JP3656421B2 - 乾燥調味料の製造方法、乾燥調味料及びその利用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規乾燥調味料の製造方法、詳しくは風味、呈味を維持した乾燥醸造調味料(但し、酒類は除く。)及び蛋白分解調味料の新規製造方法、より詳しくは真空ドラムドライヤーにより減圧(真空も含む。)、低温下に当該醸造物及び/又は蛋白分解物を含有する調味料を乾燥して、好ましくは短時間乾燥で乾燥調味料を製造する方法、及びこの方法により製造される、熱劣化を起こさず、被乾燥物として使用する調味料特有の風味及び呈味を維持、保持した乾燥調味料に関する。
【0002】
本発明で得られる乾燥調味料はそれ自体粉末調味料として使用できるが、均一配合性に優れているので他の調味料や各種の食品等に容易に均質に配合、使用することができる。
【0003】
【従来の技術】
乾燥醤油、例えば粉末醤油は、それ自体粉末醤油として使用され運搬、保存に便利である。又、他の調味料、食品等への配合等幅広く利用されている。
【0004】
従来から、粉末醤油を製造する方法として、スプレードライヤーによる乾燥法、真空連続ベルト式乾燥機による乾燥法及び凍結乾燥機による乾燥法等が知られている。
【0005】
一方、乾燥味噌は、同様にそれ自体粉末味噌として使用され運搬、保存に便利である。又、他の調味料、食品等への配合等幅広く利用されている。
【0006】
乾燥された製品としては粉末状、薄片状、シート状等何れの形態でもよいが、粉末状で使用されることが多く、それ自体粉末醤油、粉末味噌として、更に他の調味料等に使用又は配合される。
【0007】
上記従来法による乾燥品は何れも何らかの課題を有している。
例えば、醤油の場合、工業生産可能で、低コストに製造できること、乾燥に際して熱劣化や褐変臭が殆ど生じないこと、特に醤油として必要な風味成分や呈味成分が乾燥条件下に消失しないこと、即ち被乾燥物として使用する例えば醤油が本来有する特有の風味や呈味を散逸することなく保持していること、スープ等に配合する等の関係で溶解性に優れていること、及び他の調味料や各種食品等に対して容易に均一配合できる配合性に優れていること等が要求されるが、これ等大部分の要求を満たす乾燥法は見当たらない。今後は、均一醤油に限らず、不均一醤油、例えば植物磨砕物や固形成分等を含んだ醤油の優れた調味料の乾燥製品も期待される。
【0008】
一方、乾燥味噌の場合、これまでは一般には凍結乾燥法によって行われることが多かったが、生産性が悪く製造コストが高いといった問題が見られる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
スプレードライヤーによる乾燥法によれば、安価であり経済性の上では好ましいが、風味の散逸や焦げ臭を含む等熱劣化が甚だしく、被乾燥物の醤油、味噌等が本来有する風味や呈味が散逸して十分に乾燥製品に保持されず調味料製品の乾燥に使用するには、品質的に不十分である。
【0010】
真空連続ベルト式乾燥機による乾燥法によれば、スプレードライヤーによる乾燥法に比べると熱劣化が少ないものの長時間を要する乾燥のためやはり熱劣化は避けられず風味や呈味も多々散逸するので、調味料製品の乾燥に使用するには更なる改善が必要である。
【0011】
凍結乾燥機による乾燥法によれば、その製品は特に熱劣化防止という点では優れているが、コスト的に問題があり、乾燥に長時間を要し大量生産に不向きであり、工業的に簡便に使用するには困難である。
【0012】
以上のような情況下、醤油、味噌等工業的に乾燥調味料を製造する方法として上記要求の大部分に応えられるような実用的かつ簡便な乾燥法による優れた乾燥調味料の製造方法の開発が課題となっている。
【0013】
