JP3652850B2 - タイヤ滑り止め具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等のタイヤに装着して氷雪路面に対する滑り止めを行うためのタイヤ滑り止め具に関し、特に、複数のネット構成片を周方向に配設してタイヤを被覆する分割型のタイヤ滑り止め具に関する。
【0002】
【従来の技術】
非金属製のタイヤ滑り止め具として、例えば実開昭63−32906号公報に開示されているものがある。これは、芯材の周りにゴムまたは合成樹脂を被覆してタイヤ外周長よりも小さい適宜長さのネット体を成形し、このネット体の適宜数を環状に連結固定してなる分割型のものであり、各ネット体の幅方向一端部(タイヤ内側に配される部分)には、タイヤ周方向に3箇所又は4箇所の締付けロープが連結される内連結部が形成され、各ネット体の幅方向他端部(タイヤ外側に配される部分)には、内連結部と同数で左右対称位置に連結バンドが掛止する外連結部が形成されている。
【0003】
そして、滑り止め具をタイヤに巻回してタイヤ内側で締付けロープの両端を係合して無端状とするとともに、タイヤ外側では外連結部に連結バンド等を掛止して締付け、タイヤの外周に対して滑り止め具を密着させて装着するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
滑り止め具をタイヤに装着した場合、締付ロープ及び連結バンドは内,外連結部によってタイヤ径外方向に引っ張られ、タイヤ周方向に隣合う連結部間では直線状となり、タイヤホイールのリムフランジの周囲を囲む多角形状を描いて配置されるようになっている。したがって、締付ロープ及び連結バンドは、連結部の位置よりも連結部間の直線状部分でリムフランジに最も近づくようになっている。
【0005】
そのため、滑り止め具がタイヤに対して偏心して取付けられた場合などに、ロープ等がリムフランジに接触することがあり、これによってロープ等とリムフランジとの間に擦れが生じ、ロープ等に磨耗を生じさせたり、リムフランジを傷つけるといった不都合を生じることとなっていた。
なお、車両の種類等によってはタイヤ内側のリムフランジとタイヤハウス内のサスペンション等との隙間が小さいものがあり、この場合、締付けロープがリムフランジに接近することでサスペンション等にも接触する可能性が高く、このサスペンション等との接触でも締付けロープの損傷を生じる恐れがあるため、上記のようなロープの磨耗やリムフランジ等の損傷という問題は、タイヤ外側よりもタイヤ内側において特に発生する可能性が高いものであった。
【0006】
ところで、締付けロープや連結バンドは、タイヤ周方向に隣接する連結部間で直線状となってリムフランジに接近することから、ロープ等の連結部の数を増やせばリムフランジに接近するという問題を解決することが可能ではある。
しかし、一般に分割型の滑り止め具においては内,外連結部をネット体の幅方向両端に左右対称位置に同数形成することから、上記のような手段を適用すると内,外連結部の数が過剰に増え、滑止具全体の重量が重くなってしまうとともに、タイヤの外側にあっては、連結バンドを外連結部に一つずつ掛け止める必要があることから装着作業に手間がかかってしまうという問題を伴うこととなり、実質的に上記ような手段は採用し難いものであった。
【0007】
また、従来技術の分割型滑り止め具あっては、各ネット体の展開状態で、ネット体の幅方向一端における各連結部がそれぞれ滑り止め具の長手方向に平行に並設されているているため、各ネット体をタイヤの外周の弯曲面に沿って被覆した場合でも各連結部がリムフランジの円弧に沿わずに略横並び状となり、ネット体のタイヤ周方向両端部よりも中途部の位置がタイヤのリム寄りに配置されるようになっていた。
【0008】
そのため、単にロープ等の掛け止め数を増やしたとしても、ロープ等をリムフランジの円弧に沿わせて十分に離すことができず、特に滑り止め具が偏心して取付けられた場合等には、ロープ等がリムフランジに接触する可能性が残るものとなっていた。
