JP3652485B2 - ガスメータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力変動等の外乱の影響による誤計測を防止する手段を有するガスメータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスメータに利用される流量計として、フルイディック流量計が知られている。このフルイディック流量計は、噴流を発生させるノズルの下流側に、一対の側壁によって流路拡大部を形成すると共に、側壁の外側に設けられたリターンガイドによって、ノズルを通過した流体を各側壁の外側に沿ってノズルの噴出口側へ導く一対のフィードバック流路を形成し、ノズルを通過した流体が一対のフィードバック流路を交互に流れる現象(以下、フルイディック発振という。)を利用し、フルイディック発振の周波数に基づいて流体の流量を計量するものである。
【0003】
このフルイディック流量計は測定領域があまり広くないため、例えば特開平4−315916号公報に示されるように、フルイディック流量計と、微小流量の測定に適したフローセンサとを併用したガスメータも提案されている。フローセンサは、発熱部と、この発熱部の前後に配置された2つの温度センサとを有し、2つの温度センサで検出される温度の差が気体の流速と関係することを利用した流速センサである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このフローセンサでは、実際の流量が零のときでも、気体の圧力変動等の外乱があった場合に流量が検出されるという特性がある。そこで、フローセンサを有する従来のガスメータでは、実際の流量が零のときに外乱の影響によって検出された測定流量を積算しないように、例えばマイナス側に4リットル、プラス側に1リットルのバッファ機能を備えていた。ここで、プラス側とは、ガス供給側(上流側)からガス機器側(下流側)に向かう順方向の流れを意味し、マイナス側とは、ガス機器側からガス供給側に向かう逆方向の流れを意味する。このバッファ機能によれば、測定流量を積算した値がマイナス側4リットル、プラス側1リットルの範囲内で変動する場合には、マイナス側で積算される測定流量とプラス側で積算される測定流量とが相殺され、ガスメータの流量積算値は変化しない。
【0005】
しかしながら、従来のバッファ機能を備えたガスメータでは、実際の流量が零のときでも、外乱の影響によって検出された測定流量が大きく、測定流量を積算した値がプラス側のバッファ機能の範囲を越える場合には、ガスメータの流量積算値としての積算が行われてしまうという問題点があった。このことを、図4を用いて具体的に説明する。
【0006】
図4(a)は流量が零のときに外乱の影響によってフローセンサの部分を通過するガスの流れの時間的変化を表すものである。同図(b)はフローセンサの出力を一定周期Tごとにサンプリングして得られた測定流量の時間的変化を表し、同図(c)はガスメータの流量積算値の変化を表す。ここで、フローセンサからの出力は、実際には、例えば流量に応じた数のパルス信号として出力されるようになっている。また、サンプリング周期Tは、例えば6秒程度に設定される。
【0007】
フローセンサの部分を通過するガスの流れは、そのガスメータの設けられているガス消費機器側が非使用状態であって流量が零であるはずのときであっても、ガス供給側の配管に接続された近隣の複数のガス消費機器の使用状況によっては、例えば図4(a)に示したように、まったくランダムに変化する。ガス消費機器の使用開始や停止等に伴って生ずる圧力変動が多数重畳されるからである。これに対し、測定のためのサンプリング周期は一定である。このため、サンプリングにより得られる測定流量は、同図(b)に示したように、プラス側およびマイナス側に比較的長いスパンで不定周期で変化することになる場合がある。
【0008】
図4(b)において、斜線の部分はバッファ機能によって相殺されなければならない部分である。しかし、外乱の影響によって検出された測定流量が大きい場合には、測定流量を積算した値がプラス側のバッファ機能の範囲(例えば1リットル)を越えてしまう場合がある。この場合には、プラス側のバッファ機能の範囲を越えた時点で流量積算値がカウントアップされ、その後にマイナス側に同量の測定流量が生じても相殺されない。例えば、同図(b)のサンプリングタイミングt1においては、測定流量が小さく、これを積算した値がプラス側のバッファ機能の範囲内なので、同図(c)に示したように、ガスメータの流量積算値のカウントアップは行われないが、サンプリングタイミングt2においては、測定流量を積算した値がプラス側のバッファ機能の範囲を越えるので、ガスメータの流量積算値のカウントアップが行われる。同様に、サンプリングタイミングt4,t5,t6,t7においても、それぞれガスメータの流量積算値のカウントアップが行われる。すなわち、実際のガス使用が行われていないにもかかわらず、ガスメータの流量積算値としての誤積算が行なわれてしまう。
