整地作業を行う時になって、その土地が重金属系の汚染物質に汚染されていることが判明することもままある。このような場合、不溶化処理を施さないとその跡地に建物を建築することができず、建設作業を延期せざるを得なくなる。また、建設中、跡地内の建物の建設予定地やその周辺で汚染が確認された場合等も建設作業を中断せざるを得ないという事態が生じる。
【0003】
そこで、このような汚染土壌を不溶化処理するために、従来、例えば特開2000−210652号公報に記載のように、汚染土砂が供給される土砂供給口(導入口)と土質改良材(無害化材)が供給される土質改良材供給口(無害化材注入口)を有する混合装置(混合機)が提唱されている。この混合装置では、土砂供給口から導入した汚染土砂と土質改良材供給口から土質改良材を、回転軸に多数の回転刃を取り付けた攪拌ロータで攪拌移送して無害化し、排出口から改良土として排出するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、一般に、水を含んだ地盤を掘削した場合や推進工事・シールドトンネル工事等を施工した場合等においては、いわゆる汚泥が発生する。この汚泥は、法令上産業廃棄物としての取扱いを受けるためそのままでは廃棄することはできない。そこで、近年のリサイクル促進の機運の高まりの下、上記の汚染土砂と同様、土質改良材と混合し固化して改良土とし、埋め戻し材や道路の基盤材等に再利用することが行われつつある。
【0005】
しかしながら、前述した特開2000−210652号公報に記載の汚染土砂を不溶化する混合装置では上記の汚泥の改質固化には配慮されておらず、汚泥を投入した場合には改良土を生産することはできない。また、上記の汚泥を改質固化するシステムでは前述の汚染土砂の不溶化には配慮されておらず、汚染土砂を投入した場合には改良土を生産することはできない。すなわち、いずれも土砂原料から最終的に改良土製品を生産するものであるにもかかわらず、通常、両者は全く別々のものとして設置され、1つの土砂原料から改良土製品を生産するようにしか機能していない。言い換えれば、原料が汚染土砂であっても汚泥であっても、常に改良土を効率よく生産することができる万能型の土質改良システムは、従来存在しなかった。
【0006】
本発明の目的は、原料の種類によらず、改良土製品を効率よく生産できる土質改良方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、汚染土砂又は一般残土が供給される土砂供給口、泥土が供給される泥土供給口、前記汚染土砂に含まれる重金属を不溶化する土質改良材が供給される不溶化材供給口、及び前記泥土を固化する土質改良材が供給される固化材供給口を有する混合装置と、投入された泥土を貯留する泥土貯留槽と、この泥土貯留槽に貯留された泥土を搬送し前記泥土供給口を介して前記混合装置に供給する泥土供給装置と、前記泥土を固化する土質改良材を貯留する固化材貯留槽と、この固化材貯留槽に貯留された土質改良材を搬送し前記固化材供給口を介して前記混合装置に供給する固化材供給装置と、投入された汚染土砂又は一般残土を貯留する土砂貯留槽と、この土砂貯留槽に貯留された汚染土砂又は一般残土を搬送し前記土砂供給口を介して前記混合装置に供給する土砂供給装置と、前記汚染土砂に含まれる重金属を不溶化する土質改良材を貯留する不溶化材貯留槽と、この不溶化材貯留槽に貯留された土質改良材を搬送し前記不溶化材供給口を介して前記混合装置に供給する不溶化材供給装置と、前記混合装置にて泥土又は汚染土砂の少なくとも一方と土質改良材とが混合され生成された改良土を排出する排出コンベアとを備え、汚染土砂の不溶化処理及び泥土の固化処理の双方に対応した土質改良システムを用いた土質改良方法であって、前記重金属を不溶化する土質改良材にキレート材を用い、前記土砂貯留槽に貯留された汚染土砂を前記土砂供給装置によって前記混合装置に供給して不溶化処理を施すに際し、汚染土砂よりも含水比が高い前記泥土貯留槽に貯留された泥土を前記泥土供給装置によって前記混合装置に供給し汚染土砂に混合する。