本発明は、上記のような分割型のタイヤ滑り止め具に関する種々の問題点や事情に鑑みてなされたものであり、タイヤ内側又はタイヤ外側における締結ロープ等の索状部材がタイヤホイールのリムフランジ等に接触するのを防ぎ、これらの損傷を防止することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じた。
本発明の第1の技術的手段は、タイヤの外周を被覆する帯状のネット本体を、タイヤの周長よりも短い周方向長さを有する非金属製のネット構成片をタイヤ周方向に複数枚並設して構成し、各ネット構成片の幅方向一端部に、タイヤの内側部でネット本体を無端状に繋ぐ内索状部材が連結される内連結部を形成し、各ネット構成片の幅方向他端部に、タイヤの外側部でネット本体を無端状に繋ぐ外索状部材が連結される外連結部を形成しているタイヤ滑り止め具において、各ネット構成片における内連結部の数が、外連結部の数よりも多く形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
これによれば、タイヤ滑り止め具をタイヤに装着したときに、タイヤ内側においては内連結部の数を多くして内索状部材がタイヤホイールのリムフランジに略沿って配置されるようにしており、タイヤ外側においては、外連結部を内連結部より少なくして外索状部材の連結の手間を少なくしている。
すなわち、内索状部材等が比較的損傷しやすいタイヤ内側では内索状部材がリムフランジに接近するのを防いでその磨損防止を図りながら、タイヤ内側に比して外索状部材等の損傷の可能性の低いタイヤ外側では、外索状部材の連結数を少なくして装着性の向上を図り、更には、滑り止め具の重量増を抑制しているのである。
【0011】
本発明の第2の技術的手段は、上記第1の技術的手段に加えて、内連結部は、ネット構成片のタイヤ周方向両端部と、タイヤ周方向の中途部とに形成されており、ネット構成片の展開状態で、前記中途部の内連結部が前記両端部の内連結部よりも幅方向中央寄りに設けられていることを特徴とするものである。
これによれば、ネット構成片をタイヤ外周に沿わせて被覆した際に、各内連結部に連結された内索状部材がタイヤホイールのリムフランジの円弧に対してより沿った状態で配置されるようになり、内索状部材のリムフランジへの接触を確実に防止できるようになる。
【0012】
本発明の第3の技術的手段は、タイヤの外周を被覆する帯状のネット本体を、タイヤの周長よりも短い周方向長さを有する非金属製のネット構成片をタイヤ周方向に複数枚並設して構成し、各ネット構成片の幅方向端部に、タイヤの側部でネット本体を無端状に繋ぐ索状部材が連結される連結部を形成しているタイヤ滑り止め具において、前記連結部は、ネット構成片におけるタイヤ周方向両端部と、タイヤ周方向の中途部とに形成されており、ネット構成片の展開状態で、前記中途部の連結部が前記両端部の連結部よりも幅方向中央寄りに設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
これによれば、ネット構成片をタイヤ外周に沿わせて被覆した際に、タイヤ内側や外側において連結部に連結された索状部材がタイヤホイールのリムフランジの円弧に対してより沿った状態で配置されるようになり、索状部材のリムフランジへの接触を確実に防止している。
本発明の第4の技術的手段は、上記第3の技術的手段に加えて、前記連結部が、タイヤの内側に配置される内連結部であることを特徴とするものであり、これによれば、タイヤハウス内に配置されてサスペンション等とも接触する可能性のあるタイヤ内側において、より確実に索状部材の損傷を防ぐことができるようになる。
【0014】
本発明の第5の技術的手段は、上記第1,第2又は第4の技術的手段に加えて、ネット本体のタイヤ周方向中途部におけるネット構成片間に、ネット本体のタイヤへの装着の際にタイヤの接地部分を回避する接地用開口部が形成され、この接地用開口部に隣接するネット構成片の内連結部のうち少なくとも接地用開口部に最も近接したものが、索状部材に対してタイヤ周方向の移動を許容するように連結し、この内連結部以外の少なくとも1つの内連結部が索状部材に対して固定されていることを特徴とするものである。