【0009】
一方、外乱の影響によって検出される測定流量を完全に相殺できるようにバッファ機能の範囲を広くすることは、ガスメータの精度の低下を招くために好ましくない。
【0010】
この問題を解決するため、本出願人は、例えば特開平8−14961号公報にあるように、測定流量値に対してフィルタによって平滑化処理を施し、このフィルタの出力を積算した値がプラス側のバッファ機能の範囲を越えたときに、そのフィルタ出力値を積算してガスメータの流量積算値を求めることを提案している。
【0011】
図5は、上記公報で提案しているガスメータの作用を表すものである。この図の(a)および(b)は上記の図4(a),(b)と同じものとして描いている。図5(c)はフィルタを通過して平滑化された流量値を表し、同図(d)はガスメータの流量積算値を表すものである。図5(c)に示したように、上記提案に係るガスメータでは、測定流量の時間的変化に対して、平滑化処理後の流量の時間的変化は振幅の小さいものとなる。このため、平滑化処理後の流量の積算値がプラス側のバッファ機能の範囲を越えるおそれは少なくなる。例えば、サンプリングタイミングt2,t4においては、平滑化処理後の流量の積算値はプラス側のバッファ機能の範囲を越えず、誤ってカウントアップされることがない。したがって、外乱の影響による誤計測の防止に一定の効果が認められる。
【0012】
ところが、図5(b)に示したように、測定流量がプラス側に長期間続いたときには、同図(c)に示したように測定流量値を平滑化して振幅を小さくしたとしても、その平滑化処理の値を長期間積算することになることから、その積算値がプラス側のバッファ機能の範囲を越える場合がある。このため、図5(d)に示したように、例えばサンプリングタイミングt5,t7においてガスメータの流量積算値が誤ってカウントアップされることになる。すなわち、実際のガス使用が行われていないにもかかわらず、依然としてガスメータの流量積算値としての誤積算が行なわれてしまうという問題があった。
【0013】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、圧力変動等の外乱の影響による誤計測を効果的に防止することができるようにしたガスメータを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のガスメータは、ガスの流量を測定するための流量測定手段と、この流量測定手段による測定値に対して平滑化処理を施す第1の平滑化手段と、この第1の平滑化手段による平滑化処理後の値に応じて、その値をそのまま出力するか、あるいは他の値に置き換えて出力するかを判定し、その値を出力する判定手段と、この判定手段からの出力値に対して平滑化処理を施す第2の平滑化手段と、この第2の平滑化手段による平滑化処理後の値を積算し、その積算値が所定の範囲を超えたときに、第2の平滑化手段による平滑化処理後の値を出力する緩衝手段と、この緩衝手段からの出力値を積算する積算手段とを備えている。
【0015】
このガスメータでは、流量測定手段による測定値に対して第1の平滑化手段による平滑化処理が行われ、その平滑化処理後の値に応じて、その値をそのまま出力するか、あるいは他の値に置き換えて出力するかの判定が判定手段によって行われる。さらに、判定手段からの出力値に対して第2の平滑化手段による平滑化処理が行われる。この平滑化処理後の値は緩衝手段によって相殺的に積算され、その積算値が所定の範囲を超えたときに、第2の平滑化手段による平滑化処理後の値が出力され、積算手段によって積算される。
【0016】
請求項2記載のガスメータは、請求項1記載のガスメータにおいて、判定手段が、第1の平滑化手段による平滑化処理後の値が所定のしきい値を超えているときはその値をそのまま出力する一方、第1の平滑化手段による平滑化処理後の値が第1のしきい値以下のときは平滑化処理後の値を零に置き換えて出力するように構成したものである。
【0017】
請求項3記載のガスメータは、請求項1記載のガスメータにおいて、第1の平滑化手段が、流量測定手段による測定値を所定の周期で取得し、前回の演算結果と今回取得した測定値とを所定の重み付けをもって平均化する演算を行うことにより、流量測定手段による測定値に対して平滑化処理を施すように構成したものである。
【0018】