【0014】
(2)上記目的を達成するために、また本発明は、汚染土砂又は一般残土が供給される土砂供給口、泥土が供給される泥土供給口、前記汚染土砂に含まれる重金属を不溶化する土質改良材が供給される不溶化材供給口、及び前記泥土を固化する土質改良材が供給される固化材供給口を有する混合装置と、投入された泥土を貯留する泥土貯留槽と、この泥土貯留槽に貯留された泥土を搬送し前記泥土供給口を介して前記混合装置に供給する泥土供給装置と、前記泥土を固化する土質改良材を貯留する固化材貯留槽と、この固化材貯留槽に貯留された土質改良材を搬送し前記固化材供給口を介して前記混合装置に供給する固化材供給装置と、投入された汚染土砂又は一般残土を貯留する土砂貯留槽と、この土砂貯留槽に貯留された汚染土砂又は一般残土を搬送し前記土砂供給口を介して前記混合装置に供給する土砂供給装置と、前記汚染土砂に含まれる重金属を不溶化する土質改良材を貯留する不溶化材貯留槽と、この不溶化材貯留槽に貯留された土質改良材を搬送し前記不溶化材供給口を介して前記混合装置に供給する不溶化材供給装置と、前記混合装置にて泥土又は汚染土砂の少なくとも一方と土質改良材とが混合され生成された改良土を排出する排出コンベアと、前記排出コンベアで排出した改良土を解砕する解砕機とを備え、汚染土砂の不溶化処理及び泥土の固化処理の双方に対応した土質改良システムを用いた土質改良方法であって、前記重金属を不溶化する土質改良材にキレート材を用い、前記土砂貯留槽に貯留された汚染土砂を前記土砂供給装置によって前記混合装置に供給して不溶化処理を施すに際し、汚染土砂よりも含水比が高い前記泥土貯留槽に貯留された泥土を前記泥土供給装置によって前記混合装置に供給し汚染土砂に混合する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の土質改良システムの一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は、本発明の土質改良システムの一実施の形態の全体機器配置を表す平面図である。この図1において、1は混合機、2は汚泥貯留槽(ホッパ)、3は汚泥供給装置、4は第1固化材貯留槽、5は第1固化材供給装置、6は第2固化材貯留槽、7は第2固化材供給装置、8は土砂投入槽(ホッパ)、9a,9bは土砂搬送装置、10は重金属不溶化処理材貯留槽、11は重金属不溶化処理材供給装置、12は排出コンベア、13は制御装置である。
【0017】
図2は、図1中A方向から見た本発明の土質改良システムの一実施の形態の矢視正面図である。この図2及び図1において、前記混合機1は、例えば二軸パドル式の攪拌混合機である。
【0018】
図3は、本発明の土質改良システムの一実施の形態を構成する混合機1のB−B断面による横断面図である。この図3及び図2において、14は回転軸、15はこの回転軸14に所定ピッチで取り付けられた攪拌羽根(パドル)、Rは攪拌羽根14の回転軌跡、16はハウジング、17は前記回転軸14の回転駆動力を発生するモータ、18は前記ハウジング16に設けたスプレーノズル(清水注入口)である。
【0019】
前記ハウジング16はその上部に、汚泥が供給される汚泥供給口19と、汚染土砂等の土砂が供給される土砂供給口20と、重金属不溶化処理材が供給される重金属不溶化処理材供給口21と、第1固化材が供給される第1固化材供給口22と、第2固化材が供給される第2固化材供給口23とを備えている。またハウジング16はその下部に改良土排出口24を備えている。
【0020】
上記構造により、混合機1は、モータ17の駆動力で回転軸14を回転駆動することにより、各供給口19,20,21,22,23から投入された、汚泥又は汚染土砂の少なくとも一方と、重金属不溶化処理材・固化材等の土質改良材とをその長手方向に移送しつつ攪拌混合し、生成した改良土を排出口24から排出するようになっている。
【0021】
なお、25は、前記改良土排出口24を開閉させるシリンダ25aを備えたゲート装置25である。
【0022】