【0015】
これによれば、開口部側の内連結部を締結ロープに対してタイヤ周方向に移動することで、開口部に隣接するネット構成片を撓ませて開口部を拡げることができるようになり、タイヤの接地部を避けて索状部材の締結を容易に行え、タイヤに対する滑り止め具の位置合わせも適正に行うことができる。なお、ネット構成片の内連結部は、少なくとも一つが索状部材に対して固定されていることから、滑り止め具装着後に走行させることでタイヤに滑り止め具が馴染み、撓ませたネット構成片が元の状態(開口部を拡げる前の状態)に復帰させることが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図5は、本発明の第1の実施形態を示しており、図2に示すようにタイヤ滑り止め具1は、タイヤ2の外周を被覆する帯状のネット本体3と、該ネット本体3の幅方向一端側(タイヤ2の内側)に連結された非伸長性の締結ロープ(内索状部材)4と、ネット本体3の幅方向他端側(タイヤ2の外側)に掛止されて同他端側をタイヤ中心側へ引っ張る緊締バンド(外索状部材)5とを備えて構成されている。
【0017】
前記ネット本体3は、その長手方向(タイヤ周方向)に6枚のネット構成片6を並設して構成してある分割型とされており、各ネット構成片6のネット長手方向両端が、その幅方向両端位置で連結金具7及び前記締結ロープ4を介して互いに連結されて一体とされている。
また、ネット本体3の長手方向中央部におけるネット構成片6間は若干間隔を広くとってあり、この部分では、ネット構成片6は連結金具7を用いずに締結ロープ4で連結されている。なお、長手方向中央部の前記間隔は後述する接地用開口部8を構成している。
【0018】
図1に示すように、各ネット構成片6は、所定のネット模様に張りめぐらした芯材(図示略)に合成ゴム又は天然ゴム等の非金属製の弾性材料を被覆することにより形成されている。そしてネット構成片6の幅方向中央部がタイヤトレッドに対応して地面に接地するトレッド対応領域(接地領域)9とされ、このトレッド対応領域9の幅方向両側が、タイヤ2のショルダー部に対応するショルダー部対応領域10とされ、このショルダー対応領域10の幅方向両側が、タイヤのサイドウォール部に対応して前記締結ロープ4及び緊締バンド5を連結する内連結部12及び外連結部13が形成されるサイドウォール対応領域11とされている。なお、前記トレッド対応領域9は、滑り止め具1としての主たる滑り止め機能を果たす部分であり、該部分に複数のスパイクピン9aが埋設されている。
【0019】
前記ネット構成片6の長手方向両端は、幅方向に伸びる細帯状に形成されており、この帯状部14の幅方向一側(タイヤの外側)に、各ネット構成片6を相互に連結する前記連結金具7が設けられている。また、帯状部14の両端は、ネット構成片6の非金属部分の幅方向最外端に位置するようになっている。
そして、ネット構成片6のタイヤ周方向中央でトレッド対応領域9からショルダー対応領域10にかかる位置にあるネット交差部6aには、幅方向外方及び前後方向に向けて傾斜しながら延伸する傾斜部6bが連設されており、この傾斜部6bの前後端が前記帯状部14の両端に連設されている。
【0020】
帯状部14の幅方向一端側(タイヤ外側)には、緊締バンド5を掛止するための掛止フック15が設けられており、この帯状部14の一端部と掛止フック15とによって前記外連結部13が構成されている。すなわち、1枚のネット構成片6には、ネット長手方向両端の2箇所に外連結部13が形成されるようになっている。
【0021】
帯状部14の幅方向他端側(タイヤ内側)には、締結ロープ4を連結するための連結具16が設けられており、この連結具16と帯状部14の他端部とによって前記内連結部12が構成されている。また、ネット構成片6のネット長手方向中央部には、前記傾斜部6bの中途から該傾斜部と反対方向に傾斜しながら幅方向外方に突出する前後対の掛止片17が設けられており、この前後対の掛止片17の先端は互いに交差して略V字をなし、この交差部分にも連結具16が設けられている。