本発明の目的は、上記課題に応えられる乾燥調味料の製造方法の開発、特に熱劣化を防止でき、被乾燥物として使用する醤油、味噌等の風味や呈味を散逸することがなく、即ち当該被乾燥物が本来有する香気成分や呈味成分を乾燥条件下に消失することなくそのまま維持し、保持できる乾燥法により乾燥し、このように乾燥、製造した乾燥品がそれ自体粉末醤油、粉末味噌としても使用できる外、他の調味料、食品等に均一に配合できる配合性に優れている乾燥調味料の製造方法を開発、提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題解決に向けて鋭意検討した結果、醸造物(但し、酒類は除く。)及び/又は蛋白分解物を含有する調味料に、当該調味料中の総固形分当たり(調味料中に不均一固形分を含む場合は当該固形分も算定に含められる。)10〜500重量%の賦形剤を含有させ、これを真空ドラムドライヤーにより減圧、低温下に乾燥することにより熱劣化を防止し焦げ臭等異臭を殆ど含まず被乾燥物の醤油、味噌等が本来有する風味や呈味を散逸、損なわずに短時間に乾燥でき、均一配合性に優れた乾燥調味料を与えることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに到った。
【0015】
即ち、本発明は、醸造物(但し、酒類は除く。)及び/又は蛋白分解物を含有する調味料に、当該調味料中の総固形分当たり(調味料中に不均一固形分を含む場合は当該固形分も算定に含められる。)10〜500重量%の賦形剤を含有させ、これを、真空チャンバを有する真空ドラムドライヤーにより減圧(真空を含む。)、低温下に、更に好ましくは短時間乾燥する乾燥調味料の製造方法及び、この方法により得られる乾燥調味料及びその他の調味料、スープ、加工食品等の食品への使用である。
【0016】
本発明には、以下の発明が含まれる。
1.真空チャンバ内の圧力が、高くとも100トール[Torr]、好ましくは高くとも50トール、より好ましくは高くとも30トール、更に好ましくは高くとも10トールであり、ドラムの表面温度が、高くとも120℃、好ましくは100℃以下、より好ましくは60〜90℃程度である上記の製造方法。
【0017】
2.醸造物及び/又は蛋白分解物を含有する調味料が醸造調味料(但し、酒類を除く。)及び/又は蛋白加水分解物を含有する上記の製造方法。
代表的な醸造物として、味噌、醤油等を挙げることができる。
蛋白分解物としては、蛋白質酵素分解物(例えば、魚醤等)及び蛋白質酸分解物等を挙げることができる。
【0018】
3.上記2.において、例示の味噌、醤油、蛋白質酵素分解物、蛋白質酸分解物の少なくとも1種を含有する調味料である上記の製造方法。
【0019】
4.出発原料の被乾燥物が、均一液状物、均一半練り状物である必要はなく、調味料として使用できるような成分、動植物の磨砕物、固形物含有等不均一液状物、半練り、又は固形状物である上記の製造方法。
【0020】
5.上記醤油について、被乾燥物として1種以上の他の原料(固体、液体何れも可。)を混合したもの、例えばめんつゆを使用して、風味、呈味に優れた乾燥品、例えば粉末めんつゆを製造する上記の製造方法。
【0021】
6.上記味噌について、被乾燥物として1種以上の他の原料(固体、液体何れも可。)を混合したもの、例えばだし入り味噌を使用して、風味、呈味に優れた乾燥品、例えば粉末だし入り味噌を製造する上記の製造方法。
【0022】
7.出発原料の被乾燥物の水分含量が、少なくとも20重量%、多くとも95重量%、好ましくは30〜80重量%程度、より好ましくは40〜70重量%程度である上記の製造方法。
【0023】
8.出発原料の被乾燥物は賦形剤を含有し、その範囲は、被乾燥物である出発原料中の総固形分当たり(出発原料中に不均一固形分を含む場合は当該固形分も算定に含められる。)10〜500重量%程度であるが、好ましくは50〜200重量%程度である上記の製造方法。