請求項4記載のガスメータは、請求項1記載のガスメータにおいて、第2の平滑化手段が、前回の演算結果と今回の判定手段からの出力値とを所定の重み付けをもって平均化する演算を行うことにより、判定手段からの出力値に対して平滑化処理を施すように構成したものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施の形態に係るガスメータの構成を表すブロック図である。この図に示すように、本実施の形態のガスメータは、フルイディック流量計とフローセンサとを併用したガスメータであり、フルイディック素子11と、フローセンサ12と、流量積算値を表示するための表示器13と、これらを制御する計測制御部20とを備えている。
【0021】
フルイディック素子11は、いずれも図示しないが、噴流を発生させるノズルと、このノズルの下流側に設けられ、流路拡大部を形成する一対の側壁と、この側壁の外側に設けられ、ノズルを通過した流体を各側壁の外側に沿ってノズルの噴出口側へ導く一対のフィードバック流路を形成するリターンガイドと、ノズルの噴出口近傍に設けられた2つの導圧孔と、この2つ導圧孔に接続され、2つ導圧孔間の差圧を検出する圧電膜センサとを備えている。そして、圧電膜センサの出力がフルイディック素子11の出力として計測制御部20に入力されるようになっている。
【0022】
フローサンサ12は、例えばフルイディック素子11のノズルの通路内に配設され、発熱部と、この発熱部の前後に配置された2つの温度センサとを備えている。
【0023】
計測制御部20は、フルイディック素子11とフローセンサ12の各出力を入力として、これを基に流量を演算する流量演算部21と、この流量演算部21に接続され、そこで演算された測定流量に対して所定の平滑化処理を施すフィルタ部22と、このフィルタ部22に接続され、そこでの平滑化処理後の値を積算した値が所定値を越えたときに、平滑化処理後の値を出力するバッファ部23と、このバッファ部23に接続され、そこから出力される値を積算する積算部24とを備えている。流量演算部21の出力端はまた、フィルタ部22およびバッファ部23を介さずに、直接、積算部24の入力端に接続されている。そして、流量演算部21は、流量の大きさに応じてフィルタ部22または積算部24に対し、演算した流量値を出力するようになっている。この計測制御部20は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成される。そして、流量演算部21、フィルタ部22、バッファ部23および積算部24はそれぞれ、図示しないROM(Read Only Memory)に格納されたプログラムを実行することによって動作するようになっている。ここで、フルイディック素子11、フローセンサ12および流量演算部21が本発明における「流量測定手段」に対応し、バッファ部23が本発明における「緩衝手段」に対応し、積算部24が本発明における「積算手段」に対応する。
【0024】
フィルタ部22は、第1の平均化処理部22aと、判定部22bと、第2の平均化処理部22cとを含んで構成されている。第1の平均化処理部22aは、流量演算部21により得られた測定流量に対して所定の平滑化処理を施すためのものである。判定部22bは、第1の平均化処理部22aによる平滑化処理後の値に応じて、その値をそのまま出力するか、あるいは他の値に置き換えて出力するかを判定し、その値を出力するようになっている。また、第2の平均化処理部22cは、判定部22bからの出力値に対して所定の平滑化処理を施すためのものである。第1の平均化処理部22aおよび第2の平均化処理部22cの平滑化処理は、所定の平均化式に基づいた演算処理であり、その詳細は後述する。ここで、第1の平均化処理部22aが本発明における「第1の平滑化手段」に対応し、判定部22bが本発明における判定手段に対応し、第2の平均化処理部22cが本発明における「第2の平滑化手段」に対応する。
【0025】
次に、図2を参照して、本実施の形態のガスメータの動作について説明する。
【0026】
本実施の形態のガスメータでは、フルイディック素子11は大流量域での測定に用いられ、フローセンサ12は小流量域での測定に用いられるようになっている。但し、両者の測定領域は一部重複している。なお、図2は、フローセンサ12を用いて測定を行う処理部分についてのみ図示したもので、フルイディック素子11を用いて測定する処理部分については省略している。
【0027】