【0022】
したがって、この掛止片17及び連結具16も内連結部12を構成しており、1枚のネット構成片6に対し、ネット長手方向両端部と中央部との3箇所に内連結部12が形成されることとなっている。
図2に示すように、ネット長手方向端部寄りの各2枚ずつのネット構成片6は、その内連結部12の連結具16を締結ロープ4に対してカシメ固定し、この連結具16が帯状部14及び掛止片17に対してカシメ固定されており、これらネット構成片6がロープ長手方向に移動できないよう固定されている。
【0023】
また、ネット長手方向中央の開口部8を挟んだ2枚のネット構成片6は、反開口部側の1つの内連結部12aの連結具16を締結ロープ4にカシメ固定し、この連結具16が帯状部14にカシメ固定されており、開口部側の2つの内連結部12bは、締結ロープ4に対して長手方向に移動できるように連結されている。
この内連結部12bを締結ロープ4に対して移動自在とする構成としては、図5(a)に示すように、締結ロープ4に連結具16の一端に形成した連結輪部16aを長手方向(矢示b方向)移動自在に遊嵌し、帯状部14に形成した孔14aに連結具16他端の連結輪部16bを矢示aの如く揺動できるように緩んだ状態で挿通する構成を採用している。また、タイヤ周方向中央の内連結部12bについても一端側の連結輪部16aを締結ロープ4に長手方向(矢示b方向)移動自在に遊嵌し、他端側の連結輪部16bを掛止片17の交差部に矢示aのように揺動自在に遊嵌した構成としている。
【0024】
したがって、締結ロープ4と連結具16との連結部分では、内連結部12b,12bが締結ロープ4に沿って長手方向(矢示b方向)に摺動できるようになり、帯状部14及び掛止片17と連結具16との連結部分では、矢示aの揺動によって内連結部12bが締結ロープ4に対して長手方向に移動できるようになっている。
【0025】
このように締結ロープに対して開口部側の内連結部12bをロープ長手方向に移動できるようにすると、これら内連結部12bを介してネット構成片6を締結ロープ4に沿って撓ませることで接地用開口部8を拡げることができるようになり、これは後述する滑り止め具装着の際に役立つ。
なお、前記可動側の内連結部12bとしては、図5(b)に示すように、締結ロープ4に連結具16一端の連結輪部16aを長手方向移動自在に遊嵌し、帯状部14(又は掛止片17)に連結具16他端をカシメ固定する構成や、図5(c)に示すように、締結ロープ4に対して連結具16一端をカシメ固定し、帯状部14に形成した孔14aに連結具16他端の連結輪部16bを矢示a方向に揺動できるように挿通する構成などに置き換えることも可能である。また、図示は省略するが、中央の内連結部12bについても同様の構成に置き換えることが可能である。
【0026】
また、開口部8に近接した1つの内連結部12を上記各構成のように締結ロープに長手方向移動自在に連結し、反開口部側の他の2つの内連結部を締結ロープ4に対してカシメ固定して移動できない構成としてもよい。
図1に示すネット構成片6の展開状態において、ネット長手方向中央における内連結部12の掛止片17は、ネット長手方向両端における内連結部12の帯状部14の端部位置よりも幅方向中央寄り(接地領域寄り)に配置されており、これらに設けられた連結具16の締結ロープ4への連結部分も、中央の内連結部12のものが両端部の内連結部12のものよりも図1に示すαだけ幅方向内方側に配置されている。
【0027】
したがって、3箇所の連結具16に連結された締結ロープ4は、ネット構成片6の展開状態であっても中央の連結具16位置で幅方向内方側へ屈曲するようになっている。
前記締結ロープ4の一端部には、折り返しすることによって輪状に形成された輪部4aが設けられ、他端部には、前記輪部4aに係合するフック具4bが設けられている。
【0028】
前記緊締バンド5は、1本のバンド体18と、該バンド体18を輪状に形成するバックル部材19とを有し、バンド体18は、その長手方向中央部が非伸長性のロープ18aで形成され、該ロープ18aの両端側はゴム等で形成された伸縮自在な伸縮部材18bで形成されている。
