JP3652302B2 - 液晶表示装置およびこの液晶表示装置を配設した携帯端末または表示機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は基板上の半導体素子接続用の接続端子が矩形状の表示領域の一辺または対向する二辺にそって形成したSTN方式液晶表示装置に関するものである。さらに本発明は、かかる液晶表示装置を配設した携帯端末または表示機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、携帯電話の製造コストの低減化、小型化が大きな課題となっているが、その課題を解消するために、二つ使われていたドライバーICを1チップに集約した液晶パネルが提案されている。
【0003】
すなわち、セグメント用とコモン用の双方のIC機能を備えたドライバーICでもって、1個に集約し、これによってICや実装のコストを低減させる技術がある。
【0004】
本発明者は、この技術に関連して、さらに携帯端末用液晶表示装置の配線構造を改良した技術を提案した(特願2000-387850号参照)。
【0005】
この液晶表示装置の構成を図5と図6により説明する。
図5Aは液晶表示装置Pの平面図、同図Bはその右側面図である。また、図6は図5における切断面線b−bによる断面図である。
【0006】
液晶表示装置Pによれば、セグメント用透明電極群10が形成されたガラス基板1と、コモン用透明電極群4が形成されたガラス基板2は、対向した状態でシール樹脂7を介して貼り合わせ、液晶12が注入口13より注入され、封止樹脂11により封止されている。
【0007】
ガラス基板1上の下端辺には、ITOからなるセグメント側端子群8とセグメント側端子群8を挟んで二つのブロックに分かれてITOからなるコモン側端子群6が形成されている。
【0008】
これら端子群には、ドライバーICが実装されたTCP(テープキャリアパッケージ)またはCOF(チップオンフィルム)が接続される。
【0009】
このセグメント側端子群8は配線パターン9を介してITOからなるセグメント用透明電極群10に接続される。また、ITOからなるコモン接続端子群6は、図5Aにて上方に引き延ばして、アルミニウム金属などから成る配線パターン5と接続し、そして、右方に折れるものをIブロックの配線パターン5とし、左方に折れるものをIIブロックの配線パターン5として基板間導通部26、27に接続し、この基板間導通部であるシール樹脂7内の導電粒子14によりガラス基板2上のコモン用透明電極群4に導通される。
【0010】
上記構成によれば、配線パターン5はシール樹脂7で囲まれた内側を引き回される。
【0011】
そして、液晶表示装置Pがカラー表示用である場合、1画素はR(赤)、G(緑)、B(青)にて構成することから、セグメント用透明電極の数はm×3本で、コモン用透明電極群4の数はN本となる。
【0012】
図6に示す液晶表示装置Pによれば、ガラス基板1上の配線パターン5は、導電性粒子14を含んだシール樹脂7を通してガラス基板2上のコモン用透明電極群4に導通され、そして、表示部3においては、コモン用透明電極群4とセグメント用透明電極群10上にポリイミドからなる配向膜16、17がそれぞれ形成されており、配向膜16と配向膜17の間には隙間を一定に保つようにスペーサ15が挟まれている。
【0013】
かくして上記構成の液晶表示装置Pによれば、1チップICによる実装構造にしたことで、低コスト化および小型化が達成され、携帯端末などの小型機器に好適となる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の液晶表示装置Pによれば、低コスト化および小型化が達成されたが、その反面、表示枠という点では未だ解消されていない。
【0015】
すなわち、図5に示す如く、表示部3の外側に、この装置Pが組み込まれる機器窓枠33が設けられているが、配線パターン5が表示面側34から見られることで、表示部3と機器窓枠33との間での色や見え方が配線パターン5の引回すエリアにより規定され、この機器窓枠33内にて一様な表示状態に至らないという課題があった。
【0016】
この課題をさらに図7により示す。同図は液晶表示装置Pの表示面34側からの見え方を示し、本来の製品外観デザインとは異なるところの配線パターン5の引回し形状35が製品外観デザインに影響を及ぼしている。
