JP3656304B2 - フレキシブル回路基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ベースフィルム上に貼着された金属箔を所定パターンに切断した後、ほぼ全面にわたってカバーレイフィルムを接着してなるフレキシブル回路基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の電装品の配線等に用いられる所定パターンのフレキシブル回路基板(Flexible Printed Circuit:以下「FPC」と略す)は、一般に、図5に示したように、ポリエステル製またはポリイミド製のベースフィルム1の下面に、熱硬化性または熱可塑性の接着剤を介して金属箔3を仮固着し、金属箔3のみを所定の回路パターンに切断した後、ベースフィルム1および金属箔3の下面に、熱硬化性または熱可塑性の接着剤を塗布した表面保護層としての厚さ90μmのカバーレイフィルム5を重ね合わせ、熱プレスによってカバーレイフィルム5および金属箔3をベースフィルム1上に本固着し、さらに、実装部品の部品リード6を挿入してはんだ付けを行うためのスルーホール7等を穿設するとともに所定の形状に切断して形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
FPCにおいて、部品電極やリード用のスルーホール7またはFPCランド等のはんだ付けする領域(以下「はんだ部位」と称す)が近接していると、例えば図5に示すように、電子装置のはんだ付け工程中に隣り合うはんだ部位のはんだ8同士が流れ込んでしまい、橋架状にショート(以後、「はんだブリッジショート」と称す)してしまう。かかる事態を避けるため、従来は、FPCでの部品実装密度を下げて、部品やリード同士が互いに近接しないような配線としていた。
【0004】
しかしながら、近年の傾向から、電子装置の高機能化・小型軽量化に伴う部品の高密度実装化は避けがたい状況にあり、それはFPCにおいても同様である。
【0005】
この発明は、上記課題に鑑み、高密度化する実装部品に対してはんだブリッジショートの発生を防止し得るフレキシブル回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ベースフィルムの表面に金属配線および表面保護層が順次積層されてなるフレキシブル回路基板であって、少なくとも所定のはんだ部位の近辺における前記表面保護層の厚さは、125μmより大で、且つ300μm以下に設定され、前記表面保護層は、例えば、厚さが125μm以下の既存のカバーレイが複数枚重ね合わせられて成るフレキシブル回路基板の製造時に、まず、ベースフィルムの表面に熱硬化性または熱可塑性の接着剤を介して金属箔を仮固着し、前記金属箔の一部を打抜き型によって切断・除去して所定の配線パターンを形成した後、前記ベースフィルムおよび前記金属箔の全体領域のうち、少なくとも所定のはんだ部位の近辺について、カバーレイを複数層積層する。そして、所定のはんだ部位について前記カバーレイを打抜き型によって切断・除去すればよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
{実施の形態1}
図1はこの発明の実施の形態1のFPCを示す断面図である。このFPCは、表面の表面保護層の総厚さを従来より増すことで、はんだブリッジショートの原因となる隣接部位間のはんだの流れ込みを防止しようとするものであって、図2のように、ベースフィルム11および金属箔13の下面の表面保護層としての厚さ90μmのカバーレイ15を3枚重ねにしている。ここで、一枚当たりのカバーレイ15は、従来使用していたものと同様に、厚さ50μmのカバーレイフィルム15aと、このカバーレイフィルム15aの片側表面に塗布された厚さ40μmの接着剤層15bとで構成され、これらが3枚積層されて形成されている。したがって、ベースフィルム11および金属箔13の下面の表面保護層の総厚さTcは270μmに設定されていることになる。
【0011】
この実施の形態におけるFPCの製造工程を概説する。まず、個別の所定の供給ローラから夫々送り出されるベースフィルム11および金属箔13は、途中で金属箔13側に接着剤が塗布された後、相互に重ね合わせられ、熱ローラに挟み込まれて加熱されることでベースフィルム11と金属箔13とが仮固着される。
【0012】
そして、ロータリタイプ等の有刃打抜き型によって金属箔13を切断するとともに、不要部分を剥離し、金属箔13からなる回路パターンをベースフィルム11上に形成する。
