JP3657921B2 - 半導体装置とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば少なくともメモリとロジック回路が1チップに混載された半導体装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
CPU等の高性能ロジックデバイスや高速SRAMなどの半導体装置は、高速動作を可能とするため、伝播信号の遅延を抑制する必要がある。このため、多層配線を用いて配線抵抗を低減したり、配線材料としては、低抵抗化が可能なCu(銅)を使用したりすることが望ましい。また、多層配線間を絶縁する絶縁膜としては、SiO膜より低い比誘電率(k)を有する材料を用いる必要がある。
【0003】
このような低誘電率の絶縁膜材料としては、MSX(Metyl-polysiloxane)、HSQ(Hydrogen-silsesquioxane)、PAE(Poly(Arylene)ether)などに代表される所謂low−k膜がある。これらlow−k膜の比誘電率は、k=2.6〜3.0であり、SiOの比誘電率k=3.5〜4.3に比べて低い。このため、low−k膜は、遅延時間の低減に大きく寄与できる。また、low−k材料を多孔質化することにより膜の密度を減らし、比誘電率を低減した所謂ポーラスlow−k膜も開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高性能ロジック回路と例えばDRAMを1チップに搭載した混載デバイスも高性能化のために、Cu配線とlow−k材料を用いた多層配線が必要となっている。
【0005】
しかし、上記のような多層配線を形成する場合、下地となるトランジスタに信頼性上の問題が顕在化する。一般に、CMOSデバイスを構成するPチャネルMOSトランジスタ(PMOS)のゲート電極に負の弱い電界を印加した状態で、温度を150℃程度に保つと、ゲート絶縁膜とシリコン界面に新しい準位と正の固定電荷が発生する。このため、トランジスタの閾値電圧などが変化するNBTI(Negative Bias Temperature Instability)劣化と呼ばれる現象が発生し、デバイス特性の長期信頼性を低下させることが知られている。この原因は、例えばC.E.Blatらによる論文、J.Appl.Phys Vol.69 p.1712(1991)に記載される次の作用によると考えられている。すなわち、ゲート絶縁膜とシリコンとの界面に生じた欠陥に拡散してきたHO(ガス)が電界と熱とによってホール捕獲反応が生じ、新しい界面準位と正の固定電荷を生成するためと考えられている。したがって、このNBTI劣化を抑制するためには、NBTI劣化に敏感なデバイスの形成において、ゲート絶縁膜を含む素子形成層にできる限りHOを拡散させないことが必要となる。
【0006】
また、一般に、半導体装置の製造工程の終了直前において、Hガス雰囲気中で熱処理を行う所謂Hシンター処理が行なわれている。このHシンター処理は、半導体装置の製造工程に用いられる反応性イオンエッチングやプラズマCVD等のプラズマ処理により受けたチャージングダメージを回復する。しかし、Hシンター処理において、過剰なHを基板内に導入した場合、上記HOの場合と同様にNBTI劣化を引き起こすと考えられている。
【0007】
多層配線に前記low−k膜を使用する場合、素子形成層に対するこれら望ましくないガスの拡散量が増加し、NBTI劣化を加速するという問題がある。この第1の理由は、low−k材料は、SiO膜に比べて成膜時にHOやHを多く放出する。第2の理由は、low−k材料は、吸湿性が高いため、low−k膜を形成した後、熱工程においてHOの放出量が多くなるためである。したがって、これらlow−k材料を高性能デバイスへ適用する際、成膜時にHOやHの放出量が少ないlow−k材料を選択したり、多層配線の形成工程において、熱工程の上限温度を低減したりするなどの制限を受ける。
【0008】