流量演算部21は、流量がフルイディック素子11のみの測定領域にあるときはフルイディック素子11の出力から流量を演算して積算部24に直接入力する一方、流量がフローセンサ12のみの測定領域にあるときはフローセンサ12の出力から流量を演算してフィルタ部22に入力する。具体的には、流量演算部21は、フルイディック素子11の出力から流量を演算する場合は、フルイディック素子11の出力を2値化してパルスを生成し、単位時間当たりのパルスの数をカウントして、フルイディック発振の周波数を求め、この周波数を流量に換算して積算部24に入力する。また、流量演算部21は、フローセンサ12の出力から流量を演算する場合は、一定電流または一定電力で発熱部を発熱させたときの2つの温度センサの温度差に応じて出力される単位時間当たりのパルスの数をカウントして、流量を求め(ステップS101)、フィルタ部22に入力する。但し、フローセンサ12の2つの温度センサの温度差を一定に保つための発熱部の供給電力から流量を求めるようにしてもよい。なお、流量がフルイディック素子11とフローセンサ12で重複する測定領域にあるときは、流量演算部21は、いずれか一方の出力から流量を求めるようにしてもよいし、両者の出力を用いた演算(例えば平均値をとる等)によって流量を求めるようにしても良い。あるいは特開平3−96817号公報に示されるように、フルイディック素子11による測定値に基づいてフローセンサ12による測定値を較正するようにしてもよい。
【0028】
流量演算部21からの出力(測定流量)を受けた積算部24は、この出力値を積算して、ガスメータの流量積算値とし、表示器13によってその値を表示する。
【0029】
一方、流量演算部21からの出力(測定流量)を受けたフィルタ部22の第1の平均化処理部22aは、次の式(1)による平均化演算を行うことにより、流量演算部21から得た測定流量に対して第1の平滑化処理を施す(ステップS102)。
【0030】
ai =〔(2m −1)Yi-1 +Xi 〕/2m …(1)
【0031】
ここで、Xi は今回、流量演算部21より取得した測定流量を示し、Yi-1 は前回のフィルタ部22における演算結果を示し、ai は第1の平均化処理部22aにおける演算結果を表す。また、2m は、平均化の重み付けを表し、mは任意の自然数である。
【0032】
この(1)式から分かるように、フィルタ部22の第1の平均化処理部22aによる平均化演算は、前回の演算結果Yn-1 に平均化の重み付け2m から1を差し引いたものを乗じた値と、今回取得した測定流量Xn とを加算して、この加算値を平均化の重み付け2m で除するという演算を行うものであり、これにより、測定流量に対して平滑化処理を施すようになっている。
【0033】
判定部22bは、第1の平均化処理部22aによって得られた平均値ai が所定のしきい値ath以下のときは(ステップS103;Y)、平均値ai を“0”に置き換えて出力値ai ′とする一方(ステップS104)、平均値ai がしきい値athを超えているときは(ステップS103;N)、その平均値ai をそのまま出力値ai ′とする。ここで、判定の基準となるしきい値athは、例えば1リットル/hに設定する。
【0034】
第2の平均化処理部22cは、次の(2)式による平均化演算を行うことにより、判定部22bから出力された値ai ′に対して第2の平滑化処理を施す(ステップS105)。
【0035】
Yi =〔(2n −1)Yi-1 +ai ′〕/2n …(2)
【0036】
ここで、Yi-1 は(1)式と同じく前回のフィルタ部22における演算結果を示し、Yi は第2の平均化処理部22cにおける演算結果を示す。また、2n は、平均化の重み付けを表し、n は任意の自然数である。
【0037】
バッファ部23は、例えば、マイナス側4リットル、プラス側1リットルの範囲でフィルタ部22の出力を積算した値を相殺し(ステップS106)、フィルタ部22の出力を積算した値がプラス側1リットルの範囲を越えたときにのみ(ステップS107;Y)、フィルタ部22の第2の平均化処理部22cの出力を後段の積算部24に出力する。積算部24は、このフィルタ部22の出力値を積算して、ガスメータの流量積算値とする(ステップS108)。そして、表示器13は積算部24で求められたガスメータの流量積算値を表示する(ステップS109)。
【0038】
次に、図3を用いて、本実施の形態のガスメータにおいて、圧力変動等の外乱の影響による誤計測が防止されることを説明する。図3(a)は、流量が零のときに外乱の影響によってフローセンサの部分を通過するガスの流れの時間的変化を表すものである。同図(b)はフローセンサの出力を一定周期Tごとにサンプリングして得られた測定流量の時間的変化を示している。同図(c)はフィルタ部22を通過した後の流量値を示し、同図(d)は、ガスメータの流量積算値の変化を表すものである。ここで、図3(a),(b)は、従来技術の項で示した図5(a),(b)と同じものとして描いている。
【0039】