【0017】
したがって本発明は叙上に鑑みて完成されたものであり、その目的は小型化を達成するとともに、表示部と機器窓枠との間を一様な色と質感となし、これによって優れた美観の表示枠を備えた高品質な液晶表示装置を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は携帯電話などの携帯端末または表示機器に適した液晶表示装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置は、複数の透明電極からなるセグメント用透明電極群と配向膜とを順次積層して成るセグメント側の基板と、
複数の透明電極からなるコモン用透明電極群と配向膜とを順次積層して成るコモン側の基板とを、
双方の透明電極が直交するように対向させて矩形状の表示部を設け、
さらに双方の基板を貼り合せるべく矩形状に周設したシール部材の内部に液晶層を充填して成る液晶表示装置であって、
前記セグメント側の基板上に形成したセグメント用透明電極群は前記シール部材の一辺部を通して延在し複数の接続端子からなるセグメント用接続端子と成し、前記セグメント用接続端子に並設した複数の接続端子からなるコモン用接続端子を前記シール部材の一辺部を通して延在せしめた金属からなる複数の配線パターンを、前記シール部材の他辺部と表示部との間に形成し、前記シール部材の他辺部内にてセグメント側の基板とコモン側の基板との間にて通電せしめる導電接続部を設け、
この導電接続部を通して前記複数の配線パターンとコモン用透明電極群とを通電接続し、かつセグメント側の基板上におけるシール部材と表示部の間にて前記配線パターンの配設した領域以外に、金属からなる表示部枠体用ダミーパターンを形成するとともに、
前記複数の配線パターンにおける(配線パターン幅)/(配線パターンピッチ)で求められる配線パターン比のばらつき及前記複数の表示部枠体用ダミーパターンにおける(ダミーパターン幅)/(ダミーパターンピッチ)で求められるダミーパターン比のばらつきは、それぞれ0.2以内であり、且つ前記配線パターン比のばらつきの中心値と前記ダミーパターン比のばらつきの中心値との差は、±0.2以内であることを特徴とする。
【0020】
本発明の他の液晶表示装置は、前記表示部枠体用ダミーパターンをセグメント側の基板上に代えてコモン側の基板上に形成したことを特徴とする。
【0021】
本発明の携帯端末または表示機器は、かかる本発明の液晶表示装置を搭載したことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶表示装置S1を図1と図2でもって説明する。
図1のAは液晶表示装置S1の平面図、同図Bはその右側面図である。図2は図1における切断面線a−aによる断面図である。なお、これらの図において前記液晶表示装置Pと同一個所には同一符号を付す。
【0023】
この液晶表示装置S1においては、ガラス基板1とガラス基板2とのガラス基板貼り合せられ表示部3が設けられる。
【0024】
ガラス基板2の上にはITOからなるn本のコモン用透明電極群4と、液晶12を配向させるための配向膜16とが順次形成され、他方のガラス基板1の上にはITOからなるセグメント用透明電極群10と、配向膜17とが順次形成され、配向膜16と配向膜17の間には基板隙間を一定に保つためのスペーサ15が分散されている。セグメント用透明電極群10、セグメント側端子群8はそれぞれm×3本あり、コモン用透明電極群4、コモン側端子群6はそれぞれn本あるが、図の上では途中を省略する。
【0025】
コモン用透明電極群4とセグメント用透明電極群10とが交差する領域が表示部3となる。
【0026】
表示部3のさらに外側には導電粒子14を含有するシール樹脂7を周設し、このシール樹脂7でもってガラス基板1とガラス基板2とを貼り合せ、その内部空間に液晶12を注入口13を通して注入し、シール樹脂11により封止する。
【0027】
28、29、30、31、32はコモン用透明電極群4とセグメント用透明電極群10を形成すると同時に、同じ材料にて形成した液晶12による表示面にわたって膜厚調整するためのダミーパターンである。
【0028】