また、ロジック回路とDRAMを1チップに搭載した混載デバイスにおいて、ロジック領域のトランジスタは、基板に過剰なHが導入された場合、NBTI劣化による信頼性低下を引き起こす。これに対して、DRAM領域は、データ保持特性に影響するリテンション時間を長くするためには、Hによるシンタリングを高温、長時間行う必要がある。このように、ロジック領域とDRAM領域は、相反する要求を有している。このため、ロジック領域におけるトランジスタの信頼性と、DRAM領域のデータ保持特性の両立を図ることが困難となる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ロジック領域におけるトランジスタの信頼性と、メモリ領域のデータ保持特性の両立を図ることが可能な半導体装置とその製造方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体装置の態様は、半導体基板と、前記半導体基板内に形成され、素子形成層を含むロジック領域と、前記半導体基板内に形成され、素子形成層を含むメモリ領域と、前記ロジック領域及び前記メモリ領域上に形成された多層配線層と、前記ロジック領域と多層配線層との間に形成され、H Oの拡散を防止する拡散防止膜と、前記メモリ領域と前記多層配線層との間に形成され、H の供給源としての絶縁膜とを具備している。
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法の態様は、半導体基板のロジック領域及びメモリ領域内にトランジスタを形成し、ロジック領域及びメモリ領域上に第1の絶縁膜を形成し、前記メモリ領域内の前記第1の絶縁膜の上にH の供給源としての第2の絶縁膜を形成し、前記ロジック領域内の前記第1の絶縁膜の上及び前記第2の絶縁膜の上にH Oの拡散を防止する拡散防止膜を形成し、この拡散防止膜の上に多層配線層を形成することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の参考例
図1は、本発明の第1の参考例に係る半導体装置の断面構造を概略的に示している。
【0018】
図1に示すように、ロジック回路とDRAMが混載された半導体装置において、ロジック領域とDRAM領域は、多層配線層ML直下の絶縁膜層の構造が異なっている。すなわち、ロジック領域の素子形成層1には、トランジスタT1が形成され、DRAM領域の素子形成層2には、MOSトランジスタT2と例えばトレンチキャパシタTCとからなるメモリセルMCが形成されている。これら素子形成層1,2は、例えば半導体基板又はウェルである。DRAM領域において、素子形成層2の上には、被覆性に優れたBPSG又はPSG膜等のCVD絶縁膜3が形成され、この絶縁膜3の上にキャップ膜としてのCVD−SiO膜5が形成されている。
【0019】
これに対して、ロジック領域において、素子形成層1の上には、BPSG又はPSG膜等のCVD膜3、及びそのキャップ膜としてのCVD−SiO膜5が形成され、さらに、CVD膜3とCVD−SiO膜5の間に絶縁膜からなる拡散防止膜4が形成されている。この拡散防止膜4は、HOの拡散防止効果を有している。すなわち、この拡散防止膜4は、その後のlow−k膜を用いた多層配線の形成工程で発生するHOが素子形成層1上に存在するNBTI劣化に敏感なゲート絶縁膜に拡散することを防止する。このようなHOの拡散防止機能を有する絶縁膜としては、例えば微量のN(窒素)を含むSiO膜(SiO(N))を適用できる。このSiO(N)膜は上層から下層へのHの拡散量も低減することができる。
【0020】
ロジック領域の絶縁膜3、4、5には、複数のコンタクトプラグ6が形成され、これらコンタクトプラグ6は、トランジスタT1の拡散層や他の拡散層に接続される。また、DRAM領域において、絶縁膜3、5には、複数のコンタクトプラグ6が形成され、これらコンタクトプラグ6は、トランジスタT2の拡散層や他の拡散層に接続される。
【0021】
前記絶縁膜5の上には、Cu配線とlow−k膜を用いて多層配線層が形成されている。ロジック領域及びDRAM領域内の多層配線層の構造は同様である。すなわち、絶縁膜5の上には、第1のlow−k膜7が形成され、この第1のlow−k膜7の上にキャップ膜8が形成される。これら第1のlow−k膜7及びキャップ膜8内に複数の第1の配線層9が形成されている。第1の配線層9は、例えばTaからなるバリアメタル9aを介して前記コンタクトプラグ6にそれぞれ接続されている。
【0022】