図1及び図2に戻り、前記汚泥貯留槽2は、例えば水を含んだ地盤を掘削した場合や推進工事・シールドトンネル工事等を施工した場合等において発生する汚泥が、油圧ショベル、スクリューコンベア、ポンプ等の適宜の投入手段により投入され、これを一旦貯留する。
【0023】
前記汚泥供給装置3は、前記汚泥貯留槽2の下部に位置し、例えばインバータ制御される公知のスクリューコンベアで構成され、汚泥を搬送して混合機1の前記汚泥供給口19へと供給する。なお、このときの回転数は、前記制御装置13によって前記インバータが制御されることで所定の一定値に設定され、これによって、搬送量を調整しつつ混合機1へ汚泥を定量供給するようになっている。
【0024】
図4は、本発明の土質改良システムの一実施形態を構成する第2固化材貯留槽6及び第2固化材供給装置7の詳細構造を表す図1中C−C断面による横断面図、図5は、本発明の土質改良システムの一実施形態を構成する第1固化材貯留槽4及び第1固化材供給装置5の詳細構造を表す図1中D−D断面による横断面図である。
【0025】
これら図4及び図5において、前記第1及び第2固化材貯留槽4,6は、汚泥を固化するための土質改良材(例えば、生石灰、石炭灰、セメント、石膏、フライアッシュ、凝集材等の固化材、あるいは適宜それらを混合したもの等)を貯蔵する。このとき、第1固化材貯留槽4と第2固化材貯留槽6とで別々の固化材を貯蔵してもよいし、同一の固化材を貯蔵するようにしてもよい。
【0026】
第1固化材供給装置5は、前記第1固化材貯留槽4の下部から第1固化材を導入して搬送する第1段搬送部5aと、さらにこの第1段搬送部5aから第1固化材を導入して搬送する第2段搬送部5bとから構成されている。これら第1段及び第2段搬送部5a,5bは、上記汚泥供給装置3同様、例えばインバータ制御される公知のスクリューコンベアでそれぞれ構成され、第1固化材を搬送して混合機1の前記第1固化材供給口22へと供給する。なお、このときの搬送速度(回転数)は、予め作業者が制御装置13の設定つまみを用いて、処理予定の汚泥量に応じた第1又は第2固化材の供給量を設定しておき(固化材の供給量は汚泥の含水比や土質により異なるので一様ではないため、例えば作業者が経験的に設定する)、この設定に応じて前記制御装置13によって前記インバータが制御されることにより、搬送速度(回転数)がある一定値に制御される。このようにして、第1固化材供給装置5は、混合機1へ第1固化材を定量供給するようになっている。
【0027】
なお、第2固化材供給装置7も上記第1固化材供給装置5と同様、インバータ制御される公知のスクリューコンベアで構成される第1段及び第2段搬送部7a,7bで構成され、制御装置13の制御に基づく搬送速度で第2固化材を搬送し混合機1の前記第2固化材供給口23へと定量供給するようになっている。
【0028】
図1に戻り、前記土砂投入槽8内には解砕機構26が設けられており、駆動モータ27の駆動力で解砕機構26の回転軸26aを駆動し解砕アーム26bを回転することにより、土砂投入槽8に投入された汚染土砂を解砕するようになっている。
【0029】
図6は、本発明の土質改良システムの一実施の形態を構成する土砂投入槽8及び土砂搬送装置9aの詳細構造を表す図1中E−E断面による断面図であり、図7は、図1中F方向からみた矢視図である。これら図6、図7及び前述の図1において、前記土砂投入槽8は、例えば工場跡地より発生した汚染土砂が油圧ショベルやベルトコンベア等の適宜の投入手段により投入され、これを一旦貯留する。土砂投入槽8の下部には、例えば振動篩いからなる夾雑物分離装置28が設られている。
【0030】
この夾雑物分離装置28は、スクリーン28aを備えた枠体28bを例えばモータとからなる加振手段28cで振動させることにより、土砂投入槽8から投入された汚染土砂を篩いの目より大きいか小さいかにより篩い分ける。これによって、汚染土砂中に混入する大きな石、ゴミ、空き缶などの夾雑物を土砂から分離して排出するようになっている。
【0031】