セグメント用透明電極群10がm本である場合には、画素数は(m×n)個となるが、カラー化した液晶表示装置S1においては、1画素はR(赤)、G(緑)、B(青)の3種類でもって構成することで、画素数をm×nとする場合には、セグメント用透明電極群10を(3×m)本設ける。
【0029】
図1Aに示すように、ガラス基板1の下方端辺には、シール樹脂7の一辺部に、ITOなどからなるコモン側端子群6とセグメト側端子群8を並設する。
【0030】
コモン端子群6付近に位置合わせマーカー(図示せず)を形成し、このマーカーによってTCPやCOFの圧着時に位置合わせを行い、前記端子群6と8の上に異方性導電膜等を用いて圧着接続する。
【0031】
ここで、表示部3は、図1Aに示すように表示部3を上下に2分し、同図Aにおいて上側の部分のコモン用透明電極群4を右側に、下側の部分のコモン用透明電極群4を左側に導出して、双方を基板間導通部24、25にまで延ばす。これら基板間導通部24、25はガラス基板1とガラス基板2との双方の配線を通電せしめるものであって、本例では、図2に示すように導電粒子14を含有するシール樹脂7を用いる。このような構成の基板間導通部24、25を通してガラス基板1上にて配線パターン5からセグメント側端子群8の両側付近にまで延ばして、コモン側端子群6と接続される。
【0032】
さらに配線構造を詳述すると、セグメント側端子群8については、扇状に広がるアルミニウム(Al)金属またはその合金等からなる配線パターン9を通してセグメント用透明電極群10へ接続され、一方のコモン側端子群6についても、図1Aに示すように配線が垂直に延びており、アルミニウム(Al)金属またはその合金等からなる配線パターン5に接続される。
【0033】
このような配線パターン5については、表示部3の両側に形成したことで、Iブロックの配線パターン5と、IIブロックの配線パターン5とに区別する。
【0034】
Iブロックの配線パターン5は上方に引き回し、そして、右辺のシール樹脂7へ水平に折れ、基板間導通部24を通してガラス基板2上のコモン用透明電極群4と導通される。
【0035】
IIブロックの配線パターン5についても上方に引き回し、そして、左辺のシール樹脂7へ水平に折れ、基板間導通部25を通してガラス基板2上のコモン用透明電極群4と導通される。
【0036】
そして、本発明の液晶表示装置S1には、画像表示を高めるために表示部枠体用ダミーパターンを設けることが特徴である。以下、この点を詳述する。
【0037】
ガラス基板1の上におけるシール樹脂7と表示部3の間にて配線パターン5の配設した領域以外に、表示部枠体用ダミーパターン18,19、20、21、22、23を形成している。本例においては、これら各パターンをガラス基板1上にアルミニウム(Al)金属またはその合金等にて形成する。
【0038】
ダミーパターン21、22、23については、ガラス基板1上の表示部3の外側からシール樹脂7に至る領域において、機器窓枠33を覆うように配線パターン5の領域以外に設ける。すなわち、ダミーパターン21は図1Aにおいて対向して表示部3の左上部に、また、ダミーパターン22、23は表示部3の上部に形成する。
【0039】
さらに表示部3の下部にダミーパターン18,19、20が同様に設ける。
【0040】
かくして本発明の液晶表示装置S1によれば、図8に示す液晶表示装置S1の表示面34側からの見え方から明らかなとおり、Al等の金属膜で一様に設けられた配線パターン5と表示部枠体用ダミーパターン18,19、20、21、22、23による引回し形状36は、どこも一様な色・質感となり、液晶表示装置の配線パターンが機器の外観デザインに悪影響を与えることがなくなり、表示部3と機器窓枠との間を一様な色と質感となし、これによって優れた美観の表示枠を備えた高品質な液晶表示装置S1となる。
【0041】
つぎに本発明の他の液晶表示装置S2、S3を図3と図4でもって説明する。図3のAは液晶表示装置S2の平面図、同図Bはその右側面図である。図4のAは液晶表示装置S3の平面図、同図Bはその右側面図である。なお、これらの図において前記液晶表示装置S1と同一個所には同一符号を付す。
【0042】