これら第1の配線層9及びキャップ膜8の上には、例えばSiN又はSiC等の絶縁膜10が形成される。この絶縁膜10の上には、第2のlow−k膜11が形成され、この第2のlow−k膜11の上にキャップ膜12が形成される。これら絶縁膜10、第2のlow−k膜11及びキャップ膜12内に、例えばデュアルダマシン法により、複数のビアプラグ13および第2の配線層14が形成される。これらビアプラグ13及び第2の配線層14の周囲にはバリアメタルが形成されている。これらビアプラグ13は、第1の配線層9にそれぞれ接続されている。
【0023】
さらに、これら第2の配線層14及びキャップ膜12の上には、例えばSiN又はSiC等の絶縁膜15が形成される。この絶縁膜15の上には、第3のlow−k膜16が形成され、この第3のlow−k膜16の上にキャップ膜17が形成される。これら絶縁膜15、第3のlow−k膜16及びキャップ膜17内に、例えばデュアルダマシン法により、複数のビアプラグ18および第3の配線層19が形成される。これらビアプラグ18及び第3の配線層19の周囲にはバリアメタルが形成されている。これらビアプラグ18は、第2の配線層14にそれぞれ接続されている。
【0024】
これら第3の配線層19及びキャップ膜17の上には、Cuの拡散を防止する絶縁膜20が形成される。この絶縁膜20の上には、CVD−SiO膜21が形成され、このCVD−SiO膜21の上には、パッシベーション膜22が形成されている。
【0025】
次に、上記半導体装置の製造方法について説明する。
【0026】
次に、図2乃至図9を参照して図1に示す半導体装置の製造方法について説明する。尚、図2乃至図9において、ロジック領域の素子形成層1内に形成されたトランジスタT1、及びDRAM領域の素子形成層2内に形成されたメモリセルMCは省略している。
【0027】
図2に示すように、素子形成層1、2上に絶縁膜3を堆積する。絶縁膜3としては、段差の被覆性に優れた例えばBPSG又はPSG膜等のCVD膜が望ましい。この後、HOに対する拡散防止膜となる拡散防止膜4が全面に堆積される。拡散防止膜4としては、微量のNを含むSiO膜(SiO(N)膜)が望ましい。このSiO(N)膜は、SiHとNOを主原料ガスとするプラズマCVD法により堆積することができる。SiO(N)膜におけるNの含有量は、例えば5〜15atomic%であり、好ましくは例えば8.8〜9.8atomic%である。この理由は、5atomic%未満であると、HOの拡散防止効果が低下し、15atomic%を越えると、SiO(N)膜の誘電率が増加し、配線容量が増加するためである。
【0028】
次に、少なくともロジック領域の拡散防止膜4を残置し、DRAM領域の拡散防止膜4が除去される。すなわち、ロジック領域の拡散防止膜4上に例えばリソグラフィーにより、図示せぬレジストマスクが形成される。このレジストマスクを用いて、DRAM領域の拡散防止膜4が、RIE(Reactive Ion Etching)によりエッチングされる。このようにしてロジック領域に拡散防止膜4が形成される。
【0029】
この後、図3に示すように、全面に絶縁膜5が堆積される。
【0030】
さらに、図4に示すように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等を用いて絶縁膜5が平坦化される。
【0031】
このようにして形成された素子形成層1上の絶縁膜層3,4,5、及び素子形成層2上の絶縁膜層3,5内に図示せぬ複数のコンタクトホールが形成される。
【0032】
この後、例えばCVDにより全面にタングステン(W)が堆積され、タングステンにより複数のコンタクトホールが充填される。
【0033】
次いで、図5に示すように、絶縁膜5上のタングステンが除去されて平坦化され、コンタクトプラグ6が形成される。
【0034】
次に、図6に示すように、第1の配線層の絶縁膜となる第1のlow−k膜7が全面に形成され、この第1のlow−k膜7の上にキャップ膜8が堆積される。第1のlow−k膜7としては、前記MSQ、HSQ、PAE等の低誘電率膜の何れを用いることもできる。本参考例では、一例として塗布型のMSQ膜を用いて説明する。塗布型のMSQ膜の場合、液体原料がウエハー上に塗布される。これを400℃前後で加熱することにより、重縮合が行なわれて重合体であるMSQ膜が形成される。この重縮合の過程において、一般に多量のHOが発生する。本参考例において、この第1のlow−k膜7の成膜時に発生する多量のHOは、拡散防止膜4により、ロジック領域の素子形成層1へ拡散することが防止される。