前記土砂搬送装置9aは、例えば公知のベルトコンベアで構成され、その上流側端部が前記夾雑物分離装置28の下部に位置している。すなわち、モータ9aaで駆動輪9abを駆動し、この駆動輪9abと従動輪9acとの間に掛け回されたベルト9adを循環駆動することにより、夾雑物分離装置28より導入した汚染土砂をベルト9ad上に載置し搬送するようになっている。
【0032】
また図6及び前述の図5において、前記土砂搬送装置9bは、上記土砂搬送装置9aと同様、例えば公知のベルトコンベアであり、モータ9baの駆動力で駆動輪9bbと従動輪9bcとの間に掛け回されたベルト9bdを循環駆動し、土砂搬送装置9aより導入した汚染土砂を搬送し、混合機1の前記土砂供給口20へ供給するようになっている。
【0033】
なお、このとき、上記土砂搬送装置9a,9bのうち少なくとも一方には、ベルト9ad又は9bdにより搬送される搬送土砂の量を検出する例えばコンベアスケール等の公知の土砂量検出装置(図示せず)が設けられており、その検出信号が前記制御装置13へと送られるようになっている。
【0034】
図8は、重金属不溶化処理材貯留槽10及びその周辺部の詳細構造を表す図1中G方向から見た矢視図である。
【0035】
この図8及び前述の図1において、前記重金属不溶化処理材貯留槽10は、汚染土砂を不溶化するための土質改良材(この例ではキレート材)を貯蔵する。キレート材は、金属イオンに配位(結合)してキレート化合物をつくる多座配位子で多くの金属と安定な化合物をつくり重金属を不溶化する機能を持つ。キレート材の例としては、エチレンジアミン、蓚酸イオン、イミノニ酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等がある。このとき、不溶化しようとする汚染土砂の態様によりキレート材以外の他の不溶化材を貯蔵してもよいことは言うまでもない。
【0036】
重金属不溶化処理材供給装置11は、例えばインバータ制御のモータにより駆動されるポンプ等により構成され、前記重金属不溶化処理材貯留槽10及び前記混合機1の重金属不溶化処理材供給口21(図2参照)とそれぞれ図示しない配管により接続される。そして、重金属不溶化処理材貯留槽10から配管を介して導入した不溶化処理材(キレート材)を加圧して圧送し、配管を介し混合機1の前記重金属不溶化処理材供給口21へと供給するようになっている。
【0037】
なおこのとき、汚染土砂に対するキレート材の供給量は、前記土砂量検出装置で検出した土砂量に応じて制御装置13が前記インバータを制御することにより、搬送される汚染土砂に対して最適な混合比となるように混合機1へとキレート材を供給するようになっている。
【0038】
前記排出コンベア12は、その上流側端部が前記混合機1の改良土排出口24の下部に位置している。そして、モータ12aで駆動輪12bを駆動し、この駆動輪12bと従動輪12cとの間に掛け回されたベルト12dを循環駆動することにより、混合機1より導入した改良土(汚染土砂又は汚泥のうち少なくとも一方を土質改良材と混合し改質したもの)をベルト12d上に載置して搬送し、所定の堆積保管場所へと排出するようになっている。
【0039】
上記構成において、重金属不溶化処理材供給口21、第1固化材供給口22、及び第2固化材供給口23が、請求項1記載の土質改良材が供給される土質改良材供給口を構成し、混合機1が、汚染土砂が供給される土砂供給口、汚泥が供給される汚泥供給口、及び土質改良材が供給される土質改良材供給口を有する混合装置を構成する。
【0040】
また、第1固化材貯留槽4、第2固化材貯留槽6、及び重金属不溶化処理材貯留槽10が、土質改良材供給口へ供給する土質改良材を貯留する貯留手段を構成する。
【0041】
以上のように構成した本実施形態の土質改良システムの動作及び作用を、以下に順次説明する。
【0042】
(1)汚染土砂不溶化処理
例えば工場跡地より搬入された重金属汚染土砂を不溶化処理する場合、まず予め作業者は、使用する不溶化処理材により予め決定されている汚染土砂重金属含有量とキレート材の添加量との相関に基づき、制御装置13において汚染土砂量に対するキレート材の混合比(すなわち重金属不溶化処理材供給装置11の回転数)を設定する。
