JP4319022B2 - 風味良好なコーンパウダー及びその製造方法 - Google Patents
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一般的にコーンパウダーは、原料のコーンペーストをドラムドライヤーで乾燥したものを粉砕、篩分する製造方法により得られる。
このような方法で得られたコーンパウダーは、高温短時間の乾燥工程を経ることにより、香ばしい焼きとうもろこし風味を有しており、その特徴を生かして種々の製品に用いられている。
また、ドラムドライヤーによる乾燥工程を経ないコーンペーストやコーン粒においても加圧蒸煮することにより、焼きとうもろこしの風味を付与する処理法が提案されている(特許文献1参照)。
この方法によると、乾燥時にかかる熱履歴が小さいため、乾燥前とほとんど変わらない品質を有した乾燥物を得ることができる。従って、前述したような焼きとうもろこし風味とは異なった風味のコーンパウダーが調製できる。
さらに、本発明は、茹でとうもろこし風味が付与されると共に青草臭の低減されたコーンパウダーの製造方法と、前記方法により得られる、茹でとうもろこし風味が付与されると共に青草臭の低減されたコーンパウダーと、前記方法により得られる、茹でとうもろこし風味が付与されると共に青草臭の低減されたコーンパウダーを用いた食品を提供することを目的とするものである。
次に、請求項2に係る本発明によれば、青草臭がなく、また従来の焼きとうもろこし風味とは異なった、茹でとうもろこし風味の付与された風味良好なコーンパウダーが提供される。
さらに、請求項3に係る本発明によれば、青草臭がなく、また従来の焼きとうもろこし風味とは異なった、茹でとうもろこし風味の付与された風味良好なコーンパウダーを用いた食品が提供される。
そのようなコーンパウダーを用いていることから、請求項3に係る本発明によれば、食品自体としても茹でとうもろこし風味の付与された風味良好なものが得られる、
まず、請求項1に係る本発明について詳細に説明する。
請求項1に係る本発明は、茹でとうもろこし風味の付与された風味良好なコーンパウダーの製造方法に関し、コーンカーネル或いはコーンペーストを前記式で表されるクッキング・バリューが18〜60となるように加熱処理後、真空凍結乾燥或いは真空ドラムドライヤー乾燥させ粉末化し、n−ヘキサナール含量2.0ppm未満とすることを特徴とするものである。
コーン(とうもろこし)には、デントコーン、フリントコーン、スイートコーンなど、種々の品種があるが、糖分を多く含むスイートコーンを使用することが好ましい。
ここでコーンカーネルとしては、生コーンからコーン粒を剥離したものであっても、冷凍コーンカーネルでも構わない。
また、コーンペーストについては、ペースト状にしたとき、コーン固有の酵素によって風味が損なわれる可能性があるので、酵素活性を抑える程度の加熱を施したものを用いるのが好ましい。
このようなコーンカーネル或いはコーンペーストを前記式で表されるクッキング・バリューが18〜60、好ましくは24〜45となるように加熱処理する。
前記式で表されるクッキング・バリューとは、食品成分の熱による変化(破壊、褐変、劣化)の程度を示す指標である(出典:J. Agric. Food Chem. 1986, 34, 392-396 )。
一般的には、Tref は100(℃)である。また、一般的にQ10は2であることから、Zは33.2となる。
また、真空ドラムドライヤー乾燥は、ドラムドライヤー乾燥を真空チャンバー(一般には10〜60Torr程度の真空)の中で行うものということができ、やはりドラムドライヤー乾燥に比べて乾燥を比較的低温で行うことができる。
真空凍結乾燥或いは真空ドラムドライヤー乾燥の条件は、乾燥時に品質変化が生じるのを防ぐために、真空凍結乾燥の場合は品温60℃以下で24時間以内の乾燥を行うことが好ましく、真空ドラムドライヤー乾燥の場合はドラム表面温度90℃以下でドラム回転数は1〜5rpm程度の回転数であることが好ましい。
また、前記式で表されるクッキング・バリューが18〜60となるように加熱処理しなかった場合には、たとえ真空凍結乾燥或いは真空ドラムドライヤー乾燥を行ったとしても、やはり本発明の目的を達成することはできない。
このようにして請求項1に係る本発明の方法により得られたコーンパウダーは、不快臭といわれる青草臭の原因物質であるn−ヘキサナール含量が2.0ppm未満、より好ましくは1.6ppm以下の、適度な茹でとうもろこし風味が付与された良好な風味を有する。
このようにして得られたコーンパウダーは、スープ類全般、スナック菓子などの各種食品に広範囲に用いることができる。
すなわち、請求項3に係る本発明は、請求項1記載の方法により得られる、茹でとうもろこし風味の付与された風味良好なコーンパウダー、つまり請求項2に係る本発明の茹でとうもろこし風味の付与された風味良好なコーンパウダーを用いた食品を提供するものである。