【0035】
以下の多層配線形成工程は、本参考例の本質ではないため簡単に説明する。 先ず、第1のlow−k膜7及びキャップ膜8がエッチングされ、第1のlow−k膜7及びキャップ膜8内に、Cuからなる第1の配線層9を埋め込むための複数の溝が形成される。
【0036】
図7に示すように、複数の溝内にTa等のバリアメタル9a及びCuが埋め込まれる。溝内以外のバリアメタル9a及びCuは、CMPにより除去されて平坦化され第1の配線層9が形成される。
【0037】
次に、図8に示すように、Cuの拡散を防止するSiNあるいはSiCN等の絶縁膜10が全面に形成される。この絶縁膜10の上にlow−k膜11、及びキャップ膜12が順次堆積される。これらlow−k膜11、及びキャップ膜12は、第2の配線層に関する層間絶縁膜を構成する。この層間絶縁膜中に第2の配線層14を埋め込むための複数の溝及び前記第1の配線層9と第2の配線層14とを電気的に接続するための複数のビアホールが形成される。
【0038】
図9に示すように、これらビアホール及び溝内にTa等のバリアメタル14a、及びCuが埋め込まれる。CMPにより溝以外のTa及びCuが除去され、平坦化されて第2の配線層14とビアプラグ13が形成される。ここで、low−k膜11を成膜際に発生するHOに対する拡散防止膜4の機能は、第1の配線層9を形成する場合と同様である。
【0039】
第2の配線層14を形成した工程を繰り返すことにより、図1に示すように、第3の配線19及びビアプラグ18を形成することができる。この後、図1に示すように、全面にCuの拡散を防止する絶縁膜20が形成される。この絶縁膜20の上にCVD−SiO膜21が堆積される。
【0040】
次に、多層配線の形成工程中のプラズマ処理により受けたチャージングダメージの回復と、DRAMのリテンション時間を向上させることを目的として、Hを含むガス中でシンター処理が行なわれる。この時、DRAM領域の素子形成層へはリテンション特性を向上させるのに十分なHが供給される。これに対して、NBTI劣化に敏感なロジック領域の素子形成層1へのHの供給量は、拡散防止膜4により低減される。このため、過剰なHの拡散を防止でき、ロジック領域のNBTI劣化を抑制できる。最後に、CVD−SiO膜21上にパッシベーションSiN膜(21)が形成され、素子形成層1,2へ外気からHO等が浸透することが防止される。
【0041】
上記第1の参考例によれば、ロジック領域において、トランジスタが形成された素子形成層1と、low−k膜を有する層間絶縁膜との間にHOの拡散を防止する拡散防止膜4を形成している。このため、ロジック領域内のトランジスタが、HOによりNBTI劣化が生じることを防止できる。
【0042】
また、DRAM領域には、HOの拡散を防止する拡散防止膜4を形成していないため、シンター処理において、Hの導入が可能となる。したがって、素子形成層2内にHを十分に導入できる。このため、メモリセルのリテンション特性を向上させることができる。
【0043】
なお、本参考例は、拡散防止膜4の形成位置は、少なくともロジック回路領域に形成されたトランジスタT1のゲート絶縁膜(図1に23で示す)と、その上方の低誘電率の層間絶縁膜との相互間に配置されていればよい。
【0044】
さらに、3層の配線を有する半導体装置を用いて説明した。しかし、これに限定されるものではなく、配線層が何層の場合でも本参考例を適用することが可能である。すなわち、複数層の層間絶縁膜の内、少なくとも1層以上のlow−k膜からなる層間絶縁膜が用いられている多層配線構造に関し有効である。
【0045】
また、HOの発生は、low−k膜の成膜時に限らず、例えば多層配線の製造工程中において、low−k膜の吸湿性により、low−k膜中に取り込まれたHOが、その後の熱工程で放出されることにより発生する場合もある。特に、多孔質のポーラスlow−k膜は、多数の空隙が存在するため、一層吸湿性が高い。このため、成膜時にHOを発生しない場合であっても、その後、空隙内のHOが放出される可能性を有している。しかし、本参考例によれば、このようにして発生されたHOに対しても有効である。
【0046】
(第2の参考例
次に、第2の参考例について説明する。
【0047】