【0043】
そして、各装置を起動させた後、例えばこの土質改良システムが設置された処理場内に搬入された汚染土砂を、順次土砂投入槽8に投入する。土砂投入槽8に投入された土砂は、その下部の夾雑物分離装置28のスクリーン28aにより混入した大きな石、ゴミ、空き缶などの夾雑物が除去された後、その下部の土砂搬送装置9aさらに土砂搬送装置9bによって混合機1へと搬送され、前述のように土砂供給口20へ供給される。
【0044】
このとき、土砂搬送装置9aを通過する土砂の量は前記土砂量検出装置により検出される。検出された土砂量は制御装置13へと入力され、これに見合ったキレート材の供給量(=重金属不溶化処理材供給装置11の回転数)が演算され、その結果、重金属不溶化処理材供給装置11の駆動部を制御し、最適な混合比となる所定量のキレート材が、混合機1の重金属不溶化処理材供給口21に投入される。これにより、供給された汚染土砂とキレート材とは混合機1内で攪拌混合され、キレート材が汚染土砂に含まれた金属イオンに配位(結合)しキレート化合物をつくることにより金属と安定な化合物を生成し、重金属を不溶化した(無害化・不溶化した)改良土となって排出コンベア12によって排出される。
【0045】
排出コンベア12で排出した改良土は、例えば所定期間養生した後、適宜設けた解砕機を用いて解砕・破砕することにより、さらに、最終用途(例えば再生砂)に適した大きさとする(=粒度調整)ことができる。
【0046】
ここで、上記のようにして汚染土砂の不溶化処理を行う際、キレート材の反応性は水分の量に大きく左右されるため、水分が比較的少ない乾燥汚染土砂の場合、そのままではキレート結合が有効に行われず、不溶化処理を十分有効に行えない可能性がある。このような場合には、混合機1の汚泥供給口19に含水比の高い適宜の量の汚泥を併せて供給する。
【0047】
すなわちこの場合、汚泥供給量を汚染土砂の乾燥の程度により決定し、予め制御装置13でその決定した汚泥の供給量に相当する汚泥供給装置3の回転数を設定しておく。上記のようにして汚染土砂及びキレート材を土砂投入槽8及び重金属不溶化処理材貯留槽10からそれぞれ混合機1内に供給する一方で、汚泥を汚泥貯留槽2に貯留された汚泥は、上記設定された供給量で汚泥供給装置3により混合機1の汚泥供給口19に定量投入される。
【0048】
混合機1に投入された汚染土砂、キレート材、及び汚泥は混合機1により攪拌混合され、乾燥状態の汚染土砂が汚泥と撹幹混合されることで含水比が増大し、その結果キレート結合しやすい状態となって、不溶化処理を確実に行わせることができる。したがって、汚染土砂の含水比などの性状に係わりなく、汚染土砂の不溶化処理(重金属不溶化処理)を確実に行うことができる。
【0049】
なお、以上の場合に、不溶化処理のみならずある程度の強度を得たい場合には、下記(2)のようにして第1又は第2固化材貯留槽4,6内の第1又は第2固化材を併せて混合機1へ投入し混合するようにしてもよい。
【0050】
(2)汚泥固化処理
例えば水を含んだ地盤を掘削した場合や推進工事・シールドトンネル工事等を施工した場合等において発生する汚泥を固化処理する場合、まず予め作業者は、経験的に算出されている汚泥の含水比と固化材の添加量との相関に基づき、制御装置13において、汚泥の処理量に相当する汚泥供給装置3の回転数と、この量に見合った固化材の供給量に相当する第1及び第2固化材供給装置5,6の回転数とを設定する。
【0051】
そして、各装置を起動させた後、処理場に搬入された汚泥を、順次汚泥貯留槽2に投入する。汚泥貯留槽2に投入された汚泥は汚泥供給装置3により上記設定された所定量で混合機1へと搬送され、前述のように汚泥供給口19へ供給される。また、第1又は第2固化材のうち少なくとも一方(以下単に、固化材という)が、固化材供給装置5又は固化材供給装置7により上記設定された所定量で混合機1へと搬送され、前述のように第1固化材供給口22又は第2固化材供給口23へ供給される。