図3に示す液晶表示装置S2によれば、表示面34のあるガラス基板1上のシール樹脂7内部には、Al等で形成される配線パターン5とダミーパターン21が同じくAl等で形成されており、図1Aに示す如く、下のシール樹脂7の内側から上のシール樹脂7の内側まで一様にAl等のパターンが形成される。
【0043】
そして、Al等の表示部枠体用ダミーパターンの形状は配線パターン5に類似し、配線パターン間の隙間が0.01mmであるのに対し、表示部枠体用ダミーパターン間の隙間も0.01mmになるように設けている。なお、図3にて示す隙間の数値の単位はmmである。
【0044】
すなわち、配線パターン間の隙間と表示部枠体用ダミーパターン間の隙間とをほぼ同じにするとよく、たとえば配線パターン間の隙間が0.01mmであれば、表示部枠体用ダミーパターン間の隙間も0.01mmにするよく、表示部枠体用ダミーパターン間の隙間を0.02mmにすると、パターン形状が若干確認されるが、実用上支障のない程度である。しかし、表示部枠体用ダミーパターン間の隙間が0.03mmになると実用上支障のない程度であるが、配線パターン形状が顕著になる。
【0045】
また、配線パターン間の隙間と表示部枠体用ダミーパターン間の隙間との双方ともに、できるだけ小さくすることで、パターン形状の部分的な違いによる見え方の違いが小さくなり、一様に見せることができる。本発明によれば、双方の間隔を0.02mm以下、好適には0.015mm以下、最適には0.01mm以下にするとよい。
【0046】
つぎに図4に示す液晶表示装置S3を述べる。なお、図4にて示すピッチや幅の数値単位はmmである。
【0047】
液晶表示装置S3によれば、配線パターン5において、(配線パターン幅)/(配線パターンピッチ)が0.02mm/0.03mm=0.666や0.15mm/0.24mm=0.625である。これに対し、表示部枠体用ダミーパターンにおいては(ダミーパターン幅)/(ダミーパターンピッチ)は0.02mm/0.03mm=0.666や0.15mm/0.24mm=0.625である。
【0048】
このように表示部3の外から機器窓枠内の領域において(配線パターン幅)/(配線パターンピッチ)=配線パターン比と、(ダミーパターン幅)/(ダミーパターンピッチ)=ダミーパターン比とをできるだけ等しくすることでパターン形状の部分的な違いによる見え方の違いが小さくなり、これによって一様な形状に見せることができる。
【0049】
本発明者は表1に示すように2とおりの配線パターン比A、A’と2とおりのダミーパターン比B、B’とを備えた液晶表示装置を作製し、そして、これら各種装置に対し配線パターン比とダミーパターン比との最大差を求めて、それぞれの見え方を評価したところ、同表に示すような結果が得られた。
【0050】
【表1】
【0051】
〇、△、×の3とおりに区分し、〇印は表示枠という点できわめて優れた外観が得られた場合であり、△印はパターン形状が若干確認されるが、実用上支障のない程度の場合であり、×印は実用上支障のない程度であるが、配線パターン形状が顕著になった場合である。
【0052】
本発明者が繰り返しおこなった実験によれば、上記の如く配線パターンとダミーパターンとからなる配線パターン部全体において、(配線パターン幅)/(配線パターンピッチ)のばらつきが±0.2以内、好適には±0.1以内にするとよいことがわかった。
【0053】
さらには配線パターンとダミーパターンとの双方にて、それらパターン形状がほぼ同じもしくは類似し、そして、(ダミーパターン幅)/(ダミーパターンピッチ)は(配線パターン幅)/(配線パターンピッチ)のばらつきの中心値(=(最大値+最小値)/2)に対して±0.2以内、好適には±0.1以内にするとよいことも判明した。
【0054】
かくして本発明の液晶表示装置S2、S3によれば、表示部3の外から機器窓枠33までの領域の見え方を示す図8の如く、Al等の金属膜で一様に設けられた配線パターン5と表示部枠体用ダミーパターンの引回し形状36は、どこも一様な色・質感となり、液晶表示装置の配線パターンが機器の外観デザインに悪影響を与えることがなくなる。
【0055】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の変更や改良等は何ら差し支えない。
【0056】
たとえば、上記の実施形態例においては、ガラス基板1の上に表示部枠体用ダミーパターンを形成したが、これに代えて対向する他方のガラス基板2の上に表示部枠体用ダミーパターンを形成してもよい。