図10は、本発明の第2の参考例に係る半導体装置の断面図を示している。図10において、図1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0048】
第2の参考例において、多層配線層ML直下の絶縁膜構造がロジック領域とDRAM領域で異なっている。すなわち、ロジック領域及びDRAM領域において、素子形成層1、2の上には、被覆性に優れたBPSG又はPSG膜等のCVD絶縁膜3が形成され、この絶縁膜3の上にHOに対する拡散防止効果を有する拡散防止膜4が形成されている。これら絶縁膜3及び拡散防止膜4内に複数のコンタクトプラグ6が形成されている。拡散防止膜4の材料は、第1の参考例と同様である。この拡散防止膜4の上には第1のlow−k膜7が形成されている。この第1のlow−k膜7の上には、キャップ膜8が形成されている。これら第1のlow−k膜7及びキャップ膜8の内部に複数の第1の配線層9が形成されている。
【0049】
一方、DRAM領域において、拡散防止膜4には、開口部31が形成されている。この開口部31内は、第1のlow−k膜7により充填されている。
【0050】
この開口部31を形成する領域は、図10に示すように、DRAM領域内で、例えば真上に第1の配線層9が形成されていない領域、又は、図11(a)(b)に示すように、第1の配線層9の相互間の領域である。
【0051】
図11(a)に示すように、メモリセルMCのサイズが、例えば0.9×0.3μmで、開口部31の底部と素子形成層2との間の絶縁膜3の膜厚が例えば600nmとした場合、例えばメモリセル2個当たり1つの割合で開口部を設ければよい。この場合、図10に示すように、多層配線層が形成されていない領域、或は図11(a)に示すように第1の配線層9のうち、隣接する配線の相互間の領域のいずれでもよい。
【0052】
また、図11(b)に示すように、第1の配線層9のうち、隣接する配線の相互間の領域に、第1の配線層9の全長に沿った開口部31を形成してもよい。この場合、開口部31の数は、例えば第1の配線層3本に1つ程度形成すればよい。
【0053】
尚、開口部31の数は、上記例に限定されるものではなく、開口部31の底部と素子形成層2との間に形成される少なくとも1つの絶縁膜の膜厚、或は絶縁膜の材質に応じて、適宜変更すればよい。
【0054】
この開口部31を通して、リテンション特性を向上するために必要なHをDRAM領域の素子形成層2へ供給することができる。
【0055】
次に、図12乃至図14を用いて、第2の参考例による半導体装置の製造方法について説明する。尚、図12乃至図14において、ロジック領域の素子形成層1内に形成されたトランジスタT1、及びDRAM領域の素子形成層2内に形成されたメモリセルMCは省略している。
【0056】
図12に示すように、素子形成層1、2上に絶縁膜3を堆積する。絶縁膜3としては、段差の被覆性に優れた例えばBPSG又はPSG膜等のCVD膜が望ましい。この後、HOに対する拡散防止膜となる拡散防止膜4が全面に堆積される。拡散防止膜4としては、微量のNを含むSiO膜(SiO(N)膜)が望ましい。このSiO(N)膜は、SiHとNOを主原料ガスとするプラズマCVD法により堆積することができる。SiO(N)膜におけるNの含有量は、例えば5〜15atomic%であり、好ましくは例えば8.8〜9.8atomic%である。
【0057】
この後、絶縁膜3、拡散防止膜4にコンタクトホールが形成される。次いで、例えばCVDにより全面にタングステン(W)が堆積され、タングステンにより複数のコンタクトホールが充填される。次いで、絶縁膜4上のタングステンが除去されて平坦化され、コンタクトプラグ6が形成される。
【0058】
次に、図13に示すように、ロジック領域には拡散防止膜4を残置し、DRAM領域の拡散防止膜4の一部を除去する。すなわち、先ず、拡散防止膜4を残置する領域上にはリソグラフィーにより、図示せぬレジストマスクが形成される。このレジストマスクを用いて、RIEにより拡散防止膜4がエッチングされ、開口部31が形成される。拡散防止膜4に開口部31を形成した後、全面に第1の配線層の絶縁膜となる第1のlow−k膜7が堆積される。第1のlow−k膜7としては、第1の参考例と同様に例えば塗布型のMSQ膜が用いられる。この塗布型のMSQ膜の重縮合の過程において、多量のHOが発生する。本参考例において、この第1のlow−k膜7を成膜する際に発生するHOは、拡散防止膜4により、ロジック領域のトランジスタへ拡散することが防止される。また、DRAM領域において、拡散防止膜4は開口部31を有している。このため、前記重縮合の過程及び後のシンター処理において発生するHを、この開口部31を介して素子形成層2に供給することができる。