【0013】
その後、所定の他の供給ローラからカバーレイフィルム15aを送り出し、その上面に接着剤層15bを塗布形成しながら、このカバーレイ15をベースフィルム11および金属箔13の下面にまず1枚だけ重ね合わせる。必要領域だけをカバーレイ15で被覆したらこれを切断する。同様にしてカバーレイ15の供給・重ね合わせ作業を繰り返して、カバーレイ15を3枚重ねにする。
【0014】
このようにしてベースフィルム11および金属箔13の下面にカバーレイ15を3枚重ね合わせた後、熱ローラに挟み込まれて加熱されることによって、ベースフィルム11、金属箔13およびカバーレイ15が互いに本固着される。その後、所定のはんだ部位にパンチングにてスルーホール17等を所定形状に形成・除去し、図1に示したような製品(FPC)を成す。
【0015】
作成されたFPCは、スルーホール17に実装部品の部品リード16が挿入されてはんだ付けが行われる。この際、溶融状態のはんだ18は部品リード16から外側の隣接部位に向けて流れ出ようとするが、カバーレイ15を3枚重ねにして総厚さTcを270μmに設定しているので、隣接部位間のはんだ18の流れ込みが防止される。その結果、従来問題とされていたはんだブリッジショートの発生を防止できる。
【0016】
ここで、上述のような厚さ90μmのカバーレイ15の重ね合わせ枚数を変化させてはんだブリッジショートの発生率をみる実験を行った結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
従来のようにカバーレイ15を1枚しか使用しない場合、はんだブリッジショートの発生率は25%となる。これに対し、カバーレイ15を2枚重ねにした場合、はんだブリッジショートの発生率は20%になる。さらに、カバーレイ15を3枚重ねにした場合、はんだブリッジショートの発生率は3%となり、さらに4枚重ねにした場合、はんだブリッジショートの発生率は0%となる。この実験結果を見ると、カバーレイ15の枚数を増やすほど、はんだブリッジショートの発生率を低減できることがわかる。なお、現行のカバーレイ15の場合、最大厚さは125μmのものが製造されている(JIS規格−C6472)。したがって、これより総厚さTcが大となるようにすれば、少なくとも現行のFPCよりもはんだブリッジショートの発生率を低減できる。また、総厚さTcを180μmより大に設定すれば、従来に比較してはんだブリッジショートの発生率を飛躍的に低減できることがわかる。すなわち、望ましくは、総厚さTcが180μmより大に設定すればよい。
【0019】
ただし、はんだ部位周辺の表面保護層の総厚さTcが過剰に高くなると、はんだ付け作業がしずらくなる。具体的には、表面保護層の総厚さTcが300μmより大になると、部品電極やリード用のスルーホールまたはFPCランドにはんだ18が全く付着しない不具合、すなわち「未はんだ」の発生が顕著になる。したがって、実用的には、はんだ部位周辺の表面保護層の総厚さTcを300μm以下に抑えるので妥当である。以上のことから、厚さ90μmのカバーレイ15なら3枚重ね(総厚さTc=270μm)に、厚さ125μmのカバーレイ15なら2枚重ね(総厚さTc=250μm)にするのが望ましい。
【0020】
{実施の形態2}
図3はこの発明の実施の形態2のFPCを示す断面図である。このFPCは、はんだブリッジショートの発生率の高いはんだ部位(以下「特定部位」と称す)の近辺の表面保護層21の総厚さのみを、その他の表面保護層22の総厚さより大に設定したものである。特定部位近辺の表面保護層21の総厚さは実施の形態1の表面保護層の総厚さと同様に125μmより大で且つ300μm以下の条件を満たすよう、厚さ90μmのカバーレイ15の下面に、さらに厚さ180μmのカバーレイ23を貼着し、総厚さが270μmになるよう形成されている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0021】
この実施の形態におけるFPCの製造工程を概説する。まず、実施の形態1と同様にして、ベースフィルム11の下面に金属箔13を仮固着し、この金属箔13を所定形状に切断して回路パターンを形成する。
【0022】
その後、所定の他の供給ローラからカバーレイフィルム15aを送り出し、その上面に接着剤層15bを塗布形成しながら、このカバーレイ15をベースフィルム11および金属箔13の下面にまず1枚だけ重ね合わせる。必要領域だけをカバーレイ15で被覆したらこれを切断する。同様にして厚さ180μmのカバーレイ23の供給・重ね合わせ作業を行い、特定部位近辺の表面保護層21の総厚さを270μmにする。