【0057】
また、配線パターンと表示部枠体用ダミーパターンをアルミニウム(Al)やアルミニウム合金にて形成したが、これに代えて、他の金属材、たとえば銀(Ag)ヤチタン(Ti)やその合金などにて形成してもよい。
【0058】
液晶表示装置S1とS2とS3の具体的な構成
図9にて液晶表示装置S1とS2とS3が半透過型液晶表示装置である場合を説明する。
【0059】
透明基板58の外面上にポリカーボネイトなどからなる位相差板59とヨウ素系の偏光板60とを順次積み重ね、透明基板61の外面上にポリカーボネイトなどからなる位相差板62とヨウ素系の偏光板63とを順次積み重ねる。これらはアクリル系の材料からなる粘着材を用いて貼り付ける。
【0060】
さらに偏光板63上にバックライト64を配設している。バックライト64は導光板65の端面に冷陰極管やLEDなどの光源66を配置し、光源66の照射光を導光板65に導入し、この導光板65より液晶パネルに対し光出射させる。
【0061】
また、液晶パネルにおいては、ガラス基板などの透明基板58上には信号電極67と、一定方向にラビングしたポリイミド樹脂からなる配向膜(図示せず)とを順次形成している。なお、信号電極67と配向膜との間にSiO2等からなる絶縁層を介在してもよい。
【0062】
ガラス基板などからなる透明基板61の内面には半透過膜68を形成し、半透過膜68の上にカラーフィルタ69を設けている。さらにカラーフィルタ69の間にアルミニウムやクロムなどの金属からなる薄膜もしくは感光性レジストにて形成した遮光膜であるブラックマトリックスを形成してもよい。
【0063】
そして、カラーフィルタ69の上にSiO2や樹脂からなるオーバーコート層70を被覆し、オーバーコート層70の上に走査電極71と、一定方向にラビングしたポリイミド樹脂からなる配向膜(図示せず)とを順次形成している。この走査電極71は上記信号電極35と直交している。なお、走査電極71と配向膜との間にSiO2等からなる絶縁層を設けてもよい。
【0064】
半透過膜68は光透過性と光反射性の双方の特性を具備しており、しかも、2枚の偏光板の間に挟んだ時に位相差を生じないようにする。また、半透過膜68は鏡面性であっても、散乱性を有していてもよい。散乱性を有する半透過膜68を作製するには樹脂によって凹凸形状となし、その上に半透過膜を形成すればよい。
【0065】
上記カラーフィルタ69は顔料分散方式、すなわちあらかじめ顔料(赤、緑、青など)により調合された感光性レジストを基板上に塗布し、フォトリソグラフィにより形成する。
【0066】
このように形成した各透明基板58、61を、たとえば200〜270°の角度でツイストされたカイラルネマチック液晶からなる液晶層72を介してシール材73により貼り合わせる。さらに両透明基板26、29の間には液晶層72の厚みを一定にするためにスペーサ74を多数個配している。
【0067】
上記構成のように半透過膜68を配設してなる液晶表示装置S1とS2とS3においては、反射型として用いた場合(反射モード)には、太陽光、蛍光灯などの外部照明による照射光は偏光板60と位相差板59と液晶パネルとを順次通過するが、液晶パネルの内部に入射された光はカラーフィルタ69を透過して半透過膜68に至り、そして、半透過膜68にて反射され、そして、液晶パネルを通過し、位相差板59と偏光板60とを通過して光出射される。
【0068】
一方、液晶表示装置S1、S2、S3を透過モードにした場合には、バックライト64の照射光が偏光板63と位相差板62と、さらに液晶パネルの透明基板61とを順次通過し、半透過膜68を通過し、カラーフィルタ69を透過し、そして、液晶パネルを通過し、位相差板59と偏光板60とを通過して光出射される。
【0069】
さらに半透過膜68を透明基板61上に形成したことで、反射モードでは、とくに反射率を高めることで、より明るい輝度の表示が得られ、透過モードでも高いコントラストが得られ、これによって反射モードおよび透過モードの両機能を満足し得る程度にまで高めることができ、反射モードにて使用したパネルを、そのままの条件で透過モードにも使用することができ、反射モードもしくは透過モードのいずれの場合でも安定した鮮明な色表示ができた。