【0059】
この後、図14に示すように、第1のlow−k膜7の上にキャップ膜8が形成される。この第1のlow−k膜7及びキャップ膜8内に、第1の参考例と同様に複数の第1の配線層9が形成される。これら第1の配線層9は前記、コンタクトプラグ6にそれぞれ接続されている。
【0060】
以後、第1の参考例と同様の製造工程により、多層配線層ML等が順次形成され、図10に示す半導体装置が完成される。
【0061】
上記第2の参考例によれば、ロジック領域において、素子形成層1と第1の配線層9が形成される第1のlow−k膜7との間にHOの拡散を抑制する拡散防止膜4を形成している。したがって、ロジック領域は拡散防止膜4により、HOの侵入が防止されているため、ロジック領域内におけるトランジスタにNBTI劣化が生じることを防止できる。
【0062】
また、DRAM領域において、拡散防止膜4は開口部31を有している。このため、前記重縮合の過程及び後のシンター処理において、発生するHをこの開口部31を介して素子形成層2に供給することができる。したがって、メモリセルのリテンション特性を向上させることができる。
【0063】
また、開口部31は、例えば2個のメモリセルに対して1つの割合、又は第1の配線層9の3本に1つの割合で形成されている。このため、各メモリセルに必要且つ十分なHを供給することができる。したがって、メモリセルのリテンション特性を向上することができる。
【0064】
施形態)
図15は、本発明の実施形態に係る半導体装置の断面図を示している。図15において、図1、図10と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0065】
図15に示すように、ロジック回路とDRAMが混載された半導体装置において、ロジック領域とDRAM領域は、多層配線層ML直下の絶縁膜の構造が異なっている。すなわち、ロジック領域及びDRAM領域において、素子形成層1、2の上には、被覆性に優れたBPSG又はPSG膜等のCVD絶縁膜3が形成されている。DRAM領域において、この絶縁膜3の上には、素子形成層2に対するHの供給源としての絶縁膜41が形成されている。このようなHの供給源となる絶縁膜としては、例えばプラズマCVD法により形成したシリコン窒化(SiN)膜を適用できる。この絶縁膜41の上、及び前記ロジック領域の絶縁膜3の上には、HOに対する拡散防止効果を有する拡散防止膜4が形成されている。拡散防止膜4の材料は、第1の参考例と同様である。
【0066】
ロジック領域において、絶縁膜3及び拡散防止膜4内には、複数のコンタクトプラグ6が形成され、DRAM領域において、絶縁膜3、41、及び拡散防止膜4内には、複数のコンタクトプラグ6が形成されている。
【0067】
前記拡散防止膜4の上には第1のlow−k膜7が形成されている。この第1のlow−k膜7の上には、キャップ膜8が形成されている。これら第1のlow−k膜7及びキャップ膜8の内部に複数の第1の配線層9が形成されている。これら第1の配線層9は、前記コンタクトプラグ6にそれぞれ接続されている。
【0068】
上記DRAM領域のコンタクトプラグが形成されている絶縁膜層は、少なくとも2層以上の絶縁膜で形成されていればよく、例えば拡散防止膜4は省略することが可能である。
【0069】
また、絶縁膜41の上に拡散防止膜4を形成した場合、絶縁膜41から放出されたHが多層配線層ML方向へ拡散することを抑制でき、絶縁膜41から放出されたHを素子形成層2へ効果的に拡散させることができる。
【0070】
次に、図16乃至図20を参照して図15に示す半導体装置の製造方法について説明する。尚、図15至図19において、ロジック領域の素子形成層1内に形成されたトランジスタT1、及びDRAM領域の素子形成層2内に形成されたメモリセルMCは省略している。
【0071】