【0052】
上記のようにしてそれぞれ所定量供給された汚泥と固化材は混合機1で攪拌混合される。例えば生石灰を固化材として使用した場合、汚泥に対し消化吸収反応(水和反応)と発熱反応が生じ、汚泥中の水分を生石灰中に吸収するとともに熱で蒸発させて汚泥の含水比を低下させる。こうして含水比を低下させた土砂は、脱水処理されるだけでなく、生石灰中のカルシウムイオンによる土砂の凝集化作用やポゾラン反応とこの反応に関与しなかった残余の生石灰による炭酸化反応とにより強度が上昇して固化するとともに、水が浸入する場所で再利用しても再汚泥化することがないように改質された改良土となり、排出コンベア12によって排出される。
【0053】
排出コンベア12で排出した改良土は、上記(1)同様、例えば所定期間養生した後解砕・破砕することにより、最終用途(例えば再生砂)に適した大きさとする。
【0054】
ここで、上記のようにして汚泥の固化処理を行う際、固化後に所定強度を発現させるための固化材の必要量は汚泥の含水量に大きく左右される。すなわち含水量が比較的多い汚泥の場合、そのままでは固化処理のために膨大な量の固化材が必要となってコスト高を招くか、固化材供給装置5,7の性能が追いつかない場合には固化処理を十分有効に行えない可能性もある。このような場合には、混合機1の土砂供給口20に含水比の低い適宜の量の一般残土(掘削残土等)を併せて供給する。
【0055】
すなわちこの場合、混合機1内の供給される一般残土の量は汚泥の湿潤の程度により決定され、予め制御装置13でその決定した残土供給量に対する土砂搬送装置9a,9bの回転数を設定しておく。上記のようにして汚泥及び固化材を汚泥貯留槽2及び固化材貯留槽4,6からそれぞれ混合機1内に供給する一方で、一般残土を土砂投入槽8から上記設定された供給量で土砂搬送装置9a,9bにより混合機1の土砂供給口20に定量投入する。
【0056】
このように含水比の低い適宜の量の一般残土を併せて供給することにより、全体の含水比を小さくして固化材の必要量を低減し、コスト低減を図り、また固化処理を確実に行わせることができる。
【0057】
なお、上記(1)や(2)の処理作業が終了したら、混合機1の土砂排出部24のゲートを閉じるとともに混合機ケーシング6の側部に設けたスプレーノズル18から清水(あるいは適宜の薬液)を混合機1の中に注入しつつ混合機1を回転させ、混合機1内部に付着した土砂等を清掃する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、土砂原料として汚染土砂が投入された場合及び汚泥が投入された場合のいずれにおいても、それに対応した所定の処理(不溶化処理又は固化処理)を行い、原料の種類によらず改良土を効率よく生産することができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、土砂原料として汚染土砂が投入された場合及び汚泥が投入された場合のいずれにおいても、それに対応した所定の処理を行えるので、原料の種類によらず改良土を効率よく生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の土質改良システムの一実施の形態の全体機器配置を表す平面図である。
【図2】図1中A方向から見た本発明の土質改良システムの一実施の形態の矢視正面図である。
【図3】本発明の土質改良システムの一実施の形態を構成する混合機のB−B断面による横断面図である。
【図4】本発明の土質改良システムの一実施形態を構成する第2固化材貯留槽及び第2固化材供給装置の詳細構造を表す図1中C−C断面による横断面図である。
【図5】本発明の土質改良システムの一実施形態を構成する第1固化材貯留槽及び第1固化材供給装置の詳細構造を表す図1中D−D断面による横断面図である。
【図6】本発明の土質改良システムの一実施の形態を構成する土砂投入槽及び土砂搬送装置の詳細構造を表す図1中E−E断面による断面図である。
【図7】本発明の土質改良システムの一実施の形態を構成する土砂投入槽及び土砂搬送装置の詳細構造を表す図1中F方向からみた矢視図である。