【0070】
また、透明基板61の内面上に半透過膜68を形成すると、反射モードにて使用しても透明基板61を通過しなくなり、これにより、透明基板61に起因して表示が二重に見えるという現象が生じなくなる。さらには入射光と反射光が同じ画素を通過することで、明るさや色純度の低下が防止される。
【0071】
このような半透過膜68は、たとえばアルミニウムやクロム、SUS系、アルミニウム合金、銀合金などの金属薄膜にするが、膜厚が大きくなると、光透過性が小さくなり、光反射性が大きくなる。このような金属薄膜の厚みは金属の種類により光の吸収係数が異なり、しかも、反射モードおよび透過モードという双方の用途のうち、いずれの用途に対し性能の向上を求めるかによっても規定されるが、通常、50〜500Å、好適には100〜400Åにするとよい。これによって反射率30〜70%、透過率5〜50%という半透過型液晶表示装置としての特性が得られる。
【0072】
たとえば、半透過膜68を膜厚250Åのアルミニウム金属薄膜により形成した場合、反射率が65%、透過率が15%となる。
【0073】
また、上記構成の液晶表示装置S1とS2とS3に対し、半透過膜68が鏡面性である場合には、さらに液晶パネルの透明基板58と位相差板59との間の光散乱性の板状体を形成してもよい。この光散乱性の板状体にはたとえば大日本印刷(株)製のIDS(Internal Diffusing Sheet)の光散乱膜があり、樹脂中にビーズ等を含有させたものである。その他に平板の表面に光散乱性の凹凸を設けてもよい。
【0074】
このような光散乱膜を液晶パネルと位相差板59との間に設けることで、反射モードとして用いた場合、半透過膜68でもって反射された反射光は光散乱膜でもって正反射方向以外の方向にも散乱され、これによって画像表示の視野角が大きくなり、画像表示の認識領域が広くなった。
【0075】
なお、上記構成の液晶表示装置S1とS2とS3においては、半透過膜を配設し、これによって半透過型液晶表示装置と成したが、これに代えて、たとえばアルミニウム金属、銀金属、アルミニウム合金および銀合金などからなる反射膜を配設した反射型液晶表示装置としてもよい。
【0076】
携帯端末
図10にて液晶表示装置S1とS2とS3を搭載した携帯電話79を説明する。
携帯電話79によれば、小型の筐体75内に液晶表示装置S1とS2とS3を配設している。また、筐体75の上部には送信/受信用のアンテナ76を設け、さらに表面にはレシーバ77とマイク78とが形成されている。
【0077】
図11にて液晶表示装置S1とS2とS3を配設した携帯端末81を説明する。この携帯端末81は携帯電話79以外のさまざまな情報端末として示す。たとえば、時計、計算機、ゲーム機器、万歩計、GPS、POS、ハンディーターミナル、工業計器などがあるが、これらに限定されるものではない。この携帯端末81においても、小型の筐体80内に液晶表示装置S1とS2とS3を配設している。
【0078】
かくしてこれら携帯電話79や携帯端末81においては、小型化した液晶表示装置液晶表示装置S1とS2とS3を用いたことで、さらに小型化を達成することができた。
【0079】
なお、上記の実施形態においては、STN型単純マトリックスタイプのカラー液晶表示装置でもって説明しているが、その他に双安定型単純マトリックスタイプの液晶表示装置やモノクロタイプのSTN型単純マトリックスの液晶表示装置、TN型単純マトリックスタイプの液晶表示装置であっても同様な作用効果が得られる。
【0080】
また、本発明の液晶表示装置を配設した装置として、携帯端末でもって例示したが、その他、この液晶表示装置を表示デバイスとして使用する各種機器にも適用できる。たとえば、ミシン、ステレオ、楽器、ビデオ、ATM、複写機やファクシミリ、駅、レストラン、工場内の表示パネルなどのさまざまな表示機器の表示板にも使用してもよい。