図16に示すように、素子形成層1、2上に絶縁膜3を堆積する。絶縁膜3としては、段差の被覆性に優れた例えばBPSG又はPSG膜等のCVD膜が望ましい。この後、絶縁膜3上の全面にプラズマCVD法によりHの供給源となる絶縁膜(SiN)41が堆積される。この絶縁膜41は、Hの含有量が多い。次に、DRAM領域の絶縁膜41を残置し、ロジック領域の絶縁膜41が除去される。すなわち、DRAM領域の絶縁膜41上にリソグラフィーにより、図示せぬレジストマスクが形成される。このレジストマスクを用いて、ロジック領域上の絶縁膜41がRIEによりエッチングされる。
【0072】
この後、図17に示すように、全面にHOに対する拡散防止膜となる拡散防止膜4が第1、第2の参考例と同様の製造方法により堆積される。
【0073】
次いで、図18に示すように、拡散防止膜4がCMPにより平坦化される。
【0074】
さらに、図19に示すように、素子形成層上の複数の絶縁膜層に複数のコンタクトホールが形成される。この後、例えばCVDにより全面にタングステン(W)が堆積され、タングステンにより複数のコンタクトホールが充填される。次いで、絶縁膜4上のタングステンが除去されて平坦化され、コンタクトプラグ6が形成される。
【0075】
次に、全面に第1の配線層の絶縁膜となる第1のlow−k膜7が堆積される。第1のlow−k膜7としては、第1、第2の参考例と同様に例えば塗布型のMSQ膜が用いられる。この塗布型のMSQ膜の重縮合過程において、多量のHOが発生する。本実施形態において、この第1のlow−k膜7を成膜する際に発生するHOは、拡散防止膜4により、ロジック領域のトランジスタへ拡散することが防止される。次いで、第1のlow−k膜7の上にキャップ膜8が形成される。この第1のlow−k膜7及びキャップ膜8内に、第1、第2の参考例と同様に複数の第1の配線層9が形成される。これら第1の配線層9は前記、コンタクトプラグ6にそれぞれ接続されている。
【0076】
以後、第1、第2の参考例と同様の製造工程により、多層配線層ML等が順次形成され、図15に示す半導体装置が完成される。
【0077】
記実施形態によれば、ロジック領域において、素子形成層1と第1の配線層9が形成される第1のlow−k膜7との間にHOの拡散を防止する拡散防止膜4を形成している。したがって、ロジック領域は拡散防止膜4により、HOの侵入が防止されているため、ロジック領域内におけるトランジスタにNBTI劣化が生じることを防止できる。
【0078】
また、DRAM領域において、素子形成層2と第1の配線層9が形成される第1のlow−k膜7との間にHの供給源としての絶縁膜41を形成している。このため、多層配線層の最終形成工程であるHシンター処理において、メモリセルに必要且つ十分なHを供給することができ、メモリセルのリテンション特性を向上することができる。
【0079】
さらに、絶縁膜41の上にHの拡散を抑制する拡散防止膜4を形成することにより、シンター工程を含むにおいて、多層配線工程中の熱処理工程にてDRAM領域にはリテンション時間を向上するのに十分なHをメモリセルへ供給することができる。
【0080】
尚、第1乃至第2の参考例及び本実施形態は、ロジック回路とDRAMを1チップに混載する場合について説明した。しかし、DRAMに限らず、Hの導入によりリテンション特性が改善される他のメモリとロジック回路とを混載する半導体装置に、第1乃至第2の参考例及び本実施形態を適用することも可能である。
【0081】
さらに、第1乃至第2の参考例及び本実施形態は、配線層の材料としてCuを用いて説明した。しかし、これに限定されるものではなく、Al配線の場合においても、同様の効果を得ることができる。
【0082】
また、第1乃至第2の参考例及び本実施形態を選択的に組み合わせて実施することも可能である。
【0083】
その他、本発明の要旨を変えない範囲において種々変形実施可能なことは勿論である。
【0084】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明によれば、ロジック領域におけるトランジスタの信頼性と、メモリ領域のデータ保持特性の両立を図ることが可能な半導体装置とその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の参考例を示す断面図。