そして、バンド体18のロープ部分18aをバックル部材19を介して輪状に形成するとともに、バンド体18の両端部をバックル部材19から突出させており、バンド体18の両端部を互いに離す方向に引っ張ることで輪状部分5aの径が小さくなるように構成し、径を大きくする方向にはバックル部材19によってロックされるようにしている。また、前記バックル部材19にはネット本体3側に係合可能な一対の係合フック20が設けられている。
【0029】
前記開口部8を挟む2枚のネット構成片6において、その帯状部14のタイヤ外側に対応する端部には、掛止フック15とは別に掛止め部材21が設けられている。また、ネット本体両端の2枚のネット構成片6は、そのネット長手方向外端の外連結部を構成する掛止フック15は設けられておらず、この部分には前記バックル部材19の係合フック20が係合される係合孔22が形成されている。
【0030】
以下、上記のタイヤ滑り止め具をタイヤに装着する場合を説明する。
まず、タイヤ2の接地部分にネット本体3中央の接地用開口部8が対応するようにして地面上に前後方向に滑り止め具1を敷き、タイヤ2の内側(裏側)部分で締結ロープ4の両端を持ち上げながら輪部4aにフック具4bを係合させる。このとき、接地用開口部8に隣接するネット構成片6は、その開口部側の2つの内連結部12bを締結ロープ4に対して長手方向移動自在に連結しているため、これらネット構成片6を撓ませて開口部8を押し拡げることで、タイヤ接地部分を避けながら容易に締結ロープ4を輪状に連結できるようになるとともに、タイヤ2に対して偏心することなく適正な位置に滑り止め具1を装着することができるようになっている。
【0031】
そして、裏側の締結ロープ4を連結したのち、緊締バンド5のバックル部材19の係合フック20をネット構成片6の係合孔22に引っ掛け(予め一方の係合フック20を引っ掛けておいてもよい)、緊締バンド5の輪状部5aを若干緩めた状態で各外連結部13の掛止フック15に引っ掛ける。そして、全ての掛止フック15に輪状部5aを引っ掛けたのち、バンド体18の両端部を引っ張ることで輪状部5aを絞って締付け、ネット本体3をタイヤ外周に密着させる。
【0032】
そのあと、残ったバンド体18の両端側を順次掛止フック15に掛止めながら伸縮部材18bの先端部を交差し、開口部8に隣接するネット構成片6の掛止め部材21に引っ掛けて装着が完了する。
図3に示すように、タイヤ滑り止め具1装着後のタイヤ内側では、締結ロープ4は、各ネット構成片6の3箇所の内連結部12によって引っ張られて多角形状を描いて配置されている。一方図4に示すタイヤ外側では、各ネット構成片6の2箇所の外連結部13によって引っ張られてタイヤ内側よりも角数の少ない多角形状を描いて配置されている。
【0033】
すなわち、タイヤホイール23のリムフランジ23aやタイヤハウス内のサスペンション等に締結ロープ4が接触して磨耗する可能性の高いタイヤ内側においては、内連結部12の数を多くしてリムフランジ23aに沿う多角形状に締結ロープ4を配置することで、該締結ロープ4がリムフランジ23aに接近するの防止しているとともに、タイヤ内側に比べ緊締バンド5が磨損等する可能性が低いタイヤ外側においては、緊締バンドの掛止め数を少なくして装着作業を容易に行えるようにしている。
【0034】
また、各ネット構成片6の内連結部12においては、ネット長手方向両端の内連結部12より中途部の内連結部12が幅方向中央寄りに配されているので、タイヤ2に装着した際に締結ロープ5がよりリムフランジ23aの円弧に沿うように配置され、リムフランジ23aと締結ロープ4とが接触するようなことを確実に防いでいる。
【0035】
なお、各ネット構成片6において、ネット長手方向中央部の内連結部12と、両端部の内連結部12との幅方向のズレ量αは、ネット構成片6のネット長手方向の長さや伸び、タイヤ外周への馴染みやすさ(ネット構成片の剛性)等を勘案し、タイヤ2に装着した際の各内連結部12を結ぶ円弧曲率がリムフランジ23aの曲率に可及的に近づくように適宜設定される。
【0036】