従来のガスメータでは、図5において説明したように、圧力変動等の外乱が長期間継続すると、平滑化処理により振幅を小さくしたにもかかわらず、バッファの範囲を越えて、ガスメータの流量積算値としての積算が行われてしまう。これに対し、本実施の形態のガスメータでは、流量演算部21で求められた測定流量はフィルタ部22で2段階の平滑化処理が施されるため、図3(b)に示した測定流量の時間的変化に対して、フィルタ部22を通過した後の流量の時間的変化は図3(c)に示したように振幅が十分に小さいものとなる。そして、このフィルタ部22を通過した後の流量がバッファ部23に入力されるが、フィルタ部22を通過した後の流量は時間的変化の振幅が小さいので、流れがプラス側に長時間継続した場合であっても、流量値の積算した値がバッファ部23におけるバッファの範囲を越えることがない。そのため、図3(d)に示したように、積算部24では、ガスメータの流量積算値としての積算は行われず、外乱の影響による誤計測が防止される。
【0040】
ここで、上記した(1)式および(2)式の意義についてさらに詳細に説明する。上記のように、(1)式は、前回の演算結果Yn-1 に平均化の重み付け2m から1を差し引いたものを乗じた値と、今回取得した測定流量Xn とを加算して、この加算値を平均化の重み付け2m で除するという演算を行うものであるが、この平均化の重み付け2m 、すなわちmの値を大きくする程、今回取得した測定流量Xn が第1の平均化処理部22aの演算結果に及ぼす影響を小さくすることができ、結果として、圧力変動等の外乱による誤計測を効果的に防止することができる。但し、このmの値をあまりに大きくすると、流量が実際に大きく変化しているにもかかわらず、それが検知されるまでに長時間を要することとなり、測定の応答性が低下するおそれがある。逆に、mの値を小さくすると、今回取得した測定流量Xn が第1の平均化処理部22aの演算結果に及ぼす影響が大きくなって測定の応答性は向上するが、mの値を小さくし過ぎると、外乱による誤計測が生じ易くなり、測定精度が低下する。したがって、実際には、測定の応答性をあまり悪化させない範囲内においてできる限り大きなmの値を設定することが好ましい。
【0041】
このことは、(2)式においても全く同様であり、nの値を大きくすると、外乱による誤計測の防止を担保できる反面、測定の応答性が低下し、nの値を小さくすると、測定の応答性が向上する反面、外乱による誤計測が生じ易い。したがって、nの値についても、両者のバランスを図って適切に設定することが好ましい。
【0042】
例えば、第1の平均化処理部22aの処理については応答性よりも誤計測の発生防止に重点を置く一方、第2の平均化処理部22cによる処理については、誤計測の発生防止よりも応答性に重点を置く、という方法が考えられる。この場合には、例えば、m=3とし、n=1とするのが好適である。これとは逆に、第1の平均化処理部22aの処理については誤計測の発生防止よりも応答性に重点を置く一方、第2の平均化処理部22cによる処理については、応答性よりも誤計測の発生防止に重点を置く、という方法も考えられる。さらに、第1の平均化処理部22aおよび第2の平均化処理部22cの双方において、応答性よりも誤計測の発生防止に重点を置くようにしたり、あるいは誤計測の発生防止よりも応答性に重点を置くようにしてもよい。
【0043】
また、供給圧力の変動量の大きさを考慮して、平均化の重み付け2m ,2n を決定するm,nの値を設定するようにしてもよい。例えば、供給圧力の変動量が比較的大きい場合にはm,nの値をより大きく設定し、供給圧力の変動量が比較的小さい場合にはm,nの値をより小さく設定するのが望ましい。
【0044】
以上のように、本実施の形態に係るガスメータによれば、流量演算部21により得られた流量測定値に対して平均化処理を行い、これにより得られた平均値が所定のしきい値athを超えるときはその平均値を用いてさらに平均化処理を行う一方、得られた平均値がしきい値ath以下のときは流量値を0とみなした上でさらに平均化処理を行うようにしたので、これらの2段階の平均化処理によって流量変動の振幅が十分に縮小化される。このため、バッファ部23において流量変動がプラス側とマイナス側とでほぼ完全に相殺され、その積算値がプラス側のバッファ機能の範囲を超えることが殆どなくなる。したがって、圧力変動等の外乱に伴う誤計測を従来よりも効果的に防止することができる。
【0045】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記の各実施の形態では、バッファ部23におけるバッファの範囲を、マイナス側4リットル、プラス側1リットルとして説明したが、これに限らず、適宜設定するようにしてもよい。
【0046】