【0023】
その後、特定部位近辺の表面保護層21の形状に沿って、表面側のカバーレイ23の一部を切断し、特定部位近辺の表面保護層21のみを残してそれ以外を除去する。その後、熱ローラに挟み込ませて加熱することによって、ベースフィルム11、金属箔13およびカバーレイ15,23が互いに本固着される。しかる後、所定のはんだ部位にパンチングにてスルーホール17等を所定形状に形成・除去し、図3に示したような製品(FPC)を成す。
【0024】
そして、作成されたFPCのスルーホール17に実装部品の部品リード16を挿入しはんだ付けを行う際、溶融状態のはんだ18は部品リード16から外側の隣接部位に向けて流れ出ようとするが、特定部位近辺の表面保護層21の総厚さを270μmに設定しているので、実施の形態1と同様、その隣接する特定部位間のはんだ18の流れ込みが防止される。その結果、従来問題とされていたはんだブリッジショートの発生を防止できる。具体的な実験の結果、総厚さ270μmの条件で、はんだブリッジショートの発生率が4%になった。したがって、従来の25%(表1)に比べて飛躍的に改善されていることがわかる。さらに、特定部位以外の領域については、表面保護層22の厚さを従来と同様に設定しているので、FPCの曲げ強度等の条件を従来と同様に維持できる。
【0026】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、少なくとも所定のはんだ部位の近辺における表面保護層の厚さを125μmより大に設定しているので、実装部品について高密度化を行っても、この高密度に隣接するはんだ部位間において、溶融状態のはんだの流れ込みを防止でき、その結果、従来問題とされていたはんだブリッジショートの発生を防止でき、フレキシブル回路基板の歩留まりを向上できる。また、表面保護層の厚さを300μm以下に設定しているので、はんだ付け作業が困難になる事態を防止でき、従来と同程度に「未はんだ」の発生を抑制できる。
【0027】
そして、既存のカバーレイを用いながらもはんだブリッジショートの発生を防止でき、新たなカバーレイ製造設備を用意しなくても、フレキシブル回路基板の歩留まりを向上できる。
【0028】
かかるフレキシブル回路基板を製造する際、ベースフィルムの表面に熱硬化性または熱可塑性の接着剤を介して金属箔を仮固着し、前記金属箔の一部を打抜き型によって切断・除去して所定の配線パターンを形成し、前記ベースフィルムおよび前記金属箔の全体領域のうち、少なくとも所定のはんだ部位の近辺について、カバーレイを複数層積層し、所定のはんだ部位について前記カバーレイを打抜き型によって切断・除去するので、フレキシブル回路基板を容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1のフレキシブル回路基板を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1のフレキシブル回路基板を示す一部拡大断面図である。
【図3】この発明の実施の形態2のフレキシブル回路基板を示す断面図である。
【図4】この発明の変形例のフレキシブル回路基板を示す断面図である。
【図5】従来のフレキシブル回路基板を示す断面図である。
【符号の説明】
11 ベースフィルム
13 金属箔
15 カバーレイ
15a カバーレイフィルム
15b 接着剤層
16 部品リード
17 スルーホール
18 はんだ
21 特定部位近辺の表面保護層
22 特定部位近辺以外の表面保護層
23 カバーレイ
【発明の属する技術分野】
この発明は、ベースフィルム上に貼着された金属箔を所定パターンに切断した後、ほぼ全面にわたってカバーレイフィルムを接着してなるフレキシブル回路基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の電装品の配線等に用いられる所定パターンのフレキシブル回路基板(Flexible Printed Circuit:以下「FPC」と略す)は、一般に、図5に示したように、ポリエステル製またはポリイミド製のベースフィルム1の下面に、熱硬化性または熱可塑性の接着剤を介して金属箔3を仮固着し、金属箔3のみを所定の回路パターンに切断した後、ベースフィルム1および金属箔3の下面に、熱硬化性または熱可塑性の接着剤を塗布した表面保護層としての厚さ90μmのカバーレイフィルム5を重ね合わせ、熱プレスによってカバーレイフィルム5および金属箔3をベースフィルム1上に本固着し、さらに、実装部品の部品リード6を挿入してはんだ付けを行うためのスルーホール7等を穿設するとともに所定の形状に切断して形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