請求項3に係る本発明の食品は、例えば乾燥スープの場合、請求項1記載の方法により得られる、茹でとうもろこし風味の付与された風味良好なコーンパウダー、つまり請求項2に係る本発明の茹でとうもろこし風味の付与された風味良好なコーンパウダーを用いたこと以外は、通常のスープと同様の方法により製造することができる。例えば、粉末化したミルク原料や畜肉エキス、ルー、調味料等と混合することにより、粉末状のインスタントコーンポタージュスープを製造することができる。
レオニーダーKH-2E型(梶原工業社製)にて30kgの熱湯(95℃以上)を沸かし、この熱湯中に冷凍コーンカーネル(95〜98℃にて4分間の加熱殺菌済み)116kgを投入した。
品温が97℃に達した後、35分間加熱した。このとき前記式で表されるクッキング・バリュー(C値)は40であった。
加熱終了後、トレーに並べて冷却し、次いで真空度1Torr(133.3Pa)以下、品温60℃以下、乾燥時間24時間以内の条件にて真空凍結乾燥を行い、さらに小型粉砕機で微粉砕してコーンパウダーを製造した。
実施例1において、品温が97℃に達した後、15分間加熱して、前記式で表されるクッキング・バリュー(C値)が19としたこと以外は、実施例1と同様にして行い、コーンパウダーを製造した。
実施例1において、品温が97℃に達した後、20分間加熱して、前記式で表されるクッキング・バリュー(C値)が24としたこと以外は、実施例1と同様にして行い、コーンパウダーを製造した。
実施例1において、品温が97℃に達した後、40分間加熱して、前記式で表されるクッキング・バリュー(C値)が45としたこと以外は、実施例1と同様にして行い、コーンパウダーを製造した。
実施例1において、品温が97℃に達した後、50分間加熱して、前記式で表されるクッキング・バリュー(C値)が56としたこと以外は、実施例1と同様にして行い、コーンパウダーを製造した。
冷凍コーンペースト(98.9℃にて8分間の加熱殺菌済み)150kgを品温30℃になるように解凍した後、かき取り式熱交換機に送り、品温100℃で26分間加熱した。このとき前記式で表されるクッキング・バリュー(C値)は26であった。
加熱終了後、トレーに並べて冷却し、次いで真空度1Torr(133.3Pa)以下、品温60℃以下、乾燥時間24時間以内の条件にて真空凍結乾燥を行い、さらに小型粉砕機で微粉砕してコーンパウダーを製造した。
冷凍コーンペースト(98.9℃にて8分間の加熱殺菌済み)500gを品温30℃になるように解凍した後、レトルトパウチに詰め、小型高温高圧調理殺菌装置にて105℃、20分間の加圧加熱を行った。このとき前記式で表されるクッキング・バリュー(C値)は30であった。
加熱終了後、真空度10Torr(1333Pa)程度、ドラム表面温度90℃、ドラム回転数1rpmの条件にて真空ドラムドライヤー乾燥を行い、さらに小型粉砕機で微粉砕してコーンパウダーを製造した。
冷凍コーンカーネル(95〜98℃にて4分間の加熱殺菌済み)10kgをトレーに並べ、真空度1Torr(133.3Pa)以下、品温60℃以下、乾燥時間24時間以内の条件にて真空凍結乾燥を行い、さらに小型粉砕機で微粉砕してコーンパウダーを製造した。
冷凍コーンペースト(98.9℃にて8分間の加熱殺菌済み)10kgをトレーに並べ、真空度1Torr(133.3Pa)以下、品温60℃以下、乾燥時間24時間以内の条件にて真空凍結乾燥を行い、さらに小型粉砕機で微粉砕してコーンパウダーを製造した。
実施例1において、品温が97℃に達した後、5分間加熱して、前記式で表されるクッキング・バリュー(C値)が9としたこと以外は、実施例1と同様にして行い、コーンパウダーを製造した。
実施例1において、品温が97℃に達した後、65分間加熱して、前記式で表されるクッキング・バリュー(C値)が70としたこと以外は、実施例1と同様にして行い、コーンパウダーを製造した。
実施例1〜7及び比較例1〜4でそれぞれ得られたコーンパウダー15gを、それぞれ250mlの湯に溶解し、官能検査員5名にて、青草臭の強さ、茹でとうもろこし風味の強さ、焼きとうもろこし風味の強さ、及び全体の好ましさについて、それぞれ下記5段階の基準にて評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
(1)大変弱い
(2)弱い
(3)普通
(4)強い
(5)大変強い
(1)大変強い
(2)強い
(3)普通
(4)弱い
(5)大変弱い
(1)大変好ましい
(2)好ましい
(3)普通
(4)好ましくない
(5)大変好ましくない
従って、クッキング・バリューが18〜60となるように加熱処理することが必要であることが分かる。
さらに、実施例1、3、4、6、7でそれぞれ得られたコーンパウダー(本発明品)は、いずれも茹でとうもろこし風味が大変強く、全体の風味も大変好ましいものであることが分かる。
従って、クッキング・バリューが24〜45となるように加熱処理することがより好ましいことが分かる。
実施例1、2、5、7及び比較例1、3でそれぞれ得られたコーンパウダーについて、青草臭の指標であるn−ヘキサナール含量をガスクロマトグラフ質量分析計にて定量した。分析結果を前記青草臭の強さの評価結果と共に表3に示す。
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