【0024】
9.出発原料の被乾燥物が調味料(グルタミン酸ソーダ等)、香辛料(食塩等)、油脂(風味油等)及び/又はその他添加剤を含有する上記の製造方法。
【0025】
10.上記の製造方法により得られ、水分含量が高くとも7重量%、より好ましくは高くとも5重量%である乾燥調味料。
【0026】
11.被乾燥物に使用する醤油、味噌等の特有の風味及び呈味が維持され、更に好ましくは均一配合性に優れた上記の乾燥調味料。
【0027】
12.前記10.及び11.の乾燥調味料を含有又は使用した調味料、スープ、加工食品等の食品。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を具体的に説明する。
本発明の乾燥調味料の製造方法は、真空ドラムドライヤー、即ち真空チャンバを有する真空式ドラムドライヤーを使用して、減圧(真空状態も含む。)かつ低温下に前記調味料を短時間に乾燥する方法である。真空式ドラムドライヤーとしては、減圧可能なチャンバ内に有するドラム上で被乾燥物を乾燥できる装置であればよく、公知方法や今後開発される真空式ドラムドライヤーを利用すればよい(例えば、特開平7−8702号及び7−51502号公報等参照。)。
【0029】
本発明において使用される真空チャンバを有する真空式ドラムドライヤーは、減圧下(真空下も含む。)の容器内に設けられたダブルドラムドライヤーであり、これに本発明に使用する被乾燥物(均一、不均一、ペースト状出発原料物質)を供給し、熱媒体で加熱されたドラムの表面上に薄膜状の膜を形成させ、高減圧下に水分等を低温減圧蒸発させ、数秒〜数十秒といった短時間低温乾燥に付すことにより、期待される風味、呈味成分を散逸することなく、除去すべき水分を主として除去し、調味料等各種の食品に均一に配合可能な配合性に優れ、分散性にも優れた薄片状、シート状、粉末状乾燥調味料を製造することができる。
【0030】
更に詳しくは、製造に際して、上記減圧又は真空下の容器内に設置されたダブルドラムドライヤーに上記出発原料物質を連続的に供給し、ドラム表面上に薄膜状の薄層を形成させ高減圧下に低温、短時間で被乾燥物の乾燥品を連続的に製造可能である。
【0031】
本発明の製造方法のために使用する出発原料(被乾燥物)としては、酒類を除く醸造物及び/又は蛋白分解物を含有する調味料であればよい。
代表的な醸造物として、味噌、醤油等を挙げることができる。
蛋白分解物としては、蛋白質酵素分解物(例えば、魚醤等)及び蛋白質酸分解物等を挙げることができる。
【0032】
出発原料の被乾燥物としては、均一液状物、均一半練り状物である必要はなく、製造されるものが乾燥調味料として使用可能であれば動植物の磨砕物、固形物含有等不均一液状物、半練り状物であってもよい。
【0033】
上記醤油について、被乾燥物として1種以上の他の原料(固体、液体何れも可。)を混合したもの、例えばめんつゆを使用して、風味、呈味に優れた乾燥品、例えば粉末めんつゆを製造することができる。上記味噌についても、被乾燥物として1種以上の他の原料(固体、液体何れも可。)を混合したもの、例えば、だし入り味噌を使用して、風味、呈味に優れた乾燥品、例えば粉末だし入り味噌を製造することができる。
【0034】
味噌、醤油等水分を含有する調味料であれば採用可能であり、更に調味料として使用可能な液体成分や、半練り又は固形成分を含むものであっても特に制限はない。従って、本発明において使用する醸造物及び/又は蛋白分解物を含有する調味料には、当該醸造物及び/又は蛋白分解物以外で調味料成分として使用可能な前記成分を広く含むことができる。
【0035】