また、タイヤ滑り止め具1を装着する際に、接地用開口部8を押し広げた状態としていたが、これは、装着後の走行によって、滑り止め具1がタイヤ2に馴染じむことで元の間隔へと次第に戻るようになっている。
図6は、本発明の第2の実施形態を示しており、これは、ネット構成片6に形成した外連結部13の数を内連結部12と同様3箇所とした点で第1の実施形態と異なっており、その他の構成は第1の実施形態と同様であるので同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
本実施形態のネット構成片6は、幅方向一側(タイヤの外側)の傾斜部6b中途から、該傾斜部6bと反対方向に傾斜する前後対の掛止片24を突設し、該掛止片24の先端は交差して略V字状をなし、この交差部分に掛止フック15が設けられている。また、前記掛止片24の位置は、ネット長手方向両端の外連結部13を構成する帯状部14端部よりも幅方向中央寄りに配置されており、掛止片24に設けた掛止フック15も、帯状部14に設けた掛止フック15よりβだけ幅方向中央寄りに配置されている。
【0038】
本実施形態では、第1の実施形態と比べて外連結部13の数が増えることから、タイヤ外側においても緊締バンド5がリムフランジ23aに接近するのを防ぎ、緊締バンド5やリムフランジ23aの磨損を防止できるようになっている。
また、ネット長手方向中央部の外連結部13が、両端部の外連結部13よりもβだけ幅方向中央寄りに位置ズレして配置されているので、緊締バンド5が、タイヤホイール23のリムフランジ23aにより沿った多角形状を描くようになり、リムフランジ23aに対する接触を確実に防止している。
【0039】
なお、本実施形態では、第1実施形態に比べて緊締バンド5の掛止め数が増えることから滑り止め具1全体の重量が増え、また装着性の点でも若干劣るものとなっている。
図7は、本発明の第3の実施形態を示しており、これは、第1の実施形態におけるネット構成片6の内連結部12の配置を変更したものであり、ネット構成片6の展開状態で、ネット長手方向中央の内連結部12の掛止片17が、第1実施形態のものよりも幅方向外方へ長く突出されており、これによって両端部の内連結部12との幅方向位置が同じ(接地領域からの距離が同じ)となっている。したがって、各内連結部12に連結した締結ロープが、ネット構成片の展開状態で直線状に配置されるようになっている。また、第1実施形態と同様に内連結部12が3箇所に設けられているのに対し、外連結部13が2箇所に形成されている。
【0040】
したがって、滑り止め具1をタイヤに装着した際に、タイヤ内側では締結ロープ4の掛け止め数を多くして締結ロープ4がタイヤホイール23のリムフランジに接近するのを防止しながら、タイヤ外側では、内側に比べて緊締バンド5の掛止め数を少なくして装着容易性の向上を図っているのである。
なお、本実施形態では、ネット構成片6の展開状態で各内連結部12の接地部からの距離が同じとされているため、タイヤに装着した際に締結ロープ4をリムフランジに沿わせるという点で第1実施形態よりも若干劣ることとなっている。
【0041】
図8は、上記各実施形態の変形例を示しており、図8(a)は、第1実施形態の変形例で、ネット構成片6のネット長手方向中央における内連結部12の掛止片17を、略V字状のものに代えて交差部6aから幅方向に平行に伸びる帯状に形成しているもの、図8(b)は、第2実施形態の変形例で、ネット構成片6のネット長手方向中央における内,外連結部12,13の掛止片17,24を、略V字状のものに代えて交差部6aから幅方向に伸びる帯状に形成しているもの、図8(c)は、第3実施形態の変形例であり、ネット構成片6のネット長手方向中央における内連結部12の掛止片17を、略V字状のものに代えて交差部6aから幅方向に平行に伸びる帯状に形成しているものである。
【0042】
図9は、本発明の第4の実施形態を示している。
これは、滑り止め具1のタイヤ2への装着時に接地用開口部8に隣接する2枚のネット構成片6を撓ませて前記開口部8を拡げたとき、これを元の状態に戻すように促す復帰補助手段25を設けたものである。