FPCにおいて、部品電極やリード用のスルーホール7またはFPCランド等のはんだ付けする領域(以下「はんだ部位」と称す)が近接していると、例えば図5に示すように、電子装置のはんだ付け工程中に隣り合うはんだ部位のはんだ8同士が流れ込んでしまい、橋架状にショート(以後、「はんだブリッジショート」と称す)してしまう。かかる事態を避けるため、従来は、FPCでの部品実装密度を下げて、部品やリード同士が互いに近接しないような配線としていた。
【0004】
しかしながら、近年の傾向から、電子装置の高機能化・小型軽量化に伴う部品の高密度実装化は避けがたい状況にあり、それはFPCにおいても同様である。
【0005】
この発明は、上記課題に鑑み、高密度化する実装部品に対してはんだブリッジショートの発生を防止し得るフレキシブル回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ベースフィルムの表面に金属配線および表面保護層が順次積層されてなるフレキシブル回路基板であって、少なくとも所定のはんだ部位の近辺における前記表面保護層の厚さは、125μmより大で、且つ300μm以下に設定され、前記表面保護層は、例えば、厚さが125μm以下の既存のカバーレイが複数枚重ね合わせられて成るフレキシブル回路基板の製造時に、まず、ベースフィルムの表面に熱硬化性または熱可塑性の接着剤を介して金属箔を仮固着し、前記金属箔の一部を打抜き型によって切断・除去して所定の配線パターンを形成した後、前記ベースフィルムおよび前記金属箔の全体領域のうち、少なくとも所定のはんだ部位の近辺について、カバーレイを複数層積層する。そして、所定のはんだ部位について前記カバーレイを打抜き型によって切断・除去すればよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
{実施の形態1}
図1はこの発明の実施の形態1のFPCを示す断面図である。このFPCは、表面の表面保護層の総厚さを従来より増すことで、はんだブリッジショートの原因となる隣接部位間のはんだの流れ込みを防止しようとするものであって、図2のように、ベースフィルム11および金属箔13の下面の表面保護層としての厚さ90μmのカバーレイ15を3枚重ねにしている。ここで、一枚当たりのカバーレイ15は、従来使用していたものと同様に、厚さ50μmのカバーレイフィルム15aと、このカバーレイフィルム15aの片側表面に塗布された厚さ40μmの接着剤層15bとで構成され、これらが3枚積層されて形成されている。したがって、ベースフィルム11および金属箔13の下面の表面保護層の総厚さTcは270μmに設定されていることになる。
【0011】
この実施の形態におけるFPCの製造工程を概説する。まず、個別の所定の供給ローラから夫々送り出されるベースフィルム11および金属箔13は、途中で金属箔13側に接着剤が塗布された後、相互に重ね合わせられ、熱ローラに挟み込まれて加熱されることでベースフィルム11と金属箔13とが仮固着される。
【0012】
そして、ロータリタイプ等の有刃打抜き型によって金属箔13を切断するとともに、不要部分を剥離し、金属箔13からなる回路パターンをベースフィルム11上に形成する。
【0013】
その後、所定の他の供給ローラからカバーレイフィルム15aを送り出し、その上面に接着剤層15bを塗布形成しながら、このカバーレイ15をベースフィルム11および金属箔13の下面にまず1枚だけ重ね合わせる。必要領域だけをカバーレイ15で被覆したらこれを切断する。同様にしてカバーレイ15の供給・重ね合わせ作業を繰り返して、カバーレイ15を3枚重ねにする。
【0014】
このようにしてベースフィルム11および金属箔13の下面にカバーレイ15を3枚重ね合わせた後、熱ローラに挟み込まれて加熱されることによって、ベースフィルム11、金属箔13およびカバーレイ15が互いに本固着される。その後、所定のはんだ部位にパンチングにてスルーホール17等を所定形状に形成・除去し、図1に示したような製品(FPC)を成す。
【0015】