本発明に使用する出発原料の被乾燥物としては、上記の如く、各種均一、不均一、液状、半練り、固形物が含まれるが、更にその他必要により他の添加剤を含んでいてもよい。その場合の添加剤として、下記賦形剤や、グルタミン酸ソーダ等調味料、砂糖、塩等香辛料、風味等のための油脂(固形、液状)、保存・安定剤、着色剤、香料、等々風味、呈味、物性改善、その他の必要により含めることができる。
【0036】
尚、酒類であっても本発明の目的を害しない範囲で風味等の改善のために更にみりん等一部添加することは何ら差し支えがない。
【0037】
本発明に使用する出発原料には乾燥効率や風味、呈味の維持、保持の点で、特に液体調味料を含む場合、賦形剤を含める。賦形剤として好ましくは、デキストリン、サイクロデキストリン、ゼラチン、食塩等が挙げられる。
【0038】
賦形剤の含有量は出発原料の総固形分(不均一固形分を含む場合当該固形分も算定に含める。)に対して、10〜500重量%程度であるが、より好ましくは50〜200重量%程度である。
【0039】
被乾燥物に使用する出発原料物質の水分含量について、水分含量は出発原料の種類や調製法により異なり、適宜選択すればよいが、好ましくは少なくとも20重量%程度、多くとも95重量%程度、より好ましくは30〜80重量%程度、更に好ましくは40〜70重量%程度である被乾燥物を使用するとよい。均一の場合は勿論、不均一固形分や賦形剤その他添加剤を使用する場合は、全体、即ち、均一物、或いは当該固形分や賦形剤等を混合した状態で上記水分含量を算定し、出発原料を選択、使用することができる。
【0040】
真空チャンバ内において、減圧下の減圧度の範囲が高くとも100トール(Torr)程度であり、低温下の温度範囲が高くとも120℃程度であることが好ましい。
【0041】
乾燥条件について、ドラムの表面温度は、好ましくは高くとも120℃程度、より好ましくは高くとも100℃程度、更に好ましくは60〜90℃程度であり、ドラムの表面温度を被乾燥物の乾燥温度に応じて設定することができるが、ドラム内の熱媒体としてより好ましくは60〜90℃程度の減圧蒸気又は温水を使用すればよい。チャンバ内の減圧度(真空度)は、好ましくは高くとも100トール[Torr]程度、より好ましくは高くとも50トール程度、更に好ましくは高くとも30トール程度、更により好ましくは高くとも10トール程度である。
【0042】
加熱源としてドラムに100℃以上の場合には蒸気を、又100℃以下の場合には真空蒸気又は温水を使用するとよい。ここでドラム温度が110℃以上の場合、このドラムダライヤーで、例えば醤油を乾燥すると、水分2重量%以下の粉末醤油が得られるが、110℃以下の場合にはドラムからの剥離が困難になることが多い。この場合、デキストリン等の賦形剤を予め混合すると、110℃以下70℃以上の条件において水分7重量%以下の乾燥が可能となり、好ましい。
【0043】
乾燥時間が数秒〜数十秒という短時間乾燥も本発明における乾燥の特徴の一つであり、これにより風味、呈味の散逸が防止できることが分かった。その乾燥時間としては、長くとも2分間、好ましくは30秒以下、より好ましくは10秒以下である。
【0044】
より実用的に好ましい乾燥条件としては、乾燥条件のうち圧力の範囲、温度範囲及び乾燥時間が、それぞれ高くとも50トール程度(より好ましくは高くとも30トール程度)、高くとも100℃程度(より好ましくは60〜90℃程度)、及び長くとも1分間程度(好ましくは1〜30秒間程度)を選択、採用することができ、この条件下で乾燥を行うとよい。
【0045】
使用するドラムの回転数及び調味料の膜厚については、前記乾燥条件により適宜変動することができるが、通常は0.3〜10rpm程度、好ましくは1〜4rpm程度の回転数で、できるだけ薄い膜厚、0.5mm以下程度で実施する方が品質的に優れた乾燥品を製造することができる。
【0046】