【図8】本発明の土質改良システムの一実施の形態を構成する重金属不溶化処理材貯留槽及びその周辺部の詳細構造を表す図1中G方向から見た矢視図である。
【符号の説明】
1 混合機(混合装置)
4 第1固化材貯留槽(貯留手段)
6 第2固化材貯留槽(貯留手段)
12 排出コンベア
19 汚泥供給口
20 土砂供給口
21 重金属不溶化処理材供給口(土質改良材供給口)
22 第1固化材供給口(土質改良材供給口)
23 第2固化材供給口(土質改良材供給口)
Claims (2)
- 汚染土砂又は一般残土が供給される土砂供給口、泥土が供給される泥土供給口、前記汚染土砂に含まれる重金属を不溶化する土質改良材が供給される不溶化材供給口、及び前記泥土を固化する土質改良材が供給される固化材供給口を有する混合装置と、投入された泥土を貯留する泥土貯留槽と、この泥土貯留槽に貯留された泥土を搬送し前記泥土供給口を介して前記混合装置に供給する泥土供給装置と、前記泥土を固化する土質改良材を貯留する固化材貯留槽と、この固化材貯留槽に貯留された土質改良材を搬送し前記固化材供給口を介して前記混合装置に供給する固化材供給装置と、投入された汚染土砂又は一般残土を貯留する土砂貯留槽と、この土砂貯留槽に貯留された汚染土砂又は一般残土を搬送し前記土砂供給口を介して前記混合装置に供給する土砂供給装置と、前記汚染土砂に含まれる重金属を不溶化する土質改良材を貯留する不溶化材貯留槽と、この不溶化材貯留槽に貯留された土質改良材を搬送し前記不溶化材供給口を介して前記混合装置に供給する不溶化材供給装置と、前記混合装置にて泥土又は汚染土砂の少なくとも一方と土質改良材とが混合され生成された改良土を排出する排出コンベアとを備え、汚染土砂の不溶化処理及び泥土の固化処理の双方に対応した土質改良システムを用いた土質改良方法であって、
前記重金属を不溶化する土質改良材にキレート材を用い、前記土砂貯留槽に貯留された汚染土砂を前記土砂供給装置によって前記混合装置に供給して不溶化処理を施すに際し、汚染土砂よりも含水比が高い前記泥土貯留槽に貯留された泥土を前記泥土供給装置によって前記混合装置に供給し汚染土砂に混合することを特徴とする土質改良方法。 - 汚染土砂又は一般残土が供給される土砂供給口、泥土が供給される泥土供給口、前記汚染土砂に含まれる重金属を不溶化する土質改良材が供給される不溶化材供給口、及び前記泥土を固化する土質改良材が供給される固化材供給口を有する混合装置と、投入された泥土を貯留する泥土貯留槽と、この泥土貯留槽に貯留された泥土を搬送し前記泥土供給口を介して前記混合装置に供給する泥土供給装置と、前記泥土を固化する土質改良材を貯留する固化材貯留槽と、この固化材貯留槽に貯留された土質改良材を搬送し前記固化材供給口を介して前記混合装置に供給する固化材供給装置と、投入された汚染土砂又は一般残土を貯留する土砂貯留槽と、この土砂貯留槽に貯留された汚染土砂又は一般残土を搬送し前記土砂供給口を介して前記混合装置に供給する土砂供給装置と、前記汚染土砂に含まれる重金属を不溶化する土質改良材を貯留する不溶化材貯留槽と、この不溶化材貯留槽に貯留された土質改良材を搬送し前記不溶化材供給口を介して前記混合装置に供給する不溶化材供給装置と、前記混合装置にて泥土又は汚染土砂の少なくとも一方と土質改良材とが混合され生成された改良土を排出する排出コンベアと、前記排出コンベアで排出した改良土を解砕する解砕機とを備え、汚染土砂の不溶化処理及び泥土の固化処理の双方に対応した土質改良システムを用いた土質改良方法であって、
前記重金属を不溶化する土質改良材にキレート材を用い、前記土砂貯留槽に貯留された汚染土砂を前記土砂供給装置によって前記混合装置に供給して不溶化処理を施すに際し、汚染土砂よりも含水比が高い前記泥土貯留槽に貯留された泥土を前記泥土供給装置によって前記混合装置に供給し汚染土砂に混合することを特徴とする土質改良方法。
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