また、上記の実施の形態では、平均化の重み付けを2m という巾乗の形にしたが、これに限らず、任意の自然数kを平均化の重み付けとしてもよい。但し、マイクロコンピュータによる演算を容易化するためには、2m という巾乗の形が望ましい。
【0047】
また、上記の実施の形態では、判定の基準となるしきい値athを、例えば1リットル/hに設定するとしたが、その他の値に設定してもよい。例えば、供給圧力の変動量が比較的大きい場合にはしきい値athをより大きく設定し、供給圧力の変動量が比較的小さい場合にはしきい値athをより小さく設定するのが望ましい。
【0048】
また、上記の実施の形態では、流量が零のときに気体の圧力変動等の外乱があった場合について説明したが、本実施の形態のガスメータでは、流量が零ではないときに気体の圧力変動等の外乱があった場合においても、フィルタ部22による平滑化処理によって、外乱によるノイズ分が低減されるため、測定精度が向上する。
【0049】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、例えば、流量測定手段としてフルイディック素子11およびフローセンサ12の双方を用いたものに限らず、フローセンサ12のみを用いたものや、フルイディック素子11のみを用いたものであってもよい。さらに、他の流量センサを用いたものでもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のガスメータによれば、流量測定値に対して第1の平滑化手段による平滑化処理を行って、その平滑化処理後の値に応じ、その値をそのまま出力するか、あるいは他の値に置き換えて出力するかの判定を行い、さらに、判定手段からの出力値に対して第2の平滑化手段による平滑化処理を行うようにしたので、これらの2段階の平滑化処理によって流量変動の振幅が十分に縮小化された上で緩衝手段に入力される。このため、緩衝手段においては、平滑化処理後の値がほぼ完全に相殺され、その積算値が所定の範囲を超えることが殆どなくなる。したがって、圧力変動等の外乱に伴う誤計測を従来よりも効果的に防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るガスメータの要部の構成を表すブロック図である。
【図2】図1のガスメータの計測制御部の動作を説明するための流れ図である。
【図3】図1のガスメータの作用を説明するための特性図である。
【図4】従来のバッファ機能を備えたガスメータの作用を説明するための特性図である。
【図5】従来のバッファ機能を備えた他のガスメータの作用を説明するための特性図である。
【符号の説明】
11…フルイディック素子、
12…フローセンサ、
13…表示器、
20…計測制御部、
21…流量演算部、
22…フィルタ部、
22a…第1の平均化処理部、
22b…判定部、
22c…第2の平均化処理部、
23…バッファ部、
24…積算部
Claims (4)
- ガスの流量を測定するための流量測定手段と、
この流量測定手段による測定値に対して平滑化処理を施す第1の平滑化手段と、
この第1の平滑化手段による平滑化処理後の値に応じて、その値をそのまま出力するか、あるいは他の値に置き換えて出力するかを判定し、その値を出力する判定手段と、
この判定手段からの出力値に対して平滑化処理を施す第2の平滑化手段と、
この第2の平滑化手段による平滑化処理後の値を積算し、その積算値が所定の範囲を超えたときに、前記第2の平滑化手段による平滑化処理後の値を出力する緩衝手段と、
この緩衝手段からの出力値を積算する積算手段と
を備えたことを特徴とするガスメータ。 - 前記判定手段は、前記第1の平滑化手段による平滑化処理後の値が所定のしきい値を超えているときはその値をそのまま出力する一方、前記第1の平滑化手段による平滑化処理後の値が前記所定のしきい値以下のときは前記平滑化処理後の値を零に置き換えて出力することを特徴とする請求項1記載のガスメータ。
- 前記第1の平滑化手段は、前記流量測定手段による測定値を所定の周期で取得し、前回の演算結果と今回取得した測定値とを所定の重み付けをもって平均化する演算を行うことにより、前記流量測定手段による測定値に対して平滑化処理を施すことを特徴とする請求項1記載のガスメータ。
- 前記第2の平滑化手段は、前回の演算結果と今回の判定手段からの出力値とを所定の重み付けをもって平均化する演算を行うことにより、前記判定手段からの出力値に対して平滑化処理を施すことを特徴とする請求項1記載のガスメータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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