本発明の製造方法により得られる乾燥調味料は、必要な風味、呈味成分を保持したまま被乾燥物の水分含量を所定量以下に減じた乾燥品であるが、出発原料の被乾燥物(不均一の固形分を含む場合当該固形分も算定に含める。)に対して好ましくはその水分含量が多くとも7重量%、即ち7重量%以下、より好ましくは多くとも5重量%となるように乾燥、製造するとよい。
【0047】
本発明により製造される乾燥調味料は、出発原料の調味料が本来有する風味成分や呈味成分を当該乾燥下に散逸することなく保持しており、そのまま粉末調味料として使用できるが、他の調味料や各種食品等に均一に配合添加が容易で(配合性に優れ)、調味料その他食品へ広く利用が期待される。
【0048】
ドラム状の真空容器を使用する乾燥方法であっても、本発明に使用するドライヤーによる乾燥で実施される薄膜状の薄層をドラムの表面上に形成する方法でなければ、例えば乾燥時間が数十分のオーダーに及ぶと風味、呈味の保持性の面で好ましくない。従って、乾燥効率の面からも薄膜状の薄層をドラムの表面上に形成する方法が優れていることが分かった。
【0049】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。
【0050】
(実施例1)
真空ドラムドライヤー(カツラギ工業(株)製実験機VD-0303を使用。)を用いて、醤油を乾燥した。
出発物質として、市販の醤油500mlを使用した。乾燥条件は表1の通りである。乾燥時間は30秒であった。
【0051】
【表1】
乾燥条件
【0052】
(比較例1及び2)
実施例1において出発原料に使用した市販の醤油500mlをスプレードライヤー(比較例1)又は真空連続ベルト式乾燥機(比較例2)を使用して、それぞれ乾燥して粉末醤油を製造した。
【0053】
スプレードライヤー法では、入口の温度:160〜180℃;及び出口の温度90〜100℃で乾燥した。
真空連続ベルト式乾燥機による乾燥条件は、100〜120℃で、乾燥時間30分間であった。
【0054】
(評価方法)
1.風味の保持性
出発原料の風味維持の程度による。
◎:極めて良好;○:良好;△:やや不良;及び×:不良。
2.呈味の保持性
新鮮な呈味の程度による。
◎:極めて良好;○:良好;△:やや不良;及び×:不良。
【0055】
3.熱劣化性
焦げ臭の程度による。
◎:無し;○:殆ど無し;△:僅かに焦げ臭有り;及び×:かなり有り。
【0056】
評価の結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
評価の結果
【0058】
表2の結果から、本発明の真空ドラムドライヤーによる乾燥により製造された乾燥調味料は、他のスプレードライヤー又は真空連続ベルト式乾燥機を使用して乾燥した製品と比較して風味及び呈味の保持性に優れ、即ち乾燥段階で風味成分や呈味成分が何ら散逸、除去されていないことが分かった。更に、比較例の各製品は焦げ臭があり熱劣化性に問題があったが、本発明品は焦げ臭は全く認められず熱劣化性の点でも優れていることが分かった。
【0059】
市販の醤油の代わりに、市販のめんつゆ500mlを使用して、上記実施例同様に粉末めんつゆを製造し、同様に評価したところ、本発明品については前記本発明の粉末醤油と同様極めて優れた評価結果が得られた。
【0060】
(実施例2)
真空ドラムドライヤー(カツラギ工業(株)製実験機VD-0303を使用。)を用いて、味噌を乾燥した。
【0061】
出発物質として、市販の味噌500gを使用した。乾燥条件は表3の通りである。乾燥時間は30秒であった。
【0062】
【表3】
乾燥条件
【0063】
(比較例3及び4)
実施例2において出発原料に使用した市販の味噌500gをスプレードライヤー(比較例3)又は真空連続ベルト式乾燥機(比較例4)を使用して、それぞれ乾燥して粉末味噌を製造した。