この復帰補助手段25は、接地用開口部8に隣接する2枚のネット構成片6間に対応する締結ロープ4に外嵌された引張りコイルバネ26で構成されており、該引張りコイルバネ26の一端は一方のネット構成片6の開口部側の連結具16に連結され、引張りコイルバネ26の他端は他方のネット構成片6の開口部側の連結具16に連結されている。したがって、開口部8に隣接する各ネット構成片の開口部側端部は、引張りコイルバネ26によって互いに引張り合っているのである。
【0043】
なお、前記連結具16は、図5(a)及び(b)に示したように、締結ロープ4に対して連結具16の連結輪部16aを遊嵌して摺動自在に構成したものである。
したがって、滑り止め具1を装着するにあたって、開口部8を拡げるようにネット構成片6の連結具16を締結ロープ4に沿ってネット長手方向外方へ移動させたとき、引張りコイルバネ26にネット長手方向内方への力が蓄積され、滑り止め具装着後の走行で、タイヤ2に滑り止め具1が馴染んで自然に開口部8幅が元の状態に戻ろうとするのに加え、バネ26の付勢力によって確実に開口部幅を所定に復帰させることができるようになっている。
【0044】
これにより、タイヤ2への装着の際には、接地用開口部8を拡げて、締結ロープ4両端の連結や緊締バンド5の掛止め作業を容易なものとしてタイヤ2に対して適正位置に装着しやすくなり、装着後には、拡げた開口部8を元の狭い状態に確実に復帰させて乗り心地を悪化させることがないようにしている。
なお、復帰補助手段25としては、前記引張りコイルバネ26に代えて開口部8に隣接するネット構成片間にゴムバンド等を架設することで互いに引張り合う構成を採用してもよい。
【0045】
図10は、第5の実施形態を示しており、これは、第4実施形態で説明した復帰補助手段の構成を変更したものである。
本実施形態の復帰補助手段は、接地用開口部8に隣接するネット構成片6の反開口部側の連結具16(締結ロープにカシメ止めされたもの)とネット長手方向中央部の連結具16(締結ロープに挿通したもの)との間の締結ロープ4に外嵌した圧縮コイルバネ27と、この中央部の連結具16と開口部側の連結具16(締結ロープに挿通したもの)との間の締結ロープ4に外嵌した圧縮コイルバネ27とで構成されている。
【0046】
したがって、滑り止め具装着時に、開口部8を広げるように開口部側の連結具16と中央部の連結具16とをそれぞれネット長手方向外方に移動したときに、圧縮コイルバネ27に上記連結具16,16をネット長手方向内方へ押し戻す力が蓄積され、滑り止め具装着後、蓄積されたバネ力で開口部8を元の状態に狭めるように補助しているのであり、上記第4の実施形態と同様に効果を奏する。
【0047】
なお、図11には、復帰補助手段の変形例として、第4実施形態のものと、第5実施形態のものを組み合わせたものを示しており、これにより引張りコイルバネ26及び圧縮コイルバネ27によってより確実の接地用開口部8の復帰が期待できる。
本発明は、上記実施形態に限ることなく適宜設計変更可能であり、例えば上記各実施形態では、滑り止め具のネット本体を6枚のネット構成片で構成したが、複数枚であればこれに限定されず変更可能である。
【0048】
更に、ネット構成片としては、前記したようなネット模様のもの以外に、内部に複数のラダー状部を備えたもの、ネット状部とラダー状部とを組み合わせたもの等に変更可能である。
また、ネット構成片として、芯材にゴム等の弾性材料を被覆したものに限らず、弾性材料内にレーヨン,ポリアミド系繊維,ポリエステル系繊維,ポリオレフィン系繊維,ポリウレタン系繊維,綿,羊毛,ガラス繊維,カーボン繊維,ロックウール,アスベスト等の有機、無機の各種短繊維を混入したものとしてもよく、また樹脂材料にて成形したものを採用してもよい。
【0049】