作成されたFPCは、スルーホール17に実装部品の部品リード16が挿入されてはんだ付けが行われる。この際、溶融状態のはんだ18は部品リード16から外側の隣接部位に向けて流れ出ようとするが、カバーレイ15を3枚重ねにして総厚さTcを270μmに設定しているので、隣接部位間のはんだ18の流れ込みが防止される。その結果、従来問題とされていたはんだブリッジショートの発生を防止できる。
【0016】
ここで、上述のような厚さ90μmのカバーレイ15の重ね合わせ枚数を変化させてはんだブリッジショートの発生率をみる実験を行った結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
従来のようにカバーレイ15を1枚しか使用しない場合、はんだブリッジショートの発生率は25%となる。これに対し、カバーレイ15を2枚重ねにした場合、はんだブリッジショートの発生率は20%になる。さらに、カバーレイ15を3枚重ねにした場合、はんだブリッジショートの発生率は3%となり、さらに4枚重ねにした場合、はんだブリッジショートの発生率は0%となる。この実験結果を見ると、カバーレイ15の枚数を増やすほど、はんだブリッジショートの発生率を低減できることがわかる。なお、現行のカバーレイ15の場合、最大厚さは125μmのものが製造されている(JIS規格−C6472)。したがって、これより総厚さTcが大となるようにすれば、少なくとも現行のFPCよりもはんだブリッジショートの発生率を低減できる。また、総厚さTcを180μmより大に設定すれば、従来に比較してはんだブリッジショートの発生率を飛躍的に低減できることがわかる。すなわち、望ましくは、総厚さTcが180μmより大に設定すればよい。
【0019】
ただし、はんだ部位周辺の表面保護層の総厚さTcが過剰に高くなると、はんだ付け作業がしずらくなる。具体的には、表面保護層の総厚さTcが300μmより大になると、部品電極やリード用のスルーホールまたはFPCランドにはんだ18が全く付着しない不具合、すなわち「未はんだ」の発生が顕著になる。したがって、実用的には、はんだ部位周辺の表面保護層の総厚さTcを300μm以下に抑えるので妥当である。以上のことから、厚さ90μmのカバーレイ15なら3枚重ね(総厚さTc=270μm)に、厚さ125μmのカバーレイ15なら2枚重ね(総厚さTc=250μm)にするのが望ましい。
【0020】
{実施の形態2}
図3はこの発明の実施の形態2のFPCを示す断面図である。このFPCは、はんだブリッジショートの発生率の高いはんだ部位(以下「特定部位」と称す)の近辺の表面保護層21の総厚さのみを、その他の表面保護層22の総厚さより大に設定したものである。特定部位近辺の表面保護層21の総厚さは実施の形態1の表面保護層の総厚さと同様に125μmより大で且つ300μm以下の条件を満たすよう、厚さ90μmのカバーレイ15の下面に、さらに厚さ180μmのカバーレイ23を貼着し、総厚さが270μmになるよう形成されている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0021】
この実施の形態におけるFPCの製造工程を概説する。まず、実施の形態1と同様にして、ベースフィルム11の下面に金属箔13を仮固着し、この金属箔13を所定形状に切断して回路パターンを形成する。
【0022】
その後、所定の他の供給ローラからカバーレイフィルム15aを送り出し、その上面に接着剤層15bを塗布形成しながら、このカバーレイ15をベースフィルム11および金属箔13の下面にまず1枚だけ重ね合わせる。必要領域だけをカバーレイ15で被覆したらこれを切断する。同様にして厚さ180μmのカバーレイ23の供給・重ね合わせ作業を行い、特定部位近辺の表面保護層21の総厚さを270μmにする。
【0023】
その後、特定部位近辺の表面保護層21の形状に沿って、表面側のカバーレイ23の一部を切断し、特定部位近辺の表面保護層21のみを残してそれ以外を除去する。その後、熱ローラに挟み込ませて加熱することによって、ベースフィルム11、金属箔13およびカバーレイ15,23が互いに本固着される。しかる後、所定のはんだ部位にパンチングにてスルーホール17等を所定形状に形成・除去し、図3に示したような製品(FPC)を成す。
【0024】