スプレードライヤー法では、入口の温度:160〜180℃;及び出口の温度90〜100℃で乾燥した。
【0064】
真空連続ベルト式乾燥機による乾燥条件は、100〜120℃で、乾燥時間30分間であった。
【0065】
(評価方法)
1.風味の保持性
風味の維持の程度による。
◎:極めて良好;○:良好;△:やや不良;及び×:不良。
2.呈味の保持性
新鮮な呈味の程度による。
◎:極めて良好;○:良好;△:やや不良;及び×:不良。
【0066】
3.熱劣化性
焦げ臭の程度による。
◎:無し;○:殆ど無し;△:僅かに焦げ臭有り;及び×:かなり有り。
【0067】
評価の結果を表4に示す。
【0068】
【表4】
評価の結果
【0069】
表4の結果から、本発明の真空ドラムドライヤーによる乾燥により製造された乾燥味噌は、他のスプレードライヤー又は真空連続ベルト式乾燥機を使用して乾燥した製品と比較して風味及び呈味の保持性に優れ、即ち乾燥段階で風味成分や呈味成分が何ら散逸、除去されていないことが分かった。更に、比較例の各製品は焦げ臭があり熱劣化性に問題があったが、本発明品は焦げ臭は全く認められず熱劣化性の点でも優れていることが分かった。
【0070】
市販の味噌の代わりに、市販のだし入り味噌500gを使用して、上記実施例2同様に粉末だし入り味噌を製造し、同様に評価したところ、本発明品については前記本発明の粉末味噌と同様極めて優れた評価結果が得られた。
【0071】
【発明の効果】
醤油、味噌等、醸造物(但し、酒類は除く。)及び/又は蛋白分解物を含有する調味料に、当該調味料中の総固形分当たり(調味料中に不均一固形分を含む場合は当該固形分も算定に含められる。)10〜500重量%の賦形剤を含有させ、これを、真空ドラムドライヤーを使用して減圧、低温下に特に短時間乾燥することにより、被乾燥物として使用する調味料が本来有する特有の風味及び呈味成分の散逸が全く認められず、熱劣化も防止でき、均一配合性にも優れた乾燥調味料を製造することができる。
【0072】
その結果、それ自体粉末調味料として使用でき、更に、スープ、加工食品等調味料その他の食品への配合が容易となり、調味料、食品等広く利用可能となる。
Claims (9)
- 醸造物(但し、酒類は除く。)及び/又は蛋白分解物を含有する調味料に、当該調味料中の総固形分当たり(調味料中に不均一固形分を含む場合は当該固形分も算定に含められる。)10〜500重量%の賦形剤を含有させ、これを真空チャンバを有する真空ドラムドライヤーにより減圧、低温下に乾燥することを特徴とする乾燥調味料の製造方法。
- 真空チャンバ内の圧力が高くとも100トールであり、ドラムの表面温度が高くとも120℃である請求項1記載の方法。
- 乾燥条件のうち真空チャンバ内の圧力、ドラムの表面温度及び乾燥時間が、それぞれ高くとも50トール、高くとも100℃及び長くとも2分間である請求項1記載の方法。
- 醸造物及び/又は蛋白分解物を含有する調味料が醸造調味料(但し、酒類は除く。)及び/又は蛋白分解調味料を含有する調味料である請求項1記載の方法。
- 醸造物及び/又は蛋白分解物を含有する調味料が、味噌、醤油、蛋白質酵素分解物及び蛋白質酸分解物の少なくとも1種を含有する調味料である請求項1記載の方法。
- 被乾燥物の水分含量が20〜95重量%である請求項1記載の方法。
- 被乾燥物が、調味料、油脂及び固形物の少なくとも1種を含有する請求項1記載の方法。
- 請求項1乃至7記載の方法により得られ、水分含量が多くとも7重量%であることを特徴とする乾燥調味料。
- 請求項8記載の乾燥調味料を含有し又は使用したことを特徴とする調味料、スープ、加工食品等の食品。
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