【図2】 図1に示す半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図3】 図2に続く製造工程を示す断面図。
【図4】 図3に続く製造工程を示す断面図。
【図5】 図4に続く製造工程を示す断面図。
【図6】 図5に続く製造工程を示す断面図。
【図7】 図6に続く製造工程を示す断面図。
【図8】 図7に続く製造工程を示す断面図。
【図9】 図8に続く製造工程を示す断面図。
【図10】 本発明の第2の参考例を示す断面図。
【図11】 図11(a)(b)は、それぞれ図10に示す開口部の形成位置を示す平面図。
【図12】 図10に示す半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図13】 図12に続く製造工程を示す断面図。
【図14】 図13に続く製造工程を示す断面図。
【図15】 本発明の実施形態を示す断面図。
【図16】 図15に示す半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図17】 図16に続く製造工程を示す断面図。
【図18】 図17に続く製造工程を示す断面図。
【図19】 図18に続く製造工程を示す断面図。
【図20】 図19に続く製造工程を示す断面図。
【符号の説明】
100…半導体基板、
1、2…素子形成層、
T1、T2…トランジスタ、
3…絶縁膜、
4…拡散防止膜、
ML…多層配線層、
MC…メモリセル、
9、14、19…第1、第2、第3の配線層、
7、11、16…第1、第2、第3のlow−k膜、
31…開口部、
41…Hの供給源としての絶縁膜。

Claims (9)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板内に形成され、素子形成層を含むロジック領域と、
    前記半導体基板内に形成され、素子形成層を含むメモリ領域と、
    前記ロジック領域及び前記メモリ領域上に形成された多層配線層と、
    前記ロジック領域と多層配線層との間に形成され、HOの拡散を防止する拡散防止膜と、
    前記メモリ領域と前記多層配線層との間に形成され、Hの供給源としての絶縁膜と
    を具備することを特徴とする半導体装置。
  2. 前記絶縁膜と前記多層配線層との間に前記拡散防止膜をさらに具備することを特徴とする請求項記載の半導体装置。
  3. 前記拡散防止膜は、窒素を含むシリコン酸化膜であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  4. 前記シリコン酸化膜内の窒素の含有量は、8.8〜9.8atomic%であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  5. 前記シリコン酸化膜内の窒素の含有量は、5〜15atomic%であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  6. 半導体基板のロジック領域及びメモリ領域内にトランジスタを形成し、
    ロジック領域及びメモリ領域上に第1の絶縁膜を形成し、
    前記メモリ領域内の前記第1の絶縁膜の上にHの供給源としての第2の絶縁膜を形成し、
    前記ロジック領域内の前記第1の絶縁膜の上及び前記第2の絶縁膜の上にHOの拡散を防止する拡散防止膜を形成し、
    この拡散防止膜の上に多層配線層を形成する
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 前記Hの供給源としての前記第2の絶縁膜は、SiとNを含む絶縁膜であり、プラズマCVD法により形成されることを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記多層配線層の最下層と前記拡散防止膜は接していることを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
  9. 前記多層配線層の最下層と前記拡散防止膜は接していることを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
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