そして、作成されたFPCのスルーホール17に実装部品の部品リード16を挿入しはんだ付けを行う際、溶融状態のはんだ18は部品リード16から外側の隣接部位に向けて流れ出ようとするが、特定部位近辺の表面保護層21の総厚さを270μmに設定しているので、実施の形態1と同様、その隣接する特定部位間のはんだ18の流れ込みが防止される。その結果、従来問題とされていたはんだブリッジショートの発生を防止できる。具体的な実験の結果、総厚さ270μmの条件で、はんだブリッジショートの発生率が4%になった。したがって、従来の25%(表1)に比べて飛躍的に改善されていることがわかる。さらに、特定部位以外の領域については、表面保護層22の厚さを従来と同様に設定しているので、FPCの曲げ強度等の条件を従来と同様に維持できる。
【0026】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、少なくとも所定のはんだ部位の近辺における表面保護層の厚さを125μmより大に設定しているので、実装部品について高密度化を行っても、この高密度に隣接するはんだ部位間において、溶融状態のはんだの流れ込みを防止でき、その結果、従来問題とされていたはんだブリッジショートの発生を防止でき、フレキシブル回路基板の歩留まりを向上できる。また、表面保護層の厚さを300μm以下に設定しているので、はんだ付け作業が困難になる事態を防止でき、従来と同程度に「未はんだ」の発生を抑制できる。
【0027】
そして、既存のカバーレイを用いながらもはんだブリッジショートの発生を防止でき、新たなカバーレイ製造設備を用意しなくても、フレキシブル回路基板の歩留まりを向上できる。
【0028】
かかるフレキシブル回路基板を製造する際、ベースフィルムの表面に熱硬化性または熱可塑性の接着剤を介して金属箔を仮固着し、前記金属箔の一部を打抜き型によって切断・除去して所定の配線パターンを形成し、前記ベースフィルムおよび前記金属箔の全体領域のうち、少なくとも所定のはんだ部位の近辺について、カバーレイを複数層積層し、所定のはんだ部位について前記カバーレイを打抜き型によって切断・除去するので、フレキシブル回路基板を容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1のフレキシブル回路基板を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1のフレキシブル回路基板を示す一部拡大断面図である。
【図3】この発明の実施の形態2のフレキシブル回路基板を示す断面図である。
【図4】この発明の変形例のフレキシブル回路基板を示す断面図である。
【図5】従来のフレキシブル回路基板を示す断面図である。
【符号の説明】
11 ベースフィルム
13 金属箔
15 カバーレイ
15a カバーレイフィルム
15b 接着剤層
16 部品リード
17 スルーホール
18 はんだ
21 特定部位近辺の表面保護層
22 特定部位近辺以外の表面保護層
23 カバーレイ
Claims (1)
- ベースフィルムの表面に金属配線および表面保護層が順次積層されてなるフレキシブル回路基板であって、少なくとも所定のはんだ部位の近辺における前記表面保護層の厚さは、125μmより大で、且つ300μm以下に設定され、前記表面保護層は、厚さが125μm以下のカバーレイが複数枚重ね合わせられて成るフレキシブル回路基板を製造する方法であって、
ベースフィルムの表面に熱硬化性または熱可塑性の接着剤を介して金属箔を仮固着する工程と、
前記金属箔の一部を打抜き型によって切断・除去して所定の配線パターンを形成する工程と、
前記ベースフィルムおよび前記金属箔の全体領域のうち、少なくとも所定のはんだ部位の近辺について、カバーレイを複数層積層する工程と、
所定のはんだ部位について前記カバーレイを打抜き型によって切断・除去する工程と、
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JP3656304B2 true JP3656304B2 (ja) | 2005-06-08 |
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JP00323196A Expired - Fee Related JP3656304B2 (ja) | 1996-01-11 | 1996-01-11 | フレキシブル回路基板の製造方法 |
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1996
- 1996-01-11 JP JP00323196A patent/JP3656304B2/ja not_active Expired - Fee Related
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