前記内連結部、外連結部の数も上記に限らず変更可能で、また、内索状部材としては一本の長尺のものを使用するに限らず各ネット構成片に対応する短尺のものを長手方向に連結したものとしてもよい。外索状部材を前記緊締バンドに代えて一般に用いられるゴムバンドを用いてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、タイヤ側部において滑り止め具を締めつける索状部材がタイヤホイールのリムフランジ等に接触するのを防いで、これらの損傷を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るネット構成片の展開状態の平面図である。
【図2】同滑り止め具の展開状態の全体平面図である。
【図3】滑り止め具を装着した際に、タイヤ内側の側面図である。
【図4】同タイヤ外側の側面図である。
【図5】ネット構成片の内連結部の連結状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るネット構成片の展開状態の平面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るネット構成片の展開状態の平面図である。
【図8】第1〜第3実施形態のネット構成片の変形例を示す展開状態の平面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係るネット本体の展開平面図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係るネット本体の展開平面図である。
【図11】第4,第5実施形態の変形例に係るネット本体の展開平面図である。
【符号の説明】
1 タイヤ滑り止め具
2 タイヤ
3 ネット本体
4 締結ロープ(内索状部材)
5 緊締バンド(外索状部材)
6 ネット構成片
8 接地用開口部
11 内連結部
12 外連結部

Claims (5)

  1. タイヤの外周を被覆する帯状のネット本体を、タイヤの周長よりも短い周方向長さを有する非金属製のネット構成片をタイヤ周方向に複数枚並設して構成し、各ネット構成片の幅方向一端部に、タイヤの内側部でネット本体を無端状に繋ぐ内索状部材が連結される内連結部を形成し、各ネット構成片の幅方向他端部に、タイヤの外側部でネット本体を無端状に繋ぐ外索状部材が連結される外連結部を形成しているタイヤ滑り止め具において、各ネット構成片における内連結部の数が、外連結部の数よりも多く形成されていることを特徴とするタイヤ滑り止め具。
  2. 内連結部は、ネット構成片のタイヤ周方向両端部と、タイヤ周方向の中途部とに形成されており、ネット構成片の展開状態で、前記中途部の内連結部が前記両端部の内連結部よりも幅方向中央寄りに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ滑り止め具。
  3. タイヤの外周を被覆する帯状のネット本体を、タイヤの周長よりも短い周方向長さを有する非金属製のネット構成片をタイヤ周方向に複数枚並設して構成し、各ネット構成片の幅方向端部に、タイヤの側部でネット本体を無端状に繋ぐ索状部材が連結される連結部を形成しているタイヤ滑り止め具において、前記連結部は、ネット構成片におけるタイヤ周方向両端部と、タイヤ周方向の中途部とに形成されており、ネット構成片の展開状態で、前記中途部の連結部が前記両端部の連結部よりも幅方向中央寄りに設けられていることを特徴とするタイヤ滑り止め具。
  4. 前記連結部が、タイヤの内側に配置される内連結部であることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ滑り止め具。
  5. ネット本体のタイヤ周方向中途部におけるネット構成片間に、ネット本体のタイヤへの装着の際にタイヤの接地部分を回避する接地用開口部が形成され、この接地用開口部に隣接するネット構成片の内連結部のうち少なくとも接地用開口部に最も近接したものが、索状部材に対してタイヤ周方向の移動を許容するように連結し、この内連結部以外の少なくとも1つの内連結部が索状部材に対して固定されていることを特徴とする請求項1,2又は4に記載のタイヤ滑り止め具。
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