【0081】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の液晶表示装置によれば、セグメント用透明電極群と配向膜とを順次積層して成るセグメント側の基板と、コモン用透明電極群と配向膜とを順次積層して成るコモン側の基板とを、双方の透明電極が直交するように対向させて矩形状の表示部を設け、さらに双方の基板を貼り合せるべく矩形状に周設したシール部材の内部に液晶層を充填して成し、そして、セグメント側の基板上に形成したセグメント用透明電極群はシール部材の一辺部を通して延在しセグメント用接続端子と成し、このシール部材の一辺部に沿って並設したコモン用接続端子をシール部材の一辺部を通して延在せしめた金属からなる配線パターンを、シール部材の他辺部と表示部との間に形成し、加えて配線パターンの配設した領域以外に、表示部枠体用ダミーパターンを形成したことで、小型化を達成するとともに、表示部と機器窓枠との間を一様な色と質感となし、これによって優れた美観の表示枠を備えた高品質な液晶表示装置が提供できた。
【0082】
しかも、本発明によれば、さらに小型化かつ美観に優れた高性能な表示機器が提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置S1であり、Aはその平面図、Bはその右側面図である。
【図2】図1における切断面線a−aによる断面図である。
【図3】本発明の液晶表示装置S2であり、Aはその平面図、Bはその右側面図である。
【図4】本発明の液晶表示装置S3であり、Aはその平面図、Bはその右側面図である。
【図5】従来の液晶表示装置Pであり、Aはその平面図、Bはその右側面図、である。
【図6】図5における切断面線b−bによる断面図である。
【図7】従来の液晶表示装置Pの外観図である。
【図8】本発明の液晶表示装置S1、S2、S3の外観図である。
【図9】本発明の半透過型液晶表示装置S1、S2、S3の要部拡大断面図である。
【図10】携帯電話の正面図である。
【図11】携帯端末の正面図である。
【符号の説明】
S1、S2、S3・・・液晶表示装置
1、2・・・ガラス基板
3・・・表示部
4・・・コモン用透明電極群
5、9、20・・・配線パターン
6・・・コモン側端子群
7・・・シール樹脂
8・・・セグメント側端子群
10・・・セグメント用透明電極群
14・・・導電粒子
15・・・スペーサ
24、25、26、27・・・基板間導通部
18,19、20、21、22、23・・・表示部枠体用ダミーパターン
33・・・機器窓枠
34・・・表示面
Claims (3)
- 複数の透明電極からなるセグメント用透明電極群と配向膜とを順次積層して成るセグメント側の基板と、
複数の透明電極からなるコモン用透明電極群と配向膜とを順次積層して成るコモン側の基板とを、
双方の透明電極が直交するように対向させて矩形状の表示部を設け、
さらに双方の基板を貼り合せるべく矩形状に周設したシール部材の内部に液晶層を充填して成る液晶表示装置であって、
前記セグメント側の基板上に形成したセグメント用透明電極群は前記シール部材の一辺部を通して延在し複数の接続端子からなるセグメント用接続端子と成し、前記セグメント用接続端子に並設した複数の接続端子からなるコモン用接続端子を前記シール部材の一辺部を通して延在せしめた金属からなる複数の配線パターンを、前記シール部材の他辺部と表示部との間に形成し、前記シール部材の他辺部内にてセグメント側の基板とコモン側の基板との間にて通電せしめる導電接続部を設け、
この導電接続部を通して前記複数の配線パターンとコモン用透明電極群とを通電接続し、かつセグメント側の基板上におけるシール部材と表示部の間にて前記配線パターンの配設した領域以外に、金属からなる表示部枠体用ダミーパターンを形成するとともに、
前記複数の配線パターンにおける(配線パターン幅)/(配線パターンピッチ)で求められる配線パターン比のばらつき及前記複数の表示部枠体用ダミーパターンにおける(ダミーパターン幅)/(ダミーパターンピッチ)で求められるダミーパターン比のばらつきは、それぞれ0.2以内であり、且つ前記配線パターン比のばらつきの中心値と前記ダミーパターン比のばらつきの中心値との差は、±0.2以内であることを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項1の表示部枠体用ダミーパターンをセグメント側の基板上に代えてコモン側の基板上に形成したことを特徴とする液晶表示装置。
- 請求項1または請求項2の液晶表示装置を配設した携帯端末または表示機器。
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